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World ID & Orb完全解説|Sam Altmanが推進する「人間証明」プロジェクトの全貌

2026-01-21濱本

World(旧Worldcoin)は、虹彩スキャンデバイス「Orb」を使って「人間であること」を証明するプロジェクトです。Sam AltmanとTools for Humanity社が推進し、2025年5月に米国ローンチ。3,300万ユーザー、1,750万人が虹彩認証済み。Visa提携、Match Group提携、スーパーアプリ化など急展開。一方で複数国で規制も。本記事では、World IDの仕組み、最新動向、課題を解説します。

World ID & Orb完全解説|Sam Altmanが推進する「人間証明」プロジェクトの全貌
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株式会社TIMEWELLの濱本です。

「あなたは人間ですか、それともAIですか?」

この問いへの答えを提供するのが、Sam Altman(OpenAI CEO)が共同設立した「World」(旧Worldcoin)プロジェクトです。虹彩スキャンデバイス「Orb」を使って「人間であること」を暗号学的に証明し、AI時代のオンライン認証を変革しようとしています。

本記事では、World IDの仕組み、最新動向、そして課題について解説します。

Worldとは:人間証明プロジェクト

基本概要

Worldは、Tools for Humanity社(2019年設立、Sam Altman、Alex Blania共同創業)が開発する人間認証プロジェクトです。

基本情報:

  • 設立: 2019年(Tools for Humanity社)
  • 創業者: Sam Altman、Alex Blania、Max Novendstern
  • リブランド: 2024年10月に「Worldcoin」から「World」へ
  • 目標: 10億人のユーザー獲得

仕組み

World IDの認証フロー:

  1. 「Orb」と呼ばれるデバイスで虹彩をスキャン
  2. 虹彩の特徴から一意の「IrisHash」を生成
  3. ハッシュ値のみがブロックチェーンに記録
  4. 元の虹彩画像は削除
  5. ゼロ知識証明で「人間である」ことのみを証明

プライバシー設計:

  • 虹彩画像はデバイス内で処理、サーバーに送信されない
  • 個人を特定する情報は保存されない
  • ユーザーは「人間である」という事実のみを証明可能

2025-2026年の急展開

ユーザー数の推移

時期 World Appユーザー 虹彩認証済み
2025年2月 2,500万 -
2025年9月 3,300万 1,500万
2025年11月 - 1,750万

目標の10億人に対しては約2%の進捗ですが、着実に拡大しています。

米国ローンチ(2025年5月)

2025年5月1日、Worldは米国での本格展開を開始しました。

米国展開:

  • 初期ロケーション: アトランタ、オースティン、ロサンゼルス、マイアミ、ナッシュビル、サンフランシスコ
  • Razerストア: 全米のRazerストアにOrb設置
  • 目標: 2025年末までに7,500台のOrbを全米展開
  • 対象人口: 約1億8,000万人のアメリカ人にアクセス提供

Orb Mini(2026年予定)

現行の大型Orbに加え、スマートフォンサイズの「Orb Mini」が2026年に登場予定です。

Orb Miniの特徴:

  • ポータブルサイズ
  • 目立つアイセンサー搭載
  • より広範な普及を目指す

主要パートナーシップ

Visa提携:

  • World IDと連携したデビットカードプロジェクト
  • 暗号資産と従来の決済インフラの橋渡し

Match Group提携:

  • Tinder等のマッチングアプリでWorld ID活用
  • 「本物の人間」同士のマッチングを保証

Razer提携:

  • ゲームでの「人間専用」モード/サーバー
  • ボット排除によるフェアなゲーム環境

スーパーアプリ化(2025年12月)

2025年12月、World Appは大幅アップデートでスーパーアプリへと進化しました。

新機能:

  • 暗号化チャット: プライベートメッセージング
  • Venmoライクな送金: 暗号資産の送受信・リクエスト
  • 決済機能: 日常的な支払いに対応

規制と課題

各国での規制・調査

World/Worldcoinは、複数の国で規制や調査の対象となっています。

国・地域 状況
ケニア 2025年5月、収集した生体データの削除命令
ドイツ プライバシー調査
スペイン データ保護当局による調査
ポルトガル 調査中
ブラジル 調査中
香港 制限措置
インド 調査中
韓国 調査中
コロンビア 調査中

特にケニアでは、初期の大規模な登録活動の後、生体データの削除を命じられるという事態に発展しました。

セキュリティ上の懸念

Forresterの分析によると、虹彩スキャンには以下の課題があります。

指摘されている懸念:

  • プレゼンテーション攻撃: 写真やコンタクトレンズを使った偽装の可能性
  • 過去の事例: 2016年、Galaxy Note 7の虹彩スキャナーが1年以内にハッキングされた
  • Orb Mini: 個人デバイスとして普及した場合、同様の脆弱性が懸念される

プライバシーへの批判

批判的な見解:

  • 虹彩という究極の生体情報を収集することへの懸念
  • 「削除する」と言っているが検証が困難
  • 新興国での登録活動が「搾取的」との指摘
  • 暗号資産(WLDトークン)との結びつきへの疑問

World IDの活用シナリオ

期待される用途

1. SNS・オンラインプラットフォーム

  • ボットアカウントの排除
  • フェイクアカウントによる情報操作防止
  • 健全なコミュニティ形成

2. Eコマース・チケット販売

  • 転売ボットの排除
  • 1人1購入の保証
  • 公平な購入機会の提供

3. オンライン投票・調査

  • 1人1票の保証
  • 重複投票の防止
  • 信頼性の高い意見収集

4. 金融・行政サービス

  • 本人確認の効率化
  • デジタルIDとしての活用
  • 金融包摂(銀行口座を持てない人へのアクセス提供)

企業での検討ポイント

企業がWorld IDの導入を検討する際は、以下の点を考慮する必要があります。

導入のメリット:

  • ボット・不正アカウントの排除
  • ユーザー認証の強化
  • AI時代の「人間性」保証

考慮すべきリスク:

  • 規制環境の不確実性(複数国で調査中)
  • ユーザーの生体認証への抵抗感
  • 技術的な脆弱性の可能性
  • 暗号資産との結びつきに対する懸念

当時と現在:Worldの進化

本記事の元となった情報と比較して、Worldは大きく進化しています。

当時(2024年後半):

  • Worldcoinとして展開
  • 限られた国での稼働
  • 機能はID認証に限定

現在(2026年1月):

  • 「World」にリブランド
  • 米国本格ローンチ(7,500 Orb目標)
  • 3,300万ユーザー、1,750万人認証済み
  • Visa、Match Group、Razerと提携
  • スーパーアプリ化(チャット、決済)
  • Orb Mini(2026年)発表
  • 複数国で規制・調査

Sam Altman氏は、OpenAI(AI)とWorld(人間証明)という「二重インフラ」を構築することで、AI時代のガバナンスを形作ろうとしているとも言われています。

まとめ

Worldは、AI時代における「人間であることの証明」という課題に取り組む野心的なプロジェクトです。

本記事のポイント:

  • 虹彩スキャン「Orb」で人間であることを証明
  • 3,300万ユーザー、1,750万人が認証済み
  • 2025年5月に米国ローンチ、7,500 Orb展開予定
  • Visa、Match Group、Razerと提携
  • スーパーアプリ化(チャット、送金、決済)
  • 複数国で規制・調査(ケニアはデータ削除命令)
  • Orb Miniが2026年登場予定

AIとボットが氾濫するオンライン環境において、「人間であること」を証明するニーズは確実に存在します。しかし、虹彩という究極の生体情報を使うアプローチには、プライバシーや規制面での課題も多く、その普及は一筋縄ではいきません。Worldの今後の展開と、各国の規制対応に注目が集まります。

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