スパイ防止法と重要経済安保情報保護活用法を企業視点でわかりやすく解説【2026年7月最新】
株式会社TIMEWELLの濱本 隆太です。
いわゆる「スパイ防止法」をめぐる動きは、2026年前半で大きく前に進みました。半年前まで「閣議決定された法案」だったものが、いまは「成立した法律」に変わっています。社内向けの説明資料をこの半年更新していないなら、前提から古くなっている可能性が高いです。
先に結論から書きます。2026年7月時点でも、スパイ行為を包括的に処罰する単独の「スパイ防止法」はまだありません。その代わりに、高市早苗政権がインテリジェンス改革として複数の制度を段階的に立ち上げています。全体像は次の3層で捉えると整理しやすいです。
- 重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律(2024年5月成立、2025年5月16日施行)。日本版セキュリティクリアランス制度の本体で、運用基準もガイドラインも揃い、すでに実装フェーズに入っています [1] [2]。
- 国家情報会議設置法(2026年5月27日成立)。首相を議長とする国家情報会議と、内閣情報調査室を改組した国家情報局を新設する法律で、政府は2026年7月の国家情報局発足を目指しています [4] [6]。この改革の「第一歩」にあたります。
- 外国代理人登録制度(FARA日本版)を含む第2弾。対外情報庁の創設や機密漏えいの厳罰化とあわせ、2026年夏に有識者会議を設置して検討する段階です。法案提出は当初の秋の臨時国会以降から、2027年通常国会以降へずれ込む見込みとされています [7] [8]。
自社が輸出管理や海外取引にどこまで身構えるべきか、まずは診断から始めたい方は輸出管理コンプライアンス診断を使ってみてください。ここからは、いま何が確定して、何がこれからなのかを企業実務の目線で切り分けていきます。私自身はテック業界で事業を営む立場なので、賛否は両論を並べたうえで、自分のスタンスははっきり書くようにしました。
いわゆる「スパイ防止法」は今どうなっているのか
「スパイ防止法」という呼び名は、メディアや文脈によって指している中身がかなり違います。ここを整理しないと議論が噛み合いません。
単独の「スパイ防止法」という名前の法律は、2026年7月時点でも成立していません。1985年に自民党が「国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案」を提出しましたが、最高刑を死刑とし、国家秘密の範囲が政府裁量で広がるとの批判で廃案になりました [9]。2013年の特定秘密保護法は、防衛・外交・テロ・スパイの4分野の特定秘密の漏えいに対する罰則を強化したものの、スパイ活動全般を取り締まる法律ではありません。
その代わりに進んでいるのが、冒頭の3層です。ばらばらに見えるかもしれませんが、束にすると「先端技術と重要情報を、人と組織の経路から守る」という一本の狙いに収れんします。ここで役に立つのが、高市政権が掲げているインテリジェンス改革のロードマップという見取り図です。第1弾が国家情報会議設置法、第2弾が対外情報庁・機密漏えいの厳罰化・外国代理人登録法という並びで整理されています。
制度の位置づけを一枚で俯瞰すると、次のようになります。
| 段階 | 施策 | 2026年7月時点の状況 |
|---|---|---|
| 基盤 | 特定秘密保護法(2013年成立・2014年施行) | 運用中。防衛・外交・テロ・スパイの特定秘密が対象 |
| 前段 | 重要経済安保情報保護活用法(2024年5月成立・2025年5月施行) | 運用フェーズ。セキュリティクリアランス制度の本体 |
| 第1弾 | 国家情報会議設置法(2026年5月27日成立) | 2026年7月に国家情報局が発足予定 |
| 第2弾 | 対外情報庁(仮称)/機密漏えいの厳罰化/外国代理人登録法 | 2026年夏に有識者会議を設置予定。法案提出は2027年通常国会以降の見込み |
企業から見た実務的な意味はこうです。すでに動いている前段と第1弾は「いま対応する話」で、第2弾は「これから輪郭が見えてくる話」です。両者を同じ温度感で語ると、対応の優先順位を見誤ります。まず着手すべきは、運用が始まっている重要経済安保情報保護活用法と、7月に発足する国家情報局が前提とする取引先・人材の管理体制です。
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国家情報会議設置法の成立と国家情報局(2026年5月27日成立・7月発足)
2026年に入ってからの最大のニュースが、この国家情報会議設置法の成立です。
法案は2026年3月13日に閣議決定されて国会に提出され、5月27日の参議院本会議で可決・成立しました。半年前の解説記事の多くが「法案」段階で止まっているのは、この動きの速さが理由です。審議の流れは次のとおりです [5] [6]。
| 日付 | 経過 |
|---|---|
| 2026年3月13日 | 閣議決定・国会提出 |
| 2026年4月23日 | 衆議院本会議で可決 |
| 2026年5月26日 | 参議院内閣委員会で可決 |
| 2026年5月27日 | 参議院本会議で可決・成立 |
採決の賛否も押さえておきます。強い権限を持つ組織を新設する法律だけに、会派の立場は割れました。
| 賛成 | 反対 |
|---|---|
| 自民党、日本維新の会、国民民主党、公明党、参政党 | 立憲民主党、日本共産党、れいわ新選組 |
法律の骨格は2つです。ひとつは国家情報会議の新設で、首相を議長に、官房長官・外相・防衛相などの関係閣僚で構成し、インテリジェンス政策の中長期方針を描きます。もうひとつが国家情報局の創設です。約194人規模とされる内閣情報調査室を改組・拡充し、各省庁に分散していたインテリジェンス機能を束ねる事務局として位置づけます。各省庁の情報機関に対する「総合調整権」を持つ点が新しく、国のインテリジェンスの司令塔となる構想です [6]。局のトップである国家情報局長は国家安全保障局長と同格に位置づけられ、従来の内閣情報官から格上げされるとされています。政府はこの国家情報局を2026年7月に発足させる方針です。
見逃せないのが、成立当日の高市首相の会見です。首相は本法を「我が国のインテリジェンス機能を強化するための改革の第一歩」と明確に位置づけました。そのうえで、スパイ防止法や対外情報機関を含むその他の施策については「現時点で具体的な内容を申し上げられる段階にはございませんけれども、様々な御意見をしっかりと伺いながら、一つ一つ丁寧に、かつ着実に検討を進めてまいります」と述べています [4]。つまり、司令塔づくりは第一歩として決着したものの、その先の具体像はこれから、というのが政府自身の説明です。ここを取り違えて「スパイ防止法がもう成立した」と社内で説明すると、あとで訂正することになります。
賛否の論点も整理しておきましょう。賛成側は、縦割りで分散したインテリジェンスを束ねる司令塔がなければ迅速な意思決定はできない、同盟国との情報共有を強めるうえでも相手にとってのカウンターパートが要る、と主張します。慎重側からは、総合調整権を持つ強い組織に対して国会や独立機関による監督が弱い、という指摘が出ています。兵庫県弁護士会は、監督機関の設置や人権保障規定の整備が不十分なまま制定されることに反対する会長声明を出しました [12]。日弁連の2026年2月20日の意見書も、インテリジェンス機関の強化と外国代理人登録制度の双方について、人権侵害の可能性と必要性の両面から慎重な審議を求めています [10]。国際的にも、Human Rights Watchなどが2026年4月に高市首相宛の共同書簡を出し、ジャーナリストや活動家の保護規定を明記すべきだと指摘しました [13]。
私自身のスタンスを言えば、司令塔機能の整備そのものは必要だと考えています。ただし、これだけの権限を持つ組織は、外部監督と情報公開の仕組みをセットにしないと長期的には必ずどこかで無理が出ます。「何を作るか」と同じ熱量で「どう監督するか」を詰めてほしい、というのが正直なところです。
現行法でスパイはどこまで処罰できるのか
「スパイ防止法がない」と聞くと、日本ではスパイ行為が野放しなのかと思うかもしれません。実際はそうではなく、個別の法律を組み合わせて対応しています。ただし、この組み合わせには明確なすき間があります。
主な現行法の罰則を並べると、次のようになります。
| 現行法 | 主な対象 | 罰則の水準 |
|---|---|---|
| 外為法 | 無許可の輸出・技術提供(役務取引)など | 個人は最長10年以下の拘禁刑・3,000万円以下の罰金(または対象価格の5倍)、法人は最大10億円以下の罰金 |
| 不正競争防止法(営業秘密侵害罪) | 営業秘密の不正取得・使用・開示 | 個人は10年以下の拘禁刑・2,000万円以下の罰金(国外使用目的は3,000万円以下)、法人は5億円以下(国外は10億円以下)の罰金 |
| 特定秘密保護法 | 防衛・外交・テロ・スパイの特定秘密の漏えい | 10年以下の拘禁刑 |
| 重要経済安保情報保護活用法 | 重要経済安保情報の漏えい | 5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金 |
一覧にすると、それなりに厳しい罰則が用意されているように見えます。実際、無許可の技術流出は外為法で、営業秘密の持ち出しは不正競争防止法で、特定秘密の漏えいは特定秘密保護法で摘発できます。
問題は、これらがいずれも「特定の場面」を切り取った法律だという点です。たとえば、外国公務員と頻繁に接触し、対価を受け取って国内政策に関する非公開情報を口頭で伝える。こうした行為を、それ自体として直接取り締まる条文はありません。輸出でも営業秘密でも特定秘密でもない情報のやり取りは、既存の枠に収まりにくいのです。CISTECも、経済安全保障の領域では現行法のすき間が広く、運用基準と教育で当座をしのいでいる現状を指摘しています [11]。「スパイ防止法がない理由」を探して検索する人が多いのは、この宙ぶらりんな状態への違和感が背景にあるのだと思います。企業から見れば、当面は個別法のパッチワークで守りながら、これから複数の制度が同時に動く数年を過ごすことになります。
重要経済安保情報保護活用法とセキュリティクリアランス制度
最初に押さえたいのは、この法律はもう「議論中」ではなく「運用中」だということです。
重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律は、2024年5月10日に成立し、2025年5月16日に施行されました [1]。経済安全保障上、保護が必要な情報を「重要経済安保情報」として指定し、政府との契約等を通じてその情報を扱う民間事業者を「適合事業者」として認定します。さらに、その情報にアクセスする従業者は「適性評価」、いわゆるバックグラウンドチェックを受けたうえで取り扱う、という建付けです [2]。運用の細部を定めた運用ガイドライン(適合事業者編)第1版も、令和7年(2025年)5月2日に内閣府から公表され、企業が参照できる状態になっています [3]。
適性評価で見られる項目は、特定秘密保護法のクリアランス制度に近い内容です。
| 評価項目 | 主な内容 |
|---|---|
| テロリズムとの関係 | 暴力的破壊活動、テロ組織との関わり |
| 犯罪・懲戒歴 | 過去の刑事事件、懲戒処分の有無 |
| 情報管理 | 過去の情報漏えい、機密取扱いの経歴 |
| 薬物・アルコール | 違法薬物、過度な飲酒の問題 |
| 経済状況 | 借金、信用情報、不自然な資産形成 |
| 家族・同居人 | 配偶者・同居人の国籍、外国との関わり |
| 渡航歴 | 渡航国、滞在目的 |
評価は本人同意を前提に行われ、不同意の場合は当該業務に従事できない扱いになります。一度受けた適性評価は10年以内であれば有効とされ、その範囲で更新の負担も設計されています。Newton Consultingの解説でも、調査の範囲が広いため、企業側の同意取得・苦情対応・運用ルールの整備が実務上の最大の論点だとされています [14]。
適合事業者としての認定は、人だけでなく組織そのものも見られます。具体的には、外国からの所有・支配・影響がどの程度あるか(株主構成や役員の状況)、保護責任者や業務管理者が役割を適切に果たせる体制か、社内教育が行われているか、保護施設の設備が基準を満たすか、といった要素を総合的に考慮して判断されます。つまり、資本関係や社内体制まで含めて「情報を任せられる組織か」を問われるわけです。
もうひとつ、企業として知っておきたいのが透明性の仕組みです。この法律では、重要経済安保情報の指定・解除、適性評価の実施状況、適合事業者の認定状況を、毎年1回、有識者の意見を付して国会に報告・公表する義務があります。制度が閉じた運用にならないよう、外に開く回路が用意されている点は、社内で制度を説明するときの安心材料になります。
対象分野は防衛装備庁の案件だけにとどまりません。BUSINESS LAWYERSの解説のとおり、経済安全保障重要技術育成プログラム(K Program)など、宇宙・サイバー・量子・半導体・AI・バイオといった幅広い領域に及びます [10]。政府調達や国際共同研究に関わる企業は、適合事業者の認定取得を視野に入れざるを得ません。
私自身は、この制度の導入そのものに反対する理由は薄いと考えています。同盟国との情報共有や国際入札に参加する以上、相手国に通用する人材保証の仕組みは避けて通れないからです。ただし、家族や渡航歴まで調べる以上、人事評価への流用や差別的な運用が起きないよう、社内ルールと監査体制を最初から作り込む必要があります。
外国代理人登録制度(FARA日本版)と諸外国の比較
第2弾の目玉のひとつが、外国代理人登録制度です。
米国のFARA(Foreign Agents Registration Act)をモデルに、外国政府・外国政党・外国企業などの利益のために日本国内で政策影響活動や世論形成活動を行う主体に、活動内容と資金源を政府へ登録させる制度です [10]。本質は「禁止」ではなく「開示」で、誰がどの国の利益のために何をしているかを透明化することで、外国の影響工作を牽制する狙いがあります。2025年10月の自民党・日本維新の会の連立政権合意書に制定が明記され、2026年夏に有識者会議を設置して検討する段階に入りました。法案の提出時期は、当初想定されていた秋の臨時国会以降から、2027年通常国会以降にずれ込む見込みとされています [7] [8]。
同種の制度は主要国ですでに動いています。日本の議論を理解するうえで、比較しておくと輪郭がつかめます。
| 国 | 制度 | 特徴 |
|---|---|---|
| 米国 | FARA(外国代理人登録法、1938年) | 外国の本人のために活動する代理人に登録・開示を義務付け。近年は執行を強化 |
| 豪州 | FITS(外国影響透明化制度、2018年) | 外国政府・政党などのための影響活動を登録 |
| 英国 | FIRS(外国影響登録制度) | 2023年の国家安全保障法に基づき2025年に運用開始。特定国向けの強化層を設定 |
| 日本 | 検討中(FARA日本版) | 2026年夏に有識者会議を設置予定 |
ここで押さえたいのは、日本企業もまったくの無関係ではないという点です。法案の細部はこれからですが、米豪英の運用を見ると、日本でも次のような主体が議論の俎上にのると見られます。外国政府との契約に基づき日本国内で広報を行うPR会社、外国政党や外国企業から委託を受けたロビイストやコンサルタント、外国政府系メディアの日本支局、外国系シンクタンクの政策提言活動などです。加えて、海外グループ会社からの委託で日本の規制当局に働きかける場合や、海外メディアと組んで世論形成キャンペーンを行う場合には、日本企業自身がグレーゾーンに入る可能性があります。
賛否の論点も見ておきましょう。賛成側は、既存の自衛隊法や国家公務員法、特定秘密保護法では外国の影響工作を予防的に把握する仕組みがない、米英豪では同種の制度が機能しており日本だけ未整備なのは安全保障上のすき間だ、規制ではなく開示なので表現の自由を直接制約しない、と主張します。慎重側からは、日弁連が2026年2月20日の意見書で、自衛隊法など既存法制で一定程度対応できること、表現の自由や結社の自由など憲法上の人権への影響が大きいことを挙げ、必要性の検証から議論すべきだと指摘しています [10]。「外国代理人」のラベルが付くこと自体に社会的な烙印の効果があり、ジャーナリストや研究者、市民団体の活動を萎縮させるおそれも語られます。制度の母国である米国FARAでも、執行強化の過程で過剰適用が問題視された経緯があります。
私の見立てを言えば、開示制度として設計する方向自体は妥当だと考えています。一方で、「誰を対象にするか」の線引きを政府裁量に委ねる設計は危うい。対象範囲は法律の本体に具体的に書き込むほうが現実的です。あとから運用基準で対象を広げる方式は、結局のところ濫用を招きやすいというのが、諸外国の近年の議論からも見えてきます。
企業の実務チェックリストとTRAFEEDによる支援
ここからは実務の話です。法律ができてから慌てるのではなく、2026年のうちに手を打っておくべき領域を、着手しやすい順に整理します。
まず、重要経済安保情報を扱う見込みのある企業、つまり防衛・宇宙・サイバー・量子・半導体・AI・バイオなどの分野で政府調達や国際共同研究に関わる企業は、適合事業者・適性評価への準備を先行させておくべきです。PwCのコラムが整理しているとおり、運用基準とガイドラインに沿った社内体制を早めに作っておくと、いざ認定を目指すときの負荷が下がります [15]。
- 情報管理規程・誓約書テンプレートの整備
- 適性評価の同意取得プロセスと、不同意者への代替業務の設計
- 苦情処理・不服申立ての社内窓口の設置
- 情報区画・物理セキュリティの基準達成
- 資本構成・役員の外国関係の棚卸し(適合事業者認定の判断要素への備え)
次に、取引先や共同研究者のスクリーニング体制です。国家情報局の発足や外国代理人登録制度の議論が進めば、「取引相手が外国の影響下にあるかどうか」の確認は、特別な作業ではなく通常業務に組み込まれていきます。実務では、次のリストとの照合が欠かせません。
- 経産省の外国ユーザーリスト(懸念国の軍事関連需要者)
- 米国OFACのSDNリスト(特別指定国民・ブロック対象者)
- 米国EARのEntity List、Unverified List、Military End User List
- EU・英国・国連の制裁リスト
- 各国の輸出管理・制裁リストの最新版
これらは更新頻度が高く、複数言語で名称の表記揺れもあるため、人手だけで精度を維持するのは現実的ではありません。関連する規制の全体像は、中国の対日輸出規制とレアアース・半導体管理の最新動向やデュアルユース技術と軍事転用リスクもあわせて読むと立体的に見えてきます。
三つめが人材と契約の見直しです。外国人研究者やエンジニアの受け入れ手続きにおける説明と同意の体系化、海外コンサル・ロビイスト・PR会社との契約における外国代理人該当性の事前確認条項、海外グループ会社からの依頼で日本政府に働きかける際の社内承認フロー。このあたりは、第2弾の制度が具体化する前に社内の型を作っておくと、あとで慌てずに済みます。
私たちTIMEWELLが開発した輸出管理AIエージェントTRAFEED(旧ZEROCK ExCHECK)(TRAFEEDサービスカタログ(PDF))は、この取引先・人材スクリーニングを自動化するために作りました。取引相手の名称・所在地・関連企業を入力すると、複数の制裁リストや規制リストと自動照合し、ヒットの根拠と該非判定の論点を数秒で返します。経産省の外為法基準に準拠し、多言語の名称表記揺れにも対応しています。もちろん、最終的な該非判定は貴社の輸出管理責任者が行う前提で、その判断を速く正確にするための道具という位置づけです。
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おわりに
半年前の「法案」から、いまは「成立した法律」へ。国家情報会議設置法は2026年5月27日に成立し、2026年7月24日の定例閣議で同法の施行期日を定める政令と、原和也氏を国家情報局長に任命する人事が決定されました[16]。司令塔となる国家情報局はこれを受けて発足しています。ただし高市首相自身が会見で述べたとおり、これは改革の第一歩であって、スパイ防止法や対外情報機関の具体像はこれから議論される段階です。第2弾の外国代理人登録制度も、有識者会議はこの夏に始まり、法案は早くても2027年通常国会以降という見通しです。
安全保障の必要性と、人権・表現の自由・国際的な研究環境のバランスをどう取るか。この問いに正解はひとつではありません。それでも企業実務の視点で言えば、論点整理を待っているうちに運用は先に進みます。重要経済安保情報保護活用法はすでに動いており、取引先審査と人材管理の仕組みをいまのうちにデジタル化しておいた企業ほど、この先の実務負荷は小さくなります。制度の全体像をつかむには、経済安全保障とは何かや研究インテグリティと研究セキュリティも出発点になります。
この記事が、自社の備えを一段進めるきっかけになれば幸いです。
参考文献
- [1] 重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律(2025年5月16日施行版)e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/506AC0000000027/20250516_000000000000000
- [2] 内閣府「重要経済安保情報保護活用法」 https://www.cao.go.jp/keizai_anzen_hosho/hogokatsuyou/hogokatsuyou.html
- [3] 内閣府「重要経済安保情報保護活用法の運用に関するガイドライン(適合事業者編)第1版」令和7年5月2日 https://www.cao.go.jp/keizai_anzen_hosho/hogokatsuyou/doc/jigyousyagl.pdf
- [4] 首相官邸「国家情報会議設置法の成立についての会見」2026年5月27日 https://www.kantei.go.jp/jp/105/statement/2026/0527kaiken.html
- [5] 衆議院 議案「国家情報会議設置法案」審議経過情報 https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g22109024.htm
- [6] 日本経済新聞「『国家情報局』7月にも発足 インテリジェンス司令塔、設置法成立」2026年5月 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA25A5W0V20C26A5000000/
- [7] 日本経済新聞「スパイ防止法、夏にも有識者会議 外国代理人登録制度など念頭」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA170PF0X10C26A2000000/
- [8] 首相官邸「国家情報会議設置法の成立についての会見」(第2弾施策は検討段階との首相発言)2026年5月27日 https://www.kantei.go.jp/jp/105/statement/2026/0527kaiken.html
- [9] 東京新聞「スパイ防止法ができたら、日本はどうなる? 40年前は廃案になったけど…政府が進める監視強化への道」2025年5月24日 https://www.tokyo-np.co.jp/article/406885
- [10] 日本弁護士連合会「『スパイ防止法』として制定に向けた動きのあるインテリジェンス機関強化法制及び外国代理人登録制度についての意見書」2026年2月20日 https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/document/opinion/2026/260220.pdf
- [11] CISTEC「日本の安全保障貿易管理・経済安全保障政策の動向」2025年12月24日 https://www.cistec.or.jp/service/keizai_anzenhosho/yukan/data/20251224.pdf
- [12] 兵庫県弁護士会「いわゆる『スパイ防止法』の制定に向けた国家情報会議設置法案について、監督機関の設置等人権保障のための規定の整備や検討がなされぬまま、制定されることに反対する会長声明」 https://www.hyogoben.or.jp/news/iken/19584/
- [13] Human Rights Watch「高市早苗首相宛のNGO共同書簡:日本のスパイ防止法と経済安全保障をめぐって」2026年4月26日 https://www.hrw.org/ja/news/2026/04/26/joint-letter-to-prime-minister-sanae-takaichi-on-japans-anti-espionage-law-and
- [14] Newton Consulting「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律」 https://www.newton-consulting.co.jp/itilnavi/guideline/economic_security_act.html
- [15] PwC Japan「セキュリティ・クリアランス制度法制化の最新動向と日本企業が取るべき対応【第3回】」 https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/column/awareness-cyber-security/economic-security/economic-security09.html
- [16] 首相官邸「令和8年7月24日(金)定例閣議案件」(政令「国家情報会議設置法の施行期日を定める政令」の決定、および人事「原和也を国家情報局長に任命することについて」の決定) https://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2026/kakugi-2026072401.html






