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【完全解説】国家情報会議創設法(2026年成立)— 外国勢力の干渉にどう対抗するか、輸出管理との関係まで

2026-05-28濱本 隆太

2026年に成立した国家情報会議創設法を完全解説。外国勢力の悪意ある干渉にどう対抗するか、既存の安全保障法体系との関係、輸出管理実務への影響まで、濱本が初心者にもわかるように丁寧に整理します。

【完全解説】国家情報会議創設法(2026年成立)— 外国勢力の干渉にどう対抗するか、輸出管理との関係まで
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こんにちは、株式会社TIMEWELLの濱本です。

2026年5月27日の参院本会議で、国家情報会議設置法案が成立しました[^1][^2]。報道や一部の解説では「国家情報会議創設法」「インテリジェンス改革法」とも呼ばれている法律です。タイトルだけ眺めると、霞が関の内側の組織再編にすぎないように見えるかもしれません。ところが条文と概要資料に目を通していくと、これは輸出管理を担う現場の実務にも、じわじわと効いてくる種類の制度変更だと感じます[^3]。

筆者の元には、この一週間で複数の輸出管理担当者から「結局これは自社に何の影響がありますか」「特定秘密保護法や重要経済安保情報保護活用法と何が違うのですか」という相談が寄せられました。共通しているのは、ニュースを読んでも輪郭がつかめないというモヤモヤです。本稿では、田中部長のような輸出管理初心者の方を念頭に、一次情報をたどりながら、国家情報会議創設法の中身と、それが輸出管理実務に何を意味するのかを腰を据えて整理します。

なお、本稿では「国家情報会議創設法」「国家情報会議設置法」の呼称を文脈に応じて併用しますが、指している法律は同一です。政府提出資料では「国家情報会議設置法案」が正式名称です[^3]。

1. 国家情報会議創設法とは何か——一次情報で整理する

国家情報会議設置法(以下、本法)は、首相を議長とする「国家情報会議」を内閣に設け、その事務局として「国家情報局」を内閣官房に置く法律です。法案は2026年3月13日に閣議決定され国会に提出され、4月23日に衆院本会議で可決、5月26日に参院内閣委員会で可決、5月27日の参院本会議で成立しました[^1][^2][^4]。

法案の主管省庁は内閣官房です。総理は成立直後の会見で、各省庁にまたがる情報を集約して脅威評価を行い、政策判断につなげる「インテリジェンスの司令塔」を作るのがこの法律の目的だと説明しています[^1]。

施行日は、附則第一条により「公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する」と規定されています。国家情報局は、現在の内閣情報官および内閣情報調査室を発展的に解消するかたちで、2026年7月にも発足する見通しが報じられています[^5][^6]。司令塔の長は、現職の内閣情報官の後継ポストとなる「国家情報局長」が務める想定です。

国家情報会議の主な所掌事務

法案および内閣官房の概要資料によれば、国家情報会議は次の事項を調査審議します[^3][^31]。

  • 重要情報活動に関する基本的な方針
  • 関係行政機関における重要情報活動の重点、収集・分析・共有のあり方の総合調整
  • 外国情報活動への対処に関する基本的な方針および措置
  • 特定秘密の保護および利用に関する重要事項
  • そのほか首相が必要と認める情報活動関連事項

法案上、「重要情報活動」とは、安全保障の確保、テロリズムの発生の防止、緊急の事態への対処その他の我が国の重要な国政の運営に資する情報の収集調査に係る活動と定義されています[^31]。「外国情報活動」は、外国政府その他外国の主体による日本に対する情報活動(影響工作、技術収集、サイバー攻撃、人的接触工作等を含む)として整理されます。具体的な定義の文言は政令や運用方針で詰められる部分が残っており、現時点では未確定の論点もあります。

議長・構成員

法案によれば、国家情報会議は議長と議員で構成されます。議長は内閣総理大臣、議員は内閣総理大臣臨時代理、内閣官房長官、内閣府特命担当大臣(金融担当)、国家公安委員会委員長、法務大臣、外務大臣、財務大臣、経済産業大臣、国土交通大臣、防衛大臣の9閣僚です[^31][^32]。会議の事務は国家情報局が担い、警察庁、外務省、防衛省、公安調査庁などに分かれている情報機能を、政府全体として束ねるかたちです[^7]。

関係行政機関の協力義務についても規定が置かれ、国家情報局は重要情報活動および外国情報活動への対処に必要な範囲で、関係行政機関に資料・情報の提供を求めることができ、関係行政機関はこれに応じる責務を負うとされています[^3][^31]。

参院内閣委員会は5月26日に法案を可決すると同時に、付帯決議を付しました。付帯決議には、プライバシーが無用に侵害されないよう十分に配慮すること、首相や官房長官が所掌事務と無関係な情報収集依頼を行わないこと、政治的中立性を損なう情報収集は行わないことが盛り込まれています[^33]。札幌弁護士会や自由法曹団は、市民の私生活情報が無制限に集約されかねないとして反対の会長声明・意見書を公表しています[^9][^10]。これら反対論の存在自体も、この法律がいかに広い射程を持つかを示しています。

2. 「外国勢力の悪意ある対応」とは具体的に何を指すか

法律の条文上は「外国情報活動」という抽象度の高い言葉で書かれていますが、内閣官房の概要資料、内閣情報調査室の従来の整理、警察庁・公安調査庁の公表資料を突き合わせると、対象として想定されている脅威の輪郭は比較的くっきりと見えてきます[^3][^11]。ここでは大きく4つに分けて整理します。

第一に、**情報操作・影響工作(FIMI/FIIE)**です。FIMIは欧州対外行動庁(EEAS)が定義した「外国による情報操作と干渉」、FIIEは「Foreign Information Influence Engagement」の略で、いずれも偽情報や情報空間の汚染を通じて、相手国の政治判断や世論に介入する活動を指します[^12][^13]。日本国内でも参院選など主要選挙のタイミングで、SNS上の情報操作が観測されてきたと報じられています[^14]。国家情報会議は、こうした情報空間での干渉を継続的に観測・評価する司令塔の役割を担います。

第二に、技術流出・産業スパイです。2023年6月には産業技術総合研究所の上級主任研究員が、フッ素化合物に関する研究データを中国企業にメール送信したとして不正競争防止法違反で逮捕されました。送信先の企業はその約一週間後に中国で関連特許を申請していた事実も明らかになっています[^15]。研究機関や大学を経由した技術情報の漏洩は、輸出管理上の「みなし輸出」規制の対象にも重なるテーマです。

第三に、サイバー攻撃です。2023年11月にはJAXA(宇宙航空研究開発機構)が複数回にわたるサイバー攻撃を受け、契約関係にある国内外の企業情報まで含めて流出した可能性があると報じられました。警視庁公安部は、中国人民解放軍の指示を受けたとされるシステムエンジニアを送検しています[^16][^17]。サイバー領域の脅威は、警察庁サイバー警察局、防衛省サイバー防衛隊、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)、新設の国家サイバー統括室など複数の主体に分散しています。国家情報会議は、これら主体の脅威情報を束ねる位置にあります[^18]。

第四に、**人的接触工作(HUMINT)**です。研究者、議員、地方公務員、大学事務局、宗教団体、コミュニティ団体といった非伝統的な接触経路を通じて情報を引き出す古典的な手口です。米司法省が2026年5月に摘発したカリフォルニア州アルカディア市長の事件は、地方政治家がコミュニティニュースサイトを介して外国政府のメッセージを発信していた典型例として、国際的に大きく報じられました[^19]。日本も例外ではないという認識が、今回の法案の前提にあります。

これら4つの脅威類型は、いずれも単一省庁では完結しません。外務省、警察庁、防衛省、公安調査庁、経済産業省、総務省、内閣サイバーセキュリティセンターが断片的に情報を持っており、それを横串で統合する司令塔がなかったことが、長年の制度的弱点でした[^7][^20]。国家情報会議はその弱点に手当てしようとする制度設計です。

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3. この法律で何が変わるのか——情報集約・脅威評価・連携強化

では、具体的に何が変わるのでしょうか。法案概要と複数の解説資料を読み込んでいくと、運用上のポイントは次の3点に絞られます[^3][^7][^20]。

3-1. 情報の集約と「総合整理」

これまで内閣情報調査室は、各省庁から提供された情報を「整理して総理に上げる」役割を担っていましたが、提供元の省庁が情報を出すかどうかは、各省庁の判断に強く依存していました。新法では国家情報局に総合調整権が明示的に与えられ、関係行政機関は重要情報活動と外国情報活動への対処に必要な範囲で、国家情報局に資料・情報を提供する義務が課されます[^3]。

これにより、たとえばこれまで警察庁公安部、防衛省情報本部、公安調査庁、外務省国際情報統括官組織がそれぞれ別々に分析していた中国のサプライチェーンリスク評価が、国家情報会議のもとで一本化されることが想定されます。

3-2. 脅威評価レポートの位置づけ

英国の合同情報委員会(JIC)、豪州の国家情報局(ONI)、米国の国家情報長官室(ODNI)はいずれも、政府全体としての脅威評価レポートを定期的に首脳に上げる仕組みを持っています[^21][^22][^23]。日本の国家情報会議も、機能としては同じ位置に立ちます。

これは輸出管理の観点で重要です。政府が公式に「この技術領域、この国・地域、この種類の取引相手は機微」と認定する根拠が、より統合された評価レポートに基づくようになるためです。経済産業省が出す通達やリスト改正は、こうした統合評価の影響を受ける可能性が高まります。

3-3. 関係省庁の連携強化

国家情報会議の議長は総理、構成員は関係閣僚です。日常の運用は国家情報局が担いますが、政策に反映するためのフォーラムが閣僚級で常設される点が、これまでの内閣情報会議との大きな違いです。

これと並行して、政府は2026年に国家サイバー統括室(能動的サイバー防御の司令塔)、防災庁(巨大災害対応の司令塔)を立ち上げる方針で、東京都の解説資料はこれを「三位一体の司令塔体制」と整理しています[^18]。国家情報会議は、この三位一体のうち、安全保障情報の中核をなすピースです。

4. 既存法との関係マップ——5つの法律をどう整理するか

ここまで読んで、田中部長のような実務者の方は、こう思っているはずです。「特定秘密保護法も、重要経済安保情報保護活用法も、経済安全保障推進法も、外為法もある。今度の国家情報会議設置法は、これらと何が違うのか」と。

この問いは本質的に重要です。整理すると次のようになります。

法律 主な役割 規制対象 罰則
特定秘密保護法(2013年成立) 防衛・外交・スパイ防止・テロ防止に関する情報の保護とクリアランス 国家機密 最大10年/1,000万円
経済安全保障推進法(2022年成立) サプライチェーン強靱化、基幹インフラ事前審査、先端技術開発支援、特許非公開の4本柱 物資・インフラ・技術 各柱で個別
重要経済安保情報保護活用法(2024年成立/2025年5月施行) 経済分野へのセキュリティクリアランス拡張、機密の指定と適性評価 経済安保情報 最大5年/500万円
外為法(輸出管理関連) 安全保障貿易管理(リスト規制・キャッチオール規制・該非判定) 貨物・技術の輸出・提供 最大10年/3,000万円 等
国家情報会議設置法(2026年成立) 情報の集約・脅威評価・対処方針の司令塔機能 重要情報活動・外国情報活動 罰則規定は中心ではない

ここに整理した4本の既存法は、いずれも「保護する/規制する」側の法律です。これに対して国家情報会議設置法は、「評価する/調整する」側の法律と位置づけられます。直接的な企業向け規制ではなく、政府の内側の情報処理能力を底上げする制度です[^24][^25][^26][^27]。

ただし注意したいのは、評価の結果が既存の規制運用にフィードバックされる点です。たとえば国家情報会議で「ある国の特定産業向けの技術輸出は安全保障上の懸念が大きい」と評価された場合、外為法に基づくキャッチオール規制の運用や、リスト規制の対象品目の見直しに反映されていく可能性があります。経済産業省は2025年11月15日施行および2026年2月14日施行のリスト改正を行っていますが[^28]、こうした改正のサイクルが、今後はさらに速まる蓋然性があります。

重要経済安保情報保護活用法との関係も整理しておきます。同法は防衛・外交・スパイ防止・テロ防止の4分野を対象とする特定秘密保護法の対象を、経済分野まで拡張した法律です[^24]。クリアランスを得た事業者は政府の機密情報にアクセスできるようになりますが、その「機密情報」を誰がどう分析しているのかという情報処理側の制度が、これまで明確ではありませんでした。国家情報会議設置法は、その情報処理側のフレームワークを補完するピースだと理解すると、全体像がつかみやすくなります。

5. 海外制度との比較——日本だけが特殊なのか

国家情報会議という発想は、日本オリジナルではありません。むしろ主要民主国の標準装備に近いものです。代表的な制度を3つ並べます。

米国の国家情報長官(DNI/Director of National Intelligence):2001年の同時多発テロを契機に2004年に新設された制度で、CIAをはじめとする17の連邦情報機関を統括し、毎朝の大統領日報(PDB)を含む脅威評価を大統領と国家安全保障会議に提供します[^22]。日本の国家情報局長は、規模も権限もDNIには及びませんが、機能的なポジションは類似しています。

英国の合同情報委員会(JIC/Joint Intelligence Committee):1936年設立。内閣府に置かれ、SIS(MI6)、Security Service(MI5)、GCHQ、防衛情報部、外務省、内務省などからの情報を統合し、内閣に直接届ける合議体です[^21]。議長は内閣府の事務次官級ポストが務めます。日本の国家情報会議は、構成員が閣僚級である点でJICよりも政治色が強い設計です。

豪州の国家情報局(ONI/Office of National Intelligence):2018年設立。10の情報機関で構成される国家情報コミュニティの統合管理と、首相・国家安全保障委員会への単一の説明責任を担います[^23]。日本の国家情報局は、機能的にはこのONIに最も近い設計です。

これら3か国に共通するのは、「情報を集める機関」「情報を分析・評価する司令塔」「政策を決める閣僚級フォーラム」の三層構造です。日本も今回の国家情報会議設置法で、ようやくこの標準的な三層構造に近づきました。

ただし重要な留保があります。米英豪は対外情報機関(CIA、SIS、ASIS)を持っているのに対し、日本は対外情報収集を主任務とする独立機関を持ちません。今回の法律も、新たな対外情報機関を創設するものではなく、既存の警察庁、公安調査庁、防衛省、外務省などの情報機能を束ねる司令塔を設置する制度設計です[^3][^7]。対外情報収集機関の新設の是非については、国会答弁でも継続的な検討課題として整理されており、現時点では未確定の論点です[^20]。

6. 企業への影響:輸出管理実務との接続点

ここまで政府の制度の話が続いたので、ここから一気に企業実務に降ろします。輸出管理を担う田中部長の目線で、この法律がどう効いてくるかを3点に絞ります。

6-1. 脅威評価が政府として一本化される

国家情報会議は外国情報活動への対処方針を統合的に審議する場ですが、輸出管理の直接の所管は引き続き経済産業省です。新法に輸出管理の運用を直接変更する条文はありません。一方で、国家情報会議が示す脅威評価は、各省庁の通達やリスト改正の判断材料に反映されることが想定されます。実際、2025年11月15日施行および2026年2月14日施行のリスト改正が既に行われており[^28]、改正の波は止まっていません。今後の運用の具体像は政令や通達で順次明らかになる見通しです。

社内の輸出管理規程を「1年に1回見直す」という運用は、もう持ちこたえられません。月次・週次で経済産業省、外務省、CISTEC、JETROの公表内容を点検し、該非判定や取引相手スクリーニングに反映する体制が必要になります。

6-2. 取引相手の実質的支配者(UBO)情報の重要性が上がる

国家情報会議が外国情報活動への対処方針を立てるなかで、特定の外国政府や軍事関連組織につながる企業群が、より詳細にマッピングされていきます。輸出管理上、取引相手がリスト規制対象品目を扱わなくても、最終ユーザーがリスト規制対象国の軍事関連用途で使う可能性がある場合はキャッチオール規制が適用されます[^29]。この判断には、相手企業の株主構成、役員の経歴、関連会社、政府との関係などを把握する作業が不可欠です。

実質的支配者(UBO:Ultimate Beneficial Owner)情報の管理は、これまで金融機関のマネーロンダリング対策の文脈で語られることが多かったテーマです。今後は輸出管理の中核論点として、製造業の取引相手スクリーニングにも組み込まれていきます。

6-3. みなし輸出と研究セキュリティの拡張

産総研の事例[^15]やJAXAへのサイバー攻撃[^16][^17]が示すように、技術情報は工場の外でも漏れます。研究員の採用時の身元確認、共同研究契約のスクリーニング、出張先での技術ブリーフィング、海外大学との学生交換——これらすべてが「みなし輸出」の射程に入っています。国家情報会議は、こうした研究セキュリティのリスク評価も統合的に行う位置にあります。

実務側は、技術部門と人事部門、研究開発部門と輸出管理部門の連携を強化する必要があります。

7. 企業が今すぐ着手すべき3つの準備

ここまでの整理を踏まえて、輸出管理担当者の方が今すぐ着手すべきことを3つに絞ります。

第一に、自社の輸出管理規程と2024年以降の経済安全保障関連法を突き合わせて点検することです。特定秘密保護法、経済安全保障推進法、重要経済安保情報保護活用法、外為法、そして今回の国家情報会議設置法は、それぞれ別の法律ですが、機微情報・機微技術・機微取引相手という共通レイヤーで接続します。社内規程がこの接続を反映できているかを確認します。

第二に、月次・週次で制度更新を取り込む運用を立ち上げることです。経済産業省、外務省、財務省、CISTEC、JETRO、各国当局(米国BIS、EU、中国MOFCOMなど)の公表情報を一括で監視し、変更点を該非判定マスターと取引相手スクリーニングルールに反映するワークフローを整えます。

第三に、取引相手のUBO・関連会社情報を継続更新する仕組みを持つことです。一度きりのKYCではなく、相手企業の株主構成や役員人事の変更を継続的に追える運用が必要です。


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8. TRAFEEDでできる「規制更新×輸出管理」の継続運用

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経済産業省、米国BIS、EU、中国MOFCOMなど主要当局の規制更新を機械可読化し、社内マスターに反映するパイプラインを持ちます。該非判定は品名・型番・スペックから自動でアタリをつけ、判定根拠のロジックを示します。取引相手スクリーニングは、デニードリスト・SDNリスト・エンティティリストとUBO情報の継続更新を組み合わせて、キャッチオール規制の判断に必要な材料を揃えます。

データはAWS東京リージョンの国内サーバーで運用され、機密性の高い取引情報も社外に出さずに扱える設計です。経済産業省の安全保障貿易管理基準に準拠した運用ログを残せるため、社内監査や経済産業局の検査対応にも使えます。

国家情報会議の発足は、輸出管理の現場から見れば、規制の更新頻度と精度がさらに上がるシグナルです。年に1度の手作業見直しでは追いつかない世界が、ここからさらに加速します。

9. まとめとよくある質問

最後に、本稿のポイントを整理します。

  • 国家情報会議設置法は2026年5月27日に成立し、7月にも国家情報局が発足する見通しです。
  • 首相を議長とする閣僚級の国家情報会議が、外国情報活動への対処方針と重要情報活動の総合調整を担います。
  • 外国情報活動は、情報操作・影響工作、技術流出、サイバー攻撃、人的接触工作の4類型に大別できます。
  • 既存の特定秘密保護法、経済安全保障推進法、重要経済安保情報保護活用法、外為法とは「評価する側」と「規制する側」という補完関係にあります。
  • 米国DNI、英国JIC、豪州ONIに相当する司令塔機能を、日本も標準装備に近づけました。
  • 輸出管理の現場では、規制更新のサイクル加速、UBO情報の重要性向上、みなし輸出と研究セキュリティの拡張という3点に備える必要があります。

田中部長のような輸出管理初心者の方には、まず社内規程の点検と、規制更新の継続収集体制の構築から始めることをおすすめします。情報の集約と評価が国家情報会議によって速くなる以上、企業側の運用も速さで追いつく必要があります。

なお、本稿で扱った「外国勢力」という表現は、特定の国を脅威として名指しするものではありません。政府の公表資料や報道では、中国・ロシア・北朝鮮等の関与が指摘されている事案が紹介されていますが、それらは具体的な摘発事案に紐づく事実関係の記述であり、国全体を脅威と断定する立場ではありません。輸出管理実務でも、相手国ではなく相手企業・最終ユーザー・最終用途という具体的なレイヤーで判断するのが大原則です。


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[^1]: 首相官邸「国家情報会議設置法の成立についての会見」2026年5月27日 https://www.kantei.go.jp/jp/105/statement/2026/0527kaiken.html [^2]: 衆議院「国家情報会議設置法案」(議案本文・経過) https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g22109024.htm [^3]: 内閣官房「【概要】国家情報会議設置法案 重要情報活動 外国情報活動への対処」2026年3月13日 https://www.cas.go.jp/jp/houan/260313/gaiyou.pdf [^4]: 公明党「『情報会議』法案衆院通過 政治的中立性を確保」 https://www.komei.or.jp/komeinews/p508401/ [^5]: 日本経済新聞「『国家情報局』7月にも発足 インテリジェンス司令塔、設置法成立」2026年5月27日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA25A5W0V20C26A5000000/ [^6]: 時事ドットコム「国家情報局、来年7月設置 インテリジェンス改革第1弾―政府調整」2025年12月5日 https://www.jiji.com/jc/article?k=2025120500958&g=pol [^7]: 第一生命経済研究所「【1分解説】政府のインテリジェンス体制の再編とは?(国家情報局・国家情報会議構想)」 https://www.dlri.co.jp/report/ld/582749.html [^8]: 名古屋テレビ「『国家情報会議』法案で論戦 プライバシー侵害など懸念は 総理『市民を調査想定せず』」 https://www.nagoyatv.com/news/seiji.html?id=000499285 [^9]: 札幌弁護士会「国家情報会議設置法の制定に反対する会長声明」2026年5月22日 https://satsuben.or.jp/statement/2026/05/22/1089/ [^10]: 自由法曹団「国家情報会議設置法案の廃案を求める緊急意見書」2026年5月19日 https://www.jlaf.jp/04iken/2026/0519_2157.html [^11]: 警察庁「経済安全保障 技術流出の防止に向けて」 https://www.npa.go.jp/bureau/security/economic-security/index.html [^12]: 駐日欧州連合代表部 EU MAG「欧州の情報空間を外国干渉から守る——EUのFIMI対策」 https://eumag.jp/article/feature1125b/ [^13]: 欧州対外行動庁(EEAS)FIMI第2弾報告に関する解説 https://note.com/ichi_twnovel/n/n280c4bef1f09 [^14]: 日本経済新聞「強まる外国からの情報操作と干渉、分断を防ぐ対策急務」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE0487H0U5A800C2000000/ [^15]: ダイヤモンド・オンライン「中国人研究員『先端技術情報』漏えい事件で露呈、"スパイ天国"日本のあきれた実態」 https://diamond.jp/articles/-/324668 [^16]: 高知新聞「【サイバー攻撃】軽視できぬJAXA被害」 https://www.kochinews.co.jp/article/detail/755216 [^17]: cybersecurity-jp.com「中国軍の指示を受けJAXAなどにサイバー攻撃関与か、30代のSE逮捕」 https://cybersecurity-jp.com/news/51551 [^18]: 東京都サイバーセキュリティポータル「2026年における国家情報局、国家サイバー統括室、防災庁による三位一体の司令塔体制」 https://www.cybersecurity.metro.tokyo.lg.jp/links/731/index.html [^19]: 株式会社TIMEWELL コラム「アルカディア市長は『外交部が送りたいもの』を投稿していた」 https://timewell.jp/columns/arcadia-mayor-china-influence-2026 [^20]: 選挙ドットコム「『国家情報局』誕生で何が変わる?内調の格上げとNSCとの役割分担を政治記者が解説」 https://go2senkyo.com/articles/2026/04/30/134395.html [^21]: GCHQ(英国政府通信本部)「Joint Intelligence Committee」 https://www.gchq.gov.uk/information/joint-intelligence-committee [^22]: 国立国会図書館「米国インテリジェンス・コミュニティの改編——国家情報長官(DNI)制度の創設とその効果」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/kokusaiseiji/2009/158/2009_158_158_182/_article/-char/ja/ [^23]: 豪州 Office of National Intelligence(公式) https://www.oni.gov.au/ [^24]: 内閣府「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律」 https://www.cao.go.jp/keizai_anzen_hosho/hogokatsuyou/hogokatsuyou.html [^25]: 内閣官房「特定秘密保護法 概要」 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyo_sc/dai5/siryou3.pdf [^26]: 参議院常任委員会調査室「4つの柱で構成される経済安全保障推進法案」 https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2022pdf/20220414003.pdf [^27]: 安全保障貿易情報センター(CISTEC)「経済安全保障推進法」 https://www.cistec.or.jp/service/keizai_anzenhosho/yukan/keizaianzenhoshou_suishin_hou.html [^28]: CISTEC「2025年度定例のリスト改正等について(解説)」2025年11月18日 https://www.cistec.or.jp/export/express/251117/12_kaisetsu.pdf [^29]: 経済産業省「補完的輸出規制(キャッチオール規制)」 https://www.meti.go.jp/policy/anpo/catchall.html [^30]: 国家安全保障会議設置法(e-Gov) https://laws.e-gov.go.jp/law/361AC0000000071/ [^31]: 参議院「国家情報会議設置法案」議案情報 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/221/meisai/m221080221024.htm [^32]: 時事ドットコム「国家情報会議、スパイ防止で司令塔 メンバーは首相・9閣僚——設置法案全容」 https://www.jiji.com/jc/article?k=2026030401030&g=pol [^33]: 参議院常任委員会調査室・特別調査室「内閣のインテリジェンス体制の現状と今後の動向——国家情報局等の創設とインテリジェンス機能強化の関係性等」 https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/r08pdf/202625201.pdf

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