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『テクノロジカル・リパブリック』が突きつける問い──AI時代に挑戦者が国家のために働くということ

2026-05-07濱本 隆太

パランティア・テクノロジーズCEOアレクサンダー・カープによる『テクノロジカル・リパブリック 国家、軍事力、テクノロジーの未来』を、TRAFEEDで国家安全保障領域に挑む起業家の立場から読み解きます。シリコンバレー現地で感じた違和感、Hard PowerとSoft Beliefの議論、日本の挑戦者がいま何を引き受けるべきかを、私の体験と重ねて書きました。

『テクノロジカル・リパブリック』が突きつける問い──AI時代に挑戦者が国家のために働くということ
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『テクノロジカル・リパブリック』が突きつける問い──AI時代に挑戦者が国家のために働くということ

株式会社TIMEWELLの濱本隆太です。

私はこの本を、起業家として腹のあたりに重い感触を残しながら読み終えました。パランティア・テクノロジーズのCEOアレクサンダー・カープと、政府渉外の責任者であるニコラス・ザミスカが書いた『テクノロジカル・リパブリック 国家、軍事力、テクノロジーの未来』。日本語に直すなら「科学技術立国」となるこの言葉に、彼らは挑発的なメッセージを込めています。シリコンバレーの天才たちよ、もっと国のために働け。広告アルゴリズムやフードデリバリーに頭脳を浪費している場合ではない、と。

私たちTIMEWELLは、TRAFEEDという国家安全保障領域のサービスを運営しています。地政学的リスクが激しく動く時代に、意思決定者の判断を支える情報基盤を提供するという仕事です。さらに今後はフィジカルAIの領域にも踏み込んでいく予定です。だからこそ、この本の主張は他人事ではありませんでした。AIが進化するほどに、安全保障の主戦場はソフトウェアとデータと知能の側へと移ってきています。本稿では、起業家としての立場から本書を読み解き、これからの日本の挑戦者がどう振る舞うべきかについて、私なりの考えを書いてみたいと思います。


アメリカは建国の時から「科学技術立国」だった

カープがまず読者に思い出させるのは、アメリカという国が生まれた時から科学技術と政治が分かちがたく結びついていたという歴史です。第三代大統領のトーマス・ジェファーソンは暗号装置や回転椅子を設計し、建国の父ベンジャミン・フランクリンは雷の実験から避雷針を発明し、二重焦点メガネや家庭用ストーブまで生み出しました。フランクリンは18世紀アメリカで最も多くの重要な発明をした人物の一人とされ、研究者からは「彼はたまたま政治家でもあった発明家だ」とすら評されています。本業は科学者で、本業の片手間に国の建設をしていたわけです。

この遺伝子は20世紀に入ってさらに強く現れました。1940年代、政府は新薬・大陸間弾道ミサイル・人工衛星といった研究を片端から支援し、アインシュタインはルーズベルト大統領と私的な交流を持ち、ホワイトハウスに泊まったことすらあったといいます。そこから生まれたのがマンハッタン計画であり、原子爆弾でした。日本軍の科学部隊は「原子爆弾の開発はあと20年は先」と見積もっていたところ、アメリカが先に作り上げたという事実が、戦争の帰趨を一瞬で決めたとされます。20年の技術ギャップは、戦場では文字通り絶対的な差として現れました。

戦後もこの蜜月は続きます。1957年、ソ連が世界初の人工衛星スプートニクを打ち上げて「スプートニック・ショック」が起きると、アイゼンハワー大統領は理論物理学者ハンス・ベーテをホワイトハウスに呼びつけ、たった1時間で宇宙開発プロジェクトを指示し、翌年にはNASAが設立されます。1時間の会話から1年後にNASA。今のスタートアップの初動と比べてもなお速い。同じ時期に国防高等研究計画局DARPAも生まれ、現代のインターネットもGPSもここから誕生しました。

カープがこのストーリーから引き出すメッセージは明快です。アメリカは政治家と科学者・技術者が密に結びつくことで、20世紀の科学的ブレイクスルーを連発し、自由主義圏に決定的な優位をもたらしてきた。それこそが「テクノロジカル・リパブリック」の本来の姿だったのだ、と。本書の前半は、この事実を圧倒的なディテールと固有名詞で読者の脳に刻み込んできます。読み終えたとき、私はアメリカという国の物語をここまで一気に再装填されたのは初めてかもしれない、と感じました。これがこの本の、第一の説得力です。


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ジョブズが切り拓いた「個人解放のテクノロジー」という偉大な系譜

ところが1970年代に入ると、潮目が変わります。ベトナム戦争への嫌悪、カウンターカルチャーの開花、エスタブリッシュメントへの不信。そしてその真ん中から、PC革命が立ち上がってきました。リー・フェルゼンスタインが立ち上げたホームブリュー・コンピュータ・クラブには、若き日のスティーブ・ウォズニアックがいました。フェルゼンスタインの言葉、「パーソナルコンピュータを作りたいのは、それさえあれば政府であれ企業であれ、組織のくびきから自由になれるからだ」は、この時代の精神を象徴しています。

そしてここで歴史の中央に立つのが、スティーブ・ジョブズです。私は今でもジョブズを心の底からリスペクトしています。スタンフォード大学の卒業式スピーチで彼が引用した『ホール・アース・カタログ』の「Stay hungry, stay foolish」は、私自身の起業の原点でもあります。1984年のApple「1984」のCMは、いまだに広告史上最高の一本として語り継がれており、その意味でも、テクノロジーが個人を解放するという思想を結晶化した作品でした。Macintoshはわずか8キロで、取手がついていて持ち運べる。一方IBMのメインフレームは部屋を埋め尽くす巨体で、政府か大企業しか持てない。その対比は、当時の若者にとって解放そのものであり、Appleが世界中の心を掴んだ理由でもあります。

このカウンターカルチャーの遺伝子は、その後のシリコンバレーを定義しました。Googleも、Facebookも、Twitterも、私たちが日々使っているサービスの多くは、その流れの先にあります。そしてこの数十年、私たち起業家が呼吸してきた空気そのものが、ジョブズが切り拓いた地平の上にありました。「人々が欲しがるものをつくれ」というポール・グレアムの教えも、「ディスラプションこそ正義だ」という起業家のエートスも、この系譜から派生した美しい思想です。私たちはみな、その恩恵を受けて育ちました。iPhoneが私の人生を変えたことは、否定する気にもなりません。

カープはこの系譜そのものを否定したいわけではない、と私は読みました。彼の問題提起は、その素晴らしい思想があまりにも長く・広く支配的になりすぎたことの帰結についてのものだと思います。ジョブズの革命は、その時代において必要不可欠な転換でした。問題は、革命が成功したあとも、テック業界がその成功体験から動けなくなっていることです。1984年の挑戦者だったアップルは、もうかつての挑戦者ではない。時代が次のステージに入っているとき、過去の革命のフォーマットを延々と繰り返すだけでは、新しい問題には対応できない。これは、ジョブズへの批判ではなく、彼の遺志を継ぐべき後継世代への問いかけだと、私は受け取りました。


サンフランシスコで感じた違和感──現場で見たディストピア

私自身、これまでに何度かシリコンバレーに足を運び、数週間単位で滞在したこともあります。スタンフォード周辺やパロアルト、メンローパーク、マウンテンビューでは、顧客の課題を解決するために本気で働く起業家とエンジニアに数えきれないほど出会いました。医療、農業、半導体、宇宙、防衛、自律運転。あらゆる領域で世界トップクラスの頭脳が「目の前の現実をどう前に動かすか」だけを考えて手を動かしている。あの密度感は、何度行っても背筋が伸びる思いがしました。

しかし同じ滞在中、ベイブリッジを渡ってサンフランシスコ市内に入ると、空気が一変します。テンダーロインや市庁舎周辺を歩くと、フェンタニルなどの強烈なドラッグでうつろになった人々が路上に倒れ込み、店舗の窓は割られ、スーパーの商品はチェーンで施錠されている。深夜だけでなく、昼間でも一人で歩くのを躊躇する通りがいくつもあります。世界でもっともテック資本が集中する街で、もっとも基本的な公衆衛生と治安と住居の問題が解けていない。むしろ年々悪化している。あの光景を目の当たりにすると、テクノロジー産業は本当に「足元」を見ているのだろうかという素朴な違和感が、どうしても拭えませんでした。

20分の車で世界の最先端と、解決されないディストピアが地続きで並んでいる。同じ街で、年に何兆ドルもの時価総額が生まれているのに、隣の通りでは薬物中毒で人が亡くなっていく。挑戦者たちが個別の課題には全力で向き合っているのは間違いない。しかし、街全体としてみたときに、技術と資本が「もっとも近くの困りごと」をなぜか解決できていない。むしろテック企業の集積が地価と分断を加速させ、街を住みづらくしている側面すらある。これは現地に立って初めて、本やニュース越しではなく、肌で感じる類の違和感でした。

カープが本書で、シリコンバレーがフードデリバリーや写真共有アプリ、広告アルゴリズムに優秀な頭脳を吸い取られている、と厳しく指摘するくだりを読んだとき、私は真っ先にあのSFの光景を思い出しました。億単位の評価額を集めるアプリが毎週のように生まれている同じ街で、薬物中毒で命を落とす人は後を絶たず、家を持てない人がテントで通りを埋め尽くす。テクノロジーが解決するべき「足元」が、街の中心でこれほど露骨に放置されている事実は、カープの問題意識を補強こそすれ、反論しようがないと感じます。シリコンバレーは確かに人類最高の頭脳を集めている。だからこそ、「集めた頭脳を何に向けるのか」という問いが、これほどまでに切迫した形で返ってきているのだと思います。


AIの時代は、もう次のフェーズに入っている

ではなぜ、いまカープはこの主張を声高に叫ぶのか。理由はただ一つ、AIです。彼の言葉を引用するなら、「次の時代の戦争は、勝つにせよ負けるにせよ、ソフトウェアが決め手となる。核による抑止の時代が終わりを告げ、AIによる抑止の時代が始まろうとしている」。本書のキー概念は副題にもなっている "Hard Power, Soft Belief"、つまり「硬い力と、柔らかな信念」です。自由民主主義社会が勝利するためには、人道的な正しさを訴えるだけでは足りない。最終的にはハードパワーが必要であり、今世紀のハードパワーはソフトウェアに依存している、というロジックです。ジョセフ・ナイの「ソフトパワー」とは別概念であることに、カープは意識的でしょう。

そしてカープが鋭く指摘するのは、敵対する権威主義国家のリーダーたちは、権力を失えば命を失いかねない立場にあるという事実です。プーチンであれ習近平であれ、彼らにとって軍用AIの開発は止められない選択ではない。命がけで進めるしかない選択です。「こちらが開発しなくても、彼らは確実に開発する」という前提から逆算すれば、自由主義圏のテック企業が国家への協力を拒むという贅沢は、もはや成立しないということになります。さらに恐ろしいのは、彼らは私たちと同じ倫理観を共有していないという点です。技術的に互角であっても、倫理的なブレーキの強度が違う以上、こちらが圧倒的な力を持って初めて互角になる、というのがカープの主張です。

ここからカープは、シリコンバレーの矛盾に踏み込みます。AIラボの先端的なエンジニアたちは、ホワイトカラーの仕事を根こそぎ自動化しようとする技術を開発し、その経済的・社会的衝撃は計り知れない規模になります。にもかかわらず、彼らの多くは軍や政府への協力には強いアレルギーを持っています。2018年、Googleが国防総省とAI開発プロジェクト「Project Maven」の契約を結ぶと、社員から猛烈な抗議が起き、わずか2ヶ月で契約は撤回されました。カープに言わせれば、これは民主主義社会への裏切りです。「人々の仕事を奪う技術を作りながら、社会に価値を提供していると認識されることは不可能だ」と彼は書きます。仕事を奪い、軍事に協力しない。その先に待っているのは、テクノロジー産業の国有化という最悪のシナリオだ。これは本書だけでなく、Andreessen Horowitz主催のサミット壇上などでもカープが繰り返し警告している筋書きです。

この論調はかなり過激ですが、私は経営者として痛いほど理解できる部分があります。シリコンバレーがこの数十年で生んできたものの多くは、確かに素晴らしい一方で、人類が本当に直面している問題、つまり安全保障、エネルギー、食料、医療、製造業の空洞化といった領域には、必ずしも最優秀の頭脳が向かってこなかったという感覚があります。「日常のちょっとした不便」を解決するアプリは飽和し、その間に地政学的リスクは静かに、しかし確実に深まってきました。先ほどのSFの街並みを思い出せば、彼の批判は決して机上の暴言ではなく、現実から立ち上がってくる種類の警鐘だと感じます。


TRAFEEDで挑む、私たちなりの「テクノロジカル・リパブリック」

私たちTIMEWELLが運営するTRAFEEDは、まさにこの問題意識から生まれたサービスです。国家安全保障や経済安全保障に関わる意思決定の現場で、断片的に存在する一次情報を統合し、判断のためのインテリジェンス基盤として提供する。地政学が激しく動く時代に、政府機関や重要インフラを担う企業、そして安全保障に関わる研究機関の方々に伴走する。それが私たちの掲げているミッションです。さらにこれから踏み込んでいくフィジカルAIの領域は、ロボティクスや自律システムを通じて、ソフトウェアが物理世界に手を伸ばすフロンティアです。物流、製造、災害対応、防災・防衛。AIの力を、画面の中だけでなく、現実の物体や設備として社会実装していく挑戦です。

カープの本を読んでいて、私が深く共鳴するのは「挑戦者支援」という思想の部分です。彼は本書の中で、エンジニアリング・マインドセットと、国家・共同体への帰属意識という二つの要素こそが、これからのテクノロジカル・リパブリックを支えると書いています。私はそれに加えて、「挑戦者を信じ、挑戦者に賭ける」という第三の要素が必要だと考えています。日本という国がこれから国力を取り戻していくためには、霞が関や大企業の中だけで物事を進めるのではなく、リスクを取って新しい領域に踏み出す挑戦者を、社会全体で本気で支える文化が必要です。スタートアップだけでなく、行政や研究機関、大企業の中の挑戦者も含めて、です。

私たちが特に意識しているのは、「国のためにやる」ということを、堂々と看板に掲げてよい時代がきたという感覚です。この10年、日本のスタートアップ業界の主流は、グローバルな消費者市場やSaaSビジネスを目指すことでした。それは正しい戦略でしたし、今も多くの挑戦者がその道で素晴らしい成果を出しています。しかし、AIが安全保障を直接揺さぶる時代に入った以上、「国のため」「同盟国のため」「自由主義圏のため」を起業の動機として真正面から掲げる挑戦者が、もっと増えていい。私自身、TRAFEEDを始めるときに「これは国の役に立つ仕事だ」と臆面もなく言える自分を、少し誇らしく感じたことを覚えています。かつて、それは少し気恥ずかしいフレーズだったはずです。時代の風が変わったのです。

もちろん、ナショナリズムの行き過ぎには注意が必要です。「敵対国は倫理を持たない」と決めつけるカープのロジックには、私自身も警戒している部分があります。地政学的にシビアな現実を直視することと、相手国の人々を一括りに悪と見なすことは、まったく別の話です。私たちが目指すのは、開かれた自由主義社会を守ることであって、内向きの帝国主義ではない。この線を踏み越えないことが、日本の挑戦者にとってはとりわけ重要だと感じています。だからこそ、TRAFEEDというサービスを設計する上でも、私たちは「事実に基づく冷静な判断を支える」ことを軸に置いています。煽動ではなく、判断の質を上げるためのテクノロジーでありたい、ということです。


それでも、私たちは「両方」を肯定したい

ここまでカープの主張に深く共感する立場で書いてきましたが、最後に少しだけ、私自身のバランス感覚を書き残しておきたいと思います。私はカープの本を、極端なポジショニングの本だと理解しています。彼自身、おそらくそれを自覚した上で書いている。世論の振り子が消費者向けテクノロジーの側に振れすぎたから、反対側に強く引き戻すために、わざと極端に振り切った主張をしている。優れた論者の書きぶりだと思います。本書がベストセラーになり、要約ツイートが大量に拡散している現象そのものが、彼の戦略の一部なのでしょう。本を売ることが目的なのではなく、自由主義圏のテック界隈に大きな物語を再供給することこそが目的なのだと思います。その意味では、私たちが今こうして本書について議論していること自体が、すでにカープの作戦の中にあると言えます。

しかし、現実のテクノロジーは、もっと多元的であってよいと私は考えます。たとえば2024年にノーベル化学賞の対象となったDeepMindのAlphaFoldのように、AIで病気の原因解明や創薬に取り組むプロジェクトは、軍事でも安全保障でもありませんが、人類にとってこの上なく重要な仕事です。本書はこうした医療・科学領域でのAI活用について深く掘り下げてはいませんが、自律的に新薬の候補を設計するAIは、結果として国力を支える基幹技術にもなりますし、同時にそれ自体が人類史的な意義を持っています。気候変動への対応も、エネルギーシステムの脱炭素化も、教育のパーソナライズも、本気で取り組めば人類の生存可能性を引き上げる仕事です。重要な仕事は、軍事と国家安全保障の領域にだけ存在するわけではありません。

そして、ジョブズが切り拓いた「個人を解放するテクノロジー」という思想も、私は今でも美しいと信じています。スマートフォンが世界中の人々の手に行き渡ったからこそ、地方の若者が学び、女性が経済的自立を獲得し、独裁国家の市民が情報にアクセスできるようになりました。これらの成果まで「無差別破壊」と切って捨てるのは、さすがに行き過ぎだと感じます。個人をエンパワーすることと、国家を強くすることは、対立する目的ではありません。むしろ、強い個人の総和が、強い国を作るのです。日本のテクノロジー史を振り返っても、ソニーの創業者たちが個人のために音楽を持ち運ぶウォークマンを作ったことが、結果として日本の産業競争力を世界トップに押し上げた事実を、私たちは忘れるべきではありません。

だからこそ、これからの挑戦者には、両方の道を選ぶ自由があってほしい。国家安全保障やフィジカルAIの最前線に挑む人もいれば、医療や教育の現場で個人の可能性を引き出すAIを作る人もいる。広告でも、エンタメでも、ゲームでも、人々の生活を豊かにするものは、それぞれの形で価値を持っています。カープが警告するように、AI時代の安全保障の最前線に頭脳が向かう必要があるのは間違いありません。同時に、その背後にある豊かな多様性こそが、私たちが守ろうとしている自由主義社会そのものでもあります。守るべきものがあるからこそ、ハードパワーを整える意味がある。守るべき多様な価値が痩せ細ってしまえば、何のために力を持つのかという問いに答えられなくなります。TIMEWELLとしては、自分たちがTRAFEEDで安全保障領域に深く踏み込みつつ、同時に他の領域で挑む起業家たちを心から尊敬し、応援していきたいと思っています。安全保障に従事することは、消費者向けサービスを軽蔑することとは違います。両方が地続きであり、両方を担う人々が互いをリスペクトし合うことで、はじめて健全な「テクノロジカル・リパブリック」は成立するのだと、私は信じています。


国家安全保障領域に挑む方へ

TIMEWELLが運営するTRAFEEDは、輸出管理・経済安全保障・地政学リスクに関わる意思決定を支えるインテリジェンス基盤です。一次情報を統合し、信頼できるソースだけで判断材料を組み立てる仕組みになっています。安全保障領域での新規事業立ち上げ、政府機関との連携、海外取引のデューデリジェンス、社内のセキュリティ・クリアランス制度対応など、TRAFEEDが伴走できるテーマは幅広く存在します。

「カープが言うような国家のために働く事業を立ち上げたいが、どこから始めればいいかわからない」「重要インフラ企業として安全保障要件をどう満たすか整理したい」。そんな方は、ぜひお気軽にご相談ください。同じ問題意識を持つ挑戦者と、本気で議論できる時間を楽しみにしています。


AIが進化していく今後の十年は、安全保障を脅かす勢力との戦いの時代になります。これはもう、好むと好まざるとにかかわらず、私たちが直面しなければならない現実です。そんな中で、日本の挑戦者がどう振る舞うか。シリコンバレーが半世紀かけて築いてきた素晴らしい遺産を尊重しながら、同時に、国のために、自由主義圏のために、堂々と腕まくりして働く。その両方を引き受けられる起業家が一人でも多く生まれたとき、日本という国はもう一度、世界の物語の中心に戻ってこられるはずです。私はそれを信じて、TRAFEEDという小さな船を漕いでいきます。

本書は、ぜひ多くの起業家・経営者・政策立案者に読んでいただきたい一冊です。同意できない部分があってもいい。むしろ、自分の頭で「同意できない部分はどこか」を考えながら読むこと自体が、カープの言う「証拠がなくても何かを信じるという知的勇気」の最初の一歩になるはずだからです。


参考文献

[1] アレクサンダー・C・カープ、ニコラス・W・ザミスカ著、村井章子訳『テクノロジカル・リパブリック 国家、軍事力、テクノロジーの未来』日本経済新聞出版、2026年。

[2] Alex Karp, Nicholas W. Zamiska, "The Technological Republic: Hard Power, Soft Belief, and the Future of the West," Crown, 2025.

[3] WIRED.jp「テック共和国のつくり方[パランティア式]|Book Review」 https://wired.jp/article/sz-the-palantir-guide-to-saving-americas-soul/

[4] 日経BOOKプラス「はじめに:『テクノロジカル・リパブリック 国家、軍事力、テクノロジーの未来』」 https://bookplus.nikkei.com/atcl/column/032900009/031201221/

[5] AI World Journal "Book Review: The Technological Republic by Palantir's CEO Alex Karp" https://aiworldjournal.com/book-review-the-technological-republic-by-palantirs-ceo-alex-karp/

[6] Mark O'Connell, "The War App," The New York Review of Books, 2025-09-25. https://www.nybooks.com/articles/2025/09/25/the-war-app-the-technological-republic-karp-zamiska/

[7] Futurism "AI CEOs Warn of 'Nationalization' If Silicon Valley Doesn't Help With Defense." https://futurism.com/artificial-intelligence/ai-ceos-nationalization


著者プロフィール

濱本隆太:株式会社TIMEWELL 代表取締役。国家安全保障領域のインテリジェンス・サービスTRAFEEDを運営。今後はフィジカルAI領域への参入を予定し、日本の挑戦者支援を通じて国力向上に取り組む。

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