株式会社TIMEWELLの濱本です。
アメリカのバイオテクノロジーおよび遺伝子工学会社であるColossal Biosciences社のBen Lamm最高経営責任者(CEO)が、同社の取り組む絶滅動物の復活プロジェクトについて語った。同社は2021年に設立され、ジュラシック・パークのような絶滅動物の復活を目指すスタートアップとして注目を集めている。しかし、Lamm氏は単なる絶滅動物の復活だけでなく、生物多様性の保全や人類の未来に向けた壮大なビジョンを持っているようだ。
Lamm氏によれば、Colossal社の目的は、合成生物学の技術を駆使して絶滅動物を蘇らせることだけではない。絶滅動物の遺伝情報を研究することで、ガンなどの疾病の治療法の開発や、プラスチックごみ問題の解決、さらには人間の長寿の実現にも貢献できると考えているという。同社の取り組みは、SF映画のようなロマンだけでなく、人類全体の未来を見据えた壮大な挑戦なのだ。
ウーリーマウスが示す、絶滅動物復活の可能性 絶滅動物の遺伝情報から学ぶ、ガン治療や長寿の可能性 生物多様性の保全と種の保存 バイオテクノロジーがもたらす未来 ウーリーマウスが示す、絶滅動物復活の可能性
Colossal社が現在取り組んでいるプロジェクトの一つが、ウーリーマンモスの復活だ。Lamm氏は、ウーリーマンモスそのものを復活させるのは難しいかもしれないが、ゾウの遺伝子にマンモスの遺伝子を組み込むことで、マンモスに近い動物を作り出せる可能性があると語る。
その第一歩として、同社は「ウーリーマウス」と呼ばれるネズミの作製に成功した。これは、ネズミの遺伝子にマンモスの毛の遺伝子を組み込んだもので、通常のネズミよりも長く巻き毛のような毛を持つ。ウーリーマウスの誕生は、絶滅動物の形質を現生動物に移植できることを示した画期的な成果だ。
Lamm氏は、ウーリーマウスの作製により、マンモスの復活に向けた技術的な目処が立ったと考えている。さらに、この技術は他の絶滅動物の復活にも応用できるという。同社は、ドードーやタスマニアタイガーの復活プロジェクトにも着手しており、将来的には多くの絶滅動物が蘇る可能性があるのだ。
絶滅動物の遺伝情報から学ぶ、ガン治療や長寿の可能性
Lamm氏が強調するのは、絶滅動物の復活が単なる「絶滅からの復活」ではないということだ。絶滅動物の遺伝情報からは、現生生物には見られない特殊な能力や形質が発見される可能性がある。それらを応用することで、ガン治療や人間の長寿の実現など、人類が抱える様々な課題の解決につながるかもしれない。
例えば、ゾウはそのサイズと寿命の長さから考えると、ガンになる確率が非常に低い。これは、ゾウの遺伝子にガン抑制に関わるタンパク質が多く含まれているためだと考えられている。マンモスの遺伝子もゾウと似ているため、マンモスの遺伝情報からガン治療に役立つ知見が得られるかもしれない。
また、Colossal社では、絶滅動物の遺伝情報を応用して、プラスチックを分解する微生物の開発にも取り組んでいる。プラスチックごみ問題は地球規模の環境問題となっているが、アマゾンの熱帯雨林で発見された微生物の遺伝子を改変することで、プラスチックを短期間で分解できる可能性があるという。
絶滅動物の復活は、単に失われた生物を蘇らせるだけでなく、現在の人類が直面する問題の解決にもつながる可能性を秘めているのだ。
生物多様性の保全と種の保存
Lamm氏は、地球上の生物多様性が失われつつあることを危惧している。現在のペースでは、2050年までに地球上の生物種の半数が絶滅する可能性があるという。絶滅動物の復活は、失われた生物多様性を取り戻す手段の一つになるかもしれない。
しかし、Lamm氏は絶滅動物の復活だけでなく、現存する希少種の保護も重要だと考えている。特に、ゾウやサイなどの大型動物は、生態系のバランスを保つ上で重要な役割を果たしている。これらの動物が絶滅すれば、生態系全体が崩壊する恐れがある。
Colossal社は、絶滅動物の復活技術を応用して、絶滅寸前の希少種の保護にも取り組んでいる。例えば、すでに絶滅したとされるキタシロサイの復活プロジェクトでは、現存するミナミシロサイの遺伝子にキタシロサイの遺伝子を組み込むことで、キタシロサイに近い個体を作り出すことを目指している。
Lamm氏は、このような技術を用いて、様々な絶滅危惧種の遺伝的多様性を確保し、種の保存に役立てたいと考えている。「我々の目標は、できるだけ多くの種を絶滅から救うことだ」と、ラムCEOは力強く語った。
バイオテクノロジーがもたらす未来
Lamm氏は、Colossal社の技術が、将来的には様々な分野に応用されると考えている。例えば、宇宙探査や他の惑星への移住の際には、地球外の過酷な環境でも生存できる動植物が必要になる。その際、Colossal社の技術を用いて、耐寒性や耐放射線性を備えた動植物を作り出すことができるかもしれない。
また、食料問題の解決にも貢献できる可能性がある。干ばつや塩害に強い作物を作り出したり、植物に動物性タンパク質を生成させたりすることで、食料の安定供給に寄与できるかもしれない。
Lamm氏は、「我々の技術は、人類が直面するあらゆる問題の解決に役立つ可能性を秘めている。重要なのは、その可能性を倫理的に、そして賢明に活用することだ」と語る。
Colossal社の挑戦は、生命科学の新たな地平を切り拓くものだ。絶滅動物の復活から始まった同社の取り組みは、ガン治療や長寿、食料問題など、人類が直面する様々な課題の解決につながる可能性を秘めている。Lamm氏が、「これは単なる絶滅動物の復活ではない。我々は、生命科学の力を借りて、より良い未来を築こうとしているのだ」と語るように、絶滅動物の復活は、解決の第一歩に繋がるだろう。我々は、生命科学の力を倫理的に、そして賢明に活用することで、より良い未来を築いていかなければならない。Colossal社の挑戦に注目が集まる。
参考:https://www.youtube.com/watch?v=p79gZTZD4Xk 参考:https://colossal.com/
