株式会社TIMEWELLの濱本です。
Apple Vision Proは、Appleが「空間コンピューティング」と呼ぶ新しいカテゴリを切り開くデバイスです。2025年10月にM5チップ搭載の第2世代モデルが登場し、visionOS 26で機能が大幅に強化されました。
本記事では、Vision Pro M5の特徴、visionOS 26の新機能、販売状況、そして今後の製品展望について解説します。
M5チップ搭載 Vision Pro:第2世代の進化
ハードウェアの強化
2025年10月22日、AppleはM5チップを搭載したVision Proを発表しました。
M5 Vision Proの主な改善点:
| 項目 | M2モデル(初代) | M5モデル(第2世代) |
|---|---|---|
| チップ | M2 | M5 |
| リフレッシュレート | 100Hz | 120Hz |
| バンド | Solo Knit Band | Dual Knit Band |
| バッテリー持続 | 約2時間 | 約20%向上 |
| 価格 | $3,499〜 | $3,499〜 |
M2からM5への直接アップグレード(M3、M4をスキップ)により、アプリ起動速度、映像レンダリング、AIワークフローが大幅に高速化されています。
Dual Knit Band:装着感の改善
第2世代の大きな特徴が、新設計の「Dual Knit Band」です。
Dual Knit Bandの特徴:
- 後部にタングステン(金属)を内蔵
- 顔側の重量を打ち消すカウンターバランス
- 頭部全体に重量を分散
- 個別調整可能なダイヤル機構
初代で指摘された「重すぎる」「長時間装着で痛い」という課題に対し、約2年の開発期間を経て改良されました。
visionOS 26:空間体験の進化
主要な新機能
2025年6月に発表されたvisionOS 26は、空間コンピューティング体験を大幅に拡張します。
visionOS 26の新機能:
1. パーシステントウィジェット
- ウィジェットを空間の好きな場所に配置
- 移動・再起動しても位置を維持
- アプリと同様に空間に統合
2. Persona(ペルソナ)の進化
- より自然で表現豊かな外観
- フルサイドプロファイルビュー
- 髪、まつ毛、肌質の精度向上
3. 空間シーン
- 通常の写真からAIで奥行きを生成
- 没入感のある立体的な表示
- 生成AIを活用したシーン変換
4. Travel Modeの拡張
- 従来:飛行機、電車
- 新規:車、バスでも利用可能
5. Look to Scroll
- 視線だけでスクロール操作
- スクロール速度のカスタマイズ
販売状況:ニッチ市場での展開
現実的な数字
Vision Proは、販売数という点では苦戦しています。
販売状況:
- 2025年ホリデーシーズン(M5発売含む): 約45,000台(IDC推計)
- M5モデル発売後も販売インパクトは限定的
$3,499という価格帯と、没入型ヘッドセットという特性上、一般消費者への普及には至っていません。主なユーザーは開発者、クリエイター、テクノロジー愛好家に限られています。
visionOSの評価
一方で、visionOSそのものは高く評価されています。「Vision Proは販売的にはヒットしていないが、visionOSは強みが満載の remarkable な achievement」という評価もあり、ソフトウェア基盤としての完成度は認められています。
今後の展望:Vision Air・Apple Glasses
Vision Air(2026年頃)
AppleはVision Proの廉価版「Vision Air」を開発中とされています。
Vision Airの予想スペック:
- 重量: 40%以上軽量化
- ディスプレイ: ガラス → プラスティック
- チップ: Macチップ → iPhoneチップ
- センサー: 数を削減
- 価格: $1,750前後(現行の約半額)
アナリストMing-Chi Kuo氏によると、Appleは軽量化と低価格化を優先し、より多くの消費者にリーチすることを目指しています。
Apple Glasses(2026-2027年)
Bloomberg報道によると、Appleは2026年後半(出荷は2027年の可能性)に「Apple Glasses」(または「Apple Vision」)を発表する可能性があります。
Apple Glassesの予想:
- Ray-Ban Metaに近い形態のスマートグラス
- 2027年の出荷台数予想: 300万〜500万台
- Apple AR/VR製品全体で2027年に1,000万台以上出荷の見込み
これは、没入型ヘッドセット(Vision Pro)と日常使いのスマートグラス(Apple Glasses)という2つのカテゴリを並行展開する戦略と見られています。
競合環境
Samsung Project Moohan
Samsungは「Project Moohan」としてAndroid XR搭載の混合現実ヘッドセットを発表しています。
Project Moohanの特徴:
- Android XR搭載
- Googleとの協業
- Vision Pro同等の機能を目指す
Meta Quest
Meta Questシリーズは、より低価格帯で市場をリードしています。
| デバイス | 価格帯 | ポジション |
|---|---|---|
| Apple Vision Pro | $3,499〜 | ハイエンド・プロ向け |
| Samsung Moohan | 未発表 | ハイエンド |
| Meta Quest 3 | $499〜 | コンシューマー向け |
当時と現在:Vision Proの進化
本記事の元となった情報と比較して、Vision Proを取り巻く状況は変化しています。
当時(2025年10月頃):
- M5 Vision Pro発売直後
- visionOS 26のベータ段階
- Vision Airは噂レベル
現在(2026年1月):
- M5 Vision Proの販売実績が明らかに(45K台/四半期)
- visionOS 26が正式リリース
- Vision Air、Apple Glassesの情報が具体化
- 2027年に向けた製品ロードマップが見えてきた
Tim Cook氏が「トッププライオリティ」と位置づける空間コンピューティング分野は、2026-2027年に大きな転換点を迎えると予想されています。
企業での活用可能性
現在の主なユースケース
- デザイン・クリエイティブ: 3Dモデリング、空間デザイン
- エンターテイメント: 映画鑑賞、ゲーム
- リモートワーク: 仮想デスクトップ、Persona会議
- 教育・トレーニング: 没入型学習
導入の考慮点
企業がVision Proの導入を検討する際は、以下の点を考慮する必要があります。
- コスト: 1台$3,499〜と高価
- 用途の限定性: 特定のユースケースに最適
- 習熟曲線: 空間インターフェースへの適応
- 将来の展望: Vision Air等の低価格モデルを待つ選択肢
まとめ
Apple Vision Proは、空間コンピューティングの可能性を示す先進的なデバイスですが、現時点では限定的な市場に留まっています。
本記事のポイント:
- M5 Vision Pro: 性能向上、Dual Knit Bandで快適性改善
- visionOS 26: パーシステントウィジェット、進化したPersona、空間シーン
- 販売: ホリデーシーズンで約45K台、ニッチ市場
- 今後: Vision Air(40%軽量、約$1,750)、Apple Glasses(2026-2027)
- 2027年にAR/VR製品全体で1,000万台以上の出荷を見込む
空間コンピューティングは「次のコンピューティングパラダイム」となる可能性を秘めていますが、一般消費者への普及にはさらなる軽量化と低価格化が必要です。2026-2027年のAppleの製品展開に注目が集まります。
