こんにちは、株式会社TIMEWELLの濱本です。
新規事業のアイデアを人に話したとき、「で、それって結局、誰の何が嬉しいの?」と聞き返されて言葉に詰まった経験はないでしょうか。頭の中では価値があると信じているのに、いざ口に出すと「便利になります」「効率が上がります」くらいのふわっとした説明しか出てこないものです。この「提供価値をうまく言語化できない」もやもやを、紙一枚で解きほぐすための道具が、バリュープロポジションキャンバス(Value Proposition Canvas、略してVPC)です。
この記事は、新規事業づくりの9ステップのうちSTEP3にあたります。前のステップで顧客の課題を共感マップで掘り下げたなら、次はその課題に対して「自分たちは何を差し出すのか」を言葉にする番です。全体像は新規事業フレームワーク完全ガイドにまとめてあるので、順番に進めたい方はそちらから読んでください。
この記事のゴールは、読み終わったあなたが実際にキャンバスを1枚埋め切れることです。抽象論は最小限にして、どこから書くか、何をどう書くか、AIにどう手伝わせるかまで、手を動かせる粒度で書きます。書きながら進められるように、サンプルPPTテンプレートを無料ダウンロードできるようにしました。まずは手元に開いてから読み進めると理解が早いはずです。
なお、自分の事業構想をAIに壁打ちしてブラッシュアップしたい方は、先にAIリテラシー診断で今のAI活用レベルをざっと測っておくと、この記事後半のプロンプト集をより使いこなせます。
バリュープロポジションキャンバスとは何か
バリュープロポジションキャンバスは、『ビジネスモデル・ジェネレーション』で知られるアレックス・オスターワルダーらが、続編『バリュー・プロポジション・デザイン』(2014年)で体系化したフレームワークです1。ひとことで言えば、「顧客が本当に片づけたいことは何か」と「自社が差し出す価値」を、ずれなく噛み合わせるための思考の型です。
ここで押さえておきたいのが、VPCは単体で完結する道具ではない、という点です。VPCは、事業全体を俯瞰するビジネスモデルキャンバス(BMC)の9ブロックのうち、「顧客セグメント」と「価値提案」の2つだけを取り出して拡大するための、いわば虫めがねにあたります。BMCが事業の全体地図だとすれば、VPCはその地図で一番勝負がかかる場所を深掘りする詳細図です。だから本来はセットで使います。BMCで全体を描き、価値提案という心臓部をVPCで掘る、という関係だと覚えておいてください。
もうひとつ、日本語で調べると必ず出くわす混乱の種を先にほどいておきます。「バリュープロポジション」と検索すると、「自社の強み」「顧客のニーズ」「競合の提供価値」の3つの円を重ねたベン図がよく出てきます。3つの円が重なる真ん中こそが提供価値だ、という説明です。これはこれで分かりやすい図なのですが、オスターワルダーのVPCとは別物です。VPCは後述するとおり2つのサイドと6つのブロックでできていて、競合を直接の構成要素には入れません(競合との差別化は、最後に提供価値を一文にする段階で考えます)。目的が近いので併用してもかまいませんが、構造がまるで違うので、「どちらのことを指しているのか」を意識して読み分けてください。この記事で扱うのは、後者のオスターワルダー版です。
VPCの背景には、故クレイトン・クリステンセンが広めた「ジョブ理論(Jobs to be Done)」の考え方があります。人はドリルが欲しいのではなく「穴」が欲しい、という有名なたとえのとおり、顧客は製品そのものではなく、自分の生活や仕事で片づけたい用事(ジョブ)を解決するために製品を「雇っている」という見方です。VPCの右半分は、この「顧客のジョブ」を出発点に据えています。
2つのサイドと6つのブロックを理解する
キャンバスは、右側の円と左側の四角という2つのサイドでできています。右の円が顧客プロフィール、左の四角がバリューマップです。公式のレイアウトでは、四角のバリューマップが左、円の顧客プロフィールが右に並びます。これはBMCの並びと対応させるためで、左側に自社(提供する側)、右側に顧客、と位置づけると頭に入りやすいでしょう。
右の顧客プロフィール(円)は、さらに3つのブロックに分かれます。ひとつ目は「顧客のジョブ」で、顧客が片づけたい用事や達成したいことです。ふたつ目は「ペイン」で、そのジョブを片づけるうえで邪魔になる不満、障害、リスクです。三つ目は「ゲイン」で、顧客が得たい成果や嬉しさです。この円を埋めるとき大事なのは、ジョブを機能面だけで捉えないことです。ジョブには、具体的な作業をこなす機能的ジョブのほかに、他人からどう見られたいかという社会的ジョブ、そして安心したい・自信を持ちたいといった感情的ジョブがあります。差別化のヒントは、案外この社会的・感情的なジョブに眠っています。
ペインは、望まない結果、そもそも着手を妨げる障害、起こりうる悪いこと(リスク・不安)の3つの角度で洗い出すと漏れが減ります。「面倒」「気まずい」「間違えそう」といった感情の言葉も、立派なペインです。ゲインのほうは、必須のゲイン(無いと話にならないもの)、期待するゲイン(当然あると思っているもの)、望むゲイン(あれば嬉しいが自分からは言わないもの)、想定外のゲイン(期待を超える驚き)の4段階で捉えます。ここで全部を平らに書き出すのではなく、ペインは深刻度、ゲインは重要度でランクをつけることが肝心です。目指すのは、あれば嬉しい程度の「ビタミン剤」ではなく、強い痛みを消す「鎮痛剤」を作ることだからです。
左のバリューマップ(四角)も3ブロックです。「製品・サービス」は提供物そのものの一覧、「ペインリリーバー」は製品がどのようにペインを取り除くか、「ゲインクリエイター」は製品がどのようにゲインを生み出すかを書きます。そして両サイドがきちんと噛み合っている状態を「フィット(Fit)」と呼びます。フィットには段階があって、まず紙の上で顧客の課題と解決策が噛み合った「問題と解決策のフィット」、次に実際の市場で価値が実証された「製品と市場のフィット(プロダクトマーケットフィット)」、最後にそれが利益の出る事業に組み込めた「ビジネスモデルのフィット」と進みます。VPCが直接カバーするのは主に最初の段階です。ここを紙の上で丁寧に描けているかどうかが、その後の検証の効率を大きく左右します。
書き方の核心は「円から先に書く」こと
VPCの書き方でいちばん大事なのは、順番です。必ず右の顧客プロフィール(円)から書き、左のバリューマップ(四角)は後から書きます。理由はシンプルで、先に自社の解決策を書いてしまうと、その解決策に都合のいいようにジョブやペインを逆算してしまい、円が「自社都合」に歪むからです。これは新規事業でいちばんやりがちな失敗で、私自身も過去に何度も踏み抜きました。順番を守るだけで、この事故はかなり防げます。
具体的な手順を追っていきます。
まずステップ0として、対象の顧客セグメントを1つに絞ります。1枚のキャンバスに複数の顧客を混ぜると、ジョブもペインも平均化されてぼやけ、誰にも刺さらなくなります。「共働きで未就学児のいる30代」のように、顔が浮かぶくらい具体的にしてください。ターゲットが複数いるなら、面倒でも人数分キャンバスを分けます。ここは顧客セグメンテーションで切り分けたセグメントを1つ持ってくると素直につながります。
ステップ1で、顧客のジョブを書きます。自社製品のことはいったん忘れて、その人の一日や業務の流れを思い浮かべながら、機能的・社会的・感情的の3種類に分けて書き出します。ステップ2でペインを、ジョブの前・最中・後に起きる不満や障害として列挙します。ステップ3でゲインを、必須・期待・望む・想定外の4段階で書きます。ペインの裏返し(不満が消えること)だけでなく、積極的に欲しい価値も忘れずに拾ってください。ステップ4では、ここまで書いたジョブ・ペイン・ゲインを深刻度や重要度でランクづけし、それぞれ上位3つ程度に絞ります。全部に応えようとしないことが、鎮痛剤を作る第一歩です。
この円づくりを一人で唸って進めるのはしんどいので、AIに草案を量産させると一気に楽になります。次のプロンプトを、自分のセグメントに書き換えて貼ってみてください。
あなたは新規事業のリサーチャーです。以下の顧客セグメントについて、
バリュープロポジションキャンバスの「顧客プロフィール」を作成してください。
# 顧客セグメント:【例:独立1〜3年目のフリーランス。経理が苦手】
# わかっている情報やインタビューメモ:【あれば貼る。無ければ「仮説でよい」と書く】
出力形式:
(1) 顧客のジョブ を「機能的・社会的・感情的」に分けて各3つ
(2) ペイン を「望まない結果・障害・リスク」の観点で5つ、深刻度(高・中・低)付き
(3) ゲイン を「必須・期待・望む・想定外」で各1〜2つ
最後に、各項目が「検証済みの事実」か「未検証の仮説」かのラベルを付け、
仮説には★印を付けてください。
ここで出てくる★印つきの項目が、まだあなたの想像でしかない部分です。VPCの各ブロックは、あくまで仮説にすぎません。ステップ5として、想定顧客5〜10人にインタビューし、書いた項目が「仮説(自分の想像)」なのか「事実(顧客が実際に口にした)」なのかを区別していきます。ズレていたら遠慮なく円を書き直してください。中立的に聞くのは意外と難しいので、質問づくりもAIに手伝わせると精度が上がります。
下記のバリュープロポジションキャンバスで★印を付けた「未検証の仮説」を、
顧客インタビューで確かめるための質問リストに変換してください。
# 未検証の仮説(ジョブ・ペイン・ゲイン):【貼る】
ルール:
(1) 自社の解決策やアイデアを匂わせない、中立的な聞き方にする
(2) 過去の具体的な行動やエピソードを引き出す
(「〜だと思いますか」ではなく「直近でそれをした時どうしましたか」)
(3) ペインの深刻度と、今どんな代替手段でしのいでいるかを必ず探る
オープンクエスチョンで10問、優先度順に並べてください。
インタビューで「今はどうやってしのいでいますか」を必ず聞くのがコツです。既存の代替手段(手作業、他社サービス、エクセル、そもそも我慢している、など)が見えると、あなたが本当に戦う相手が分かります。
バリューマップを書き、フィットを点検する
円が固まってはじめて、左のバリューマップに移ります。ステップ6で、まず「製品・サービス」として、自分たちが提供する機能やメニューを一覧化します。ステップ7で「ペインリリーバー」を書きます。ここが勘どころで、ステップ4で絞った上位のペイン一つひとつに対して、「どの機能が、どうやってそのペインを消すのか」を1対1で対応させます。機能名をただ並べるのではなく、「このペインを、この機能でこう消す」と線でつなぐイメージです。ステップ8で「ゲインクリエイター」を、上位ゲインに対して同じ要領で書きます。
製品の特徴(メリット)と、顧客が得る価値(ベネフィット)を混同しないよう気をつけてください。「口座連携機能がある」はメリットにすぎません。「通帳を毎回見て入金確認する手間が消える」まで書いて、はじめてペインリリーバーになります。バリューマップに機能名を並べただけで満足してしまうのは、非常によくある失敗です。
そしてステップ9、フィットの点検です。重要なジョブ、深刻なペイン、必須のゲインのそれぞれに、対応するペインリリーバーやゲインクリエイターが存在するかを確認します。上位項目なのに対応する解決策が無いなら、そこは「価値の穴」で、埋めるべき最優先ポイントです。逆に、誰も困っていないペインにわざわざ機能を用意しているなら、それは「過剰機能」で、初期は削る候補になります。この抜け漏れチェックも、AIに客観的に洗い出させると効率的です。
あなたはプロダクトマネージャーです。下記の顧客プロフィールと自社の提供物をもとに、
バリュープロポジションキャンバスの「バリューマップ」を作ってください。
# 顧客の上位ペイン(3つ):【貼る】
# 顧客の上位ゲイン(3つ):【貼る】
# 自社の製品・サービスや機能:【箇条書きで貼る】
出力:
(1) ペインリリーバー:各上位ペインに対し、どの機能がどう解消するかを1対1の対応表にする
(2) ゲインクリエイター:各上位ゲインに対し同様に対応表にする
(3) 「対応する機能が無いペインやゲイン(価値の穴)」と
「どの上位項目にも紐づかない機能(過剰機能の候補)」を明示する
フィット全体を厳しめに評価してほしいときは、投資家目線の辛口レビューをAIにやらせると効きます。自分では気づけない自社都合の思い込みが、けっこう炙り出されます。
あなたは投資家の視点を持つ辛口のメンターです。
下記のバリュープロポジションキャンバス全体を批評してください。
# 顧客プロフィール(ジョブ・ペイン・ゲイン):【貼る】
# バリューマップ(製品・ペインリリーバー・ゲインクリエイター):【貼る】
観点:
(1) 重要なジョブ・深刻なペイン・必須ゲインに価値提案がフィットしているか
(2) これは「鎮痛剤(強い痛みを消す)」か「ビタミン剤(あれば良い程度)」か
(3) 顧客都合でなく自社都合になっている項目はどれか
(4) 最も検証すべき危険な仮説トップ3
それぞれ改善提案も添えてください。
提供価値を一文に言語化する(架空事業の記入例)
キャンバスが埋まったら、最後にやることは提供価値を一文に言語化することです。ここまで来て言葉にできないなら、それはまだ価値が定まっていないサインだと私は考えています。テンプレはシンプルで、「〈顧客セグメント〉の〈重要なジョブ〉を、〈ペインの解消やゲインの創出〉によって助ける。〈競合や代替手段〉と違い〈差別化点〉である」に当てはめます。
抽象的なままだとイメージが湧かないと思うので、架空の新規事業を1つ最後まで通して記入してみます。事業名は「シメクル」。独立して1〜3年目のフリーランス(デザイナーやライター、エンジニアなど)向けに、請求書の作成から入金確認、確定申告用データの出力までをスマホで自動化するアプリ、という設定です。既存の会計ソフトは多機能すぎて使いこなせずに挫折した、という層をねらいます。
顧客プロフィール(円)を書くと、こうなります。機能的ジョブは「請求書を作って送る」「入金があったか確認する」「未入金を催促する」「確定申告用にデータを整える」。社会的ジョブは「クライアントにきちんとした事業者だと見られたい」。感情的ジョブは「お金まわりを自分で管理できているという安心感がほしい」。ペインは、請求書作成が面倒で後回しにする(深刻度・高)、入金確認のたびに通帳やアプリを見るのが手間(中)、未入金の催促が気まずくて言い出せない(高)、申告前に1年分を整理するのが地獄(高)、会計ソフトが高機能で高価格すぎて挫折した(中)。ゲインは、必須がインボイス番号と消費税が正しく入った請求書、期待がスマホだけで完結して見た目がきれい、望むが入金の自動検知と未入金の自動リマインド、想定外が確定申告データのワンクリック出力や資金繰りのグラフ表示、といった具合です。
これに対してバリューマップ(四角)を対応させます。製品・サービスは、インボイス対応の請求書テンプレ、銀行口座連携、自動リマインドメール、確定申告データのワンクリック出力、スマホアプリ。ペインリリーバーは、テンプレを選ぶだけで請求書が完成して「後回し」を消し、口座連携で入金を自動照合して「通帳確認の手間」を消し、定型文の自動リマインドで「催促の気まずさ」を肩代わりし、年間データの自動集計で「申告前の整理地獄」を消します。ゲインクリエイターは、インボイス番号と消費税の自動計算(必須ゲイン)、プロっぽいデザインテンプレ(期待ゲインである「信頼される見た目」)、入金自動検知と自動リマインド(望むゲイン)、資金繰りグラフ(想定外のゲイン)です。
これを一文にすると、こうなります。「経理が苦手な駆け出しフリーランスが、請求と入金管理を後回しにせず片づけられる。多機能な会計ソフトと違い、スマホで請求から確定申告データの出力まで自動で完結する」。テンプレどおりに、誰の・どのジョブを・どう解決・代替手段と何が違うか、が全部入っています。一文化の作業もAIに複数案を出させると、顧客が口にしそうな自然な言い回しが見つかりやすくなります。
下記のキャンバス情報から、提供価値(バリュープロポジション)を一文で言語化してください。
# 顧客セグメント:【貼る】
# 最重要ジョブ:【貼る】
# 解消する深刻なペイン:【貼る】
# 生み出すゲイン:【貼る】
# 競合や代替手段:【貼る】
出力:
(1)「〈誰〉の〈ジョブ〉を〈解決方法〉で助ける。〈代替手段〉と違い〈差別化点〉」のテンプレで3案
(2) 専門用語を使わず、顧客がそのまま口にできる自然な言い回しで3案
(3) 各案について「刺さる理由」と「弱い点」を一言添える
このシメクルの例で、フィットを点検してみます。深刻なペイン(後回し、催促の気まずさ、申告地獄)に、それぞれ対応するペインリリーバーが1対1で紐づいているので、これは鎮痛剤になっています。一方で、たとえば「名刺管理機能」を足したくなっても、上位ジョブに紐づかないので初期は載せません。過剰機能を避けるという判断です。そして最も検証すべき危険な仮説は、「催促の気まずさ」が本当にお金を払ってでも解消したいほど深刻なのか、という点です。ここはインタビューで確かめる、と印をつけておきます。
検証を回し続け、AIを事業づくりの相棒にする
VPCで気をつけたいのは、一度書いて「完成」と思ってしまうことです。キャンバスは生きた仮説の束で、事業への理解が深まるほど中身は変わっていきます。ステップ11として、MVP(必要最小限の製品)や小さな検証実験を回し、紙の上のフィットを実際の市場のフィットへと段階的に実証していきます。得られた顧客の反応でキャンバスを更新し、それをまた検証します。この往復を続けるうちに、円と四角はどんどん現実に近づいていきます。VPCは一度で完成しないもの、と最初から割り切っておくと気が楽です。
ここまで読んで気づいた方も多いと思いますが、この記事ではAIをかなり使い倒しています。仮説の草案づくり、抜け漏れチェック、辛口レビュー、一文化、インタビュー質問づくり。どれも「人間が唸って考える」より、AIに量産させて人間が取捨選択するほうが速くて質も安定します。ただし勘違いしてほしくないのは、AIに任せてよいのは仮説の生成までだ、という線引きです。それが本当に正しいかを確かめるのは、生身の顧客との対話でしかできません。仮説をAIが量産し、事実は人間がインタビューで拾う。この分担が、新規事業でAIを使うときの現実的な形だと私は考えています。
TIMEWELLでは、こうした「AIを事業づくりや業務の相棒にする」ための伴走をWARPというAIコンサルティングで提供しています。フレームワークを渡して終わりではなく、実際の事業に合わせてAIの使いどころを一緒に設計し、月次で伴走していく形です。自社の新規事業や既存業務でAIをどこまで頼れるか具体的に相談したい方は、WARPの個別相談から気軽に声をかけてください。
最後に、このステップでつまずきやすい点をもう一度だけ整理します。円より先に四角を書いてしまうこと。機能的ジョブばかりで、社会的・感情的ジョブを見落とすこと。全項目をびっしり埋めて重要度をつけず、鎮痛剤ではなくビタミン剤の山を作ってしまうこと。1枚に複数セグメントを混ぜて的がぼやけること。想像だけで書き切り、一次情報で検証しないこと。このあたりを避けるだけで、キャンバスの精度はずいぶん上がります。提供価値が一文でスッと言えるようになったら、次はアイデアを広げて磨く発想法に進んでください。言語化した価値の芯を持ったまま次のステップへ行くと、アイデア出しがぶれずに進みます。
キャンバスは、埋めることが目的ではありません。埋める過程で「自分は誰の、どんな痛みを、どうやって消すのか」がくっきりしてくること。それこそが、このシンプルな一枚の本当の価値だと思っています。
Footnotes
-
Strategyzer, "The Value Proposition Canvas"(提唱者オスターワルダーの公式解説)https://www.strategyzer.com/library/the-value-proposition-canvas ↩
