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【2026年版】図面・設計データの輸出管理|みなし輸出と技術提供規制の実務ガイド

2026-01-23濱本 隆太

【2026年版】図面・設計データの輸出管理|みなし輸出と技術提供規制の実務ガイド。図面・設計データの輸出管理とみなし輸出規制を解説。技術の該非判定のポイント、海外拠点への図面送付、外国人への技術提供時の注意点、軍事転用を防ぐ設計のポイント。

【2026年版】図面・設計データの輸出管理|みなし輸出と技術提供規制の実務ガイド
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【2026年版】図面・設計データの輸出管理|みなし輸出と技術提供規制の実務ガイド

株式会社TIMEWELLの濱本です。

「海外工場に設計図面をメールで送る」「外国人研究者に技術資料を渡す」

これらの行為が輸出管理の規制対象になることをご存知ですか?

輸出管理というと「モノ(貨物)の輸出」をイメージしがちですが、実は技術情報の提供も同様に規制されています。さらに2022年の法改正で、国内での技術提供であっても規制対象となる「みなし輸出」の範囲が拡大されました。

本記事では、図面・設計データの輸出管理について、技術の該非判定の方法から、みなし輸出規制、軍事転用を防ぐ設計のポイントまで、実務に役立つ情報を解説します。


要約(この記事でわかること)

  • 技術提供も規制対象:図面、仕様書、マニュアル等の提供も輸出許可が必要な場合あり
  • みなし輸出:国内での外国人への技術提供も規制対象
  • 2022年改正:「特定類型」に該当する居住者への提供も規制対象に
  • 技術の該非判定:貨物の該非判定とは別に実施が必要
  • 軍事転用防止設計:民生利用に限定する設計上の工夫

目次

  1. 技術提供規制の基本
  2. みなし輸出とは?2022年改正の影響
  3. 技術の該非判定:図面・設計データのチェックポイント
  4. 海外拠点への図面送付時の注意点
  5. 軍事転用を防ぐ民生設計のポイント
  6. よくある違反パターンと対策
  7. AIで技術管理を効率化する方法

技術提供規制の基本

輸出管理の2つの柱

日本の輸出管理は、「貨物の輸出」と「技術の提供」の2つを対象としています。

対象 根拠法令 規制内容
貨物の輸出 輸出貿易管理令別表第1 1項〜15項の貨物
技術の提供 外国為替令別表 1項〜15項の技術

技術とは何か?

外為法における「技術」には、以下のようなものが含まれます。

技術の形態 具体例
技術データ 設計図面、製造方法書、仕様書
プログラム ソフトウェア、ソースコード
技術報告書 研究レポート、試験データ
作業知識 口頭での技術指導、ノウハウ

技術提供の方法

「技術の提供」には、以下のすべての方法が含まれます。

提供方法
媒体での提供 紙、USB、CD-ROM
電子的送信 メール添付、クラウド共有
口頭 技術指導、セミナー、講義
視覚的提示 工場見学、実演

重要:技術の所有権は関係ありません。借りた技術資料を返却する行為も「技術提供」に該当します。


みなし輸出とは?2022年改正の影響

みなし輸出の定義

みなし輸出とは、日本国内での技術提供であっても、一定の条件を満たす場合は「輸出」と同等に扱い、許可申請を求める制度です。

従来のみなし輸出(〜2022年4月)

従来は、「非居住者への技術提供」が規制対象でした。

区分 規制
非居住者への提供 規制対象
居住者への提供 規制対象外

非居住者の例

  • 外国に住む外国人
  • 日本滞在6ヶ月未満の外国人
  • 日本国内の外国企業事務所職員

2022年改正後のみなし輸出

2022年5月1日の改正により、「特定類型」に該当する居住者への技術提供も規制対象になりました。

区分 規制
非居住者への提供 規制対象
特定類型の居住者への提供 規制対象(新設)
一般の居住者への提供 規制対象外

特定類型とは?

「特定類型」とは、居住者(日本に住んでいる人)であっても、外国政府等から強い影響を受けている状態を指します。

特定類型の例 内容
外国政府との雇用契約 外国政府機関の職員として雇用されている
多額の金銭報酬 外国政府等から多額の報酬を得ている
指示従属関係 外国政府等の指示に従う契約がある

なぜ改正されたのか

改正の背景には、以下のような事例がありました。

  • 日本の大学に在籍しながら、本国政府の軍事研究機関と雇用関係を持つ研究者
  • 本国政府から奨学金を受け、研究成果の報告義務を負う留学生
  • 外国企業との雇用契約で、技術情報の共有を義務付けられている技術者

これらは「居住者」であっても、技術が外国に流出するリスクがあると判断されました。


技術の該非判定:図面・設計データのチェックポイント

技術の該非判定の手順

技術の該非判定は、以下の手順で行います。

【ステップ1】判定対象技術の特定
    ↓
【ステップ2】関連貨物の該非判定
    ↓
【ステップ3】判定対象項番の選定
    ↓
【ステップ4】該非判定の実施

ステップ1:判定対象技術の特定

まず、提供しようとする技術を明確にします。

確認項目 内容
技術の内容 設計、製造、使用のいずれに関する技術か
技術の形態 図面、プログラム、口頭指導等
提供先 誰に提供するか
提供方法 メール、対面、クラウド等

ステップ2:関連貨物の該非判定

技術の該非判定の前に、関連する貨物の該非判定を行います。

外為法の技術規制は、原則として「規制貨物の設計、製造、使用に関する技術」が対象です。

関連貨物の該非 技術の該非
該当 技術も該当する可能性が高い
非該当 技術も非該当の可能性が高い(例外あり)

例外:暗号技術など、貨物とは独立して規制される技術もあります。

ステップ3:判定対象項番の選定

技術が関連する可能性のある項番を特定します。

技術の種類 関連項番の例
工作機械の設計図 6項(材料加工)
半導体の製造方法 7項(エレクトロニクス)
暗号アルゴリズム 9項(通信)、15項(機微品目)

ステップ4:該非判定の実施

技術の仕様と規制基準を照合し、該当・非該当を判定します。

図面チェックのポイント

図面から軍事転用リスクを評価する際の観点を紹介します。

チェックポイント 確認内容
性能スペック 規制基準を超える精度、速度、出力がないか
材質指定 規制対象の素材(炭素繊維等)を使用していないか
用途推定 設計から推定される用途が軍事利用可能か
暗号機能 暗号化機能が含まれていないか
プログラム 制御ソフトウェアが付属していないか

「設計、製造、使用」の区別

技術規制は「設計、製造、使用」に関する技術が対象です。

区分 内容
設計 製品を作るための設計情報 設計図面、CADデータ
製造 製品を作るための製造ノウハウ 製造手順書、工程表
使用 製品を使うための情報 操作マニュアル、保守手順

海外拠点への図面送付時の注意点

海外子会社への図面送付

海外子会社であっても、図面を送付する際は輸出管理の対象になります。

確認事項 内容
図面の該非判定 規制技術に該当するか
送付先国 グループA国か、一般国か
受取人 特定類型に該当する人がいないか
用途 民生用途に限定されているか

現地スタッフによる図面参照

海外工場で現地スタッフが日本本社の設計図面を参照する場合も、「技術提供」に該当する可能性があります。

シナリオ 規制適用
日本から図面をメールで送付 技術提供に該当
日本サーバーにある図面を海外からアクセス 技術提供に該当
現地サーバーにコピーして参照 技術提供に該当

クラウドストレージの利用

図面をクラウドストレージ(Google Drive、Dropbox等)に保存し、海外からアクセス可能にする場合も注意が必要です。

状況 対応
海外からのアクセスを許可 技術提供と見なされる可能性
アクセス権限を日本国内に限定 リスク軽減(ただし管理が必要)
規制技術を含む場合 許可申請の検討が必要

出張時の技術情報の持ち出し

海外出張で技術資料を持ち出す場合も規制対象です。

持ち出し形態 規制適用
紙の資料 技術提供に該当
ノートPCに保存 技術提供に該当
USBメモリ 技術提供に該当

対策

  • 該非判定を事前に実施
  • 必要な許可を取得
  • 持ち出しリストを作成・管理

軍事転用を防ぐ民生設計のポイント

民生利用限定設計とは

民生利用限定設計とは、製品が軍事目的に転用されにくいように、設計段階で工夫を施すことです。

これにより、輸出管理上のリスクを低減できる場合があります。

設計上の工夫

アプローチ 内容
性能の限定 規制基準を超えない性能に設計
用途の特化 特定の民生用途に特化した設計
機能の制限 軍事利用に必要な機能を省略
ソフトウェア制限 特定用途以外では動作しない設計

具体例

例1:工作機械の精度

設計 結果
位置決め精度:5μm リスト規制に該当
位置決め精度:8μm リスト規制に非該当

規制基準(6μm以下)を超えない性能に設計することで、規制対象外にできます。

例2:カメラの用途特化

設計 転用リスク
汎用高解像度カメラ 偵察・誘導に転用可能
スマートフォン内蔵カメラ 転用困難

特定製品に組み込まれ、取り外しが困難な設計にすることで、転用リスクを低減できます。

例3:ドローン部品の制限

設計 転用リスク
汎用モーター 軍用ドローンに転用可能
特定機種専用モーター 転用困難

特定の民生ドローン機種にのみ適合する設計にすることで、軍事転用を困難にできます。

注意点

民生設計にしても、以下の場合は規制対象になりえます。

  • キャッチオール規制の対象となる場合
  • 需要者が軍事関連機関の場合
  • 最終用途が軍事目的の場合

重要:設計による対策は、取引審査の代替にはなりません。


よくある違反パターンと対策

パターン1:図面の無意識な提供

事例:海外の取引先から「製品の詳細仕様が知りたい」と言われ、設計図面をメールで送付。

問題:該非判定を行わずに規制技術を提供した可能性。

対策

  • 技術資料の提供前に該非判定を実施
  • 提供可否を判断するフローを整備

パターン2:留学生への技術指導

事例:大学の研究室で、留学生に規制技術に関する研究指導を行った。

問題:みなし輸出規制への対応漏れ。

対策

  • 留学生の受入時に特定類型に該当しないか確認
  • 研究テーマの該非判定を実施
  • 必要に応じて許可申請

パターン3:海外出張での技術説明

事例:海外の顧客を訪問し、製品の技術説明を口頭で行った。

問題:口頭での説明も「技術提供」に該当。

対策

  • 出張前に説明内容の該非判定
  • 規制技術を含む場合は許可申請
  • 説明範囲を限定(公知技術のみ等)

パターン4:クラウドでのファイル共有

事例:業務効率化のため、設計データをクラウドストレージにアップロードし、海外子会社からもアクセス可能にした。

問題:アクセス可能にした時点で「技術提供」と見なされる可能性。

対策

  • アクセス権限の適切な管理
  • 規制技術は国内限定サーバーで管理
  • クラウドサービスの選定時にセキュリティ確認

パターン5:貨物と技術の判定漏れ

事例:貨物の該非判定は行ったが、同時に提供する技術資料の該非判定を忘れた。

問題:技術についても別途該非判定が必要。

対策

  • 貨物と技術を分けてチェックするプロセス
  • チェックリストの活用

AIで技術管理を効率化する方法

技術管理の課題

技術の輸出管理には、以下のような課題があります。

課題 詳細
判断の難しさ 技術の該非判定は貨物より複雑
件数の多さ 技術提供は日常的に発生
追跡の困難さ 電子データの流れを把握しにくい
知識の偏在 輸出管理と技術の両方を理解する人材が少ない

ZEROCK EX-Checkによる解決

**ZEROCK EX-Check**は、技術の輸出管理にも対応した輸出管理特化型AIエージェントです。

機能 内容
技術の該非判定支援 技術資料から規制対象かを自動判定
関連貨物の特定 技術に関連する貨物を自動抽出
みなし輸出チェック 提供先が特定類型に該当するか確認
提供履歴の管理 誰に何を提供したかを記録

導入効果

指標 効果
判定時間 80%削減
判定漏れ ゼロ
記録の一元管理 実現

AIと人間の役割分担

作業 AI 人間
技術資料の分析 確認
関連貨物の特定 確認
規制該当可能性の判定 最終判定
提供可否の決定 提案 決定
記録の管理 監督

まとめ

技術提供規制のポイント

  • 技術提供も規制対象:図面、プログラム、口頭指導すべて
  • みなし輸出:国内での外国人への提供も規制
  • 2022年改正:特定類型の居住者への提供も規制対象に
  • 技術の該非判定:貨物とは別に実施が必要

実務上の注意点

  • 海外拠点への図面送付は輸出許可が必要な場合あり
  • クラウドでのファイル共有にも注意
  • 出張時の技術資料持ち出しも規制対象
  • 「設計で対策」しても取引審査は必要

企業に求められること

  • 技術の該非判定プロセスの整備
  • みなし輸出への対応体制構築
  • 技術資料の管理体制強化
  • 「知らなかった」では済まされない意識

TIMEWELLの技術管理支援

TIMEWELLは、技術の輸出管理を効率化するソリューションを提供しています。

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