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USAID予算削減の衝撃:アメリカ経済と世界への波紋 - 食料・健康危機から国家安全保障まで徹底解説

2026-01-21濱本

60年以上にわたり、米国国際開発庁(USAID)は、アメリカの対外援助機関として、世界中の飢餓救済や疾病予防に尽力してきました。10億人の子供たちへの予防接種、22億件のマラリア症例予防、2600万人のエイズからの救命。これらはUSAIDが成し遂げてきた輝かしい功績の一部に過ぎません。事実、全世界の人道支援総額の40%は米国から拠出され、そのうちの3分の2はUSAIDによるものでした。しかし、近年の「アメリカ・ファースト」政策の下、トランプ前大統領やイーロン・マスク氏らは、この重要な機関の予算を90%以上、実に600億ドル規模で削減するという衝撃的な決定を下しました。多くの人々は、これは単に海外への援助を減らすだけの話だと捉えがちですが、データはそのような単純な見方を否定しています。この大幅な予算削減は、グローバル化が進んだ現代経済において、予期せぬ形でアメリカ国内に跳ね返ってくる「ブローバック」を引き起こす可能性が高いのです。食料価格の高騰、国内での感染症流行リスクの増大、そしてアメリカの農家をはじめとする多くの国民の生活への打撃しました。 本記事では、ワイヤード誌が特定した食料と医

USAID予算削減の衝撃:アメリカ経済と世界への波紋 - 食料・健康危機から国家安全保障まで徹底解説
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株式会社TIMEWELLの濱本です。

60年以上にわたり、米国国際開発庁(USAID)は、アメリカの対外援助機関として、世界中の飢餓救済や疾病予防に尽力してきました。10億人の子供たちへの予防接種、22億件のマラリア症例予防、2600万人のエイズからの救命。これらはUSAIDが成し遂げてきた輝かしい功績の一部に過ぎません。事実、全世界の人道支援総額の40%は米国から拠出され、そのうちの3分の2はUSAIDによるものでした。しかし、近年の「アメリカ・ファースト」政策の下、トランプ前大統領やイーロン・マスク氏らは、この重要な機関の予算を90%以上、実に600億ドル規模で削減するという衝撃的な決定を下しました。多くの人々は、これは単に海外への援助を減らすだけの話だと捉えがちですが、データはそのような単純な見方を否定しています。この大幅な予算削減は、グローバル化が進んだ現代経済において、予期せぬ形でアメリカ国内に跳ね返ってくる「ブローバック」を引き起こす可能性が高いのです。食料価格の高騰、国内での感染症流行リスクの増大、そしてアメリカの農家をはじめとする多くの国民の生活への打撃しました。

本記事では、ワイヤード誌が特定した食料と医療分野におけるUSAIDの重要なプログラム削減に焦点を当て、それがアメリカ国民の健康と経済にどのような影響を及ぼすのか、その実態を徹底的に掘り下げていきます。

USAID予算大幅削減の背景と米国内経済への直接的打撃 - 援助から生まれる国内利益の実態 食料安全保障への脅威 - 「Food for Peace」「Feed the Future」停止がもたらす世界的飢餓と国内価格高騰リスク グローバルヘルス危機と国家安全保障への警鐘 - 感 染症対策・テロ対策弱体化の連鎖反応 まとめ USAID予算大幅削減の背景と米国内経済への直接的打撃 - 援助から生まれる国内利益の実態

 ワシントンD.C.にあったUSAID本部のオフィスは、Googleマップ上では「恒久的に閉鎖」と表示されています。かつて13,000人もの職員を擁したこの機関で、今後も職を維持できるのはわずか数百人程度と見られています。この劇的な縮小は、「アメリカ・ファースト」というスローガンの下で推進された政策の一環であり、対外援助よりも国内問題に焦点を当てるべきだという主張に基づいています。しかし、USAIDの活動実態を詳しく見ると、その予算が単に海外で消費されていたわけではないことが明らかになります。「納税者の金が外国人にばかり使われている」という批判は、事実の一部しか捉えていません。驚くべきことに、USAIDと契約を結んでいた企業の実に80%はアメリカ企業だったのです。USAIDは、大学、非営利団体(NPO)、援助組織などに所属する最大5万人ものアメリカ人請負業者を通じて、資金をアメリカ経済に還流させていました。年間約4兆円、連邦予算全体のわずか0.7%に過ぎない額が、地球規模の健康増進、民主主義の推進、その他の米国の外交政策目標を達成するための無数のプログラムを支え、同時にアメリカ国内の経済活動をも潤していたのです。

この広範なネットワークの一端を示す地図を見れば、削減前にどれだけ多くのアメリカの機関がUSAIDと連携していたかが理解できるでしょう。例えば、コロンビア大学の研究センターは、各国の気候変動計画策定を支援しています。また、コカ・コーラ社とのパートナーシップは、水と衛生サービスへのアクセス改善に取り組んでいました。これらの活動を通じて、USAIDの資金はアメリカの大学、企業、慈善団体に流れ込み、研究開発、雇用創出、技術革新を促進していたのです。しかし、今回の予算削減により、これらのパートナーシップは断ち切られ、多くの国内機関が直接的な打撃を受けています。大学の研究プロジェクトは中断を余儀なくされ、関連企業は契約を失い、NPOは活動資金を絶たれました。これは単に海外での援助活動が停止するというだけでなく、アメリカ国内の知識基盤や経済活動にも深刻な影響を与えることを意味します。特に、これまでUSAIDからの委託業務に大きく依存してきた中小企業や研究機関にとっては、存続の危機に直結する問題です。数万人規模と推定されるアメリカ人請負業者の雇用が失われれば、地域経済への波及効果も無視できません。USAIDの予算削減は、国際社会におけるアメリカの役割を縮小させるだけでなく、国内経済の活力をも削いでしまう、まさに諸刃の剣と言えるでしょう。この事実は、対外援助を単なる「コスト」として捉える視点の危うさを浮き彫りにしています。

食料安全保障への脅威 - 「Food for Peace」「Feed the Future」停止がもたらす世界的飢餓と国内価格高騰リスク

 USAIDの活動の中でも特に重要な柱の一つが食料支援でした。巨大プログラム「Food for Peace(平和のための食料)」は、アメリカの農家から余剰食料を買い上げ、それを必要としている国々に届けるという画期的な取り組みでした。1954年の開始以来、世界中で40億人以上の飢餓に苦しむ人々に恩恵をもたらしてきました。アフガニスタンの栄養失調の子供たちが必要としている朝食、あるいは飢饉に見舞われやすいスーダンの家族が緊急配給所の前に並んで受け取る一食。これらの食料の実に41%は、アメリカの農家から直接調達されたものでした。農家はこれにより年間約3000億円の収入を得ていました。この3000億円という資金は、アイオワ産の大豆油からオクラホマ産の小麦、カンザス産のレンズ豆、バージニア産やジョージア産の農産物、そして飢餓との戦いで非常に効果的な栄養ペーストを含むピーナッツ製品まで、多岐にわたる農産物の購入に充てられました。これらの製品はその後、USAIDとその契約業者によって世界中に輸送されていたのです。

しかし、予算削減が開始されてからわずか数日後の2月中旬には、事態は一変しました。既にUSAIDによって支払いが済んでいた約750億円相当の食料援助と、50万トンを超えるアメリカ産食料が、港や輸送中に立ち往生している状態となったのです。その大部分は腐敗のリスクにさらされています。具体的な例を挙げると、カンザス州では、ポーニー郡協同組合が穀物やシリアルの主要な原料であるソルガムを150万ブッシェルも保管していましたが、買い手がつかない状況に陥ったと報じられています。地元情報筋によると、ヒューストン港では23万5千トンの小麦が倉庫で足止めされているほか、3万トンのコーンミール、ピント豆、レンズ豆、米、植物油も同様の状態です。ボストン、マイアミ、ノーフォーク、サバンナ、ニューヨーク、シカゴ、レイクチャールズといった他の主要港でも、同様の問題が発生していると報告されています。

影響は海外にも及んでいます。ケニアの港では、約300億円相当の緊急食料援助が未配達のまま放置されています。これらの食料は既に購入・支払い済みであり、ケニアの港から南スーダンの人々に届ける責任を負っていた契約業者や現地のUSAIDスタッフは、USAIDの活動停止により支払いを受けられなくなりました。南スーダンでは、人口の半数以上にあたる約710万人が食料支援を必要としており、特に160万人の子供たちが急性栄養失調のリスクに瀕しています。舗装された道路のような基本的なインフラが欠如している南スーダンでは、援助物資の輸送はただでさえ費用がかかり非効率的です。例えば、南スーダンの僻地であるパガーに人道支援従事者がアクセスするには、2時間の飛行機、その後4時間カヌーに乗り、さらに沼地を6時間歩く必要があります。このような状況下で支援が滞れば、最も弱い立場にある人々が食料を受け取れず、命を落とす危険性が高まります。港で滞留した食料は無駄になるか、あるいは盗難に遭う可能性すらあります。世界保健機関(WHO)によれば、世界では常に7億3300万人もの人々が食料不安を経験しています。USAIDの食料支援停止は、この状況をさらに悪化させることに他なりません。

食料問題は、飢餓に苦しむ人々への直接的な影響だけにとどまりません。アメリカ国内の食料安全保障研究にも影を落としています。USAIDの「Feed the Future(未来を養う)」プログラムは、カンザス州立大学、ネブラスカ大学、パデュー大学など、全米各地の大学にある17の食料科学研究所に数百万ドルの資金を提供し、小麦やピーナッツといった特定の作物の耐性などの研究を支援してきました。これらの研究は、病害や気候変動に強い品種を開発し、将来の食料危機に備える上で不可欠です。しかし、予算削減により、これらの研究所は研究活動の一時停止を余儀なくされています。イリノイ大学のソイビーン・イノベーション・ラボは、既に30人の従業員を解雇し、資金が回復しなければ閉鎖される見込みです。このラボは、マダガスカル、ナイジェリア、パキスタン、インド、インドネシアの農家と協力し、大豆さび病のような病気に耐性のある大豆品種の育種に取り組んできました。このような研究は、病害が世界的に広がる中でアメリカの農家が備えるのを助けるという、国内への直接的な利益ももたらします。例えば、より乾燥した暑い条件下で作物を最適に栽培する方法を知ることは、気候変動の影響がますます深刻化する世界において、極めて重要になります。この研究がなければ、世界中の農家は、温暖化する地球に立ち向かうための備えが不十分なまま取り残されることになるでしょう。

さらに、多くの人が気づいていないことですが、USAIDは特定の農産物、例えばチョコレート、コーヒー、スパイス、さらにはゴムなどの生産を途上国で支援することにより、アメリカ国内でのこれらの製品価格を安定させる役割も果たしてきました。コーヒーを例にとってみましょう。アメリカのコーヒー産業は、米国のGDPの1.6%を占め、約170万人の雇用を支えています。USAIDは長年にわたり、アメリカのコーヒー企業や、アフリカ、中南米、インドネシアなどの小規模農家と協力し、作物の病害対策やコーヒーのサプライチェーン改善に取り組んできました。デジタルツールやトレーニングを提供し、生産能力を高めることで、アメリカのコーヒー企業が安定した高品質な供給を確保できるように支援してきたのです。しかし、USAIDの予算削減により、この保証は失われ、価格が高騰する可能性があります。同様のプログラムが、カカオが栽培されるコートジボワール、ガーナ、エクアドルでも実施されており、アメリカへのチョコレート供給を確保しています。カカオは、少なくとも7万人のアメリカ人の雇用を支える菓子産業にとって不可欠です。メリーランド州に本拠を置くスパイス大手のマコーミック・アンド・カンパニーは、オハイオ州に拠点を置く協同組合ビジネス協会(CBI)とのUSAIDパートナーシップの恩恵を受け、インドネシアでのスパイス生産を強化してきました。このプログラムは、放棄されたプランテーションを再生し、新しいプランテーションを建設し、バニラビーン、ナツメグ、クローブ、シナモン、ブラックペッパー、そしてもちろんパンプキンスパイスの収量を向上させました。CBIの現地関連会社であるアグリスパイス・インドネシアは、手頃な価格のスパイスをマコーミック社の様々な製品に供給しています。また、インドネシアでは、USAIDはミシュランが所有するロイヤル・レスタリ・ウタマ社が持続可能なゴムプランテーションのための融資を受けるのを支援しました。このプランテーションは、特にサウスカロライナ州のアメリカのタイヤ産業にゴムを供給しています。これらは、USAIDが途上国のサプライチェーンを強化し、生産性を向上させることで、アメリカ産業にとって重要な原材料の入手可能性と手頃な価格を維持し、結果的にアメリカの消費者がより安価な製品を手に入れることに貢献していた、ほんの数例に過ぎません。予算削減は、これらの恩恵をも脅かすことになるのです。

グローバルヘルス危機と国家安全保障への警鐘 - 感 染症対策・テロ対策弱体化の連鎖反応

 USAIDの予算削減は、食料問題だけでなく、地球規模の健康とアメリカの国家安全保障にも深刻な影響を及ぼします。2016年、「アフリカの角」地域で飢饉が予測された際、USAIDが資金提供し、主にワシントンD.C.に拠点を置く民間国際開発企業ケモニクスが運営していた「飢饉早期警報システムネットワーク(Famine Early Warning Systems Network, FUSE NET)」が迅速に対応し、最大100万人の命が救われたとされています。FUSE NETは、気象データや武力紛争の情報を分析し、飢饉を予測して食料援助を配布する画期的なシステムでした。しかし、国防総省(DOD)による予算削減(これは動画の誤りか、あるいは関連する削減があった可能性を示唆しますが、文脈上USAID削減の影響と捉えるのが自然です)により、このプログラムは現在オフラインとなっています。ケモニクス社は米国内の従業員の88%を一時解雇しました。専門家は、FUSE NETがなければ、人道支援活動の効果が低下し、さらなる飢餓と不安定化を世界各地でもたらすと警告しています。

そして、途上国における食料不安は、暴力的な過激主義の増加と密接に関連していることが指摘されています。ナイジェリア北東部では、ジハード主義テロ組織ボコ・ハラムが、食事を提供することで潜在的な新兵を引きつけています。また、2017年には、ISISがシリアから逃れてきた付き添いのない難民の子供たちを、食料や現金で誘い出していたという報告もあります。ISISについて言えば、USAIDの予算削減は、ISISメンバーとその家族を収容しているキャンプを管理するクルド主導のシリア民主軍(SDF)への支払いと支援にも影響を及ぼしています。シリア北東部にある28の刑務所には、約1万人のISIS戦闘員とされる人々が収監されており、中でもハサカにあるアル・ホール刑務所が最大規模です。アメリカとシリアの当局者は、ここでの警備体制の弱体化がISISの復活につながる可能性があると警告しています。このように、USAIDのプログラムを解体したり、一時停止したりすることは、人道支援活動を弱体化させるだけでなく、アメリカの国家安全保障と外交政策目標をも損なう行為なのです。

さらに深刻なのは、私たちの健康に対する直接的な影響です。トランプ政権は、USAIDと国務省から1万件以上のグローバルヘルス関連の助成金を取り消しました。これらの助成金は、世界の疾病予防において重要な役割を果たしています。その中には、新たな感染症の発生を検知し対応するための国際協力体制である「アウトブレイク・サーベイランス(発生監視)」も含まれます。現在、世界的な鳥インフルエンザの大流行がアメリカ国内でも広がっていますが、USAIDはかつて世界49カ国で鳥インフルエンザの監視活動に資金を提供していました。これには、家禽の死亡率が高い農場からサンプルを収集して検査し、結果を農家に通知し、渡り鳥や国境を越える家禽取引を監視し、収集したすべてのデータを共有するといった活動が含まれていました。しかし、USAIDの予算削減により、このプログラムは終了しました。鳥インフルエンザへの対応には国際協力が不可欠であると専門家が警告している中、これは非常に悪いニュースです。2014年の前回の鳥インフルエンザ流行では、アメリカの養鶏産業は約16億ドルの損害を被りました。

西アフリカを訪問後にラッサ熱で死亡したアイオワ州の男性の事例は、他の大陸の感染症が国際便一本で簡単に国境を越えてくるという現実を証明しています。ウガンダでは現在、8度目のエボラ出血熱の流行に直面しており、1月29日には首都カンパラで看護師が死亡したことが確認されました。今回の流行は致死率の高いスーダン株によるものですが、ウガンダ国内での接触者追跡や旅行者のスクリーニングは混乱しています。その理由は、2月26日にイーロン・マスク氏が、DOD(ここでもDODが登場しますが、文脈的にはUSAIDの予算削減プロセスに関与したか、あるいは誤情報かもしれません)が誤ってUSAIDのエボラ予防資金をキャンセルしたことを認めたものの、誤りに気づいてすぐに復旧させたと保証したにもかかわらず、ワイヤード誌の報道によれば、USAIDの人道支援プログラムの一部(エボラ対策を含む)を維持するための緊急免除措置は、USAIDスタッフのほとんどが解雇されたため効果を発揮しておらず、ウガンダのエボラ流行への対応が遅れているためです。アメリカがウガンダの最新のエボラ流行に対応する役割を果たせない状況の中、CBSはロシアが流行抑制を支援するために移動式の研究所を現地に派遣したと報じています。さらに憂慮すべきことに、コンゴ民主共和国では、新たな未確認の出血熱が発生し、既に60人以上が死亡、1000人以上が罹患しています。歴史的に、USAIDは研究所でのウイルスサンプルの検査に資金を提供することで、病原体の特定に重要な役割を果たしてきました。USAIDの解体により、この特定の病気の調査はより困難になっています。

世界中で増加している感染症、例えばアフガニスタンのカラアザール、イエメンのポリオ、中米やカリブ海全域のデング熱などと戦う一つの方法はワクチンです。ワクチンは命を救うだけでなく、お金も節約します。ジョンズ・ホプキンス大学の研究によると、予防接種に費やされる150円ごとに、病気の治療費を削減することで約2400円のリターンが得られます。病気がもたらすより広範な経済的影響を考慮した追加分析では、予防接種に費やされる150円ごとに約6600円を節約できる可能性があります。CDC(米国疾病予防管理センター)によると、USAIDの資金凍結により、少なくとも一つの注目すべきワクチン開発プログラムが停止しました。それは、アフリカでのHIV撲滅を目指す南アフリカ医学研究評議会への約67億円の助成金です。1月下旬、アフリカ8カ国の研究者グループは、2つの実験的なHIVワクチンの第1相臨床試験を開始し、南アフリカ、ケニア、ウガンダで数十人のボランティアを登録する計画でした。もしこのワクチンが安全で効果的であることが判明すれば、現在失われている何百万人もの南アフリカ人の命を救う助けになる可能性があります。アメリカにはまだFDA(食品医薬品局)承認のHIVワクチンがないため、海外で開発される新しいワクチンは、アメリカで最初のHIVワクチンとなる有望な候補となり得ます。しかし、資金が存在しなくなったため、その研究は現在、無期限に中断されています。ガーディアン紙の報道によると、この重要な研究への打撃に加え、感染者の生存を維持するための抗レトロウイルス薬の診断と処方を支援する他のUSAID資金の撤廃により、推定50万人の南アフリカ人が死亡する可能性があるとのことです。

以下に、USAID予算削減によって特に深刻な影響を受ける、あるいは停止した主要なプログラムとその壊滅的な結果の一部をまとめます。これは、今回の削減がもたらす被害の氷山の一角に過ぎません。

食料支援「Food for Peace」: 数百万ドル相当の購入済み食料が港で滞留・腐敗。南スーダンなどでの飢餓悪化。米国農家への打撃。

食料研究「Feed the Future」: 大学での病害・気候変動対応の作物研究が中断。雇用喪失。将来の食料安全保障への備えが弱体化。

サプライチェーン支援(コーヒー、カカオ等):途上国の生産安定化プログラム停止。米国での関連製品価格高騰リスク。関連産業への影響。

飢饉早期警報「FUSE NET」:システム停止。人道支援の効率低下、飢餓・不安定化リスク増大。

感染症監視(鳥インフルエンザ等): 国際的な監視ネットワーク停止。パンデミックへの対応力低下。

エボラ出血熱対策:ウガンダでの対応遅延。国際的な感染拡大リスク。

HIVワクチン開発:南アフリカでの有望な臨床試験が中断。数百万人の命の危機。

マラリア対策「Amazon Malaria Initiative」:アマゾン地域での対策中断。特に子供たちの死亡リスク増大。

テロ対策支援(SDF):ISIS収容キャンプ管理支援への影響。テロ復活リスク。

病気を防ぐもう一つの方法は予防です。アマゾン流域では、USAIDは「アマゾン・マラリア・イニシアティブ」を通じて、ブラジル、コロンビア、エクアドル、ガイアナ、ペルー、スリナムにおけるマラリア対策の最前線にいました。USAIDは、地域固有のニーズに合わせた介入策に資金を提供していました。しかし、資金が打ち切られ、職員が一時解雇されたことで、USAIDが懸命に築き上げてきた信頼と善意は打ち砕かれました。一度失われた信頼を取り戻すのは困難です。2023年には、世界で推定59万7千人がマラリアで死亡し、そのほとんどがアフリカであり、この地域では死亡者の76%を5歳未満の子供が占めています。これらの食料および健康プログラムの削減は、USAIDの解体が最終的に私たちの国と世界にとって何を意味するのかという物語のほんの一部に過ぎません。専門家は、この活動を突然打ち切ることは、世界中で数えきれないほどの人々を死に至らしめるだろうと述べています。

まとめ

 USAIDの大幅な予算削減は、単に国際社会における人道支援の後退を意味するだけではありません。本記事で詳述してきたように、それは食料価格の上昇、感染症の国内流入リスク、アメリカの農家や企業の経済的打撃、そして国家安全保障上の脅威増大という形で、アメリカ国民自身の生活と安全に直接的な悪影響を及ぼす可能性を秘めています。「我々の税金は国内プロジェクトにのみ使うべきだ」という意見は、一見すると愛国的で合理的に聞こえるかもしれません。しかし、この視点は、現代世界がいかに相互接続されているか、そしてアメリカが冷淡な孤立主義国家と見なされることが、どれほどアメリカ自身の利益を深く損なうことになるかを考慮に入れていません。

食料支援や感染症対策、サプライチェーンの安定化といったUSAIDの活動は、遠い国の問題への「慈善」であると同時に、アメリカ自身の経済と安全を守るための「投資」でもありました。その投資を突然打ち切ることは、これまで築き上げてきた世界の安定と、アメリカが享受してきた恩恵を自ら手放す行為に他なりません。特に、感染症対策の弱体化は、パンデミックという形で即座に国内に跳ね返ってくるリスクをはらんでいます。また、食料不安や経済的困窮が過激主義の温床となり、テロの脅威を高めることも歴史が証明しています。

さらに、アメリカが人道支援からこれほど急激かつ広範囲に手を引くことは、国際社会における影響力低下を招き、その空白を埋めようとする他の国々、特に中国にとっては、まさに千載一遇の好機となります。中国は既に「一帯一路」構想などを通じて、国際開発プロジェクトに150兆円以上を投資し、世界における影響力を積極的に拡大しています。アメリカが築いてきた信頼とネットワークを放棄することは、長期的に見て、地政学的な競争において自らを不利な立場に置くことになりかねません。

USAIDの予算削減がもたらす影響の全貌は、まだ明らかになり始めたばかりです。しかし、食料、健康、経済、そして安全保障という、国家の根幹に関わる領域において、その負の影響が深刻なものになることは避けられないでしょう。この決定がアメリカ自身にもたらす予期せぬ、そしておそらくは甚大な代償について、私たちは今後も注意深く見守り、議論を深めていく必要があります。

参考:https://www.youtube.com/watch?v=hcvWU6gYpY4

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