株式会社TIMEWELLの濱本です。
2026年1月、NVIDIAはCES 2026でAIコンピューティングの新時代を告げました。
Vera Rubinプラットフォームは、Rubin GPU(336億トランジスタ)とVera CPU(227億トランジスタ)を組み合わせた次世代AIシステムです。単体GPUで50 PFLOPsの推論性能を実現し、Blackwell比で5倍のパフォーマンスを達成。HBM4メモリは最大288GB、帯域幅22 TB/sという圧倒的なスペックで、推論トークンコストを10分の1に削減します。
本記事では、NVIDIA GPUの歴史からVera Rubinの詳細仕様、そして2027年のRubin Ultraまで、AIコンピューティングの全貌を解説します。
NVIDIA GPU 2026年最新情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Rubin GPU | 336億トランジスタ、TSMC 3nm |
| 推論性能 | 50 PFLOPs(NVFP4)、Blackwell比5倍 |
| トレーニング性能 | 35 PFLOPs(NVFP4)、Blackwell比3.5倍 |
| メモリ | HBM4 288GB、22 TB/s帯域幅 |
| Vera CPU | 227億トランジスタ、88コア176スレッド |
| NVL72 | 72 GPU + 36 CPU、3.6 EFLOPs |
| 推論コスト | Blackwell比10分の1 |
| 出荷時期 | 2026年下半期(パートナー経由) |
Vera Rubinプラットフォーム——CES 2026発表
Rubin GPU
Rubin GPUは、NVIDIAの次世代AIアクセラレーターです。
Rubin GPUの特徴:
- 336億トランジスタ(2つのレチクルサイズダイ)
- TSMC 3nmプロセス製造
- 50 PFLOPs NVFP4推論性能
- 35 PFLOPs NVFP4トレーニング性能
- HBM4メモリ最大288GB
- メモリ帯域幅22 TB/s
天文学者ヴェラ・ルービンにちなんで命名されたRubinは、Blackwellを大幅に上回る性能を実現しています。
Vera CPU
Vera CPUは、Rubin GPUと組み合わせて使用するコンパニオンプロセッサーです。
Vera CPUの特徴:
- 227億トランジスタ
- カスタムArm「Olympus」コア
- 88コア、176スレッド(Spatial Multi-Threading)
- LPDDR5xメモリ最大1.5TB
- メモリ帯域幅1.2 TB/s
- NVLink-C2C帯域幅1.8 TB/s
NVL72——ラックスケールシステム
NVL72は、Vera Rubinプラットフォームのフラッグシップ構成です。
NVL72の構成:
- 72 Rubin GPU + 36 Vera CPU
- NVLink 6接続
- 3.6 EFLOPs NVFP4推論性能
- 2.5 EFLOPs トレーニング性能
- HBM4容量20.7TB
- LPDDR5x容量54TB
- HBM帯域幅1.6 PB/s
- スケールアップ帯域幅260 TB/s
効率性の飛躍
Vera Rubinは、ハードウェアとソフトウェアの極限の共同設計により、驚異的な効率性を実現しています。
Blackwell比での改善:
- 推論トークンコスト:10分の1
- MoEモデルトレーニングに必要なGPU数:4分の1
- 性能:5倍(推論)、3.5倍(トレーニング)
NVIDIAの歴史——GPUからAIファクトリーへ
1993年:創業とGPUの発明
NVIDIAの歴史は、1993年のシリコンバレーでの創業から始まります。
創業期の戦略的決断:
- CPUの限界を認識し、特定の計算問題に特化
- グラフィックスプロセッサ(GPU)という新カテゴリを創出
- 3Dグラフィックス市場の創造
- セコイア・キャピタルなどから投資を獲得
2006年:CUDA技術
CUDAは、GPUを汎用計算に利用可能にした革新的な技術です。
CUDAの意義:
- GPUを一般的な計算処理装置として利用可能に
- 研究者・開発者がアクセスしやすいプラットフォーム
- 後のディープラーニング革命の基盤
2012年:ディープラーニング革命
AlexNetによるコンピュータビジョンのブレイクスルーが、AI時代の幕開けとなりました。
ディープラーニングとGPU:
- 高い計算能力がディープラーニングを加速
- 「CUDA Everywhere」戦略で学術界に普及
- CPUの限界を超える新しい計算基盤を確立
2016年:DGX-1とAIファクトリー
DGX-1は、AIファクトリーの象徴的な製品です。
DGX-1の特徴:
- AI専用コンピュータの先駆け
- OpenAIなど研究機関で採用
- AIインフラストラクチャの新時代を開始
AIファクトリー——企業のROI向上
AIファクトリーとは
AIファクトリーは、AIの開発から実運用までを統合的に最適化する新しい形のコンピューティング基盤です。
AIファクトリーの特徴:
- GPU + ネットワーク + ソフトウェアの統合
- ラックスケールコンピューティング
- 同一ソフトウェアスタックでの継続的進化
- 毎年の性能向上を吸収
企業の投資効果
Meta社の事例が、AIインフラ投資の効果を示しています。
Meta社の成果:
- 広告最適化にNVIDIA GPUを活用
- 機械学習による改善を実現
- 業績と市場評価の回復
- ROI300%超えの事例も
生成AIの台頭
従来の「検索」から「生成」へのシフトが進んでいます。
生成AIの影響:
- リアルタイムでコンテンツを生成
- レコメンドシステムの高度化
- 金融取引のアルゴリズム化
- 医療診断の支援
次世代ロードマップ
Rubin Ultra(2027年)
Rubin Ultraは、2027年後半に登場予定の次世代プラットフォームです。
Rubin Ultraの予定スペック:
- 100 PFLOPs(Rubinの2倍)
- HBM4eメモリ採用
- NVL576構成(576 GPU)
- さらなる効率性向上
Feynman(2028年以降)
NVIDIAのロードマップには、Feynmanアーキテクチャも追加されています。
物理AIとロボティクス
Omniverse
Omniverseは、仮想空間での学習と現実世界での実装を連携させるプラットフォームです。
Omniverseの活用:
- 数兆回のシミュレーション
- ロボットの動作学習
- 自動運転車の訓練
- デジタルツインの構築
産業ロボティクス
物理AIは、産業ロボティクスの成長を支える鍵となります。
応用分野:
- 製造業の自動化
- 物流・倉庫管理
- 医療・手術支援
- 農業・インフラ点検
当時と現在:NVIDIA GPUの進化
| 項目 | 当時(2024年 Blackwell発表) | 現在(2026年1月) |
|---|---|---|
| 最新GPU | Blackwell B200 | Rubin |
| 推論性能 | 10 PFLOPs | 50 PFLOPs |
| メモリ | HBM3e 192GB | HBM4 288GB |
| メモリ帯域 | 8 TB/s | 22 TB/s |
| ラック構成 | NVL72(Blackwell) | NVL72(Rubin) |
| 製造プロセス | TSMC 4nm | TSMC 3nm |
| 次世代予告 | Rubin(2026年) | Rubin Ultra(2027年) |
| 主な用途 | トレーニング中心 | 推論最適化へシフト |
競合との比較
NVIDIA vs AMD
| 項目 | NVIDIA Rubin | AMD Instinct MI450 |
|---|---|---|
| 推論性能 | 50 PFLOPs | 非公開 |
| メモリ | HBM4 288GB | HBM3e 192GB |
| エコシステム | CUDA(圧倒的シェア) | ROCm |
| 市場シェア | 80%以上 | 約15% |
NVIDIA vs Google TPU
| 項目 | NVIDIA Rubin | Google TPU v7 Ironwood |
|---|---|---|
| 性能 | 50 PFLOPs | 4.6 PFLOPs/chip |
| スケール | NVL72(72 GPU) | 9,216-chip Pod |
| 提供形態 | ハードウェア販売 | クラウドサービス |
| 用途 | 汎用AI | Google内部最適化 |
導入の考慮点
メリット
1. 圧倒的な性能
- 業界最高の推論・トレーニング性能
- Blackwell比5倍の性能向上
2. エコシステムの成熟
- CUDAによる開発者サポート
- 豊富なライブラリとツール
3. コスト効率
- 推論トークンコスト10分の1
- 電力効率の大幅改善
注意点
1. 導入コスト
- 高価格帯の製品
- データセンター規模の投資が必要
2. 供給制約
- 需要に対して供給が追いつかない可能性
- 長期的な調達計画が必要
3. 国際規制
- 輸出規制の影響
- 地域によるアクセス制限
まとめ
NVIDIAは、Vera Rubinプラットフォームで2026年のAIコンピューティングを再定義しました。
本記事のポイント:
- Rubin GPU:336億トランジスタ、TSMC 3nm、50 PFLOPs推論
- HBM4メモリ288GB、帯域幅22 TB/sでBlackwell比2.75倍
- Vera CPU:88コア176スレッド、カスタムArm「Olympus」コア
- NVL72:72 GPU + 36 CPUで3.6 EFLOPs、世界最高クラスのAIシステム
- 推論トークンコストがBlackwell比10分の1に削減
- 2027年にRubin Ultra(100 PFLOPs)とNVL576が登場予定
- 物理AI・ロボティクスでOmniverseが産業応用を加速
1993年のGPU発明から30年以上——NVIDIAは「アクセラレーテッドコンピューティング」というビジョンを一貫して追求し、今やAI革命の中核技術を提供する企業へと成長しました。Vera Rubinは、その進化の最新章であり、AIが社会のあらゆる領域に浸透する時代の基盤となるでしょう。
企業にとって、NVIDIAのAIインフラへの投資は、競争力を左右する戦略的決断です。推論コストの劇的な削減と性能向上は、AIの実用化を加速し、新たなビジネス機会を創出します。
