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医療の経済安全保障とは?医療DX・遠隔医療・医薬品サプライチェーンを解説

公開2026-07-19濱本 隆太

医療分野の経済安全保障を一次情報で解説します。抗菌薬など医薬品サプライチェーン(特定重要物資)、医療法施行規則改正によるサイバーセキュリティ義務化、2026年6月の医療の基幹インフラ制度追加まで、病院・製薬企業が押さえるべき論点を体系的に整理します。

医療の経済安全保障とは?医療DX・遠隔医療・医薬品サプライチェーンを解説
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こんにちは、株式会社TIMEWELLの濱本です。

つい先日まで、「経済安全保障」といえば半導体やレアアース、あるいは防衛装備の話でした。病院の事務長や製薬会社の品質保証部の人に「これは御社の経済安全保障の問題ですよ」と言っても、たいていはきょとんとされたはずです。ところが2026年6月、その空気が変わりました。内閣府が経済安全保障推進法の基幹インフラ制度に「医療」を正式に追加し、これまで電気やガス、金融と並んで国が守るべきインフラのリストに、医療という言葉が書き加えられたのです。

これは象徴的な出来事でした。抗菌薬が足りなくて手術が延期される。ランサムウェアで電子カルテが暗号化され、外来を止めざるを得なくなる。原薬の大半を特定の国に頼っている。こうした一つひとつは以前から現場が肌で感じてきた不安でしたが、それが「安全保障の問題」として制度の側から名指しされた、という点に意味があります。この記事では、医療の経済安全保障を「医薬品のサプライチェーン」「医療DXとサイバーセキュリティ」「医療の基幹インフラ入り」という3つの層に分けて、政府の一次情報にもとづいて整理します。自社の医療機器や原薬、製造装置が輸出管理の網にかかりそうか先に当たりをつけたい方は、読み進める前に輸出管理コンプライアンス診断で手を動かしてみると、この後の話が自分ごとになるはずです。

先に要点を3行でまとめておきます。第一に、抗菌薬(抗菌性物質製剤)と人工呼吸器が経済安全保障推進法の「特定重要物資」に指定され、国内生産や原薬備蓄への支援が進んでいます。第二に、2023年4月から病院や診療所の管理者にサイバーセキュリティ確保が法的に義務付けられ、医療DXの前提として安全管理が強く求められています。第三に、2026年6月に医療が基幹インフラ制度へ追加され、基幹的な医療機関は重要設備の調達や委託が事前審査の対象になる方向です。医療は今、供給網とインフラの両面から経済安全保障の主戦場になりつつあります。

医療の経済安全保障とは、3つの層で同時に進んでいます

医療の経済安全保障を一枚の地図にすると、大きく3つの層が重なって見えてきます。土台にあるのが経済安全保障推進法という法律です。正式名称は「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律」(令和4年法律第43号)で、2022年5月に成立しました。この法律は性格の異なる4つの制度を1本に束ねた構造をしています。重要物資の安定的な供給確保、基幹インフラ役務の安定的な提供確保、先端的な重要技術の開発支援、特許出願の非公開の4本柱です。医療にとくに深く関わるのは、このうち前の2つ、つまりサプライチェーンとインフラの制度です。全体像を先に押さえたい方は、経済安全保障推進法の基礎解説もあわせて読むと、医療の話が制度の中でどこに位置するのかが見えてきます。

ただ、医療の経済安全保障は経済安全保障推進法だけで完結しません。医療DXや遠隔医療で扱う膨大な診療データを守るサイバーセキュリティは、医療法とその施行規則という別の法体系で規律されています。つまり医療の経済安全保障は、経済安全保障推進法が担う「物と設備の安全保障」と、医療法体系が担う「情報と診療継続の安全保障」が組み合わさって成り立っている、という理解が出発点になります。

この記事で扱う3層を整理すると、次のようになります。1層目が医薬品や医療機器といった物資のサプライチェーン、2層目が医療DXと診療データのサイバーセキュリティ、3層目が2026年に新しく加わった医療の基幹インフラとしての位置づけです。所管も層ごとに分かれます。制度全体を束ねるのは内閣府ですが、抗菌薬や病院のセキュリティ、医療DXの窓口は厚生労働省の医政局、半導体や輸出管理は経済産業省、マイナンバー基盤やプラットフォーム整備はデジタル庁という具合に、複数の役所が絡み合います。医療機関から見ると相手が一人ではないぶん、全体像を自分で組み立てておかないと迷子になりやすい領域です。

医薬品サプライチェーン——抗菌薬が「特定重要物資」になった理由

医療の経済安全保障で最初に押さえたいのが、医薬品のサプライチェーンです。経済安全保障推進法の施行令(令和4年政令第394号)の第1条は、供給が途絶えると国民生活や経済に大きな支障が出る物資を「特定重要物資」として指定しています。2026年7月時点で計16物資が指定されていますが、そのうち医療に直結するのが「抗菌性物質製剤」と「人工呼吸器」の2つです。特定重要物資の指定は令和4年12月に11物資でスタートし、その後に追加されてきました。抗菌薬はこの初回から名を連ねています。

なぜ抗菌薬だったのか。抗菌薬は手術後の感染症予防や重症感染症の治療に欠かせない、いわば医療の土台を支える薬です。ところが、その原薬(薬の有効成分のもと)は海外、とくに特定の国での生産に大きく依存してきました。実際、過去には主力の抗菌薬が供給不足に陥り、代替薬の使用や手術の調整を迫られた時期がありました。原薬の工場が一つ止まるだけで、日本中の病院の手術室に影響が及ぶ。この構造が「安全保障の問題」として認識されたわけです。

対象となっているのはβラクタム系と呼ばれる系統の抗菌薬で、具体的にはセファゾリンナトリウム、セフメタゾールナトリウム、アンピシリン・スルバクタム、ピペラシリン・タゾバクタムなどです。厚生労働省の取組方針は、2030年までにβラクタム系抗菌薬について、供給が途絶えた場合でも医療現場で必要量を切れ目なく安定供給できる体制を整えることを目標に掲げています。中身は、原薬から国内でつくれる製造設備の整備と、原材料や原薬をあらかじめ蓄えておく備蓄設備の構築です。海外の一社に依存する状態から、国内で最低限をまかなえる状態へ切り替えていく、という発想です。

この方針は絵に描いた餅では終わっていません。企業が「供給確保計画」を作って所管大臣に認定してもらうと、助成や支援を受けられる仕組みになっており、抗菌薬でも実際に認定が進んでいます。セファゾリンナトリウムとセフメタゾールナトリウムについてはシオノギファーマとPharmiraが2023年7月28日に、アンピシリン・スルバクタムとピペラシリン・タゾバクタムについてはMeiji Seikaファルマらが2023年7月7日に認定を受け、抗菌薬原薬の国内製造、いわゆる国産化に着手しています。所管の窓口は厚生労働省医政局の医薬産業振興・医療情報企画課です。

金額の規模も見ておきましょう。内閣府によると、重要物資の安定供給確保制度の全体で合計約2.56兆円の予算が確保され、最大助成額の合計が約1.68兆円にのぼる151件の供給確保計画が認定されています(令和8年(2026年)7月14日時点)。ここで注意したいのは、この金額が16物資すべての合計だという点です。抗菌薬単体でいくら投じられているかは、この数字からは読み取れません。医療に関する予算の話をするときは、「制度全体の額」と「抗菌薬など個別物資の額」を混同しないことが大切です。医薬品を含む特定重要物資の全体像を掘り下げたい方は、特定重要物資の解説記事も参考になります。

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医療機器も安全保障の対象——人工呼吸器と半導体依存という盲点

物資の話は薬だけではありません。人工呼吸器も特定重要物資に指定されています。これは新型コロナウイルス感染症の流行で、重症患者の治療に不可欠な人工呼吸器が世界的に取り合いになり、必要な台数を確保できるかどうかが医療体制の生死を分けた、あの経験を踏まえた措置です。命に直結する機器を、いざというときに国内で確保できるようにしておく。ここにも同じ思想が流れています。

医療機器で見落としがちなのが、機器そのものだけでなく、その中身に組み込まれた部品への依存です。現代の医療機器は制御に半導体を使い、電源や通信を前提に動きます。半導体、重要鉱物、蓄電池といった物資も特定重要物資に指定されていますが、これらは医療機器の基幹部品や電源として、医療分野に間接的にしっかり食い込んでいます。人工呼吸器やCT、MRI、生体情報モニターが動くのは、その裏で半導体や電子部品のサプライチェーンが機能しているからです。抗菌薬のような「わかりやすい医療物資」だけを見ていると、機器を支える部品の供給網リスクという盲点を見逃します。医療機関の調達担当者にとっては、薬と機器と部品を一続きの供給網として捉える視点が必要になってきています。

医療DXとサイバーセキュリティ——病院が「攻撃対象」になる時代

3層のうち2層目、医療DXとサイバーセキュリティに移ります。ここは経済安全保障推進法ではなく、医療法体系が担う領域です。日本の医療は今、大きなデジタル化の波の中にあります。司令塔となるのが内閣官房に置かれた医療DX推進本部で、本部長は内閣総理大臣が務めます。この本部が2023年6月2日に「医療DXの推進に関する工程表」を決定しました。柱は3つ、全国医療情報プラットフォーム、電子カルテ情報の標準化、診療報酬改定DXです。厚生労働省、デジタル庁、総務省、経済産業省が連携して進めています。

具体的な仕組みも次々に動き出しています。保険医療機関や薬局でのオンライン資格確認は、令和4年厚生労働省令第124号などにより2023年4月1日から原則義務化されました。訪問看護ステーション等は2024年12月2日から対象になっています。同じ2024年12月2日には健康保険証の新規発行が停止され、マイナ保険証への一本化が進みました。全国医療情報プラットフォームの一機能として、診療情報提供書や退院時サマリー、健診結果、患者サマリーを医療機関どうしや本人が閲覧・共有できる電子カルテ情報共有サービスも始まっています。この運用を担うのは社会保険診療報酬支払基金で、医科診療所向けの標準型電子カルテは令和8年度中の完成が予定されています。複数の医療機関や薬局にまたがる処方・調剤情報を参照し、重複投薬や併用禁忌をチェックできる電子処方箋も、このプラットフォームの構成要素です。

便利になる一方で、診療データが集約されればされるほど、そこは攻撃者にとって魅力的な標的になります。ここ数年、国内でも病院がランサムウェア(データを暗号化して身代金を要求する不正プログラム)に感染し、電子カルテが使えなくなって外来や救急の受け入れを長期間止めざるを得なくなった事例が複数報じられました。診療の停止は、そのまま患者の命に関わります。だからこそ国は、医療機関のサイバーセキュリティを「努力目標」から「義務」へ引き上げました。医療法施行規則の一部を改正する省令(令和5年厚生労働省令第20号)が2023年3月10日に公布され、同年4月1日に施行されて、病院・診療所・助産所の管理者にサイバーセキュリティ確保の措置を講じることが義務付けられたのです。

実務の基準になるのが、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」です。現行は第7.0版(令和8年6月)で、経営管理編、企画管理編、システム運用編の3部構成になっています。個人情報保護やe-文書法への対応、外部委託やクラウド利用時の安全管理、ネットワークや認証、バックアップといった技術要件まで幅広く定めています。近年は、VPN装置などを狙った攻撃への対策通知(令和8年3月)や、高性能AIの悪用リスクへの対策通知(令和8年5月)も相次いで出されました。万一サイバーインシデントが発生したときは、速やかに医政局の医療情報担当参事官室へ報告する運用になっています。

この層には遠隔医療も含まれます。オンライン診療は厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」にもとづいて行われ、通信環境や本人確認、情報セキュリティ、診療情報の管理が求められます。遠隔で送受信される診療データも、当然この安全管理ガイドラインの対象です。ここで見落とされがちなのが、使っている通信機器やクラウド、ソフトウェアそのものの信頼性です。診療データを預けるクラウドがどの国の管理下にあるのか、遠隔医療用の機器の部品がどこ由来なのか。これは情報セキュリティであると同時に、供給網の信頼性という経済安全保障の問題でもあります。医療DXは、データを守る話と、それを支える機器・サービスの出どころを見極める話が、地続きになっているのです。

【2026年6月】医療が基幹インフラ制度に追加された

そして3層目、いちばん新しい動きが医療の基幹インフラ入りです。2026年6月17日、内閣府は「特定社会基盤事業への医療分野の追加」に伴い、基幹インフラ制度の概要資料を更新しました。基幹インフラ制度は、社会の土台を支える事業について、重要な設備を導入したり保守を外部委託したりする前に、あらかじめ国へ届け出て審査を受ける仕組みです。これまで特定社会基盤事業は、電気、ガス、石油、水道、鉄道、貨物自動車運送、外航貨物、航空、空港、港湾運送、電気通信、放送、郵便、金融、クレジットカードの15分野でした。ここに「医療」が加わり、計16分野になったのです。厚生労働省の意見交換会資料「基幹インフラ制度への医療分野の追加について」でも、同じ方向が確認できます。

これが何を意味するのか。基幹的な医療機関は、将来的に、重要設備の導入や重要維持管理等の委託について事前届出と審査の対象になる方向です。たとえば大規模病院が基幹的なシステムを新しく入れる、保守運用を外部のベンダーに委ねる、といった場面で、その設備や委託先に安全保障上の懸念がないかを国があらかじめチェックする、というイメージになります。医療がサプライチェーン(特定重要物資)とインフラ(特定社会基盤事業)の両方の制度にまたがる存在になった、という点が今回の変化のいちばん大きな意味です。

ただし、ここは断定を避けるべき部分でもあります。どの規模の医療機関が対象になるのか(病床数などの具体的な基準)、事前審査の対象となる設備がどこまでなのか、実際にいつから適用が始まるのか。こうした詳細は、内閣府の概要資料や今後の政省令で確定していきます。現時点で確実に言えるのは、「2026年6月17日に内閣府が概要資料を更新し、医療分野が基幹インフラ制度へ追加された」というところまでです。基幹病院や、それを支えるシステムベンダー、保守委託先の企業は、詳細が固まる前から自社の設備や委託関係の棚卸しを始めておくと、後で慌てずに済みます。制度の中身をさらに詳しく追いたい方は、基幹インフラ事前審査制度の解説を参照してください。

医療機関・製薬企業が今から着手すべき実務対応

ここまでの3層を踏まえると、医療機関や製薬企業がやるべきことは、抽象的な「意識」ではなく具体的な棚卸しに落ちてきます。個人的には、まず自社のサプライチェーンの外国依存を「見える化」することから始めるのが現実的だと考えています。どの原薬をどこの国のどの工場から仕入れているか、機器の基幹部品はどこ由来か、システムの保守は誰に委ねているか。これを一覧にするだけで、供給が途絶えたときにどこが弱いのかが浮かび上がります。基幹インフラの事前審査でも、特定重要物資の供給確保計画でも、結局はこの「取引先の信頼性を説明できるか」が問われます。

次に着手したいのが、取引先や委託先のスクリーニングです。海外の原薬メーカーや機器ベンダー、システムの委託先が、各国の制裁リストや懸念リストに載っていないか、資本関係をたどると懸念のある企業につながっていないか。ここを確認しておかないと、いざ届出や審査の段になって「その取引先は説明できません」という事態になりかねません。制裁・懸念リストの種類と使い方は、制裁リストの完全ガイドにまとめてあります。

見落とされやすいのが、輸出管理(外為法)との接点です。医療は「輸入する側」というイメージが強いですが、実は輸出や技術提供の場面で外為法が関わってきます。医薬品原薬の製造装置、たとえば発酵槽や凍結乾燥機、バイオリアクターといった設備、一部の試薬や病原体に関連する品目、先端的な医療機器は、外為法の輸出貿易管理令や外国為替令の規制対象になり得ます。海外へ輸出したり技術を提供したりする前には、その品目が規制に該当するかどうかの「該非判定」が欠かせません。該非判定の全体像は経済産業省の該非判定ガイドライン解説が参考になります。

大学病院や研究機関には、もうひとつ固有の論点があります。みなし輸出です。外国からの研究者や留学生に対して機微な技術情報を提供する行為は、国内での提供であっても「輸出」とみなされ、外為法の管理対象になり得ます。感染症研究やバイオ、先端医療機器の研究では、この論点が現実味を帯びます。詳しくはみなし輸出管理のリスク解説を確認してください。医療の経済安全保障は、突き詰めると「規制対応の実務」に落ちてくる、というのが私の見立てです。

TRAFEEDで該非判定と取引先スクリーニングを効率化する

とはいえ、ここまで挙げた実務を人手だけで回すのは、正直かなりの負担です。原薬メーカーや機器ベンダーは無数にあり、各国の規制やリストは頻繁に更新されます。私たちが提供しているTRAFEED(旧ZEROCK ExCHECK、経済産業省基準に準拠した輸出管理AIエージェント)は、まさにこの負担を軽くするために作りました。医療分野の経済安保対応でどう効くのか、3つの場面で整理します。

ひとつ目が該非判定です。医薬品原薬の製造装置や一部の試薬、先端医療機器が外為法の規制対象になり得ることは先に触れたとおりですが、TRAFEEDは経済産業省の基準に沿って、その品目が規制に該当するかどうかの一次判定を支援します。判定にかかる時間を短くし、担当者の属人化を防ぐ狙いです。ふたつ目が取引先スクリーニングです。海外の原薬メーカーや機器ベンダー、委託先を各国の制裁・懸念リストと照合し、取引先の原産国や資本関係のリスクを見える化します。特定重要物資の供給確保計画や基幹インフラの事前審査で求められる「取引先を説明できる状態」を、継続的に維持しやすくなります。

みっつ目が、経済安保対応全体の運用です。医療が基幹インフラ入りしたことで、基幹病院や製薬企業はサプライチェーンの外国依存を定期的に棚卸しし、届出や審査に耐えられる体制を保つ必要が出てきます。TRAFEEDを使えば、供給網の可視化とスクリーニングを一度きりではなく継続運用として回せます。大学病院や研究機関のみなし輸出管理にも対応します。TRAFEEDのAI判定精度は、岡山大学との共同実証や過去の審査データ約3万件をもとに95%以上を確認しています(自社調べ)。ただし、最終的な該非判定は貴社の輸出管理責任者が行うことが前提です。AIは判断の下ごしらえを高速化する道具であって、責任を肩代わりするものではありません。ここは強調しておきます。

まとめ

医療の経済安全保障は、遠い政策論ではなく、病院と製薬企業の日常業務の中に入り込んでいます。最後に要点を整理します。

  • 医療の経済安全保障は「医薬品サプライチェーン」「医療DXとサイバーセキュリティ」「医療の基幹インフラ入り」の3層で同時に進んでいます。
  • 抗菌性物質製剤(βラクタム系抗菌薬)と人工呼吸器が特定重要物資に指定され、2030年までの安定供給体制づくりへ、認定事業者による原薬の国産化が動いています。
  • 2023年4月から病院等の管理者にサイバーセキュリティ確保が義務化され、実務は安全管理ガイドライン第7.0版が基準になります。
  • 2026年6月17日、医療が基幹インフラ制度へ追加されました。対象範囲や施行時期の詳細は今後の政省令で確定します。
  • 企業がやるべきは、供給網の外国依存の可視化、取引先スクリーニング、外為法の該非判定、みなし輸出管理という具体的な実務です。

これだけの論点を人手だけで抱えるのは現実的ではありません。まずは自社の供給網のどこにリスクがあるのかを、小さくてもよいので一度書き出してみてください。そのうえで、該非判定や取引先スクリーニングをどう仕組み化するか迷ったら、TRAFEEDの個別相談で具体的なユースケースを持ち込んでいただければ、御社の状況に合わせた進め方を一緒に考えます。医療という命を預かる領域だからこそ、供給網の安全保障は「気づいたときにはもう遅い」で済ませたくないテーマです。


参考文献・一次情報

外為法違反の52%は該非判定起因 — 御社は大丈夫ですか?

2024年度の経産省統計で、輸出管理違反の過半が該非判定に起因。まず5問(約2分・メール不要)のライト診断。詳細は10問本編へ。

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