【2026年版】取引先調査(エンドユーザー確認)の実務|外国ユーザーリスト・Entity Listの照合方法
株式会社TIMEWELLの濱本です。
「この取引先、大丈夫だろうか...」
海外取引を行う際、取引先が信頼できるかどうかは非常に重要な問題です。特に輸出管理においては、取引先が大量破壊兵器の開発に関与している組織や軍事機関でないかを確認する義務があります。
この確認を怠ると、「知らなかった」では済まされない外為法違反のリスクを負うことになります。
本記事では、取引先調査(エンドユーザー確認・カスタマースクリーニング)の具体的な方法を、外国ユーザーリストや米国Entity Listの使い方とともに、実務に即して解説します。
要約(この記事でわかること)
- 取引先調査の義務:輸出者には最終用途・最終需要者を確認する義務がある
- 外国ユーザーリスト:経産省が公表する懸念対象組織のリスト(748団体)
- Entity List:米国BISが管理する輸出禁止対象リスト
- 調査の方法:リスト照合、ウェブ調査、直接確認の組み合わせ
- 調査量の現実:複数リストの照合、多言語対応など膨大な業務
目次
- 取引先調査(エンドユーザー確認)とは?
- なぜ取引先調査が必要なのか
- 外国ユーザーリストの使い方
- 米国Entity ListとConsolidated Screening List
- 取引先調査の具体的な手順
- 不自然な取引の見分け方(レッドフラグ)
- AIで取引先調査を効率化する方法
取引先調査(エンドユーザー確認)とは?
定義
**取引先調査(エンドユーザー確認)とは、輸出する貨物や提供する技術の最終用途(End-Use)と最終需要者(End-User)**を確認し、安全保障上の問題がないかを審査する業務です。
英語では「Customer Due Diligence」「End-User Screening」「Customer Screening」などと呼ばれます。
確認すべき3つの要素
取引先調査では、以下の3つの要素を確認します。
| 要素 | 確認内容 |
|---|---|
| 最終用途(End-Use) | 輸出品が何に使われるか |
| 最終需要者(End-User) | 実際に使用する組織・人物 |
| 仲介者(Intermediary) | 商流に入る商社・代理店 |
輸出管理における位置づけ
取引先調査は、輸出管理プロセスの中で以下のように位置づけられます。
【ステップ1】該非判定(リスト規制チェック)
↓
【ステップ2】取引先調査(用途・需要者の確認)← ここ
↓
【ステップ3】許可申請の要否判断
↓
【ステップ4】輸出・出荷管理
なぜ取引先調査が必要なのか
法的義務
外為法は、輸出者に対して「用途・需要者の確認義務」を課しています。
特にキャッチオール規制では、以下の2つの場合に許可申請が必要です。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 客観要件(インフォーム) | 経産大臣から通知を受けた場合 |
| 主観要件(キャッチ) | 輸出者自身が懸念を知った場合 |
つまり、「知らなかった」では済まされません。知るべきことを調べなかったことも問題になります。
違反した場合のリスク
取引先調査を怠り、懸念のある相手に輸出した場合、以下のリスクがあります。
| リスク | 内容 |
|---|---|
| 刑事罰 | 10年以下の拘禁、10億円以下の罰金(法人) |
| 行政制裁 | 3年以内の輸出禁止、企業名公表 |
| レピュテーション損害 | 社会的信用の失墜 |
| 取引停止 | 主要取引先からの取引停止 |
過失でも責任を問われる
外為法違反は過失でも行政制裁の対象となります。「相手を信じた」「確認する手段がなかった」という言い訳は通用しません。
外国ユーザーリストの使い方
外国ユーザーリストとは
外国ユーザーリストは、経済産業省が公表する「大量破壊兵器等の開発等の懸念が払拭されない外国所在団体」のリストです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 管轄 | 経済産業省 |
| 掲載数 | 748団体(2025年9月改正時点) |
| 対象国 | 15カ国・地域 |
| 更新頻度 | 随時(年に数回改正) |
リストに掲載されている国・地域
主な掲載国・地域は以下の通りです。
- 中国
- 北朝鮮
- イラン
- パキスタン
- インド
- シリア
- ロシア(追加)
- その他
リストの使い方
ステップ1:経産省ウェブサイトからダウンロード
外国ユーザーリストは、経済産業省のウェブサイトから無料でダウンロードできます。
ステップ2:取引先名を照合
取引先の名称を、リストに掲載されている組織名と照合します。
ステップ3:表記揺れに注意
以下のような表記揺れに注意が必要です。
| パターン | 例 |
|---|---|
| 言語の違い | 英語名、現地語名 |
| 略称 | University → Univ. |
| 新旧名称 | 組織名変更 |
| 関連組織 | 子会社、傘下機関 |
掲載されていた場合の対応
外国ユーザーリストに掲載されている組織への輸出は、大量破壊兵器等の開発に用いられないことが明らかな場合を除き、許可申請が必要です。
米国Entity ListとConsolidated Screening List
なぜ米国のリストも確認が必要か
日本の法令上、日本の輸出者が確認を義務付けられているのは「外国ユーザーリスト」のみです。
しかし、以下の理由から米国のリストも確認することが推奨されています。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 二次制裁リスク | 米国制裁対象者との取引で米国からの制裁 |
| 米国原産品の再輸出 | 米国製部品を含む製品は米国法が適用 |
| 取引先の信頼性 | 米国リスト掲載は懸念のサイン |
| グローバル基準 | 多くの企業が米国リストも確認 |
Entity Listとは
Entity Listは、米国商務省産業安全局(BIS)が管理する、輸出規制対象者のリストです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 管轄 | 米国商務省(BIS) |
| 掲載数 | 数百の組織 |
| 効果 | 米国原産品・技術の輸出禁止 |
| 更新頻度 | 随時 |
Consolidated Screening List
Consolidated Screening Listは、米国政府が提供する「統合スクリーニングリスト」です。
複数の規制リストを横断検索できるため、効率的な確認が可能です。
| 含まれるリスト | 管轄機関 |
|---|---|
| Entity List | 商務省(BIS) |
| SDN List | 財務省(OFAC) |
| Denied Persons List | 商務省(BIS) |
| Unverified List | 商務省(BIS) |
| Military End User List | 商務省(BIS) |
| その他 | 国務省等 |
確認方法
米国政府は、オンラインで検索できるツールを提供しています。
- Consolidated Screening Listのウェブサイトにアクセス
- 取引先名を入力
- ヒットした場合は詳細を確認
取引先調査の具体的な手順
調査フローの全体像
【ステップ1】基本情報の収集
↓
【ステップ2】規制リストとの照合
↓
【ステップ3】追加調査(ウェブ調査等)
↓
【ステップ4】直接確認(必要に応じて)
↓
【ステップ5】判定・記録
ステップ1:基本情報の収集
まず、取引先について以下の情報を収集します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 法人名(現地語・英語) |
| 所在地 | 国、都市、住所 |
| 業種 | 事業内容 |
| 代表者 | 経営者、キーパーソン |
| 最終用途 | 輸出品の使用目的 |
ステップ2:規制リストとの照合
以下のリストと照合します。
| リスト | 確認目的 |
|---|---|
| 外国ユーザーリスト | 日本の法的義務 |
| Entity List | 米国規制リスク |
| SDN List | 制裁対象確認 |
| 国連制裁リスト | 国際制裁確認 |
ステップ3:追加調査(ウェブ調査等)
リストに掲載されていなくても、以下の調査を行います。
| 調査方法 | 確認内容 |
|---|---|
| 公式ウェブサイト | 事業内容、顧客、取引先 |
| ニュース検索 | ネガティブニュースの有無 |
| 登記情報 | 法人の実在確認 |
| 業界情報 | 業界での評判 |
ステップ4:直接確認(必要に応じて)
懸念が残る場合は、取引先に直接確認します。
| 確認事項 | 具体的な質問 |
|---|---|
| 最終用途 | 「製品をどのような目的で使用しますか?」 |
| 再輸出 | 「第三国への再輸出の予定はありますか?」 |
| 軍事関係 | 「軍・軍関連機関との取引はありますか?」 |
| 誓約書 | 用途・再輸出に関する誓約書の取得 |
ステップ5:判定・記録
調査結果を基に、取引の可否を判定し、記録を残します。
| 判定結果 | 対応 |
|---|---|
| 問題なし | 取引実行、記録保管 |
| 懸念あり | 追加確認、許可申請検討 |
| 取引不可 | 取引中止 |
不自然な取引の見分け方(レッドフラグ)
レッドフラグとは
**レッドフラグ(Red Flag)**とは、取引に安全保障上の懸念があることを示す「警告サイン」です。
以下のようなサインが見られた場合は、追加調査が必要です。
需要者に関するレッドフラグ
| サイン | 詳細 |
|---|---|
| 会社情報が不明確 | ウェブサイトがない、事業内容が不明 |
| 軍事関連の可能性 | 国防省、軍、軍事研究機関との関係 |
| リスト掲載組織との関係 | 懸念組織の子会社、関連会社 |
| 所在地の不自然さ | ペーパーカンパニーの可能性 |
用途に関するレッドフラグ
| サイン | 詳細 |
|---|---|
| 用途を説明できない | 「何に使うかは言えない」 |
| 用途と製品が不一致 | 農業会社が高性能計測器を購入 |
| 過剰な数量 | 業務規模に対して過大な発注 |
| 技術サポート不要 | 「サポートは不要」と言う |
取引条件に関するレッドフラグ
| サイン | 詳細 |
|---|---|
| 現金払い | 高額製品を現金で支払う |
| 異常な価格 | 市場価格を大幅に上回る支払い |
| 急ぎの発注 | 「すぐに出荷してほしい」 |
| 書類回避 | 「契約書は不要」と言う |
配送に関するレッドフラグ
| サイン | 詳細 |
|---|---|
| 配送先の不一致 | 注文者と配送先が異なる国 |
| フリーゾーン経由 | 規制の緩い地域を経由 |
| 中継地の多さ | 不必要に複雑なルート |
| 梱包の要求 | 「目立たない梱包で」 |
AIで取引先調査を効率化する方法
取引先調査の課題
取引先調査には、以下のような課題があります。
| 課題 | 詳細 |
|---|---|
| 複数リストの照合 | 外国ユーザーリスト、Entity List、SDN List等 |
| 表記揺れへの対応 | 多言語、略称、新旧名称 |
| 関連組織の特定 | 子会社、傘下機関の把握 |
| リストの更新 | 頻繁な改定への追従 |
| 膨大な件数 | 新規・継続取引すべてが対象 |
これらを人手で行うには限界があります。
調査工数の現実
一般的な取引先調査にかかる工数の目安:
| 作業 | 所要時間 |
|---|---|
| 基本情報収集 | 15分〜30分 |
| リスト照合(複数) | 30分〜1時間 |
| ウェブ調査 | 30分〜1時間 |
| 記録作成 | 15分〜30分 |
| 合計 | 1.5時間〜3時間/件 |
月に100件の新規取引先があれば、150〜300時間/月の工数が必要です。
ZEROCK EX-Checkによる解決
ZEROCK EX-Checkは、取引先調査を自動化する輸出管理特化型AIエージェントです。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| マルチリスト照合 | 複数リストを一括スクリーニング |
| 表記揺れ対応 | 類似名称を自動検出 |
| 関連組織検知 | 子会社、傘下機関を自動特定 |
| リアルタイム更新 | リスト改定を自動反映 |
| レポート自動生成 | 調査記録を自動作成 |
導入効果
| 指標 | 効果 |
|---|---|
| 調査時間 | 90%削減(3時間 → 20分) |
| 確認漏れ | ゼロ |
| リスト更新対応 | リアルタイム |
| 記録管理 | 自動化 |
スクリーニング対象リスト
ZEROCK EX-Checkは、以下のリストを統合してスクリーニングします。
| リスト | 国・機関 |
|---|---|
| 外国ユーザーリスト | 日本(経産省) |
| Entity List | 米国(BIS) |
| SDN List | 米国(OFAC) |
| Denied Persons List | 米国(BIS) |
| Military End User List | 米国(BIS) |
| 国連制裁リスト | 国連 |
まとめ
取引先調査のポイント
- 法的義務:輸出者には用途・需要者の確認義務がある
- 複数リストの確認:外国ユーザーリスト+米国リスト
- 追加調査:リストに載っていなくても懸念がないか確認
- レッドフラグ:不自然な取引は追加調査が必要
- 記録の保管:調査結果を記録・保管
企業に求められること
- 取引先調査のプロセスを整備
- リスト照合を漏れなく実施
- レッドフラグに気づく教育
- 調査記録の適切な保管
- 「知らなかった」では済まされない覚悟
調査業務の現実
- 1件あたり1.5〜3時間の工数
- 複数リスト、多言語、表記揺れへの対応
- リストの頻繁な更新への追従
- 人手だけでは限界がある
TIMEWELLの取引先調査支援
TIMEWELLは、取引先調査(カスタマースクリーニング)を効率化するソリューションを提供しています。
ZEROCK EX-Checkのご相談
- 導入相談:貴社の取引先調査業務を診断
- デモ:AIによるスクリーニングを体験
- カスタマイズ:業界・取引パターンに合わせた最適化
「この会社、大丈夫?の答えを、AIが出す」
取引先調査の効率化について、まずはお気軽にご相談ください。
