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AIホワイトペーパー:AI新時代における日本の国家戦略(要約版)

2026-01-21濱本

自民党の「AIの進化と実装に関するプロジェクトチーム」は3月30日、検討を進めている「AIホワイトペーパー(案)」を公開。 AI戦略白書の中では、新しい国家戦略が必要であるということが強調されました。

AIホワイトペーパー:AI新時代における日本の国家戦略(要約版)
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株式会社TIMEWELLの濱本です。

AIホワイトペーパー:AI新時代における日本の国家戦略(要約版)

引用:

The AI White Paper - Japan's National Strategy in the New Era of AI - (Summary Version)

【要約】

自民党の「AIの進化と実装に関するプロジェクトチーム」は3月30日、検討を進めている「AIホワイトペーパー(案)」を公開。

AI戦略白書の中では、新しい国家戦略が必要であるということが強調されました。特に、基盤となるモデルのAIの影響について懸念が高まっており、それに対応するための戦略が必要とされています。海外における社会的受容に関する規制についても、より適切な対応が必要であるとの意見がありました。

AIの開発に必要な能力を強化し、AI開発のためのキャパシティを育成することが重要であるとされました。また、官民データの利活用についても積極的に進める必要があると提案されています。

官民におけるAIの活用に関しては、自治体がAIを活用したスマートシティの開発を進めるために、国家戦略特別区域制度を利用することが提案されています。また、私企業もAIを活用するための方針策定やCDOの設置など、積極的なアプローチを推進する必要があるとされています。

最後に、AIが教育に与える影響についても議論がされました。AIの識字能力を向上させることが重要であるとされ、公教育カリキュラムにAIリテラシーを組み込むことが提案されています。

今後はより適切なAI利用のための国家戦略が策定され、実践されることを期待したいと思います。

【ポイント】

新たな国家戦略の必要性:AIの発展に伴い、欧米諸国に比べて日本のAI技術の競争力が低いため、包括的な国家戦略の策定が必要。研究開発、経済構造、社会インフラ、人材育成、国家安全保障の観点から政策を見直す必要がある。

AI技術の育成:基盤となるAIモデルの開発能力を強化し、データリソースの収集や人材育成の促進を図る。AIによる官民データの利活用を促進するための環境整備が必要。

AI利用に関する法規制:人権侵害、国家安全保障、民主主義の不当な干渉などのリスクに関する法規制を検討し、海外の規制と連携してグローバルなAIフレームワークを確立する必要がある。また、アナログ時代の規制をデジタル原則に基づくものに改訂し、教育分野におけるAIの利用に関するガイドラインを整備することも必要である。

【全文翻訳】

目次

新しい国家AI戦略の開発の必要性

日本のAI開発能力の育成と強化

政府におけるAIの徹底的な活用の推進

民間セクターにおけるAIの活用の促進と支援

AI規制に対する新しいアプローチ

新しい国家AI戦略の開発の必要性

⑴ LLMの社会的影響

・「ほぼ全ての白色労働者の仕事が影響を受ける可能性が高い。」 (松尾豊教授、東京大学) ・「これからは‘機械’が無限にコンテンツを生み出す時代が来る。」 (阿鷹和巳教授、慶應義塾大学) ・「エンジン、半導体、インターネットの発明に匹敵する何かが、爆発的な速度で起こっている。」 (北野宏明、ソニーCSL代表取締役社長)

⑵欧米は社会受容性のための規制を進めている

・LLM(言語モデル)の出力に「妥当な嘘」が混入するリスクがある。

・高度に巧妙なフェイク情報が拡散するリスクがある。

➝欧米の規制との距離を再評価する時期である。

⑶ AIの時代に合わせた新しい国家AI戦略の開発

国際競争の激化 ・日本はデジタル競争力ランキングで63カ国中29位にランクインしている。

・アメリカはAIコンピューティング資源に対して26億ドル(約3,400億円)の投資計画を立てている。

・英国はLLM開発に対して9億ポンド(約1,450億円)の投資計画を発表している。

  1. 新しい国家AI戦略の開発の必要性

提言 ◯ LLMなどの基盤となるAIの急速な進化と社会実装を踏まえ、本ホワイトペーパーに示された様々な提言に沿った新たなAIの新時代に合わせた包括的な戦略を政府が策定することを推奨する。これには新たな政策の開発や過去の取り組みの再評価が迅速に行われる必要がある。

◯ 新たな国家戦略の策定においては、他国と比較して内容と規模の両面で競争優位性を持つことが求められる。AI政策の指揮塔を設置し、組織力を拡大し、国内外の専門家や民間企業の知見を積極的に取り入れる必要がある。研究開発、経済構造、社会基盤、人材育成、国家安全保障など、幅広い視点から政策の総合的かつ緊急な見直しを実施する必要がある。

2.日本のAI開発能力の育成と強化

⑴基盤モデルを含むAIモデルの開発能力の構築と強化

提言 ◯ 海外プラットフォームを積極的に活用し、基盤モデルAIに関する国内の知見を蓄積し、応用研究開発を加速する。

◯ 基盤モデルやその他のAIモデルの国内基盤技術能力の開発に向けて、国内の基礎技術能力の開発に連続的な投資と支援を行う。

◯ AI戦略2022に基づいた人材育成政策を着実に実施し、基盤モデル時代の開発段階だけでなく利用段階においても、国際競争力のある人材を育成するために人材関連政策の更なる強化を検討する。

◯ AIに関する情報を収集し、課題を抱える企業と優れた技術・研究者の橋渡し役となる「AIハブ」を設立する。また、コミュニティの形成を支援する。

⑵データリソースの集約と連携

学習に使用されるデータの偏りは、基盤モデルAIにとって重要な課題である。例えば、海外の画像生成AIサービスでは、日本に関連する画像を効果的に生成できない場合がある。

The AI White Paper - Japan's National Strategy in the New Era of AI - (Summary Version)

※「日本の神社」をプロンプトとして、非日本の生成型AIプラットフォームで生成されたもの。

⑶ コンピューティングリソースの強化と活用

基盤モデルAIの構築には膨大な計算資源が必要であるが、その費用は莫大である。

提言 ◯ 国立研究開発法人産業技術総合研究所の「AIブリッジングクラウドインフラストラクチャ」などの取り組みを参考にし、基盤モデルAIの構築や活用に必要な計算資源の国内インフラ開発・拡充に取り組み、関係する政府や民間企業が共有・活用できる新しい枠組みを確立する。

◯ エッジコンピューティングの更なる活用の可能性や、AIに対して安定的な計算資源のアクセスを確保する必要性を踏まえ、半導体産業の発展を推進する。具体的には、将来的な需要の急速な拡大が期待される高性能半導体の設計能力や研究開発の支援を強化する。

3.政府におけるAIの徹底的な活用の推進

⑴政府によるAIの徹底的な活用

行政分野でのAIの活用は、行政サービスの質や効率の向上などの社会的利益をもたらす。政府によるAI活用の推進は、地方自治体や民間企業にも刺激を与える。

提言 ◯ 他国の政府機関でのAI活用事例や利用ガイドラインを調査し、これらの情報を活用して日本でのAI導入を計画・実施する。

◯ 行政サービスにおける基盤モデルを活用したAIの具体的な事例として、短期間で結果を示すことができる複数のパイロットプロジェクトをすぐに開始することが重要である。

◯ ハッカソンやビジネスコンテストを実施し、行政分野におけるAI活用のプロジェクトを発掘する。

◯ 行政分野における基盤モデルを含む様々なAI技術の徹底的な活用を促進するガイドラインを策定する。

◯ 政府内にAI実装支援チームを設置し、AIを活用した事例を蓄積し分析し、関連機関や組織のAI導入を支援する。

政府におけるAIパイロットプロジェクトの例: 〇 国会答弁の起案や法的レビューサポート、政府統計の分析支援、会議議事録の作成など、過去に蓄積された資料との整合性を確保する行政作業。

〇 申請書類の不備チェックや、規制・制度に関する市民からの問い合わせへの対応などのタスク。

⑵ 国家戦略特別区域を活用した「AIスマートシティ」の推進支援

提言 ◯ 政府は、国家戦略特別区域制度を活用して、AIを活用したスマートシティの推進に向けた地方自治体の取り組みを強力に支援する。

◯ さらに、スーパーシティ型国家戦略特別区域やデジタル農山漁村特別地域の現行制度・運営について、AIの活用に適しているかどうかの観点から見直しを行い、必要に応じて迅速に改善する。

4.私企業におけるAIの活用促進・支援

日本の中小企業を含む民間企業はAIの活用に遅れがちである。すべての企業が自社ビジネスに対するAI時代の影響を真剣に再考する必要がある。

提言 ◯ 国内産業における基盤モデルAIの影響について緊急調査を実施する。

◯ AIを活用した各種スタートアップや新規事業の創出を奨励する。特に、中小企業がAIの生産性向上やその他のメリットを享受するための前提となるITシステムのクラウド化を促進・支援する。

◯ ある一定の規模を有する民間企業や公共機関には、AI活用やデータ処理に責任を持つチーフデジタルオフィサー(CDO)を任命することを推奨する。

◯ リスク管理だけでなく創造性やイノベーションも促進するため、必要に応じてAIガバナンスガイドラインを議論・策定する必要がある。

◯ AI時代に適した人材育成の取り組みを支援するため、スキルアップなどを含めた企業におけるAI人材の活用・待遇の促進策を支援する。

5.AI規制における新たなアプローチ

⑴ハイリスク分野における規制検討 重要なAIリスクの3つのタイプ: ・人権や健康、安全などを侵害するリスク ・AIによる国家安全保障上のリスク ・AIによる民主的プロセスへの不当な干渉のリスク

日本にはAIに関する法律規制が明確に存在しているわけではないが、他国では検討されている。

提言 ◯ EU、米国、中国などの外国におけるAI規制の状況を分析し、人権侵害、国家安全保障、民主的プロセスへの干渉など、AI新時代において法的措置が必要とされる分野について、法規制を含む具体的な検討を行う。

◯ 日本は、今年日本が議長を務めるG7サミットをはじめとする様々な国際フォーラムを活用し、AI利用に関する国際ルールに関する議論に積極的かつ戦略的に参画し、他国と協力してAI利用のグローバルフレームワークを確立する。

⑵新たなAI時代に柔軟に対応する規制の在り方

提言 ◯AIが潜在的に有する利用可能性に関する技術検証に関する情報を、 各省庁や民間企業に横断的に広く共有することで、デジタル原理に基づく アナログ規制の改正促進の仕組みを確立する。

◯規制改革会議、レギュラトリーサンドボックス、グレーゾーン整備プロセス など既存の規制改革手続きのスピードと利用しやすさを向上させ、既存の 規制に縛られずに新しいビジネスにチャレンジできる環境を整備する。

◯AI技術の進歩を促進しながら悪用を防止し、日本のコンテンツ産業の 更なる発展を可能にするため、生成AIに関連する知的財産法の解釈について 議論を行い、ガイドラインの策定を検討する。

⑶教育におけるAI利用のガイドライン整備

AIは教育分野に大きな影響をもたらす ・AIにより学習方法がより多様化される ・AI原生人材の育成が重要度を増す ・学校における課題解決のためのAI利用について、規制が必要

提言 ◯ 政府は、AIが日常的な社会経済活動に積極的に活用されるAIネイティブ時代が到来することを見据えて、公教育カリキュラムにおけるAIリテラシーの向上を具体的なスキルセットとして位置付けるべきである。

◯ AIリテラシーの向上が公教育カリキュラムに統合され、日常的な社会的経済活動においてAIが積極的に活用されるAIネイティブ時代に備えるためには、LLMの使用の可否を含む教室でのAIの取り扱いに関するガイドラインを確立することが重要であり、速やかに行うべきです。

このAIコラムは、オンラインアシスタントサービス 「TIMEWELL」が制作しています。

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