株式会社TIMEWELLの濱本 隆太です。中国の輸出規制リストに載った日本企業はどこか。答えを先に書くと、2026年7月時点で累計80社・団体です。2026年2月24日施行の第1弾で40団体、6月29日施行の第2弾でさらに40団体が、中国商務部の「出口管制管控名単(輸出規制管理リスト)」と「関注名単(注視リスト)」に掲載されました。
80社・団体すべての企業名は、商務部公告の一次情報とCISTEC仮訳をもとに、正式社名でこのページに一覧化してあります。報道では「三菱電機系など20社」のように代表例しか出ないことが多く、自社の取引先照合には使えません。全名簿に加えて、2つのリストの違い、日本国内の取引にまで及ぶ再輸出規制、担当者が取るべき実務対応まで整理しました。自社の輸出管理体制がこの規制拡大のペースに追随できているか不安な場合は、輸出管理体制の無料診断で現在地を確かめてから読み進めると、後半の実務対応に優先順位を付けやすくなります。
1取引ごとに記入するスクリーニングシート: 誰が載っているかの名簿は、80社・団体すべてをこのページに掲載しています。そのうえで実務に要るのは、「この取引を進めてよいか」を確かめて記録に残す手順のほうです。中国側の制度(出口管制法・両用物項出口管制条例)、重要鉱物の管制公告の早見、管控名単・関注名単・不可靠実体清単・反制清単という4系統の照合、そして日本側の該非判定までを、1件ずつ記入できるA4 6ページにまとめました。記入したものは、社内稟議や取引先への説明にそのまま添付できます。 → 中国関連取引 輸出管理スクリーニングシート(記入式・A4 6ページ)をダウンロード(無料。会社名とお勤め先のメールアドレスのご登録が必要です)
中国の輸出規制リストの全体像 4つの公告の早見表
まず全体像です。対日規制は4つの商務部公告で構成されており、いずれも公布日から即日施行されています。
| 公告番号 | 公表日(施行日) | リスト | 追加数 | 主な掲載先 |
|---|---|---|---|---|
| 公告2026年第11号1 | 2026年2月24日 | 管控名単(輸出禁止) | 20団体 | 三菱造船、川崎重工系、IHI系、NEC系、防衛大学校、JAXA |
| 公告2026年第12号2 | 2026年2月24日 | 関注名単(厳格審査) | 20社 | SUBARU、ENEOS、TDK、三菱マテリアル、東京科学大学 |
| 公告2026年第27号3 | 2026年6月29日 | 管控名単(輸出禁止) | 20団体 | 防衛研究所など防衛省4研究所、三菱電機・三菱重工の防衛系子会社 |
| 公告2026年第28号4 | 2026年6月29日 | 関注名単(厳格審査) | 20社 | 三井E&S、Terra Drone、ACSL、三菱原子燃料、日本原燃、コマツ産機 |
2つのリストは名前が似ていますが、課される措置の重さがまったく違います。こちらも先に一枚の表で押さえておきます。
| 観点 | 管控名単(輸出規制管理リスト) | 関注名単(注視リスト) |
|---|---|---|
| 法的根拠 | 両用品目輸出管理条例第28条・第29条5 | 同条例第26条5 |
| 輸出の可否 | 両用品目の輸出を原則禁止 | 禁止ではないが手続きを厳格化 |
| 包括許可・登録情報記入方式 | 使えない(そもそも輸出禁止) | 使えない(個別許可のみ) |
| 再輸出規制(域外適用) | あり。国外の組織・個人による中国原産品の移転・提供も禁止 | 明記なし |
| 進行中の取引 | 即時停止 | 規定なし |
| 追加の提出物 | 特殊な状況下での個別申請のみ | リスク評価報告書と軍事非転用の誓約書 |
| 許可審査期限 | (輸出禁止のため対象外) | 条例第17条の45日以内という期限の適用なし |
| 掲載理由 | 日本の軍事力向上への関与 | 最終需要者・最終用途を確認できない |
ざっくり言えば、管控名単は「出すな」、関注名単は「出すなら相当の手間と説明責任を負え」です。取引先がどちらに載っているかで必要な対応は変わります。取引先リストとの照合を始める前に、TRAFEEDサービスカタログ(PDF)で照合作業を自動化する選択肢も確認しておくと、この後の作業量の見積もりが変わってきます。
では、80社・団体の全名簿です。社名はCISTECが公告付属文書を仮訳した速報67に記載された正式名称に合わせています。報道やまとめ記事では通称で書かれることが多く、たとえば「三菱重工オーシャニクス」と紹介された企業の正式社名はエムエイチアイオーシャニクス株式会社です。スクリーニングでは正式社名と通称の両方を当てる必要があります。
【第2弾】2026年6月29日追加の40社・団体 全リスト
管控名単に追加された20団体(公告2026年第27号)
輸出禁止の対象です。防衛省の研究所が4機関並び、三菱電機と三菱重工の防衛系子会社が大半を占めます3。
| No. | 名称 |
|---|---|
| 1 | 防衛研究所 |
| 2 | 陸上装備研究所 |
| 3 | 艦艇装備研究所 |
| 4 | 航空装備研究所 |
| 5 | 日鋼特機株式会社 |
| 6 | 日鋼YPK商事株式会社 |
| 7 | 三菱電機ディフェンス&スペーステクノロジーズ株式会社 |
| 8 | 三菱電機ソフトウエア株式会社 |
| 9 | 三菱電機エンジニアリング株式会社 |
| 10 | 三菱プレシジョン株式会社 |
| 11 | エムエイチアイオーシャニクス株式会社 |
| 12 | MHIさがみハイテック株式会社 |
| 13 | 株式会社エムエイチアイロジテック |
| 14 | 光和興業株式会社 |
| 15 | 菱重特殊車両サービス株式会社 |
| 16 | MHIマリテック株式会社 |
| 17 | 株式会社ケージーエム |
| 18 | 日本飛行機株式会社 |
| 19 | 株式会社Fortunio |
| 20 | 青木精密工業株式会社 |
中国側の公告原文は中国語表記のため、社名の照合には注意が必要です。エムエイチアイオーシャニクスは原文で「三菱重工海洋技术」、ケージーエムは英文名がKawajyu Gifu Manufacturingと、字面がまるで違います。日本語の正式社名、通称、英文名、中国語表記の4層で表記が揺れるので、システム照合でどれか1つだけを当てていると取り逃します。
関注名単に追加された20社(公告2026年第28号)
厳格審査の対象です。掲載理由は、両用品目の最終需要者と最終用途を確認できない日本実体である、というものです4。
| No. | 名称 |
|---|---|
| 1 | 三井E&S株式会社 |
| 2 | 三井物産エアロスペース株式会社整備センター |
| 3 | Terra Drone株式会社 |
| 4 | 株式会社ACSL |
| 5 | 三菱原子燃料株式会社 |
| 6 | 日本原燃株式会社 |
| 7 | 富士通ネットワークソリューションズ株式会社 |
| 8 | 株式会社日立アドバンストシステムズ |
| 9 | コマツ産機株式会社 |
| 10 | コマツNTC株式会社 |
| 11 | 沖電気工業株式会社 |
| 12 | 株式会社OKIコムエコーズ |
| 13 | OKIサーキットテクノロジー株式会社 |
| 14 | OKIネクステック株式会社 |
| 15 | 沖エンジニアリング株式会社 |
| 16 | 株式会社YDKテクノロジーズ |
| 17 | 日本電磁測器株式会社 |
| 18 | 豊和工業株式会社 |
| 19 | 細谷火工株式会社 |
| 20 | 藤倉航装株式会社 |
顔ぶれを見ると、無人機、原子力、火薬など、中国側が両用品目に関わりうると位置づけた分野が幅広く対象になっていることが読み取れます。沖電気工業は本体が掲載され、グループ会社4社も同時に載りました。ここで押さえておきたいのは、掲載はあくまで中国の規制上の区分であって、各社が不適切な取引をした、あるいは軍事転用に関与したという判断ではない、という点です。並んでいるのはいずれも正規の民生用途を主とする日本のメーカーであり、広範な区分の中で名前が挙がった格好です。掲載された企業ご自身にとっては、自社がどの区分に位置づけられたのかを正確に把握し、取引先に説明するための出発点になります。
該非判定の属人化を、AIで解消する。
経産省2024年度データによれば、外為法違反の52%は該非判定起因。TRAFEEDの機能・導入フローをまとめたサービスカタログを無料でダウンロードできます。
【第1弾】2026年2月24日追加の40社・団体 全リスト
管控名単に掲載された20団体(公告2026年第11号)
第1弾の輸出禁止対象です。造船、航空エンジン、艦艇と、重工系の防衛関連子会社が中心でした17。
| No. | 名称 |
|---|---|
| 1 | 三菱造船株式会社 |
| 2 | 三菱重工航空エンジン株式会社 |
| 3 | 三菱重工マリンマシナリ株式会社 |
| 4 | 三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社 |
| 5 | 三菱重工マリタイムシステムズ株式会社 |
| 6 | 川崎重工業航空宇宙システムカンパニー |
| 7 | 川重岐阜エンジニアリング株式会社 |
| 8 | 富士通ディフェンス&ナショナルセキュリティ株式会社 |
| 9 | 株式会社IHI原動機 |
| 10 | 株式会社IHIマスターメタル |
| 11 | 株式会社IHIジェットサービス |
| 12 | 株式会社IHIエアロスペース |
| 13 | 株式会社IHIエアロマニュファクチャリング |
| 14 | 株式会社IHIエアロスペース・エンジニアリング |
| 15 | NECネットワーク・センサ株式会社 |
| 16 | 日本電気航空宇宙システム株式会社 |
| 17 | ジャパン マリンユナイテッド株式会社 |
| 18 | JMUディフェンスシステムズ株式会社 |
| 19 | 防衛大学校 |
| 20 | 宇宙航空研究開発機構(JAXA) |
関注名単に掲載された20社(公告2026年第12号)
第1弾の厳格審査対象です。素材、電子部品、大学と、第2弾よりも幅広い顔ぶれでした27。
| No. | 名称 |
|---|---|
| 1 | 株式会社SUBARU |
| 2 | 富士エアロスペーステクノロジー株式会社 |
| 3 | ENEOS株式会社 |
| 4 | 輸送機工業株式会社 |
| 5 | 伊藤忠アビエーション株式会社 |
| 6 | 株式会社レダグループホールディングス |
| 7 | 東京科学大学 |
| 8 | 三菱マテリアル株式会社 |
| 9 | ASPP株式会社 |
| 10 | 八洲電機株式会社 |
| 11 | 住友重機械工業株式会社 |
| 12 | TDK株式会社 |
| 13 | 三井物産エアロスペース株式会社 |
| 14 | 日野自動車株式会社 |
| 15 | 株式会社トーキン |
| 16 | 日新電機株式会社 |
| 17 | 株式会社サン・テクトロ |
| 18 | 日東電工株式会社 |
| 19 | 日油株式会社 |
| 20 | ナカライテスク株式会社 |
第1弾と第2弾を足すと累計80団体です。第1弾は造船・航空・宇宙、第2弾は無人機・原子力・火工品・防衛研究機関と、対象の裾野が着実に広がっています。表記ゆれや子会社・関連会社まで含めると、照合すべき名称はこの数倍に膨らみます。
法的根拠 輸出管理法と両用品目輸出管理条例
2つのリストの法的な性格を整理しておきます。中国の輸出管理は《中華人民共和国輸出管理法》と、2024年12月1日に施行された《両用品目輸出管理条例》を土台にしています。全体像は中国輸出管理法の体系で詳しく解説していますが、今回のリストに関わる条文だけ抜き出すと次のとおりです。
管控名単の根拠は条例第28条と第29条です65。第28条は、エンドユーザー・最終用途の管理要求への違反、国の安全と利益を脅かす可能性、両用品目のテロ目的使用のいずれかに当たる輸入業者・エンドユーザーをリストに追加できると定め、第29条が取引禁止・取引制限・輸出中止命令などの措置を規定しています。今回の公告では取引禁止と輸出中止が明記されました。さらに公告本文は、国外の組織および個人が中国原産の両用品目を掲載団体へ移転・提供することも禁止しています。中国の国内法が中国の外の取引を縛る、事実上の再輸出規制です。
関注名単の根拠は条例第26条です65。当局の検証に期限内に協力しない、あるいは補足資料の不提出により最終用途を確認できない輸入者・エンドユーザーを掲載できるという建て付けで、掲載されると包括許可と登録・情報記入方式による輸出証憑の取得が禁止されます。個別許可を申請する際は、掲載企業に関するリスク評価報告書と、両用品目を日本の軍事力向上に寄与する一切の用途に使用しない旨の書面による誓約が必要です。見逃されがちですが、公告第28号には、許可審査期限は条例第17条第1項に定める期限の制限を受けない、という一文があります4。通常の輸出許可審査は受理から45日以内に決定を下すルールですが、関注名単向けの審査にはこの上限がありません。つまり、審査が何カ月かかっても制度上は問題ないことになります。納期のある商売にとって、これは事実上の禁輸に近い効き方をする場合があると考えています。
中国が掲げた理由
6月29日、商務部の報道官は談話で、今回の措置は日本の再軍備化の野心と核保有の企図を阻止し、新型軍国主義の妄動を断固として抑制するためだと説明しました8。2月の第1弾の際も同趣旨の説明がなされており9、規制が単発の報復ではなく継続的な政策として積み上げられていることが読み取れます。一方で、誠実に法を守る日本実体は心配する必要がなく、対象はごく一部の日本実体と両用品目に限られる、とも強調しています。
日本政府は第1弾の発表当日に反応しました。報道によれば、佐藤啓官房副長官は2026年2月24日の会見で、決して許容できず極めて遺憾と述べ、中国側に強く抗議して措置の撤回を求めています7。
背景には、レアアースをめぐる摩擦もあります。報道によれば、富士電機グループの日本人社員2名が2026年5月に大連で拘束されました。レアアースを含む製品の持ち出しが国家輸出入禁止貨物密輸の容疑にあたるとされたと伝えられています1011。中国は2026年1月にレアアースなどの対日両用品目の輸出管理を一段と強化しており12、その延長線上に今回の80団体規模のリスト化があります。レアアース規制の全体像は中国レアアース輸出規制マップで時系列に整理しています。
リストに載っていなくても対象になる 再輸出規制の波及
この規制で一番誤解されているのは、「うちはリストに載っていないから関係ない」という受け止め方です。管控名単の措置は掲載80団体だけの問題ではありません。
公告第11号と第27号は、中国の輸出者だけでなく、国外の組織および個人が中国原産の両用品目を掲載団体へ移転・提供することを禁止しています31。CISTECはこの点について、日本国内において日本企業同士の国内取引を行う場合でも、中国原産の両用品目を掲載企業に渡すなら「国内の移転」取引として規制対象になると注意喚起しました6。日本の商社が中国から輸入した部材を、国内の掲載企業に納める。この純然たる国内取引が、中国法の建て付け上は違反になり得るということです。
絵空事ではありません。CISTECによれば、過去に中国の信頼できないエンティティリストの運用で、掲載者と同じ国内の企業が規制を回避して掲載企業に中国製品を移転したとして、中国当局から注意喚起と再発防止策の提出を求められ、従わない場合は同リストに掲載すると警告された例があります6。海外子会社が行う取引も同様に射程に入ります。
具体的に自社が影響を受けるかどうかは、次の3段階で判定できます。
- 顧客・仕入先・納入先のマスタに80団体(および表記ゆれ・関連会社)が含まれるかを照合します。含まれなければ2へ。
- 自社が扱う品目に中国原産の両用品目(該当するHSコード・規制品目)が含まれるかを棚卸しします。含まれなければ直接の影響は限定的です。含まれれば3へ。
- その中国原産品が、直接・間接を問わず掲載団体へ流れる経路がないかを、販売チャネルの2次先・3次先まで確認します。経路があり得るなら、取引条件の見直しか経路の遮断が必要です。
3の確認は自社だけでは完結しないため、取引先への照会が必要になります。照会文はシンプルで構いません。実務では次のような形が使われています。
【取引先への確認依頼文例】 平素よりお世話になっております。中国商務部が公告2026年第11号・第12号・第27号・第28号で指定した日本の80社・団体(別紙参照)につきまして、貴社より当社へご納入いただく製品・部材の供給元、および当社製品の貴社経由での販売先に、指定団体またはその関連会社が含まれるか、確認をお願いできますでしょうか。含まれる場合は、対象品目に中国原産の部材が使用されているかも併せてご教示ください。
こうした照会を取引先の数だけ繰り返すのが実務です。件数が多い会社では、この時点で自動化を検討する価値があります。自社と取引先のリストをTRAFEEDに読み込ませれば、中国の管控名単・関注名単を含む各国リストとの照合を横断的に行い、リスクの有無と根拠を返します。
リストから外れる道はあるか
掲載された側、あるいは掲載企業と取引を続けたい側にとって、削除の可能性は気になるところです。制度上の答えは、リストによって異なります。
関注名単には削除の道が明文化されています。公告第28号は、条例第26条の規定に基づき検証協力義務を履行した場合、掲載企業は削除を申請でき、商務部は確認後に削除できると定めています4。最終用途の検証に協力し、不正な変更・移転がないことが確認されれば外れられる建て付けです。
管控名単については、今回の公告に削除手続きの言及がありません。輸出管理法第18条と条例第30条にはリストからの除外に関する規定が存在するものの、公告では触れられていないとCISTECは指摘しています6。少なくとも短期的には、管控名単からの削除を前提にした事業計画は成り立たないと見るのが現実的でしょう。
輸出管理担当者がいまやるべき5つの実務
状況を整理したうえで、現場の輸出管理担当者は何をすべきか。優先順位順に5つにまとめます。
1つめは、取引先データベースの全件再スクリーニングです。顧客マスタと仕入先マスタを80団体に対して全件照合します。直接取引だけでなく、請負先や代理店経由の納入先まで含めるのが理想です。前述のとおり表記が4層で揺れるため、正式社名だけの照合では不十分です。
2つめは、中国原産品のフロー棚卸しです。管控名単の再輸出規制は、中国原産の両用品目が入ってくる入口と出ていく出口の両方を押さえないと対応できません。中国から仕入れた素材・部品・装置のうち両用品目に該当するものを特定し、それが最終的にどこへ流れるかを追跡できる状態にしておきます。
3つめは、該非判定の運用見直しです。関注名単の団体との取引が残る場合、リスク評価報告書と誓約書の提出が求められます。該非判定書類の様式と承認フローを、この機会に見直す価値があります。該非判定そのものに不安がある場合は非該当証明書 完全ガイドを参照してください。
4つめは、社内規程と教育の更新です。今回の中国の措置は、営業・調達・物流の各部門の行動に直結します。とりわけ「国内取引でも中国原産品なら規制対象になり得る」という点は、輸出に関わらない部門ほど知りません。短時間でよいので必ず周知してください。日本側でも2026年4月21日に防衛装備移転三原則と運用指針が改正されており13、中国側の制裁リストと日本側の許可制度を同じスクリーニングフローで見る時代になりました。改正の中身は防衛装備移転三原則 完全ガイドで整理しています。
5つめは、自動化・AIスクリーニングの導入検討です。月に数十件のスクリーニングなら手作業で回りますが、年間数万件の取引がある会社では、80団体の追加分をマスタに反映して全件照合し直すだけでも数週間かかります。半年で対象が倍増するペースを考えると、人手での追随は限界に近づいています。
なお2025年12月に経済産業省が公表した外為法違反事案の分析結果(2024年度)によれば、違反の52%は該非判定起因、36%は管理体制の不備でした14。中国の対日規制が拡大する前から、日本企業の輸出管理は人海戦術の限界点を超えていた、というのが実情です。詳細は外為法違反の分析記事にまとめています。
人海戦術ではもう限界
日に日に増える各国の制裁リスト、複雑に絡む資本関係、中国語で発表される規制原文。これらを人力で追いかけ続けるのは現実的ではありません。第1弾から第2弾まで4カ月で対象が倍増した事実は、第3弾があり得ることを示唆しています。
TIMEWELLが開発したAI輸出管理エージェントTRAFEED(旧ZEROCK ExCHECK)は、こうした課題を解決するために生まれました。取引先のリストをアップロードするだけで、AIが世界中の制裁リストや懸念情報、中国の管控名単・関注名単を照合し、数秒でリスクの有無を判定します。なぜその判定に至ったのか、根拠となる情報ソースも提示するため、担当者の判断を支え、監査にも耐える記録が残ります。取引先だけでなく親会社・子会社といった資本関係の連鎖も自動でたどるので、表記ゆれや関連会社経由の取り逃しを減らせます。
自社のサプライチェーンにリスクがないか確認したい、輸出管理体制を見直したいという方は、個別相談からお問い合わせください。取引先リストの該当チェックから80団体規制への対応設計まで、現状に合わせて整理します。
関連記事
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中国の対日輸出規制は一過性のものではありません。半年で40団体から80団体へ倍増した経緯は、日本企業がこれから何度も直面する新しい現実の始まりです。リストに社名が載っているかどうかを確かめて終わりにせず、中国原産品のフローと取引先の先の先まで見通せる体制を、いまのうちに作っておくことをおすすめします。
参考文献
- 中華人民共和国商務部 公告2026年第27号(管控名単に日本の20団体を列入、2026年6月29日公布・施行)
- 中華人民共和国商務部 公告2026年第28号(関注名単に日本の20社を列入、2026年6月29日公布・施行)
- 中華人民共和国商務部 公告2026年第11号(管控名単に日本の20団体を列入、2026年2月24日公布・施行)
- 中華人民共和国商務部 公告2026年第12号(関注名単に日本の20社を列入、2026年2月24日公布・施行)
- 商務部新聞発言人 対日関連輸出管理措置に関する答記者問(2026年6月29日・2026年2月24日)
- CISTEC「中国当局が日本企業等を『輸出規制管理リスト』(計20団体)及び『注視リスト』(計20団体)に追加掲載(速報)」(2026年6月29日)
- CISTEC「中国当局が日本企業・大学等を『輸出規制管理リスト』(計20団体)、及び『注視リスト』(計20団体)に掲載(速報)」(2026年2月24日)
- 中国両用品目輸出管理条例(CISTEC仮訳 ver.3、2024年10月22日)
- 経済産業省「『防衛装備移転三原則』等の一部改正について」(2026年4月21日)
- 経済産業省「外為法違反事案の分析結果について(安全保障貿易関係)(2024年度)」(2025年12月)
Footnotes
-
中華人民共和国商務部「商務部公告2026年第11号 公布将20家日本実体列入出口管制管控名単」(2026年2月24日)https://www.mofcom.gov.cn/zwgk/zcfb/art/2026/art_b5159a773124428a9813884015d1b8b3.html ↩ ↩2 ↩3
-
中華人民共和国商務部「商務部公告2026年第12号 公布将20家日本実体列入関注名単」(2026年2月24日)https://www.mofcom.gov.cn/zwgk/zcfb/art/2026/art_bac18400512d408a8d4c2f964e36ac11.html ↩ ↩2
-
中華人民共和国商務部「商務部公告2026年第27号 公布将20家日本実体列入出口管制管控名単」(2026年6月29日)https://www.mofcom.gov.cn/zwgk/zcfb/art/2026/art_df87be1437044874a35f85cf6e076f3d.html ↩ ↩2 ↩3
-
中華人民共和国商務部「商務部公告2026年第28号 公布将20家日本実体列入関注名単」(2026年6月29日)https://www.mofcom.gov.cn/zwgk/zcfb/art/2026/art_c2ab731429dc4bc3ba8696cd0e6ad857.html ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
中国両用品目輸出管理条例(CISTEC仮訳 ver.3、2024年10月22日)https://www.cistec.or.jp/service/keizai_anzenhosho/china/data/20241021_yaku.pdf ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
CISTEC「中国当局が日本企業等を『輸出規制管理リスト』(計20団体)及び『注視リスト』(計20団体)に追加掲載(速報)」(2026年6月29日、公告第27号・第28号のCISTEC仮訳と留意点)https://www.cistec.or.jp/service/keizai_anzenhosho/china/data/20260629.pdf ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
-
CISTEC「中国当局が日本企業・大学等を『輸出規制管理リスト』(計20団体)、及び『注視リスト』(計20団体)に掲載(速報)」(2026年2月24日、公告第11号・第12号のCISTEC仮訳と法的枠組みの解説)https://www.cistec.or.jp/service/keizai_anzenhosho/china/data/20260225.pdf ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
中華人民共和国商務部「商務部新聞発言人就対日相関出口管制措施答記者問」(2026年6月29日)https://www.mofcom.gov.cn/syxwfb/art/2026/art_7f7ba1aa2b1a43a480e7f5c0e6f0e618.html ↩
-
中華人民共和国商務部「新聞発言人就対日相関出口管制措置答記者問」(2026年2月24日、第1弾の背景説明)https://www.mofcom.gov.cn/xwfb/xwfyrth/art/2026/art_ecab07b2d57149ecbd800fe40362e8ed.html ↩
-
日本経済新聞「富士電機の日本人社員2人、中国で拘束 レアアース規制違反か」(2026年6月)https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB240XD0U6A620C2000000/ ↩
-
KAB「中国・大連で日本人2人が拘束 レアアース輸出管理に抵触か」(木原官房長官の言及)https://www.kab.co.jp/news/article/16669190 ↩
-
CISTEC「中国による日本向け両用品目輸出管理強化」(2026年1月6日)https://www.cistec.or.jp/service/keizai_anzenhosho/china/data/20260106-2.pdf ↩
-
経済産業省「『防衛装備移転三原則』等の一部改正について」(2026年4月21日)https://www.meti.go.jp/press/2026/04/20260421003/20260421003.html ↩
-
経済産業省「外為法違反事案の分析結果について(安全保障貿易関係)(2024年度)」(2025年12月)https://www.meti.go.jp/policy/anpo/gaitameho_document/ihanjireigaitamehou6.pdf ↩






