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挑戦者

アトピーに苦しむ子どもたちを救いたい|神戸大学発ベンチャーSkinNotesの挑戦をTIMEWELLが支援

2026-02-04濱本 隆太
スタートアップ支援アトピー性皮膚炎緑茶染め神戸大学SkinNotesSDGs

神戸大学発スタートアップ「SkinNotes」は、アトピー患者3名が立ち上げた緑茶染めインナーシャツのベンチャー。TIMEWELLは自らもアトピーに苦しんだ経験から、この挑戦を支援することを決めました。

アトピーに苦しむ子どもたちを救いたい|神戸大学発ベンチャーSkinNotesの挑戦をTIMEWELLが支援
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株式会社TIMEWELLの濱本です。

今回は少し私的な話から始めさせてください。私は幼少期からアトピー性皮膚炎に苦しんできました。目の周り、腕の内側、膝の裏——これらの部位は常に痒く、掻きむしっては悪化するという悪循環の中で過ごしてきました。

幼少期の濱本。アトピーの症状が見える

写真は幼稚園時代の私です。一見普通に見えるかもしれませんが、よく見ると膝の裏や腕にアトピーの症状が出ています。当時から「服を長時間着ていると症状が悪化する」という体感がありました。制服を着る時間が長い日は特にひどく、帰宅すると真っ先に着替えて、痒みと戦っていた記憶があります。

そんな原体験があるからこそ、今回ご紹介する神戸大学発スタートアップ「SkinNotes」の取り組みを知ったとき、すぐに支援を決めました。

SkinNotesとは?アトピー患者3名が立ち上げた挑戦

SkinNotesは、神戸大学起業部に所属する学生3名が立ち上げたスタートアップです。特筆すべきは、創業メンバー全員がアトピー性皮膚炎の当事者であるということ。

メンバー 役職 アトピー歴 背景
竹内 悠人 代表 約20年 幼少期から症状に悩み、茶の研究に着目
中野 匠 CSO 約20年 症状が原因でいじめを経験。心理的側面にも注力
北野 まどか CMO 約20年 顔の乾燥に悩み続ける。マーケティング担当

彼らの掲げるミッションは「アトピー性皮膚炎患者さんが明るく前向きに生きられる社会へ」。

このミッションは単なるスローガンではありません。自分たちが20年近く苦しんできた経験から、患者の本当のペインポイントを理解しています。治療を続けることの精神的負担、周囲の目、そして「自分だけが苦しんでいる」という孤独感——これらすべてを知っているからこそ、製品開発だけでなく、コミュニティづくりにも力を入れています。

なぜ「緑茶染め」なのか?科学的根拠に基づくアプローチ

緑茶染めインナーシャツ

SkinNotesの製品の核となるのが「緑茶染め」という技術です。一見すると斬新に聞こえますが、これには確かな科学的根拠があります。

アトピーと黄色ブドウ球菌の関係

アトピー性皮膚炎の患者の皮膚には、健常者と比べて黄色ブドウ球菌が多く存在することが知られています。この菌が増殖すると炎症が悪化し、さらに痒みが増すという悪循環に陥ります。

私自身、「掻きむしった部分がジュクジュクして、さらに広がっていく」という経験を何度もしてきました。これはまさに黄色ブドウ球菌による二次感染の症状です。

緑茶カテキンの抗菌パワー

緑茶に含まれるカテキン、特に**エピガロカテキンガレート(EGCG)**は、強力な抗菌作用を持っています。

日本カテキン学会によると、カテキンは抗生物質に耐性を持つ**MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)**に対しても有効性が示されています。実際に、聖隷浜松病院ではMRSA対策に緑茶が活用されてきた実績もあります。

SkinNotesの緑茶染め製品は、10回洗濯後も黄色ブドウ球菌に対して99.9%の抗菌効果を維持することが確認されています。

べにふうき茶の研究成果

さらに注目すべきは「べにふうき茶」の研究です。農研機構の研究によると、べにふうき茶エキスを含むクリームを塗った部位では、ステロイドの使用量や症状が減少することがわかっています。

株式会社バスクリンの研究でも、べにふうき茶エキスの経皮投与により、掻く回数の抑制肥満細胞・好酸球の減少が認められました。

製品へのこだわり——当事者だからわかる細部設計

SkinNotesのインナーシャツには、アトピー患者ならではの細やかな配慮が詰まっています。

製品仕様

特徴 詳細
素材 100%オーガニックコットン
染料 静岡県産の廃棄茶葉を使用
縫製 脇腹の縫い目をなくしたシームレス設計
タグ プリントオンタグ採用(取り外し可能なネームタグ)
サイズ キッズ(110-150)、メンズ
価格 キッズ4,980円、メンズ9,800円

特に「脇腹の縫い目をなくした設計」は、私も「あ、わかってるな」と感じたポイントです。アトピー患者にとって、縫い目や化学繊維による物理的刺激は大敵。些細に見えるこの配慮が、日常の快適さを大きく左右します。

環境にも配慮したサステナブルな製造

緑茶染めに使用する茶葉は、通常であれば**形が悪いという理由で廃棄される「規格外茶葉」**です。カテキンなどの成分は通常の茶葉と変わらないにもかかわらず、商品として流通しないもの。

SkinNotesはこの廃棄茶葉をアップサイクルすることで、環境負荷を低減しながら、静岡県の茶農家の収入源にもなるという、サーキュラーエコノミーを実現しています。

この取り組みが評価され、SDGs未来ビジネス学生プランコンテスト2024でグランプリを受賞しました。

日本のアトピー性皮膚炎の現状——患者数は100万人超

ここで、日本におけるアトピー性皮膚炎の現状を確認しておきましょう。

年齢別有症率

厚生労働省の調査によると、アトピー性皮膚炎の有症率は以下の通りです。

年齢 有症率
4ヶ月児 12.8%
1歳6ヶ月児 9.8%
3歳児 13.2%
小学1年生 11.8%
小学6年生 10.6%
大学1年生 8.2%
20代成人 10.2%

つまり、子どもの約10人に1人がアトピー性皮膚炎を抱えているのです。

増加する患者数

さらに深刻なのは、患者数が増加傾向にあることです。厚生労働省「患者調査」によると、国内の患者数は2008年の35万人から2020年には125万人へと3.5倍以上に増加しています。

治療法は進歩していますが、「画期的」とされる新薬でも、すべての患者に届いているわけではありません。日常生活の中で症状を軽減する工夫——SkinNotesのような製品——の需要は、今後さらに高まると考えられます。

TIMEWELLが支援を決めた理由

クラウドファンディング支援者一覧

TIMEWELLは、SkinNotesのクラウドファンディング(CAMPFIRE)を支援しました。

支援を決めた理由は、大きく3つあります。

1. 当事者意識の高さ

創業メンバー全員がアトピー患者であり、自分たちの経験から製品を開発している。これは「誰のための製品か」が明確であり、ユーザーのペインポイントを深く理解していることを意味します。

私自身、アトピーに苦しんだ経験があるからこそ、彼らの想いに強く共感しました。

2. 科学的根拠に基づくアプローチ

「緑茶が体に良さそう」という曖昧なイメージではなく、カテキンの抗菌作用という科学的エビデンスに基づいて製品開発を行っています。

神戸大学農学研究科の山下准教授との連携、皮膚科医によるパッチテストの実施など、大学発ベンチャーならではの知見を活かしています。

3. SDGsとビジネスの両立

廃棄茶葉のアップサイクル、地域の職人技術の継承、患者コミュニティの構築——社会課題の解決とビジネスを両立させようとする姿勢に、次世代の起業家としての可能性を感じました。

SkinNotesの実績と今後の展開

SkinNotesは設立から短期間で、数多くの成果を上げています。

受賞歴・実績

  • SDGs未来ビジネス学生プランコンテスト2024 グランプリ・TOPPAN賞・ヤマト住建賞
  • Japan Business Design&Action Award 2023-2024 HISCO賞
  • 第2回神戸大学ビジネスプランコンテスト SMBC賞・神戸市賞
  • 第3回学生ビジネスプランコンテストO-BUCs 理事長賞(最優秀賞)
  • 兵庫県ものづくり支援プログラム 選出

クラウドファンディング結果

2024年12月26日〜2025年1月30日に実施されたCAMPFIREでのクラウドファンディングでは、91名の支援者から630,025円(目標50万円の126%)を達成しました。

これまでの歩みと今後の展開

  • 2025年9月〜10月: 大阪・関西万博にて展示を実施
  • 製品ラインナップ拡充(グローブ、タオル等)を推進中
  • アトピー患者コミュニティプラットフォームの構築に向けて活動中

まとめ:当事者が社会を変える力

SkinNotesの挑戦は、「当事者だからこそ見える課題がある」ということを示しています。

アトピー性皮膚炎は、外から見えにくい苦しみです。「痒いだけでしょ」と言われることも多く、その辛さを理解されにくい。だからこそ、当事者が立ち上がり、製品を作り、コミュニティを育てることに大きな意味があります。

TIMEWELLとしても、このような社会課題の解決に真剣に取り組むスタートアップを、今後も積極的に支援していきたいと考えています。

SkinNotes公式サイト


参考文献

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