こんにちは、株式会社TIMEWELLの濱本です。
2026年7月21日、金融庁と東京証券取引所は「コーポレートガバナンス・コード(2026年改訂版)」を確定し、公表しました。東証は同じ日に有価証券上場規程を改正し、施行しています。4月10日から5月15日まで募ったパブリックコメントには、147の個人・団体から意見が寄せられました12。
この記事の初版(2026年4月)は、パブリックコメントにかけられていた改訂案をもとに書いたものです。今回、確定版の原文と東証が上場会社向けに出した実務資料を読み直し、日付、数字、そして「どこに何が書かれたか」を一つずつ確かめ直しました。改訂案の段階で「原則に明記される見込み」と書いていた項目の一部が、確定版では原則ではなく「解釈指針」に置かれていた、という違いも見つかっています。
要点(2026年10月時点)
2015年の適用開始から10年余り。日本の上場企業は、独立社外取締役の選任や指名・報酬委員会の設置といった外形的な体制を着実に整えてきました。プライム市場では、独立社外取締役を3分の1以上選んでいる会社が98.8%に達しています(2025年7月時点)5。その一方で、「求められた項目を開示しておけば足りる」という形式的な対応にとどまる企業が少なくない、という指摘も長く続いてきました。
今回の改訂は、その指摘に正面から応える内容です。コード策定時のプリンシプルベース(原則主義。細かな手順を定めるのではなく趣旨を示し、実行の方法は各社に委ねる考え方)に立ち返り、ガバナンスを「形式から実質へ」移す。金融庁と東証は、これを「コードの実質化」と呼んでいます6。
まず全体像:改訂前「83」から「30」へのスリム化
4つの要点に入る前に、改訂後のコードの骨格を押さえておきます。
| 改訂前(2021年6月版) | 2026年改訂版(7月21日確定) | |
|---|---|---|
| 基本原則 | 5 | 4 |
| 原則 | 31 | 26 |
| 補充原則 | 47 | 廃止 |
| 合計 | 83 | 30 |
個数は、東証が上場会社向けに公表した資料と金融庁の有識者会議資料に載っているもので、合計は私が足し上げた数字です37。タイトルにも掲げた「83から30へ」という数字は、プライム市場とスタンダード市場の会社がコンプライ・オア・エクスプレイン(原則を実施するか、実施しない理由を説明するか)を求められる項目の数、と読むのが正確です。グロース市場の会社は従来どおり基本原則だけが対象なので、5から4への変化になります2。
基本原則が1つ減ったのは、旧第1章「株主の権利・平等性の確保」と旧第5章「株主との対話」が統合され、コードの冒頭に置かれたためです。補充原則47個は、重要なものが原則に格上げされ、補助的な記述は解釈指針へ、実務に浸透したものや法令と重複するものは削除、という3通りに振り分けられました7。
解釈指針について、確定版の序文は次のように説明しています。全ての基本原則と一部の原則に解釈指針が付いていること。解釈指針はコンプライ・オア・エクスプレインの対象ではないものの、原則への実質的な対応を支える役割を持ち、ベストプラクティスやグッドプラクティスも含むこと。そして、解釈指針に移った記載や削除された記載について「重要性が失われたと考えることは適切ではなく」と念を押しています8。
個人的には、ここが今回いちばん誤読されやすい箇所だと思っています。「補充原則がなくなったから開示の手間が減る」と受け取ると、序文の趣旨とは逆の方向に進んでしまいます。序文は、プリンシプル化・スリム化は対応コストや開示負担を軽くすることだけを意図したものではない、とわざわざ書いているほどです。
新設の序文には、もう一つ見逃せない記述があります。原則をコンプライする場合でも、具体的な取組みと、実施していると評価できる合理的な理由を示して説明することが、建設的な対話に資する取組みとして望ましい、という一文です8。「実施」と書いて終わりにしていた欄が、今後は説明の場に変わっていきます。
ポイント①:現預金・金融資産・実物資産の有効活用と成長投資への配分
今回の改訂で最も注目を集めたのが、経営資源の配分についての説明責任です。
背景のデータから見ておきます。金融庁がBloombergのデータをもとに作った比較では、TOPIX500(金融業を除く)の総資産に対する現預金比率は2004年の約12%から上がり続け、2021年に約17.6%、2024年も約16.5%でした。同じ基準で米国のS&P500は約8%、欧州のBE500は約9%なので、日本はおよそ2倍の水準です(数値はグラフからの読み取り)。売上高に対する研究開発費の比率は、米国が9%近くまで伸びた一方、日本は3%前後で横ばいが続いています5。
投資家と企業の認識の差も、同じ資料に並んでいます。三井住友信託銀行の「ガバナンスサーベイ2025」を金融庁が整理したもので、「事業ポートフォリオ・経営資源配分の見直し」を企業価値向上の課題と見る投資家が73%いるのに対し、実施している企業は28%でした。「自社の最適なバランスシートの検討・見直し」は、投資家48%に対して企業20%です5。初版ではこの二つの数字を一つの項目として紹介していました。項目を取り違えていたため、あわせて訂正します。
確定版では、この論点が二段構えで書かれています。1段目の原則4-1は、取締役会が会社の目指すところに向けた「成長の道筋」を構築し、成長投資(設備・研究開発・人的資本・知的財産等の無形資産への投資等)や事業ポートフォリオの見直しなど、経営資源の配分で「具体的に何を実行するのか」を説明すべきだとしました8。
原則4-1の解釈指針は、投資先を考える観点も例示しています。自社の内部(設備・研究開発・人的資本・知財)に求めるのか、外部(M&A・業務提携・スタートアップ出資)に求めるのか。短期か、中長期か。国内(地方への人的投資・地方拠点の整備)か、国外か8。AIを使った業務の作り直しも、人的資本や無形資産への投資として説明に組み込める項目の一つです。取締役会に出す投資計画の型が手元に欲しい方向けに、現状把握からPoC、全社への定着までを記入式で整理できるAI駆動組織への移行ロードマップ&自己診断シート(2026年版)をお配りしています。
2段目の原則4-2は、経営資源の配分が経営戦略や経営計画に照らして適切かどうか、「不断に検証を行うべき」と定めています。現預金という言葉そのものは、この原則4-2の本文ではなく、解釈指針に出てきます。「現預金等の金融資産や実物資産等の経営資源を成長投資等に有効活用できているかを含め、不断に検証を行うべき」という一文です8。初版では「取締役会の役割として明記される見込み」と原則のように書いていましたが、確定版での置き場所は解釈指針でした。
ここで誤解してはいけないのは、短期的な株主還元を迫る改訂ではないという点です。金融庁と東証の趣旨文書は、現預金を保有すること自体が常に否定されるわけではなく、会社が保有の必要性・合理性を説明できる限り、適正な水準の現預金を持つことも経営資源の配分の一環だと明記しています6。問われているのは金額の多い少ないではありません。「なぜこの水準なのか」「成長にどう振り向けるのか」を取締役会で議論し、投資家に説明できるかどうかです。
ポイント②:有価証券報告書の「定時株主総会前」開示
2つ目は、有価証券報告書(有報)の開示時期です。
確定版の原則1-2は、株主総会での権利行使に向けた環境整備の重要な例として、「有価証券報告書を株主総会開催日前に提出する」ことを挙げました。解釈指針はさらに踏み込み、有報は本来、株主総会開催日の3週間以上前に提出されることが最も望ましいとして、総会の開催日や議決権の基準日を従前の慣行から後ろ倒しすることも含めて検討する、と書いています8。
実務はこの1年で大きく動きました。金融庁の集計では、3月決算会社のうち総会前に有報を開示した会社の割合は、2024年3月期の1.8%から2025年3月期に57.7%へ、2026年3月期には88.3%(2,184社中1,928社)まで増えています。プライム市場に限ると94.3%です59。初版で紹介した「日経225銘柄の81.2%が総会前開示」は、2025年3月期の数字でした5。
ただ、中身を見ると課題がはっきりします。2026年3月期に総会前開示をした1,928社のうち、1,473社は総会の3日前から前日にかけての開示でした。3週間以上前に開示した会社は7社(前期は1社)にとどまります。日経225の3月決算会社でも、7日以上前に開示した割合は21.2%です9。金融庁はこの7社の社名も公表しており、うち2社は総会を後ろ倒しするために議決権基準日を変える定款変更まで行っています。
金融庁自身も、現行の法制度のもとでの3週間以上前の開示は「必ずしも容易ではない」と認めています。確定版の序文には、法務省と連携し、法制審議会で議論されている有報と事業報告等の一本化や、会社法上の監査と金融商品取引法上の監査の一元化といった制度面の検討を並行して進める、と書かれました8。法制審議会の会社法制部会は2026年3月18日に中間試案をまとめ、5月22日までパブリックコメントを募っています10。
決算発表から監査、開示、総会までの年間日程を、制度の手当てを待ちながらどう組み直すか。経理、法務、IRが同じ日程表を見ながら決める段階に入りました。「3日前」から「1週間前」へ、次に「2週間前」へと段階的に前倒しする会社が多いはずで、監査法人との調整は早めに始めるに越したことはありません。
ポイント③:取締役会の機能強化と「取締役会事務局」の明記
3つ目は、取締役会の監督機能の実質化です。
これまでの改革は、独立社外取締役の人数比率のような外形基準が中心でした。確定版は、独立社外取締役の役割・責務、質、数、独立性を原則4-8から4-11に分けて書き、数を扱う原則4-10の解釈指針には、数が確保されることだけをもって直ちに役割・責務が果たされることにはならない、と明記しています8。
取締役会事務局(コーポレートセクレタリー)が登場するのは、原則4-14「取締役会における審議の活性化等」の解釈指針です。原則の本体は、取締役会を支える部署等の人員面を含めた支援体制を整えるべきだとしており、その中身を解釈指針が書いています8。初版では「明文化された」と書きましたが、より正確には「解釈指針に役割が書き込まれた」という形です。
解釈指針が描く事務局は、会議の段取り役にとどまりません。資料を会日に十分先立って共有する、年間の開催スケジュールと審議事項を決める、審議時間を十分に確保する、といった運営を担うことに加えて、取締役会や各委員会が実効性ある議論の場になるよう、審議事項を定めるなどの運営を能動的に行うことが望ましいとしています。必要に応じて社外取締役・社外監査役の指示を受け、社内と連絡・調整して情報を届ける役割も期待されています。独立社外取締役が議長を務める会社や、社外取締役の割合が高い会社では、事務局の果たす機能が特に大きくなる、という一文まで入りました8。
社外取締役を増やしたのに議論が形骸化している、という話は今もよく耳にします。資料が前日の夜に届き、論点も整理されていなければ、どれほど経験のある社外取締役でも監督はできません。金融庁は確定と同じ日に「取締役会の機能強化の取組みに関する事例集2026」を公表し、24社へのヒアリングをもとに、事務局の体制や議長との事前のすり合わせ、社外取締役との信頼関係づくりの工夫をまとめました11。自社の事務局の現状と見比べる材料としては、これがいちばん手堅いと思います。
事務局業務の情報整理や資料作成にAIをどう組み込むか、という相談も増えてきました。私たちのAIコンサルティング「WARP」でも、こうした管理部門の業務設計を月次で伴走支援しています。
ポイント④:「スリム化」と「解釈指針」の新設
4つ目は、コード全体のスリム化と、それに伴って変わる「説明」の作法です。
法令やほかの開示制度と重複する箇所が整理され、コンプライ・オア・エクスプレインの対象は83から30に絞られました。補充原則にあった具体的な記述や趣旨・背景は、解釈指針に移っています83。
企業にとって大きいのは、「ひな型に沿って開示すれば足りる」という発想が通用しなくなることです。確定版の序文は、エクスプレインを選ぶ場合に「ひな型」的な表現で表層的な説明に終始することはコンプライ・オア・エクスプレインの趣旨に反する、と明記しました。さらに、置かれた状況によっては形式的にコンプライするより、むしろエクスプレインを積極的に選ぶべき場合がある、とまで書いています8。
CG報告書の書き方も変わります。東証は、実施しない原則がある場合は原則の項番を特定して理由を書くよう求めています。従来の「コードの各原則に基づく開示」欄は「コードの各原則に関する取組み」欄に名前が変わり、TDnetの入力画面の切り替えは2027年3月を目途とする予定です。それまでは従来の名称の欄に書きます。有報などですでに開示している内容は、参照先とURLを示す書き方でもかまわないとされています3。
これからの説明に求められるのは、次の3つを踏まえた文章です。
- 自社の経営環境(業種、規模、成長フェーズ、海外展開の有無)
- 自社の成長の道筋と、価値創造のストーリー
- 各原則の趣旨に対する、自社なりの解釈と対応
開示の量ではなく、論理の一貫性と納得感が問われる時代に入ります。形式的な開示で満足してきた企業にとって、この変化はなかなか厳しいはずです。ただ、本質的なガバナンス改革に地道に取り組んできた企業にとっては、その努力を報告書の文面に出せる機会でもあります。私は後者の見方を取りたいと思っています。
4つの要点の外側で書き加えられたこと
報道での扱いは小さいものの、実務に効く追記がほかに2つあります。
1つ目はリスク管理です。原則4-4は取締役会に内部統制と全社的リスク管理体制の整備を求めており、その解釈指針に、サイバーセキュリティリスク、国際的な経済安全保障をめぐる環境変化などの地政学的要因によるサプライチェーン途絶リスク、技術等の情報流出リスクへの対応が、リスク管理体制を整える際の考慮事項に含まれ得ると書き込まれました。しかも、これらへの対応は「収益機会にもつながり得るもの」と位置づけられています8。守りの話として片づけず、事業機会の議論と一緒に取締役会で扱ってほしい、という書きぶりです。経済安全保障への備えを経営の言葉で整理したい方には、経済産業省の経済安全保障経営ガイドラインの読み方も参考になるはずです。
2つ目はステークホルダーとの協働です。基本原則2の解釈指針に、人的資本への投資や適切な分配、取引先との公正・適正な取引(サプライチェーンにおける適正な価格転嫁を含む)が例として加わりました8。賃上げや価格転嫁は、これまで人事や購買の担当領域とみなされがちでした。コードの解釈指針に入ったことで、取締役会が監督する経営課題の一つとして説明を求められる場面は増えていくでしょう。
どちらも解釈指針なので、コンプライ・オア・エクスプレインの対象ではありません。とはいえ、序文が念を押しているとおり、解釈指針に置かれた記載の重要性が失われたわけではありません。投資家との対話でこの2点を聞かれたときに、取締役会でどう議論したかを示せる状態にしておくのが無難です。
当時と現在:改訂案の公表から確定・施行まで
初版を書いた4月から、状況は「案」から「施行済みのルール」へ進みました。経緯を時系列で並べます131213。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2025年10月21日 | 有識者会議(座長:翁百合・日本総合研究所シニアフェロー)の第1回会合 |
| 2026年2月26日 | 第2回会合で、事務局(金融庁・東証)が改訂案を提示 |
| 2026年4月3日 | 第3回会合で改訂案を修正 |
| 2026年4月10日 | 金融庁・東証が改訂案を公表し、パブリックコメントを開始(5月15日締切) |
| 2026年7月21日 | 確定・公表。東証が上場規程の改正を施行 |
| 2027年3月(目途) | TDnet上のCG報告書の記載欄の名称が切り替わる |
| 2027年7月末日 | 改訂後のコードを踏まえたCG報告書の提出期限 |
初版で「2026年2月26日に金融庁と東証が改訂案を公表」と書いたのは不正確でした。2月26日は有識者会議で事務局案が示された日で、意見募集のための公表は4月10日です。ここで訂正します。
パブリックコメントでは、プリンシプル化の方向性への賛同が大半を占めました。その一方で、「ガバナンス改革が後退したと誤解されないよう趣旨を周知すべき」という声も出ています。個別項目では、プライム市場の会社に独立社外取締役の過半数を求めるべき、独立社外取締役を取締役会の議長にすることを求めるべき、といった踏み込んだ要望も寄せられました14。
確定版のコードは、プライム市場の独立社外取締役を「少なくとも3分の1以上」とする水準を維持しました。過半数を原則で求めているのは、支配株主を持つプライム市場の会社に限られます8。ただし改訂の趣旨をまとめた文書には、グローバルに活躍するプライム市場の企業はいずれ過半数の独立社外取締役を選ぶべきだ、との指摘があると明記されました6。2025年7月時点で過半数を満たしていたプライム企業は26.2%です5。次の改訂を見据えるなら、覚えておいて損のない数字でしょう。
見落としやすいのが、CG報告書の期限の幅です。東証は、2027年7月末日までの定期更新については、改訂前(2021年6月版)のコードに沿って書いてもかまわないとしています。その場合は「コーポレートガバナンス・コード(2021年6月版)に基づき記載しています。」と明記し、期限までに改訂後のコードに基づく更新を別に行わなければなりません3。3月決算の会社であれば、2027年6月の定時株主総会のあとに出す更新で新しいコードへ切り替える、という段取りが現実的だと私は見ています。
「価値創造ストーリー」を語るステージへ
2026年の改訂は、「ルールだから守る」という受け身の姿勢から、ガバナンスを企業価値向上の道具として能動的に使う段階への移行を迫るものです。CG報告書の期限まで残りは10か月ほど。私なら、次の順番で手をつけます。
- 取締役会の議題に「成長の道筋」と「経営資源の配分(現預金を含む)」を載せ、検証した記録を残す
- 監査法人と一緒に、有報の提出日と総会日・基準日の組み合わせを見直す
- 取締役会事務局の人員・権限・社外取締役への情報提供のルールを、事例集と照らして棚卸しする
- CG報告書の「各原則に関する取組み」を、原則ごとに自社の言葉で書き直す
順番に意味があります。1の議論の記録がないまま4の文章だけを整えると、結局はひな型の言い換えになってしまうからです。報告書は、取締役会で実際に交わされた議論を写す鏡だと考えると、作業の優先順位がはっきりします。
AIが支える「実質化」への移行
少しだけ、私たちTIMEWELLの仕事の話もさせてください。
ガバナンスの「実質化」と口で言うのは簡単ですが、現場の作業量はむしろ増えます。有報やCG報告書のドラフティングと校閲、取締役会資料の構成と要約、他社のガバナンス開示との比較、解釈指針との突き合わせ。こうした文書作業が、実質化の名のもとに積み増されていきます。
ここは、AIが下調べや下書きを引き受けやすい領域です。ただし、何をどう説明するかを決めるのは取締役会と経営陣であって、AIではありません。そこを取り違えると、ひな型をAIで量産するだけの結果になります。成長投資の一項目としてAI導入を検討しているなら、AI導入ROIの無料試算で投資対効果の目安を先に置いておくと、取締役会での議論の材料になります。AIを業務に組み込む際の社内ルールづくりについては、エンタープライズAIガバナンスの解説記事で整理しました。「CGコード対応の実務にAIをどう使うか」を具体的に詰めたい方は、個別相談からご連絡ください。
まとめ:2027年7月までにチェックすべき4つのポイント
| ポイント | 確定版での書かれ方 | 最優先アクション |
|---|---|---|
| ① 経営資源の配分 | 原則4-1・4-2(現預金は4-2の解釈指針) | 成長の道筋と資源配分の検証を取締役会で常設化 |
| ② 有報の総会前開示 | 原則1-2(3週間以上前は解釈指針) | 決算から総会までの年間日程と基準日の見直し |
| ③ 取締役会事務局 | 原則4-14の解釈指針 | 事務局の体制・権限・情報提供ルールの棚卸し |
| ④ スリム化と解釈指針 | 83から30へ、補充原則は廃止 | 原則ごとの「丁寧な説明」の文体整備 |
今回の改訂は、日本のコーポレートガバナンスが次の段階に入る節目です。確定版を読み直して感じたのは、書かれている要求の多くが新しいものではなく、「これまで求めてきたことを、今度こそ中身で示してほしい」という念押しだということでした。チェックリストを埋める作業で終わらせず、中期経営計画、IR戦略、取締役会の運営と一体で見直していくことを強くおすすめします。改訂前のコードに沿ったCG報告書で2027年6月の総会シーズンを乗り切ることはできます。ただ、取締役会での議論そのものを今年度のうちに変えておかないと、来年の夏に報告書へ書く材料がそろいません。
参考文献
Footnotes
-
コーポレートガバナンス・コード(2026年改訂版)の確定について - 金融庁・東京証券取引所(2026-07-21) ↩ ↩2
-
コーポレートガバナンス・コードの改訂に係る有価証券上場規程の一部改正について - 東京証券取引所(2026-07-21) ↩ ↩2 ↩3
-
コーポレートガバナンス報告書の更新について(2026年7月21日更新版) - 東京証券取引所 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7
-
成長投資の促進に向けたコーポレートガバナンス・コードの改訂について - 金融庁・東京証券取引所(2026-07-21) ↩ ↩2 ↩3
-
コーポレートガバナンス・コード(2026年改訂版) - 東京証券取引所(2026-07-21) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15
-
コーポレートガバナンス・コードの改訂(2026年)に関するパブリックコメントの結果概要 - 金融庁(2026-07-21) ↩






