輸出管理の基礎 - なぜ該非判定が必要なのか

TIMEWELL編集部2026-02-01

輸出管理とは

輸出管理とは、大量破壊兵器(核兵器、化学兵器、生物兵器、ミサイル)や通常兵器の開発・製造に転用される恐れのある製品や技術が、懸念のある国・地域や組織に渡ることを防ぐための規制です。

日本では外為法(外国為替及び外国貿易法)に基づき、経済産業省が所管しています。メーカーや商社だけでなく、ソフトウェアや技術情報を海外に提供する企業も対象となります。

なぜ輸出管理が必要なのか

国際社会の安全保障を維持するためです。高度な技術や製品が不正に流出すると、兵器開発に転用される恐れがあります。各国が協調して輸出管理を行うことで、こうしたリスクを最小限に抑えています。

日本は以下の4つの国際輸出管理レジームに参加しています。

  • ワッセナー・アレンジメント:通常兵器および関連汎用品・技術
  • 原子力供給国グループ(NSG):原子力関連資機材・技術
  • オーストラリア・グループ(AG):化学・生物兵器関連
  • ミサイル技術管理レジーム(MTCR):ミサイル関連

2つの規制体系

日本の輸出管理には、大きく分けて2つの規制があります。

リスト規制

経済産業省が定めた「輸出貿易管理令 別表第1」に記載されている品目に該当するかどうかを判定する規制です。リストに掲載された品目を輸出する場合は、経済産業大臣の許可が必要です。

リストは15の区分に分類されています。

項番 分野
1項 武器
2項 原子力
3項 化学兵器
3の2項 生物兵器
4項 ミサイル
5項 先端素材
6項 材料加工
7項 エレクトロニクス
8項 コンピュータ
9項 通信
10項 センサー・レーザー
11項 航法装置
12項 海洋関連
13項 推進装置
14項 その他
15項 機微品目

キャッチオール規制

リスト規制に該当しない品目であっても、大量破壊兵器や通常兵器の開発などに使用される恐れがある場合に適用される規制です。リスト規制の「網」からこぼれた品目を「キャッチオール(すべて捕まえる)」するための仕組みです。

キャッチオール規制については、次の記事で詳しく解説します。

該非判定とは

該非判定とは、輸出しようとする製品や技術が、リスト規制の対象品目に「該当」するか「非該当」かを判断するプロセスです。

この判定は、メーカー(製品の技術的仕様を理解している事業者)が行うのが原則です。判定結果は「該非判定書」として文書化し、取引の根拠資料として保管します。

該非判定の流れ

  1. 輸出する製品・技術の仕様を確認する
  2. 輸出貿易管理令の別表第1を参照し、該当する項番がないか確認する
  3. 該当する場合 → 輸出許可申請が必要
  4. 非該当の場合 → キャッチオール規制の確認に進む

この判定作業は技術的な専門知識を要するため、多くの企業で負担になっています。EX-Checkのような該非判定支援ツールを使うことで、判定の効率化と精度向上を図ることができます。

違反時のペナルティ

輸出管理に違反した場合、厳しいペナルティが科されます。

刑事罰

  • 個人:10年以下の懲役もしくは3,000万円以下の罰金(またはその両方)
  • 法人:10億円以下の罰金

行政制裁

  • 最長3年間の輸出禁止措置

その他の影響

  • 企業の信用失墜
  • 取引先からの取引停止
  • 上場企業の場合は株価への影響

「知らなかった」は通用しません。自社が輸出管理の対象となるかどうかを正しく把握し、適切な管理体制を構築することが求められます。

まとめ

  • 輸出管理は国際安全保障のための規制で、日本では外為法が根拠法
  • リスト規制とキャッチオール規制の2つの体系がある
  • 該非判定は製品が規制対象かどうかを判断するプロセス
  • 違反時には刑事罰(最大10億円の罰金)と行政制裁がある

次の記事では、キャッチオール規制について詳しく解説します。