こんにちは、株式会社TIMEWELLの濱本です。
1987年に表面化した東芝機械ココム違反事件は、40年近くたったいまも「ココム違反」という言葉とともに調べられ続けています。ただ、事件の舞台になったココム(対共産圏輸出統制委員会)は、1994年3月31日に消滅しました1。では、同じことがいま起きたら何の違反になるのか。答えは外為法(外国為替及び外国貿易法)の無許可輸出で、罰則は当時よりはるかに重くなっています。
ココムの時代の話は、ともすると「大企業の昔話」として読まれがちです。けれど実際の違反は、いまは中小企業で、しかも「判定をしなかった」という形で起きています。経済産業省が2025年12月に公表した2024年度の分析では、違反企業の61%が資本金3億円以下で、違反原因の最多は「該非判定をしていない、規制対象ではないと思い込んでいた」の32%でした2。自社の取引にどれだけ穴があるかを先に知りたい方は、輸出管理コンプライアンス診断で現状を棚卸ししてから読み進めると、どの事例が自社に近いかが見えやすくなるはずです。
この記事の要点(2026年10月4日時点)
東芝機械ココム違反事件は、実際は同時9軸制御の工作機械を、同時2軸制御だと説明して通商産業省から非該当証明書を受け、ソ連へ輸出した事件です。工作機械本体の輸出はすでに時効だったため、刑事事件はプログラムの無許可輸出が対象になり、1988年3月に判決が出ました。事件を受けた1987年の外為法改正で、刑事罰の上限は懲役3年から5年に、行政制裁の上限は1年から3年に引き上げられています。ココムは1994年に消滅してワッセナー・アレンジメントに引き継がれ、いま同じ行為をすれば外為法違反として、個人は最長10年の拘禁刑、法人は最大10億円の罰金の対象です。2024年度の違反は判定の未実施と管理体制の不備が中心で、発覚の59%が税関の事後調査でした。
東芝機械ココム違反事件とは何だったのか
東芝機械ココム違反事件は、東芝機械が1981年4月、商社の仲介でソ連の全ソ技術機械輸入公団と大型のNC(数値制御)工作機械4台の輸出契約を結び、1982年12月から1983年6月にかけて輸出した事件です。実際は同時9軸制御の機械でしたが、同時2軸制御の機械だと説明し、輸出の承認が要らないことを示す非該当証明書を通商産業省から受けていました3。1983年には同時5軸制御の機械でも同じやり方で非該当証明が取られ、1984年6月にはプロペラ加工用のプログラムが許可なくソ連へ出ています4。いずれも当時、ココムで共産圏向けの輸出が規制されていた品目です。
発覚のきっかけは内部からの情報でした。1985年12月、仲介した商社の元社員がココムの議長に投書し、その内容が外務省から通産省に伝わります。通産省は関係者から10回にわたって聞き取りをしましたが、企業側の説明を崩せず、1986年3月には「不正輸出の疑いの明白な根拠は見出されなかった」と関係省庁に報告しました。状況が変わったのは1986年12月です。米国から安全保障上の重大な懸念があると指摘され、通産省は1987年3月末から本格的な調査に入り、同社が同時9軸の機械だったことを認めたため、4月28日に外為法違反で告発しました4。その後の動きは次のとおりです。
| 年月 | 出来事 |
|---|---|
| 1981年4月 | 大型NC工作機械4台の輸出契約 |
| 1981年8月 | 同時2軸制御と記載した申請で、通産省から非該当証明を取得 |
| 1982年12月〜1983年6月 | 工作機械4台をソ連へ輸出 |
| 1984年6月 | プロペラ加工用のプログラムを許可なくソ連へ輸出 |
| 1985年12月 | 仲介した商社の元社員がココムの議長に投書 |
| 1986年3月 | 通産省が「不正輸出の疑いの明白な根拠は見出されなかった」と報告 |
| 1986年12月 | 米国が安全保障上の重大な懸念として指摘 |
| 1987年4月28日 | 通産省が外為法違反で告発(工作機械本体は時効のため、プログラムの無許可輸出で) |
| 1987年4月30日 | 警視庁が一斉捜査 |
| 1987年5月15日 | 通産省が共産圏向けの輸出を1年間禁止する行政制裁(外為法第53条) |
| 1987年6月15日 | 社員2人と東芝機械を起訴 |
| 1987年7月1日 | 親会社の東芝の会長と社長が辞任 |
| 1987年9月11日 | 罰則と行政制裁を強めた改正外為法が公布 |
| 1988年3月 | 判決(改正前の法律を適用) |
| 1988年12月28日 | 米国で大統領令12661が発効。関係企業からの政府調達と一部製品の輸入を3年間禁止 |
米国の反応は厳しいものでした。1987年7月1日には、連邦議会議事堂前の芝生で議員らが東芝製のラジオをハンマーで壊してみせ5、1988年の包括通商法には制裁条項が入ります。これを実施した大統領令12661は、東芝機械と親会社の東芝、ノルウェーの関係企業からの米政府調達を3年間禁じ、東芝機械などの製品の輸入も3年間止めました6。米国側は、この工作機械がソ連の原子力潜水艦のスクリュー(推進器)の静粛化に使われたと問題視していました。一方で1988年3月の国会では、ソ連が東芝機械の最初の不正輸出の3年前から静かなプロペラを持っていたとする米国防次官補の書簡が取り上げられ、通産大臣は、日本政府として両者の因果関係を断定したことは一度もないと答弁しています7。
企業側では、1987年5月15日に東芝機械の社長が引責辞任し、7月1日には親会社の東芝の会長と社長が、グループの最高責任者として辞任しました8。刑事事件では6月15日に社員2人と東芝機械が起訴され9、1988年3月に判決が出ます。田村元通産大臣はその直後の国会で、犯行が改正前の旧法の時代だったこと、工作機械本体の輸出はすでに時効にかかっていたことから、軽い方が裁判の対象になったと説明しました7。刑事罰は旧法の範囲にとどまりましたが、取引の制限や経営陣の辞任まで含めれば、企業グループが受けた影響は刑事罰とは比べものにならない大きさでした。
この事件から何を読み取るか。私は、特定の企業の問題としてではなく、当時の制度と取引の構造が抱えていた穴として読むべきだと考えています。メーカーと商社が分業し、通産省の非該当証明は申請書に書かれた性能を前提に出される。書類と実物の性能が食い違っていても、それを見抜く仕組みが弱く、通産省自身も1986年の聞き取りでは事実をつかめませんでした。非該当証明書の中身が実物と違っていた、という構図は、取引先から非該当証明書を受け取って輸出する現在の実務にもそのまま通じます。発覚が内部からの投書だった点も見逃せません。関係者が何人もいる取引で、黙っていれば済むという前提はもともと成り立ちません。違反を起こさない仕組みを先に作るしかない、という教訓は40年前からほとんど変わっていないと感じます。
非該当証明書と判定の記録を残すための様式: ココム違反事件の出発点は、実物と違う内容の非該当証明でした。いまは輸出者自身がリスト規制とキャッチオール規制の両方を確かめ、その根拠を残すことが求められます。2024年度に最も多かった違反は「判定をしていない」ケースでした。判定した事実と根拠が書面で残る様式を使えば、この抜けは減らせます。該非判定書と非該当証明書の様式、キャッチオール確認シート、判定管理台帳をWordとExcelでまとめた記入用テンプレートを配布しています。取引先に渡す非該当証明書にも、税関の事後調査に備える社内の証跡にも、そのまま使える構成です。該非判定書・非該当証明書 記入ガイド+様式セット(2026年版)をダウンロード(無料。会社名とお勤め先のメールアドレスのご登録が必要です)
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ココム違反は現在どうなっているか。ワッセナー・アレンジメントと外為法へ
ココムは、冷戦初期に西側諸国がつくった対共産圏の輸出統制の枠組みで、日本は1952年に加わりました10。冷戦が終わると、東西の対立を軸にした統制は役目を終えます。1993年11月に関係国がココムの終了と新しい枠組みづくりに合意し、ココムは1994年3月31日に消滅しました。後を継いだのがワッセナー・アレンジメントです。1995年12月19日に設立が合意され、1996年4月にウィーンで最初の総会が開かれました。参加国はいま42か国で、通常兵器と、民生にも軍事にも使える汎用品や技術の移転を管理しています1。条約ではなく、参加国が合意した管理リストをそれぞれの国内法で実施する仕組みで、大量破壊兵器の分野は原子力供給国グループ(NSG)、オーストラリア・グループ(AG)、ミサイル技術管理レジーム(MTCR)が受け持っています。
日本の国内法も、東芝機械の事件を境に姿を変えました。1987年9月11日に公布された改正法(昭和62年法律第89号)は、国際的な平和と安全の維持を妨げる貨物の無許可輸出と、技術の無許可提供に対して「5年以下の懲役又は200万円以下の罰金(目的物の価格の5倍が200万円を超えるときは5倍以下)」を新たに定め、無許可で輸出した者に3年以内の輸出禁止を命じられる規定も設けました。通商産業大臣が運用について外務大臣の意見を求める仕組みが入ったのもこのときです11。参議院での委員長報告によれば、この改正で刑事罰の上限は懲役3年から5年に、輸出禁止などの行政処分の上限は1年から3年に延びました。罰則が重くなったことで、公訴時効も5年に延びています1213。その後、2002年4月には、リストに載っていない品目でも大量破壊兵器の開発などに使われるおそれがあれば許可を求めるキャッチオール規制が導入され、2008年11月には通常兵器にも広がっています14。
「ココム違反は現在どうなっているのか」と聞かれたら、私は「ココムという枠組みは消えたが、同じ行為はいまも外為法違反で、罰則はずっと重い」と答えます。輸出令別表第1に載る工作機械を許可なく輸出すれば外為法第48条第1項の違反、設計図や製造ノウハウを許可なく海外の相手に渡せば第25条第1項の違反です。当時と現在を並べると、次のようになります。
| 項目 | 1987年当時 | 2026年10月現在 |
|---|---|---|
| 国際的な枠組み | ココム(対共産圏。1994年3月31日に消滅) | ワッセナー・アレンジメント(42か国)と、NSG・AG・MTCR |
| 規制のかけ方 | 特定の地域(共産圏)向けの特定の貨物 | 全地域向けのリスト規制(輸出令別表第1の1〜15項)と、キャッチオール規制 |
| 個人への刑事罰 | 改正前は懲役3年以下。1987年改正で5年以下の懲役または200万円以下の罰金(価格の5倍まで) | 7年以下の拘禁刑・2,000万円以下の罰金。大量破壊兵器関連は10年以下・3,000万円以下(いずれも価格の5倍まで) |
| 法人への罰金 | 両罰規定により、法人も罰金刑の対象 | 7億円以下。大量破壊兵器関連は10億円以下(いずれも価格の5倍まで) |
| 行政制裁 | 改正前は1年以内。1987年改正で3年以内の輸出禁止に | 3年以内の輸出禁止と、社名を公表する警告 |
| 技術の扱い | 1987年改正で技術取引の許可と制裁を整備 | みなし輸出(2022年5月に明確化)や、クラウド上の技術への海外からのアクセスも対象になりうる |
| 発覚の経路 | 商社の元社員の投書と、米国からの指摘 | 税関の事後調査が59%(2024年度) |
現在の罰則は、e-Gov法令検索で2026年10月4日に確認した外為法の条文(第69条の7、第72条、第53条)によります15。2025年6月に改正刑法が施行され、懲役と禁錮は拘禁刑に一本化されました。罰則の細かな適用関係は外為法違反の罰則と事例一覧にまとめていますので、ここでは「当時の何倍も重い」という感覚だけ持ち帰っていただければ十分です。ワッセナー・アレンジメントがいま抱えている問題、つまり全会一致の原則のために新しい品目の合意が進みにくいことは、ワッセナー・アレンジメントの機能不全と各国の動きで扱っています。
ココム以降の主な事例。中小企業、研究機関、ロシア向けへ
2000年代:産業用無人ヘリと「民生品だから」という思い込み
2006年1月、経産省は、産業用無人ヘリコプターを許可なく海外へ輸出したとして、国内の輸送機器メーカーを外為法違反で刑事告発しました。翌2007年には税関手続きの優遇措置が停止され、同社は安全保障輸出管理の専任部署を強化しています16。産業用の機体であっても、性能によってはリスト規制の対象になりうる。この事案が輸出管理の研修でいまも取り上げられるのは、「民生用だから大丈夫」という思い込みがどの製造業にも起こりうることを示しているからでしょう。判定を少数の担当者に任せ、営業の納期がそのまま判定に流れ込む構造は、特定の企業に限った話ではありません。
研究機関と「みなし輸出」
2010年代に入ると、大学や研究機関での技術の扱いが論点になりました。国内にいる外国人研究者や留学生への技術の提供でも、実質的に海外への提供と同じ効果があれば規制の対象になる、という「みなし輸出」の考え方です。2022年5月1日からは、日本の居住者であっても非居住者から強い影響を受けている状態(「特定類型」)にある人への技術の提供も、管理の対象に加わっています17。共同研究や外国人技術者の採用が多い組織ほど、技術の提供先を記録する台帳が欠かせなくなりました。詳しくはみなし輸出の「特定類型」の解説をご覧ください。
2022年以降:ロシア向けと第三国経由
ロシアのウクライナ侵攻後、日本はロシア向けの輸出を大きく制限し、オートバイや水上バイクのような民生品にも経済産業大臣の承認を求めています。この分野で処分が続いています。
2024年7月10日、大阪府警はロシア向けの不正輸出の疑いで大阪の貿易会社の代表を逮捕しました。侵攻後のロシア向け輸出をめぐる初めての逮捕で、貨物は大阪港から韓国を経由してウラジオストクに着いていました18。同年10月31日には、執行猶予付きの有罪判決が出たと日本経済新聞や産経新聞が報じています。経産省は2025年5月9日、この会社と代表に行政制裁を科しました。2022年8月17日から2023年6月5日までに計18回、バイクや水上バイクなど計523点を、最終仕向地がロシアであるにもかかわらず韓国と偽り、承認を受けずに輸出していたという内容です。制裁は2025年5月16日から2026年5月15日までの1年間、全地域向けの輸出(第三者を介した輸出を含む)を禁じ、代表が輸出業務を担う法人の役員になることも同じ期間禁じるものでした19。
2025年12月16日には、2022年から2024年にかけてオートバイを承認なくロシアへ輸出していた国内のバイク販売事業者に、経産省が警告を出しています20。さかのぼると2023年6月30日にも、2014年から2022年にかけて工作機械などを許可なく中国やベトナムなどへ輸出していた事業者に警告が出ました21。警告は社名が公表される処分です。刑事罰ではなくても、取引先や金融機関がその公表を目にすることを考えれば、軽い処分とは言えません。これらに共通するのは、品目の規制そのものより、仕向地の確認と承認の要否の確認という「取引審査」の工程が抜けていた点だと私は見ています。
違反ではなかった事案:大川原化工機の起訴取消
事例を並べるなら、どうしても書いておきたい事案があります。2020年3月、噴霧乾燥器メーカーの大川原化工機の役員3人が、生物兵器の製造に転用できる装置を無許可で輸出した疑いで逮捕・起訴されました。しかし2021年7月30日、東京地検は初公判の直前に起訴を取り消します。逮捕された1人は勾留中に体調を崩し、起訴の取り消しを知ることなく亡くなりました。国家賠償請求訴訟では、2025年5月28日に東京高裁が捜査の違法を認め、国と東京都が6月11日の期限までに上告しなかったため判決が確定しています。2025年8月7日には警察庁、警視庁、最高検察庁がそれぞれ検証結果を公表し、謝罪しました22。
これは違反の事例ではありません。正規の民生用機械のメーカーが、規制文言の解釈をめぐって刑事手続きに巻き込まれ、長い時間をかけて救済された事案です。経産省は判決を受けて規制の明確化を進め、2025年11月15日施行の省令改正で、噴霧乾燥器の要件にあった「殺菌」を「消毒」に改め、その手法を化学薬剤を使う場合に限りました23。当事者の方々が払った代償を思うと言葉を選びますが、輸出者の立場から読み取れることが一つあります。規制の解釈は、当局の側でも揺れることがあるということです。だからこそ、自社がどの条文をどう読み、誰に相談してどう判断したのかを記録しておくことが、最後に自社を守る材料になります。経緯は大川原化工機事件の解説で詳しく書いています。
2024年度の経産省分析で見る、いまの典型パターン
ここからは現在の話です。経済産業省の「外為法違反事案の分析結果について(安全保障貿易関係)」の2024年度版は、2024年4月1日から2025年3月31日までに処分を決めた事案をまとめたもので、2025年12月に公表されました2。件数そのものは公表されていませんが、割合だけでも傾向ははっきり読み取れます。
違反原因の最多は「判定未実施・非規制との思い込み」の32%で、前年度の21%から増えました24。「判定誤り・法令解釈誤り」は30%から15%へ、「他者の誤った判定の鵜呑み」は18%から5%へ下がり、この三つを合わせた該非判定関連は70%から52%に縮んでいます。代わりに増えたのが管理体制の問題です。「管理ルール・体制の未整備」が9%から19%、「輸出管理体制の不備・形骸化」が3%から8%に増え、「外為法の認識欠如・知識不足」の9%と合わせて、管理体制関連は21%から36%になりました。残りは、少額特例や修理特例のような許可不要の特例の当てはめを誤った「取引審査」の10%と、故意の2%です。
違反企業の顔ぶれも変わりました。2024年度は資本金3億円以下の企業が61%、従業員300人以下が64%を占め、経産省に輸出管理内部規程(CP)を届け出ていない企業が71%でした。前年度は資本金3億円超が55%だったので、構成が逆転しています24。発覚のきっかけでは、税関の事後調査が43%から59%に増えました。事後調査とは、通関のあとにさかのぼって輸出者の帳簿や取引の実態を調べる調査のことです。目を引くのはCPの有無による差で、CPを届け出ている企業は違反の61%を自社で見つけているのに対し、届け出ていない企業では74%が税関の指摘で発覚しています。処分は、違反原因の究明と再発防止の誓約で終える「報告書」が69%で最も多く、行政制裁と警告はありませんでした。
この数字から私が読み取るのは、いまの違反の中心は「判定を間違える人」より「判定という工程が抜け落ちる組織」だということです。統計の読み方は2024年度の外為法違反の分析で詳しく扱っています。
経産省が匿名で公表している典型事例
同じ資料には、企業名を伏せた違反事例が載っています。社名の付いた大事件より、こちらのほうが自社の日常業務に近いと感じる方は多いはずです。代表的なものを表にしました。
| 類型 | 何が起きたか | 経産省の解説の要点 |
|---|---|---|
| 体制の未整備 | 納期が迫り、担当者が上長の確認なしに非該当と判断して輸出した | 担当者の独断で輸出できる体制そのものに問題がある |
| 外為法の認識不足 | リスト規制に当たるサンプル品を、輸出に当たると思わずに海外の取引先へ提供した | 有償か無償かを問わず輸出に当たる。不具合品の返送や修理後の納品、海外子会社への材料提供も同じ |
| 外為法の認識不足 | 規制技術をクラウドに保存し、海外子会社が自由にアクセスできる状態にしていた | 自社の子会社でも、非居住者が自由に規制技術へアクセスできれば技術の提供に当たりうる |
| 判定未実施 | 廃番になった非該当品の代替品を、同等の性能だからと判定せずに輸出した | 判定は輸出のたびに行う。型番が変われば仕様も変わりうる |
| 他社判定の鵜呑み | メーカーの該非判定書を信じて輸出したが、後日メーカーの誤りで該当品と分かった | 判定の責任は輸出者にある。入手した判定書も自社で確認する |
| 判定誤り | 2項と6項の両方で確認すべき貨物を、2項だけで判定した | 該当しうる項目はすべて確認する |
| 法令改正への対応不足 | 過去に非該当と判定した製品が法令改正で該当品になったのに気づかず、輸出を続けた | 法令が改正されたら判定内容を見直す |
| 特例の適用誤り | 1契約の金額が少額特例の上限を超えるのに、1回ごとの申告額で特例を使い、分けて輸出した | 少額特例は契約全体の金額で判断する。合理的な理由のない分割は悪用とみなされうる |
どの行も、特別な悪意から始まったものではありません。納期、型番の変更、メーカーへの信頼、クラウドの便利さ。どれも日々の業務の中で自然に起きることです。人の注意力に頼る限り、こうした抜けはなくならないので、仕組みで止めるしかありません。該非判定の進め方そのものは該非判定の5つの手順で解説しています。
予防策。判定を抜かさず、根拠を残し、海外の規制も見る
土台になるのは輸出管理内部規程(CP、コンプライアンス・プログラム)です。2024年度のデータで、CPを届け出ている企業が違反の6割を自社で見つけていたことは、社内の確認の仕組みがきちんと働いている表れだと思います。CPの作り方はCISTECモデルCPの選び方に譲りますが、何年も手を入れていないCPは、この1年余りの制度変更に追いついていないと考えたほうが安全です。
主な変更を挙げておきます。2025年10月9日にキャッチオール規制(補完的輸出規制)の見直しが施行され、同じ日から外国ユーザーリストの改正版が適用されました。この改正でリストは835団体に増え、大量破壊兵器に加えて通常兵器の開発等への懸念も初めて掲載の対象になっています2526。外国ユーザーリストへの掲載は規制上の区分であって、その企業や団体の是非を判断したものではありません。輸出者に求められるのは、掲載先との取引で用途を確かめ、必要なら許可を取ることです。2025年11月15日には先に触れた噴霧乾燥器の要件の改正が、2026年2月14日には重要・新興技術にかかわる品目の改正が施行されました23。経産省は外国ユーザーリストを毎年改正すると案内しているので、改正のたびに最新版で照合し直す運用にしておく必要があります17。
判定の記録と、起きたときの初動
自社の運用を点検するときは、次の順番で確かめることをおすすめしています。まずリスト規制です。輸出令別表第1と外為令別表の項番を突き合わせ、仕様が規制値に触れないかを調べます。次にキャッチオール規制。リストに載らない品目でも、用途や需要者に懸念がないかを見ます。三つめは用途の確認で、需要者が申告する用途と品目の性能が整合しているかどうか。四つめは需要者の確認で、外国ユーザーリストや各国の規制リストと照合し、必要なら資本関係までさかのぼります。そして最後に、ここまでの判断根拠を記録として残すこと。この五つがそろって初めて、事後調査に耐える判定になります。
もし違反やその疑いを社内で見つけたら、私は隠さずに経産省へ報告する道を優先すべきだと考えています。リスト規制品を扱う輸出者に課される輸出者等遵守基準も、法令違反やそのおそれがあるときは速やかに経済産業大臣に報告し、再発防止に必要な措置をとるよう求めています17。外から指摘されてから慌てるより、自分で見つけて自分で直すほうが、説明の材料を手元に残せるはずです。その材料になるのが判定の記録です。どのリストのどの項番と照合し、なぜ非該当としたのか、需要者と用途をどう確かめたのか。これが残っていれば、体制の不備ではなく例外的な事象だったと客観的に説明できます。
米国の規制も同時に見る
日本の外為法だけを見ていては足りません。米国の輸出管理規則(EAR)は、米国原産の品目や技術を組み込んだ製品の再輸出にも及ぶことがあり、日本企業も無関係ではいられません。根拠法である輸出管理改革法(ECRA)の罰則は、刑事罰で最長20年の拘禁と違反1件あたり最大100万ドルの罰金、民事制裁金は1件あたり374,474ドル(2025年1月15日以降の上限額)か取引額の2倍のいずれか高い額です27。
米国商務省産業安全保障局(BIS)が2025年9月29日に導入した、Entity List掲載企業などが合計で50%以上を保有する会社にも規制を広げるAffiliates Rule(いわゆる50%ルール)は、2025年11月10日から1年間停止されています。停止規則(90 FR 50857)の効力は、官報上は2026年11月9日までです。米中両政府は停止を2027年1月10日まで延ばすと発表しました(中国商務部が9月28日に公式に説明。米財務長官の9月23日の発言は報道ベース)が、BISの延長規則は10月3日時点で官報に載っていません2829。状況が動いているので、最新の状態はBIS 50%ルールの解説で確認してください。なお、Entity Listへの掲載も規制上の区分であり、掲載された企業の是非を示すものではありません。
こうした仕組みづくりを支えるのが、私たちTIMEWELLの輸出管理AIエージェントTRAFEEDです。日本の該非判定の下書き、日本の外国ユーザーリストや米国のEntity Listを含む各国の規制リストとの照合、需要者の確認を一つの流れで行い、判断の根拠を記録として残します。2024年度の分析が示した「判定が抜ける」「記録がない」という二つの穴に、そのまま向き合う使い方です。もちろん、最終的な該非判定は貴社の輸出管理責任者が行うことが前提で、AIが判断を代わるわけではありません。機能の概要はTRAFEEDサービスカタログ(PDF)で確認できます。
まとめ:今日から変えられる3つのこと
1987年の東芝機械から2025年のロシア向けの処分まで、40年近い事例を並べてみると、違反の芯はあまり変わっていません。書類と実物のずれ、確認の抜け、制度変更への遅れ。変わったのは、その抜けがどこで起きるかです。いまは中小企業で、判定そのものをしないまま輸出し、税関の事後調査で表に出るという形が最も多くなっています。
今日から変えられることを三つに絞ります。第一に、自社のCPの最終更新日を確かめ、2025年10月の補完的輸出規制の見直しと外国ユーザーリストの改正、2026年2月のリスト改正が反映されているかを点検すること。第二に、該非判定を一人に任せていないかを確かめ、判定の根拠を記録として残す様式を入れること。事後調査で問われるのは、判定したかどうかより、その記録が残っているかどうかです。第三に、過去3年分の輸出案件を棚卸しして、サンプル品や修理品の返送、海外子会社とのクラウド共有のような「輸出だと気づきにくい取引」が紛れていないかを見直すことです。
ココム違反という言葉は歴史になりましたが、同じ構図の違反は形を変えていまも続いています。自社にどこまでの体制が必要か迷ったら、過去の事例と最新のデータをもとに一緒に整理しますので、TRAFEEDの個別相談からお気軽にご連絡ください。
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参考文献・脚注
Footnotes
-
The Wassenaar Arrangement「About us」。ココムの消滅(1994年3月31日)、1995年12月19日の設立合意、1996年4月2〜3日の最初の総会、参加42か国(2026年10月4日確認)。https://www.wassenaar.org/about-us/ ↩ ↩2
-
経済産業省「外為法違反事案の分析結果について(安全保障貿易関係)(2024年度)」(2025年12月)。違反原因・企業規模・発覚の端緒・処分内容の割合と違反事例。https://www.meti.go.jp/policy/anpo/gaitameho_document/ihanjireigaitamehou6.pdf ↩ ↩2
-
国会会議録「第109回国会 衆議院 予算委員会 第3号」(1987年7月14日)。林義郎委員の事実関係の確認(1981年4月の大型NC工作機械4台の輸出契約、1982年12月〜1983年6月の輸出、同時2軸制御とする説明による非該当証明書の発給、実際は同時9軸制御)と、政府委員の「御指摘のとおり」との答弁。https://kokkai.ndl.go.jp/txt/110905261X00319870714/10 ↩
-
国会会議録「第109回国会 参議院 商工委員会 第4号」(1987年9月3日)、畠山襄・通商産業省貿易局長の答弁。1981年8月の非該当証明の取得、1983年の5軸機、1984年6月のプログラムの無許可輸出、1985年12月の投書、1986年3月の報告、1986年12月の米国の指摘、1987年4月28日の告発(機械本体は時効)、5月15日の行政制裁。https://kokkai.ndl.go.jp/txt/110914461X00419870903/67 ↩ ↩2
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UPI「Lawmakers hammer Toshiba」(1987年7月1日)。https://www.upi.com/Archives/1987/07/01/Lawmakers-hammer-Toshiba/3984552110400/ ↩
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米国立公文書館「Executive Order 12661」(1988年12月27日署名、12月28日発効)。包括通商競争力法第2443条に基づく政府調達の禁止と輸入の禁止(各3年)。https://www.archives.gov/federal-register/codification/executive-order/12661.html ↩
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国会会議録「第112回国会 参議院 商工委員会 第4号」(1988年3月28日)、田村元・通商産業大臣の答弁。米国防次官補の書簡と因果関係についての政府の立場、判決が旧法の時代の犯行で、機械本体は時効のため軽い方が裁判の対象になったとの説明。https://kokkai.ndl.go.jp/txt/111214461X00419880328/101 、https://kokkai.ndl.go.jp/txt/111214461X00419880328/103 ↩ ↩2
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国会会議録「第109回国会 衆議院 商工委員会 第2号」(1987年7月29日)、通商産業省政府委員の答弁。5月15日の東芝機械社長の引責辞任、7月1日の親会社の会長・社長の辞任。https://kokkai.ndl.go.jp/txt/110904461X00219870729/69 ↩
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国会会議録「第109回国会 衆議院 外務委員会 第1号」(1987年7月29日)、外務省政府委員の答弁。4月30日の警視庁の一斉捜査、5月15日の通産省の行政処分、6月15日の社員2人と法人の起訴。https://kokkai.ndl.go.jp/txt/110903968X00119870729/156 ↩
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国会会議録「第109回国会 衆議院 商工委員会 第3号」(1987年8月21日)、畠山襄・通商産業省貿易局長の答弁(1952年の日本のココム加盟)。https://kokkai.ndl.go.jp/txt/110904461X00319870821/80 ↩
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衆議院「外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律」(昭和62年法律第89号、1987年9月11日公布)。https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/10919870911089.htm ↩
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国会会議録「第109回国会 参議院 本会議 第10号」(1987年9月4日)、商工委員長の報告。罰則を最高懲役3年から5年に、輸出禁止等の行政処分の期間を最高1年から3年に延長。https://kokkai.ndl.go.jp/txt/110915254X01019870904/58 ↩
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国会会議録「第109回国会 参議院 商工委員会 第3号」(1987年9月1日)、田村元・通商産業大臣の法案の提案理由説明(罰則の強化の結果、時効期間は5年に延長)。https://kokkai.ndl.go.jp/txt/110914461X00319870901/2 ↩
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ジェトロ「貿易・投資相談Q&A」(キャッチオール規制の解説)。大量破壊兵器キャッチオールは2002年4月、通常兵器キャッチオールは2008年11月に導入。https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-020118.html ↩
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e-Gov法令検索「外国為替及び外国貿易法」(昭和24年法律第228号)。2026年8月12日施行版の第69条の7(罰則)、第72条(両罰規定)、第53条(輸出等の禁止)(2026年10月4日確認)。https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000228/ ↩
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Jones Day「Major Japanese Transport Machine Manufacturer Complies With Trade Regulations Involving Export to China」(2006年1月の経産省による刑事告発、2007年の税関手続きの優遇停止、輸出管理部署の強化)。https://www.jonesday.com/en/practices/experience/2009/08/major-japanese-transport-machine-manufacturer-complies-with-trade-regulations-involving-export-to-china ↩
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経済産業省「安全保障貿易管理ガイダンス[入門編]」第3.0版(令和8年3月)。みなし輸出の「特定類型」(2022年5月1日から対象)、輸出者等遵守基準(法令違反時の報告)、外国ユーザーリストの毎年の改正。https://www.meti.go.jp/policy/anpo/guidance/guidance.pdf ↩ ↩2 ↩3
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Baker McKenzie「Sanctions against Russia: first case of arrests for alleged violations」(2024年7月16日)。2024年7月10日の大阪府警による逮捕と、韓国経由でウラジオストクに着いた貨物。https://sanctionsnews.bakermckenzie.com/sanctions-against-russia-first-case-of-arrests-for-alleged-violations/ ↩
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経済産業省ニュースリリース(2025年5月9日)。外為法違反事案に対する輸出禁止等の行政処分(違反の期間・回数・点数、禁止の期間と範囲)。https://www.meti.go.jp/press/2025/05/20250509001/20250509001.html ↩
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経済産業省 警告文書(2025年12月16日)。2022年から2024年にかけてのロシア向けオートバイの無承認輸出。https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/01_seido/02_jigo/download/20251216_keikoku.pdf ↩
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経済産業省「外国為替及び外国貿易法違反企業に対する警告を行いました」(2023年6月30日)。https://www.meti.go.jp/press/2023/06/20230630006/20230630006.html ↩
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CISTEC「大川原化工機事件に係る国家賠償請求訴訟の東京高裁判決(確定)の法解釈部分についての解説」(2025年8月8日)。2025年5月28日の判決、6月11日の確定、8月7日の警察庁・警視庁・最高検察庁の検証結果の公表。https://www.cistec.or.jp/service/houtaikei_saikochiku_data/20250808.pdf ↩
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経済産業省「輸出貿易管理令等の改正の概要について」(令和7年11月、2025年11月14日公布)。噴霧乾燥器の「殺菌」を「消毒」に改め化学薬剤を使う場合に限定(2025年11月15日施行)、重要・新興技術に関する品目の改正(2026年2月14日施行)。https://www.meti.go.jp/press/2025/11/20251114001/20251114001.html ↩ ↩2
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経済産業省「外為法違反事案の分析結果について(安全保障貿易関係)(2023年度)」(2024年12月)。https://www.meti.go.jp/policy/anpo/gaitameho_document/ihanjireigaitamehou5.pdf ↩ ↩2
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経済産業省「『外国ユーザーリスト』を改正しました」(2025年9月29日)。835団体、通常兵器の懸念の初掲載、2025年10月9日から適用。https://www.meti.go.jp/press/2025/09/20250929006/20250929006.html ↩
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経済産業省「補完的輸出規制の見直しについて(2025年10月9日施行)」。https://www.meti.go.jp/policy/anpo/apply-01/20251009_catchminaoshi/20251009catchall.html ↩
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Federal Register「Civil Monetary Penalty Adjustments for Inflation」(89 FR 106308、2024年12月30日掲載、2025年1月15日施行)。50 U.S.C. 4819 の上限を374,474ドルに調整。2026年10月3日時点で次の調整は未掲載。https://www.federalregister.gov/documents/2024/12/30/2024-31310/civil-monetary-penalty-adjustments-for-inflation ↩
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Federal Register「One Year Suspension of Expansion of End-User Controls for Affiliates of Certain Listed Entities」(90 FR 50857、2025年11月12日掲載)。2026年10月3日時点で延長規則の掲載なし。https://www.federalregister.gov/documents/2025/11/12/2025-19846/ ↩
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中国商務部「商务部美大司负责人解读第八轮中美经贸磋商成果」(2026年9月28日)。https://www.mofcom.gov.cn/syxwfb/art/2026/art_d9ea01824fc44fd8a29f7dc3f8ca9c72.html ↩






