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経産省の立入検査に備える|輸出管理監査の準備チェックリスト30項目

2026-02-12濱本竜太

経産省の立入検査を控えた企業向けに、準備チェックリスト30項目と必要書類一覧を解説。よくある指摘事項と対策、検査当日の対応ポイントも具体的に紹介します。

経産省の立入検査に備える|輸出管理監査の準備チェックリスト30項目
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株式会社TIMEWELLの濱本です。

「経済産業省から法令遵守の立入検査の連絡が来た。何を準備すればいいのかわからない」「過去に検査を受けたことがなく、どんなことを聞かれるのか想像がつかない」「社内の記録管理がずさんで、指摘を受けるのではないかと不安」。こうした焦りの声を、輸出管理の担当者からよくお聞きします。

経済産業省は外為法第68条に基づき、毎年100社前後の企業に対して法令遵守立入検査を実施しています。2023年度の実施件数は100件、うちCP届出企業への検査が87件。数年に一度の頻度で巡ってくるため、「前回の検査から時間が経って準備の勘所がわからなくなった」という企業は多い。

この記事では、立入検査に向けた準備チェックリスト30項目と必要書類の一覧、よくある指摘事項とその対策を整理します。


この記事でわかること

  • 経産省の立入検査の目的、内容、流れ
  • 検査前に準備すべきチェックリスト30項目
  • 提示を求められる書類の一覧表
  • よくある指摘事項10パターンとその対策
  • 検査当日の対応のコツ

1. 経産省の立入検査とは

検査の法的根拠と目的

立入検査は、外為法第68条に基づいて経済産業省が実施する行政検査です。目的は「輸出者等が自ら適切な輸出管理を実施できるよう支援する」こと。処罰を目的とした捜査とは性格が異なります。

とはいえ、検査の結果として重大な法令違反が発覚した場合は、行政指導にとどまらず輸出禁止命令や刑事告発につながることもある。「支援だから安心」とは言い切れません。

検査の対象と頻度

項目 内容
検査の根拠法令 外為法第68条
実施件数(2023年度) 100件
うちCP届出企業 87件
検査頻度の目安 3〜5年に一度(企業規模やリスクにより異なる)
検査の通知 原則として事前に書面で通知
検査期間 1〜3日間(企業規模による)

検査で確認されること

立入検査で確認される主な観点は7つです。CPどおりに運用されているか。該非判定が適切に行われているか。取引審査が機能しているか。出荷管理で該非確認品と出荷品の一致確認がされているか。教育や研修が実施されているか。記録が適切に保存されているか。内部監査が実施されているか。

つまり「やっていますか?」ではなく「やった証拠はありますか?」が問われます。ここが検査の核心です。


2. 準備チェックリスト30項目

検査の通知を受けてから検査日までの間に、このチェックリストで漏れを確認してください。

管理体制の確認(項目1〜6)

No. チェック項目 確認ポイント 重要度
1 CPの最新版が存在するか 法令改正に対応した版であること
2 CP内の組織体制図は現状を反映しているか 人事異動や組織変更後の更新
3 統括責任者は現在の代表者名になっているか 代表取締役の交代があった場合は要更新
4 輸出管理責任者や担当者の任命記録があるか 辞令書、任命書の保管
5 CPの社内周知記録があるか 通達文書、メール配信記録
6 CPの改定履歴が管理されているか いつ何を改定したかの記録

該非判定の確認(項目7〜12)

No. チェック項目 確認ポイント 重要度
7 該非判定書のサンプルを用意できるか 直近1年間の判定書を複数件
8 判定書に判定根拠が明記されているか 省令条文への参照、技術データ
9 判定書に判定日が記載されているか 法令改正前後の判定か判別可能であること
10 判定者と承認者が分かれているか ダブルチェック体制
11 法令改正後の再判定が実施されているか 閾値変更に伴う見直し
12 非該当判定の根拠が具体的か 非該当の理由が技術的に説明できること

取引審査の確認(項目13〜18)

No. チェック項目 確認ポイント 重要度
13 取引審査の記録が残っているか 審査シート、承認記録
14 外国ユーザーリストとの照合記録があるか 照合日時、結果の記録
15 用途確認の方法と記録は適切か 契約書の用途条項、ヒアリング記録
16 最終需要者の確認書類があるか EUC(最終用途証明書)の保管
17 キャッチオール規制の確認記録があるか 客観要件確認シートの使用
18 不自然な取引の検知フローがあるか レッドフラグへの対応手順

出荷管理の確認(項目19〜22)

No. チェック項目 確認ポイント 重要度
19 出荷前の照合確認手順が文書化されているか 該非判定品と出荷品の一致確認方法
20 出荷記録と該非判定書の紐付けができるか トレーサビリティの確保
21 許可品の出荷時に許可条件を確認しているか 有効期間、数量、仕向地の確認
22 技術移転(みなし輸出)の管理ができているか 外国籍社員への技術開示、海外出張時の資料持ち出し

教育と研修の確認(項目23〜25)

No. チェック項目 確認ポイント 重要度
23 教育や研修の実施記録があるか 日時、参加者名簿、内容
24 研修資料が保存されているか 使用したテキストやスライド
25 経営層への報告や教育が実施されているか 年1回以上の実施

記録保存の確認(項目26〜28)

No. チェック項目 確認ポイント 重要度
26 輸出許可証の保存期間は5年以上か 保管場所の特定、検索可能性
27 契約書や仕入書、出荷関連書類の保存は適切か 5年間の保存義務
28 電子データの場合、改ざん防止策はあるか アクセスログ、バックアップ

監査と改善の確認(項目29〜30)

No. チェック項目 確認ポイント 重要度
29 内部監査が年1回以上実施されているか 監査報告書、是正措置記録
30 監査で発見された問題の改善記録があるか 是正計画、完了確認記録

3. 必要書類の一覧

立入検査で提示を求められる可能性のある書類です。事前に所在を確認し、すぐ取り出せる状態にしておいてください。

管理体制関連

書類名 保存期間 備考
輸出管理内部規程(CP) 常時最新版 改定履歴を含む
組織体制図 常時最新版 輸出管理部門の位置付けがわかるもの
責任者や担当者の任命記録 任期中 辞令書、任命書

判定・審査関連

書類名 保存期間 備考
該非判定書 5年以上 判定根拠と判定日を含む
製品の技術仕様書 5年以上 判定に使用した技術データ
パラメータシート 5年以上 CISTECの項目別対比表等
取引審査記録 5年以上 審査シート、承認記録
外国ユーザーリスト照合記録 5年以上 照合日時、結果
最終用途証明書(EUC) 5年以上 取引先から取得したもの
客観要件確認シート 5年以上 キャッチオール規制の確認記録

取引・出荷・教育・監査関連

書類名 保存期間 備考
出荷照合記録 5年以上 該非判定品との一致確認
輸出許可証 5年以上 経産省発行のもの
許可申請書の控え 5年以上 添付書類を含む
輸出契約書 5年以上 用途条項を含む
仕入書(インボイス) 5年以上
研修実施記録 3年以上推奨 日時、参加者、内容
研修資料 3年以上推奨 テキスト、スライド
内部監査報告書 3年以上推奨 監査結果、是正計画
是正措置記録 3年以上推奨 改善計画の実施状況

4. よくある指摘事項10パターンと対策

経産省の検査報告や業界の事例をもとに、指摘されやすい10項目を整理しました。

指摘1:CPが形骸化している

CPは策定されているが、記載されている手順と実際の運用が乖離しているケース。CPには「取引審査委員会で審査する」と書いてあるのに、実際にはメールでの簡易確認のみという状態です。

対策はシンプルで、CPを現状の運用に合わせて改定する。運用を変えずにCPだけ立派にしても意味がありません。「実行可能な規程」にすることが大前提です。

指摘2:該非判定書に判定根拠がない

判定書に「非該当」とだけ記載されており、なぜ非該当と判定したのかの根拠が抜けている。これは非常に多い指摘です。

判定書のフォーマットに判定根拠の欄を必須項目として設けてください。省令の条文番号、照合したパラメータ、製品の実測値を明記する。ここを埋める手間を省くと、検査で必ず突かれます。

指摘3:法令改正後の再判定が未実施

2025年10月のキャッチオール規制改正後も、過去の判定結果を更新せずに使い続けているケースです。

法令改正があった際には、影響を受ける製品を特定し、再判定を実施する。年間計画に再判定スケジュールを組み込んでおくのが理想です。

指摘4:取引審査が形式的

外国ユーザーリストとの照合は実施しているが、用途確認が「契約書に記載があるから問題ない」程度で止まっているパターン。

用途確認のチェックシートを作成し、確認すべき項目を具体的に列挙してください。必要に応じて取引先へのヒアリングを実施し、その記録を残す。「確認した事実」と「確認した根拠」の両方が求められます。

指摘5:教育や研修の実施記録がない

研修は実施しているのに、参加者名簿や研修内容の記録が残っていない。私が見てきたなかでは、これが最も「もったいない」指摘です。やっているのに証拠がないだけで指摘される。

研修の都度、日時、場所、参加者名簿、研修内容、使用資料、実施者を記録し、出席確認のサイン表を保管する。これだけで防げます。

指摘6:内部監査が未実施

CPに監査の規定はあるが、実際には一度も監査を実施したことがないケース。

まずは簡易な形でもよいので監査を実施してください。CISTECの自己管理チェックリストを使ったセルフチェックから始めるのでかまいません。「やったことがない」と「一度でもやった」の差は検査官の心証に大きく影響します。

指摘7:出荷管理の照合確認が不十分

該非判定は実施しているが、実際の出荷時に判定品と出荷品が一致しているかの照合確認を行っていないケースです。

出荷時に型番、数量、仕向地を判定書や許可書と照合する手順を整備し、照合記録を残す。

指摘8:技術移転(みなし輸出)への対応が不十分

貨物の輸出管理は行っているが、技術の提供が管理対象になっていない。外国籍社員への技術開示、海外出張時のデータ持ち出し、共同研究での技術移転。これらはすべてみなし輸出の対象になり得ます。

社内教育でみなし輸出の概念を周知し、外国籍社員への技術開示手続きや海外出張時のPCや資料持ち出しルールを整備してください。

指摘9:子会社やグループ会社の管理が不十分

自社のCPでは子会社への指導を規定しているが、実際には具体的な指導や管理が行われていないケースです。

子会社の輸出管理状況を定期的に把握すること。できればグループ全体で統一した管理基準を策定するのが望ましいでしょう。

指摘10:記録の保存期間が不足している

古い記録を5年未満で廃棄していた、あるいは保管場所が不明で検査時に提示できなかったというケース。

記録の保存期間(5年以上)を社内ルールとして明確にし、保管場所の台帳を整備する。電子化を進めて検索性を向上させるのが現実的な対策です。


5. 検査当日の対応ポイント

基本姿勢

立入検査は摘発ではなく支援の性格を持つものです。検査官に対して過度に防御的になる必要はありません。ただし、準備不足で臨むのは避けるべきです。

姿勢 具体的な対応
誠実に対応する 質問には正直に回答する。わからないことは「確認します」と伝える
記録に基づいて回答する 口頭での説明だけでなく、書類で裏付けを示す
必要以上に話しすぎない 聞かれたことに答える。聞かれていないことまで積極的に開示する必要はない
関係者を同席させる 該非判定の技術的質問には技術者を、取引審査の質問には営業や法務を同席させる
指摘は改善のチャンスと捉える 指摘を受けたら、前向きに改善計画を提示する

検査後のフォロー

検査終了後に改善指導や助言を受けた場合は、速やかに対応してください。指摘事項を文書化して社内の関係者に共有する。改善計画を策定し、期限と担当者を明確にする。改善を実施して完了記録を残す。次回の内部監査で改善状況を確認する。

この一連の流れ自体が、次回検査への最善の準備になります。


6. EX-Checkによる監査対応の強化

立入検査で最も多い指摘は「記録が残っていない」と「記録はあるが根拠が不十分」の二つです。日々の業務のなかで適切な記録を残し続けることが、結局は最も効果的な監査準備になる。検査直前に慌てて書類を整えるのには限界があります。

TIMEWELLが提供する輸出管理AIエージェント「EX-Check」(worried.jp)は、この記録管理の課題に対応します。

該非判定やスクリーニングの履歴はシステム上に自動的に記録されます。いつ、誰が、どの製品や取引先について、どのような判定や審査を行い、結果がどうだったか。これらが一元管理されるため、検査時にすぐ参照できる。

判定根拠と参照情報を明示したレポートを出力できるため、「非該当の根拠が不明確」という指摘を受けるリスクが下がります。取引先の定期スクリーニングの記録は、外国ユーザーリストの照合を定期的に実施していることの証跡にもなります。

規制変更があった場合はシステムが2週間以内に更新されるため、「法令改正を見落としていた」というリスクも軽減されます。


まとめ

経産省の立入検査は、適切に準備すれば恐れるものではありません。

検査の目的は処罰ではなく、企業の自主管理の促進です。準備の核にあるのは記録。やっていることの記録がなければ、検査官からすると「やっていない」のと区別がつきません。

よくある指摘はパターン化しています。CPの形骸化、判定根拠の不備、教育記録の欠如、監査の未実施。この4つを事前に潰しておくだけで、検査対応は格段に楽になる。

そして、検査後の改善こそが本番です。指摘を受けたら改善を実行し、記録を残す。それ自体が次回検査への最善の準備となります。

立入検査の準備や日常の輸出管理業務の記録管理にお悩みの方は、EX-Check(worried.jp)をご覧ください。既存の取引先スクリーニングから始めて、記録を蓄積していくことをお勧めします。


参考文献

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