こんにちは、株式会社TIMEWELLの濱本です。2026年6月29日、中国商務部が新たに日本の40の企業・団体を輸出規制の対象に加えました。2月24日に発表された第1弾の40団体と合わせると、半年たらずで累計80団体が中国の規制リストに名を連ねたことになります。
今回の第2弾は、防衛省傘下の研究所群や三菱電機・三菱重工の防衛系子会社、原子燃料、無人機メーカーまで踏み込んだ点で性質が大きく変わりました。製造業のサプライチェーンを揺らしかねない動きを、MOFCOM(中国商務部)の一次情報をもとに整理します。自社の輸出管理体制がこの規制拡大のペースに追随できているか不安な場合は、輸出管理体制の無料診断で現在地を確認してから読み進めると、後半の実務対応に優先順位を付けやすくなります。
2026年6月29日 中国の対日輸出規制の新展開
6月29日、商務部は2つの公告を同時に発表しました。ひとつが「関注名単(注視リスト)」に日本の20社を加えた公告2026年第28号^1、もうひとつが「出口管制管控名単(コントロールリスト)」に日本の20団体を加えた公告です^2。いずれも法的根拠は《中華人民共和国出口管制法》と《中華人民共和国両用物項出口管制条例》で、公布日である2026年6月29日からの実施とされています。
2つのリストは名前が似ていますが、課される措置の重さがまったく違います。まずそれぞれの中身を見ていきます。
関注名単(注視リスト)に加わった20社
関注名単は、輸出が禁止されるわけではないものの、手続きが一段と重くなるリストです。指定された企業へ両用物項を輸出する場合、これまで使えた「通用許可(一般許可)」や「登記填報(登録情報の提出)」といった簡易な方式での輸出証憑の取得ができなくなります。取引のたびに単項許可を申請し、そのつど「関注名単の実体に対するリスク評価報告書」と、「両用物項を日本の軍事力向上に資するいかなる用途にも用いない」旨の書面承諾を提出しなければなりません^1。指定の理由は、両用物項の最終需要者(エンドユーザー)と最終用途を確認できない日本実体である、というものです。
公告第28号で関注名単に加わった20社は次のとおりです。
| No. | 企業・団体名 |
|---|---|
| 1 | 三井E&S |
| 2 | 三井物産エアロスペース メンテナンスセンター |
| 3 | Terra Drone |
| 4 | ACSL |
| 5 | 三菱原子燃料 |
| 6 | 日本原燃 |
| 7 | 富士通ネットワークソリューションズ |
| 8 | 日立アドバンストシステムズ |
| 9 | コマツ産機 |
| 10 | コマツNTC |
| 11 | 沖電気工業 |
| 12 | OKIコムエコーズ |
| 13 | OKIサーキットテクノロジー |
| 14 | OKIネクステック |
| 15 | OKIエンジニアリング |
| 16 | YDKテクノロジーズ |
| 17 | 日本電磁測器 |
| 18 | 豊和工業 |
| 19 | 細谷火工 |
| 20 | 藤倉航装 |
ドローンのTerra DroneとACSL、原子燃料の三菱原子燃料と日本原燃、火工品の豊和工業と細谷火工が並んでいる点が目を引きます。無人機・原子力・火薬という、軍事に転用が利きやすい領域が意識されていることがうかがえます。
出口管制管控名単(コントロールリスト)に加わった20団体
もう一方の管控名単は、関注名単よりもはるかに厳しいリストです。商務部は、防衛研究所をはじめ「日本の軍事力向上に参与する」20の日本実体を列入したと説明しています^2。課される措置は重く、おおむね次の4点です。まず、指定団体への両用物項の輸出を禁止します。次に、中国外の組織や個人が中国原産の両用物項を当該団体へ移転・提供することも禁じる域外適用が明記されています。さらに、進行中の関連取引は即時停止しなければなりません。特別な事情があってどうしても輸出が必要な場合に限り、輸出経営者が商務部へ個別に申請できる、という建て付けです。
この管控名単は、商務部の公告本文で「公告2026年第27号」として公布されています[^2][^6]。関注名単の第28号と同じ6月29日付で、リストの内容も措置の中身も一次情報で確認できます。対象の20団体は次のとおりです。
| No. | 団体名 |
|---|---|
| 1 | 防衛研究所 |
| 2 | 陸上装備研究所 |
| 3 | 艦艇装備研究所 |
| 4 | 航空装備研究所 |
| 5 | 日鋼特機 |
| 6 | 日鋼YPK商事 |
| 7 | 三菱電機ディフェンス&スペーステクノロジーズ |
| 8 | 三菱電機ソフトウエア |
| 9 | 三菱電機エンジニアリング |
| 10 | 三菱プレシジョン |
| 11 | 三菱重工オーシャニクス |
| 12 | 三菱重工相模ハイテック |
| 13 | 三菱重工ロジテック |
| 14 | 光和興業 |
| 15 | 菱重特殊車両サービス |
| 16 | 三菱重工マリテック |
| 17 | KGM |
| 18 | 日本飛行機 |
| 19 | フォルトゥニオ |
| 20 | 青木精密工業 |
防衛省の研究所が4つ並び、三菱電機と三菱重工の防衛系子会社が大半を占めます。中国側の原文では三菱重工オーシャニクスは「三菱重工海洋技术」と表記されており、社名の呼称揺れがあるため、自社の取引先と照合する際は日本語名と英文名の両方で当てる必要があります。
2つのリストはどう違うのか
初めて両リストを目にすると混同しがちなので、措置の差を一枚の表にまとめます。
| 観点 | 出口管制管控名単(コントロールリスト・第27号) | 関注名単(注視リスト・第28号) |
|---|---|---|
| 厳格度 | より厳格 | 相対的に緩い |
| 輸出の可否 | 両用物項の輸出を原則禁止 | 禁止ではないが手続きを厳格化 |
| 一般許可・登記填報 | 使えない(そもそも輸出禁止) | 使えない(単項許可のみ) |
| 域外適用 | あり(中国原産品の第三国経由の提供も禁止) | 明記なし |
| 進行中の取引 | 即時停止 | 規定なし |
| 追加で求められる提出物 | 個別申請のみ | リスク評価報告書と軍事非転用の書面承諾 |
| 指定理由 | 軍事力向上への関与 | 最終需要者・最終用途を確認できない |
ざっくり言えば、管控名単は「出すな」、関注名単は「出すなら相当の手間と説明責任を負え」という違いです。自社の取引先がどちらに該当するかで、必要な対応はまったく変わります。
中国が掲げた理由
6月29日、商務部の報道官も談話を出しました。今回の措置は日本の「再軍備化」の野心と核開発の企図を抑え、「新型軍国主義の妄動」を断固として制止するためだ、という主張です[^3]。2月の措置に触れて、日本が反省するどころか誤った道を突き進み、新型軍国主義と再軍事化を加速させていると批判しました。一方で、誠実に法を守る日本実体は懸念する必要がなく、中日間の正常な経済貿易往来には影響しない、対象はごく一部の日本実体と両用物項に限られる、とも強調しています。新華網も同日にこの措置を報じました[^4]。
こうした論法は第1弾から一貫しています。2月24日の報道官答記者問でも、日本の再軍事化と核保有の企図を制止し、軍事力向上に資するあらゆる用途を対象にすると説明していました[^16]。中国側の主張をそのまま受け取る必要はありませんが、規制が単発の報復ではなく継続的な政策として積み上げられている点は読み取れます。
第1弾が2月に発表された時点では、高市早苗首相の台湾有事をめぐる国会答弁が引き金になったという見方が一般的でした。一方で6月29日の報道官談話で前面に出たのは、特定の答弁よりも日本の防衛政策全般と「再軍事化」という、より一般化した論法です。
背景にある大連での邦人拘束
今回の措置の前段には、レアアースをめぐる摩擦があります。報道によれば、富士電機グループの日本人社員2名が大連で拘束されました。1名は5月18日、もう1名は5月25日に、それぞれ国家輸出入禁止貨物密輸の容疑で身柄を拘束されたとされ、レアアースを含む製品を中国国外へ持ち出したことが問題視されたと伝えられています[^8][^9]。木原官房長官もこの件に言及しました。
中国は2024年12月に両用物項出口管制条例を施行し、2026年1月にはレアアースなどの対日両用物項について輸出管理を一段と強化していました[^11]。その制度的な延長線上で、今回の80団体規模のリスト化が積み上がってきた、という流れで捉えると見通しがよくなります。レアアース規制そのものの全体像は中国レアアース輸出規制マップで時系列に整理しているので、合わせて読むと立体的に把握できます。
自社のサプライチェーンに今回の80団体やその関連会社が紛れ込んでいないか確認したい場合は、AI輸出管理エージェントのTRAFEEDが取引先リストの横断照合に役立ちます。世界中の制裁リストや懸念情報に加え、中国の管控名単・関注名単とも突き合わせ、数秒でリスクの有無と根拠を返します。
振り返り 2026年2月24日の第1弾
第2弾を理解するには、第1弾の構図を押さえておくと話が早いです。中国は2026年2月24日、公告第11号で20社を管控名単に、続く公告で20社を関注名単に加えました[^5]。措置の構造は6月29日のものとほぼ同じで、管控名単が事実上の輸出禁止、関注名単が厳格な個別審査という二段構えでした。
第1弾の管控名単には三菱造船や三菱重工の各社、川崎重工、IHI系、NEC系、ジャパンマリンユナイテッド、防衛大学校、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が並び、関注名単にはSUBARU、ENEOS、TDK、三菱マテリアル、住友重機械工業など、より幅広い業種が含まれました。第1弾と第2弾を通して見ると、造船・航空・宇宙から、無人機・原子力・火工品・防衛研究機関へと、対象の裾野が着実に広がっていることがわかります。
該非判定の属人化を、AIで解消する。
経産省2024年度データによれば、外為法違反の52%は該非判定起因。TRAFEEDなら、判定時間を約7割削減し、判定根拠を構造化データで保存できます。
規制の核心 コントロールリストと監視リストの仕組み
ここで、2つのリストの法的な性格をあらためて整理しておきます。中国の輸出管理は《出口管制法》と《両用物項出口管制条例》を土台にしており、その全体像は中国輸出管理法の体系で詳しく解説しています。
管控名単に載った企業・団体は、いわばブラックリストです。これらに対しては、軍事転用が可能な両用物項の輸出が原則として全面禁止になります。さらに見逃せないのが、中国国外の組織や個人が中国原産の両用物項を提供することも禁じている点で、中国の規制が事実上の域外適用に踏み込んでいると読むべきです。例外的な許可制度はあるものの、扉は極めて狭いと覚悟するのが現実的でしょう。
関注名単は、注視リストとも呼ばれます。こちらへの両用物項の輸出は禁止こそされていないものの、極めて厳格な個別審査の対象になります。一般許可や登録情報提出方式は使えず、取引のたびにリスク評価報告書と、日本の軍事力向上に寄与しない旨の書面承諾の提出が義務付けられました。審査プロセスも長期化が予想され、ビジネスのスピードは確実に削がれます。
第1弾の全40社・団体リスト
この規制は、リストに掲載された企業だけの問題ではありません。自社のサプライチェーン、つまり部品の調達先や製品の納入先がこれらの企業に含まれていないか、徹底的に確認する必要があります。第2弾の40団体は前述の表のとおりなので、ここでは第1弾の40社・団体を再掲します。
第1弾 管控名単(輸出禁止対象)
| No. | 企業・団体名 |
|---|---|
| 1 | 三菱造船株式会社 |
| 2 | 三菱重工航空エンジン株式会社 |
| 3 | 三菱重工マリンマシナリ株式会社 |
| 4 | 三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社 |
| 5 | 三菱重工マリタイムシステムズ株式会社 |
| 6 | 川崎重工業 航空宇宙システムカンパニー |
| 7 | 川重岐阜エンジニアリング株式会社 |
| 8 | 富士通ディフェンス&ナショナルセキュリティ株式会社 |
| 9 | 株式会社IHIパワーシステムズ |
| 10 | 株式会社IHIマスターメタル |
| 11 | 株式会社IHIジェットサービス |
| 12 | 株式会社IHIエアロスペース |
| 13 | 株式会社IHIエアロマニュファクチャリング |
| 14 | IHIエアロスペースエンジニアリング株式会社 |
| 15 | NECネットワーク・センサ株式会社 |
| 16 | NECエアロスペースシステムズ株式会社 |
| 17 | ジャパンマリンユナイテッド株式会社 |
| 18 | JMUディフェンスシステムズ株式会社 |
| 19 | 防衛大学校 |
| 20 | 宇宙航空研究開発機構(JAXA) |
第1弾 関注名単(個別許可申請対象)
| No. | 企業・団体名 |
|---|---|
| 1 | 株式会社SUBARU |
| 2 | 富士エアロスペーステクノロジー株式会社 |
| 3 | ENEOS株式会社 |
| 4 | 油送機株式会社 |
| 5 | 伊藤忠アビエーション株式会社 |
| 6 | レダグループホールディングス株式会社 |
| 7 | 東京科学大学 |
| 8 | 三菱マテリアル株式会社 |
| 9 | ASPP株式会社 |
| 10 | 八洲電機株式会社 |
| 11 | 住友重機械工業株式会社 |
| 12 | TDK株式会社 |
| 13 | 三井物産エアロスペース株式会社 |
| 14 | 日野自動車株式会社 |
| 15 | トーキン株式会社 |
| 16 | 日新電機株式会社 |
| 17 | サンテクトロ株式会社 |
| 18 | 日東電工株式会社 |
| 19 | 日油株式会社 |
| 20 | ナカライテスク株式会社 |
第1弾と第2弾を足すと累計80団体です。表記ゆれや子会社・関連会社まで含めると、照合すべき名称はさらに膨らみます。
迫りくる3つのリスク
今回の措置が日本企業に与える影響は、単一の取引が止まるといった単純な話ではありません。もっと深く、構造的なリスクが潜んでいます。
ひとつめはサプライチェーンの寸断です。規制対象団体から重要な部品や素材を調達している場合、事業継続が困難になる可能性があります。代替調達先がすぐに見つかればよいものの、日本国内にしかない、あるいは特定の企業しか製造できない特殊な品目だった場合、生産ライン停止や製品開発の遅延は避けられません。第2弾で原子燃料や火工品のメーカーが加わったことで、影響を受ける業種はさらに広がりました。
ふたつめは意図せぬ規制違反です。怖いのは間接輸出のリスクです。自社が輸出した製品が、直接の取引先は問題なくとも、その先の流通チャネルを経て最終的に規制対象団体に渡ってしまった場合、自社が制裁の対象となる可能性があります。とくに管控名単は域外適用が明記されているため、中国原産品を扱う海外拠点も射程に入ります。この種のリスクを避けるには、サプライチェーンの末端まで取引先がリストに該当しないかを確認する、気の遠くなる作業が必要になります。
みっつめは規制のドミノ倒しです。中国政府は法を遵守する正直な企業は心配ないとコメントしていますが、これを額面どおりに受け取るのは楽観的すぎます。第1弾から第2弾までわずか4カ月で対象が倍増した事実が、規制が今後も拡大しうることを物語っています。米国の輸出管理規則(EAR)が、規制対象企業が50%以上の株式を保有する子会社を自動的に規制対象とするアフィリエイト・ルールを導入したように、中国の規制も関連会社へ連鎖的に広がる余地は十分あります。なお米国側の規制リストの構造はエンティティリスト・MEUリスト・SDNリストの違いで整理しているので、日中米のリストを横並びで把握したい方は参考にしてください。
2026年4月21日 防衛装備移転三原則改正との「対称性」
中国側の対日規制を語るうえで、日本側の防衛装備移転三原則の改正と切り離して論じるのは、現実を半分しか見ていないと思います。
経産省と防衛省は2026年4月21日、NSC(国家安全保障会議)と閣議の決定を経て、防衛装備移転三原則と運用指針の一部を改正しました[^10][^14]。改正のポイントは大きく4つです。救難・輸送・警戒・監視・掃海の5類型を撤廃したこと、殺傷能力のある武器の移転を原則可能としたこと、移転先を防衛装備品移転協定の締結国に限定したこと、戦闘当事国への移転は原則不可としつつ特段の事情があれば例外を認めたことです。協定締結国は現時点でアメリカ、オーストラリア、フィリピンなど17カ国とされています。
日本が武器を出せる国へ一歩進んだ動きと、中国が日本企業をリスト化した動きは、ほぼ同じ時期に並行して起きています。日中それぞれが相手側のサプライチェーンと防衛産業を念頭に置いた規制を、同じテーブルの上で打ち合っている状態です。輸出管理担当者にとっては、自社の取引相手国の規制だけを見ていればよかった時代が終わりました。中国側の制裁リストと日本側の許可制度を、同じスクリーニングフローで見る必要があります。防衛装備移転三原則そのものは防衛装備移転三原則 完全ガイドで詳しく整理しています。
企業の輸出管理担当者がいまやるべき5つの実務
状況を整理したうえで、現場の輸出管理担当者は明日から何をすべきか。優先順位順に5つにまとめます。
1つめは、取引先データベースの全件再スクリーニングです。自社の顧客マスタと仕入先マスタを、累計80団体に対して全件照合します。直接取引だけでなく、請負先や代理店経由の納入先まで含めるのが理想です。表記ゆれにも注意が必要で、「三菱重工オーシャニクス」と中国側原文の「三菱重工海洋技术」が同じ会社だとシステムが認識できないと取り逃しが発生します。
2つめは、中国原産品のフロー棚卸しです。管控名単の措置は、中国国外の事業者にも中国原産の両用物項の提供を禁じている点が肝です。自社が中国から仕入れた素材・部品・装置のなかに、最終的に管控名単の団体へ流れる経路がないかを棚卸ししてください。中国原産品が入ってくる入口と出ていく出口を、両方押さえる必要があります。
3つめは、該非判定の運用見直しです。関注名単の団体との取引が残る場合、日本の軍事力向上に寄与しない旨の書面承諾とリスク評価報告書が求められます。該非判定書類の様式と承認フローを、いま一度見直す価値があります。該非判定そのものに不安がある場合は非該当証明書 完全ガイドを参照してください。
4つめは、社内規程と教育の更新です。輸出管理規程と教育資料は、半年に1回程度しか改訂しない会社が多い印象です。今回の中国の措置と日本側の防衛装備移転三原則改正は、いずれも規程に明記すべき事項です。営業・調達・物流の各部門に対し、何が変わったのか、現場でどう行動が変わるのかを、短時間でよいので必ずアップデートしてください。
5つめは、自動化・AIスクリーニングの導入検討です。月に数十回しかスクリーニングしない会社なら手作業で回りますが、グローバル製造業のように年間数万件の取引がある会社では、80団体の追加分をマスタに反映するだけでも数週間かかります。半年で対象が倍増する速さを考えると、人手での追随はもう限界に近づいています。
なお2025年12月、経済産業省は外為法違反事案の分析結果(2024年度)を公表しました[^15]。違反の52%は該非判定起因、36%は管理体制の不備でした。中国の対日規制が拡大する前から、日本企業の輸出管理はすでに人海戦術の限界点を超えていた、というのが実情です。
人海戦術ではもう限界
日に日に増え続ける各国の制裁リスト、複雑に絡み合う企業の資本関係、中国語で発表される最新の規制情報。これらをすべて人力で追いかけ、完璧なコンプライアンス体制を維持するのは現実的ではありません。
TIMEWELLが開発したAI輸出管理エージェントTRAFEED(旧ZEROCK ExCHECK)は、こうした課題を解決するために生まれました。取引先のリストをアップロードするだけで、AIが世界中の制裁リストや懸念情報、中国の管控名単・関注名単を瞬時に照合し、数秒でリスクの有無を判定します。なぜその判定に至ったのか、根拠となる情報ソースも明確に提示するため、担当者の判断を支え、監査にも耐えうる記録を残せます。
人間では追い切れない海外のニュースや企業データベースをAIが監視してリスクの兆候を捉え、取引先だけでなく親会社や子会社といった資本関係の連鎖を自動でたどり、隠れたリスクを明らかにします。法改正や新たなリストの発表があっても即座にシステムへ反映され、常に最新の規制環境に基づいたチェックが可能です。
自社のサプライチェーンにリスクがないか確認したい、輸出管理体制を見直したいという方は、個別相談からお問い合わせください。取引先リストの該当チェックから、80団体規制への対応設計まで、現状に合わせて整理します。
関連記事
- 中国レアアース輸出規制マップ
- 中国輸出管理法の体系を理解する完全ガイド
- 防衛装備移転三原則とは?2026年4月21日改正で何が変わった?輸出管理担当者が押さえる5つの実務ポイント
- 非該当証明書とは?該非判定の手順・パラメータシートの書き方・キャッチオール規制の最新運用
- 2024年度外為法違反の52%は該非判定起因 — 経産省統計から読む輸出管理の致命傷ベスト5と再発防止策
- ホルムズ海峡封鎖が日本経済に与える影響
中国の対日輸出規制は一過性のものではありません。半年で40団体から80団体へと倍増した経緯は、日本企業がこれから何度も直面するであろう新しい現実の始まりを示しています。日本側の防衛装備移転三原則改正と中国側の対日規制が同じ時期に並走している事実は、その象徴です。自社のサプライチェーンとリスク管理体制を、より強固で機動的なものへ更新していくことが、不確実な時代を渡る前提条件になりつつあります。
参考文献
- 商務部公告2026年第28号(関注名単に日本の20社を列入、2026年6月29日)
- 商務部公告2026年第27号(管控名単に日本の20団体を列入、2026年6月29日)
- ロイター(ニューズウィーク日本版配信)「中国、軍民両用品の輸出管理リストに日本の20社・団体追加 防衛研など」(2026年6月29日)
- 商務部新聞発言人 対日相関出口管制措置に関する答記者問(2026年2月24日、第1弾の背景)
- 新華網「中方将20家日本実体列入出口管制管控名単」(2026年6月29日)
- 商務部公告2026年第11号(第1弾 管控名単、2026年2月24日)
- 安理律師事務所「商務部将40家日本実体分別列入出口管制管控与関注名単」
- 日本経済新聞「富士電機の日本人社員2人、中国で拘束」(2026年6月)
- KAB「中国・大連で日本人2人が拘束 レアアース輸出管理に抵触か」
- 経済産業省「『防衛装備移転三原則』等の一部改正について」(2026年4月21日)
- CISTEC「中国による日本向け両用品目輸出管理強化」(2026年1月6日)
[^3]: ロイター(ニューズウィーク日本版配信)「中国、軍民両用品の輸出管理リストに日本の20社・団体追加 防衛研など」(2026年6月29日)https://www.newsweekjapan.jp/articles/-/326846 [^4]: 新華網「中方将20家日本実体列入出口管制管控名単」(2026年6月29日)https://www.news.cn/world/20260629/67f1f5e04a564abb826a5eb1ad98b34f/c.html [^5]: 中華人民共和国商務部公告2026年第11号(第1弾 管控名単20社、2026年2月24日)https://www.mofcom.gov.cn/zwgk/zcfb/art/2026/art_b5159a773124428a9813884015d1b8b3.html [^6]: 中華人民共和国商務部 2026年商務部公告一覧(第27号・第28号の所在)https://www.mofcom.gov.cn/zcfb/blgg/gg/2026/index.html [^7]: 安理律師事務所「商務部将40家日本実体分別列入出口管制管控与関注名単」https://www.anlilaw.com/100031/3423 [^8]: 日本経済新聞「富士電機の日本人社員2人、中国で拘束 レアアース規制違反か」(2026年6月)https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB240XD0U6A620C2000000/ [^9]: KAB「中国・大連で日本人2人が拘束 レアアース輸出管理に抵触か」(木原官房長官)https://www.kab.co.jp/news/article/16669190 [^10]: 経済産業省「『防衛装備移転三原則』等の一部改正について」(2026年4月21日)https://www.meti.go.jp/press/2026/04/20260421003/20260421003.html [^11]: CISTEC「中国による日本向け両用品目輸出管理強化」(2026年1月6日)https://www.cistec.or.jp/service/keizai_anzenhosho/china/data/20260106-2.pdf [^12]: アンダーソン・毛利・友常法律事務所「『輸出管理コントロールリスト』及び『監視リスト』の公布(2026年2月24日)」China Legal Update(2026年3月2日)https://www.amt-law.com/asset/pdf/bulletins7_pdf/CPG_260302.pdf [^13]: JETRO「中国の経済安全保障に関する制度情報」(2026年4月)https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/0c5708e0b901ba0b/20260004_01.pdf [^14]: 経済産業省「輸出貿易管理令の一部を改正する政令」(2025年11月11日)https://www.meti.go.jp/press/2025/11/20251111001/20251111001.html [^15]: 経済産業省「外為法違反事案の分析結果について(安全保障貿易関係)(2024年度)」(2025年12月)https://www.meti.go.jp/policy/anpo/gaitameho_document/ihanjireigaitamehou6.pdf [^16]: 中華人民共和国商務部「新聞発言人就対日相関出口管制措置答記者問」(2026年2月24日、第1弾の背景説明)https://www.mofcom.gov.cn/xwfb/xwfyrth/art/2026/art_ecab07b2d57149ecbd800fe40362e8ed.html
