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ECCN番号とは?意味・読み方と製品のECCNを調べる3つの方法【2026年版】

公開2026-04-24更新2026-10-04濱本 隆太
ECCNEAR輸出管理米国規制TRAFEED経済安全保障

ECCN(輸出管理分類番号)は、米国EARの規制品リストCCLで品目に付く5文字の番号です。3A001や5A992.cの読み方、メーカー確認・BISの検索ツール・正式な分類申請という3つの調べ方、HSコードとの違い、番号が分かったあとの許可の確認まで、2026年10月時点の条文で解説します。

ECCN番号とは?意味・読み方と製品のECCNを調べる3つの方法【2026年版】
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こんにちは、株式会社TIMEWELLの濱本です。

先に要点をお伝えします。ECCN番号とは、米国の輸出管理規則(EAR)が規制品リスト(CCL)の中で品目ごとに付けている5文字の分類番号です。1文字目がカテゴリ、2文字目がプロダクトグループ、その後の3桁の数字が規制理由の系統と通し番号を表します。調べ方は、メーカーに確認する、CCLを自分で引く、BISに正式な分類を申請する、の3つ。どのECCNにも当たらないEAR対象品は「EAR99」になり、番号が分かったあとは仕向地ごとの許可要否を別に確かめます。この記事の内容は、2026年10月4日時点の条文(eCFR)と連邦官報で確認し直したものです。

商社の方や製造業の品質保証担当から、「ECCNって結局どこを見れば分かるんですか」という質問をいただくことが増えました。仕入先の書類に5文字の記号が書かれていても、それが何を意味し、自社の輸出にどう効くのかまでは書かれていません。米国輸出管理規則の中心にある仕組みなのに、日本語の解説は断片的で、どこから手を付ければよいか分かりにくい領域だと感じています。

役割分担も先に書いておきます。この記事はECCNの意味・読み方・調べ方を順に学ぶための解説です。カテゴリとグループの一覧表、規制理由コードの全リスト、頻出番号をすぐ引きたい方はECCN番号一覧・早見表のほうが早く目的にたどり着けます。EAR99の位置づけとEAR対応の全体像はEAR99とは?確認手順とEAR実務のハブ記事にまとめています。自社の管理体制の現在地から確かめたい場合は、3分で終わる輸出管理体制の無料診断もあります。

ECCNとは何か。番号が表しているのは「製品」ではなく「規制の枠」

ECCNは Export Control Classification Number の略で、日本語では輸出管理分類番号と呼ばれます。米国輸出管理規則(EAR)の規制品リストであるCCL(Commerce Control List、商務省規制品目リスト)の中で、規制対象の品目・ソフトウェア・技術に割り当てられている5文字の英数字です。定めているのは米国商務省産業安全保障局(BIS)で、CCLの本体は連邦規則集の15 CFR Part 774の補足1(Supplement No. 1)に収められています1。CCLは0から9までの10カテゴリに分かれ、各カテゴリの中が同じ5つのプロダクトグループで構成されています2。

大事なのは、ECCNが「その品目が何であるか」ではなく「その品目がどの規制の枠に入るか」を表す記号だという点です。同じ製品名でも、性能値が閾値を超えるかどうかで番号が変わり、番号が変われば必要な許可も変わります。型番だけでは決まらず、仕様書に戻る作業が避けられないのはこのためです。

仕入先の書類で目にする書き方は、大きく3通りあります。1つ目は「3A991.a.1」のように具体的なECCNが書かれているもの。2つ目は「EAR99」で、これはEARの対象ではあるが、CCLのどのECCNにも個別に掲載されていない品目を指します。規制がないという意味ではありません。3つ目は「EAR対象外(Not subject to the EAR)」で、そもそも米国の輸出管理の管轄に入らないという判断です。EAR99とEAR対象外は似て見えますが、前者には禁輸仕向地や懸念用途への規制がかかり、後者にはかかりません。この違いは誤解が多いところなので、EAR99とは何かを整理した記事で詳しく扱っています。

ECCNと混同されやすいのが、関税や貿易統計に使う品目分類です。役割の違いを表にしておきます。

番号 何のための番号か 管理する機関 桁数・形
ECCN 米国の輸出管理(許可の要否) 米国商務省BIS 英数字5文字(例: 3A001)
HSコード 関税・貿易統計の国際共通分類 世界税関機構(WCO) 6桁
Schedule B 米国からの輸出統計 米国国勢調査局 10桁(先頭6桁はHSと共通)
HTS 米国への輸入関税 米国国際貿易委員会 10桁(先頭6桁はHSと共通)
輸出令別表第1の項番 日本の輸出管理(リスト規制) 経済産業省 1〜16項と細目

HSコード系の3つは「物が何であるか」で分類するので、先頭6桁は国をまたいでも同じになります3。ECCNは性能や用途の閾値で分けるので、HSコードからECCNを機械的に導くことはできません。片方を調べればもう片方も分かる、という関係にはないわけです。

もう一つ押さえておきたいのが、ECCNは米国の制度だという点です。日本の輸出管理は外国為替及び外国貿易法(外為法)と輸出貿易管理令別表第1に基づく別の体系で動いており、両者は一対一で対応しません。日本から輸出する製品に米国原産の部品や技術が含まれる場合に、日本の該非判定とは別にECCNの確認が必要になる、という関係です。日本側の手順は該非判定の進め方と輸出令別表第1の調べ方で整理しています。

ECCNを確かめた経緯を、1品目ずつ残すために: 「EARの対象か、CCLのECCNに該当するか、どれにも当たらずEAR99か」という判定の順序、EAR99でも許可が必要になる場合(禁輸仕向地・エンドユース・エンドユーザー)、デミニミスと直接製品ルール、取引先スクリーニング、そして日本の該非判定(外為法・輸出令別表第1)との二重チェックまでを、記入しながら確認できる実務シートを配布しています。特定したECCN(またはEAR99)とその調べ方、米国原産品の比率、仕向地、判定結果を書き込む欄があるので、番号を控えるだけのメモではなく、確認の経緯が残った状態で手元に置けます。15 CFR・連邦官報・BIS・経済産業省の一次情報に基づくたたき台です(最終判定は当局の最新公表と貴社の輸出管理責任者を正としてください)。→ EAR該非フロー&EAR99 実務チェックリストをダウンロード(無料。会社名とお勤め先のメールアドレスのご登録が必要です)

ECCN番号の読み方。5文字にはそれぞれ意味がある

ECCNの構造は、15 CFR 738.2に条文として書かれています2。1文字目の数字がカテゴリで、0が核物質・核施設ほか、1が材料・化学品・微生物・毒素、2が材料加工、3がエレクトロニクス、4がコンピュータ、5が通信・情報セキュリティ、6がレーザー・センサー、7が航法・航空電子機器、8が海洋、9が航空宇宙・推進です。2文字目のアルファベットはプロダクトグループで、Aが機器・組立品・部品、Bが試験・検査・製造装置、Cが材料、Dがソフトウェア、Eが技術を表します。半導体チップならカテゴリ3のA、その製造装置なら3のB、設計ソフトなら3のD、という見当の付け方になります。

見落とされやすいのが、その後に続く3桁の数字です。末尾の1桁は同じグループ内の通し番号ですが、手前の2桁は「規制理由の系統」を表しています。条文の表では、3桁の数字が000〜099なら国家安全保障(NS)、100番台がミサイル技術(MT)、200番台が核不拡散(NP)、300番台が化学・生物兵器(CB)、500番台が銃器や宇宙機など、600番台が旧米国軍需品リスト由来の軍用品、900〜979が地域安定(RS)など、980番台が犯罪防止と供給不足、990〜999が反テロ(AT)などに割り当てられています。規制理由は重なることがあり、その場合は優先順位の高いほうの番号が付きます。NSとMTの両方で規制される品目なら「0」の系統になる、という具合です。さらに「99」が並ぶ番号は米国独自(一国だけ)の規制を意味し、たとえば2B991は反テロ目的の規制です。この記事の旧版では「残る3桁は個別の番号」と書いていましたが、条文に沿って説明を改めました。

具体例で読んでみます。3A001は「エレクトロニクス(3)の機器・部品(A)で、国家安全保障系(0)の001番」です。9A001は航空宇宙・推進(9)の機器(A)で、航空機用ガスタービンエンジンのうち特定の技術を組み込んだものを対象にしています。民間航空当局の認証を受けて民間機に使うエンジンなど、注記の条件を満たすものは9A001から外れます1。番号の見た目だけで「エンジンだから9A001」と決めてしまうと、この注記を読み飛ばすことになります。

実務でよく目にする「5A992.c」も読んでみましょう。カテゴリ5は通信・情報セキュリティで、その中の情報セキュリティ(暗号)を扱う部分にあたります。Aは機器、992は「99」の系統なので米国独自の規制、枝番の.cは、EARの手続きに沿って大衆市場向け(マスマーケット)と分類された暗号機能付き製品です。エントリの許可要件を見ると、規制理由は反テロ(AT)が基本で、高性能なAI半導体の性能値を満たすものだけが.z以下で地域安定(RS)の規制を受けます1。反テロだけが理由の品目は、国別の許可要否表で個別の国に印が付いておらず、実際に許可が問題になるのは、キューバ・イラン・北朝鮮・シリアのように禁輸などの別の規定(Part 746など)で扱われる仕向地と、相手先・用途の規制です4。ノートPCやスマートフォン、ネットワーク機器のECCNとして5A992.cをよく見かけるのは、こうした位置づけの番号だからです。

各ECCNのエントリは、見出し(Heading)、許可要件(License Requirements)、許可例外(License Exceptions)、規制品目の一覧(List of Items Controlled)の4つの欄でできています2。見出しの末尾に「see List of Items Controlled」とあれば、一覧の「Items」欄が規制範囲のすべてです。.aや.b.1といった枝番が具体的な性能閾値を定めているので、番号は枝番まで控えるのが基本になります。カテゴリとグループの全体表、規制理由コード14種の一覧はECCN番号一覧・早見表に載せています。

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経産省2024年度データによれば、外為法違反の52%は該非判定起因。TRAFEEDの機能・導入フローをまとめたサービスカタログを無料でダウンロードできます。

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製品のECCNを調べる3つの方法

「ECCN番号はどこを見れば分かるのか」への答えとして、BISは3つの方法を示しています5。メーカーや開発者に確認する、自分でCCLを引いて分類する、BISに正式な分類を求める、の3つです。他社製の部品や装置ならメーカー確認、自社開発品なら自己分類が出発点になり、どちらでも確信が持てないときに正式申請へ進む、というのが私の考える順序です。

方法1 メーカー・開発者に確認する

米国の大手電子部品メーカーやIT機器メーカーには、型番を入れるとECCNが出てくる検索ページを公開しているところが少なくありません。主要メーカーの公開ページは早見表記事のまとめに一覧にしました。日本のメーカーが出す該非判定書やパラメータシートでも、米国EARの欄を設けて「ECCN」「EAR99」「EAR対象外」のいずれかを記載する様式があります。

ここでBIS自身が添えている注意があります。原文は「Keep in mind that ECCNs may change over time, so please review the ECCN against the current Commerce Control List to ensure it is accurate.」で、メーカーから得たECCNも時間とともに変わりうるので、現行のCCLと照らし合わせるように、という趣旨です5。実際、2026年8月13日施行の規則では、一部の無人航空機(ドローン)について国家安全保障規制がかかる航続時間の閾値が30分から3時間へ引き上げられました6。同じ機体でも、春に聞いた番号と秋の番号が違うことは十分にあり得ます。私は、仕入先から番号を受け取ったら、番号と一緒に「いつ・どの書類で・誰から」を記録しておくことをおすすめしています。

方法2 CCLを自分で引く(自己分類)

自社開発品や、メーカーに問い合わせても回答が得られない品目は、自分でCCLを引きます。入口として便利なのが、BISのサイトにある Interactive Commerce Control List です。eCFR(電子連邦規則集)のCCL本体からデータを引いており、キーワード検索とカテゴリ別の絞り込みができます7。法令の正文として確かめるときは、eCFRの15 CFR Part 774を直接開きます1。古いPDFではなく、常に現行版を起点にしてください。分類の順序は、CCLの補足4(Order of Review)に定められています。

  1. 型番、仕様書、カタログに加えて、性能に関わる定量値(周波数、演算性能、暗号の方式など)が分かる資料を揃えます。
  2. その品目がEARの対象かを確認します。米国製か、米国から出荷されたものか、米国原産品を組み込んでいるか、米国の技術で作られたか。加えて、米国の国際武器取引規則(ITAR)の軍需品リストに当たる品目はEARではなくITARの管轄になるので、CCLを引く必要がありません。
  3. 品目の性格からカテゴリ(0〜9)の見当を付け、次にプロダクトグループ(A〜E)を決めます。
  4. 600番台と9x515(旧軍需品・宇宙機関連)のECCNに当たるかを先に確かめます。これらは他のECCNより優先される扱いです。
  5. 当たらなければ、該当グループの先頭から順に各ECCNを読みます。「specially designed(特別に設計された)」という語が出てくるエントリは、定義の当てはめ方まで確認します。
  6. エントリの技術パラメータと、自社品目の出荷時の実仕様を突き合わせます。基準はカタログに載っている上限値ではなく、実際に出荷する構成です。
  7. どのエントリにも当たらなければEAR99です。

キーワード検索で最初に引っかかった番号に飛びつかず、この順序どおりに読むのがコツです。私がこれまで見てきた中で、もっともミスが出やすいのは「カタログ値と実際の仕様が微妙に違う」ケースでした。カタログでは規制閾値ぎりぎりの上限をうたっていても、出荷時の設定は抑えられていることがあり、それを誰がどの書類で証明するかで分類が変わります。CCLの英語に自信がない場合、有志が作った日本語の対訳ツールも出てきていますが、機械翻訳である以上、最終判断は英語の原文で行ってください。

方法3 BISに正式な分類を申請する(CCATS)

それでも判断がつかない場合は、BISに正式な分類を申請します。EARの748.3条に基づく手続きで、BISのオンライン申請システム(SNAP-R)から提出し、回答にはCCATS(Commodity Classification Automated Tracking System)番号が付きます。条文上は、受理から14暦日以内に回答する定めです8。CCATS番号は「G」で始まる形式で、サプライヤーに問い合わせると「この型番はCCATS取得済みでG番号はこれです」と教えてもらえることもあります。

個人的には、頻度の低い例外的な品目こそ、正式申請を真剣に検討する価値があると思っています。手間はかかりますが、後から「やはり規制対象でした」という展開を避けられる保険料のようなものです。日本側では該非判定の結果を書類にして取引先や通関に渡す場面が多いので、非該当証明書の作り方もあわせて押さえておくと全体像がつかみやすくなります。

ECCNが分かったら次に確かめること。許可要否・EAR99・デミニミス

ECCNの特定は、判定のスタート地点であってゴールではありません。番号が決まったら、そのエントリの許可要件欄で規制理由と国別表の列を確認し、国別の許可要否表(Commerce Country Chart、15 CFR Part 738の補足1)の仕向地の行と突き合わせます4。印があれば許可が必要、なければ原則不要です。意外に思われるかもしれませんが、日本の行にも化学・生物兵器(CB1)、国家安全保障(NS1)、ミサイル技術(MT1)、地域安定(RS1)の列に印があります。NS1で規制される品目は、米国から日本へ送る場合でも許可が要りうる、ということです。許可例外(License Exceptions)の欄を見るのは、許可が必要だと分かったあとです。条文も、例外の欄は国別表で許可要否を確かめてから参照するよう定めています2。

EAR99の品目や、国別表で許可不要となった品目でも、話は終わりません。禁輸仕向地、懸念のあるエンドユーザー、大量破壊兵器などのエンドユースに関わる場合は、ECCNに関係なく許可が必要になり得ます。相手方は誰か、何に使うかまで確かめて初めて判定が完結します。どんな場合にEAR99でも許可が要るのかは、EAR99でも輸出許可が要るケースで一つずつ整理しました。

日本企業にとって重いのが、デミニミス(de minimis)・ルールです。米国の外で作った製品でも、米国原産の規制対象部分を組み込んでいれば、その比率次第でEARの再輸出規制が及びます。15 CFR 734.4によると、多くの仕向地向けの基準は25%で、それ以下なら再輸出はEARの対象外になります。国グループE:1とE:2の国向けは基準が10%に下がり、2026年10月時点のeCFRではキューバ、イラン、北朝鮮、シリアがこれに当たります910。さらに、比率に関係なく対象になる品目もあります。600番台や9x515の品目を国グループD:5向けに組み込む場合、一部の半導体製造装置、米国原産の暗号技術を取り込んだ技術などがその例です9。ソフトウェアを単体で送る場合はデミニミスの対象にならないこと、技術の比率でデミニミスを使う前には一度だけ報告が必要なこと、ソフトウェアや技術の比率をどう計算したかを記録として残す義務があることも、同じ条文に書かれています。

なお、米国の輸入関税で話題になった「800ドルの少額免税(de minimis)」は名前が同じだけの別制度です。こちらは800ドル免税枠の停止を扱った記事をご覧ください。外国で作られた製品に米国の規制を及ぼすもう一つの仕組みである直接製品ルール(FDPR)は、FDPRとデミニミスの違いを解説した記事で扱っています。

日本企業がECCNに出会う3つの場面と、TRAFEEDでできること

EARは米国の法律ですが、域外適用の仕組みによって日本企業にも幅広く影響します。実務で頻出するパターンは3つです。1つ目は、米国から購入した部品やソフトウェアを組み込んだ自社製品を、第三国へ輸出するケースで、前の章のデミニミスがそのまま効いてきます。計算自体は割り算ですが、私が見ている限り、つまずくのは部品レベルの原産地とECCNの情報が集まらないことです。米国原産品の組込み比率は仕向地ごとに基準が変わるので、比率を一度出して終わりにせず、仕向地が変わるたびに確かめ直す運用にしておくと安全です。米国の再輸出規制を体系的に学びたい方には、CISTECが「米国再輸出規制入門」として研修や教材を案内しています11。

2つ目は、米国と直接関係がないように見える国内取引が、あとからEARの網にかかるケースです。国内の商社経由で購入した装置が実は米国の技術を使って製造されたもので、その装置を海外工場へ移設する段階で再輸出規制にぶつかる、というのが典型です。取引先の側も変わります。2024年12月5日には、BISが中国、日本、韓国、シンガポールの所在地で計140の事業体をEntity List(エンティティリスト)に一度に掲載しました12。一方、2026年に官報に載ったBISの規則にはEntity Listへの追加がなく、8月24日に削除と修正の規則が1本ずつ出ただけです(2026年10月4日に連邦官報で確認)13。追加が止まっている時期でも、リストはいつ動くか分かりません。なお、リストへの掲載は米国の規制上の区分であって、その企業の是非を判断するものではありません。取引先がリストに載ったときに必要なのは、取引の扱いを確かめることであり、相手を問題企業として扱うことではないと私は考えています。リスト同士の違いはエンティティリストとMEU・SDNの比較にまとめています。

3つ目は、軍民両用(デュアルユース)の技術が関わるケースです。研究開発用の材料、測定機器、データ解析ソフトなどは、民生用途で開発されていても、最終的な使われ方によっては規制の対象になります。私が個人的にいちばん厄介だと感じるのは、この領域での「知り得たはずだ」という責任です。取引先の情報、最終用途の説明、過去の取引履歴を総合して、懸念の兆候があれば立ち止まる必要があり、後から「そこまでは気づかなかった」では通りません。国家情報会議の議論や牧野フライスの買収をめぐる経緯のような政策の流れも、自社の判断基準を磨く材料になります。分類や確認を誤ったときの代償も小さくありません。EARの民事罰は1件あたり最大374,474ドル(2026年10月時点のインフレ調整後の上限)か取引額の2倍のいずれか大きい額、刑事罰は最大100万ドルの罰金と、個人には最長20年の禁固です14。

こうした確認を月に数百、数千件こなすとなると、人手だけでは追いつきません。当社のTRAFEEDは、輸出管理の担当者を支えるAIエージェントです。誤解のないように書いておくと、TRAFEEDはECCNを判定しません。米国EARについては、仕入先の該非判定書に書かれたECCNやEAR99の記載を読み取り、品目情報との食い違いや記載の古さを突き合わせて知らせる役割です。取引先は、Entity ListやSDNリストを含む米国の統合リストや各国の制裁リストと照合します。日本の該非判定(輸出令別表第1)については、仕様書や型番から該当しうる項番を照らし合わせ、根拠となる条文とあわせて示します。どの結果にも参照した条文やリストの記載が付き、最終判断は貴社の輸出管理責任者が行う設計です。判断の根拠と承認の記録が同じ場所に残るので、担当者が替わっても経緯をたどれます。

初版(2026年4月)から変わったこと

この記事は2026年4月24日に公開しました。それから半年足らずの間に、ECCNを読むときの前提がいくつか動いています。主なものを表にしました。

項目 初版公開時(2026年4月24日) 現在(2026年10月4日)
BIS 50%ルール(Affiliates Rule) 停止中。停止の効力は2026年11月9日まで 官報上は同じ。米中は2027年1月10日までの延長を発表したが、BISの延長規則は未掲載
ドローンの国家安全保障規制 航続時間30分が閾値 航続時間3時間へ引き上げ(2026年8月13日施行)6
アラブ首長国連邦(UAE)の国グループ D:3・D:4 D:3・D:4から外れA:5へ(2026年7月10日施行)15
Entity Listへの追加 直近の追加は2025年10月 2026年の追加規則なし(8月24日に削除・修正のみ)13

50%ルールは、Entity Listなどに載った事業体が50%以上を所有する外国の関連会社にも同じ規制を及ぼす規則で、2025年9月30日に官報に掲載されました16。その後、停止規則(90 FR 50857)で効力が止められ、官報上は2026年11月9日までの停止となっています17。米中は、この停止を含む合意を2027年1月10日まで延ばすと発表しました。中国商務部は9月28日の公式解説で延期を明記しており18、米国側はベッセント財務長官が9月23日に延長に触れたと報じられています19。ただし、米国政府の文書で50%ルールが延長に含まれると明示したものはまだ確認できず、BISの延長規則も2026年10月4日時点で官報に掲載されていません。このため「11月10日に復活が確定」とも「延長が確定」とも言い切れない状態です。計算例や対応の段取りは、正典のBIS 50%ルール(Affiliates Rule)とは?で追いかけています。

UAEの件は、同じECCNでも仕向地の国グループが変われば許可の結論が変わる、という分かりやすい例です。ECCNは製品の性質で決まりますが、許可の要否は番号と仕向地、相手先、用途の組み合わせで決まります。番号を確かめた日付を記録しておくべき理由が、ここにもあるわけです。

半導体・AI・量子の分野は、規制の向きがよく変わります。2024年は量子コンピュータの新しいECCNや先端半導体の規制強化が続きましたが2021、2026年に入ってからは緩和や猶予の動きが目立ちます。2026年1月15日には、NVIDIA H200相当以下の先端計算用半導体の中国・マカオ向け許可審査方針が、原則不許可から個別審査に変わりました。米国内の供給が十分であることや第三者試験などを輸出者が証明する条件付きです22。4月7日施行の規則では、Approved IC Designer の申請期限が約8か月延びて2026年12月31日になりました23。一方、強化側の例として挙げた量子コンピュータの4A906は、2024年9月の規則で新設されたECCNです。物理量子ビット34以上100未満なら制御NOTゲートの誤り率が10のマイナス4乗以下、といった具合に、量子ビット数と誤り率の組み合わせで規制の範囲が決まっています201。緩和なのか強化なのか、方向を取り違えると社内の判断がまるごとずれるので、この分野ほど官報の原文で確かめる習慣が効いてきます。

今日から始める3ステップ

ここまでを振り返ると、ECCNの確認は一度きりの作業ではなく、組織として回し続ける管理の仕組みだと分かります。今日から着手できることを3つ挙げます。

1つ目は、自社が扱う上位100品目について、ECCNと原産地の情報を棚卸しすることです。番号だけでなく、入手日、出典の書類、問い合わせ先を一緒に残してください。情報が揃わない品目が見つかったら、それはそのサプライヤーとの関係が意外に脆いという合図でもあります。

2つ目は、番号を見直すタイミングを決めておくことです。CCLの改正や国グループの変更は年に何度も官報に載ります。BISの官報掲載をチェックする担当と頻度を決め、関係する品目のECCNをその都度確かめ直す流れにしておくと、前の章のドローンやUAEのような変化を取りこぼしません。

3つ目は、取引先スクリーニングの頻度を上げることです。年に1度の棚卸しでは、リストの更新に追いつけません。取引のたびに照合する運用が理想です。あわせて、主要取引先の親会社・子会社・兄弟会社の資本関係も把握しておくと、50%ルールの扱いが官報で固まったときに慌てずに済みます。

輸出管理は、始めたばかりの頃は果てしない作業に見えるかもしれません。ただ、私自身が何度も感じてきたのは、一度仕組みを作ってしまえば日々の運用は驚くほど軽くなる、ということです。番号の意味が読めるようになると、仕入先の書類を見たときの不安もかなり減ります。最初の山を一緒に越えたい方は、TRAFEEDの個別相談からご連絡ください。機能の概要はTRAFEEDサービスカタログ(PDF)で確認できます。

参考文献

Footnotes

  1. eCFR, 15 CFR Part 774 "The Commerce Control List"(Supplement No. 1がCCL本体、Supplement No. 4がOrder of Review。9A001・5A992・4A906の条文はここで確認). https://www.ecfr.gov/current/title-15/subtitle-B/chapter-VII/subchapter-C/part-774 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5

  2. eCFR, 15 CFR 738.2 "Commerce Control List (CCL) structure"(ECCNの構成、規制理由の番号範囲、エントリの読み方). https://www.ecfr.gov/current/title-15/subtitle-B/chapter-VII/subchapter-C/part-738/section-738.2 ↩ ↩2 ↩3 ↩4

  3. International Trade Administration, "Harmonized System (HS) Codes". https://www.trade.gov/harmonized-system-hs-codes ↩

  4. eCFR, Supplement No. 1 to Part 738 "Commerce Country Chart". https://www.ecfr.gov/current/title-15/subtitle-B/chapter-VII/subchapter-C/part-738/appendix-Supplement%20No.%201%20to%20Part%20738 ↩ ↩2

  5. Bureau of Industry and Security, "Classify Your Item"(2026年10月4日閲覧). https://www.bis.gov/licensing/classify-your-item ↩ ↩2

  6. Federal Register, "Streamlining Export Controls for Drone Exports"(91 FR 52501、2026-08-14掲載・2026-08-13施行). https://www.federalregister.gov/documents/2026/08/14/2026-16628/streamlining-export-controls-for-drone-exports ↩ ↩2

  7. Bureau of Industry and Security, "Interactive Commerce Control List". https://www.bis.gov/regulations/ear/interactive-commerce-control-list ↩

  8. eCFR, 15 CFR 750.2 "Processing of Classification Requests and Advisory Opinions". https://www.ecfr.gov/current/title-15/subtitle-B/chapter-VII/subchapter-C/part-750/section-750.2 ↩

  9. eCFR, 15 CFR 734.4 "De minimis U.S. content". https://www.ecfr.gov/current/title-15/subtitle-B/chapter-VII/subchapter-C/part-734/section-734.4 ↩ ↩2

  10. eCFR, Supplement No. 1 to Part 740 "Country Groups"(国グループE:1・E:2の構成). https://www.ecfr.gov/current/title-15/subtitle-B/chapter-VII/subchapter-C/part-740/appendix-Supplement%20No.%201%20to%20Part%20740 ↩

  11. 安全保障貿易情報センター(CISTEC)「米国再輸出規制入門」(米国の再輸出規制を体系的に学ぶための研修・教材の案内). https://www.cistec.or.jp/service/beikoku_saiyusyutukisei/index.html ↩

  12. Federal Register, "Additions and Modifications to the Entity List; Removals From the Validated End-User (VEU) Program"(89 FR 96830、2024-12-05). https://www.federalregister.gov/documents/2024/12/05/2024-28267/additions-and-modifications-to-the-entity-list-removals-from-the-validated-end-user-veu-program ↩

  13. Federal Register, Industry and Security Bureau の掲載文書一覧(2026年1月1日〜10月4日のRULEを確認。Entity List関連は91 FR 54657・54658の2件のみ). https://www.federalregister.gov/agencies/industry-and-security-bureau ↩ ↩2

  14. 民事罰の上限は eCFR, 15 CFR 6.3(c)(6)(インフレ調整後374,474ドル). https://www.ecfr.gov/current/title-15/subtitle-A/part-6/section-6.3 。刑事罰と取引額の2倍の規定は 50 U.S.C. 4819. https://uscode.house.gov/view.xhtml?req=granuleid:USC-prelim-title50-section4819&num=0&edition=prelim ↩

  15. Federal Register, "Enhanced Favorable Treatment for the United Arab Emirates Under the Export Administration Regulations"(91 FR 43034、2026-07-14掲載・2026-07-10施行). https://www.federalregister.gov/documents/2026/07/14/2026-14132/enhanced-favorable-treatment-for-the-united-arab-emirates-under-the-export-administration ↩

  16. Federal Register, "Expansion of End-User Controls To Cover Affiliates of Certain Listed Entities"(90 FR 47201、2025-09-30). https://www.federalregister.gov/documents/2025/09/30/2025-19001/expansion-of-end-user-controls-to-cover-affiliates-of-certain-listed-entities ↩

  17. Federal Register, "One Year Suspension of Expansion of End-User Controls for Affiliates of Certain Listed Entities"(90 FR 50857、2025-11-12). https://www.federalregister.gov/documents/2025/11/12/2025-19846/one-year-suspension-of-expansion-of-end-user-controls-for-affiliates-of-certain-listed-entities ↩

  18. 中華人民共和国商務部「商务部美大司负责人解读第八轮中美经贸磋商成果」(2026-09-28). https://www.mofcom.gov.cn/syxwfb/art/2026/art_d9ea01824fc44fd8a29f7dc3f8ca9c72.html ↩

  19. NBC News, "U.S. and China extend trade truce"(2026-09-23、報道). https://www.nbcnews.com/business/economy/us-china-extend-trade-truce-trump-rcna599525 ↩

  20. Federal Register, "Commerce Control List Additions and Revisions; Implementation of Controls on Advanced Technologies Consistent With Controls Implemented by International Partners"(89 FR 72926、2024-09-06). https://www.federalregister.gov/documents/2024/09/06/2024-19633/commerce-control-list-additions-and-revisions-implementation-of-controls-on-advanced-technologies ↩ ↩2

  21. Federal Register, "Foreign-Produced Direct Product Rule Additions, and Refinements to Controls for Advanced Computing and Semiconductor Manufacturing Items"(89 FR 96790、2024-12-05). https://www.federalregister.gov/documents/2024/12/05/2024-28270/foreign-produced-direct-product-rule-additions-and-refinements-to-controls-for-advanced-computing ↩

  22. Federal Register, "Revision to License Review Policy for Advanced Computing Commodities"(91 FR 1684、2026-01-15). https://www.federalregister.gov/documents/2026/01/15/2026-00789/revision-to-license-review-policy-for-advanced-computing-commodities ↩

  23. Federal Register, "Extension of Authorized Integrated Circuit (IC) Designer Status and Application Deadline To Become an Approved IC Designer"(91 FR 17851、2026-04-09掲載・2026-04-07施行). https://www.federalregister.gov/documents/2026/04/09/2026-06851/extension-of-authorized-integrated-circuit-ic-designer-status-and-application-deadline-to-become-an ↩

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