株式会社TIMEWELLの濱本です。
独裁者と聞くと、私たちは歴史上の有名な独裁者、例えばヒトラーやムッソリーニ、スターリンなどを思い浮かべるかもしれません。しかし、独裁者は過去の人物だけではありません。現代社会においても、独裁的な手法で権力を握る指導者が存在しているのです。独裁者とは一体どのような特徴を持ち、どのような手口で権力を掌握するのでしょうか。
独裁者や専制政治に関する研究を行っているRuth Ben-Ghiat 教授が、独裁者の権力維持の手法や独裁政権の実態についてWIREDに出演し、独裁者やファシズムに関するインターネット上での質問に答えました。本記事では、Ruth Ben-Ghiat 教授が語る、独裁者の手口と専制政治の危険性について詳しく解説していきます。
プロパガンダによる世論操作 カリスマ性の演出と個人崇拝が生み出す独裁者の権威 独裁者が作り出す敵と排外主義 独裁者から民主主義を守るために まとめ プロパガンダによる世論操作
独裁者が権力を維持するために用いる代表的な手口が、プロパガンダによる世論操作です。自らに都合の良い情報を大量に流布し、国民の思考を操作します。
メディアを支配下に置き、ジャーナリストを抑圧することで、真実を隠蔽し、虚偽の情報を広めるのです。
Ruth Ben-Ghiat 教授は、ヒトラーの側近であったヨーゼフ・ゲッベルスを例に挙げ、彼がプロパガンダの重要性を理解していたと指摘します。
ゲッベルスは、ラジオや映画などの最新メディアを駆使し、ナチスのイデオロギーを国民に浸透させました。現代の独裁者も、インターネットやソーシャルメディアを利用し、自分に都合の良い情報を大量に流布することで、世論を操作しようとします。独裁者にとって、メディアをコントロールすることは権力維持の鍵となります。
また、独裁者は反対勢力を徹底的に弾圧します。彼らは批判的なジャーナリストを「フェイクニュース」呼ばわりし、信用を失墜させようとします。また、政府に都合の悪い情報を検閲し、国民が真実に触れる機会を奪うのです。
カリスマ性の演出と個人崇拝が生み出す独裁者の権威
独裁者は、自らのカリスマ性を演出し、個人崇拝を促すことで、権力の正当性を訴えます。Ruth Ben-Ghiat 教授は、ムッソリーニが自らの肉体美を誇示し、イタリアの強さと活力の象徴としたことを例に挙げています。
また、ヒトラーは、ナチス党の集会で熱弁を振るい、ドイツ国民を扇動しました。
独裁者は、雄弁な演説や派手なパフォーマンスで大衆を扇動し、熱狂的な支持を集めます。また、自らの肖像画や銅像を至る所に設置し、個人崇拝を促進するのです。
独裁者は自らを「人民の救世主」として描くことで、国民からの支持を獲得しようとします。経済危機や社会不安といった困難な状況下で、「自分だけが国民を救える」と訴えかけ、権力の座につこうとするのです。
独裁者にとって、カリスマ性と個人崇拝は権力の源泉であり、国民を思考停止に陥らせる強力な武器といえるでしょう。
独裁者が作り出す敵と排外主義
独裁者が用いるもう一つの重要な手口は、「敵」を創造し、排除することです。
Ruth Ben-Ghiat 教授は、ファシズムにおいて、この「敵」とされたのが共産主義者や社会主義者であったと説明します。
独裁者は、国内の問題から国民の目をそらすために、しばしば外部の敵を作り出します。
ヒトラーは、ユダヤ人を「敵」とみなし絶滅政策を推し進め、スターリンは「反革命分子」を粛清の対象としました。
独裁政権下では少数派が標的にされることが多くあります。
独裁者にとって、国民の怒りや不満の矛先を「敵」に向けさせることは、自らの権力を守るための有効な手段なのです。
また、独裁者は隣国を敵視し、領土拡張を正当化するために、ナショナリズムを利用します。ヒトラーがチェコスロバキアやポーランドに侵攻したように、独裁者は愛国心を煽って侵略戦争を正当化するのです。
現代でも、中国の少数民族弾圧や、ロシアのウクライナ侵攻など、独裁政権による人権侵害や侵略行為が後を絶ちません。独裁者にとって、敵を作り出し、排外主義を煽ることは、国民の不満を逸らし、権力を維持するための常套手段なのです。
独裁者から民主主義を守るために
Ruth Ben-Ghiat 教授は、独裁者から民主主義を守るためには、国民一人一人が主体的に行動することが重要だと訴えます。私たちは、独裁者の手口を理解し、プロパガンダに惑わされないよう注意を払う必要があります。
そのためには、以下のような取り組みが重要です。
・メディアの独立性を確保し、事実に基づく報道を行うこと
・市民社会を強化し、政府の暴走をチェックする仕組みを作ること
・教育を通じて民主主義の価値観を広め、批判的思考力を養うこと
・国際社会が協調して、独裁政権による人権侵害や侵略行為を抑止すること
独裁者は巧妙な手口で国民を欺き、権力を維持しますが、私たち一人一人が賢明な判断を下し、民主主義を守る意識を持つことで、独裁の脅威に立ち向かうことができるのです。歴史から学び、独裁者の手口を見抜く眼を養いましょう。
まとめ
独裁者による専制政治は、人類の歴史の中で幾度となく繰り返されてきた悲劇です。
独裁者はプロパガンダと抑圧、カリスマ性と個人崇拝、敵の創出と排外主義といった手法で国民を支配下に置き、権力を維持してきました。
しかし、私たち一人一人が民主主義の価値を理解し、独裁の脅威に立ち向かう意識を持つことで、専制政治に歯止めをかけることができます。メディアの独立性を確保し、市民社会を強化し、教育を通じて民主主義の価値観を広めていくことが重要です。
また、独裁者が生み出す「敵」のレッテル貼りに加担せず、多様性を尊重する寛容な社会を築いていくことが求められます。
民主主義の価値を守るためには、国民が積極的に政治に参加し、権力者をチェックしていく姿勢が欠かせません。
歴史から学ぶ教訓を生かし、私たち一人一人が民主主義を守る担い手となることが、独裁者の台頭を防ぐ鍵となるでしょう。専門家の知見を参考に、独裁者の特徴と手口を理解し、民主主義社会の実現に向けて行動していきましょう。
