はじめに ── AI×自動車産業の新時代
こんにちは、株式会社TIMEWELLの濱本隆太です。
自動車産業はいま、100年に一度の大変革期を迎えています。電動化(EV)、自動運転、コネクテッドカーといった技術潮流の中心にあるのがAI(人工知能)です。
インド最大級の自動車メーカーMahindra & Mahindra(M&M) は、AIを製品開発から製造プロセスまで全面的に活用し、次世代の電気SUVラインナップを構築しています。本記事では、M&MのAI戦略とEV開発の最新動向を解説します。
M&MのAI統合プラットフォーム「MAIA」とは
M&Mが開発したMAIA(Mahindra Artificial Intelligence Architecture) は、AIを中核に据えたソフトウェアアーキテクチャです。先進的なニューラルエンジン、クラウドサービス、コネクテッドカー技術を統合し、ドライバーにシームレスな体験を提供します。
MAIAの主要機能
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| ADAS L2+ | インド道路環境に最適化された先進運転支援システム。動物、歩行者、バリケード、各種車両を検知 |
| 衝突回避システム | 車載センサーで隣接車線の車両を検出し、ドライバーに警告 |
| 自動ブレーキ | 緊急時の自動ブレーキ・適応型クルーズコントロール |
| 自動駐車アシスト | AIによるパーキング支援 |
| 空力最適化 | AIシミュレーションによる最適な車体デザイン |
M&Mの自動車技術・製品開発部門社長であるR・ヴェルサミー氏は、「AIは製品開発プロセスに利用でき、空力最適化、重量最適化、衝突シミュレーションの最適な組み合わせを実現する」と述べています。
M&Mの電気SUVラインナップ(2025-2027年)
M&Mは、電気SUV市場で大きな攻勢をかけています。Electric Originと名付けられたEVブランドのもと、複数の車種を展開しています。
主要EV車種
| 車種名 | 特徴 |
|---|---|
| XEV 9e | フラッグシップ電気SUV。革新的なデザインと先進EV技術 |
| BE 6 | スポーティな電気SUV。Formula Eエディションも展開 |
| XEV 7e | 2025年末発売予定。16スピーカーHarman Kardon、Dolby Atmos対応 |
| XEV 9S | 次世代コンセプトに基づく上位モデル |
さらに、2027年以降のビジョンとしてFreedom NUイベントで4つのコンセプトカー(Vision.S、Vision.X、Vision.T、Vision.SXT)を発表。新開発のNU_IQプラットフォームに基づく次世代SUVラインナップを予告しています。
AI×製造プロセス ── コスト削減と品質向上
M&Mのヴェルサミー氏が特に強調するのは、製品機能だけでなく製造プロセスにおけるAI活用です。
空力シミュレーションの効率化
従来、車体の空力設計には400回以上のコンピュータシミュレーションが必要でした。AIアルゴリズムの導入により、これを250回程度に削減。コンピュータの稼働時間を大幅に短縮しながら、同等以上の設計精度を実現しています。
安全規格への対応
M&MのFreedom NUシリーズは、Bharat NCAP 5つ星安全基準を満たすよう設計されています。XUV 7XOでは120を超える安全機能を搭載し、うち75は標準装備です。6エアバッグ、ESP(電子安定プログラム)、EBD(電子制動力配分)、ヒルディセントコントロールなどが含まれます。
アポロタイヤに見るインド製造業のAI活用
M&Mだけが製造業でAIを活用しているわけではありません。インド第2位のタイヤメーカーアポロタイヤも、製造プロセスにAIを導入し、追加コストなしに以下の成果を達成しています。
- 8%以上の製造効率向上
- 品質管理の精度向上
- 工場での生産量増加
AIの導入が大規模な設備投資なしに製造効率を改善できることを示す好例です。
自動車業界のAI活用がもたらす未来
自動車産業におけるAI活用は、今後さらに加速します。
期待される変化
- 安全性の飛躍的向上: ADAS、衝突回避、車線逸脱防止などにより交通事故の大幅な削減
- 製造コストの最適化: シミュレーション効率化と品質管理のAI化による原価低減
- 環境負荷の低減: 効率的なEV設計と製造プロセスの最適化によるエネルギー消費削減
- パーソナライズされた体験: AIが運転パターンを学習し、個人に最適化された車内環境を提供
WARP AIコンサルティング ── 製造業のAI導入を支援
自動車産業だけでなく、製造業全般においてAI活用は競争力の源泉になりつつあります。TIMEWELLのWARP AIコンサルティングは、製造業のAI・DX導入を支援するサービスです。
- WARP: 現状分析からAI導入・運用まで一貫支援
- WARP NEXT: 月次更新型の継続コンサルティング
- WARP BASIC: 社員向けAI活用基礎研修
M&Mやアポロタイヤのように、AIを活用して製造効率と品質を向上させたいとお考えの企業は、ぜひご相談ください。
まとめ
- M&Mは独自AI基盤「MAIA」を開発し、電気SUVに先進運転支援システム(ADAS L2+)を搭載
- 2025年から2027年にかけてXEV 9e、BE 6、XEV 7eなど複数の電気SUVを発売予定
- AIシミュレーションにより空力設計の効率を約4割向上し、開発コストを削減
- 全モデルでBharat NCAP 5つ星安全基準を目指す
- アポロタイヤもAI導入で8%以上の製造効率向上を達成
- 自動車産業のAI活用は安全性、コスト、環境の3つの観点で大きな進化をもたらす
