株式会社TIMEWELLの濱本です。
NVIDIAが通信業界に本格参入しました。
2025年末、NVIDIAはNokiaに10億ドルを投資し、AI-RAN技術の共同開発を発表。さらにAerialソフトウェアのオープンソース化、T-Mobileとの6G実証実験など、通信業界の根幹を変える動きが加速しています。
本記事では、NVIDIAの通信戦略、AI-RANの仕組み、6Gへの道筋を解説します。
NVIDIA×通信 2026年最新情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Nokia投資額 | 10億ドル |
| 新製品 | Arc Aerial RANコンピュータ(6G対応) |
| T-Mobile実証実験 | 2026年開始予定 |
| Aerialオープンソース | 2025年12月〜(AODTは2026年3月) |
| AI-RANアライアンス | 75社以上が参加 |
NVIDIA-Nokia 10億ドル提携の衝撃
戦略的パートナーシップ
NVIDIAはNokiaに10億ドルを投資し、AI-RANイノベーションの加速と5Gから6Gへの移行を主導することを発表しました。
提携の内容:
- NVIDIAプラットフォーム上で動作するAI-RAN製品をNokiaのポートフォリオに追加
- 通信事業者がAIネイティブな5G-Advancedおよび6Gネットワークを展開可能に
- 米国の通信リーダーシップ回復を支援
Arc Aerial RANコンピュータ
NVIDIAは、6G対応の通信コンピューティングプラットフォーム「Arc Aerial RANコンピュータ」を発表しました。
Arc Aerialの特徴:
- 6G対応設計
- AI-RANワークロードに最適化
- 高性能・省電力
- 柔軟なソフトウェア定義
AI-RANとは——通信の未来を変える技術
従来のRANの課題
従来の無線アクセスネットワーク(RAN)は、以下の課題を抱えていました。
| 課題 | 詳細 |
|---|---|
| 専用ハードウェア | 特定用途向け機器で柔軟性が低い |
| 低い設備利用率 | ピーク需要に合わせた投資で平均30%程度 |
| 高い運用コスト | 電力消費、保守コストが大きい |
| AI対応の遅れ | AI推論ワークロードへの対応が困難 |
AI-RANのソリューション
AI-RANは、AIとRANを単一の汎用インフラ上で融合させます。
AI-RANの3つの要素:
AI for RAN(RANのためのAI)
- スペクトル効率の向上
- 電力効率の向上
- 運用効率の向上
AI running with RAN(AIとRANの共存)
- 同一ハードウェア上でRAN機能とAIアプリケーションが動作
- 設備利用率の大幅改善
AI delivered on RAN(RAN経由のAI配信)
- RANを伝送媒体としてAIサービスを提供
- エッジAI推論の実現
具体的な成果
AI-RANの導入により、以下の成果が報告されています。
ソフトバンクの事例:
- 投資収益率の向上
- 設備利用率の改善
- エネルギー効率の向上
Deep Sig社:
- ニューラルネットワークによるレイヤー1処理で通信速度70%向上
富士通×ソフトバンク:
- アップリンク性能50%向上
All-American AI-RANスタック
米国初のAIネイティブ無線スタック
NVIDIAは、Booz Allen、Cisco、MITRE、ODC、T-Mobileと連携し、米国初のAIネイティブ無線スタックを発表しました。
特徴:
- ハードウェア、ソフトウェア、アーキテクチャ全体に高度なAIを統合
- AIトラフィックの爆発的増加に対応
- 2026年にローンチ予定
対応ユースケース:
- リアルタイムデータセンシング
- 分析と自動応答
- ドローン、AR/VRグラスなどのAIネイティブデバイス
- 統合センシング&通信(6G機能)
T-Mobile実証実験(2026年)
T-Mobile USは、NokiaおよびNVIDIAと協力し、2026年にAI-RAN技術の実証実験を開始する予定です。
実験の焦点:
- 顧客向けのパフォーマンス・効率性向上の検証
- 実環境でのフィールドバリデーション
- 6Gイノベーションへの道筋確認
Aerialソフトウェアのオープンソース化
開発速度を劇的に向上
NVIDIAは、Aerialソフトウェアをオープンソース化し、AI-RAN研究開発を加速させています。
オープンソース化されるコンポーネント:
| コンポーネント | 公開時期 | 内容 |
|---|---|---|
| Aerial CUDA-Accelerated RAN | 2025年12月 | GPU高速化RANスタック |
| Aerial Framework | 2025年12月 | 開発フレームワーク |
| Aerial Omniverse Digital Twin | 2026年3月 | 物理的に正確なRFシミュレーション |
ライセンス: Apache 2.0(GitHub公開)
開発期間の短縮
オープンソース化により、ラピッドプロトタイピングから製品開発までを「数ヶ月〜数年」から「数時間」に短縮できるとNVIDIAは主張しています。
6Gへの道筋
AIを基盤とする6G設計
NVIDIAは、6G時代を見据え、AIをネットワーク設計の初期段階から織り込む方針を進めています。
6G開発者プログラム:
- 2,000以上のメンバーが参加
- 差分可能なレイヤー1シミュレーター「Sionna」提供
- ハードウェア研究キット「Sionna Research Kit」
Aerial Omniverse Digital Twin
都市全体の詳細な3Dモデルを構築し、高度なネットワーク計画を可能にします。
機能:
- 建材、植生を含む詳細な3Dモデル
- 基地局配置計画のシミュレーション
- AIベースのチャネル推定(従来比40%改善)
- 最適化された設定の実基地局への展開
当時と現在:NVIDIA通信戦略の進化
| 項目 | 当時(2024年) | 現在(2026年1月) |
|---|---|---|
| Nokia提携 | なし | 10億ドル投資 |
| AI-RAN製品 | 研究段階 | Arc Aerial RANコンピュータ発表 |
| アライアンス | 設立(2024年初頭) | 75社以上に拡大 |
| ソフトウェア | クローズド | オープンソース化 |
| 6G実証実験 | 計画段階 | T-Mobileと2026年開始予定 |
| 通信事業者NCPパートナー | 限定的 | 15社以上 |
AIファクトリー——通信事業者の新収益源
インフラを収益源に
通信事業者は、既存のインフラ(不動産、電力、接続性)を活用し、AIファクトリーとして新たな収益を生み出せます。
NVIDIAクラウドパートナープログラム(NCP)参加企業:
- IOH(インドネシア)
- Telenor(ノルウェー)
- Iliad(フランス)
- Telus(カナダ)——北米初
- その他15社以上
ソブリンAIへの対応
データが生成された国内に留まるべきという「ソブリンAI」の需要に、通信事業者は理想的に対応できます。
対象分野:
- ヘルスケア
- 教育
- 研究機関
- 政府機関
企業への影響
通信インフラの選択
企業がネットワークパートナーを選ぶ際、AI-RAN対応は重要な判断基準になります。
チェックポイント:
- AI-RANへの投資状況
- エッジコンピューティング能力
- 6G対応ロードマップ
- AIファクトリーサービスの提供
エッジAIの活用
AI-RANにより、ネットワークエッジでのAI推論が実用化されます。
ユースケース:
- リアルタイム映像分析
- 自動運転車のエッジ処理
- AR/VRのレイテンシ削減
- スマートファクトリー
まとめ
NVIDIAは、通信業界において「AIルネッサンス」を引き起こそうとしています。
本記事のポイント:
- NVIDIAがNokiaに10億ドル投資、AI-RAN共同開発
- Arc Aerial RANコンピュータで6G対応プラットフォーム提供
- T-Mobileと2026年に実証実験開始予定
- Aerialソフトウェアをオープンソース化、開発期間を劇的短縮
- AI-RANアライアンスは75社以上に拡大
- AIファクトリーで通信事業者に新収益源を提供
5Gから6Gへの移行は、単なるネットワーク速度の向上ではありません。AIがネットワークの根幹に組み込まれることで、通信インフラ自体が「考え、適応し、問題を解決する」存在へと進化します。
企業にとって、AI-RAN対応の通信パートナーを選ぶことは、将来のAI活用戦略に直結する重要な決定となるでしょう。
