株式会社TIMEWELLの濱本です。
OpenAI DevDay 2025は、開発者にとって歴史的な転換点となりました。
Apps SDKによりChatGPTが「アプリのハブ」へ進化し、Coursera、Booking.com、Spotifyなど外部サービスとの統合が実現。Agent Kitではノーコードでワークフローを設計し、Human-in-the-Loopを簡単に組み込めるように。CodexのGeneral Availability(一般提供)でSlack連携が可能になり、GPT-5 Pro APIとSora 2 APIも開発者に開放されました。
本記事では、DevDay 2025の全発表内容と、2026年現在の活用状況を解説します。
OpenAI DevDay 2025 発表内容
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Apps SDK | ChatGPTに外部アプリを統合 |
| Agent Kit | ノーコードでエージェント構築 |
| Agent Builder | ブロック図でワークフロー設計 |
| Chat Kit | チャットUIコンポーネント |
| Codex GA | 一般提供開始、Slack連携 |
| Codex SDK | TypeScript対応 |
| GPT-5 Pro API | 上位モデルのAPI開放 |
| Sora 2 API | 動画生成APIの開放 |
Apps SDK——ChatGPTがアプリのハブに
外部アプリとの統合
Apps SDKは、ChatGPTの会話空間に外部アプリを直接組み込む開発キットです。
Apps SDKの特徴:
- 会話の文脈を保ったままアプリ機能にアクセス
- MCPプロトコルを内部で活用
- インタラクティブな操作が可能
- チャット中心の体験に最適化
統合パートナー
DevDay 2025で発表された主要パートナーです。
| カテゴリ | サービス |
|---|---|
| 学習 | Coursera |
| 旅行 | Booking.com、Expedia |
| 音楽 | Spotify |
| ビジネス | 各種SaaSツール |
活用例
Coursera統合:
- ChatGPT上で講義動画を再生
- わからない箇所をその場で質問
- 現在のスライドに沿った説明を受ける
- 学習の流れが分断されない
旅行予約:
- 「サンフランシスコで一泊3万円以内のホテルを教えて」
- チャット内に候補が表示
- ボタン操作で予約ページへ遷移
開発者向けガイドライン
Apps SDKは、インタラクション設計の「型」を提示しています。
設計指針:
- 長文表示より要点重視
- 操作につながるUIを優先
- 会話と操作の相互補完
Agent Kit——ノーコードエージェント構築
Agent Builder
Agent Builderは、AIエージェントのワークフローをブロック図で設計するツールです。
Agent Builderの特徴:
- 入力テキストの受け取り
- モデル選択と推論強度の設定
- 条件分岐の設定
- ツール連携の定義
- 視覚的なワークフロー設計
デモで紹介された機能:
- テンプレート「Planning Helper」
- 右側のプレビューでリアルタイム確認
- 各ノードの反応を即座に検証
Human-in-the-Loop
Agent Kitの重要機能が「User Approval」です。
Human-in-the-Loopの特徴:
- 人間の確認・承認工程をワークフローに組み込み
- 品質・安全性を重視する現場に最適
- 法務チェック、ブランド確認、顧客対応の最終承認に活用
RAG機能
Agent Kitは、RAG(Retrieval-Augmented Generation)機能を標準搭載しています。
RAG機能:
- Vector Storeにドキュメントをアップロード
- ユーザーの質問をクエリとして検索
- 最適な文書を参照しながら回答生成
- 社内資料やFAQとの連携
評価・運用機能
評価画面:
- 実行ログの確認
- ユーザーの反応把握
- 改善サイクルの促進
公開機能:
- エージェントのID発行
- フロントエンドへの組み込み
- 一連の開発フローが整備
Chat Kit
Chat Kitは、チャットUIを構築するためのコンポーネント集です。
Chat Kitの特徴:
- 用意されたコンポーネントを取り込み
- 最小限のコードでチャットUI実装
- Agent Builderで作ったエージェントと連携
- エージェントの中身づくりに集中できる
Codex GA——一般提供開始
Slack連携
Codexの一般提供(General Availability)が開始されました。
Slack連携の特徴:
- 「@codex」と呼びかけるだけ
- 会話の文脈を踏まえたタスク処理
- クラウド上の実行環境で処理
- スクリプト作成や下準備の自動化
活用シーン:
- 雑談に近いラフな指示でもタスク化
- 開発者だけでなく業務部門も利用可能
- 「AIに仕事を頼む」感覚
ターミナル・CLI統合
開発者向け機能:
- ターミナル操作との統合
- CLI(コマンドラインインターフェース)対応
- 日常的な開発道具に自然に統合
Codex SDK
Codex SDKにより、アプリケーションへの組み込みが容易になりました。
Codex SDK(TypeScript対応):
- 数行のコードでエージェント機能を組み込み
- 製品や社内ツールへの統合
- Agent Kit、Chat Kitとの連携
一気通貫の開発体験:
- Agent Kitでワークフロー作成
- Chat KitでUI構築
- Codex SDKで処理呼び出し
GPT-5 Pro API
上位モデルのAPI開放
GPT-5 Proが開発者向けAPIとして開放されました。
GPT-5 Pro APIの特徴:
- 最上位モデルへのプログラムアクセス
- 精度を重視したスポット利用に最適
- 価格は高め
- 要件が厳しい局面での「ここだけ最上位」利用
活用シーン
推奨ユースケース:
- 高精度が必要な判断・分析
- 重要な顧客向け出力
- 品質が最優先の場面
Sora 2 API
動画生成APIの開放
Sora 2がAPI経由で利用可能になりました。
Sora 2 APIの特徴:
- 高画質化対応
- 大きい出力サイズ
- 1秒あたりの課金
- 価格は安価ではない
生成の所要時間:
- 現状では長めの場合あり
- バッチ処理やジョブ管理の工夫が必要
推奨ユースケース
商用活用の方向性:
- 短尺・高品質の広告
- ティーザー映像
- 価値の高いコンテンツ制作
DevDay 2025の意義
ChatGPTの進化
DevDay 2025のメッセージは明確です。
ChatGPTの新たな位置づけ:
- 単なる対話エンジンではない
- アプリの入口
- エージェントの運転席
- 開発の実行環境へつながる統合プラットフォーム
開発体験の統合
一連のフロー:
- Apps SDKで会話から操作への導線
- Agent Kitでノーコード設計
- Codexと各種APIで実務・本番運用
企業にとっての意味
変化のポイント:
- 試作と運用の距離が短縮
- 部門横断でAIを「共通の仕事相手」に
- AI導入の障壁が確実に低下
当時と現在:DevDay 2025からの進化
| 項目 | 当時(2025年5月 DevDay発表時) | 現在(2026年1月) |
|---|---|---|
| Apps SDK | 発表・限定公開 | パートナー拡大、本格展開 |
| Agent Kit | ベータ版 | 安定版、評価機能強化 |
| Chat Kit | 初期版 | コンポーネント拡充 |
| Codex | 一般提供開始 | Slack連携定着、活用事例増加 |
| Codex SDK | TypeScriptのみ | 複数言語対応の検討 |
| GPT-5 Pro API | 限定開放 | 一般開発者に拡大 |
| Sora 2 API | 発表 | 商用利用事例の増加 |
| エコシステム | 構築開始 | 成熟段階へ |
競合との比較
OpenAI vs Anthropic
| 項目 | OpenAI | Anthropic |
|---|---|---|
| エージェントツール | Agent Kit(ノーコード) | Claude Code(コード中心) |
| アプリ統合 | Apps SDK | MCP |
| 開発者体験 | 統合プラットフォーム | API中心 |
| 動画生成 | Sora 2 | なし |
OpenAI vs Google
| 項目 | OpenAI | |
|---|---|---|
| エージェント | Agent Kit | Vertex AI Agent Builder |
| ノーコード | Agent Builder | Firebase Studio |
| 検索統合 | ChatGPT Search | AI Overview |
| 動画生成 | Sora 2 | Veo 3 |
開発者が取るべきアクション
短期(〜3ヶ月)
1. Agent Kitの検証
- テンプレートを活用した試作
- 自社業務での適用検討
2. Codex Slack連携の導入
- チーム内での試験運用
- 効果測定
中期(3ヶ月〜6ヶ月)
1. Apps SDK活用
- 自社サービスとの統合検討
- ユーザー体験の設計
2. 本番環境への展開
- Agent Kitで構築したエージェントの公開
- 運用体制の整備
長期(6ヶ月以上)
1. エコシステムへの参加
- Apps SDKパートナーとしての展開
- 独自エージェントの提供
2. 継続的な改善
- 評価機能を活用した品質向上
- ユーザーフィードバックの反映
導入の考慮点
メリット
1. 開発速度の向上
- ノーコードでエージェント構築
- 試作から本番までの時間短縮
2. 統合プラットフォーム
- 会話・UI・ワークフロー・実行基盤が一列に
- 複数ツールの使い分けが不要
3. 低い導入障壁
- テンプレートからの開始
- 段階的な機能追加
注意点
1. コスト管理
- GPT-5 Pro APIは高価格
- Sora 2 APIも従量課金
2. 品質保証
- Human-in-the-Loopの設計が重要
- 自動化と人間の判断のバランス
3. 運用体制
- 評価・改善のサイクル構築
- ログ管理とモニタリング
まとめ
OpenAI DevDay 2025は、ChatGPTを「対話エンジン」から「統合プラットフォーム」へ進化させる転換点でした。
本記事のポイント:
- Apps SDKでChatGPTがアプリのハブに、Coursera・Booking.com・Spotify統合
- Agent Kitでノーコードエージェント構築、Human-in-the-Loop対応
- Agent Builderでブロック図ワークフロー設計、Chat KitでUI構築
- Codex GAでSlack連携、@codexでタスク処理を依頼
- Codex SDK(TypeScript)でアプリへの組み込み
- GPT-5 Pro APIで最上位モデルへのプログラムアクセス
- Sora 2 APIで動画生成、高画質・大出力対応
- 試作から本番までの「段差」が低下
2025年5月のDevDay発表から約8ヶ月——発表された機能は着実に成熟し、開発者エコシステムは拡大を続けています。会話・UI・ワークフロー・実行基盤が一列に並んだことで、AI導入の障壁は確実に低くなりました。
今後は「どの業務から着手し、どの知識をベースにし、どこに人の承認を挟むか」という現場設計が価値の差を生みます。小さく作って素早く回し、評価で学び、次の反復に活かす——そんな実践が、これまで以上に成果へ直結していくでしょう。
