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日本の半導体輸出規制の全体像|半導体製造装置23品目から補完的輸出規制まで対象品目を一覧解説【2026年2月14日施行改正対応】

公開2026-05-20更新2026-07-18濱本 隆太

日本の半導体輸出規制を、2023年7月23日施行の半導体製造装置23品目から、2025年5月28日施行の重要・新興品目、2025年10月9日施行の補完的輸出規制見直し、2026年2月14日施行のFPGA組込装置追加まで、4つの改正の対象品目と施行日を一次情報ベースで一覧整理します。23品目の内訳表、16項(1)特定品目の6カテゴリー、該非判定の3ステップまで、半導体に関わる輸出管理の全体像をこの1本で見渡せます。

日本の半導体輸出規制の全体像|半導体製造装置23品目から補完的輸出規制まで対象品目を一覧解説【2026年2月14日施行改正対応】
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株式会社TIMEWELLの濱本 隆太です。日本の半導体輸出規制は、2023年7月の半導体製造装置23品目にはじまり、2025年5月の重要・新興品目、同年10月の補完的輸出規制の見直し、そして2026年2月14日施行のFPGA組込装置の追加まで、3年足らずで4回も強化されました。改正1回ごとの解説はたくさん出ているのに、全部をつなげて「いま日本の半導体輸出規制はどうなっているのか」を1本で見渡せる記事が意外と見当たりません。この記事では、4つの改正の施行日と対象品目を経産省・CISTECの一次資料で確認しながら、全体像を整理します。

なお、キャッチオール規制(補完的輸出規制)の改正内容全般やリスト規制との違いは、リスト規制とキャッチオール規制の違いで詳しく解説しています。この記事は半導体に軸足を置いた全体像編とお考えください。

改正後の別表第一で項番を引き直す様式: この記事が整理する規制を、自社品目ごとに1件ずつ確認して記録するExcelシートを配布しています。2026年2月14日施行の政省令改正に対応しており、項番と判定根拠を埋めれば、そのまま社内の該非判定記録や取引先への説明に使えます。 → 項目別チェックシート(輸出令別表第1・2026年2月14日施行対応版)をダウンロード

まず結論。日本の半導体輸出規制は4層でできている

細かい話に入る前に、4つの改正を1枚の表にまとめます。自社に関係する層がどれかを、まずここで当たりをつけてください。

施行日 改正の通称 根拠法令(公布日) 半導体に関わる中身
2023年7月23日 半導体製造装置23品目 貨物等省令改正(2023年5月23日公布) 先端半導体の製造装置23品目を全地域向け許可制に追加
2025年5月28日 重要・新興品目(報道では21品目) 令和7年政令第102号(2025年3月28日公布)ほか省令・通達(4月3日公布) 先端半導体・量子コンピュータ関連品目をリスト規制に追加
2025年10月9日 補完的輸出規制の見直し 令和7年政令第175号(2025年4月9日公布) 16項(1)特定品目に集積回路・検査用機器等を指定し、一般国向けにも需要者確認義務を新設
2026年2月14日 FPGA組込装置ほかリスト改正 令和7年政令第376号(2025年11月14日公布) 輸出令別表第1の7項(10の2)を新設し、FPGA搭載のモジュール・組立品・装置を規制対象に

上の2つがリスト規制の強化、3つ目が補完的輸出規制(キャッチオール規制)の強化、4つ目が再びリスト規制という順番です。つまり日本は、品目を列挙して縛る網と、用途と相手で縛る網の両方を、交互に強化してきたことになります。

自社の輸出管理体制がこの4層に追いつけているか不安な方は、輸出管理コンプライアンス診断で現在地を確かめられます。体制整備の進め方をまとめたTRAFEEDサービスカタログ(PDF)もあわせてどうぞ。

前提。日本の輸出規制は二段構えになっている

4つの改正を読み解く前に、枠組みを短く押さえます。日本の輸出規制は外為法を頂点に、輸出貿易管理令(政令)、貨物等省令という階層で品目を定めています。規制は大きく二段構えです。

一段目がリスト規制。輸出令別表第1の1〜15項に列挙された品目で、半導体製造装置や集積回路は主に7項(エレクトロニクス)に入ります。スペックが基準を超えれば、仕向地を問わず経産大臣の許可が必要です。二段目が補完的輸出規制、いわゆるキャッチオール規制。リストに載らない汎用品でも、大量破壊兵器や通常兵器に使われるおそれを輸出者が知った場合、または経産大臣から通知(インフォーム)を受けた場合に許可が必要になります。根拠は別表第1の16項です。

「リスト規制に該当しなかったから輸出管理は終わり」ではない、という点だけ覚えておいてください。この2段構造が、後で見る2025年10月の改正で半導体に効いてきます。

2023年7月23日施行。半導体製造装置23品目の追加

出発点は米国です。米国は2022年10月7日、先端コンピューティングと半導体製造装置に関する対中輸出規制を公表し、成膜装置などをEARのリスト規制対象(3B090等)に加えました。そのうえで日本とオランダにも同調を求め、日本は2023年3月31日にパブリックコメントを開始。同年5月23日に貨物等省令の改正を公布し、2か月の周知期間を経て7月23日に施行しました。

追加先は輸出令別表第1の7項に対応する貨物等省令第6条第1項で、具体的には17のル〜フおよび17の2として23品目が書き込まれています。当時の西村経産大臣は「ワッセナー・アレンジメントを補完する措置」と説明しており、国際レジームの合意を待たずに日米蘭の協調で品目を追加した、日本の輸出管理史では異例の改正でした。

23品目の内訳一覧

工程 品目数 代表的な品目
洗浄 3品目 真空下で不純物を除去する装置、表面の性質を変えたうえで不純物を除去する装置など
成膜(デポジション) 11品目 コバルトめっき成膜装置、タングステン系の選択成膜装置、ルテニウム配線層の成膜装置、原子レベルで成膜する装置、EUVマスク用の成膜装置など
熱処理(アニーリング) 1品目 薄膜内の隙間等を熱処理で除去する装置
露光(リソグラフィ) 4品目 EUVマスク用防護カバー(ペリクル)とその製造装置、EUV用に設計された塗布・現像装置、ArF液浸露光装置
エッチング 3品目 立体構造を実現するエッチング装置、薬液を用いたエッチング装置、微細で深いエッチングを行う装置
検査 1品目 EUVマスクの検査装置

報道では回路線幅10〜14ナノメートル以下の世代の製造に必要な装置とされていますが、経産省の建付けはあくまで装置のスペックと工程で定義されています。EUV関連と先端成膜がずらりと並ぶ顔ぶれを見れば、狙いが最先端ロジックとメモリの製造能力にあることは読み取れるでしょう。

全地域許可制は禁輸ではない

誤解が多いところです。この規制は特定国向けの禁輸ではなく、全地域向けの許可制です。ワッセナー・アレンジメント参加国からロシアと日本を除き、台湾とシンガポールを加えた42か国・地域向けは包括許可で手続きを簡素化できます。一方、中国を含む残り約160か国向けは個別許可が必要で、軍事転用のおそれがあれば許可は下りません。中国を名指ししない建付けを選んだところに、日本らしい設計思想が出ていると私は見ています。名指しを避けたことで、規制の説明責任は「国」ではなく「軍事転用リスク」に置かれました。

該非判定の属人化を、AIで解消する。

経産省2024年度データによれば、外為法違反の52%は該非判定起因。TRAFEEDの機能・導入フローをまとめたサービスカタログを無料でダウンロードできます。

2025年5月28日施行。先端半導体・量子の重要・新興品目

第2弾は2025年です。令和7年政令第102号(3月28日公布)と4月3日公布の省令・通達により、5月28日施行で先端半導体・量子コンピュータ関連の品目がリスト規制に追加されました。経産省の呼称は「重要・新興品目」で、21品目という数字は報道ベースの整理です。

中身はGAAFET構造の集積回路の設計・製造関連、極低温で動作するcryo-CMOS、量子コンピュータ本体と部品など、2023年の23品目よりさらに次世代寄りの領域です。ナノインプリントリソグラフィ装置やマスク描画装置といった製造装置も含まれます。品目の内訳と米国のAdvanced Computing FDPRとの関係は、先端半導体・量子21品目規制の解説記事で掘り下げているので、装置・部材メーカーの方はそちらをご覧ください。

2025年10月9日施行。補完的輸出規制の見直しと半導体

ここまでの2つはリスト規制の話でした。3つ目の改正は毛色が違います。2025年4月9日公布の令和7年政令第175号により、10月9日施行で補完的輸出規制(キャッチオール規制)そのものが見直されました。

改正は3本柱です。第1にグループA国(旧ホワイト国)向けにもインフォーム要件を新設し、迂回輸出への通知を可能にしたこと。第2に輸出令別表第1の16項を「16項(1)特定品目」と「16項(2)その他」に分割し、特定品目は一般国向けでも輸出者自身の用途確認・需要者確認を義務化したこと。第3に国連武器禁輸国・地域向けに通常兵器の需要者要件を新設したことです。制度全体の解説はリスト規制とキャッチオール規制の違いに譲り、ここでは半導体にどう効くかに絞ります。

16項(1)特定品目に集積回路と検査装置が入った

# 品目区分 半導体サプライチェーンとの接点
1 工作機械 装置部品・治具の精密加工
2 レーダー、航行用無線機器、無線遠隔制御機器 半導体を大量に使う電子機器
3 集積回路(IC) 汎用IC・民生ICそのもの
4 航空機・宇宙飛行体とその部分品 搭載半導体・電子部品
5 航行用機器 慣性航法・誘導用の電子機器
6 検査用の機器 半導体検査装置を含む

注目すべきは3の集積回路と6の検査用機器です。リスト規制に該当しない汎用ICや検査装置は、これまで一般国向けなら「インフォームが来なければ確認不要」でした。改正後は、告示で指定されたHSコードに当たる限り、中国向けを含む一般国向けでも輸出者が自ら用途と需要者を確認する義務が生じます。先端品だけの話だった半導体輸出規制が、汎用品の裾野まで届いた瞬間でした。

外国ユーザーリストは835団体に拡大

施行日に合わせて、経産省は外国ユーザーリストを15か国・地域の計835団体(前回比87団体増)へ更新しました。2025年9月29日公表、10月9日適用です。通常兵器関連の懸念団体が初めて収載され、需要者確認の照合先として実務上の重みが一段と増しています。半導体商社や部品メーカーにとっては、取引先スクリーニングの母集団が変わったことを意味します。

2026年2月14日施行。FPGA組込装置が新たに対象へ

直近の第4弾です。2025年11月14日公布の令和7年政令第376号により、2026年2月14日施行で輸出令別表第1の7項(10の2)が新設され、FPGA(フィールドプログラマブルロジックデバイス)を組み込んだモジュール・組立品・装置が規制対象になりました。

単体のFPGAは従来からリスト規制の対象でしたが、装置に組み込んでしまえば規制を外れるという抜け道が残っていました。今回の新設はこのループホールを塞ぐもので、ワッセナー・アレンジメントの合意にない日本独自色の強い規定です。ユーザー構成可能かどうか、ルックアップテーブル入力数の総計がどれだけか、という新しい概念で線引きされるため、FPGAを製品に載せているメーカーは自社が装置メーカーのつもりでなくても該非判定が必要になります。閾値と判定の詳細は輸出貿易管理令2026年2月改正の解説記事にまとめました。

裏面の動き。中国の対抗措置も規制環境の一部

日本の規制強化と鏡写しに、中国も動いています。中国商務部と海関総署は2023年7月3日、公告2023年第23号でガリウム関連8品目とゲルマニウム関連6品目を輸出許可制とし、同年8月1日に施行しました。日本の23品目施行のわずか10日前という発表タイミングは、偶然とは考えにくいでしょう。その後、規制はレアアースや関連技術へと広がり続けています。動向は中国レアアース輸出規制の全体地図で追いかけています。

余談ですが、輸出管理のご相談で最近増えたのは「出す側」ではなく「入ってこない側」の心配です。日本から出す規制と、中国から材料が入ってこないリスク。半導体に関わる企業は、この両面を同じテーブルで管理する時代に入ったと感じています。

自社の製品はどれに当たるか。判定フロー3ステップ

4層の規制を前にして、実務で最初にやるべきことはシンプルです。順番に3つ確認します。

  1. リスト規制の該非判定を行う。半導体製造装置・部分品なら輸出令別表第1の7項、貨物等省令第6条のスペック基準と自社製品の仕様を突き合わせます。2023年の23品目、2025年の重要・新興品目、2026年のFPGA組込装置は、すべてこの段階で引っかかります。判定材料が足りなければ、メーカーにパラメータシートの提供を依頼します。
  2. リスト規制に非該当でも、16項(1)特定品目かどうかを確認する。こちらはスペックではなくHSコードで判定します。集積回路や検査用機器を扱うなら、経産省告示の指定HSコードと自社品目の対比表を作っておくのが早道です。
  3. キャッチオール規制の確認を行う。用途確認と需要者確認を実施し、需要者は外国ユーザーリスト835団体と照合します。インフォーム通知を受けた場合のエスカレーション先も決めておきます。

メーカーへの依頼文はたとえば次のような一文で十分です。「弊社にて外為法に基づく該非判定を実施するため、貴社製品〇〇について、輸出令別表第1および貨物等省令に対応したパラメータシート(該非判定書)のご提供をお願いいたします。判定結果は輸出許可申請および社内記録に使用します。」書き方や様式の詳細は非該当証明書の書き方ガイドが参考になるはずです。

実務チェックリスト

体制面で最低限そろえておきたいのは次の5点です。

  1. 自社品目と4層の規制の対応表。品番単位でどの改正の影響を受けるかを一覧化する
  2. HSコードと16項(1)特定品目のマッピング。汎用IC・検査機器の扱いがあるなら必須
  3. 外国ユーザーリスト照合の手順書。照合のタイミング、証跡の保管期間、責任者を明文化する
  4. インフォーム通知を受けた際のエスカレーションフロー。受領から許可申請までの動きを事前に決める
  5. 改正情報の継続的な取り込みプロセス。経産省告示とリストは年に何度も動くため、更新の担当と頻度を仕組みにする

5番目が一番地味で、一番続きません。2023年から毎年改正が入っている実績を見れば、来年も何かが変わると考えるほうが自然です。

よくある質問

Q1. 半導体製造装置の中国向け輸出は全面禁止になったのですか?

なっていません。23品目規制は全地域向けの許可制であり、軍事転用のおそれがなければ許可される建付けです。ただし先端装置の対中個別許可は実務上ハードルが高く、事実上の輸出制限として機能している面はあります。

Q2. 装置メーカーではなく部品・材料の会社です。関係ありますか?

あります。2025年10月の改正で、リスト規制に該当しない集積回路や検査用機器も16項(1)特定品目として需要者確認の対象になりました。FPGAを組み込んだ製品なら2026年2月の改正も直撃します。装置メーカーだけの話だったのは2023年までです。

Q3. 23品目と21品目は何が違うのですか?

23品目は2023年7月23日施行で追加された半導体製造装置のリストです。21品目は2025年5月28日施行で追加された先端半導体・量子関連の重要・新興品目を指す報道ベースの呼称で、対象は装置に限りません。番号が似ているのでよく混同されますが、別の改正です。

Q4. 該非判定はどこから手をつければよいですか?

まず自社品目のリストアップと、仕入先からのパラメータシート回収です。そのうえで7項の該非判定、16項(1)のHSコード確認、キャッチオール確認の3ステップを回します。判定件数が多い場合は、後述するようなAIによる支援ツールの導入も選択肢になります。

TRAFEEDで何ができるか

この3年間の改正を振り返ると、企業側の負担は「判定が難しくなった」ことより「更新が終わらない」ことにあります。政令、省令、告示、外国ユーザーリストがそれぞれ別のタイミングで動き、そのたびに社内の対応表を直す。この繰り返しを手作業で続けるのは現実的ではなくなってきました。

TIMEWELLが提供する輸出管理AIエージェントのTRAFEEDは、経産省告示や外国ユーザーリストといった一次資料を機械可読化し、該非判定からエンドユーザー確認、判定証跡の保管までを一気通貫で支援します。AI判定精度は95%以上(岡山大学との共同実証・自社調べ)で、判定手法は特許第7862062号を取得済み。すでに20組織以上に導入いただいています。改正のたびに深夜の対応表更新が発生している方は、一度TRAFEEDの詳細をご覧ください。

まとめ

  • 日本の半導体輸出規制は、2023年7月23日の製造装置23品目、2025年5月28日の重要・新興品目、2025年10月9日の補完的輸出規制見直し、2026年2月14日のFPGA組込装置という4層で構成される
  • 23品目は全地域向け許可制で、42か国・地域向けは包括許可、中国を含む約160か国向けは個別許可
  • 2025年10月の見直しで、リスト規制非該当の集積回路・検査用機器も16項(1)特定品目として需要者確認の対象になり、外国ユーザーリストは835団体に拡大した
  • 2026年2月からはFPGAを組み込んだモジュール・組立品・装置も規制対象。単体チップだけ見ていた該非判定は通用しない
  • 実務は、リスト規制の該非判定、16項(1)のHSコード確認、キャッチオール確認の3ステップと、改正を取り込み続ける仕組みづくりが柱になる

最初の一歩としておすすめしたいのは、自社品目と4層の規制の対応表を1枚作ってみることです。作ってみると、どの改正が自社の急所かが具体的に見えてきます。

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参考文献

経済産業省(一次資料)

政令:輸出貿易管理令の一部を改正する政令(令和7年政令第102号・2025年5月28日施行、令和7年政令第175号・2025年10月9日施行、令和7年政令第376号・2026年2月14日施行)

CISTEC・法律事務所・その他

本記事は一部にAIを用いて作成し、公開前に人間が一次情報の確認と編集を行っています。

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