こんにちは、株式会社TIMEWELLの濱本です。
2025年3月、東京で開催された「AI Agent Summit '25 Spring」では、GoogleのAIエージェント戦略が発表されました。あれから10ヶ月、2025年10月9日、GoogleはAgentspaceをGemini Enterpriseに統合し、エンタープライズAI市場に大きな変革をもたらしました。
本記事では、当時のサミット内容と、2026年1月現在のGemini Enterpriseの最新機能、そして企業がAIエージェントで業務を革新する方法を解説します。
当時→現在:AIエージェント市場の急速な進化
2025年3月時点(サミット開催時)
- Google Gemini 2.0を発表(Pro、Flash、Thinking、Flash-Lite)
- Agentspaceをスタンドアロンプラットフォームとして提供
- NECでの初期導入事例を紹介
2026年1月現在
- Agentspace統合:Gemini Enterpriseの中核機能として組み込み(2025年10月)
- Gemini 2.5 Flash:回答生成にGemini 2.5 Flash、関連質問生成に2.0 Flashを使用
- Deep Researchエージェント:内部・外部情報の自動収集・分析・レポート生成
- Veo 3 Fast:エージェント内での動画生成機能
- 拡張コネクタ:Confluence、Jira、SharePoint、ServiceNowとのネイティブ統合
Gemini Enterprise:2026年のエンタープライズAIプラットフォーム
プラットフォーム構成
Gemini Enterpriseの主要機能(2026年):
| 機能 | 概要 | 対象リージョン |
|---|---|---|
| Gemini 2.5 Flash | 高速回答生成、マルチモーダル理解 | US/グローバル |
| Deep Researchエージェント | 自動調査・分析・レポート作成 | 全リージョン |
| Veo 3 Fast | エージェント内動画生成 | US/グローバル |
| Agentspace | 会話型AI、エージェント作成・オーケストレーション | 全リージョン |
| エンタープライズコネクタ | Confluence、Jira、SharePoint、ServiceNow連携 | 全リージョン |
統合のインパクト
2025年10月の統合により、以下が実現されました。
以前(Agentspace単体):
- 別々のプラットフォームで管理
- 限定的なデータ連携
- 手動でのエージェント統合
現在(Gemini Enterprise統合後):
- 単一の安全な環境でエージェント管理
- 企業データへの権限ベースアクセス
- ワンクリックでのサードパーティ連携
AIモデルの進化:Gemini 2.5 Flashが示す未来
マルチモーダル理解の深化
Gemini 2.5 Flashは、動画・音声・画像・テキストを横断的に理解し、生成します。
2025年3月のデモ(サミットで紹介):
- 調理場動画から調理時間を自動抽出
- 使用材料・調理器具のカウント
- 多言語フィードバック生成
2026年の実用化事例:
- 店舗オペレーションの自動監査
- 衛生管理のリアルタイム分析
- 従業員トレーニング動画の自動生成(Veo 3 Fast使用)
Veo 3 Fast:動画生成の新次元
2026年、Agentspace内で利用可能になったVeo 3 Fastは、テキストプロンプトから高品質な動画を生成します。
活用例:
- マニュアル動画の自動作成
- トレーニングコンテンツの生成
- カスタマーサポート資料の動画化
AIエージェント:自律的思考とアクションの実装
エージェントアーキテクチャ
AIエージェントは、以下のサイクルを自律的に実行します。
エージェントの思考プロセス:
1. コンテキスト理解 → 2. 思考 → 3. アクション → 4. 観察 → 5. 再思考 → 1に戻る
NEC事例:9万人の情報検索を革新
導入前の課題:
- 社内情報基盤「One NEC.com」の検索精度が低い
- 9万人以上の従業員が非効率な情報検索に時間を費やす
Agentspace導入後(2025年):
- 検索精度が大幅に向上
- リサーチエージェントがタスクを自動分解・役割分担
- 検索結果の自動要約・構造化
2026年の発展:
- Gemini Enterpriseのコネクタで他システムとシームレス連携
- Deep Researchエージェントによる深堀り調査の自動化
- 従業員の情報検索時間を平均40%削減
Deep Researchエージェント:調査業務の自動化
2026年に追加されたDeep Researchエージェントは、複雑な調査タスクを自動化します。
機能:
- 内部・外部情報の自動収集
- 複数ソースのクロス分析
- 構造化されたリサーチレポート生成
ユースケース:
- 市場調査レポート作成
- 競合分析の自動化
- 技術トレンド調査
データ&AI:非構造化データからの価値創出
アダストリア株式会社:顧客の声を商品改善に直結
導入背景:
- 店舗スタッフが収集する顧客の声が活用されていない
- 音声データの分析に時間とコストがかかる
Gemini活用フロー:
- 収集:店舗スタッフが顧客の声を音声で記録
- 変換:GCPでテキストに自動変換
- 分析:生成AIでラベリング・分類
- 可視化:商品ごとの改善点をダッシュボード化
- 実行:商品企画担当者が改善を実施
成果:
- 顧客満足度向上
- 商品改善サイクルの短縮
- 売上増加
博報堂テクノロジーズ:広告プランニングの自動化
課題:
- デジタル広告のプランニングに多大な工数
- メディアプランの品質が担当者によってばらつく
AIエージェント活用:
- 予算・目的・ターゲットに基づく自律的なプラン作成
- 人間のプランナーとの対話による最適化
- 企画書の自動生成
効果:
- 業務効率の向上
- プラン品質の標準化
- より高度な戦略立案への時間創出
エンタープライズコネクタ:シームレスなデータ統合
2026年の拡張コネクタ
Gemini Enterpriseは、企業で広く使われるツールとのネイティブ統合を提供します。
対応サービス(2026年):
| サービス | 統合内容 | ユースケース |
|---|---|---|
| Confluence | ドキュメント検索・要約 | ナレッジベース活用 |
| Jira | チケット分析・自動化 | プロジェクト管理効率化 |
| Microsoft SharePoint | ファイル検索・共有 | 文書管理の効率化 |
| ServiceNow | インシデント管理 | IT運用の自動化 |
| Google Drive | ファイルアップロード | コラボレーション強化 |
| Microsoft OneDrive | ファイル統合 | クロスプラットフォーム連携 |
権限ベースアクセス
Gemini Enterpriseは、企業のID管理システムと連携し、ユーザーごとの権限に基づいて情報へのアクセスを制御します。
セキュリティ機能:
- マルチモーダル検索での権限管理
- データ保持ポリシーの遵守
- SOC 2、ISO 27001準拠
TIMEWELLのエンタープライズAI:ZEROCKとの連携
ZEROCKでさらなる高度化を実現
**ZEROCK**は、Gemini Enterpriseと連携し、日本企業向けにカスタマイズされたAIプラットフォームを提供します。
主な機能:
- GraphRAG技術:企業独自のナレッジグラフを構築し、高精度な情報検索を実現
- AWS国内サーバー:データを日本国内で管理、法規制に準拠
- プロンプトライブラリ:業務特化型のAI活用テンプレート
- ナレッジコントロール:企業独自の情報管理ポリシーを反映
Gemini Enterprise × ZEROCK連携例:
- Gemini Enterpriseで外部ツール(Confluence、Jira)からデータ取得
- ZEROCKのGraphRAGで企業独自のナレッジグラフを構築
- ZEROCKのプロンプトライブラリで業務に最適化されたエージェント作成
- AWS国内サーバーで安全にデータ管理
WARPでAI導入戦略を最適化
**WARP**では、GoogleのAIエージェント導入を支援します。
サポート内容:
- Gemini Enterprise導入コンサルティング
- AIエージェント設計・開発支援
- 既存システムとの統合設計
- 元大手企業のDX専門家による戦略立案
- 従業員向けトレーニングプログラム
導入のベストプラクティス
段階的導入アプローチ
フェーズ1:パイロット導入(1-3ヶ月)
- 特定部門での小規模導入
- 基本的なエージェント機能の活用
- ROI測定
フェーズ2:部門展開(3-6ヶ月)
- 複数部門への展開
- カスタムエージェントの開発
- エンタープライズコネクタの統合
フェーズ3:全社展開(6-12ヶ月)
- 全社的なAIエージェント活用
- 業務プロセスの再設計
- 継続的な最適化
成功のための5つのポイント
- 明確なユースケース定義:解決したい課題を具体化
- データ品質の確保:AIエージェントが活用できる形でデータ整備
- 権限管理の設計:セキュリティポリシーに準拠したアクセス制御
- 従業員トレーニング:AIエージェントの効果的な活用方法を教育
- 継続的な改善:利用状況を分析し、エージェントを最適化
まとめ:エンタープライズAIの新時代
主要ポイント
- Agentspace統合:Gemini Enterpriseの中核機能として2025年10月に統合完了
- Gemini 2.5 Flash:高速回答生成、マルチモーダル理解の深化
- Deep Researchエージェント:調査業務の自動化、レポート生成
- Veo 3 Fast:エージェント内での動画生成が可能に
- 拡張コネクタ:Confluence、Jira、SharePoint、ServiceNowとネイティブ統合
- 実証された成果:NEC(9万人の情報検索効率化)、アダストリア(顧客の声の活用)、博報堂テクノロジーズ(広告プランニング自動化)
2026年のエンタープライズAI市場
GoogleのGemini Enterpriseは、AgentspaceをCore functionとして統合することで、エンタープライズAI市場における地位を確固たるものにしました。単一の安全な環境でAIエージェントを発見・作成・共有・実行できるプラットフォームは、企業のAI活用を加速させています。
日本企業にとっては、ZEROCKのようなローカライズされたプラットフォームと組み合わせることで、法規制に準拠しながら、高度なAIエージェントを活用できる環境が整いつつあります。
企業が今すべきこと
- ユースケース特定:自社の業務プロセスでAIエージェントが活用できる領域を洗い出す
- パイロット導入:小規模チームでGemini Enterpriseを試験導入
- データ整備:AIエージェントが活用できる形でデータを構造化
- セキュリティ評価:権限管理、データ保持ポリシーを確認
- トレーニング計画:従業員向けのAIエージェント活用研修を実施
AIエージェントは、もはや実験段階ではなく、企業の業務効率を劇的に向上させる実用ツールです。2026年、エンタープライズAI市場は新たな段階に入りました。
参考文献
- Gemini Enterprise release notes | Google Cloud Documentation
- Google launches Gemini Enterprise to boost AI agent use at work | CNBC
- Google Agentspace Integrates into Gemini Enterprise | Master Concept
- Bringing AI Agents to Enterprises with Google Agentspace | Google Cloud Blog
- AI Agents for Gemini Enterprise | Google Cloud
