株式会社TIMEWELLの濱本です。
AIを活用すれば、プログラミング経験ゼロでも本格的なアプリケーションが作れる時代が到来しました。かつてエンジニアが10年かけて習得した要件定義書の作成技術も、今やAIとの対話で瞬時に完成してしまいます。
今回、安藤義記さんと内藤一樹さんが講師を務めるエンジニア講座1回目では、AIと対話しながらコーディングできるツール「Cursor」を使い、ビジネスアイデアを実際に動くアプリケーションへと変換する手法を学びます。起業を考えているが技術的な壁に直面している人にとって、AIは単なるツールではなく、アイデアを形にする強力なパートナーになることでしょう。
本記事では、エンジニア講座1回目の内容をご紹介します。
講師紹介
名前:安藤 義記
所属:株式会社TIMEWELL テクノロジー部 GM・プリンシパルエンジニア
プロフィール:東京都出身。ロボティクスとAIの研究に情熱を傾け、大学時代には家庭用ロボットのコンテストで世界2位の成績を収めた。
大手電機メーカーにてIoT開発に従事し、10年間で幅広いシステム開発の経験を積む。1000戸を超える住宅区画向けホームマネジメントシステムの仕様設計を主導し、プロジェクトを成功に導く。
ハッカソン、ものづくりイベントへの挑戦を続け、ONE JAPAN Hackathon x Tokaiで大賞を受賞。クラウド技術を独学で習得し、ソーシャルゲームプレイヤー向けサイトを自ら立ち上げ、運営。
趣味はゲームやVTuberなどのオタク文化。ゲームからUIデザインを学び、日々の仕事に活かす。
名前:内藤 一樹
所属:株式会社TIMEWELL 共同創業者 兼 取締役CTO
プロフィール:東京都出身。新卒でNTTアドバンステクノロジに入社。NTTアドバンステクノロジではクラウドサービスを主軸としたSI事業に従事。その後事業会社の新規サービス創出・開発部門のテクニカルリード兼スクラムマスターとしてPOSサービス、デジタルサイネージなどのサービスを開発。個人での活動としてはOSSのコントリビュートやピーク50万PV/月、平均30万PV/月ほどの特定業種向けの転職サイトを開発し運用を行ってきた。現在は、チャレンジャーアシスタントサービス「TIMEWELL」の設計・開発・運用に加え、新たなサービス開発に専念。テクノロジーに対してワクワクしながらも不安を抱える人々や団体、企業を支援。意味的報酬を重視し、As a serviceの活用を駆使し、スピーディに業務を効率化するためのアプリケーションを実装する事が得意。
講師紹介 要件定義書がAI時代に変わった理由 Cursorの基本設定と注意点 AgentとAskの使い分けと便利な参照機能 ビジネス文書をMarkdown形式で効率的に処理 たった2つのプロンプトで要件定義書が完成 最適なAIモデルの選び方と並列処理のテクニック 要件定義特化型サービスも活用しよう まとめ:AIと共に創る新しい開発の形 要件定義書がAI時代に変わった理由
今回のエンジニア講座1回目では、AIを活用してプログラミング経験がなくても本格的なアプリケーションを作る方法をお伝えしていきます。
まず最初にお伝えしたいのは、要件定義書の重要性です。要件定義書というのは、システム開発をする時に「何を作りますか」ということを明確にして、AIに正しく指示するためのドキュメントです。私は前職で10年間これを書き続けていましたが、正直なかなか難しい作業でした。でも今は違います。AIの力を使えば、いつの間にか一流の要件定義書が書けるようになります。
要件定義書には、プロジェクトの背景、ビジネス要件、ユーザーペルソナ、機能要件、非機能要件などを書いていきます。例えば、ログイン機能が必要で、パスワードは英数字を含めなければいけないとか、画面遷移は1秒以内に行われるべきだとか、1万人が同時アクセスしても大丈夫なように設計するとか、そういった細かい内容まで記載します
Cursorの基本設定と注意点
今回の講座で使うのは「Cursor」というツールです。これは従来のVSCodeというエディターをベースに、AIと統合して使いやすくしたものです。メモ帳のコーディング版で、AIの力をバリバリ使いながらコーディングできる次世代のエディターだと考えてください。
Cursorを使う際の注意点がいくつかあります。まず、会社のPCだとセキュリティポリシーに引っかかる可能性があるので、できれば個人のPCを使ってください。また、iCloudやOneDriveなどのクラウドサービスと同期しているフォルダでは使わない方がいいです。パソコンのスペックを食ってしまったり、変な動きをしてしまう可能性があるからです。
設定で重要なのは、プライバシーモードの設定です。右上の歯車ボタンを押して、Generalの一番下にあるPrivacy Modeを選択すると、自分が書いたコードがCursorに学習されなくなります。初めてインストールしてから1日以内に設定しないと自動的に戻ってしまうので、早めに設定してください。
AgentとAskの使い分けと便利な参照機能
実際の使い方ですが、CursorにはAgentとAskという2つの主要な機能があります。Askは単純な質問をする時に使います。例えば「プラットフォームってどういう意味?」といった質問ができます。一方、Agentはコード編集をしたい時に使う機能で、基本的にはこちらを使うことになります。
特に便利なのが、ファイル参照機能です。@マークを使って参照したいファイルやフォルダを指定できます。例えば「@input」と入力すれば、inputフォルダ全体を参照してくれます。ファイルをドラッグ&ドロップで持ってきても同じように参照できます。
ビジネス文書をMarkdown形式で効率的に処理
今回の講座では、皆さんがビジネス講座で作成したドキュメントをインプットとして使います。これらをMarkdown形式に変換してinputフォルダに入れていただきます。Markdownというのは、HTMLのような装飾ができるプレーンテキストで、AIが読みやすい形式です。GoogleドライブでWordファイルを開いて、ダウンロードでMarkdown形式を選択すれば簡単に変換できます。
たった2つのプロンプトで要件定義書が完成
要件定義書の作成は、実はプロンプト2つで完成します。最初のプロンプトで概要を作成し、2つ目のプロンプトで詳細版を作成します。AIが質問してきたら対話しながら修正していけば、自分の思い通りの要件定義書が完成します。
例えば、レスポンス時間が遅く感じる場合は「レスポンス時間が遅く感じるので、一般的にできる範囲で早くしてください」と指示すれば、AIが初期画面表示を3秒から1.5秒に変更する提案をしてくれます。このように対話しながらブラッシュアップしていきます。
最適なAIモデルの選び方と並列処理のテクニック
モデル選びも重要です。歯車ボタンからModelsを選んで、Claude 3.5 Sonnetを選択することをお勧めします。これが料金と性能のバランスが一番いいモデルです。3.5と4では性能差があるので、できれば課金していただいた方がいいアウトプットが出てきます。
複数のチャットを並列で走らせることも可能です。Shiftキーを押しながらプラスボタンをクリックすると、タブが開いて複数のAIとの対話を同時に進められます。私はマルチタスクが苦手なのであまり使いませんが、必要に応じて活用できます。
今回作成した要件定義書は、次回の講座のインプットになります。次回はV0というサービスを使って、簡単にアプリケーションを作る体験をしていただきます。「インベーダーゲームを作って」と一言言うだけで、実際に動くゲームが作れてしまうようなサービスです。
要件定義特化型サービスも活用しよう
世の中にはGearIndigoのような要件定義作成に特化したサービスもあります。皆さんが作った要件定義書を貼り付けると、機能だけでなくシステム図なども含めて綺麗にまとめてくれます。ただし、利用規約をしっかり確認してから使うようにしてください。
AIの時代になって、かつてエンジニアが10年かけて習得していたスキルが、誰でも使えるようになりました。使えるものは使っていき、スピードに合わせてどんどんいいものを作っていってください。Cursorはエンジニアじゃなくても使えます。例えば私たちは、メンタリングの際に皆さんの出席状況やアンケート結果をCSVにしてCursorに入れて、参照しながら進めています。
触ったもの勝ちだと思います。くだらない質問でもいいので、どんどんAIに聞いて慣れていってください。第3回以降は本格的に使っていきますので、それまでに慣れておいていただければと思います。
まとめ:AIと共に創る新しい開発の形
今回の講座では要件定義書作成という、かつてエンジニアが10年かけて習得していたスキルが、AIとの対話によってわずか10分で作成できる時代になったことをお伝えしました。私たちが10年前に手作業で苦労していた作業が、今では2つのプロンプトで完成してしまう。これは単なる効率化ではなく、ものづくりの民主化を意味しています。
Cursorというツールは、単にコードを書くためのエディターではありません。ビジネスアイデアを形にする強力なパートナーです。@マークでファイルを参照し、AgentとAskを使い分け、Claude 3.5 Sonnetのような適切なモデルを選択することで、プログラミング経験がなくても本格的なアプリケーションを作ることができます。
重要なのは、AIは私たちの仕事を奪うものではなく、私たちの創造性を拡張するツールだということです。要件定義書の細かい技術要件は理解できなくても構いません。大切なのは、自分が作りたいもののビジョンを持ち、それをAIと対話しながら具体化していくことです。
エンジニアじゃなくても、アイデアさえあれば、それを形にすることができる。それがAI時代の新しい開発の形です。使えるものは使い、スピードに合わせてどんどんいいものを作っていく。それが今の時代に求められる姿勢です。第3回以降で本格的な開発に入っていきますが、まずはCursorと友達になってください。皆さんの創造性が、AIによって無限に広がることを楽しみにしています。
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