コミュニティKPI設計 - 成果を可視化する指標の選び方

TIMEWELL編集部2026-02-01

コミュニティ運営に「数字」が必要な理由

コミュニティの運営では「盛り上がっている気がする」「メンバーは満足しているはず」という感覚的な判断に陥りがちです。しかし、経営層への報告や予算確保の場面では、感覚ではなく数字が求められます。

CMX Hub「Community Industry Report」(2024年版)によると、KPIを設定して定期的に測定しているコミュニティは、そうでないコミュニティと比較して予算が2年以上維持される確率が2.4倍高いと報告されています。

KPIを正しく設計し、定期的に測定することで、コミュニティの健康状態を客観的に把握でき、打つべき施策が見えてきます。

KGIとKPIの関係を整理する

コミュニティの指標設計では、まずKGI(重要目標達成指標)を設定し、そこからKPIを逆算するアプローチが有効です。

KGIの例

  • コミュニティ経由の売上(月間100万円)
  • NPS(ネットプロモータースコア)の改善(+20ポイント)
  • カスタマーサポートへの問い合わせ削減(30%減)

KGIが決まったら、それに寄与するKPIを階層的に設計します。

KGI: コミュニティ経由の売上 月100万円
├─ KPI: 月間アクティブ会員数 500人
│   ├─ 新規登録数 50人/月
│   └─ 継続率 85%以上
├─ KPI: コンテンツ閲覧数 10,000PV/月
│   └─ 投稿数 200件/月
└─ KPI: イベント参加率 40%
    └─ イベント開催数 4回/月

コミュニティ規模別のKPIベンチマーク

コミュニティの規模によって、目指すべき数値は異なります。以下は一般的なベンチマーク(CMX Hub調査, 2024年およびHigher Logic「Community Benchmark Report」, 2023年を参考に構成)です。

指標 小規模(〜100人) 中規模(100〜500人) 大規模(500人〜)
MAU率 40〜60% 30〜45% 25〜35%
DAU/MAU比率 20〜30% 15〜25% 10〜20%
投稿率(MAU比) 15〜25% 10〜20% 5〜15%
30日リテンション 50〜70% 40〜60% 35〜50%
イベント参加率 30〜50% 20〜35% 15〜25%
NPS 40以上 30以上 25以上

小規模コミュニティはメンバー同士の距離が近いためエンゲージメント指標が高く出やすい一方、大規模になるほど「ROM(読むだけ)層」が増えるため各指標は低下する傾向にあります。

コミュニティ運営で追うべき主要指標

1. 会員数の推移

最も基本的な指標です。ただし、登録者数だけを見ても実態は把握できません。新規登録数、退会数、純増数の3つをセットで追いましょう。

2. アクティブ率(MAU率)

月間アクティブユーザー数(MAU)を全会員数で割った値です。コミュニティの「実質的な規模」を示す重要な指標です。

よくある間違い:MAU率が高ければ良いと単純に考え、退会を促さずに非アクティブ会員を放置する。結果、会員数は多いがMAU率は低下し続ける。

正しい運用:90日以上非アクティブな会員にリエンゲージメント施策を実施し、反応がなければ休眠リストに移行。分母を適正化することでMAU率の精度を保つ。

3. エンゲージメント率

メンバーがどれだけ積極的にコミュニティに関わっているかを示す指標です。BASEのエンゲージメントスコアリング機能を使えば、投稿頻度、リアクション数、イベント参加回数などをAIが総合的にスコアリングし、コアメンバー候補や離脱リスクのあるメンバーを自動で検知できます。

4. 継続率(リテンション率)

一定期間後にどれだけのメンバーがコミュニティに残っているかを示す指標です。

  • 30日後リテンション:目安40〜60%。ここが低い場合はオンボーディングの改善が必要
  • 90日後リテンション:目安25〜40%。この段階で定着したメンバーは長期継続する傾向が強い
  • 年間リテンション:目安20〜35%。有料コミュニティの場合は60〜80%を目標に

特に「最初の7日間で1回以上投稿したメンバー」と「投稿しなかったメンバー」では、90日後の継続率に2〜3倍の差が出るのが一般的です。

5. NPS(ネットプロモータースコア)

「このコミュニティを友人や同僚に薦めますか?」という質問に0〜10の数値で回答してもらい、推奨者(9〜10)の割合から批判者(0〜6)の割合を引いた値です。BASEのアンケート機能で四半期ごとに測定し、推移を追跡します。

KPIダッシュボードテンプレート

以下の構成で月次KPIレポートを作成すると、経営報告にも使える実用的なダッシュボードになります。

セクション 掲載指標 閾値(要対応) 対応アクション
成長 会員数、新規登録数、退会数 純増数がマイナス 集客施策の見直し、退会理由ヒアリング
活性度 MAU率、投稿数、リアクション数 MAU率が20%を下回る コンテンツ企画の強化、イベント頻度の増加
定着 30日/90日リテンション 30日リテンションが30%を下回る オンボーディングフローの改善
エンゲージメント エンゲージメントスコア分布 コア層が全体の5%未満 コア層育成施策、役割付与プログラム
満足度 NPS、アンケート結果 NPSが20を下回る メンバーインタビュー実施、改善計画策定
ビジネス貢献 コミュニティ経由リード数、売上 前月比30%以上減少 導線設計の見直し、営業連携の強化

BASEの分析ダッシュボードでは、これらの指標をリアルタイムで確認でき、閾値を下回った場合にアラートを自動送信する設定も可能です。月次レポートの自動生成機能を使えば、データ集計の手間を大幅に削減できます。

四半期レビュープロセス

月次のモニタリングに加え、四半期ごとに深掘りレビューを実施します。

四半期レビューの進め方(所要時間:90分)

  1. データ確認(20分):過去3ヶ月のKPI推移を一覧で確認。BASEのコホート分析で入会月ごとのリテンション推移を比較
  2. 施策の効果検証(20分):実施した施策ごとのBefore/Afterを比較。効果のあった施策と効果の薄かった施策を仕分け
  3. メンバーの声(15分):NPS調査のフリーコメント、退会時アンケートの傾向を分析
  4. 課題の特定(15分):数値と定性情報から、次の四半期で解決すべき課題を3つ以内に絞る
  5. アクションプラン策定(20分):課題ごとに担当者・期限・目標値を決める

Before/Afterの改善例

改善前:KPIを月末にExcelで集計。数値の異常に気づくのが翌月中旬。施策の効果検証も属人的で再現性がない。

改善後:BASEの分析ダッシュボードで主要KPIをリアルタイム監視。MAU率が前週比5ポイント以上低下した時点で自動アラート。四半期レビューのテンプレートに沿って施策の効果を定量評価し、次期の施策選定に反映。

まとめ

  • KPIの設計はKGIから逆算し、3〜5個の主要指標に絞る
  • コミュニティの規模(小・中・大)に応じたベンチマークを基準にする
  • 月次モニタリングと四半期レビューを組み合わせ、改善サイクルを回す
  • 数値だけでなく定性的なフィードバックも併用して判断する
  • ダッシュボードの閾値とアクションを事前に定義しておくことで、異常への対応速度が上がる

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