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IVSまとめ

2026-02-07濱本 隆太

IVS2025 LAUNCHPADに登壇した注目スタートアップ15社を前後編で紹介。素材革命、医療AI、宇宙水道局、0円ソーラーなど日本発のイノベーションを解説します。

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この記事は2本の関連記事を統合して作成されました。

目次

  1. アニメ、インフラ、電力も革新!IVS2025 LAUNCHPAD後半登壇スタートアップ7社まとめ
  2. 素材革命!?ギャルの登場!?IVS2025 LAUNCHPAD前半登壇スタートアップ8社まとめ

アニメ、インフラ、電力も革新!IVS2025 LAUNCHPAD後半登壇スタートアップ7社まとめ

IVS2025 LAUNCHPADの後半には、社会インフラ、医療、アニメ、エネルギー分野など、さまざまな課題に挑むスタートアップが登壇しました。

本記事【後編】では、登壇順に後半7社を紹介します。宇宙水道局、歯科技術AI、0円ソーラーなど、日本発のユニークかつ本質的なイノベーションをぜひご覧ください。

調達現場をスマート化する業務特化型AIの進化 9. 株式会社ZORI インフラと医療現場を変える生成AIの実装最前線 10. AVETE株式会社 11. 株式会社Dentscape アニメ・広告業界を変革する“創る力”の民主化 12. 株式会社CREATOR'S X 13. 株式会社Wunderbar 社会インフラとエネルギーの未来を担うテック企業 14. 株式会社天智人 15. 株式会社ハチドリソーラー まとめ|日本発スタートアップの新たな潮流 調達現場をスマート化する業務特化型AIの進化 9. 株式会社ZORI

ZORIの小寺氏は、Notionと同じく京都生まれでアメリカ先行でサービスをリリース。企業の調達部門が抱える課題解決に挑戦している。調達業務は企業の利益に直結する重要な機能で、1つのミスだけで数千万円の損失につながることもある。調達業務は大きく分けると10ステップ、細かい作業を数えると部品1つでも30から50もの作業が発生。数百通ものメールやシステムの中の大量の情報を何度も往復して、上司から「もっと安くできたんじゃないの」と詰められることもある。

同社のプラットフォームは、ツールをワンクリックで連携し、調達に関するメールのやり取りや添付された見積書を読み込み、サプライヤーごとの取引状況やパフォーマンスを記憶。「サプライヤー選定で一番早くステンレスネジを納品してくれるところはどこ?」という質問に対し、自動でサプライヤーを洗い出し、過去の取引状況やパフォーマンスをもとに最適な選択肢を提示。交渉準備も自動化し、交渉戦略や市場リスクといった項目を自動でまとめる。

インフラと医療現場を変える生成AIの実装最前線 10. AVETE株式会社

IVS2025 LAUNCHPADの終盤では、AVETEのUttam氏は、建設業界で最も困難かつ高コストな問題の一つである現場の危険管理に取り組む。日本では年間300人が建設現場で死亡、15,000人以上が重傷を負っており、「それはまるで、毎月1回、日本全国の何千もの建設現場で飛行機事故が起きているようなものです。」と衝撃的な比較で説明。企業は安全と訓練に年間2兆円、毎年3兆円の補償と遅延、さらに毎年2兆5000億円の事後是正費用を支払っているにもかかわらず、問題は解決されていない。

事故の91%が「監督不足」「不十分な訓練」「作業者による規則の理解不足・危機感の軽視」という3つの主要な理由で発生。同社は深層学習と生成AIを活用し、日本の建設ワークフローに合わせてカスタマイズされた世界初の建設安全エコシステムを構築。軽量で携帯電話やIoTデバイスでも動作し、若い建設作業員や土木技師をその分野の専門家へと変えることができる。

1日の始まりには危険予測トレーニングを実施し、作業員はプロジェクトの作業を開始する際に直面するリスクについて深い洞察を得られる。日本語や現地の母国語で話すこともでき、外国人労働者や伝統的な訓練方法では取り残されがちな若い日本人労働者にも最適。安全訓練を75%向上させることができ、月額2万円からという価格設定で小規模建設会社にも導入しやすくしている。

  1. 株式会社Dentscape

Dentscapeの周氏は台湾からの参加で、歯科技術分野でのAI活用を発表。「この画像をご覧ください。何か問題に気づきませんか?」と聴衆に問いかけ、歯の重要性を強調。世界では毎年5億本のクラウン(被せ物)が作られており、市場規模は26.7兆円、2030年までに46兆円に倍増する見込み。しかし、歯科技工士の人手不足が深刻で、アメリカでは80%以上の歯科ラボが採用問題を抱え、日本では50%以上が50歳以上、25歳未満はわずか5%という世界最低水準にある。

同社のAIは残存歯から学習して3Dモデルを自動生成し、100個のクラウンを10分で設計可能。従来は4日かかっていた作業を大幅に短縮し、AIは疲れないため100個目でも高品質を維持。ChatGPTのように各ラボの異なるスタイルを記憶し、最終調整を見てユーザーが望むものを正確に把握する。現在85の歯科ラボがパイロットプログラムに参加し、ハーバード大学歯学部も顧客に名を連ねている。

アニメ・広告業界を変革する“創る力”の民主化 12. 株式会社CREATOR'S X

CREATOR'S Xの藤原氏は、アニメ産業の深刻な人手不足問題に真正面から取り組む。「30分のTVアニメ×12(1クール)で描く絵の枚数は70,000枚」という、アニメ制作の膨大な作業量を説明。アニメ-ターが最低賃金で働き、結婚・出産を機に転職を考えるのは女性だけでなく、ゲーム業界ならまだしも、絵とは無関係の工場勤務やトラックドライバーになる人もいるという現状を訴えた。

同社は「補助的なAI利用」と「企業経営のアップデート」の2つのテーマで次世代のプロダクションアニメを創造。背景制作では、指定された構図に基づいて手描きでラフを描き、その後AIが彩色や描き込みをサポート。最後に手作業で仕上げを行うことで、通常2日かかる作業を3時間で完成させ、生産性を5倍に向上させた。データの保護も重視し、森・濱田松本法律事務所を企業弁護士に迎え、データは自社グループが所有、AI利用者も限定している。

創業から約10ヶ月で2件のM&Aを実施し、従業員70名、売上8億円規模まで拡大。販売管理費を15%削減し、利益成長に大きく貢献。有名タイトルの受注も獲得し、前年度比で売上倍増を見込む。将来的にはアニメ制作にとどまらず、IPホルダーとしての価値を高めていく計画だ。「ポケモンは13兆円、ハローキティは11兆円、アンパンマンは8兆円」というIPの累計売上を引き合いに出し、持続可能な形でグローバルブレイクスルーIT企業を目指すとした。

  1. 株式会社Wunderbar

Wunderbarの長尾氏は、「僕は元々ジュノンボーイコンテストで、え、16歳の頃に優勝してですね、芸能界に一瞬いました」という異色の経歴を持つ。父親の死去により中卒で上京、「家も金もなく本当に路上の様な生活を送っていた、多分IVS史上一番低辺から上がってきている人間です」と自身を語る。コロナ禍で知り合いの芸能人が仕事を失うのを見て、「表じゃなくてもいいから裏で何とか助けたい」という思いで事業を立ち上げた。

同社のプラットフォームは、通常数千万円以上かかるタレント起用を月額10万円から可能にし、生成AIを使って素材を瞬時にカスタマイズできる。プロンプトを変更するだけで、商品を持たせたり衣装の色を変えたりできる。さらに、過去10万件以上のクリエイティブデータから、どのタレントが広告に適しているかをAIが提案。半年以上かかっていたタレント起用が最短翌日から可能になった。

現在、タレント400名以上、事務所150社以上と提携し、市場の9割以上のシェアを獲得。契約400件以上、MRR8000万円、累計20億円以上のインパクトを創出。営業利益率は25%以上と高収益を実現している。「先日サービス開始当初からご一緒いただいてる社長に、こういったことを言われました。3年前にお前たちを信じてよかったと。この業界は本当に大きな岩で全く動かないんです。けれどもこの強い思いを持って、お前たちはもうインフラになっているんだよ」というエピソードを紹介し、IP活用の民主化への強い意志を示した。

社会インフラとエネルギーの未来を担うテック企業 14. 株式会社天智人

天智人の櫻庭氏は、「宇宙の衛星データとAIの力で地球の水道インフラを守る宇宙水道局」を紹介。日本では年間2万件の漏水が発見され、京都府の人口を超える300万人分の水が漏水により無駄になっている。戦後埋設された日本の水道管の3分の1、地球4周分の16万キロが法定耐用年数40年を超過。損傷した箇所から土砂が入り込み感染症のリスクや、学校・病院での断水リスクもある。

水道管は地中1メートルの深さに埋設されているため肉眼では調査できず、現在は音で調査。水道管の上を1メートルごとに歩きながら、わずかに伝わる音を聞いて漏水の有無を調べている。「未だに歩いて耳で聞いて紙に書く」という膨大な作業量と水道職員の減少により、このままでは水道インフラ自体が限界を迎えるという。

同社は複数の衛星データとAIの力で地球の水道インフラを守る世界初のサービスを開発。過去数十年の地球上の様々な地表面情報を、データの種類を問わず複数の衛星から取得し、ビジネスに活用。衛星は漏水に影響する地表温度やわずかな地盤沈下、地形変化を全て捉える。この衛星データに加え、過去数年の漏水履歴や環境データなど100種類以上の情報をAIが学習し、漏水リスクを診断する。

実際のデモ画面では、漏水リスクが健康診断のように100メートル単位で5段階表示。チームと共有しながらリスク確認、調査エリアの絞り込み、作業の進捗管理が可能。最もリスクの高いエリアを一括登録するだけで、総調査範囲を98%削減。1日に調査可能な距離を入力すれば、AIがリスクと都市の条件に合わせて効率的な調査計画を提案する。

従来12年かかっていた調査が1年に短縮、10kmあたりの漏水検知効率は6倍に向上、漏水コストは最大79%削減を実現。2年間でサービス導入自治体は40以上、全国200以上の自治体が関心を示している。政府も3年以内にDX技術を全国標準として実施すると発表し、岸田前首相も導入現場を視察するなど高い期待が寄せられている。将来的には世界最高レベルの地表面温度を観測する衛星を自社開発し、分析精度を飛躍的に向上させる計画だ。

  1. 株式会社ハチドリソーラー

最後に登壇したハチドリソーラーの池田氏は、「電力システムに革命を起こすクライメートテック企業」として、「屋根が発電所に変わる未来は必ず訪れます」と力強く宣言した。AIやEV、IoTの普及により電気消費量は2倍になると予測される中、「チャットGPTたった一回の検索で消費電力量はグーグル検索の10倍」という具体例を挙げ、火力発電に依存する日本の電力システムでは対応不可能だと指摘した。

日本の住宅太陽光普及率はわずか11%。同社は高額な費用という課題を解決するため、パネルと蓄電池を無料で設置し月額定額で利用できる「0円ソーラーサービス」を開始。リース会社への設備売却により創業5ヶ月で黒字化を達成し、100社以上のパートナーと提携。47都道府県で展開し、創業3年で事業は7倍成長、今期売上20億円を見込む。

さらに同社は、太陽光の不安定性を解決する世界初の革新的デバイス「i-Power Engine」を開発。天候や時間帯に関わらず安定供給を実現し、家庭間で電気を融通し合うことで「家庭の屋根が発電所に変わる」未来を目指す。デバイスは完全無料提供で、電気代削減分を成果報酬で回収。3年で国内シェア10%、売上300億円を目標に掲げる。

池田氏の原点は学生時代のミクロネシアでの体験。「友人の家が海に流される経験をしました。気候変動による海面上昇が原因でした。あの時は無力でしたが、今は違います」と語り、「会社も地域も国境も越えて、気候変動を本気で止める。それがハチドリソーラーの挑戦です」と締めくくった。

まとめ|日本発スタートアップの新たな潮流

IVS2025 LAUNCHPADは、日本のスタートアップエコシステムが新たな成熟段階に入ったことを明確に示した。優勝したアドバンスコンポジットのAKIYOSHI氏は、受賞スピーチで「秘書兼芸人のAKIYOSHIです」とボケを交えながら、「うち田舎の町工場なんで、あの申し訳ないんですけど、IVSのこと知ってる人誰もいなくて、あの、それって意味あんの?とか言われて、なので今日は有給取って趣味で来ました」と会場を沸かせた。しかし、その後真剣な表情で「物作り、特に素材っていうジャンルは、世界の中で本当に日本が得意としてるジャンルです。どうしてそこまで突き詰めるのっていうことをやるのが日本だから」と、日本の強みを強調した。

審査員たちの評価も熱かった。京都大学イノベーションキャピタルの八木氏は「今日もすごい起業家を見て、世界を変えるシーズを見つけるのを楽しみにしています」、のエンジェル投資家の福山氏は「世界最高レベルの審査を皆さんにお見せしたい」、千葉道場の千葉氏は「10年以上審査員をやってきて、本当にLAUNCHPADは最高」と評価。特にエンパワーメントのキャシー氏は「今回が一番面白かったかもしれない」と述べ、日本のスタートアップの質の向上を実感していることを明かした。

京都府の西脇知事は、優勝したアドバンスコンポジットについて「ものづくり産業のメッカである京都で、こうしたものづくり産業の方が優勝していただいたこと大変嬉しい」とコメント。さらに「見た目と関係ないこの技術を正確に評価していただいた審査員の皆様にも心から敬意を表したい」と、技術の本質を見抜く審査の質の高さも評価した。

三田紀房氏が選んだインベスターZ賞を受賞したギャル式ブレストのバブリー氏は、「ギャルっていう文化で、ビジネスシーンを変えるっていう事をしてるんですけど、まさに先生言っていただいたように、ここからは日本だけじゃなくて、世界にこう戦っていける文化でもあると思う」と世界展開への意欲を示した。三田氏も「日本独自っていうジャパンオリジナルのこのコンテンツを是非今度ね、世界に発信してもう世界をギャル文化で染めてほしい」とエールを送った。

15社の登壇企業は、それぞれが「日本発・世界へ」という明確なビジョンを持ち、既に海外展開を始めている企業も多い。また、後半に登壇した天智人やハチドリソーラーのように、社会インフラやクライメートテックといった領域でも、日本発の技術が世界的な課題解決に挑む姿が印象的だった。

審査員delyの堀江氏は「今日は1番クレイジーな人を探すために来ました」と述べていたが、まさにその期待に応える、型破りで革新的なプレゼンテーションが続出。Boost Capitalの小澤氏が「人生変わると思うんすよ。出てる方が優勝したり準優勝したりするって」と語った通り、このLAUNCHPADが参加企業にとって大きな転機となることは間違いない。

京都という日本の伝統と革新が交差する地で、3回連続で開催されたIVS。今回のLAUNCHPADは、日本のスタートアップが持つポテンシャルの高さと、それを支えるエコシステムの成熟を世界に示す機会となった。

参考:https://www.youtube.com/watch?v=ZlovKHZDL40


素材革命!?ギャルの登場!?IVS2025 LAUNCHPAD前半登壇スタートアップ8社まとめ

2025年7月3日、京都で「IVS2025 LAUNCHPAD」が開催されました。日本の未来を変える可能性を秘めたスタートアップ15社が登壇し、持ち時間6分間で自社のプロダクトやビジョンを熱くプレゼンしました。本記事【前編】では、前半に登壇した8社のプレゼン内容を紹介します。

素材、宇宙、環境、ロボット、見積AI、スナックDX、そしてギャル式ブレストまで、ジャンルを超えて挑戦する企業たちの姿をぜひご覧ください。

日本発“素材革命”がエネルギーと宇宙の未来を変える

  1. 株式会社アドバンスコンポジット
  2. 株式会社カーボンフライ 廃棄物・製造現場の限界に挑むAI×環境ソリューション
  3. 株式会社JOYCLE
  4. 株式会社CoLab
  5. 匠技研工業株式会社 地方のスナックから世界の会議室まで──カルチャーと対話をアップデート
  6. スナックテクノロジーズ株式会社
  7. 株式会社CGOドットコム 誰でもAIを活用できる時代へ──BOCEKが目指す新たな仕事のカタチ
  8. 株式会社BOCEK 日本発“素材革命”がエネルギーと宇宙の未来を変える

IVS2025 LAUNCHPADの幕開けを飾ったのは、新素材開発に挑む企業群だった。

  1. 株式会社アドバンスコンポジット

トップバッターとして登場したアドバンスコンポジットのAKIYOSHI氏は、まるで芸人のような派手な登場で会場を沸かせた。同氏は「夏になるとニュースで電力会社がヤバいからエアコンの設定温度上げてってよく言ってるじゃないですか。あれ日本の夏の消費電力の30〜40%がエアコンだからです」と切り出し、エアコンの消費電力の約8割を占める圧縮機の問題を指摘。従来の鉄製部品4.6kgを手に持ち上げ、「これ結構重くて4.6kg。これ鉄なんですけど、この部品に必要な条件満たしてるのが鉄しかない。だからどんな重くても鉄使うしかなかった。これまでは」と説明した後、新素材による1.6kgの部品を披露。「どっちが省エネか分かりますよね」と会場に問いかけた。

同社の独自技術「溶湯鍛造法」は、めっちゃ細かい穴を開けた素材Aに溶けた素材Bを高圧で押し込むことで、いろんな素材を高精度かつ他ではできない割合で組み合わせ、未知なる新素材を次々と生み出すという。素材設計、温度、圧力、金型など細かい技術が詰まっており、設備を揃えるだけで数十億円、開発に10年を要したという。特許も今後数年で100件以上取得予定で、参入障壁は極めて高い。

AKIYOSHI氏は「世界における一年間消費電力の3%。これは日本の年間消費電力の8割以上に相当します。日本が年間300日電気使わないと同じ効果があります」と環境へのインパクトを強調。市場規模は3200億円で、今後の環境規制強化に伴いさらなる成長が見込まれる。同社は既に日本の自動車メーカーほぼ全てとやり取りしており、AIプロセッサーやデータセンター関連でも海外の大手企業との取引が進んでいるという。「先ほどから社名を出してないのはやってないからじゃないです。もうやってるから言えないんです」と秘密保持の必要性を示唆した。

  1. 株式会社カーボンフライ

続いて登壇したカーボンフライの木村氏は、日本で発見された「夢の素材」カーボンナノチューブの実用化に挑戦。「カーボンナノチューブって日本で発見された素材でして、その優れた特徴から夢の素材と言われているそんな素材なんです」と紹介。鉄の100倍ほど強く、鋼鉄の5分の1ほど軽く、大量の電気を流せるという他に類を見ない特徴を持つ。同社はこの素材を使って宇宙産業への参入を目指しており、特に地球と宇宙を一本のロープで繋ぐ「宇宙エレベーター」の実現を本気で目指している。

「宇宙エレベーターとカーボンナノチューブ非常に強い密な関係があるんです」と木村氏。宇宙エレベーターのケーブルには強さ、軽さ、電気を通すという性質が必要だが、鋼鉄では45キロメートル伸ばしたところで自分の重さに耐えきれなくなって壊れてしまう。これを実現できるのが唯一カーボンナノチューブだという。同社は20年以上研究してきた代表の研究成果を元に、精密にコントロールしたナノチューブの量産に成功。既に2000メートルのファイバーを作成し、とある案件での納品を完了。量産設備も自社で設計開発し、複数特許で押さえているため、他社の参入は困難だという。

廃棄物・製造現場の限界に挑むAI×環境ソリューション 3. 株式会社JOYCLE

そして、日本が直面する深刻な社会インフラ問題に挑む企業が登場した。JOYCLEの小柳氏は、「ゴミを運ばず燃やさず資源化できる新しいインフラ」の必要性を訴えた。人口減少により焼却炉の数が減り、遠くの焼却炉まで運べないと燃やせない状況が発生。輸送コストの高騰、ドライバー不足も深刻で、「運ばず燃やさず」という選択をした財政破綻の夕張市では全部ゴミを埋めているという現状を紹介。

同社が開発したJOYCLE BOXは、小型で車で運ぶことができ、環境・経済・安全のデータ全てをJOYCLEボードで可視化。灯油・ガスに一切依存せず電熱でゴミを資源化し、再生可能エネルギーを使ってカーボンフリーでゴミを資源化できる。液体・金属以外の燃えるゴミ全般を1/100から1/105に減容しながらセラミック材に資源化することが可能。出てきた資源はエコタイルの建材、水を綺麗にするセラミックボール、アートなどにアップサイクルできる。

同社の装置は、燃えるゴミを酸素濃度の非常に低い炉の中で火を発生させないで熱分解というプロセスを使って資源化。通常のバーナーではなく電熱を使っているため、廃棄物のデータに応じて柔軟に炉内温度をコントロール可能。AIを使ってゴミを最も省エネに熱分解・資源化できる知財や、有害ガスを予測して効率的に分解するソフトウェアも開発している。

既に3000万円の装置4期分が売上内定し、1.2億円分の売上を確保。100床以上の病院では年間1000万円以上の産業廃棄物コストがかかるが、同社のサービスを使えば3割から5割以上従来の処理コストより安く利用できる。病院だけでも1600億円以上のマーケットがあり、海外では離島が多く大きい焼却炉を置けない東南アジアを中心に、8兆円のマーケットの1%を取って800億円の売上を目指す。

  1. 株式会社CoLab

製造業界に革新をもたらすCoLabの川畑氏は、「AIロボットで工場の完全自動化を実現する」というビジョンを掲げて登壇。「世の中にはこんなにたくさんの自動化ロボットがあるのに何故工場は安い労働力を求めて海外移転して行くのでしょうか」と問いかけ、組み立て作業という自動化最後のボトルネックに挑戦。同社はキーエンスや大学研究室出身のメンバーが集まり、AIに人の能力の一部を組み込むことに成功。部品を見ながら組み付け位置を探せる「AIビジュアルサーボ」と、力加減しながら精密な動作を学習できる「AIセンシングサーボ」を開発した。

デモンストレーションでは、動いている鉄板の上に金属を差し込む工程を披露。求められる精度は0.4ミリで、人間でも一発では難しい作業だが、AIは組み立ての前後左右の位置を確認しながら無理な力がかからないようにセンサーでコントロール。曲がりやすい板金部品、キャップコネクター、電解コンデンサーや小さなイヤホンジャックまで、ロボットハンドを途中で交換することなく作業を実現している。画面操作だけでAIの設定ができるソフトも開発し、現場での使いやすさも追求している。

  1. 匠技研工業株式会社

匠技研工業の前田氏は、製造業の見積もり業務という地味だが重要な領域でDXを推進。「ベテラン職人しかできない見積業務が月に100時間以上かかることもあります。値決めを誤り赤字になってしまえば、現場の努力は報われることなく、日本中の工場の存在自体が危ぶまれてしまいます」と課題を提起。同社のシステムは、図面をアップロードするとAIが解析を行い、過去の類似案件があれば瞬時にレコメンド、類似品との差分もマーキング。各社固有の原価計算式をカスタマイズして搭載でき、これまでベテラン職人に依存していた見積ロジックを標準化することができる。

導入企業では見積時間が50%減少し、70代から30代への技術承継に成功。月額費用は10万円からと中小企業向けSaaSの中では高価格帯だが、高い費用対効果から契約更新時のアップセル率は驚異の60%を超え、ARPAはCAGR140%で推移。現在、上場企業から町工場まで幅広い業種業態に利用されており、2030年には中小製造業22万社のうち4000社、市場のたった2%を獲得するだけでARR120億円を見込んでいる。

地方のスナックから世界の会議室まで──カルチャーと対話をアップデート

IVS2025 LAUNCHPADの中盤では、日本独自の文化とテクノロジーを融合させた革新的なスタートアップが続々と登場した。

  1. スナックテクノロジーズ株式会社

特に注目を集めたのが、スナックテクノロジーズの関谷氏だ。「全国のスナックを巡った、自称:日本一のスナック好きの僕が今日はスナックの未来を熱く語らせていただきます」と切り出した関谷氏は、映画『君の名は。』のワンシーンを引用。「コンビニは9時で閉まるし、おしゃれなカフェもないけれど、スナックは2軒ある」と、スナックが地方の重要な社会インフラであることを強調した。

スナックの店舗数は12万軒とコンビニの倍以上、市場規模は2兆円を超える。しかし、スナックに行きたいが一度も行ったことがない人は73%に上る。その理由は「失礼ですが、開けにくい扉です」と関谷氏。さらに未だに不明瞭な会計、どんぶり勘定で経営ギリギリ、脱税の温床とも言われている現状を指摘。「孤独を癒すはずの彼女たちが実は一番孤独なんです」とママたちの苦境にも言及した。

関谷氏自身、社員3人の廃墟寸前の水道屋を20億円で売却、「春水堂」を全国展開し、スーツに見える作業着が業界大ヒットを記録した「令和のヒットメーカー」としての実績を持つ。実際に自らスナックを経営してPoCを積み重ね、開発したスナテクのシステムは、店内雰囲気、ママの自己紹介、料金表など「あの開けられない扉の向こうが見える化」を実現。スナテク加盟店共通の会員証でチェックイン、自動精算、料金明細の即時送信など、透明性の高いシステムを構築した。

実証店舗では新規顧客8%UP、リピート率12%UP、売上15%UPを達成。ビジネスモデルは決済の1%の手数料で、クレジットカード手数料を業界平均4%から2.98%に削減することで実質無料化を実現。第一興商との資本業務提携も進めており、行政連携による地方創生、観光・ふるさと納税との連携、ライブ配信による収益拡大、スポットバイトでの人材不足解消、ロールアップでの後継者問題解決など、スナック経済圏の構築を目指している。5カ年計画では、スナック導入1万店、ロールアップ300店、売上合計100億円、営業利益40億円を目標に掲げる。

  1. 株式会社CGOドットコム

次に登場したCGOドットコムのバブリー氏は、ギャル姿で登場し「ヤッホー!イエーイ!」と会場を沸かせた。「実は私、こんな感じなんですが、小さい頃、親や先生の目が気になってなかなか物が言えない子供でした」と自身の過去を告白。高校入学初日に「お前ら東大に行け!」と言われて不登校になり、高校中退後に大阪に家出。そこで出会ったギャルたちが「自分の軸を持っていて、直感に従う勇気があった。で、めちゃくちゃポジティブだった」と振り返り、「これって起業家精神じゃないですか?」と問いかけた。

ギャル式ブレストのルールは明確だ:

肩書き役職関係なし、タメ語で話そう!

あだ名で呼び合おう!

リアクション多め!

5分以上沈黙禁止、自分が持ってる中で一番好きな服で参加

実際のセッションでは、参加者にアダ名を設定。旅行好きと言った参加者は「じゃあアドベンチャータムケンね」とギャルにアダ名をつけられた。最初は戸惑っていた社員たちも、ギャルの「超いいじゃん!」「めっちゃ上げ」というポジティブなリアクションによって次第に本音が出始め、普段の会議では出てこないようなぶっちゃけたアイデアが次々と生まれたという。

口コミで広がり100社が導入、年2.5倍の成長を記録。リピート率も30%と上昇中で、富士通やJR貨物などの大企業から自治体まで広がっている。札幌市役所副市長は「職員の心が聞こえた」、スズキ株式会社常務役員の熊瀧氏は「大企業の変革に必要なマインドセットを圧倒的速さでぶっ壊して再構築できる」と評価。ギャルマインドコミュニティも2000名以上に拡大し、3年後には1000人のギャルマインド人材の発掘を目指す。年間4800もの変革プロジェクトの推進が可能になり、年間売上40億円を見込んでいる。

誰でもAIを活用できる時代へ──BOCEKが目指す新たな仕事のカタチ 8. 株式会社BOCEK

BOCEKの沖村氏は、生成AI業界に革命をもたらすプラットフォームを発表。「皆さん普段仕事だるいですよね」という共感を呼ぶ問いかけから始め、スライド作成エージェントと情報検索エージェントの2つを紹介。スライド作成エージェントは、AIに「今日のニュースについてまとめて」と指示するだけで、テンプレートに合わせて画像・図式を含めたスライドを全自動生成。情報検索エージェントは、「明日の商談企業なんだっけ」という質問に対し、個人のGoogleカレンダーから予定を自動取得し、関連情報をGoogle検索して回答する。

同社の最大の特徴は、これらのエージェントを作る仕組みそのものを提供していること。日本企業の7割以上が生成AIを導入しているが活用が進んでいない理由を、「アプリというUIがみんなが使っている形だと気づいた」という。ワークフローエディターを使えば、業務フローを紐でつなげるだけで簡単にノーコードでAIアプリを作成可能。2000種類以上の外部連携に対応し、Google、Anthropic、OpenAIなどほとんどのAIモデルにも対応している。

前編は以上になります。続きは後編を確認ください。

参考:https://www.youtube.com/watch?v=ZlovKHZDL40



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