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リスト規制とキャッチオール規制の完全ガイド:該非判定の実務

2026-01-14濱本
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輸出管理の二本柱であるリスト規制とキャッチオール規制について、該非判定の実務手順を含めて詳しく解説します。

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リスト規制とキャッチオール規制の完全ガイド:該非判定の実務

こんにちは、株式会社TIMEWELLの濱本です。今日は、輸出管理の根幹をなす「リスト規制」と「キャッチオール規制」について、実務担当者が押さえるべきポイントを詳しくお話しします。

「うちの製品はリスト規制に該当しないから、輸出管理は関係ない」 「キャッチオール規制って何?初めて聞いた」 「該非判定の仕方がよくわからない」

こうした声を、私たちは多くの企業からお聞きしています。リスト規制に該当しない製品でも、輸出に許可が必要になるケースがあります。本記事では、5000文字を超えるボリュームで、両規制の全体像と該非判定の実務を解説します。

第1章:輸出管理の二本柱を理解する

リスト規制とは

リスト規制とは、輸出貿易管理令の別表第1に掲載された特定の貨物や技術を対象とする規制です。武器、核関連資材、ミサイル関連資材、化学兵器関連資材、先端素材など、あらかじめ特定された品目が規制対象となります。

これらの品目を輸出する場合、原則として経済産業大臣の許可が必要です。許可なく輸出すれば、外為法違反となり、厳しい罰則が科されます。

15項目の分類体系

リスト規制品は、15の項目に分類されています。

項番 分類 対象例
1 武器 銃砲、弾薬、軍用車両
2 原子力 核燃料物質、原子炉
3-4 化学・生物兵器関連 化学製剤、生物製剤
5-9 ミサイル関連 ロケット、無人航空機
10-15 先端技術(デュアルユース) 工作機械、電子機器、暗号

表1:リスト規制品の分類

項番1〜9は、主に大量破壊兵器やその運搬手段に関連する品目です。項番10〜15は、いわゆる「デュアルユース品目」——民生用途と軍事用途の両方に使用可能な品目が含まれます。

キャッチオール規制とは

キャッチオール規制は、リスト規制に該当しない貨物や技術であっても、大量破壊兵器等の開発・製造に使用される懸念がある場合に適用される規制です。

「リストに載っていないから安全」ではありません。用途需要者に懸念があれば、リスト規制品でなくても許可が必要になることがあります。

なぜキャッチオール規制が必要なのか

大量破壊兵器の開発には、さまざまな汎用品が使用されます。技術の進歩は速く、新たな転用リスクが次々と生まれます。すべてをリストに載せることは現実的に不可能です。

そこで導入されたのがキャッチオール規制です。「リスト規制の穴を塞ぐ」仕組みとして、リストに載っていない品目でも、懸念がある場合は規制をかけることができます。

第2章:該非判定の実務

該非判定とは

該非判定とは、製品や技術がリスト規制品に「該当」するか「非該当」かを判定する作業です。輸出管理の最も基本的かつ重要な業務です。

この判定を誤ると、無許可輸出となり、法令違反に問われる可能性があります。逆に、非該当品を該当と誤判定すると、不必要な許可申請手続きが発生し、業務効率が低下します。

判定の手順

ステップ1:製品情報の整理

対象製品の用途、機能、技術仕様を明確にします。カタログや仕様書だけでなく、設計図面や試験データなど、詳細な技術情報が必要になることもあります。

ステップ2:該当項番の特定

製品の性質から、該当する可能性のある項番を特定します。工作機械であれば項番6、センサーであれば項番14が関係する可能性があります。複数の項番に該当する可能性がある製品もあります。

ステップ3:省令との照合

特定した項番について、貨物等省令の規定と製品仕様を照らし合わせます。規定されている技術パラメータ(精度、性能、容量など)を確認し、製品がその基準を満たすかを判定します。

ステップ4:判定結果の記録

判定結果は、適切に記録・保存します。該当する場合は許可申請の準備を、非該当の場合も判定根拠を記録しておきます。

判定のポイント

技術仕様の正確な把握:カタログ上の公称値と実際の性能が異なることもあります。必要に応じて、実測データに基づいて判定を行います。

規制の解釈:規制条文の解釈に迷うケースは少なくありません。そのような場合は、規制の目的に立ち返って考えることが有効です。

専門家の活用:境界的なケースや、判定結果に大きなビジネスインパクトがある場合は、外部専門家の意見を聞くことでリスクを低減できます。

第3章:キャッチオール規制の実務

許可が必要となる条件

キャッチオール規制に基づく許可が必要となるのは、「客観要件」または「インフォーム要件」のいずれかに該当する場合です。

客観要件:輸出者自身が確認できる事実に基づいて、以下のいずれかに該当する場合

  • 貨物・技術が大量破壊兵器等の開発等に用いられるおそれがある
  • 需要者が大量破壊兵器等の開発等を行うおそれがある

インフォーム要件:経済産業省から直接通知を受けた場合

用途確認の方法

用途確認では、輸出する製品が最終的にどのような目的で使用されるかを把握します。

確認方法:

  • 契約書や注文書における用途記載の確認
  • 顧客への直接のヒアリング
  • 最終用途証明書(End User Certificate)の取得

把握した用途が、大量破壊兵器等の開発・製造・使用・貯蔵に関連しないかを判断します。明らかに民生用途であれば問題ありませんが、軍事関連の用途、研究・開発目的の場合は注意が必要です。

需要者確認の方法

外国ユーザーリストの確認:経済産業省が公表する懸念顧客リストとの照合が第一歩です。このリストに掲載されている場合、用途に関わらず許可が必要となります。

その他の懸念情報の確認:外国ユーザーリストに掲載されていなくても、軍需産業との関係、過去の法令違反歴、所在国のリスクなど、さまざまな観点から確認を行います。

第4章:デュアルユース品目への対応

デュアルユースとは

デュアルユース(軍民両用)技術とは、民生用途と軍事用途の両方に使用可能な技術のことです。

デュアルユース品目の例:

  • 高精度工作機械(自動車部品製造 ↔ 遠心分離機部品製造)
  • 高性能コンピュータ(シミュレーション ↔ 核兵器設計)
  • 特定の化学物質(半導体製造 ↔ 化学兵器製造)
  • 暗号技術(セキュリティ ↔ 軍事通信)

「うちは軍需品を扱っていない」と考えていても、これらの製品を扱っていれば、輸出管理の対象になり得ます。

デュアルユース品目の判定

デュアルユース品目がリスト規制に該当するかは、製品の技術仕様と省令の規定を照合して判定します。

たとえば、コンピュータの場合は「合成理論演算能力(APP)」という指標が用いられ、APPが一定値を超えるコンピュータは規制対象となります。工作機械の場合は位置決め精度やNC軸数が判定基準となります。

リスト規制非該当でも要注意

デュアルユース品目は、リスト規制に該当しなくても、キャッチオール規制が適用される可能性が高い製品群です。その性質上、大量破壊兵器の開発に転用され得るからです。

リスト規制の該非判定を行った後、必ず用途と需要者の確認を行い、キャッチオール規制の適用可能性を検討してください。

第5章:X-Checkによる該非判定支援

AI該非判定支援機能

X-Checkは、マルチLLM合議によるAI該非判定支援機能を提供しています。製品情報を入力すると、複数のAIが規制条文との照合を行い、判定結果と根拠を提示します。

AIの判定は参考情報であり、最終判断は人間が行います。しかし、AIが事前に判定と根拠を提示してくれることで、担当者の作業効率が大幅に向上します。

需要者確認機能

取引先が外国ユーザーリストや各国の制裁リストに掲載されていないかを照合する機能も提供しています。名前のバリエーション対応や継続モニタリング機能により、確認漏れのリスクを低減します。

判定履歴の管理

X-Checkでは、過去の判定履歴を管理し、いつでも参照できます。監査対応や、同様の製品の判定時に過去の判定を参照することが容易になります。

結論:「知らなかった」では済まされない

リスト規制とキャッチオール規制は、輸出管理の二本柱です。「リストに載っていないから関係ない」という認識は危険であり、用途と需要者の確認を怠れば、キャッチオール規制違反となる可能性があります。

該非判定は専門性の高い業務ですが、適切な手順を踏み、必要に応じて専門家やツールの支援を受けることで、精度の高い判定が可能です。

判定に自信がない場合は、経済産業省への事前相談や、外部専門家の活用を躊躇しないでください。「よくわからないから非該当にしておく」という判断は、最も危険です。

該非判定業務の効率化や、需要者確認の精度向上にご関心のある方は、ぜひ私たちTIMEWELLにお問い合わせください。X-Checkの機能をご体験いただけます。


参考文献 [1] 経済産業省, 「輸出管理品目ガイダンス」, 2025 [2] CISTEC, 「該非判定の手引き」, 2025

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