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誓約書・エンドユーザー証明とは?輸出管理で求められる書類を初心者向けに解説|取得のタイミングと書き方【2026年版】

公開2026-07-07濱本 隆太

輸出管理で求められる誓約書(需要者等の誓約書)とエンドユーザー証明を初心者向けに解説します。様式2と様式3の違い、誰が作成し誰に宛てるのか、取得のタイミング、記載時の注意点まで、経済産業省の一次情報に基づいて整理しました。該非判定書との違いや、取得後のエンドユーザー管理の考え方もあわせて紹介します。

誓約書・エンドユーザー証明とは?輸出管理で求められる書類を初心者向けに解説|取得のタイミングと書き方【2026年版】
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こんにちは、株式会社TIMEWELLの濱本です。海外の販売先から「輸出許可を取るからエンドユーザー証明を出してほしい」と頼まれて戸惑った。逆に、自社が輸出許可を申請しようとしたら、提出書類のリストに「需要者等の誓約書」という見慣れない名前があった。輸出管理の実務を始めたばかりの方から、この2つの場面についての相談をよくいただきます。

やっかいなのは、この書類が場面によっていろいろな名前で呼ばれることです。誓約書、需要者等の誓約書、最終用途誓約書、エンドユーザー証明、End-User Certificate(頭文字を取ってEUC)。呼び名は違っても、指しているものはおおむね同じで、輸出した貨物や技術を、誰が、どこで、何に使うのかを、使う側に書面で約束してもらう書類です。この記事では、正式名称と通称の対応から、様式の種類、取得のタイミング、書き方の注意点まで、初めての方向けに順番に整理します。そもそも自社の輸出管理体制が整っているか不安だという方は、輸出管理体制の無料診断を用意していますので、読みながら現状を確かめてみてください。

誓約書・エンドユーザー証明とは何か。まず呼び名を整理する

最初に用語の交通整理をします。ここでつまずくと、この先の話が全部あいまいになってしまうからです。

経済産業省に輸出許可を申請するとき、添付書類のひとつとして提出するのが「需要者等の誓約書」です。需要者というのは、輸出した貨物や提供した技術を実際に使う側のこと。誓約書の様式そのもののタイトルは「最終用途誓約書」となっています[^1]。つまり、需要者等の誓約書は書類の位置づけを表す名前、最終用途誓約書は書類そのものの題名、と考えると整理しやすいと思います。

一方のエンドユーザー証明は、国際的な通称です。エンドユーザー(end user)は最終需要者、つまり最終的にその貨物や技術を使う人や組織を指し、エンドユース(end use)はその使いみち、最終用途を指します。輸出管理の世界では各国が似たような書類を要求しており、それらを総称してEnd-User Certificate、略してEUCと呼びます。日本の需要者等の誓約書も、この仲間のひとつです。海外の取引先とのメールでは、EUCやEnd-Use Statementといった表現で登場することが多いでしょう。

もうひとつ、初心者の方が混同しやすい書類があります。該非判定書、いわゆる非該当証明書です。こちらは、輸出するモノや技術が規制リストに該当するかどうかを輸出者の側が判定した結果を示す書類で、誓約書とはまったく役割が違います。該非判定書は「このモノは何か」を輸出者が説明する書類、誓約書は「このモノを何に使うか」を使う側が約束する書類。この違いは覚えておいて損がありません。該非判定書については該非判定書・非該当証明書の書き方ガイドで詳しく解説しているので、あわせて読んでいただくと全体像がつかめるはずです。

該非判定の属人化を、AIで解消する。

経産省2024年度データによれば、外為法違反の52%は該非判定起因。TRAFEEDなら、判定時間を約7割削減し、判定根拠を構造化データで保存できます。

なぜこの書類が必要なのか。外為法と輸出許可の仕組みから考える

そもそも、なぜ相手に誓約までしてもらう必要があるのか。背景には日本の輸出管理の基本法である外為法(外国為替及び外国貿易法)の仕組みがあります[^2]。

日本から貨物を輸出したり、海外に技術を提供したりする場合、その内容によっては経済産業大臣の許可が必要になります。貨物の輸出許可は外為法第48条、技術提供の許可は第25条が根拠です[^2]。どの貨物や技術が対象になるかは、輸出貿易管理令などの政令で細かく定められています[^3]。

ここで大事なのは、許可の審査で見られるのが「何を」だけではないという点です。審査では、何を、誰に、どんな用途で渡すのかがセットで評価されます。たとえば同じ工作機械でも、民生品の部品を作る町工場に売るのと、ミサイル開発の疑いがある組織に売るのとでは、リスクがまるで違う。この「誰に」と「何に使うか」を裏付ける証拠書類が、需要者等の誓約書というわけです。書類上の理屈だけでなく、輸出者と最終需要者の間に「勝手に転売しない」「約束した用途以外に使わない」という契約的な約束を作る効果もあります。

用途と需要者の確認は、リスト規制に該当しない貨物にも関わってきます。キャッチオール規制、正式には補完的輸出規制と呼ばれる仕組みでは、リストに載っていない貨物や技術でも、大量破壊兵器などに使われるおそれがある場合には許可が必要になります[^4]。おそれがあるかどうかの判断材料が、まさに用途確認と需要者確認の2つです。経済産業省は判断の助けになる「明らかガイドライン」や外国ユーザーリストといった資料を公表しています[^5]。なお、補完的輸出規制は2025年10月9日に見直しが施行されており[^6]、要件の細部は動いています。実際の判断にあたっては、経産省の最新の告示やQ&Aで必ず確認してください。キャッチオール規制の全体像はキャッチオール規制の3要件をやさしく解説した記事で扱っています。

ひとつ、先に釘を刺しておきたいことがあります。誓約書は万能ではありません。経産省の記載要領にも、誓約書を提出した場合であっても、国際社会の平和及び安全の維持の観点から個別に判断した結果、許可しないことがあると明記されています[^1]。誓約書は許可を保証するチケットではなく、審査で見られる材料のひとつ。この距離感を最初に持っておくと、実務での期待値を間違えません。

誓約書の様式は決まっている。様式2と様式3の違い

では、実際の書類はどんなものか。日本の輸出許可申請で使う誓約書は、経済産業省の提出書類通達で様式が定められており、公式サイトからダウンロードできます[^7]。自社で文面を一から作る書類ではありません。ここは意外と誤解が多いところで、Wordで独自のひな形を作って相手に送ってしまい、あとで差し替えになるケースを耳にします。記載例に則っていない誓約書は差し替えを依頼されることがある、と経産省自身が明言しています[^1]。

様式の使い分けは、最終需要者が決まっているかどうかで変わります。整理すると次のとおりです[^1]。

場面 使う様式 英語版 誓約書に係る注意事項
最終需要者が確定している場合 様式2(最終用途誓約書) FORM 2 別記3-1
最終需要者が確定していない場合(商社経由の再販売など) 様式3(最終用途誓約書) FORM 3 別記3-2
炭素繊維・特定の化学物質・人造黒鉛など機微な品目 様式2(2-17)や様式4など品目別の専用様式 あり 別記3-2-1など品目による
大量破壊兵器関連の設計・製造技術を提供する取引 様式2に追加的誓約事項を全て記載 FORM 2 別記3-1

売り先の商社までは決まっているが、その先の転売先が固まっていない。実務ではこういう場面がよくあります。そのときに使うのが様式3です。様式3には、再販売先がある程度予想できる場合にその販売先を記載する欄があり、過去に輸出した貨物の補修用ストックのようなケースが例として挙げられています[^1]。逆に、エンドユーザーがはっきりしているなら様式2。炭素繊維や特定濃度の化学物質、人造黒鉛のように核や化学兵器への転用が特に懸念される品目には、専用の様式が用意されています[^1]。

言語についても補足しておきます。経産省の様式には日本語版と英語版があり、CISTEC(安全保障貿易情報センター。輸出管理の情報提供を行う一般財団法人です)のサイトには中国語版の誓約書と記入要領も掲載されています[^8]。相手国の担当者に日本語の様式を送りつけても書けませんから、英語版や中国語版の存在は覚えておくと実務が速くなります。

取得のタイミングと書き方。つまずきやすいポイントを先回りする

書類の正体がわかったところで、いつ、誰が、どう書くのかという実務の話に入ります。

まずタイミング。誓約書は輸出許可申請の添付書類なので、申請の前に手元に揃っている必要があります[^9]。そして、この書類を書くのは自社ではなく相手側です。海外の買主や最終需要者に様式を送り、社内決裁を通してもらい、代表者クラスの署名をもらって、原本を日本まで送り返してもらう。この往復だけで数週間かかることは珍しくありません。私の感覚では、誓約書の取得は契約交渉と同じタイミングで走らせるのが現実的です。契約がまとまってから「そういえば誓約書を」と切り出すと、相手に「聞いていない」と言われて出荷予定が崩れます。見積や契約の段階で、許可申請に誓約書が必要になる旨を先に伝えておく。これだけでトラブルの大半は防げます。

書き方で押さえるべきポイントを、経産省の記載要領[^1]から拾っておきます。署名者は需要者等の代表者、または代表者から委任された者に限られます。委任された者が署名する場合は、委任を証する書類の写しの添付が必要です。宛先にあたる供給者名の欄には、日本の輸出者名を記載します。使用目的の欄は、その貨物を使って最終的に何を製造するのか、どの工程でどう使うのかまで、できる限り具体的に書くことが求められます。「産業用」「研究用」といった一言では通りません。提出は原本と写しを各1通で、内容確認のあと原本は返却されます[^1]。誓約の中身として特に重要なのが再輸出の扱いで、輸出した貨物を第三国に再輸出したり転売したりする場合には、日本の輸出者から書面による事前同意を得る、という約束が柱になっています[^1]。

ここで実務の悩みどころになるのが、相手が本当に信頼できるエンドユーザーなのかという確認です。書面はあくまで書面で、署名する組織の素性が怪しければ意味がない。外国ユーザーリストとの照合、過去の違反歴、軍関連組織とのつながり。調べることは多く、取引のたびに手作業でやるのはかなりの負担です。余談ですが、私がこの領域の相談を受けていて一番多いのは「調べ方はわかったが、量が多すぎて回らない」という声だったりします。弊社の輸出管理AIエージェントTRAFEEDは、こうしたエンドユーザーの懸念スクリーニングや該非判定の下調べを支援するツールで、論文や特許、研究者情報を含む2億件を超えるナレッジグラフをもとに、取引先の懸念度を5秒で可視化します。AI判定の精度は95%以上(岡山大学との共同実証、過去審査データ約3万件に基づく自社調べ)ですが、最終的な該非判定や取引可否の判断は貴社の輸出管理責任者が行う、という原則は変わりません。道具はあくまで下ごしらえを速くするものです。エンドユーザー確認の考え方そのものは、エンドユーザースクリーニングと取引先デューデリジェンスの記事で掘り下げています。

誓約書を取ったら終わり、ではない

最後に、誓約書を回収したあとの話をします。ここを飛ばす解説が多いのですが、実務ではむしろここからが本番です。

誓約書の効力には出口があります。経産省の記載要領によれば、輸出した貨物が費消されたとき、提供した技術が公知になったとき、規制対象の仕様を満たさなくなったとき、あるいは規制改正で非該当になったときは、誓約書に基づく事前同意は不要になります[^1]。裏を返せば、それまでの間、誓約は生きているということです。輸出した貨物が当初の需要者以外に転売されたことを知った場合には、経産省へ報告・情報提供するための様式も用意されています[^1]。売って終わり、書類を出して終わりではなく、輸出後も取引の行方に気を配り続けることが前提になっているわけです。

だからこそ、誓約書を単発の書類仕事として処理するのではなく、社内の輸出管理体制の一部として位置づけることをおすすめします。該非判定、用途と需要者の確認、誓約書の取得、輸出後のフォロー。この一連の流れを誰がどの順番で担うのかを決めておく。経産省が公開している安全保障貿易管理ガイダンスの入門編[^10]は、体制づくりの出発点として無料で読める良い資料ですし、CISTECのFAQ[^11]には実務の細かい疑問への回答が蓄積されています。制度の細部は改正で動きますから、この記事で紹介した内容も、実際の申請時には経産省の最新の告示と様式で必ず確認してください[^12]。

誓約書もエンドユーザー証明も、突き詰めれば「自社が売ったものが、意図しない場所で兵器に化けないようにする」ための仕組みです。書類の名前や様式番号は覚えれば済みますが、その先にある取引先の見極めと継続的な管理は、片手間では回りません。自社の場合はどこから手をつければいいのか、具体的に相談したいという方は、個別相談からお声がけください。誓約書の1枚から、輸出管理の全体像を整える入口にしていただければと思います。

参考

[^1]: 需要者等の誓約書の記載要領 — 経済産業省 安全保障貿易管理 — 2026年7月閲覧 [^2]: 外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号) — e-Gov法令検索 — 2026年7月閲覧 [^3]: 輸出貿易管理令(昭和24年政令第378号) — e-Gov法令検索 — 2026年7月閲覧 [^4]: 補完的輸出規制(キャッチオール規制) — 経済産業省 — 2026年7月閲覧 [^5]: 「外国ユーザーリスト」及び「おそれの強い貨物例」、「明らかガイドライン」に関するQ&A — 経済産業省 — 2026年7月閲覧 [^6]: 補完的輸出規制の見直しについて(令和7年10月9日施行) — 経済産業省 貿易経済安全保障局 — 2025年10月 [^7]: 提出書類通達に添付されている様式等 — 経済産業省 — 2026年7月閲覧 [^8]: 許可申請手続(中国語版の誓約書等について) — 一般財団法人 安全保障貿易情報センター(CISTEC) — 2026年7月閲覧 [^9]: 輸出許可・役務取引許可・特定記録媒体等輸出等許可申請に係る提出書類及び注意事項等について — 経済産業省 — 2026年7月閲覧 [^10]: 安全保障貿易管理ガイダンス[入門編]第3.0版 — 経済産業省 — 令和8年3月 [^11]: 輸出管理に関するFAQ — 一般財団法人 安全保障貿易情報センター(CISTEC) — 2026年7月閲覧 [^12]: 申請の流れ(輸出が初めての方へ) — 経済産業省 — 2026年7月閲覧

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