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【2026年版】研究インテグリティと研究セキュリティとは?なぜ今、大学・研究機関に必須なのか

2026-01-23濱本 隆太

【2026年版】研究インテグリティと研究セキュリティとは?なぜ今、大学・研究機関に必須なのか。研究インテグリティと研究セキュリティの違い、文部科学省・内閣府のガイドライン、実際の技術流出事例を初心者向けに解説。2025年から始まった試行的取組と企業・大学が取るべき対策。

【2026年版】研究インテグリティと研究セキュリティとは?なぜ今、大学・研究機関に必須なのか
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【2026年版】研究インテグリティと研究セキュリティとは?なぜ今、大学・研究機関に必須なのか

株式会社TIMEWELLの濱本です。

「研究インテグリティ」「研究セキュリティ」という言葉を聞いたことはありますか?

2025年以降、日本政府はこれらの取り組みを本格化させています。文部科学省は2025年度から試行的取組を開始し、内閣府も「研究セキュリティ・インテグリティに関するリスクマネジメント体制整備支援事業」を進めています。

本記事では、なぜ今これらが注目されているのか、大学・研究機関・企業が何をすべきなのかを、初心者にもわかりやすく解説します。


要約(この記事でわかること)

  • 研究インテグリティ:研究活動の透明性・公正性を確保すること
  • 研究セキュリティ:研究成果・技術の不正な流出を防止すること
  • 背景:国際的な技術覇権競争と、実際に起きた技術流出事件
  • 義務化の動き:2025年度からJSTの一部プログラムで試行開始
  • 違反リスク:外為法違反で最大10年の拘禁、10億円の罰金

目次

  1. 研究インテグリティとは?
  2. 研究セキュリティとは?
  3. なぜ今、注目されているのか
  4. 実際に起きた技術流出事件
  5. 政府の取り組みと義務化の動き
  6. 大学・研究機関が取るべき対策
  7. AIで研究セキュリティを強化する方法

研究インテグリティとは?

定義

研究インテグリティ(Research Integrity)とは、研究活動における透明性・公正性を確保することを指します。

内閣府の定義では、以下のような取り組みが含まれます。

項目 内容
利益相反の開示 研究資金の出所、外国政府との関係を明示
研究データの適正管理 捏造・改ざん・盗用の防止
透明性の確保 共同研究先、資金源の公開
責任ある研究活動 研究倫理に基づく行動

なぜ重要なのか

研究インテグリティが損なわれると、以下のリスクが生じます。

  • 研究成果の信頼性低下
  • 国際共同研究からの排除
  • 研究資金の停止
  • 大学・機関の評判失墜

具体例:利益相反の問題

例えば、ある研究者が外国政府から資金提供を受けながら、その事実を開示せずに日本の公的研究費も受け取っていた場合、これは利益相反の問題になります。

2020年頃から米国では「千人計画」への参加を隠していた研究者が相次いで逮捕・起訴されました。日本でも同様の事案が起きうるとして、開示義務の強化が進んでいます。


研究セキュリティとは?

定義

研究セキュリティ(Research Security)とは、研究成果や技術が意図せず流出することを防ぐ取り組みです。

研究インテグリティが「透明性・公正性」に焦点を当てるのに対し、研究セキュリティは**「技術流出防止」**に重点を置きます。

2つの概念の違い

観点 研究インテグリティ 研究セキュリティ
目的 透明性・公正性の確保 技術流出の防止
焦点 研究者の行動・開示 情報・技術の管理
対象 利益相反、研究倫理 機微技術、輸出管理
規制との関係 研究倫理ガイドライン 外為法、みなし輸出規制

研究セキュリティの具体的な取り組み

  1. 機微技術の特定:どの研究が規制対象か把握
  2. アクセス管理:誰が情報にアクセスできるか管理
  3. 留学生・研究者の受入審査:外国政府との関係確認
  4. 共同研究先の審査:取引先が懸念対象でないか確認
  5. 技術提供の管理:みなし輸出規制への対応

なぜ今、注目されているのか

国際情勢の変化

研究セキュリティが急速に注目されるようになった背景には、以下の要因があります。

要因 内容
技術覇権競争 米中を中心としたAI・半導体分野の競争激化
経済安全保障の重視 技術優位性が国家安全保障に直結
技術流出事件の増加 大学・研究機関からの技術流出が顕在化
国際的な枠組みの形成 G7で「安全で開かれた研究のためのベストプラクティス」を策定

G7での合意

2024年2月、G7は「安全で開かれた研究のためのベストプラクティス」を公表しました。これは各国が研究セキュリティに取り組む際の指針となるものです。

日本政府もこの合意に基づき、国内での取り組みを本格化させています。

日本の危機感

日本は長らく「スパイ天国」と揶揄されてきました。その理由として以下が挙げられます。

  • スパイ防止法がない
  • 大学のセキュリティ意識が低い
  • 留学生の受入審査が甘い
  • 技術流出への罰則が軽い

しかし、経済安全保障推進法の施行や外為法の改正により、状況は変わりつつあります。


実際に起きた技術流出事件

事例1:産総研事件(2023年)

国立研究開発法人「産業技術総合研究所(産総研)」の上級主任研究員が、フッ素化合物に関する技術情報を中国企業に漏洩したとして逮捕されました。

項目 内容
容疑 不正競争防止法違反(営業秘密漏洩)
漏洩先 中国の民間企業
背景 容疑者は中国の「国防七校」出身
影響 国立研究機関のセキュリティ体制が問題視

国防七校とは、中国人民解放軍と軍事技術開発に関する契約を締結している大学のことです。これらの大学出身者や関係者との共同研究には特に注意が必要です。

事例2:JAXAサイバー攻撃事案

日本の留学生が、SNSで知り合った女性にそそのかされ、中国人民解放軍のサイバー部隊の協力者として活動。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の機密情報を狙ったサイバー攻撃に加担した容疑で国際手配されました。

ポイント:当初は悪意のなかった学生でも、リクルートされて協力者になるケースがあります。

事例3:米国での摘発事例

米国では、大学・研究機関での技術流出事案が多数摘発されています。

事例 内容
イリノイ工科大 大学院生が中国諜報機関に雇われ情報収集
UCLA 非常勤教授が軍事転用可能なマイクロチップを中国に密輸
テキサス大 教授がハイテク技術をファーウェイに提供

なぜ大学が狙われるのか

大学・研究機関が技術流出のターゲットになりやすい理由は以下の通りです。

  1. 最先端技術が集まる:企業よりも基礎研究が進んでいる分野がある
  2. オープンな文化:情報共有を重視し、セキュリティ意識が低い傾向
  3. 留学生・研究者の受入:外国政府との関係を確認しにくい
  4. セキュリティ予算の不足:企業と比べて対策が遅れている

政府の取り組みと義務化の動き

文部科学省の取り組み

文部科学省は、研究セキュリティ確保に向けた具体的な取り組みを進めています。

時期 取り組み
2021年4月 「研究インテグリティの確保に係る対応方針」決定
2024年12月 「大学等における研究セキュリティ確保に向けた取組の方向性」取りまとめ
2025年度〜 JSTの一部プログラムから試行的取組を開始
2026年度〜 段階的に対象拡大予定

内閣府の取り組み

内閣府では「研究セキュリティと研究インテグリティの確保に関する有識者会議」を開催し、以下の事業を実施しています。

  • 研究インテグリティに係る調査・分析(委託調査)
  • 研究セキュリティ・インテグリティに関するリスクマネジメント体制整備支援事業

研究費申請時の開示義務

公的研究費を申請する際には、以下の事項の開示が求められるようになっています。

  1. 外国政府等からの資金:千人計画等への参加有無
  2. 兼業・兼務状況:外国機関との関係
  3. 共同研究先:外国機関との共同研究
  4. 利益相反:経済的利益関係

重要:虚偽の申告は研究資金の停止、返還要求につながります。


大学・研究機関が取るべき対策

組織体制の整備

対策 内容
専門部署の設置 研究セキュリティ担当の部署・責任者を設置
規程の整備 研究セキュリティポリシーの策定
研修の実施 教職員・学生への定期的な教育
相談窓口の設置 文科省も研究セキュリティ相談窓口を設置

受入審査の強化

留学生・研究者の受入時には、以下の確認が推奨されます。

  1. 出身機関の確認:国防七校等との関係
  2. 資金源の確認:外国政府からの奨学金等
  3. 雇用関係の確認:外国政府機関との雇用契約
  4. 外国ユーザーリストとの照合:経済産業省のリストを確認

技術管理の強化

研究データ・技術の管理について、以下の対策が必要です。

  1. 機微技術の特定:自機関のどの研究が規制対象か把握
  2. アクセス権限の管理:need-to-knowの原則
  3. 情報の分類:機密レベルに応じた管理
  4. みなし輸出への対応:外国人への技術提供の管理

みなし輸出規制への対応

みなし輸出とは、国内であっても外国人に規制技術を提供する場合、輸出と同等の許可が必要になる制度です。

2022年5月の改正により、以下の場合も規制対象となりました。

  • 居住者であっても、外国政府から「強い影響を受けている状態」(特定類型)の場合

特定類型の例:

  • 外国政府との雇用契約がある
  • 外国政府から多額の金銭報酬を得ている
  • 外国政府の指示に従うことが契約上求められている

AIで研究セキュリティを強化する方法

研究セキュリティの課題

研究セキュリティの実務には、以下の課題があります。

課題 詳細
膨大な確認作業 留学生・研究者の受入審査、共同研究先の確認
専門知識の不足 輸出管理、外為法の知識を持つ人材が少ない
リストの更新 外国ユーザーリスト等は頻繁に改訂される
判断の難しさ グレーゾーンの判断が難しい

これらを人手だけで対応するのは限界があります。

ZEROCK EX-Checkによる解決

**ZEROCK EX-Check**は、株式会社TIMEWELLが提供する輸出管理特化型AIエージェントです。研究セキュリティの業務にも活用できます。

機能 研究セキュリティへの活用
取引先スクリーニング 共同研究先、受入候補者の所属機関を自動チェック
該非判定支援 研究技術がリスト規制に該当するか自動判定
規制情報の自動更新 外国ユーザーリストの改訂を自動でキャッチ
レポート自動生成 審査記録を自動で作成・保管

導入効果

指標 効果
調査業務時間 90%削減
確認漏れ ゼロ
規制変更への対応 リアルタイム

セキュリティ特徴

研究機関で扱う情報は機密性が高いため、セキュリティが重要です。

  • 国内サーバー運用:AWS国内リージョンでデータ処理
  • ISO27001準拠:国際セキュリティ認証取得
  • デスクトップ型:機微情報が外部に漏れない設計

まとめ

本記事のポイント

  • 研究インテグリティ:研究活動の透明性・公正性を確保
  • 研究セキュリティ:研究成果・技術の不正な流出を防止
  • 背景:技術覇権競争、実際の技術流出事件の増加
  • 義務化:2025年度からJSTの一部プログラムで試行開始
  • 対策:組織体制整備、受入審査強化、技術管理強化

今後の展望

研究セキュリティは今後ますます重要になります。

  • 公的研究費の申請要件として義務化が進む
  • 国際共同研究の前提条件になる
  • 違反した場合の制裁が厳しくなる

「研究の自由」と「セキュリティ」のバランスを取りながら、適切な対策を講じることが求められています。


TIMEWELLの研究セキュリティ支援

TIMEWELLは、大学・研究機関の研究セキュリティ体制構築を支援します。

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  • 導入相談:貴機関の研究セキュリティ体制を診断
  • デモ:実際の業務での活用イメージを体験
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