こんにちは、株式会社TIMEWELLの濱本です。輸出管理のご相談を受けていると、最初の10分でほぼ確実に出てくる言葉があります。「別表第1」です。うちの製品は別1の何項に当たるのか。そもそも別表第1とは何なのか。ここに答えられないと、輸出管理の実務は一歩も前に進みません。日本の安全保障輸出管理は、輸出しようとする貨物が輸出令別表第1のどこかに引っかかるかどうかを確認する作業、いわゆる該非判定を起点に組み立てられているからです。今回は2026年10月4日時点のe-Govの条文を一行ずつ当たり直し、初めて輸出管理に触れる方でも1〜16項の地図を持ち帰れるように整理し直しました。
30秒で読む要点 輸出令別表第1は、輸出貿易管理令(昭和24年政令第378号)に付いた表で、輸出に経済産業大臣の許可が要る貨物(中欄)と仕向地(下欄)を定めています。項番は1〜16ですが、3の2の項があるので行は17行です。1〜15項はリスト規制で仕向地は全地域、16項はキャッチオール規制の受け皿で、仕向地によって発動条件が変わります。何ミリ、何ワットといった線引きは貨物等省令に書かれていて、2026年10月時点の中身は2026年2月14日施行の改正を反映したものが最新です。
輸出令別表第1とは何か。法体系のどこにある表か
輸出令別表第1とは、輸出に経済産業大臣の許可が必要になる貨物と、その仕向地を定めた表のことです。根っこにあるのは外国為替及び外国貿易法、いわゆる外為法です。その48条1項が、特定の地域を仕向地とする特定の種類の貨物の輸出には経済産業大臣の許可が要る、と定めています1。ただ、法律の条文には、どの貨物が対象なのかまでは書かれていません。中身を決めているのは政令である輸出貿易管理令(昭和24年政令第378号)、実務でいう輸出令です。輸出令第1条第1項は、許可が必要な輸出を「別表第一中欄に掲げる貨物の同表下欄に掲げる地域を仕向地とする輸出」と規定しています2。
表の作りは単純で、中欄に「貨物」、下欄に「地域」が並びます3。中欄でモノを特定し、下欄でどこ向けの輸出が規制されるかを特定する。この2つの欄の組み合わせで許可の要否が決まる建て付けです。
ここで、この記事全体のキーワードになる該非判定という言葉を押さえておきます。該非判定とは、自社が輸出しようとする貨物や提供しようとする技術が、規制リストに該当するのか、該当しないのかを判定する手続きのことです4。該当なら許可申請へ進み、非該当なら後で触れるキャッチオール規制の確認を経て輸出へ進む。輸出に関わる企業の実務は、ほぼすべてこの判定から始まります。経済産業省自身が「該非判定(貨物・技術が規制対象か否かの判断)は行っていません」と明記しているので、判定するのはあくまで輸出者です5。
最初に知っておくと後がぐっと楽になるのは、別表第1が法体系の階層の途中にいるという点です。上から並べると、外為法(法律)、輸出令別表第1と外為令別表(政令。品目のカテゴリと地域を決める)、貨物等省令(省令。具体的なスペックを決める)、運用通達と役務通達(解釈)、そして実務ツールとしてのマトリクス表、という順で細かくなっていきます6。別表第1が決めているのは「何項にどんなカテゴリの貨物が入るか」まで。具体的に何ミリ以上、何ワット以上といったスペックは省令に委ねられています。この分業を知らないまま別表第1だけを眺めても、該非判定は終わりません。ここは3つ目の章で詳しく扱います。別表第1を含む政令そのものの構成、つまり別表第1と第2の役割分担は、輸出貿易管理令とは何かを1枚の地図で整理した記事で扱っています。
なお、自社の輸出管理体制がどの程度整っているのか自信がないという方は、輸出管理体制の無料診断で現在地を確かめてから読み進めると、この記事の内容が自分ごとになりやすいと思います。
1〜16項の一覧。17行の中身と国際レジームとの対応
別表第1の項番は1の項から16の項まで並びますが、行の数は16ではありません。3の項と4の項の間に「3の2の項」が独立した行として置かれているため、1〜16の番号に3の2を加えた計17行で構成されています3。初見の方がほぼ必ずつまずくところなので、先に全体像を表にしておきます。右端の列は、その項がどの国際的な取り決め(国際輸出管理レジーム)の合意を反映しているかの目安です7。
| 項番 | 分野 | 中欄に掲げられている貨物の例 | 対応する枠組み |
|---|---|---|---|
| 1 | 武器 | 銃砲・銃砲弾、爆発物、火薬類、軍用車両・軍用航空機とその部分品など8 | 防衛装備移転三原則の対象 |
| 2 | 核関連 | 核燃料物質・核原料物質、原子炉とその附属装置など9 | 原子力供給国グループ(NSG) |
| 3 | 化学兵器関連 | 軍用の化学製剤の原料となる物質、その製造に用いる装置など9 | オーストラリア・グループ(AG) |
| 3の2 | 生物兵器関連 | 軍用の細菌製剤の原料となる生物・毒素、発酵槽や遠心分離機、ペプチドの合成装置など9 | オーストラリア・グループ(AG) |
| 4 | ミサイル関連 | ロケット、無人航空機、多段ロケットの各段など9 | ミサイル技術管理レジーム(MTCR) |
| 5 | 先端材料 | ふっ素化合物の製品、芳香族ポリイミドの製品、合金や耐火性金属の粉など10 | ワッセナー・アレンジメント(WA) |
| 6 | 材料加工 | 軸受、数値制御工作機械、積層造形用の装置など10 | WA |
| 7 | エレクトロニクス | 集積回路、極低温用の冷却装置、FPGAを組み込んだモジュールなど10 | WA |
| 8 | 電子計算機 | 省令で仕様を定める電子計算機とその附属装置10 | WA |
| 9 | 通信関連 | 伝送通信装置、通信用の光ファイバー、フェーズドアレーアンテナなど10 | WA |
| 10 | センサー・レーザー | 音波を利用した水中探知装置、光検出器など10 | WA |
| 11 | 航法装置 | 加速度計、ジャイロスコープ、慣性航法装置など10 | WA |
| 12 | 海洋関連 | 潜水艇、水中から物体を回収する装置など10 | WA |
| 13 | 推進装置 | ガスタービンエンジン、人工衛星とその部分品など10 | WA |
| 14 | その他 | 粉末状の金属燃料、火薬・爆薬の前駆物質など10 | WA |
| 15 | 機微品目 | 無機繊維を使った成型品、電波や赤外線の吸収材など10 | WA |
| 16 | キャッチオール | 1〜15項に当たらない幅広い工業製品。詳しくは後述11 | 日本の補完的輸出規制 |
項番の当たりがついたら、照合の記録を残す様式があります 当社が独自に作った「項目別チェックシート(輸出令別表第1・外為令別表)」は、経済産業省のマトリクス表から該当行を貼り付け、規制値と自社の仕様値を突き合わせて判定根拠を残すためのExcelです。1〜15項のうちまだ1行も照合していない項番は総括表に「未照合」と表示されるので、空欄が非該当と同じ顔をする事故を防げます。2026年2月14日施行の改正に対応しています。CISTEC発行の「項目別対比表」とは別の、当社オリジナルの様式です。項目別チェックシートをダウンロード(無料。会社名とお勤め先のメールアドレスのご登録が必要です)
17行は、性格の違いで4つのかたまりに分けて眺めると頭に入りやすくなります。最初が1項の武器で、銃砲や爆発物といった軍需品そのものを対象にしています8。2つ目は2項から4項まで(3の2を含む)で、核、化学兵器、生物兵器、ミサイルという大量破壊兵器関連のかたまりです9。3つ目が5項から15項までのデュアルユース品目です。デュアルユースとは軍民両用、つまり民生用として普通に流通しているものでも、性能次第で兵器の開発に転用できてしまう品目のことです10。そして16項だけが、目的の違うキャッチオール規制の受け皿になっています11。
表の中には、ここ1年半で加わったものも混ざっています。2025年5月28日施行の改正(令和7年政令第102号)では6項に積層造形用の装置、7項に極低温用に設計した冷却装置やシリコン・ゲルマニウムの化合物と基板が新しい括弧として加わり、2026年2月14日施行の改正(令和7年政令第376号)では5項に合金の粉、7項にFPGA(書き換え可能な論理回路)を組み込んだモジュール、3の2項にペプチドの合成装置が入りました12。半導体や量子、積層造形のような新しい分野ほど、数年前の判定資料では拾えない行が増えていきます。
1項には他の項にない特徴があります。2項以降の多くが「経済産業省令で定める仕様のもの」という限定つきで貨物を掲げているのに対し、1項は省令への委任なしに品目を直接列挙しています8。武器そのものは性能の高い低いにかかわらず規制する、という考え方の表れだと私は理解しています。
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項番の読み方。政令だけでは判定できない理由と、原文・最新版の確かめ方
一覧表を見て、「うちの製品は7項のエレクトロニクスに関係しそうだ」と当たりをつけたとします。では別表第1の7項を読めば該非判定ができるかというと、できません。ここが別表第1のいちばんのクセです。
2項、4項から13項、15項の中欄は、「次に掲げる貨物であつて、経済産業省令で定める仕様のもの」のように、省令で定める仕様という限定つきで貨物を掲げています。3項、3の2項、14項も、括弧ごとに「経済産業省令で定めるもの」と省令へ委ねています910。政令である別表第1には集積回路や工作機械といったカテゴリ名しか書かれておらず、どんな性能なら規制対象なのかという線引きは、まるごと省令に任されているのです。
その委任先が、通称の貨物等省令です。正式名称は「輸出貿易管理令別表第一及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令」(平成3年通商産業省令第49号)で、名前のとおり、別表第1の各項と外為令別表の各項が指す具体的な貨物と技術のスペックを定めています6。該非判定は、別表第1で項番の当たりをつけ、貨物等省令の該当条文で自社製品の仕様と規制スペックを突き合わせる、という二段構えになります。
とはいえ、政令と省令と通達を毎回原文で行き来するのは骨が折れます。そこで使われているのが、経済産業省が公開しているマトリクス表です。規制対象の貨物と技術を、輸出令別表第1と外為令別表の項番(1〜15項)ごとに分け、政令・省令・通達の規定を一覧にしたExcelファイルです4。経済産業省はこの表を使うときの注意点を5つ挙げていて、実務で効くのは次の3つだと感じています。
1つ目は、一つの貨物が複数の項番で規制される場合があることです。経済産業省の例では、工作機械は核関連の2項と通常兵器関連の6項の両方で規制されています。だからマトリクス表は目で拾うのではなく、検索機能で横断的に確かめます4。2つ目は、部分品や附属品も対象になりうることです。法令は「ポンプ又はその部分品」のように書くので、部品を輸出するときは、それが何の部品なのかを特定し、元になる製品名で検索します4。3つ目が、法令上の名称と一般の呼び名のずれです。GPSは法令上「衛星航法システムからの電波を受信する装置」と書かれています4。カタログの呼び名で検索してヒットしなかったからといって、非該当と即断はできません。
最後に、原文と最新版の確かめ方です。条文そのものはe-Gov法令検索の「輸出貿易管理令」で読めて、画面にはどの日に施行された版かが表示されます。2026年10月4日時点の現行版は2026年6月5日施行版ですが、この日の改正(令和8年政令第194号)は外為法の条番号のずれを直す整理で、別表第1の中身は2026年2月14日施行の改正が最新のままです312。マトリクス表も「令和8年2月14日施行対応版」が掲載されています4。海外拠点のために英訳を探す方もいると思いますが、法務省の日本法令外国語訳データベースにある英訳は2023年の改正までしか反映していないので、照合の根拠には日本語の原文を使ってください13。もっと手順を細かく知りたい方は、経産省マトリクス表の使い方と落とし穴で、実際に表を開いて検索する流れを解説しています。
16項(キャッチオール)の読み方。仕向地で発動条件が変わる
経済産業省は、日本の輸出規制を「リスト規制」と「キャッチオール規制(補完的輸出規制)」の二本立てと整理しています14。この二本立てが、別表第1の中では1〜15項と16項という形で同居しています。
リスト規制は、ここまで見てきた1〜15項の世界です。機微な貨物をあらかじめリストに載せておき、該当すれば仕向地がどこであっても原則として許可が要ります。1〜15項の下欄は、どれも「全地域」です3。
キャッチオール規制は発想が逆で、リストに載っていない貨物でも、大量破壊兵器や通常兵器の開発などに使われるおそれがあるなら許可を求めます。その根拠が16項で、中欄は2階建てになっています。(一)は工作機械、レーダーや航行用無線機器、集積回路、航空機や宇宙飛行体とその部分品、航行用機器、分析や測定用の機器といった特定品目を列挙し、(二)は関税定率法別表の第25類から第40類、第54類から第59類、第63類、第68類から第93類、第95類に当たる貨物((一)と1〜15項の該当品を除く)を広く対象にしています11。類の番号ではイメージしにくいのですが、経済産業省の説明では「食料や木材等を除く全ての貨物」です14。リスト規制に非該当だから輸出管理と無縁だ、とは言えない理由がここにあります。
16項がいつ許可を求めるかは、仕向地と(一)(二)の区分で変わります。2025年10月9日に施行された見直し(令和7年政令第175号)で、16項は「16項(1)=特定品目」と「16項(2)=それ以外」に分かれ、16項(1)は貨物等省令第14条の2のHSコード(関税分類の番号)で特定されるようになりました1415。輸出令第4条の特例の書き方を表に直すと、次のようになります16。
| 仕向地の区分 | 16項(1) 特定品目 | 16項(2) それ以外 |
|---|---|---|
| グループA(別表第3の27か国) | 客観要件はかからない。迂回輸出のおそれがあるとしてインフォーム通知を受けた場合だけ許可が必要 | 同左 |
| 国連武器禁輸国・地域(別表第3の2の10か国・地域) | 大量破壊兵器・通常兵器とも、客観要件とインフォーム要件 | 同左 |
| 一般国(上の2つ以外) | 大量破壊兵器・通常兵器とも、客観要件とインフォーム要件 | 大量破壊兵器は客観要件とインフォーム要件、通常兵器はインフォーム要件のみ |
客観要件とは、輸出者が用途と需要者を確認した結果、兵器の開発などに使われるおそれがあると分かった場合に許可が要る、という要件です。インフォーム要件は、経済産業大臣から許可申請をすべき旨の通知(インフォーム通知)を受けた場合に許可が要る、という要件です14。大量破壊兵器等には核兵器、軍用の化学製剤と細菌製剤、その散布装置、300km以上運搬できるロケットと無人航空機(部分品を含む)が入り、通常兵器は別表第1の1項の中欄に掲げる貨物を指します14。
グループAは、別表第3に列挙された輸出管理の体制が整った地域で、アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、ドイツ、フランス、大韓民国、英国、アメリカ合衆国など27か国です17。16項の下欄は「全地域(別表第三に掲げる地域を除く。)」なので、グループA向けは本来16項の外にあります11。それでも2025年10月9日からは、輸出令第1条第3項により、外為法48条2項に基づく許可を求められる場面ができました2。経済産業省は、グループA向けのインフォーム要件は「懸念国等に迂回輸出されるおそれがある場合に限定して適用」すると説明しています14。初版ではこの点を書き落としていたので、今回はっきり書き足しました。仕向地の区分そのものの話はホワイト国とグループA〜Dの違いに、リスト規制との関係はリスト規制とキャッチオール規制の違いにまとめてあります。
初心者が混同しやすい6つのポイント
別表第1のまわりには、名前の似た表や制度がいくつもあります。私がこれまで受けてきた質問から、混同しやすいものを順に並べます。
1つ目は、別表第1と別表第2の違いです。同じ輸出令の表ですが、性格がまったく違います。別表第1は外為法48条1項の輸出「許可」の対象を定めるのに対し、別表第2は輸出令第2条に基づく輸出「承認」の対象です。扱っているのはワシントン条約の対象物や、北朝鮮・ロシア・ベラルーシ向けの措置に関わる貨物といった、安全保障のリスト規制とは別の政策目的の規制です18。実務で「別1」「別2」と略されるとき、この2つは別世界の話だと思ってください。別表第2の中身は輸出貿易管理令 別表第2の解説で整理しています。
2つ目は、別表第1と外為令別表の違いです。別表第1が規制するのは「貨物」、つまり形のあるモノの輸出です。図面、プログラム、技術指導といった「技術」の提供は、外為法25条に基づいて外国為替令(昭和55年政令第260号)の別表が規制します。外為令別表の1〜15項は「輸出貿易管理令別表第一の◯の項の中欄に掲げる貨物の設計、製造又は使用に係る技術」という書き方で、16項も含めて項番は別表第1とそろっています19。製品を送るときは別表第1、その製品の製造ノウハウを海外拠点に渡すときは外為令別表。技術の側は役務取引と技術提供の解説が入口になります。
3つ目は、「リスト規制に非該当」と「規制と無関係」の混同です。前の章で見たとおり、1〜15項に当たらなくても、多くの工業製品は16項の範囲に入っています。取引先から非該当証明書(該非判定の結果を示す書類)を求められたとき、単に「非該当です」と書くのではなく、どの項に照らして非該当なのか、16項との関係はどうかを整理できているかで、書類の信頼性は大きく変わります。具体的な書き方は非該当証明書の書き方ガイドにまとめました。
4つ目は、項番の数え方です。3の2の項があるため、「1から16まで」と聞いて16行だと思い込むと、生物兵器関連の項をまるごと見落とします3。社内の判定チェックリストを自作するときに実際に起きる抜け漏れです。余談ですが、私も最初にこの表を通読したとき、3の2の存在に気づかず数が合わなくて首をひねった記憶があります。条文の世界では枝番はよくあるのですが、初見だと面食らいますよね。
5つ目は、HSコードや品名だけで判定してしまうことです。HSコードは関税のための分類で、別表第1の1〜15項はHSコードでは区切られていません。16項(1)の特定品目はHSコードで特定されますが、それはキャッチオールの話です14。同じHSコードの製品でも、性能によって該当と非該当が分かれます。
6つ目は、仕入れ先の該非判定書をそのまま使ってしまうことです。経済産業省は、他社製品を購入して輸出する場合でも、型式が合っているか、判定理由が妥当か、最新の法令で確認しているかを改めて確かめるよう求めています。メーカーの判定書に誤りがあって該当品を非該当として輸出した場合、外為法上の責任を問われるのは輸出した者だからです4。
初版(2026年7月)から何が変わったか。当時と現在
この記事は2026年7月7日に初版を出しました。それから約3か月、別表第1そのものの中身は動いていませんが、周辺ではいくつか変化があり、初版で書き落としていた点もありました。読者が手元の資料と見比べやすいよう、表にまとめます。
| 項目 | 初版(2026年7月7日)の記述 | 現在(2026年10月4日に確認) |
|---|---|---|
| e-Govの現行版 | 2026年6月5日施行版 | 同じ。6月5日の改正は外為法の条番号のずれを直す整理で、別表第1の中身は2026年2月14日施行の改正が最新12 |
| 外為法の改正 | 記載なし | 2026年6月5日に外為法改正法(令和8年法律第30号)が公布・一部施行。改正されたのは対内直接投資などの規定と罰則の規定で、輸出許可の48条は変わっていない。残りは2027年1月4日施行予定1 |
| グループA向けの16項 | 客観要件を課さない設計とだけ記載 | 2025年10月9日から、迂回輸出のおそれがある場合はインフォーム通知で許可を求められる(輸出令第1条第3項)214 |
| マトリクス表 | 令和8年2月14日施行対応版 | 同じ。経済産業省ページの最終更新は2026年2月18日4 |
| 無許可輸出の罰則 | 記載なし | 外為法69条の7と72条。6月5日の改正で条番号が69条の6から繰り下がった1 |
外為法の改正については、改正前後の条文をe-Govで突き合わせ、輸出許可を定める48条と、技術提供を定める25条に変更がないことを当社で確かめました1。つまり、2026年7月以降に別表第1の判定をやり直す必要が生じた、という変化はありません。
一方で、次の改正はいずれ来ます。経済産業省は「リスト規制の品目は、原則として、毎年改正が行われます」と案内しています4。2025年度の定例改正は2025年11月14日に公布され、リスト部分の施行は3か月後の2026年2月14日でした2012。2026年10月4日時点で、経済産業省の安全保障貿易管理ページの新着情報に次の定例改正の閣議決定はまだ載っていません。改正の政令が公布されたら、施行日までに自社の該当品と、改正された項番の近くで非該当と判定した品目を洗い出す。この準備を今のうちにしておくと、施行直前に慌てずに済みます。直近の改正内容は輸出貿易管理令の一部改正(2026年2月施行)の解説で、半導体関連の積み上がりは日本の半導体輸出管理の対象品目で整理しています。
該非判定の手順。別表第1をどう調べ、該当したら何が起きるか
ここまでの知識を、実務の手順に落とし込みます。自社製品が別表第1に該当するかを調べる流れは、おおむね4段階です。経済産業省のガイダンスに沿った手順の全体は、該非判定とは何か、5つの手順で整理した記事でも詳しく書いています。
第1段階は、製品仕様の整理です。判定したい貨物の型番、性能値、材質、用途を技術部門から集めます。該非判定の精度は、実はこの段階でほぼ決まります。仕様が曖昧なまま判定を始めると、後の工程がすべて推測になってしまうからです。第2段階で、別表第1の1〜15項から候補となる項番の当たりをつけます。この記事の一覧表が、その入口として使えるはずです。第3段階が本丸で、マトリクス表や貨物等省令の条文を使って、規制スペックと自社製品の仕様を数値で照合します。複数の項番にまたがる品目があるので、一つの項で非該当と出ても安心せず、検索で横断的に確認します4。第4段階として、判定結果と根拠を判定書の形で残し、該非判定の責任者の決裁を得ます。ここまでやって、ようやく一つの製品の該非判定が完了します。
判定結果を書類にする様式 該非判定書・非該当証明書のWord様式と記入ガイドQ&A、キャッチオール確認シートや判定管理台帳などのExcel帳票をセットで配布しています。2026年2月14日施行の政省令改正に対応しているので、社内決裁にも取引先への提出にもそのまま回せます。該非判定書テンプレート一式をダウンロード(無料。会社名とお勤め先のメールアドレスのご登録が必要です)
判定の結果が「該当」だった場合は、輸出の前に経済産業大臣の許可を取ります。許可には案件ごとの個別許可と、一定の範囲をまとめて許可する包括許可があり、使い分けは包括許可と個別許可の違いで解説しています。少額の貨物なら、特例が使える場合も。5〜13項と15項の貨物で総価額100万円以下(別表第3の3の貨物は5万円以下)のものは、イラン、イラク、北朝鮮向け以外で、キャッチオールの条件に当たらなければ許可が不要です。1〜4項と14項には使えません16。細かな条件は少額特例・無償特例の解説にまとめました。
許可を取らずに該当品を輸出した場合の罰則は、決して軽くありません。外為法69条の7により、個人は7年以下の拘禁刑または2,000万円以下の罰金(目的物の価格の5倍が2,000万円を超えるときは5倍以下)で、併科もあります。核兵器などの開発に使われるおそれが特に大きい貨物では、10年以下の拘禁刑または3,000万円以下の罰金に上がります。法人には72条で7億円以下(同じく特に大きい貨物では10億円以下。いずれも目的物の価格の5倍が上回るときは5倍以下)の罰金がかかり、53条では3年以内の輸出禁止という行政制裁もありえます1。
文章にすると簡単そうですが、実際にやってみると、この作業は想像以上に重労働です。品目数が多い企業では判定対象が数百、数千に及びますし、前述のとおり規制は原則として毎年動きます。判定担当者が異動すると判定の根拠が失われる、という属人化の問題も根深い。輸出管理の相談を受けていて、体制の悩みの多くはこの「継続的に回し続ける仕組み」の欠如に行き着くと感じています。
こうした負担に対して、弊社では輸出管理AIエージェントのTRAFEEDを提供しています。輸出令別表第1と外為令別表に照らした日本の該非判定の下調べと、判定根拠の整理を支援する製品で、判定ロジックは特許(特許第7862062号)を取得済みです。AI判定精度は95%以上(岡山大学との共同実証、過去審査データ約3万件に基づく、2026年3月時点の自社調べ)で、現在20以上の組織にお使いいただいています。それでも私たちが一貫してお伝えしているのは、AIは判定の下調べと根拠整理を速くする道具であって、最終的な該非判定は貴社の輸出管理責任者が行う、という原則です。この原則を崩さない範囲で、判定にかかる時間と属人化のリスクを減らすのがTRAFEEDの役割だと考えています。
別表第1は、一度構造をつかんでしまえば怖い表ではありません。中欄と下欄、17行の項目、政令と省令の分業、そして仕向地で顔を変える16項。この4点を押さえたうえで、自社の主力製品を一つ選び、マトリクス表と突き合わせてみることを次の一歩としておすすめします。実際に手を動かすと、この記事の内容が立体的に見えてくるはずです。機能の概要はTRAFEEDサービスカタログ(PDF)で確認できます。判定体制の作り方や運用のお悩みは個別相談でも承っています。条文は無機質ですが、その向こうにあるのは、自社の技術を守りながら世界と取引を続けるための実務です。まずは17行の地図から始めてみてください。
参考
Footnotes
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外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号)第25条・第48条・第53条・第69条の7・第72条、改正履歴(令和8年法律第30号)— e-Gov法令検索(デジタル庁)— 2026年10月4日確認 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
-
輸出貿易管理令(昭和24年政令第378号)第一条(輸出の許可)第1項〜第4項 — e-Gov法令検索(デジタル庁)— 2026年10月4日確認 ↩ ↩2 ↩3
-
輸出貿易管理令 別表第一(第一条、第二条関係)中欄・下欄および項番構成 — e-Gov法令検索(デジタル庁)— 2026年6月5日施行版、2026年10月4日確認 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
-
該非判定/貨物・技術のマトリクス表について — 経済産業省 — ページ最終更新2026年2月18日、2026年10月4日確認 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10
-
安全保障貿易管理(お問い合わせ先の注記と新着情報)— 経済産業省 — ページ最終更新2026年7月30日、2026年10月4日確認 ↩
-
輸出貿易管理令別表第一及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令(平成3年通商産業省令第49号、通称・貨物等省令)— e-Gov法令検索(デジタル庁)— 2026年2月14日施行版 ↩ ↩2
-
安全保障貿易管理の概要(リスト規制の各項と国際輸出管理レジームの対応)— 一般財団法人 安全保障貿易情報センター(CISTEC)— 2026年10月4日確認 ↩
-
輸出貿易管理令 別表第一 二〜四の項(核・化学兵器・生物兵器・ミサイル関連)— e-Gov法令検索(デジタル庁) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
-
輸出貿易管理令 別表第一 五〜一五の項(先端材料〜機微品目)— e-Gov法令検索(デジタル庁) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13
-
輸出貿易管理令 別表第一 一六の項(キャッチオール規制対象貨物)— e-Gov法令検索(デジタル庁) ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
輸出貿易管理令 改正履歴と附則(令和7年政令第102号:2025年3月28日公布・5月28日施行、令和7年政令第175号:4月9日公布・10月9日施行、令和7年政令第376号:11月14日公布・リスト部分は2026年2月14日施行、令和8年政令第194号:2026年6月5日施行)— e-Gov法令検索(デジタル庁)— 各版の条文を当社で比較、2026年10月4日確認 ↩ ↩2 ↩3 ↩4
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Cabinet Order on Export Trade Control(輸出貿易管理令の英訳。最終反映は令和5年政令第164号)— 日本法令外国語訳データベース(法務省)— 2026年10月4日確認 ↩
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補完的輸出規制(キャッチオール規制)— 経済産業省 — ページ最終更新2025年12月23日、2026年10月4日確認 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8
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補完的輸出規制の見直しについて(2025年10月9日施行)— 経済産業省 — ページ最終更新2026年4月15日、2026年10月4日確認 ↩
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輸出貿易管理令 第四条(特例)第1項第3号〜第5号・第2項 — e-Gov法令検索(デジタル庁)— 2026年10月4日確認 ↩ ↩2
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輸出貿易管理令 別表第三(27か国)・別表第三の二(10か国・地域)・別表第四 — e-Gov法令検索(デジタル庁)— 2026年10月4日確認 ↩






