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AIに書かせた文章が「キモい」問題と、私がたどり着いた答え

2026-02-09濱本 隆太
AIライティング文章術プロンプトAIエージェント

AIが書いた文章はなぜ「キモい」と感じるのか。AI臭の正体を5つのパターンに分解し、ライター講座で学んだスキルをAIにインストールして人間味を取り戻した実体験を語ります。

AIに書かせた文章が「キモい」問題と、私がたどり着いた答え
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こんにちは、TIMEWELLの濱本です。今日はテック関連のサービスご紹介…ではなく、もう少し泥臭い話をさせてください。AIと文章についての話です。

正直に言います。この記事、下書きはAIに書かせています。

でも、たぶん読んでいて「あ、これAIだな」とは感じないんじゃないかと思います。少なくとも、そうなるように仕上げたつもりです。なぜそんなことができるようになったのか。それが今日の本題です。

ライター講座に通った話

私は株式会社TIMEWELLの代表をやりながら、信州大学で特任准教授もやっています。AIエージェントの開発が本業なので、当然AIには日常的に触れています。でも、だからこそ痛感したことがあります。

自分の言葉で書けないと、AIにも書かせられない。

これ、意外と見落とされがちなんですよね。AIに「いい感じに書いて」と頼んでも、「いい感じ」の定義が自分の中にないと、出てきたものの良し悪しが判断できない。だから私は、遠回りに見えるかもしれないけれど、ライター講座に通いました。

構成の組み立て方、読者の引き込み方、一文の長さのコントロール。プロのライターがどうやって文章にリズムを作っているのか。座学と実践を繰り返して、自分なりのライティングスキルを身につけていきました。

ここまでは順調だったんです。

AIに書かせたら、全部台無しになった

ライティングの基礎を身につけた私は、意気揚々とAIに記事を書かせてみました。「私が学んだことをプロンプトに落とし込めば、最高の記事が量産できるはずだ」と。

結果は、散々でした。

文法は正しい。情報も間違っていない。でも、何度読んでも心が動かない。まるで、よくできた取扱説明書を読んでいるような気分。私が講座で学んだ「読者の心を掴む」という感覚が、AIの出力からはごっそり抜け落ちていたのです。

しかも厄介なのが、パッと見では気づきにくいこと。誤字脱字なら一発でわかります。でもAI臭は、なんとなく「気持ち悪い」「読みたくない」という感覚として現れるだけで、原因を特定しづらい。

「AI臭」の正体を突き止めた

悔しかったので、徹底的に分析しました。AIが書いた文章と、自分が手で書いた文章を並べて、何が違うのかを一つひとつ洗い出していったのです。

見えてきたのは、大きく分けて5つのパターンでした。

パターン1:記号が残る

これが一番わかりやすい。AIはMarkdown記法で思考するので、太字のアスタリスクが残っていたり、言い換えのときにダッシュを使ったり、概念をスラッシュで並列させたりする。人間は普通、こんな書き方をしません。

あと、括弧の使い方。AIは補足を括弧に逃がす癖があって、しかもその括弧の中で「ただし状況によります」みたいな責任回避をする。これ、見つけた瞬間に「あ、AIだ」ってなります。

パターン2:リズムが死んでいる

「〜です。〜です。〜です。〜でしょう。」

語尾が単調。接続詞が多い。「さらに」「また」「したがって」が連打される。文章の温度が最初から最後まで一定で、どこがサビなのかわからない。

人間の文章って、もっとデコボコしているんですよね。短い文がポンと来たかと思えば、次は長い文がうねるように続く。そのリズムの変化が、読んでいて心地いい。AIにはそれがない。

パターン3:前置きがくどい

「ご質問ありがとうございます。業務効率化は現代のビジネスにおいて非常に重要なテーマです。以下では、その具体的な手法について解説します。」

…いや、早く本題に入ってくれ、と思いませんか。

AIは丁寧すぎるのです。見出しで「業務効率化の方法」と書いてあるのに、本文でもう一度「これから業務効率化について説明します」と宣言する。親切といえば親切ですが、読者としてはくどい。

パターン4:何も言い切らない

「一概には言えませんが、一般的には有効だと考えられます。」

AIは常に逃げ道を用意します。「ケースバイケースです」「価値観によります」「短期で見るか長期で見るかによります」。何か言っているようで、何も言っていない。

これは、AIが「有害なことを言わない」ように厳しく調教されている副作用です。断定すると間違いのリスクがある。だから全方位に配慮した、毒にも薬にもならない文章になる。

気持ちはわかる。でも、読者が求めているのは「で、あなたはどう思うの?」という部分なんですよね。

パターン5:抽象語で押し切る

「本質を押さえ、最適化し、価値を最大化することが重要です。」

読んでいて、頭の中に何の映像も浮かばない。「本質」って何?「最適化」って具体的にどうすること?「価値の最大化」って、何がどうなること?

AIは抽象的な概念を自信満々に語るくせに、具体的な絵を描くのが苦手です。「非常に有効です」「大きなメリットがあります」と強い評価を下すのに、その根拠がどこにもない。情報商材のセールスページかと思うことすらあります。

なぜAIはこうなってしまうのか

理由は「AIの性格」ではなく、仕組みの問題です。

まず、AIは大量のテキストから「次に来やすい言葉」を選び続けて文章を組み立てます。学習元にはマニュアル、FAQ、研修資料、一般向けの解説記事が大量に含まれています。これらの文章は、誤解を避けるために前置きがあり、構造を宣言し、注意書きを添え、まとめを繰り返すのが特徴です。AIはその「平均的な型」を最も効率よく出力するので、結果としてテンプレ感が強くなる。

次に、安全制御の問題。AIは「有害なことを言わない」「嘘をつかない」ように厳しく訓練されています。その副作用として、「Aだ」と言い切ることを避け、「Aという見方もありますが、Bという側面もあります」と全方位に配慮した文章を出すようになります。

そして、英語の影響。何だかんだ言って、大規模言語モデルの基盤は英語です。英語の論理構造や、英語圏のドキュメント文化で骨組みを作り、それを日本語に翻訳している。だから文法は正しい日本語なのに、リズムや記号の使い方だけが妙に洋風な文章ができあがるのです。

転機:「スキル」という発想

ここまで分析して、私は一つの仮説を立てました。

AIに毎回プロンプトで「人間っぽく書いて」と指示するのは、その場しのぎでしかない。必要なのは、私のライティング哲学や文体のクセを体系化して、AIにインストールすることではないか、と。

私たちTIMEWELLはAIエージェントの開発をしています。その中で「スキル」という概念に出会いました。スキルとは、特定のタスクを遂行するための専門知識や手順をパッケージ化したもの。AIエージェントに新しい能力を追加するための仕組みです。

この発想を、ライティングに応用しました。「人間らしい文章を書く」というスキルを作り、AIにインストールする。単発のプロンプトではなく、再利用可能な知識体系として。

私が作った「人間味スキル」の中身

試行錯誤を重ねて完成したスキルの核心は、AIが得意なことの「逆」を意図的にやらせることでした。AIが客観的なら、主観を入れる。AIが論理的なら、論理を崩す。AIがバランスを取るなら、バランスを壊す。

具体的には、3つの「崩し」をルール化しました。

崩し1:バランスを壊す

AIは常に中立であろうとします。メリットとデメリットを均等に並べ、「どちらも大切です」で締める。でも、そんな文章は誰の心にも刺さりません。

だから私のスキルでは、AIに「スタンスを取れ」と指示しています。メリットとデメリットのどちらが大きいのか。A案からC案のうち、推しはどれか。賛成なのか反対なのか。逃げずに言い切る。

すると、バランスが崩れて、賛否を生む文章になります。賛否があるということは、読者の感情が動いているということ。それでいいのです。

崩し2:客観を壊す

ファクトやデータの収集は、もうAIに任せればいい。人間がAIと同じ土俵で戦う必要はありません。

私のスキルでは、AIの出力に対して「主観と一次情報を盛り込め」と指示しています。個人的な体験、失敗談、偏った価値観。遠慮せずに入れる。

たとえば、この記事でいえば「ライター講座に通った」「AIに書かせたら散々だった」という私自身の体験が、それにあたります。これはAIが生成できない情報です。だからこそ、文章に血が通う。

正直に言えば、私の主観なんて偏りまくっています。「AIエージェントの開発者なのにAIの文章に不満を持っている」なんて、矛盾しているように聞こえるかもしれない。でも、その矛盾こそが人間らしさだと思うのです。

崩し3:論理を壊す

完璧に整理された文章は、読みやすいけれど、心に残らない。

話が行ったり来たりする。少し矛盾している。本筋と関係ない雑談が挟まる。こうした「論理の揺らぎ」が、書き手の思考過程や葛藤を映し出して、読者に親近感を抱かせます。

もちろん、ビジネスメールや提案資料ではロジカルに整えるべきです。でも、ブログやコラムのような読み物では、結論にたどり着くまでの寄り道や感情の動きをダラダラと語ってみる。すると、AIっぽさは消えます。

読者に思考の過程を追体験してもらう。これは、人間にしかできないことです。

スキルを適用した結果

このスキルを作ってから、AIとの協業が劇的に変わりました。

以前は、AIが出力した文章を読んで「なんか違う…」とモヤモヤしながら、手作業で全面的に書き直していました。それでは、AIを使う意味がほとんどありません。

今は違います。AIが下書きを出す段階で、すでに「崩し」が入っている。私の文体のクセや、スタンスの取り方が反映されている。だから、私がやるのは最終的な微調整だけ。体感で、記事作成にかかる時間が半分以下になりました。

しかも、読者からの反応も変わりました。「濱本さんの記事は読みやすい」「AIっぽくない」という声をいただくようになったのです。

この記事自体が、その証拠です

ここまで読んでいただいた方はお気づきかもしれませんが、この記事自体が「人間味スキル」を適用して書かれています。

冒頭で「下書きはAIに書かせています」と正直に告白しました。途中で「悔しかった」「散々だった」という感情を入れました。論理的な分析パートと、個人的な体験談を行ったり来たりさせました。「情報商材のセールスページかと思う」なんて、AIなら絶対に書かない表現も入れました。

これらはすべて、スキルに組み込んだ「崩し」のルールに基づいています。

完璧な文章を目指すのではなく、人間らしい不完全さを意図的に設計する。それが、AI時代のライティングにおける私の答えです。

まとめに代えて

AIの文章が「キモい」と感じる時代は、裏を返せば、人間らしい文章の価値がかつてないほど高まっている時代でもあります。

ライター講座で学んだことは無駄ではありませんでした。むしろ、自分でライティングスキルを身につけたからこそ、AIの出力の何が足りないのかを正確に言語化でき、それをスキルとして体系化できた。遠回りに見えた道が、結局は最短ルートだったのです。

AIをただの文章生成マシンとして使うのか、それとも自分の「分身」として育てるのか。その違いは、スキルの有無にあると私は確信しています。

皆さんも、自分だけの「人間味スキル」を作ってみてください。AIとの付き合い方が、きっと変わるはずです。


濱本 隆太 株式会社TIMEWELL 共同創業者 兼 代表取締役CEO / 信州大学 特任准教授

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