株式会社TIMEWELLの濱本です。
AIを活用した事業開発で躓いた経験はないだろうか。要件定義が曖昧でコストが膨れ上がったり、生成AIとのやり取りが思うように進まなかったりと、多くの起業家が同じ壁にぶつかっている。では、どうすればAI時代に適応した事業開発ができるのか。濱本さんが語るのは、リーンキャンバスを活用した具体的な事業設計と、生成AIを「壁打ち相手」として徹底活用する新しいアプローチだ。130名以上が参加するWARPプログラムで実証された、要件定義の精緻化からプロトタイプ開発、そして地域展開まで一気通貫で支援する実践的メソッドが、あなたの事業アイデアを確実に形にする。
講義者
名前:濱本 隆太
所属:株式会社TIMEWELL 共同創業者 兼 代表取締役CEO
信州大学特任准教授
一般社団法人ONE X 共同代表理事
ONE JAPAN 大企業挑戦者支援プログラムCHANGEリード
塩尻市 特任CIO
プロフィール:岡山県出身。2020年4月から一般社団法人ONE Xを創業し、共同代表理事に就任。その後は塩尻市や大田区等の地域支援を推進し、2年連続Work Story Award W受賞、フリーランスパートナーシップアワード2023大賞受賞。
2022年11月に株式会社TIMEWELLを創業。テックとコミュニティの力を通じて、世界NO.1の挑戦インフラを創るというビジョンを掲げ、新規事業の伴走支援、自律型AIエージェント「ZEROCK」の開発を推進。生成AIについて累計100回以上講演し、AI駆動開発の推進にも従事。弊社講座の「SHIFT」は経済産業省認定講座となり、弊社講座の「WARP」は東京都SUTEAMプログラムに採択。横浜ビジネスグランプリ2024優秀賞受賞。経済産業省J-StarX、中小機構FASTAR、神奈川県KSAP選出。
講義者 リーンキャンバスを活用した事業設計 生成AIを壁打ち相手として活用する 要件定義の重要性 実装における注意点 充実した支援メニュー コミュニティの力を活かす まとめ リーンキャンバスを活用した事業設計
私たち株式会社TIMEWELLが運営するWARPプログラムは、AI駆動開発を活用した事業創出を支援するプログラムです。1期から3期まで合わせると、すでに130名規模のコミュニティに成長しています。
このプログラムの最大の特徴は、ビジネス講座とエンジニア講座を組み合わせた実践的なカリキュラムにあります。ビジネス講座は1時間×3回、エンジニア講座は2時間×5回という構成で、事業アイデアの精緻化から実際のアプリケーション開発まで一貫してサポートします
初回の講座では、リーンキャンバスの作成から始めます。私は参加者の皆様に、まずターゲットユーザーを具体的に定義することから始めていただきます。「行政自治体」という漠然とした設定ではなく、どの部署のどういうミッションを持った方なのか。法人ユーザーであれば、DX推進部署なのか、営業部門なのか、研究開発部門なのか。初期にアプローチしたいターゲットを明確にすることが重要です。
次に、そのターゲットが抱える具体的な課題を深掘りします。表面的な問題だけでなく、その裏に潜む根本的な要因まで掘り下げることが大切です。私はよくトヨタの「なぜなぜ分析」を例に出しますが、原因から要因へと深掘りすることで、よりクリティカルな課題にヒットするサービスを作ることができます。
課題の深刻度も重要な検討事項です。深刻でなくてもビジネスになる場合もあります。例えばFacebookは深刻な問題を解決しているわけではありませんが、多くの人が持つ小さな課題を解決することで巨大なビジネスになっています。一方で、より深い課題に突き刺されば、早期のビジネス化やマネタイズが明確になりやすいという利点もあります。
生成AIを壁打ち相手として活用する
私が強調したいのは、このワークショップでChatGPTやClaude、Geminiなどの生成AIを積極的に活用することです。自分だけで考えると八方塞がりになることもありますが、生成AIと相談しながら進めると、意外と賢い相談相手になってくれます。
例えば、競合他社の分析では「こういうサービスを考えているけれど、グローバルで見たら似たようなサービスはありますか?」と聞いてみる。イスラエルやアメリカにはあるけれど日本にはないサービスであれば、タイムマシン的に勝負できる可能性があります。
チャネル戦略の検討でも、生成AIは非常に得意です。「このビジネスで考えられる販売チャネルを10個から20個リストアップして」と指示し、その中から最も効率的なものを選ぶ。このような使い方で、マーケティングコストを抑えながら効果的にお客様にアプローチする方法を見つけることができます。
要件定義の重要性
私が特に強調したいのは、要件定義の重要性です。AI駆動開発をやったことがある方ならわかると思いますが、要件定義を外すと大変なことになります。AIの特性として、ラリーを続けるほどだんだん精度が落ちてくることがあります。しっかりと要件定義で初めの部分を固めておくことが、成功への鍵となります。
だからこそ、ビジネス講座で事業の形をある程度定めてから、エンジニア講座に進む設計にしています。要件定義から開発環境の構築、プロトタイプの実装、そして動作するアプリケーションの完成まで、段階的に進めていきます。
実装における注意点
エンジニア講座では、GitHubなどのツールを活用した開発環境の構築から始めます。私たちが「事故らない開発」と呼んでいる手法を重視しています。一度接続がうまくいかなくなると、はまってしまって抜けられなくなることがよくあるからです。
また、セキュリティホールが生まれにくい工夫も重要です。特にAIを活用した開発では、トークンコストの管理も課題になります。お客様が一人だったとしても、とんでもないヘビーユーザーがいると、想定外のコストがかかることがあります。固定費と変動費をしっかり切り分けて把握することが、ビジネスの持続可能性を高めます。
充実した支援メニュー
私たちのプログラムの特徴は、無料なのに様々な支援が受けられることです。WARPプログラムの修了生は、東京都の支援により、起業登記支援、アプリケーション環境費用の一部支援、地域派遣支援、協業支援など、充実したメニューを用意しています。地域派遣支援や協業支援の枠もあり、早い者勝ちです。自分のサービスを実際にお客様に当てて検証したいけれど、出張費用がないという場合にも活用できます。
コミュニティの力を活かす
このプログラムでは、参加者同士の交流も重視しています。基本的に起業を検討している方が対象なので、大企業所属の方、スタートアップ起業の方、学生の方など、幅広いバックグラウンドを持つ方々が参加しています。肩書きを外して、お互いにサービスをブラッシュアップし合い、時にはお客様を紹介し合う。そういったコミュニティの力が、個々の事業成長を加速させます。
私たちの目標は、AI駆動開発をやったことがない方でも、少なくともプロダクションの手前まで到達できるようにすることです。「とりあえずアプリを作ってスキルだけ身につければいい」という考えもあるかもしれませんが、どうせ作るなら良いものを作りましょう。
最後に、私が大切にしているのは「テキスト・イズ・キング」という考え方です。自分のアイデアや思考をテキストで言語化して残す。それも具体的に残すことが重要です。これらすべてが資産となり、要件定義の材料になります。思考停止にならず、生成AIという強力な壁打ち相手を活用しながら、皆様の事業アイデアを確実に形にしていく。それが私たちWARPプログラムの使命です。
まとめ
私がWARPプログラムを通じて130名以上の参加者と共に実証してきたのは、AI駆動開発における成功の方程式です。それは「精緻な要件定義」「生成AIとの対話的な思考」「コミュニティの相互支援」という3つの要素から成り立っています。
特に重要なのは、生成AIを単なるツールではなく、思考を深める壁打ち相手として活用することです。競合分析、チャネル戦略、プライシング検討など、あらゆる場面で生成AIと対話することで、一人では到達できない深さまで事業アイデアを掘り下げることができます。
また、要件定義の精緻化は、AI駆動開発の成否を分ける最重要ポイントです。曖昧な要件定義のまま開発を進めると、後戻りできない状況に陥ります。だからこそ、リーンキャンバスを使って課題の本質を見極め、提供価値を明確にし、ビジネスモデルを固めてから開発に入ることが不可欠です。
そして、異なるバックグラウンドを持つ参加者同士が肩書きを外して交流し、お互いのサービスをブラッシュアップし合うコミュニティの力。これが個々の事業成長を加速させる原動力となります。
AI時代において、技術だけでも、ビジネスセンスだけでも不十分です。両者を統合し、生成AIを味方につけ、仲間と共に成長する。このアプローチこそが、皆様の事業アイデアを確実に形にし、次の次元へとワープさせる鍵となるのです。
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