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米中AI半導体 規制カレンダー 2024-2026|対称連動を1枚で読む完全ガイド

公開2026-05-20更新2026-07-19濱本 隆太

米中AI半導体の輸出規制を2024年から2026年7月まで1枚のカレンダーに整理。米国が審査方針を緩めても中国が税関でH200を事実上ブロックしNvidiaの対中収益はゼロ、MOFCOM公告第26号の通報制度や鉱物密輸の摘発まで、対称的に連動する制度応答を一次情報で解説します。

米中AI半導体 規制カレンダー 2024-2026|対称連動を1枚で読む完全ガイド
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こんにちは、株式会社TIMEWELLの濱本 隆太です。2024年から2026年にかけての輸出規制は、大きく米国・中国・EUの3つの主軸で展開してきました。そこへ日本・オランダ・UK・インド・台湾といった連動国の措置が四半期ごとに重なります。主軸の3者がルールを起案し、連動国がそれぞれの国内法の枠で同等の効果を出す運用を整える。これが基本構造です。

一見すると無関係なニュースの羅列に見えるかもしれません。けれども時系列に並べた瞬間、「ある国が動いた直後に別の国が対称的に動く」という構造がはっきり浮かび上がります。2024年12月に米国がEntity Listを更新した翌日、中国が鉱物の対米禁輸を発動しました。これは偶然ではありません。この記事では主要規制を1枚のカレンダーに整理し、連動関係を初心者にもわかる形で解説します。「米中対立」という枠ではなく、主権国家どうしの「対称的な制度応答」として中立に扱います。自社の取引が今どの規制に触れうるかを先に把握したい方は、輸出管理の該非判定セルフチェックから始めると、この後のカレンダーが自分ごととして読めるはずです。

この記事でわかること

  • 2024年から2026年7月までの主要な輸出規制を時系列で並べた1枚カレンダー
  • 米国の措置と中国の対応が対称的に発動される構造
  • 米国は許可を出したのに中国が税関で締め出したH200の逆転、Affiliates Rule停止の二段階設計、レアアース管理の最新動向
  • 2026年7月に始まったMOFCOM公告第26号の通報制度と、大連での日本人拘束など日本企業に直接効くエンフォースメント
  • 日本・オランダ・UK・インド・台湾などの連動国が米国基準にどう追随しているか
  • 日本企業が即時/中期でやるべきこと

カレンダーを読むための前提知識

カレンダーを読む前に、3つの概念と頻出略語を押さえておきます。ここを飛ばすと、後半の表が暗号のように見えてしまうので、面倒でも目を通してください。

ひとつ目は対称的応答です。ある国の輸出規制発動に対し、相手国が同じ性質の制度(許可制、品目指定、域外適用)で応答することを指します。ふたつ目は同盟国追随。米国の規則をそのままコピーするのではなく、自国の輸出管理法の枠内で「同等の効果」を出す運用を整えることです。みっつ目は規制連動。BIS更新から中国MOFCOM公告、EU委任規則、日本省令へと、四半期ごとに連鎖していく動きを指します。

頻出略語も先に並べておきます。BIS(米商務省産業安全保障局)は米国輸出管理規則(EAR)の運用組織。Entity ListはBIS指定の取引制限リストで、輸出に個別許可が要ります。FDPR(外国直接製品規則)は、米国製の装置やソフトで作られた外国製品にも米国規制が及ぶルール。HBM(高帯域メモリ)はAI演算向けの積層型メモリ、SME(半導体製造装置)はウェハ加工装置、EDA(電子設計自動化ソフト)はチップ設計に必須のソフト群です。ECCNは米国が品目ごとに割り当てる輸出管理分類番号で、先進AIチップは3A090に分類されます。中国側ではMOFCOM(商務部)が輸出管理を所管します。米国の規則形式にはIFR(暫定最終規則、パブコメと並行して即時施行)という言葉も出てきます。

「対立」ではなく「対称的な制度応答」として読む

個別の年次カレンダーに入る前に、全体を貫くフレームワークを先に押さえます。規制を時系列で並べて法的構造を比較すると、評価的な言葉を一切使わなくても事実関係はきれいに整理できます。

米国の措置の柱は「Entity List」「FDPR」「Outbound Investment(対外投資審査)」「先端コンピューティングの審査方針」の4つ。中国の措置の柱は「両用品目輸出管理条例」「公告46号(鉱物禁輸)」「公告61号(域外適用)」「規制リスト指定」の4つです。呼び名はまったく違いますが、どちらも「特定品目、特定相手、特定行為を許可制にする」という同じ構造を共有しています。公的な説明としても、双方とも国家安全保障を理由に挙げ、相手側の制度設計を踏まえて自国の制度を整備するという点で一致しています。

この対称のフレームワークを頭に入れた状態でカレンダーを読むと、新しい規制が出てきたときに「これは相手のどの措置に対応した動きか」を予測しやすくなります。2025年11月に米国がAffiliates Ruleを1年間停止したのは、中国が同月にレアアース域外適用を停止したことと一対の取引でした。片方だけを見ても全体像はつかめません。そして2026年に入ると、この対称性に「規制の実効化」というもう一段が加わります。ルールを作り合うだけでなく、実際に税関で止め、摘発し、通報制度で網を広げる段階へ移りました。

自社の取引先がこの規制の射程に入るかは、資本関係をさかのぼらないと判定できません。会社名から合算持分を計算するBIS 50%ルールの簡易チェックを無料で用意しています(登録不要)。復活の日を待たずに、いま当たりをつけておくことをおすすめします。

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2024-2026 主要規制スケジュール

ここからが本題の1枚カレンダーです。年単位で区切りますが、本質は「年をまたいだ連鎖」にあります。表を眺めながら、米国の行と中国の行の日付がどれだけ近いかを意識してみてください。

2024年:第三次規制波の本格化

時期 主体 規制内容
2024年1月 EU 輸出管理白書を公表。EU独自の更新ペースを宣言
2024年4月1日 UK Export Control (Amendment) Regulations 2024 施行。量子・半導体・付加製造をPL9013-9015として独自規制
2024年9月7日 オランダ ASML製DUV液浸露光装置2機種を独自輸出許可制に。保守・部品にも許可義務
2024年9月 米国 BIS 量子コンピュータ・SME・先進材料を対象とする暫定最終規則(IFR)公表
2024年10月19日 中国 国務院 両用品目輸出管理条例を公布
2024年10月28日 米国 財務省 Outbound Investment最終規則公表(半導体・量子・AIの対中投資制限)
2024年11月15日 中国 MOFCOM 両用品目輸出管理リストを公布(約700品目を統合)
2024年12月1日 中国 両用品目条例 施行
2024年12月2日 米国 BIS 第三次対中規制波。140エンティティをEntity List追加。HBM・SME・EDA等を強化
2024年12月3日 中国 MOFCOM 公告第46号。ガリウム・ゲルマニウム・アンチモン・超硬材料の対米輸出を原則不許可

12月初頭の数日間で米中が連続して措置を発動しています。BISが12月2日にEntity Listを更新し、その翌日12月3日に中国が対米鉱物禁輸の公告46号を出しました。日付の近さは偶然ではなく、相互の制度設計が「相手の動きを観測してから即応する」段階に入ったことを示しています。

2025年:AI Diffusion Ruleの登場と撤回、Affiliates Ruleと停止

時期 主体 規制内容
2025年1月2日 米国 Outbound Investment Rule 発効
2025年1月13日 米国 BIS AI Diffusion Rule(IFR)公表。世界を3層に分類しAI計算クラスタとモデルウェイトの拡散を管理
2025年4月1日 オランダ ASML向け追加規制。計測検査装置等を国独自の許可対象に
2025年4月4日 中国 MOFCOM 7種のレアアース(中・重希土類)を輸出管理強化、即日実施
2025年5月13日 米国 BIS AI Diffusion Rule を撤回。同日3本のガイダンス文書を公表
2025年8月 米国 Nvidia H20の対中輸出を条件付き許可(売上15%の対米政府支払い)
2025年9月8日 EU 両用品目リスト 2025年改定(委任規則)採択。量子・SME・付加製造等を追加
2025年9月23日 インド SCOMET改定。Category 7(新興技術)新設
2025年9月29日 米国 BIS Affiliates Rule(50%ルール)即時施行(連邦官報2025-19001)。Entity List等の50%超子会社も同等規制
2025年10月9日 中国 MOFCOM 公告第61号。レアアース関連品目に域外適用(中国成分0.1%超なら許可)を導入
2025年11月1日 米中 経済通商合意を発表。規制の相互停止を約束
2025年11月10日 米国 BIS Affiliates Ruleを1年停止(連邦官報2025-19846)。一部中国企業をEntity Listから削除
2025年11月10日 中国 10月9日のレアアース域外適用を2026年11月10日まで停止。対米軍事用途禁止は継続
2025年11月18日 台湾 戦略的ハイテク輸出管理リストに18品目(先進3Dプリンタ、先進半導体装置、量子計算機)追加方針発表
2025年12月 中国 MOFCOM レアアース一般許可制度を開始。JL MAG・San Huan・Yunsheng等の磁石メーカーに最初の許可
2025年12月16日 UK Export Control (Amendment) No.2 Regulations 2025 施行。EU 500シリーズと整合

2025年は「規制の建設」と「規制の取引化」が並走した年です。前半は両側がレアアースとAIの新ルールで応酬し、後半は規制をビジネス交渉のテーブルに乗せるやり方が出てきました。象徴的だったのが11月の動きです。米国がAffiliates Rule(Entity List企業の50%超子会社にまで規制を拡張するルール)を施行からわずか6週間で1年停止し、引き換えに中国がレアアース域外適用を停止する。規制が外交カードそのものになった瞬間でした。

2026年:H200の逆転劇と中国エンフォースメントの本格化

時期 主体 規制内容
2026年1月15日 米国 BIS 先端コンピューティング品目の審査方針を「原則不許可」から「ケースバイケース」に改定(連邦官報2026-00789)。TPP<21,000かつDRAM帯域<6,500GB/s、ECCN 3A090が線引き。H200・AMD MI325X等が対象
2026年2月中旬 米国 H200の対中許可がまず小口で発給と報道(Bloomberg、2月26日)
2026年2月24日 中国 MOFCOM 日本の20組織を輸出管理規制リストに指定(三菱造船、三菱重工、防衛大学校、JAXA等)
2026年4-5月 中国 MOFCOM 中・重希土類7種の管理は継続。一般許可で民生向けは緩和も、輸出量は規制前比で約5割減
2026年5月 米国 H200の対中許可をアリババ・テンセント・バイトダンス等10社程度へ発給。各社最大約7.5万チップ規模
2026年5月 中国 大連で日本人が希土類密輸容疑で拘束。上海税関がゲルマニウム含有レンズの虚偽申告を摘発
2026年6月24日 中国 MOFCOM 公告2026年第26号を公布。戦略鉱物・両用品目の輸出管理違反の通報(内部告発)制度を新設
2026年7月1日 中国 公告第26号 施行
2026年(許可カタログ更新) 中国 MOFCOM サマリウム・ガドリニウム・ルテチウムの化合物を管理対象に追加
2026年11月10日 米国 BIS Affiliates Rule停止期限。延長がなければ条項をEARへ無期限で再追加(連邦官報2025-19846)
2026年11月10日 中国 レアアース域外適用の停止期限。延長か再発動かの判断

2026年に入って最も大きく動いたのがAIチップです。1月15日のBIS最終規則(連邦官報2026-00789)で、H200やその同等品の対中審査が「原則不許可」から「ケースバイケース」へ変わりました12。線引きは技術指標で決まります。総処理性能(TPP)が21,000未満で、なおかつDRAM帯域が6,500GB/s未満、分類はECCN 3A090。この枠に収まるH200やAMD MI325Xおよびそれ以下の品目が、ケースバイケース審査の対象になりました3。ただし再輸出、第三国から中国への輸出、中国・マカオ域内での移転は原則不許可のまま据え置かれています。つまり緩んだのは「新規に中国へ売る」入口だけで、いったん入ったチップを他へ動かす経路は閉じたままです。

そして5月、アリババ、テンセント、バイトダンス、JD、レノボ、フォックスコンなど10社程度に許可が下りました。各社最大で約7.5万チップという規模です4。当初は2026年2月中旬までに約82,000ユニットを引き渡す計画も報じられていました5。ところが、ここで話が反転します。

米国が許可を出しても、中国が税関で止めた

去年までのH200は「米国が売らせない」問題でした。2026年の実態はその逆です。米国が審査方針を緩めて許可を出したのに、今度は中国側の税関がH200の輸入を認めず、事実上ブロックしている。中国当局は「輸入は認められない」と国内企業へ通達し、政府は自国のテック企業に国産チップ(ファーウェイのAscendシリーズなどが代表格)の採用を誘導していると報じられています。恒久措置なのか一時的な圧力なのかは、7月時点では読み切れません。

数字がこの逆転をはっきり物語ります。Nvidiaは2026会計年度(2026年4月26日締め)の時点で、H200の対中ライセンス制度による収益をまだ計上していません6。当初計画のおよそ82,000ユニットに対して、実際の引き渡しは未達。7月時点で対中出荷は「わずか(trivial)」と評されるレベルにとどまり、市場の関心はむしろ次世代のBlackwell系(B30Aなど)を中国に売れるのかという「抜け穴」論争へ移りつつあります。この次世代品の可否は一次情報での確認を要する論点なので、現時点では確定した制度変更としては扱いません。

支払い条件も見落とせません。H200の対米支払いは、収益の25%(Section 232関税ベース)で、製品ごとに米国出荷量の50%を上限とする条件だと報じられています。さらに台湾で製造されたチップは、中国へ出荷する前に米国内で第三者テストを受ける必要があるとされます。許可・課税・供給確認・セキュリティ検査という複数のゲートを通したうえで、最後に中国税関という壁が立ちはだかる。規制が緩和されたというより、入口を開けた側と出口を閉めた側が入れ替わった、と読むほうが正確でしょう。

中国のエンフォースメントが「制度」から「摘発」へ

もうひとつ、2026年前半で日本企業が直視すべきなのが、中国側の運用強化です。6月24日にMOFCOMは公告2026年第26号を公布し、7月1日に施行しました。戦略鉱物や両用品目の輸出管理違反について、通報(内部告発)制度を新設した内容です7。対象は無許可輸出、分解による規制回避、第三国を経由した迂回、技術移転にとどまりません。物流や通関代行(customs brokerage)、EC、金融サービスを通じて違法輸出を手助けした行為までが射程に入ります。取引の当事者だけでなく、それを支える周辺サービスまで通報の網がかかったわけです。

制度は紙の上の話ではなくなっています。2026年5月には、大連で日本人が希土類の密輸容疑で拘束されました。同じ時期、上海税関はゲルマニウムを含む精密光学レンズを一般ガラスと虚偽申告した容疑で、光学メーカーの会長に強制措置を取っています。ゲルマニウムもレアアースも、日本の製造業が日常的に扱う材料です。「規制リストに載っているかどうか」だけでなく、「申告の正確さ」や「回避と見なされる行為をしていないか」までが摘発対象になっている。ここが2026年の新しい怖さです。

中国側のレアアースも、緩和と継続と拡張が同居しています。2025年4月の中・重希土類7種への管理は2026年も有効で8、ディスプロシウムやテルビウムの輸出は規制前の半分程度にとどまっています。一方で2025年12月に始まった一般許可制度(事前承認した取引先に年間複数回の出荷を認める仕組み)で、民生向けの流れは部分的に回復しました。さらに2026年の許可カタログ更新では、サマリウム・ガドリニウム・ルテチウムの化合物が新たに管理対象へ加わりました。永久磁石、医療画像機器、航空宇宙部品、触媒、先端電子部品に効く材料群です。停止されているのはあくまで10月9日の域外適用措置だけで、規制の骨格は残ったまま、対象は静かに広がっています。

連動の具体例:米BIS Affiliates Rule停止 ⇄ 中国レアアース停止

2026年の構造を最もよく示すのが、2025年11月の一対の動きです。前年12月の「Entity List追加の翌日に鉱物禁輸」が攻めの対称応答だとすれば、こちらは守りというか、規制を引っ込め合う対称応答です。

米国側は11月10日、施行からわずか6週間のAffiliates Ruleを1年間停止しました。このルールは、Entity ListやMilitary End User Listに載った企業に50%以上所有される子会社まで、同じ規制対象に引き込むものです。OFAC(米財務省外国資産管理室)の50%ルールを輸出管理に持ち込んだ設計で、コンプライアンス負担が一気に跳ね上がると実務界で警戒されていました。原規則は連邦官報2025-19001(2025年9月30日)9、そして停止の一次根拠が「One Year Suspension」を定めた連邦官報2025-19846(2025年11月12日掲載)です10

この停止は単純な「一時停止」ではなく、二段階の設計になっている点が重要です。第1段階として、2025年11月10日から2026年11月9日まで、Affiliates Ruleの全変更が停止されます。第2段階として、延長がなければ2026年11月10日以降、停止されていた条項がEARへ無期限で再追加される。しかも全世界向けに、です10。「1年間止めた」ではなく「1年後に自動で復活する時限装置を仕込んだ」と理解しておくと、期限の重みが変わってきます。

同じ11月10日、中国は10月9日のレアアース域外適用措置を2026年11月10日まで停止しました。中国成分が0.1%を超えれば第三国の取引にも中国の許可が必要になる、という域外適用は、Affiliates Ruleと鏡写しの構造を持っていました。両方とも「相手国に出した規制を、外交合意のために期限付きで引っ込める」動きです。

ここで読み取るべきは、停止期限がどちらも2026年11月10日にそろっている点です。延長がなければ、Affiliates Ruleは11月10日に無期限で再発効し、中国のレアアース域外適用も同日に判断を迎えます。つまり2026年11月10日は、米中の規制が同時に「再点火」しうる日です。この日付を社内カレンダーに赤字で入れておく価値があります。レアアース規制の全体像は中国レアアース輸出規制マップで扱っています。

自社の取引先がEntity Listや中国の規制リストに該当しないか、レアアースの中国成分が閾値を超えていないか、通関の申告内容が回避と見なされないか。この種の該非判定や取引先スクリーニングを手作業で四半期ごとに回すのは、もう現実的ではありません。TIMEWELLのTRAFEEDなら、各国の一次資料を取り込んだ自動審査で「次に効く規制」を翌日に把握できます。判断に迷う案件があれば、個別相談でご相談ください。機能概要はTRAFEEDサービスカタログ(PDF)にまとめています。

連動国(日・蘭・UK・EU・印・台)の追随パターン

主軸の米中EUに対して、連動国(日本、オランダ、UK、インド、台湾)は基本的に米国基準への整合を志向します。共通するのは「米国の規則をコピーするのではなく、自国の輸出管理法の枠で同等の効果を出す」運用です。EUは主軸でもありますが、加盟国レベルでは連動国としても振る舞います。

日本は2023年7月の省令で23品目、2024年から2025年にかけて量子・先端半導体関連で21品目を追加しました。形式は外為法ですが、対象品目は米国EARと実質的に重なります。オランダはASMLの本拠地として、2024年9月にDUV液浸露光装置2機種、2025年4月に計測検査装置を独自規制対象にしました。EUは2025年9月8日に両用品目リストを委任規則で改定し、量子・SME・付加製造等を追加しています。

その他の連動国も足並みをそろえています。UKはPL9013-9015と2025年12月改正でEU 500シリーズと整合させ、インドはSCOMET Category 7を2025年10月に発効、台湾は2025年11月に18品目追加方針を発表しました。韓国も個別案件で米国基準と整合した運用を続けています。同盟国の独自規制が整備されればされるほど、第三国の企業から見た規制の重なりは増えていく。日本企業にとってこれは、追うべき法域がひとつ増えるたびにチェック工数が掛け算で増えることを意味します。

業界別の影響整理

業界によって規制の効き方が違うので、半導体、AI、レアアースの3分野で整理します。

半導体(先端ロジック、メモリ、製造装置)では、2024年12月のHBM・SME強化とEntity List 140社追加で、TSMC・サムスン・SK hynixの対中拠点に許可義務がかかりました。2025年9月のEU 500シリーズ改定でASML・ASMI・ZEISS等の運用も変わっています。そして2026年1月のBIS最終規則によるケースバイケース審査で、先進AIチップの中国販売チャネルが再構築されつつあります。ただしH200の例が示すとおり、審査基準が緩んでも実際に売れるかどうかは相手国の税関次第という不確実性が上乗せされました。

AI(モデルウェイト、計算インフラ)は、運用の転換が最も激しい分野です。2025年1月のAI Diffusion Rule公表、5月の撤回、3本のガイダンス、8月のH20条件付き許可(売上15%支払い)、2026年1月のケースバイケース最終規則、2月の小口許可、5月のH200許可発給。「広域管理」から「ケース管理プラス取引化」へ、わずか1年半で運用の重心が大きく動きました。それでも中国税関が輸入を止め、政府が国産チップへ誘導した結果、Nvidiaの対中ライセンス収益は実質ゼロにとどまっています。米国が入口を開けても、需要側の政策判断ひとつで実需はゼロになりうる。AIチップの調達計画は、この非対称なリスクを織り込む必要があります。

レアアース・重要鉱物は、2024年12月のガリウム・ゲルマニウム対米禁止、2025年4月の中・重希土類7種の管理強化、10月の域外適用導入、11月の停止、12月の一般許可制度開始、2026年のサマリウム等の追加、そして2026年11月10日の期限到来という連続した流れです。EV駆動モーター、化合物半導体、赤外センサ、防衛・航空に直接効きます。一般許可で民生向けが緩和されても輸出量が規制前の半分程度にとどまっている事実は、制度の停止と実態の回復にずれがあることを示しています。そこへ通報制度と摘発が加わり、リスクは「輸出できるか」から「輸出の過程で違反を疑われないか」へと広がりました。

日本企業のToDo

ここまでの整理を受けて、即時と中期で取り組むべき項目を並べます。順番にも意味があるので、上から手をつけてください。

即時対応として、まず中国成分の棚卸しです。公告61号の0.1%ルールは停止中とはいえ、2026年11月10日以降の延長は確定していません。サマリウム・ガドリニウム・ルテチウムが新たに管理対象へ入った以上、レアアース含有量を全製品で確認し直しておくべきです。次にエンドユーザーの再確認。中国側の規制リスト・監視リストに取引先が載っていないか四半期ごとにチェックします。そして通関の点検。MOFCOM公告第26号の通報制度は、物流・通関代行・金融サービスまで射程に入れています。品目分類や申告内容に曖昧さがないか、回避と見なされうる取引形態が混ざっていないかを、通関実務のレベルで見直しておく必要があります。ゲルマニウムを一般ガラスと申告して摘発された事例は、対岸の火事ではありません。最後に三重管理の文書化。同じ取引に外為法・米国EAR・中国両用品目条例が同時適用される前提で書類を整えておくことです。

中期対応では、代替調達ルートの検討から始めます。レアアース・ガリウム・ゲルマニウムについて、豪州・インド・カナダなど非中国ソースを評価しておく。AIチップ調達計画では、米国側のケースバイケース審査に対応した取引先の許可履歴を把握しつつ、H200のように許可が出ても中国税関で止まるリスクを前提に、調達リードタイムを長めに見積もる必要があります。最後にコンプライアンス体制。経営委員会と実務専門部署の二層構成という経産省ガイドラインのモデルを整備しておくと、規制が再点火したときの初動が速くなります。

よくある誤解/FAQ

Q1. H200が許可されたなら、もう中国向けAIチップ規制は緩んだのですか?

A. むしろ問題の主体が入れ替わったと見るべきです。米国は2026年1月に審査方針を緩め、2月に小口、5月に10社程度へ許可を出しました。ところが今度は中国側の税関がH200の輸入を認めず、政府が国産チップへの切り替えを誘導しています。結果として、Nvidiaの2026会計年度時点での対中ライセンス収益は実質ゼロ、出荷はわずかにとどまっています。米国が入口を開けても、中国が出口を閉めれば実需は動かない。これが7月時点の実態です。

Q2. 中国の0.1%ルールは本当に日本企業に効きますか?

A. 公告61号の規定上は効きます。例えば100万ドル相当の装置に1,000ドル相当の中国産レアアースが使われていれば、その装置を第三国に輸出する際に中国MOFCOMの許可が必要になります。2025年11月から停止中ですが、停止期限は2026年11月10日で、延長は確定していません。加えて、2026年7月に始まった公告第26号の通報制度により、こうした規制の回避や迂回が第三者から通報されるリスクも現実になっています。

Q3. 初心者がまずやるべきことは?

A. 順に3点です。第一に自社製品の品目分類(HSコード、ECCN、中国両用品目リスト番号)の確認。第二に主要取引先のEntity List/Unreliable Entity List該当チェック。第三に中国成分(レアアース、特定材料)の含有量調査と、通関申告の正確性の点検。この3つで全体像の8割が見えます。摘発が現実になった今、3番目の「申告の正確さ」を軽く見ないことが肝心です。

まとめ

  • 2024-2026年の規制は、ほぼ四半期ごとに「ある国の措置 → 別の国の対称的応答 → 同盟国の追随」という連鎖を繰り返している
  • 攻めの対称応答(2024年12月のEntity List追加翌日の鉱物禁輸)と、守りの対称応答(2025年11月のAffiliates Rule停止とレアアース停止)の両方がある
  • 2026年のH200は「米国が許可を出しても中国が税関で締め出す」逆転が起き、Nvidiaの対中収益は実質ゼロ。規制の緩和ではなく、入口と出口の攻守が入れ替わった
  • 中国は公告第26号(7月1日施行)で通報制度を新設し、大連での日本人拘束など摘発も現実化。リスクは「輸出できるか」から「過程で違反を疑われないか」へ広がった
  • 日本企業は外為法・米国EAR・中国両用品目条例の三重管理を前提に、通関申告の正確性まで含めて即時/中期のToDoを並走させる必要がある

次の最大の分岐点は2026年11月10日です。Affiliates Ruleの再発効とレアアース域外適用の判断がそろうこの日を境に、規制が再点火するのか、合意が延長されるのかが決まります。今のうちから「再点火した場合に自社のどの取引が止まるか」をシミュレートしておくと、当日慌てずに済みます。個人的には、11月の期限より先に効いてくるのは中国の通報制度と摘発だと見ています。制度の再点火は日付が決まっている分だけ備えやすい。むしろ日付の決まっていないエンフォースメントのほうが、足元の実務を静かに揺らしています。

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規制連動を毎日追いきれない方へ

この記事だけで日付90件以上、規則・組織名60件以上が登場しました。米・中・EU・日・蘭・UK・印・台の四半期ごとの更新を、社内の総務・法務だけで毎日追いつづけるのは現実的でしょうか。一次資料の言語も英・中・日にまたがり、見落とせば「翌日には自社が規制対象になっている」状態が常態化しています。しかも2026年からは、規制リストへの追加だけでなく、通関申告や通報制度といった運用面の落とし穴まで見張る必要が出てきました。

TIMEWELLが提供するTRAFEED(旧ZEROCK ExCHECK)は、世界初の輸出管理AIエージェントとして、各国の一次資料(連邦官報、MOFCOM公告、官報、EU委任規則など)を継続的に取り込み、自社の取引パターンに照らした影響分析を自動化します。多言語の一次資料を直接処理し、Entity List・規制リスト・監視リストをクロスチェックし、経産省基準・米国EAR・中国両用品目条例を同時に審査します。規制が改定されればアラートが飛びます。なお、最終的な該非判定は貴社の輸出管理責任者が行う前提で、その判断材料を素早く揃えるための道具として設計しています。

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脚注

参考文献

  • 米国:BIS(bis.gov)、連邦官報(federalregister.gov)、GovInfo(govinfo.gov)、米SEC EDGAR(NVIDIA Form 10-Q)、米財務省 Outbound Investment
  • 中国:MOFCOM(mofcom.gov.cn)、両用品目輸出管理条例、公告第46号・第61号、公告2026年第26号
  • EU・UK:EU Trade and Economic Security、EU 2024 White Paper on Export Controls、UK ECJU 告示
  • 日本:経産省 安全保障貿易管理、CISTEC、JETRO
  • 業界・法律事務所:Covington、Skadden、DLA Piper、Arnold & Porter、Taylor Wessing、Morgan Lewis、Tom's Hardware

Footnotes

  1. Federal Register, "Revision to License Review Policy for Advanced Computing Commodities" (2026-00789), effective Jan 15, 2026. https://www.federalregister.gov/documents/2026/01/15/2026-00789/revision-to-license-review-policy-for-advanced-computing-commodities

  2. GovInfo, FR-2026-01-15 official PDF (2026-00789, Vol.91 No.10). https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2026-01-15/pdf/2026-00789.pdf

  3. BIS, "Department of Commerce Revises License Review Policy for Semiconductors Exported to China." https://www.bis.gov/press-release/department-commerce-revises-license-review-policy-semiconductors-exported-china

  4. Tom's Hardware, "The Nvidia H200 export saga, as it happened." https://www.tomshardware.com/tech-industry/semiconductors/us-eases-nvidia-export-restrictions-h200-cleared-for-china-under-tight-controls

  5. Tom's Hardware, "Nvidia prepares shipment of 82,000 AI GPUs to China as chip war lines blur." https://www.tomshardware.com/tech-industry/semiconductors/nvidia-prepares-h200-shipments-to-china-as-chip-war-lines-blur

  6. NVIDIA Corporation, Form 10-Q, fiscal period ended April 26, 2026(H200対中ライセンス制度による収益は未計上). https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/0001045810/000104581026000052/nvda-20260426.htm

  7. Morgan Lewis, "Recent China Export Control Actions Signal Active Enforcement for Rare Earths and Strategic Minerals," Jul 2026(MOFCOM公告2026年第26号・通報制度と摘発事例の解説). https://www.morganlewis.com/pubs/2026/07/recent-china-export-control-actions-signal-active-enforcement-for-rare-earths-and-strategic-minerals

  8. Taylor Wessing, "Key Changes in China's Export Control Landscape for Rare Earths," Apr 2026. https://www.taylorwessing.com/en/insights-and-events/insights/2026/04/key-changes-in-china-s-export-control-landscape-for-rare-earths

  9. Federal Register, "Expansion of End-User Controls To Cover Affiliates of Certain Listed Entities" (2025-19001), effective Sep 29, 2025. https://www.federalregister.gov/documents/2025/09/30/2025-19001/expansion-of-end-user-controls-to-cover-affiliates-of-certain-listed-entities

  10. Federal Register, "One Year Suspension of Expansion of End-User Controls for Affiliates of Certain Listed Entities" (2025-19846), published Nov 12, 2025. https://www.federalregister.gov/documents/2025/11/12/2025-19846/one-year-suspension-of-expansion-of-end-user-controls-for-affiliates-of-certain-listed-entities 2

本記事は一部にAIを用いて作成し、公開前に人間が一次情報の確認と編集を行っています。

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