【2026年版】リスト規制とキャッチオール規制の違いとは?2025年10月施行の法改正も解説
株式会社TIMEWELLの濱本です。
「リスト規制」と「キャッチオール規制」、輸出管理を行う上で必ず理解しておくべき2つの規制ですが、その違いを正確に説明できますか?
さらに、2025年10月9日に施行された「補完的輸出規制の見直し」により、キャッチオール規制は大幅に強化されました。従来は規制対象外だった品目が新たに規制対象になるなど、企業への影響は大きいです。
本記事では、2つの規制の違いを初心者向けに解説するとともに、最新の法改正内容と企業が取るべき対応を詳しく説明します。
要約(この記事でわかること)
- リスト規制:特定の貨物・技術を「品目」で規制(全地域対象)
- キャッチオール規制:リスト規制外でも「用途・需要者」で規制
- 2025年10月改正:キャッチオール規制が大幅強化
- 新たな規制対象:工作機械、集積回路、無人航空機部品等
- グループA国向けも注意:迂回輸出防止措置が新設
目次
- 輸出管理の2つの規制を理解する
- リスト規制とは?対象品目と確認方法
- キャッチオール規制とは?用途・需要者の確認
- 2025年10月施行:補完的輸出規制の見直し
- 国・地域のグループ分類と規制の違い
- 企業が取るべき具体的な対応
- AIで輸出管理を効率化する方法
輸出管理の2つの規制を理解する
日本の輸出管理体系
日本の輸出管理は、**外国為替及び外国貿易法(外為法)**に基づいて行われます。規制は大きく2種類に分かれます。
| 規制 | 概要 |
|---|---|
| リスト規制 | 特定の貨物・技術を品目で規制 |
| キャッチオール規制 | リスト規制外でも用途・需要者で規制 |
なぜ2種類の規制があるのか
リスト規制だけでは、規制をすり抜けようとする動きを止められません。
例えば、規制されている高性能な工作機械の代わりに、規制ギリギリのスペックの工作機械を大量に輸出して軍事利用される、というケースが考えられます。
そこで、リスト規制に該当しない品目でも、「大量破壊兵器の開発に使われる」「軍事組織が需要者」といった場合に規制をかけるのがキャッチオール規制です。
2つの規制の関係
【輸出する貨物・技術】
↓
【リスト規制のチェック】
↓
該当 → 経産大臣の許可が必要
↓
非該当
↓
【キャッチオール規制のチェック】
↓
該当 → 経産大臣の許可が必要
↓
非該当 → 許可不要で輸出可能
重要:リスト規制で「非該当」でも、キャッチオール規制の確認が必要です。
リスト規制とは?対象品目と確認方法
リスト規制の定義
リスト規制とは、大量破壊兵器やその他の通常兵器の開発等に用いられるおそれが高い特定の貨物・技術について、すべての国・地域への輸出に経済産業大臣の許可を求める制度です。
対象品目
規制対象は、輸出貿易管理令別表第1の1項〜15項に列挙されています。
| 項番 | 対象分野 | 具体例 |
|---|---|---|
| 1項 | 武器 | 銃、弾薬、軍用車両 |
| 2項 | 原子力 | 核燃料物質、原子炉 |
| 3項 | 化学兵器 | 化学兵器用原料 |
| 3の2項 | 生物兵器 | 生物剤、毒素 |
| 4項 | ミサイル | ロケット、無人航空機 |
| 5項 | 先端素材 | 炭素繊維、セラミック |
| 6項 | 材料加工 | 工作機械 |
| 7項 | エレクトロニクス | 半導体、集積回路 |
| 8項 | コンピュータ | 高性能コンピュータ |
| 9項 | 通信 | 暗号装置、通信機器 |
| 10項 | センサー・レーザー | 高性能カメラ、レーザー |
| 11項 | 航法装置 | GPS、慣性航法装置 |
| 12項 | 海洋関連 | 潜水艇、水中探知機 |
| 13項 | 推進装置 | ジェットエンジン、ガスタービン |
| 14項 | その他 | 上記以外の関連機器 |
| 15項 | 機微品目 | 暗号、ステルス技術 |
確認方法
リスト規制に該当するかどうかは、以下の手順で確認します。
ステップ1:該当する可能性のある項番を特定
製品の種類から、該当しそうな項番を絞り込みます。
ステップ2:省令(貨物等省令)の詳細を確認
各項番の詳細な規制基準(スペック)は、「輸出貿易管理令別表第1及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令」(通称:貨物等省令)に記載されています。
ステップ3:パラメータシートで照合
製品のスペックと規制基準を照合し、該当・非該当を判定します。
リスト規制の特徴
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 全地域対象 | 友好国(グループA国)含め全地域が対象 |
| 品目・スペックで判定 | 用途・需要者に関係なく規制 |
| 許可が必要 | 該当すれば輸出許可が必要 |
キャッチオール規制とは?用途・需要者の確認
キャッチオール規制の定義
キャッチオール規制とは、リスト規制に該当しない貨物・技術であっても、大量破壊兵器や通常兵器の開発等に用いられるおそれがある場合に、経済産業大臣の許可を求める制度です。
正式名称は「補完的輸出規制」といいます。リスト規制を「補完」する役割を持つためです。
2種類のキャッチオール規制
| 種類 | 対象 | 確認事項 |
|---|---|---|
| 大量破壊兵器キャッチオール | 核兵器、化学兵器、生物兵器、ミサイル | 用途・需要者 |
| 通常兵器キャッチオール | 通常兵器(銃、戦車等) | 用途・需要者 |
許可が必要になる2つのケース
キャッチオール規制で許可が必要になるのは、以下の2つのケースです。
ケース1:客観要件(インフォーム要件)
経済産業大臣から、その輸出が大量破壊兵器等の開発に用いられるおそれがある旨の**通知(インフォーム)**を受けた場合。
ケース2:主観要件(キャッチ要件)
輸出者自身が、輸出先が大量破壊兵器等の開発等を行っていることを知った場合。
用途確認のポイント
輸出する貨物・技術が、以下の用途に使用されないか確認します。
| 用途 | 具体例 |
|---|---|
| 大量破壊兵器の開発 | 核爆弾、生物兵器、化学兵器の製造 |
| ミサイルの開発 | 弾道ミサイル、巡航ミサイルの製造 |
| 通常兵器の開発 | 戦車、戦闘機、軍艦の製造 |
需要者確認のポイント
輸出先の需要者が、以下に該当しないか確認します。
- 大量破壊兵器等の開発を行っている組織
- 軍・軍関連機関
- 外国ユーザーリスト掲載組織
- その他懸念のある組織
2025年10月施行:補完的輸出規制の見直し
改正の背景
2025年10月9日、キャッチオール規制(補完的輸出規制)が大幅に見直されました。
改正の背景:
- 国際情勢の変化(ウクライナ侵攻等)
- 汎用品の軍事転用リスクの顕在化
- 民生用ドローン部品が軍事利用される事例の増加
- 国際的な規制強化の動き
主な改正内容
| 項目 | 従来 | 改正後 |
|---|---|---|
| 対象品目 | 特定せず | HSコードで指定 |
| グループA国向け | 原則対象外 | 迂回防止措置を新設 |
| 確認義務 | 用途・需要者の懸念時のみ | 一般国向けは原則確認必要 |
新たに規制対象となる品目
改正により、以下の品目がキャッチオール規制の確認対象として明確化されました。
| カテゴリ | 具体例 |
|---|---|
| 工作機械 | 数値制御旋盤、マシニングセンタ |
| 集積回路 | マイコン、FPGA |
| 無人航空機部品 | モーター、フライトコントローラー |
| エレクトロニクス | センサー、通信機器 |
| 化学物質 | 特定の化学原料 |
HSコードによる対象品目の指定
従来のキャッチオール規制は「輸出令別表第1の16項」として、対象品目を明確に定めていませんでした。
改正後は、**HSコード(関税分類番号)**を使って対象品目が具体的に指定されました。これにより、輸出者は自社製品が対象かどうかを明確に判断できるようになりました。
グループA国向けの迂回防止措置
従来、グループA国(米国、EU諸国等の27カ国)向けの輸出には、キャッチオール規制は原則適用されませんでした。
改正後は、グループA国向けであっても、懸念国に迂回輸出されるおそれがある場合には、経済産業大臣からの通知により許可申請が義務付けられることになりました。
国・地域のグループ分類と規制の違い
グループ分類
外為法では、輸出先の国・地域を以下のグループに分類しています。
| グループ | 国・地域数 | 特徴 |
|---|---|---|
| グループA | 27カ国 | 輸出管理が整備された国 |
| 国連武器禁輸国 | 10カ国 | 国連制裁対象国 |
| 一般国 | その他すべて | 上記以外 |
グループA国(27カ国)
アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、大韓民国、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、アメリカ合衆国
国連武器禁輸国(10カ国)
アフガニスタン、中央アフリカ、コンゴ民主共和国、イラク、レバノン、リビア、北朝鮮、ソマリア、南スーダン、スーダン
一般国の主な例
中国、ロシア、イラン、シリア、ウクライナ、トルコ、パキスタン、ミャンマー等
グループ別の規制の違い
| 規制 | グループA国 | 国連武器禁輸国 | 一般国 |
|---|---|---|---|
| リスト規制 | 対象 | 対象 | 対象 |
| 大量破壊兵器キャッチオール | 原則対象外 | 対象 | 対象 |
| 通常兵器キャッチオール | 原則対象外 | 対象 | 対象 |
| 迂回防止措置(2025年新設) | 対象 | 対象 | 対象 |
企業が取るべき具体的な対応
ステップ1:自社製品の確認
まず、自社製品が以下のいずれかに該当するか確認します。
| 確認項目 | 確認方法 |
|---|---|
| リスト規制品 | 輸出令別表第1との照合 |
| 2025年改正で追加された品目 | HSコードリストとの照合 |
ステップ2:輸出先の確認
輸出先の国・地域、需要者を確認します。
| 確認項目 | 確認方法 |
|---|---|
| グループ分類 | 経産省の国別グループ一覧 |
| 外国ユーザーリスト | 経産省のリストと照合 |
| 最終用途 | 契約書、取引先への確認 |
ステップ3:社内体制の整備
2025年改正に対応するため、社内体制を見直します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 規程の更新 | 社内輸出管理規程の改訂 |
| 研修の実施 | 改正内容の社内周知 |
| チェックリストの更新 | 新規制品目の追加 |
| システムの更新 | HSコードチェック機能の追加 |
ステップ4:取引審査の強化
一般国向けの取引審査を強化します。
| 確認事項 | 具体的な確認内容 |
|---|---|
| 用途確認 | 民生用途であることの確認 |
| 需要者確認 | 軍・軍関連機関でないことの確認 |
| 最終需要者確認 | 再販売先の確認 |
| 誓約書の取得 | 用途・再輸出に関する誓約 |
AIで輸出管理を効率化する方法
2025年改正で増える業務負担
2025年改正により、企業の輸出管理業務は以下のように増加しています。
| 業務 | 従来 | 改正後 |
|---|---|---|
| 該当品目の確認 | リスト規制のみ | リスト規制+HSコード |
| グループA国向け | 簡易確認 | 迂回リスク確認も必要 |
| 一般国向け | 懸念時のみ確認 | 原則確認必要 |
ZEROCK EX-Checkによる解決
**ZEROCK EX-Check**は、2025年改正にも対応した輸出管理特化型AIエージェントです。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| リスト規制チェック | 輸出令別表第1との自動照合 |
| HSコードチェック | 2025年改正対象品目の自動判定 |
| 需要者スクリーニング | 外国ユーザーリスト等との照合 |
| 規制変更の自動反映 | 法改正を自動でキャッチアップ |
導入効果
| 指標 | 効果 |
|---|---|
| 確認作業時間 | 90%削減 |
| 確認漏れ | ゼロ |
| 法改正への対応 | リアルタイム |
2025年改正への対応状況
ZEROCK EX-Checkは、2025年10月施行の改正内容を反映済みです。
- HSコードリストを搭載
- 迂回リスク判定機能を追加
- 一般国向け取引の確認フローを強化
まとめ
リスト規制とキャッチオール規制の違い
| 項目 | リスト規制 | キャッチオール規制 |
|---|---|---|
| 判定基準 | 品目・スペック | 用途・需要者 |
| 対象地域 | 全地域 | 主に一般国 |
| 確認タイミング | 該非判定 | 該非判定後 |
2025年改正のポイント
- キャッチオール規制が大幅強化
- HSコードで対象品目を明確化
- グループA国向けにも迂回防止措置
- 一般国向けは原則確認必要
企業が取るべきアクション
- 自社製品が改正対象か確認
- 社内規程・チェックリストを更新
- 取引審査体制を強化
- AIツールで業務効率化を検討
TIMEWELLの輸出管理支援
TIMEWELLは、2025年改正に対応した輸出管理の効率化を支援します。
ZEROCK EX-Checkのご相談
- 導入相談:貴社の輸出管理体制を診断
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「規制強化に、AIで対応する」
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