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チームで使えるプロンプトライブラリの作り方|命名規則から運用まで

2026-02-12濱本竜太

チーム全員がAIを使いこなすためのプロンプトライブラリ構築手順を解説。命名規則、カテゴリ分類テンプレート、共有のベストプラクティスまで、マネージャー向けの実践ガイドです。

チームで使えるプロンプトライブラリの作り方|命名規則から運用まで
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株式会社TIMEWELLの濱本です。

同じ部署なのに、AIの使い方に大きな差が出ている。この状況に心当たりはありませんか。IBMの2026年版プロンプトエンジニアリングガイドによると、プロンプトの書き方ひとつで生成AIの出力品質が数倍変わります。AIを「使える人」と「使えない人」の差は、本人の能力ではなくプロンプトの知識量で決まっているケースがほとんどです。

この差を組織的に埋めるのがプロンプトライブラリ。個人が試行錯誤で見つけた「うまくいくプロンプト」を一箇所に集めて、誰でも使える状態にする。たったこれだけでチーム全体のAI活用レベルが底上げされます。

ここでは、プロンプトライブラリをチームで構築・運用するための具体的な手順を、命名規則やカテゴリ分類のテンプレートつきでまとめました。

プロンプトライブラリとは

業務で効果的に使えるプロンプト(AIへの指示文)をテンプレート化して蓄積・共有する仕組みです。料理のレシピ集をイメージするとわかりやすい。誰かが開発した「おいしい作り方」を文書化して、他の人もそのレシピで同じ料理を作れるようにする。プロンプトライブラリはAIのレシピ集です。

PromptOpsという概念が2025年頃から広がりました。プロンプトのバージョン管理、テスト、デプロイを体系的に行うアプローチのことです。Adalineの2026年ガイドによると、信頼性の高いLLM製品を出荷しているチームは例外なく、構造化された実験とバージョン管理、テスト、デプロイ、モニタリングを組織的に実践しています。

ここまで聞くと大がかりに感じるかもしれませんが、最初の一歩は「まず共有する仕組みを作る」だけ。規模や成熟度に関係なく始められます。

なぜ個人管理ではだめなのか

プロンプトを個人のメモ帳やチャット履歴に保存している状態には、はっきりした問題があります。

問題 具体例 組織への影響
属人化 Aさんしか知らない「議事録要約プロンプト」がある Aさんが休むと品質が落ちる
重複労力 10人が個別に「メール文面作成プロンプト」を試行錯誤 10人分の時間が無駄になる
品質のばらつき 同じ業務でも人によって出力品質が違う 顧客対応の品質が安定しない
改善が進まない 良いプロンプトの知見がフィードバックされない 組織全体の学習が停滞する
セキュリティリスク 個人のメモに機密情報を含むプロンプトが放置 情報漏洩のリスク

セキュリティの観点は見落とされがち。個人のNotionやGoogle Docsに「顧客リストを分析するプロンプト」が保存されていて、退職時にそのまま持ち出される。こういうケースは現実に起きます。

5ステップで作るプロンプトライブラリ

ステップ1:対象業務とスコープを決める

全部門の全業務を最初からカバーしようとすると、プロジェクトが重くなって頓挫します。「どの部門の」「どの業務に使うプロンプト」を対象にするか、まずここを決めてください。

選定の基準は3つ。

  • 利用頻度が高い業務。日報作成、メール文面作成、議事録要約など
  • 品質のばらつきが問題になっている業務。顧客への回答文作成、提案書の草稿
  • 新入社員がつまずきやすい業務。社内ルールの確認、手続きの問い合わせ

最初は5〜10の業務に絞って始めるのが現実的です。

ステップ2:カテゴリ体系を設計する

プロンプトを分類するカテゴリを決めます。以下のテンプレートをベースに、自社の業務に合わせてカスタマイズしてください。

レベル1(大分類) レベル2(中分類) 具体例
文書作成 メール 営業メール初回アプローチ、お礼メール、クレーム返信
文書作成 レポート 週次報告書、月次分析レポート、提案書の骨子
文書作成 議事録 会議要約、アクションアイテム抽出
データ分析 集計 売上データの傾向分析、アンケート結果のサマリ
データ分析 可視化 グラフ用データ整形、ダッシュボード解説文
コード・技術 レビュー コードレビューコメント作成、バグ原因の仮説出し
コード・技術 ドキュメント API仕様書の下書き、READMEの生成
社内業務 翻訳 英日翻訳(ビジネス文書)、日英翻訳(技術資料)
社内業務 情報検索 社内規程の確認、過去事例の検索
カスタマー対応 FAQ よくある質問への回答案作成
カスタマー対応 トラブル対応 障害報告メール、対応手順の確認

カテゴリ設計で守るルールを3つ決めておきます。

  1. 階層は2段階まで。3段階以上は探すのが面倒で使われなくなる
  2. カテゴリの追加や変更は月1回のレビューで議論する。勝手に増やさない
  3. 1つのプロンプトは1つのカテゴリにだけ所属させる。重複登録しない

ステップ3:プロンプトの登録フォーマットを統一する

バラバラの形式で登録すると、後から探しにくくなります。登録フォーマットを統一してください。

【プロンプトID】 [カテゴリコード]-[連番]
【プロンプト名】 わかりやすい日本語名
【カテゴリ】 レベル1 > レベル2
【作成者】 氏名
【作成日】 YYYY-MM-DD
【最終更新日】 YYYY-MM-DD
【バージョン】 v1.0
【対象モデル】 Claude、GPT-4o、Gemini、汎用のいずれか
【難易度】 初級、中級、上級のいずれか
【想定利用シーン】
  どういうときにこのプロンプトを使うかを記述する。

【プロンプト本文】
  ──────────────────
  (プロンプトの全文をここに記載)
  ※変数部分は {変数名} で表記する
  ──────────────────

【入力例】
  変数に入れる具体例を記述する。

【出力例】
  このプロンプトで得られる出力のサンプルを記述する。

【使用上の注意】
  機密情報の取り扱い、出力結果の確認ポイントなど。

余談ですが、「出力例」を省略するチームが多いです。でもここを書いておくかどうかで、初めて使う人の安心感がまったく違います。必ず入れてください。

ステップ4:命名規則を決める

プロンプトが増えてくると、名前だけで内容を判断できるかどうかが使い勝手を左右します。

要素 ルール 良い例 悪い例
プロンプトID [カテゴリ略称]-[3桁連番] DOC-001, DAT-015 prompt1, 新しいプロンプト
プロンプト名 [動作]+[対象]+[補足] 営業メール初回アプローチ文作成 メール用
バージョン vメジャー.マイナー v1.0, v2.3 最新版, 改良版
ファイル名 [ID]_[英語名].md DOC-001_sales-first-email.md 営業メール.txt

カテゴリ略称の一覧です。

カテゴリ 略称
文書作成 DOC
データ分析 DAT
コード・技術 TEC
社内業務 OPS
カスタマー対応 CUS

この命名規則をチーム全員に共有し、登録時に守ることを運用ルールとして明記しておきます。

ステップ5:レビュー・改善サイクルを回す

プロンプトライブラリは作って終わりではなく、月次でサイクルを回します。

月次レビューのアジェンダ(所要30分)。

  1. 新規登録プロンプトの確認と品質チェック(10分)
  2. 利用状況の振り返り。よく使われたものと使われなかったもの(10分)
  3. 改善提案の共有。「こう修正したら精度が上がった」など(5分)
  4. 次月の重点領域の決定(5分)

Lakeraの2026年ガイドでは、プロンプトのレビューは問題が起きたときだけでなく、最低でも四半期に1回は実施すべきと推奨されています。AIモデルがアップデートされればプロンプトの挙動も変わるので、放置は禁物です。

プロンプト共有のベストプラクティス

プロンプトライブラリを作ったのに使われない。これを防ぐための5つのポイントです。

成功事例を具体的に共有する

「このプロンプトを使ったら、レポート作成が2時間から30分になった」。こういう数字つきの事例が、利用を促進する一番の武器です。月次の全社朝礼やSlackチャンネルで定期的に発信してください。

新入社員オンボーディングに組み込む

入社時の研修プログラムに「プロンプトライブラリの使い方」を入れます。IONOSの調査では、標準化されたプロンプトテンプレートが新入社員のオンボーディング期間を短縮し、ミス削減に貢献したと報告されています。

各部門に「プロンプトチャンピオン」を置く

各部門から1名、プロンプトの収集と改善の推進役を任命する。全員の仕事にするのではなく、まず旗振り役を作ることで推進力が生まれます。

変数化で汎用性を高める

プロンプト内の固有部分を {変数} にしておけば、異なる場面でも流用しやすくなります。

あなたは{業界}の{職種}として、{対象者}向けに{テーマ}について
{文字数}字程度で説明してください。
専門用語は避け、具体例を2つ以上含めてください。

フィードバック導線を短くする

「ここを変えたほうがいい」と気づいたとき、すぐにフィードバックできる仕組みを作ってください。Slackのリアクション、プロンプトページ内のコメント機能、簡単なGoogleフォーム。何でもいいので、ハードルを限りなく下げること。フィードバックが来ないライブラリは育ちません。

プロンプトの品質を保つためのガバナンス

組織でプロンプトを管理するなら、ガバナンスの仕組みが要ります。

新規プロンプトの登録フローはこう設計します。まず作成者がプロンプトを登録する。次に部門のプロンプトチャンピオンがレビューする。レビューで確認するのは、機密情報が含まれていないか、命名規則に従っているか、出力例が添付されているか、対象モデルが明記されているかの4点。問題なければ承認してライブラリに公開、問題があれば差し戻して修正依頼。

禁止事項も明文化しておきます。

禁止事項 理由
個人情報を含むプロンプトの登録 プライバシー違反
顧客の具体名を含むプロンプトの登録 情報漏洩リスク
差別的・偏向的な出力を誘導するプロンプト コンプライアンス違反
ライセンスや利用規約に抵触するプロンプト 法務リスク
テストなしでの本番利用 品質リスク

ツール選びのポイント

プロンプトライブラリをどこに構築するか。ツール選定も大事な判断です。

ツール種別 メリット デメリット 向いている組織
スプレッドシート 導入コストゼロ、誰でも使える 検索性が低い、バージョン管理が困難 10人以下のチーム
NotionやConfluence 柔軟な構造化、共同編集が可能 AI専用ではない、検索精度に限界 中規模チーム
専用プロンプト管理ツール バージョン管理、A/Bテスト、監査ログ コストがかかる、学習コスト エンジニアチーム
AIナレッジプラットフォーム AI検索、プロンプト実行と管理の一体化 初期導入コスト 全社的にAI活用を推進する組織

ZEROCKはプロンプトライブラリ機能を標準搭載したAIナレッジプラットフォームです。プロンプトの保存、検索、共有だけでなく、そのプロンプトを使って社内データに対するAI検索をそのまま実行できます。管理と利用が同じプラットフォーム上で完結するので、「プロンプトは見つけたけど、使うために別ツールを開く」という手間がない。個人的には、この一体感がZEROCKの一番の強みだと考えています。

まとめ

プロンプトライブラリの構築でよく聞かれるのが「どのくらいの数を揃えたらスタートできますか」という質問です。私の答えは「5個」。5個あれば十分です。完璧なライブラリを最初から目指すと、いつまでも公開できません。

まずはチーム内で「これは便利だ」と評判のプロンプトを5個集めて、共有フォルダに置く。使ってもらって、フィードバックをもらう。命名規則やカテゴリ設計はそこから整えていけばいい。凝ったシステムは後回しで構いません。動き出すことが先です。

ZEROCKのプロンプトライブラリ機能

ZEROCKは、プロンプトの管理、共有、実行を一体化したエンタープライズAIプラットフォームです。カテゴリ別の整理と検索機能、利用状況の可視化に加え、GraphRAGによる高精度なAI検索をプロンプトからそのまま実行できます。データはAWS東京リージョンで管理されるため、セキュリティ要件の厳しい企業でも導入可能です。

チームのAI活用を標準化したい方は、まず資料請求からどうぞ。

ZEROCKの詳細を見る

参考情報

  • IBM「The 2026 Guide to Prompt Engineering」
  • Lakera「The Ultimate Guide to Prompt Engineering in 2026」
  • Adaline「The Complete Guide to Prompt Engineering Operations (PromptOps) in 2026」
  • IONOS「What is a prompt library? Explanation, benefits, and best practices」
  • GLASS BLOG「AIプロンプト管理方法まとめ:チームで活用するための効率的な整理・共有術」

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