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ソフトバンクのABBロボット買収2026年完了へ:フィジカルAI時代を牽引するIzanagi半導体との統合戦略

2026-01-23濱本 隆太

2025年10月に発表されたソフトバンクグループによるABBロボット事業8,187億円買収が、2026年半ば~後半に完了予定です。孫正義会長が掲げる「フィジカルAI」戦略の中核として、独自開発のIzanagi半導体と統合し、次世代ロボットコントローラを実現します。

ソフトバンクのABBロボット買収2026年完了へ:フィジカルAI時代を牽引するIzanagi半導体との統合戦略
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こんにちは、株式会社TIMEWELLの濱本です。

「ソフトバンクの次のフロンティアはフィジカルAIだ」——2025年10月、孫正義会長兼社長がこう宣言し、スイスの大手技術企業ABBのロボティクス事業を総額8,187億円で買収する最終契約を締結しました。2026年半ば~後半に完了予定のこの買収は、単なるM&Aではありません。AIとロボティクスを融合させることで、人類を前進させる画期的な進化を推進するという壮大なビジョンの一端として位置づけられています。

この記事では、ソフトバンクグループのABBロボット事業買収の背景から、2026年の買収完了後に期待される展開、そしてフィジカルAIがもたらす産業革命について解説します。

ソフトバンクの戦略:ABBロボット事業買収の背景と狙い

買収の概要と規模

買収の詳細:

項目 内容
買収金額 53.75億米ドル(約8,187億円)
発表 2025年10月8日
完了予定 2026年半ば~後半
承認条件 EU、中国、米国を含む規制当局の承認

ABBは、世界の産業ロボット市場においてファナック、安川電機、中国の有力メーカーと並ぶ4強の一角を占める存在であり、売上ベースで世界トップクラスの実績を持ちます。特に、製造業において溶接や塗装、組み立てなどの自動化を推進する産業ロボットの分野で、長い歴史と高いシェアを誇っています。

フィジカルAI戦略の全体像

ソフトバンクグループは、AIと連動した自律自動化社会を目指し、以下の4つの重要分野に投資を進めています。

ソフトバンクの投資分野:

  1. 半導体(Izanagiプロジェクト):独自のAI半導体を2026年量産開始
  2. データセンター:米国での大規模データセンター建設プロジェクト
  3. 電力:AI需要に対応する電力インフラ
  4. ロボット:ABB買収で産業用ロボット分野に本格参入

孫正義会長は、「ABBロボティクスと共に、人工超知能とロボティクスを融合させることで、人類を前進させる画期的な進化を推進する」と述べており、これらの投資が一貫したフィジカルAI戦略の一部であることが明確になっています。

ABBロボット事業の現状と課題

担当記者の山下氏は、ABBロボット事業が以下の課題を抱えていたと指摘します。

ABBが直面していた課題:

  • 中国市場での競争激化
  • 収益性の低下
  • ポートフォリオ再編の必要性

ソフトバンクグループ側は、この収益性の低下をあえて投資機会と見なしており、「現状を乗り越え、AIと連携することで大幅な業績向上が見込める」との戦略を展開しています。

買収規模の妥当性

8,187億円という金額は、ソフトバンクグループが2025年度に行った他の大規模な投資案件と比較しても、決して異例な規模ではありません。

2025年度の主な投資案件:

  • 米国データセンター建設プロジェクト
  • 半導体設計大手の買収(約9,700億円)
  • 最大6兆円の追加出資計画

担当記者の森田氏は、「8,000億円という金額も、日本企業のM&Aの中では大きいが、今年の他の投資案件と並べるとむしろ自然なスケール感だ」と語っており、ロボット事業買収は特に大きな違和感なく、戦略全体の中に溶け込んでいます。

2026年のフィジカルAI実現:Izanagi半導体との統合

Izanagi半導体プロジェクトとの連携

ソフトバンクは独自のAI半導体開発プロジェクト「Izanagi」を進行中で、2026年には量産開始が計画されています。

Izanagiプロジェクトの概要:

項目 内容
目的 フィジカルAIに最適化されたAI半導体の開発
量産開始 2026年予定
ABB統合 次世代ロボットコントローラにIzanagiチップ搭載予定
優位性 AIとロボティクスの垂直統合によるコスト削減と性能向上

2026年のABB買収完了と、Izanagiチップの量産時期が重なることから、次世代のABBロボットコントローラにはIzanagiチップが搭載される可能性が高く、ハードウェアからソフトウェアまでの垂直統合が実現します。

既存投資先との統合によるシナジー

買収後、ABBのロボティクスプラットフォームは、ソフトバンクの既存投資先の技術基盤と統合され、AIロボティクス分野における革新を加速させます。

ソフトバンクのロボティクス関連投資先:

  1. ソフトバンクロボティクスグループ:Pepper、Whiz(清掃ロボット)など
  2. Berkshire Grey:物流自動化ロボット
  3. AutoStore:倉庫自動化システム
  4. Agile Robots:協働ロボット
  5. Skild AI:ロボット向けAIソフトウェア

期待されるシナジー効果:

分野 ABBの強み 統合後の効果
製造業 産業用ロボットの世界トップシェア Skild AIとの統合で自律性向上
物流 ロボットアーム技術 Berkshire Grey、AutoStoreとの統合で倉庫自動化加速
サービス 高精度な制御技術 ソフトバンクロボティクスとの統合で新サービス創出
協働ロボット 産業用ロボットの安全性ノウハウ Agile Robotsとの統合で協働ロボット市場拡大

フィジカルAIが変える産業の未来

孫正義会長は、AIの持つ計算能力や学習能力を実世界の現場——工場や物流、建設、医療など——にまで適用するという壮大なビジョンを掲げています。

フィジカルAIの応用分野:

  1. 製造業

    • 完全自律型の生産ライン
    • AIによる品質管理の自動化
    • 柔軟な生産体制(マスカスタマイゼーション)
  2. 物流

    • 倉庫内の完全自律搬送
    • AIによる最適配送ルート計算
    • 荷物の自動仕分け・梱包
  3. 建設

    • 自律型建設ロボット
    • 安全性の向上
    • 人手不足の解消
  4. 医療

    • 遠隔手術ロボットの高度化
    • AI支援による精密手術
    • リハビリテーション支援

AIとフィジカルの融合:未来の自立自動化社会

デジタルからフィジカルへの転換

これまでAIは、主にデジタル領域における情報処理やチャット、画像生成など、仮想空間における領域でその存在感を示してきました。しかし、フィジカルAIは、AIの力を実世界の現場にまで適用することで、産業の在り方を根本から変革します。

デジタルAI vs フィジカルAI:

デジタルAI フィジカルAI
情報処理、チャット、画像生成 実世界での作業実行(製造、物流、建設)
仮想空間で完結 物理空間でロボットを制御
データ入力→データ出力 センサー入力→物理的アクション
ChatGPT、Midjourney 産業用ロボット、自律走行車、ドローン

グローバルな潮流との連動

米国や欧州市場では、AIによってロボットが自律的な動作を実現し、工場の生産ラインや物流センターにおいて効率性が向上するといった事例が既に報告されています。

海外の先行事例:

  • Tesla Bot(Optimus):工場での組み立て作業
  • Amazon Robotics:倉庫での自律搬送
  • Boston Dynamics:建設現場での自律作業

ソフトバンクグループの買収戦略は、こうしたグローバルな潮流とも見事に連動しており、今後、より多くの企業がこのような技術融合を実現するための投資に舵を切る可能性が高いと考えられます。

2026年以降の展望:ABB買収がもたらすシナジー

買収完了後の統合プロセス(2026年後半~)

2026年半ば~後半にABB買収が完了した後、以下のプロセスが予想されます。

統合ロードマップ(予想):

  1. 2026年後半:買収完了、経営統合開始
  2. 2027年Q1:Izanagi半導体をABBロボットに試験搭載
  3. 2027年Q2:Skild AIとの統合による自律性向上
  4. 2027年後半:新製品ラインナップ発表
  5. 2028年:次世代フィジカルAIロボットの量産開始

日本の製造業への影響

日本の製造業にとって、ABB買収は以下のような影響をもたらす可能性があります。

ポジティブな影響:

  • ファナック、安川電機との競争激化による技術革新加速
  • フィジカルAI技術の国内普及
  • 日本の強みである製造業とAIの融合促進

懸念される影響:

  • 海外メーカーとの競争激化
  • 日本企業のシェア低下リスク

社会全体への波及効果

フィジカルAIの普及は、社会全体に以下のような波及効果をもたらします。

期待される変化:

  • 人手不足の解消(特に製造業、物流、建設)
  • 労働災害の減少(危険作業のロボット化)
  • 生産性の飛躍的向上
  • 新たな雇用創出(ロボット設計、AIエンジニア)

懸念される課題:

  • 雇用の置き換え(定型作業の自動化)
  • 再教育の必要性
  • 倫理的・法的課題(自律ロボットの責任問題)

TIMEWELLのAI活用支援:フィジカルAI時代の戦略策定

ZEROCKでエンタープライズAI戦略を構築

**ZEROCK**は、企業向けAIプラットフォームとして、フィジカルAI時代の戦略構築を支援します。

主な機能:

  • GraphRAG技術:企業独自のロボット運用データを活用した高精度なナレッジコントロール
  • プロンプトライブラリ:製造業、物流業向けのAI活用テンプレート
  • AWS国内サーバー:セキュリティとプライバシーを確保

ZEROCKとフィジカルAIの連携例:

  • 製造ラインのAI最適化シミュレーション
  • ロボット運用データの分析・可視化
  • 予知保全システムの構築

WARPでフィジカルAI導入戦略を最適化

**WARP**では、フィジカルAI導入コンサルティングを通じて、企業のロボット活用戦略を支援します。

サポート内容:

  • ロボット導入のROI分析
  • フィジカルAI戦略の策定
  • 製造ライン・物流センターの自動化設計
  • 元大手企業のDX専門家による戦略立案

まとめ:フィジカルAI時代の幕開け

主要ポイント

  • 買収完了予定:2026年半ば~後半、8,187億円
  • フィジカルAI戦略:孫正義「次のフロンティアはフィジカルAI」
  • Izanagi半導体:2026年量産開始、ABBロボットに搭載予定
  • 垂直統合:半導体、データセンター、電力、ロボットの統合
  • 既存投資先との統合:Skild AI、Berkshire Grey、AutoStore等との連携
  • グローバル競争:Tesla Bot、Amazon Roboticsとの競争激化

フィジカルAI時代の到来

2026年、ソフトバンクグループのABBロボット買収完了により、フィジカルAI時代が本格的に幕を開けます。AIが仮想空間から物理空間へと進出し、製造業、物流、建設、医療など、あらゆる産業の在り方を根本から変革する可能性を秘めています。

孫正義会長が描く壮大なビジョン——人工超知能とロボティクスを融合させることで、人類を前進させる画期的な進化——は、単なる夢物語ではなく、2026年以降、具体的な形となって現実化していくでしょう。

企業が今すべきこと

  1. フィジカルAI戦略の策定:ロボット活用の可能性を検討
  2. パイロット導入の開始:特定工程での効果測定
  3. 人材育成:ロボット操作、AI活用のスキル向上
  4. パートナー選定:ソフトバンク、ファナック、安川電機等との協業検討

フィジカルAI時代の到来は、企業にとって大きなチャンスであると同時に、対応を誤れば競争力を失うリスクでもあります。2026年以降の産業革命に備え、今から準備を始めることが重要です。

参考文献

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