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外為法のよくある質問20選|キャッチオール規制・みなし輸出・技術提供を解説

2026-02-12濱本竜太

外為法に関するFAQ20選。キャッチオール規制、リスト規制、みなし輸出、技術提供規制の違いと実務対応をわかりやすく解説します。

外為法のよくある質問20選|キャッチオール規制・みなし輸出・技術提供を解説
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外為法のよくある質問20選

株式会社TIMEWELLの濱本です。

「外為法って、為替の法律でしょ?輸出と何の関係があるの?」という質問をいただくことがあります。外為法(外国為替及び外国貿易法)は、為替取引だけでなく、安全保障上重要な製品・技術の輸出管理を定めた法律です。

キャッチオール規制、リスト規制、みなし輸出。聞きなれない用語が多いですが、海外と取引がある企業にとっては避けて通れないテーマです。この記事では、外為法にまつわる20の質問にお答えします。

外為法の基本

Q1: 外為法とは何ですか?

正式名称は「外国為替及び外国貿易法」。外国との間の資金移動や貿易を管理するための法律で、1949年に制定されてから何度も改正されています。輸出管理の文脈で押さえるべきは、武器やデュアルユース品目(軍民両用品)の輸出と技術提供を規制するパート。ここが実務で一番関わってくる部分です。

Q2: 外為法で規制される行為は何ですか?

主に3つ。規制品目の輸出(貨物の移動)、規制技術の提供(設計図の送付、技術指導など)、特定の国・団体への資産凍結等の措置。この記事では主に前の2つに関する質問を扱います。

Q3: 外為法と輸出貿易管理令の関係は?

外為法が上位の法律で、輸出貿易管理令(輸出令)はその下位法令です。外為法が「何を規制するか」の大枠を定め、輸出令が「どの品目が対象か」を具体的にリスト化しています。さらにその下に貨物等省令があり、品目ごとの技術パラメータ(性能の閾値)を規定しています。

Q4: 外為法に違反するとどうなりますか?

刑事罰として10年以下の懲役、個人3,000万円以下・法人10億円以下の罰金。行政処分として最大3年間の輸出禁止処分を受けます。違反者名は経産省のサイトで公表される。取引先の信用を失うだけでなく、サプライチェーンからの排除につながることもある。2016年にはセイコーの子会社が北朝鮮関連団体への精密機器輸出で行政処分を受け、業界に大きな衝撃を与えました。

リスト規制に関する質問

Q5: リスト規制とは何ですか?

輸出貿易管理令の別表第1に掲載された、あらかじめ特定された品目・技術を規制する仕組みです。15の項目に分類され、核関連、化学兵器関連、ミサイル関連、先端技術(デュアルユース)などが含まれます。リスト規制品の輸出には、輸出先に関わらず経済産業大臣の許可が必要です。

Q6: リスト規制品の15項目はどう分類されていますか?

第1項の武器、第2項の原子力、第3〜4項の化学・生物兵器関連、第5〜9項のミサイル関連、第10〜15項のデュアルユース品目(先端素材、電子部品、通信機器、センサー、航法装置、暗号装置など)。一般企業が特に注意すべきは第10〜15項のデュアルユース品目で、工作機械や電子計測器、高性能コンピュータなど馴染みのある製品が含まれる。「うちの製品がここに入るの?」と驚かれるケースは珍しくありません。EX-Checkを使えば、こうした項番との照合をAIが自動で行ってくれます。

Q7: リスト規制品に該当するかどうかの基準は?

品目ごとに定められた技術パラメータ(閾値)で判断します。たとえば工作機械であれば位置決め精度、暗号装置であれば鍵長、センサーであれば検出感度などです。製品の仕様がこの閾値を超えれば「該当」、超えなければ「非該当」です。この判定が該非判定です。

キャッチオール規制に関する質問

Q8: キャッチオール規制とは何ですか?

よく勘違いされるのですが、リスト規制に該当しなければ自由に輸出できるわけではありません。大量破壊兵器や通常兵器の開発・製造等に使用される懸念がある場合は、リスト外の品目であっても輸出許可が必要になる。これがキャッチオール規制で、「リストの穴を塞ぐ」補完的な仕組みです。

Q9: キャッチオール規制で許可が必要になるのはどんなとき?

2つの要件があります。客観要件として、輸出者自身が製品の用途や需要者に懸念があると認識した場合。もうひとつ、インフォーム要件として、経済産業省から「許可申請をしなさい」と通知を受けた場合。どちらか一方に該当すれば、許可が必要です。

Q10: キャッチオール規制の対象国は?

原則としてすべての国が対象です。ただし、ホワイト国(グループA)に分類された国(米国、EU加盟国、オーストラリアなど)は大量破壊兵器キャッチオール規制の対象外です。通常兵器キャッチオールは国連武器禁輸国・地域のみが対象です。2025年の規制見直しで、対象国の分類が変更されているので最新情報を確認してください。

Q11: 用途確認・需要者確認とは何ですか?

輸出する製品が何に使われるか(用途確認)、誰が使うか(需要者確認)を調べること。具体的には、契約書での用途記載の確認、顧客へのヒアリング、最終用途証明書の取得、経産省の「外国ユーザーリスト」との照合。この需要者確認の作業は件数が増えると手作業では追いつかなくなるので、EX-Checkのスクリーニング機能で自動照合するのが効率的です。

みなし輸出に関する質問

Q12: みなし輸出とは何ですか?

こんなケースを想像してください。日本国内のオフィスで外国籍のエンジニアに技術資料を渡す。一見、輸出とは無関係に見えますよね。でも、これが規制技術なら「輸出」とみなされる可能性がある。みなし輸出とは、国内にいる非居住者に規制技術を提供することを「輸出」として規制する仕組みです。

Q13: 2022年の「みなし輸出管理の明確化」で何が変わりましたか?

従来は、日本国内の居住者同士の技術提供はみなし輸出の対象外でした。しかし2022年5月の改正で、居住者であっても「特定類型」に該当する人への技術提供は規制対象に。特定類型とは、外国政府等との雇用契約がある人、年収の25%以上を外国政府等から得ている人、外国政府の指示のもとに行動している人。正直なところ、この改正でかなり対象が広がった印象です。

Q14: 大学や研究機関も「みなし輸出」の対象ですか?

はい。留学生や外国人研究者への技術指導、共同研究における技術共有も、みなし輸出の対象になり得ます。多くの大学が輸出管理委員会を設置し、研究内容の該非判定を行っています。「基礎研究は対象外」という例外規定もありますが、その適用範囲は厳密に判断する必要があります。

技術提供規制に関する質問

Q15: 技術提供で規制される「技術」とは何ですか?

設計図面、製造ノウハウ、試験データ、ソフトウェアのソースコード、口頭での技術指導など、製品の設計・製造・使用に関わる情報全般。有形の資料だけでなく、メール、電話、オンライン会議での技術的な会話も含まれる。「口頭」が含まれるというのがポイントで、国際会議で技術的な話をしただけでも該当し得ます。

Q16: 海外出張先で技術説明をするのも規制対象ですか?

はい。海外で規制技術の説明を行うことは「技術の輸出」に該当します。海外の展示会でのプレゼンテーション、客先での技術打ち合わせなども、説明する内容が規制技術に該当する場合は注意が必要です。出張前に該非判定を行い、必要であれば役務取引許可を取得してください。

Q17: クラウドにアップした技術資料を海外からアクセスできる状態にするのは?

規制技術がクラウド上にあり、海外からアクセスできる状態であれば、技術の「提供」に該当する可能性がある。アクセス権限を日本国内の居住者に限定する、規制技術は暗号化して別管理するなどの対策が必要です。リモートワークが普及した今、ここは見落とされがちなリスクポイントなので注意してください。

実務対応に関する質問

Q18: 規制の最新情報はどこで確認できますか?

経済産業省の「安全保障貿易管理」ページが公式の情報源。CISTECも法令改正の解説やセミナーを提供しています。ジェトロの貿易投資相談Q&Aも実務的な疑問に対する回答が充実している。個人的には、CISTECのメールマガジンを購読しておくと法改正情報を見逃しにくくてお勧めです。

Q19: 取引先が制裁対象かどうかを確認するにはどうすればいいですか?

経産省の「外国ユーザーリスト」、米国OFACの「SDNリスト」、EUの制裁リストなど、複数のリストとの照合が必要です。手作業での照合は件数が増えると限界があります。EX-Checkには需要者スクリーニング機能があり、名前のバリエーション(アルファベット表記のゆれなど)にも対応した自動照合が可能です。

Q20: 外為法の遵守で今すぐやるべきことは?

3つです。自社が扱う製品・技術の該非判定を行う(まだやっていなければ最優先)、輸出管理の責任者を決め社内の判定フローを整備する、取引先の需要者確認を仕組み化する。すべてを一度に完璧にする必要はありません。まず該非判定から始めて、順次体制を整えていけばいい。

まとめ

外為法と輸出管理のポイントを整理します。

  • 外為法は為替だけでなく、製品・技術の輸出規制を定める法律
  • リスト規制は特定品目を対象、キャッチオール規制はリスト外品目も対象
  • みなし輸出は国内での技術提供にも適用。2022年の改正で対象が拡大
  • 技術のクラウド公開や出張先での説明も「輸出」に該当し得る
  • 違反の罰則は懲役10年以下、罰金10億円以下

外為法は改正が頻繁で、一度理解しても定期的なアップデートが必要な法律です。「わかったつもり」が一番危ない。関連コラム「輸出管理の基礎よくある質問20選」もあわせてご覧ください。該非判定や需要者スクリーニングの効率化には、EX-Checkが対応しています。


参考文献

  • 経済産業省「安全保障貿易管理 Q&A」2025年
  • ジェトロ「安全保障貿易管理 早わかりガイド」2024年
  • 経済産業省「みなし輸出管理の運用明確化について」2022年

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