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ワシントン条約(CITES)とは?輸出入規制と必要書類を一次情報で解説

公開2026-07-19濱本 隆太

ワシントン条約(CITES)とは何か、動植物やその加工品を輸出入するとき何が必要かを一次情報で解説します。附属書I〜IIIの違い、外為法と輸出入貿易管理令による実装、輸出承認証・事前確認書やCITES輸出許可書、種の保存法との関係、お土産の特例、違反時の罰則(5年以下の拘禁刑・法人は最大1億円)まで整理しました。

ワシントン条約(CITES)とは?輸出入規制と必要書類を一次情報で解説
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ワシントン条約(CITES)とは?輸出入規制と必要書類を一次情報で解説

こんにちは、株式会社TIMEWELLの濱本です。

海外旅行で買ったワニ革のバッグが、帰国時の税関で止められる。同じ「ワニ」でも、原産国や個体群によっては商業目的の国際取引が原則禁止の区分に入っていて、そもそも合法に持ち出せない。こうした話は特別なケースではなく、実務で普通に起こります。背景にあるのがワシントン条約、正式名称は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」です。

野生動植物の保護と聞くと、輸出管理とは別世界の話に感じる方が多いと思います。ところが日本では、この条約は外為法(外国為替及び外国貿易法)と輸出入貿易管理令で実装されています。武器や先端技術の輸出管理とまったく同じ法律の枠組みの中で、動植物やその加工品の輸出入も規制されているわけです。輸出入の担当者にとっては、決して縁遠い話ではありません。

ここでは、ワシントン条約とは何かという基本から、附属書I〜IIIの違い、日本での規制の仕組み、輸出入で実際に必要になる書類、種の保存法との関係、そして違反したときの罰則までを、環境省・経済産業省・税関・e-Gov法令検索の一次情報にあたって整理します。自社が扱う品目にこうした規制が絡む可能性があるかどうかを先に確かめたい方は、輸出管理体制の無料診断で現状のギャップを数分でチェックできます。

ワシントン条約(CITES)とは──採択の経緯と附属書の3区分

ワシントン条約は、1973年3月3日にアメリカのワシントンD.C.で採択され、1975年7月1日に発効した多国間条約です。英語の正式名称(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora)の頭文字を取ってCITES(サイテス)と呼ばれ、日本では採択地にちなんでワシントン条約という通称が定着しています。日本は1980年に締結し、日本について条約が効力を生じたのは昭和55年、つまり1980年11月4日です。この発効日は輸出貿易管理令の附則にある施行期日でも確認できます。

条約の狙いはシンプルです。絶滅のおそれがある野生動植物を、国際的な取引によってさらに追い詰めてしまわないよう、国境をまたぐ取引そのものに歯止めをかけること。そのために、対象となる種を絶滅リスクの高さと必要な規制の強さに応じて三つの附属書に振り分けています。

ここで最初の誤解を解いておきます。ワシントン条約の対象は「生きた動物」だけではありません。輸出貿易管理令別表第2の36の項の文言でも確認できるとおり、規制対象には個体の一部、卵、種子、はく製、加工品、その他の派生物まで含まれます。象牙の印鑑やワニ革の財布、はく製、漢方に使われる動植物由来の原料、観葉植物の一部なども、種によっては対象です。「加工してあるから大丈夫」という思い込みが、通関トラブルの入口になりがちです。

三つの附属書の違いを、輸出入で何が必要になるかまで含めて一枚の表にしました。

区分 対象種のイメージ 商業目的の国際取引 輸出国側で必要なもの 日本の輸入時に必要なもの(経済産業省ルート)
附属書I 絶滅のおそれが特に高い種 原則禁止(学術研究など例外目的のみ) 輸出国のCITES輸出許可書 経済産業大臣の輸入承認証(加えて輸入許可書)。輸出国と輸入国の双方の許可が必要
附属書II 現在は絶滅のおそれはないが規制が必要な種 可能 輸出国のCITES輸出許可書(再輸出のときは再輸出証明書) 経済産業大臣の事前確認書
附属書III 掲載国が国内で保護し、他国に協力を求める種 可能 掲載国が原産ならCITES輸出許可書、それ以外は原産地証明書等 経済産業大臣の事前確認書

二つ目の誤解も先につぶしておきます。附属書IIは「絶滅のおそれはない」区分ですが、だからといって自由に売買や輸出入ができるわけではありません。輸出国のCITES輸出許可書と、日本に輸入する際の事前確認書が要ります。附属書IIも立派に規制対象です。

なお、どの種がどの附属書に載っているかは、締約国会議(CoP、Conference of the Parties)での改正によって動きます。締約国の数や附属書の最新の内容についてはこの記事で特定の数値を断定せず、環境省や経済産業省、税関の公式情報で必ず最新版を確認してください。同じ種でも原産国や個体群によって附属書IとIIに分かれることがある点も、実務では見落としやすいところです。

日本ではどう規制されるのか──外為法と輸出入貿易管理令、二つの当局

ワシントン条約は国と国との約束事なので、そのままでは国内の事業者や個人を直接縛りません。約束を国内で運用するための法律の裏付けが必要になります。日本はこれを、輸出入の管理を担う外為法と、その下位の政令である輸出貿易管理令・輸入貿易管理令で実装しました。

輸出については、輸出貿易管理令第2条第1項第1号と別表第2が根拠です。別表第2の36の項に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約附属書Ⅰ又は附属書Ⅱに掲げる種に属する動物又は植物」等が掲げられていて、これらを輸出しようとする者は経済産業大臣の輸出承認を受けなければなりません。外為法でいえば、条約履行等のための輸出承認義務を定めた第48条第3項がその上位の根拠にあたります。輸入については、外為法第52条の輸入承認義務を受けて、輸入貿易管理令第3条の輸入公表と第4条の輸入の承認で運用されています。CITES対象の品目は、輸入公表の二号承認品目として輸入承認証が求められるものと、事前確認品目として事前確認書が求められるものに分かれます。

ここで実務担当者が戸惑いやすいのが、当局が一つではないという点です。CITESの手続きを所管する管理当局は、海洋で採取した品などを除く一般的な輸出入については経済産業省、海洋で採取した品などについては農林水産省が担います。加えて、科学的な助言を行う科学当局という役割があり、植物と水棲動物は農林水産省、陸上動物は環境省が担当します。つまり、扱う品目が動物か植物か、陸のものか海のものかによって、話を持っていく先が変わります。自社の品目がどの当局の所管かを最初に見極めておかないと、手続きの入口でつまずきます。海洋採取品など農林水産省が管理当局となる品目の具体的な手続きは所管が分かれるため、個別に一次情報で確認してください。

CITESに限らず、輸出承認が必要になる品目は輸出貿易管理令別表第2にまとまっています。この別表第2の全体像と読み方は、輸出承認品目(別表第2)の実務ガイドで整理しているので、自社の扱う貨物が承認対象かどうかを確かめたい方はあわせて参照してください。

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附属書別に、輸出入で実際に必要になる書類

制度の建て付けがわかったところで、では実際に何を用意すればよいのかを附属書ごとに落とし込みます。ここが実務でいちばん問い合わせの多いところです。

日本から輸出する場合を考えます。輸出貿易管理令別表第2の36の項に該当する附属書I・II掲載種であれば、経済産業大臣の輸出承認を受けたうえで、CITES輸出許可書を取得します。附属書Iの生きた個体や商業目的の取引は原則として認められないため、学術研究などの例外目的に限られる点に注意が必要です。ここでもう一つ誤解を正しておくと、附属書IIIに掲げられた種を日本から輸出する場合は、原則としてこの経済産業大臣の輸出承認の対象ではありません。附属書IIIについては、日本が掲載国かどうかや原産地に応じて、CITES上は原産地証明書等で対応する運用になっています。「附属書に載っている=すべて経済産業大臣の輸出承認が要る」ではない、ということです。附属書IIIの再輸出や原産地証明の運用の細部は所管が分かれるため、個別に確認してください。

日本へ輸入する場合は、経済産業省ルートを前提にすると、附属書Iは経済産業大臣の輸入承認証が必要で、加えて輸入許可書も求められます。附属書Iは輸出国と輸入国の双方の許可が揃わないと取引が成立しません。附属書IIと附属書IIIは、経済産業大臣の事前確認書が必要です。いずれの場合も、相手国が発行したCITES輸出許可書や再輸出証明書が輸入手続きの前提になります。相手国の書類が整っていなければ、日本側でいくら準備しても輸入は進みません。

こうして並べると、輸出承認・輸入承認・事前確認・CITES輸出許可書・再輸出証明書・原産地証明書と、似た名前の書類が入り乱れます。品目の分類(種の特定)、原産地、用途、そして附属書区分の四つが揃って初めて、必要な書類が確定します。逆にいえば、このどれか一つでも取り違えると、必要な書類も間違えます。

輸出管理の実務では、こうした条約に基づく手続きだけを単独で見ていても不十分です。リスト規制やキャッチオール規制の該非判定、他法令の確認、通関手続きが一連の流れとしてつながっているからです。TIMEWELLが提供する輸出管理AIエージェントTRAFEEDは、品名や仕様から該非判定を補助し、懸念度を短時間で可視化することで、この一連の流れを仕組みとして回しやすくします。AI判定精度は95%以上(岡山大学との共同実証・自社調べ)ですが、ワシントン条約のような他法令の該否や最終的な該非判定は、貴社の輸出管理責任者が一次情報にあたって確定することが前提です。ツールは人の判断を速く確実にする補助だと考えています。

ワシントン条約と種の保存法の関係──国外取引と国内取引を切り分ける

ワシントン条約と並んでよく登場するのが「種の保存法」(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律、平成4年法律第75号、平成5年4月1日施行)です。この二つは対象範囲が違うので、切り分けて理解しておくと混乱しません。

大まかにいえば、ワシントン条約(外為法・輸出入貿易管理令で実装)は国境をまたぐ取引、つまり輸出入を規制します。これに対して種の保存法は、日本国内での取引を規制する法律です。附属書I掲載種は種の保存法で「国際希少野生動植物種」(第4条第4項)として位置づけられ、国内での譲渡し等(第12条)も原則として禁止され、登録制度の対象になります。ここが三つ目の要注意ポイントです。「日本の輸出入承認さえ取れば、国内での売買も自由」というのは誤解で、附属書I掲載種は国内での売り買いや譲り渡しにも網がかかっています。

しかも、この二つは別々に動いているわけではありません。種の保存法第15条は輸出入の禁止を定めており、その第2項で、希少野生動植物種の個体等を輸出入する者に外為法第48条第3項(輸出)または第52条(輸入)による輸出入承認の義務を課すと明記しています。国内取引を規制する種の保存法が、国際取引を規制する外為法の承認義務を明示的に引き込んでいる。両者は一体で機能していると理解するのが正確です。

象牙の国内取引についても触れておきます。象牙は国内で取り扱うために特別国際種事業者の登録(種の保存法第33条の6等)が必要とされるなど、取扱いが特に厳格です。全形牙やカットピースの取扱いの細部は関連する省令や運用で定まっているため、この記事では概要にとどめます。象牙を業として扱う場合は、必ず環境省の最新の情報で登録要件と手続きを確認してください。

海外のお土産・個人の携帯品はどこまで大丈夫か

ここまでは事業者としての輸出入を前提にしてきましたが、個人にとって身近なのはお土産や引越荷物でしょう。経済産業省は、個人の携帯品・職業用具・引越荷物・お土産品について、適用範囲に収まれば日本での輸出入承認手続きやCITES輸出許可書を不要とする特例を設けています。旅行者が現地で買った土産物のたびに承認を取れというのは現実的ではないので、一定の範囲で手続きを簡素化しているわけです。

ただし、この特例には落とし穴がいくつもあります。四つ目の誤解として、「個人のお土産なら無条件で持ち帰れる」というものがありますが、これは正しくありません。特例が使えるのは適用範囲内であること、そして相手国が同様の特例を採用していることが前提です。相手国が同じような特例を持っていなければ、その国の税関を出国できません。日本に着く前に、出国の段階で止まってしまうのです。

具体的に注意したいのがワニ革製品と象牙製品です。ワニ・ヘビ・トカゲの皮革製品や象牙製品は個人特例の対象になり得ますが、同じワニでも原産国や個体群によって附属書I(取引が原則禁止)と附属書IIに分かれるものがあります。附属書IIに該当する品でも、原産地証明書等の書類が求められることがあります。附属書Iに該当する個体群のワニ革製品であれば、そもそも商業目的の国際取引が原則禁止です。象牙は前述のとおり取扱いが特に厳格で、安易に持ち帰ろうとすると通関で止まるリスクが高い品目です。

個人特例で対象になる品目や数量の具体的な範囲は、経済産業省の告示や運用で定まり、変わり得ます。この記事で金額や数量を断定はしません。海外で野生動植物の加工品を買う予定があるなら、購入前や出国前に、その品が附属書のどの区分に当たるのか、どんな書類が要るのかを確認しておくことを強くおすすめします。「知らなかった」では通関は待ってくれません。

違反したらどうなるか──罰則と税関の水際チェック

罰則の話をします。まず表記の注意から。少し前の解説記事では罰則を「懲役」と書いていることがありますが、これは古い表記です。刑法等の一部を改正する法律(令和4年法律第67号)によって懲役と禁錮が「拘禁刑」に一元化され、2025年(令和7年)6月1日に施行されました。このため種の保存法の罰則も、現行条文では拘禁刑と表記されています。

その現行条文で見ると、種の保存法第57条の2は、譲渡し等の禁止(第9条・第12条第1項)や輸出入の禁止(第15条第1項)等に違反した者に対して、5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはこれを併科すると定めています。個人にとっても軽くない刑事罰です。さらに重いのが法人への制裁で、種の保存法第65条の両罰規定により、この違反を法人の業務に関して行った場合、法人には1億円以下の罰金が科されます。担当者個人が罰せられるだけでなく、会社そのものが億単位の罰金の対象になるという建て付けです。

では、その規制は実際にどこで効くのか。答えは税関の水際です。関税法第70条(証明又は確認)は、他の法令で輸出入に許可や承認等が必要とされる貨物について、申告の際にその許可や承認等を取得していることを税関に証明しなければならないと定めています。証明ができない貨物は、輸出も輸入も許可されません。五つ目の誤解として「手続きは税関で許可をもらえば完結する」と考えている方がいますが、承認や確認を出すのは経済産業省(海洋採取品等は農林水産省)であって、税関はあくまで関税法第70条にもとづいてその取得の有無を確認する立場です。承認は事前に別の当局から取っておくもの、税関はそれを水際でチェックする関所、という役割分担になっています。

輸出入では、関税法やワシントン条約のほかにも確認すべき他法令が数多くあります。ワシントン条約は他法令チェックの代表例のひとつにすぎません。貿易実務で見落としがちな他法令の全体像は、貿易で確認すべき他法令チェックリストにまとめているので、自社の出荷前チェックの抜けを点検する際に使ってみてください。

よくある質問と、輸出管理体制にCITESを組み込む実務ポイント

最後に、実務でよく聞かれる点と、体制づくりの勘所を整理します。

「どの種がどの附属書か、どうやって調べればいいのか」という質問が最も多いです。附属書の内容は締約国会議(CoP)で改正されるため、最新版の確認が必須です。経済産業省・環境省・税関の公式サイトや、種の保存法施行令にもとづく国際希少野生動植物種の一覧(環境省)で確認できます。ここで大切なのは、同じ種でも原産国や個体群で附属書が異なるケースがあるという前提を、体制の中に組み込んでおくことです。特定の種名を「これは附属書II」と一度覚えてそれで終わり、にしないこと。出荷ごとに、分類(種の特定)・原産地・用途を確認する手順を回す。これがCITES対応の実務の勘所だと考えています。

体制づくりの観点でいえば、ワシントン条約対応を輸出管理の全体プロセスから切り離して単独で運用しないことをおすすめします。該非判定、他法令チェック、通関書類の整合確認が一連の流れとして設計されていれば、CITES該当品も同じ流れの中で拾えます。逆に、CITESだけを別の担当者が別の手順で見ていると、担当者が変わった瞬間に抜けます。人の記憶と気合いに頼る運用は、遅かれ早かれ破綻します。

私は、輸出管理は守りのコストというより、取引先からの信頼と海外商流を守る投資だと考えています。動植物や加工品を扱う企業にとって、ワシントン条約は「うちには関係ない」と切り捨てられない法令です。まずは自社の扱う品目に野生動植物由来のものが含まれていないか、含まれているならどの附属書区分でどの書類が要るのかを、一次情報で棚卸しするところから始めてください。体制の作り方や他法令チェックの仕組み化で迷ったら、TRAFEEDの個別相談で具体的な進め方を一緒に整理できます。

まとめ

  • ワシントン条約(CITES)は1973年採択・1975年発効の多国間条約で、日本には1980年11月4日に発効しました。対象は生きた個体だけでなく、一部・卵・種子・はく製・加工品などの派生物も含みます
  • 附属書はI〜IIIの3区分。附属書Iは商業目的の国際取引が原則禁止、附属書II・IIIは輸出国のCITES輸出許可書等を条件に取引が可能です
  • 日本ではこの条約を外為法と輸出入貿易管理令で実装しています。輸出は輸出令別表第2の36の項にもとづく経済産業大臣の輸出承認、輸入は輸入承認証または事前確認書が必要で、当局は経済産業省と農林水産省に分かれます
  • 附属書I掲載種は種の保存法により国内の譲渡し等も規制されます。輸出入(外為法)と国内取引(種の保存法)は一体で機能します
  • 違反は5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、法人は最大1億円。税関は関税法第70条にもとづき承認取得を水際で確認します

附属書は締約国会議で更新され、同じ種でも原産国によって区分が変わることがあります。「一度調べたから大丈夫」ではなく、出荷ごとに一次情報で確かめる。地味ですが、これがいちばん確実な守り方です。手元の品目リストを開いて、野生動植物由来のものがないか、今日ひとつだけでも確認してみてください。

参考情報(一次情報)

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