株式会社TIMEWELLの濱本です。
「新規事業を立ち上げたいと考えているが、何から始めればいいかわからない」「どうすれば新規事業を成功させることができるのだろうか」そんな悩みを持つ皆様に、今回は、新規事業立ち上げのプロフェッショナルである濱本隆太さんの講演から、新規事業を成功させるための秘訣をお伝えします。
前編では、濱本さんが新規事業の立ち上げに携わる思いや成功に導くマインドについてを語ります。
私が新規事業に進むきっかけになった3人のキーマン 皆さんのOSをアップデートしよう 面白がり力を鍛えよう 礼儀力を鍛えよう 大企業内で新規事業を進めるには
濱本隆太
所属:株式会社TIMEWELL 共同創業者 兼 CEO
経歴:岡山県出身。大手総合電機メーカーでの営業経験を経て、社内起業家育成プログラムや新規事業開発に従事。2020年に一般社団法人ONE Xを創業し、共同代表理事に就任。塩尻市や大田区の地域活性化事業に取り組み、Work Story Award Wを2年連続受賞。2022年11月に株式会社ONE Xを創業し、2023年1月に独立。現在は、オンライン業務アシスタントサービス「TIMEWELL」や富裕層向け伝統工芸越境ECサービス「LOCAL X」を推進中。趣味は世界中の音楽フェス巡りとDJ。
私が新規事業に進むきっかけになった3人のキーマン
皆さん、こんにちは。株式会社TIMEWELLそしてCHANGEの事務局を務めております濱本と申します。今日は、私がCHANGEで講師を務めさせていただいた際に紹介した、事業開発の基礎的なポイントについてお話しします。特に、皆さんが陥りがちな点や、私がよく目にする課題なども含めて、お話しできればと考えております。
まずはじめに、私が新規事業に進むきっかけとなった3人のキーマンについてお話しします。1人目は、濱松誠さん(マックさん)です。ONE JAPANの共同代表であるマックさんに誘われ、経済産業省の始動というネクストイノベータープログラムに参加しました。このプログラムがきっかけとなり、仲間ができ、CHANGEを立ち上げる原動力となりました。
2人目は、麻生要一さんです。2016年に、麻生さんがパナソニックに来てくださり、「原体験」についてお話しいただきました。その際、「新規事業なら絶対今やった方がいい。今やるしかないんだ」というメッセージを力強く語ってくださいました。その言葉に後押しされ、新規事業に踏み出す決意を固めました。
3人目は、私の元上司である鈴木講介さんです。鈴木さんは、パナソニック内の新規事業部署のリーダーでした。「新規事業をやりたいなら」とその部署に引っ張ってくださり、経済産業省の始動の学びを活用しながら、大企業内での新規事業推進の難しさを実感する機会をいただきました。
鈴木さんは、「大企業は、Tシャツとスーツを使い分けなければならない」というアドバイスをくださいました。これは、後にCHANGEの思想の根幹となるものです。当時、世の中に体系化されたノウハウはありませんでしたが、その必要性を感じ、CHANGE立ち上げのきっかけになりました。
この3人のキーマンとの出会いが、私を新規事業の世界に導いてくれました。彼らの言葉や行動が、今の私のバックボーンになっています。新規事業への挑戦は、こうした素晴らしい出会いから始まるのだと実感しています。
▼Tシャツとスーツの使い分けについて体系化されたCHANGEプログラム
皆さんのOSをアップデートしよう
新規事業を成功させるためには、不確実性に対応できるOSへのアップデートが不可欠です。革新的なビジネス変革には不確実性が伴うため、従来の計画重視のアプローチでは事業が立ち上がりにくくなります。
業界の勝者は皆、不確実性に対応できるOSにアップデートしています。このOSは、OODAループやエフェクチュエーションと呼ばれるものです。エフェクチュエーションは、まず自分ができることから始め、実行しながら道を開いていくアプローチです。
一方、コーゼーションは、顧客ニーズを特定し、失敗を恐れて行動できない状態に陥りがちです。いつまでも計画を立て続けても、前に進めない現象が起こります。
そこで、エフェクチュエーションの思考法を身につけることが重要です。できることから小さくアクションを起こし、そこから道を切り開いていく。これが新規事業を成功させるための秘訣なのです。
私自身も、パナソニック時代に破壊的イノベーションの脅威を経験しました。二度とイノベーションに振り回されないよう、自らイノベーションを起こす側になろうと決意したのです。
皆さんにも、ぜひエフェクチュエーションの思考法を実践していただきたいと思います。OSをアップデートし、不確実性に立ち向かう勇気を持つこと。それが、新規事業成功への第一歩となるでしょう。
面白がり力を鍛えよう
新規事業を立ち上げる上で、面白がり力を鍛えることは非常に重要です。事業立ち上げには感性や直感、そして「これは面白い」という気持ちが欠かせません。
面白がり力を鍛えるコツは、とてもシンプルです。インタビューをする際に、相手の話を聞いて「面白いですね」と言葉に出すのです。口に出して言ってみると、その人や話題が面白く感じられてきます。
これは、エフェクチュエーションの考え方と通じるものがあります。まず行動を起こすことで、意識が変わっていくのです。「面白いですね」と言葉にすることで、顧客の課題探索に向けた思考回路が回りやすくなります。
麻生要一さんや山田崇さんなど、優れた起業家を見ていると、彼らはみな面白がり力に長けています。彼らは とにかく実践し、そこから学んでいます。
そのため、皆さんにもぜひ面白がり力を鍛えていただきたいと思います。インタビューの際には「面白いですね」という言葉を口癖にしてみてください。そうすることで、事業アイデアや顧客課題の発見につながるはずです。
面白がることから、新規事業の芽は生まれます。ぜひ、面白がり力を武器に、新規事業立ち上げに挑戦してみてください。
礼儀力を鍛えよう
新規事業を成功させるためには、礼儀力を鍛えることが重要です。アポイントメントを取る、インタビュー後にお礼の連絡をする、メンターとの面談後に感謝の意を伝える、ビジネスパートナーとのやり取りで礼儀正しく振る舞う。これらは全て、事業を円滑に進めるための基本です。
特に、事前にアポイントを取り、こちらからスケジュールをしっかりと提示する。このような礼儀正しい行動が、事業の立ち上げには欠かせません。
最近、立ち上げ企業として注目されているタイミーの小川さんは、礼儀力が非常に高いと評判です。多くの人が口を揃えて、「あの人は礼儀正しい」と言います。そのような評判が、人を惹きつけ、顧客のファンを集めるのです。
事業立ち上げ初期には、顧客の課題解決とソリューションのフィットが重要ですが、その前提として、まず自分のファンになってもらう必要があります。そのためには、礼儀力が不可欠なのです。
大企業の皆さんは、礼儀正しさを得意とするはずです。その強みを生かし、しっかりと礼儀力を発揮していただきたい。それが、事業立ち上げの成功につながるでしょう。
初期の顧客がサービスを使いたいと思うきっかけは、あなたのファンだからこそ。礼儀力を武器に、ファンを増やし、事業を軌道に乗せていきましょう。
大企業内で新規事業を進めるには
新規事業を成功させるためには、全体像を理解することが重要です。まず、課題発見から始まり、課題解決、モデル構築、拡大、グロースへと段階的に進んでいきます。
特に注意すべきは、初期段階でのズレです。ここでズレてしまうと、後戻りに多大な時間を要することになります。
また、一度プロダクトやPoCを作ってしまうと、愛着が生まれ、軌道修正が難しくなる傾向があります。自分の案が正しいという確証バイアスが働き、それに合う論理を無意識に積み重ねてしまうのです。
だからこそ、初期段階での仮説検証が何より大切になります。自分の思い込みに惑わされることなく、客観的にデータを見つめ、必要であれば方向転換する勇気を持つことが求められます。
新規事業は、まさに不確実性との戦いです。絶対的な正解はなく、試行錯誤の連続となります。そのような中で、全体像を見失わないためには、仮説検証のサイクルを高速で回すことが肝要です。
そのためにも、私がお伝えした「面白がり力」や「礼儀力」が重要な役割を果たします。顧客との良好な関係を築き、課題の本質を見抜く洞察力を磨くことで、より精度の高い仮説検証が可能になるのです。
大企業の新規事業は、スタートアップとは異なる難しさがあります。既存事業との兼ね合いや、組織の慣性など、様々な障壁が立ちはだかります。
しかし、だからこそ、全体像を見据え、仮説検証を軸とした探索的アプローチが重要になるのです。不確実性に立ち向かう勇気と、軌道修正の柔軟性を持つこと。それが、大企業の新規事業成功のカギを握っていると、私は確信しています。
後編『濱本隆太さんに学ぶ、新規事業を成功に導くための7つの秘訣』 に続く
担当ライター:本間由美子
