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規制改革2026×AI・先端技術をやさしく解説|医療AI・リーガルテック・AI採用代行・AI駆動開発・フィジカルAIまで

公開2026-07-25濱本 隆太

2026年7月21日に閣議決定された「規制改革実施計画」のうち、AI・デジタル分野の10事項を初心者向けにやさしく解説します。医師の画像読影AI、AI時代の規制改革、弁護士法のAI活用、研究開発法人のAI利活用、AI採用代行の許可、政府システムのAI駆動開発、フィジカルAI歩行ロボの公道実証、次世代AIデータセンター、宅建士立会いのデジタル化、自動車教習所のデジタル活用まで、一次情報に基づいて整理しました。

規制改革2026×AI・先端技術をやさしく解説|医療AI・リーガルテック・AI採用代行・AI駆動開発・フィジカルAIまで
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こんにちは、株式会社TIMEWELLの濱本です。

2026年7月21日、政府は「規制改革実施計画」を閣議決定しました。暮らしと経済のルールを一斉に見直す、全57事項からなる計画です。農業や交通、医療、労働など幅広い分野が対象になっていますが、この記事ではそのなかでも私たちの仕事とも重なる、AIと先端技術に関わる10の事項を取り上げます。

計画全体の位置づけや読み方については規制改革実施計画2026の全体像をやさしく解説した記事にまとめましたので、初めての方は先にそちらを読むと迷子になりません。交通・モビリティ分野を詳しく知りたい方は自動運転やライドシェアを扱った記事もあわせてどうぞ。

今回のテーマを一言でいえば、「AIを使いたいが、いまのルールでどこまで許されるのか分からない」という現場の疑問を、国が一つずつ解きほぐそうとしている、ということです。医療から法律、採用、行政システム、ロボット、データセンターまで、AIが実務に入り込むところで生じている引っかかりを、明確化やルール整備で外していく。そういう事項が並んでいます。自社のどこにAIが効くのか関心のある方は、先にAIリテラシーの無料診断で現在地を確かめておくと、この後の話が具体的になります。

なお、以下で示す施行時期や制度の細部は、いずれも規制改革実施計画の説明資料に基づく方向性です。断定できない点は本文でその旨を明記します。正確な内容は規制改革実施計画本文を参照してください。

7. 医師による画像読影におけるAI活用の促進

がん検診の画像読影を、AIの力を借りて医師1名でも回せるようにしようという事項です。

背景と現状の課題です。 市町村が行う住民検診(健康増進法に基づく市町村事業)では、検診の画像を複数の医師が確認する二重読影が定められています。がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針では、胃がん検診の胃部X線検査は原則として十分な経験を持つ2名以上の医師が行うこと、肺がん検診の胸部X線検査は2名以上の医師(うち1名は経験者)が読影すること、乳がん検診の乳房X線検査は二重読影で行うこと、とされています。見落としを防ぐための仕組みですが、読影を担う医師の負担は重く、人手の確保も年々難しくなっています。

今回の見直しです。 AIを活用した業務フローの実現性を検証できるかどうかも含めて、読影の精度を担保しつつ、これまで医師2名以上で行うこととされてきた住民検診の画像読影を、医師1名でも可能とする方向で見直しを検討します。イメージとしては、AIが一次的に異常陰影の有無を検出し、最終的な判定を医師が行う、といった流れが想定されています。

事業者や医療現場にとっての意味です。 読影医の負担が減れば、限られた医師の力を精密検査など本当に人の判断が要る場面に振り向けられます。医療AIを開発する企業にとっては、検診という具体的な業務のなかでAIが正式に位置づけられていく動きであり、実装の道筋が見えやすくなります。

今後の見通しです。 この事項は2026年度(令和8年度)に検討を開始し、2027年(令和9年)に結論を得る等とされています。読影精度をどう担保するかが検討の核心になるため、拙速に進めない設計といえます。具体的な検証方法は規制改革実施計画本文を参照してください。

規制改革実施計画2026 実施事項 説明スライド(事項7)

出典:内閣府「規制改革実施計画」(令和8年7月21日 閣議決定)実施事項 説明資料

12. AI時代に対応する規制・制度改革の在り方

個別の規制を直すだけでなく、規制を直す「速さ」そのものを上げようという事項です。ここがAI・デジタル分野の土台にあたります。

背景と現状の課題です。 AIをはじめ、新しい技術は驚くほど速く進歩します。ところが規制や制度の見直しは時間がかかりがちで、技術の進歩に制度が追いつかないと、社会実装のブレーキになってしまいます。技術は変わったのに、それを前提にしたルールがない、という状態が各所で起きています。

今回の見直しです。 急速に進歩する新技術の社会実装を促すために、迅速な規制・制度改革の進め方を整えます。具体的には、府省庁をまたいだ連携体制を強化しながら、情報収集・分析の効率化、調査や実証の早期化、法令適用事前確認手続(グレーゾーン解消のための仕組み)や国家戦略特区といった既存制度の積極活用、そして検討期限をあらかじめ設定することによる制度改正の迅速化に取り組む、とされています。産業競争力強化法などが根拠として挙げられています。

事業者にとっての意味です。 これは個別分野の規制緩和というより、規制を見直すエンジンの改良です。新しい技術を試したい事業者が「この使い方は合法か」を早く確認でき、必要な制度改正が早く動くようになれば、日本でAIを事業化するときの見通しが立ちやすくなります。この後に続く各事項も、この土台の上で動いていくと考えると全体像がつかめます。

今後の見通しです。 2026年(令和8年)に結論を得て、結論を得次第速やかに措置する等とされています。仕組みの改良なので、成果は個別事項のスピードとなって少しずつ表れていくものと見られます。詳細は規制改革実施計画本文を参照してください。

規制改革実施計画2026 実施事項 説明スライド(事項12)

出典:内閣府「規制改革実施計画」(令和8年7月21日 閣議決定)実施事項 説明資料

21. 弁護士法におけるAI活用の更なる明確化

契約書をAIが作ったり直したりするリーガルテックが、弁護士法に触れないかを整理する事項です。

背景と現状の課題です。 弁護士法第72条は、弁護士や弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で法律事件に関する鑑定や代理、その他の法律事務を業として取り扱うことを禁じています。いわゆる非弁行為の禁止です。ここで問題になるのが、AIを使ったリーガルテックです。リーガルテックは世代を重ねて進化してきました。ひな型と照合する契約書の自動レビューや自動作成が中心だった第1世代(2018年頃から)、文章要約や修正案の提示に生成AIが加わった第2世代(2023年頃から)、そして契約書の自動作成・自動修正やAIによる法務相談の前裁きまで担う生成AIエージェントの第3世代(2025年頃から)へと広がっています。ところが、AIが法的な判断を含む処理を行うと非弁行為に当たるおそれがあるとされ、どこまでサービスにしてよいか事業者が萎縮する場面がありました。

今回の見直しです。 企業法務において契約書を自動作成・更新するようなAIリーガルテックについて、今後の技術水準の向上も見据えながら、サービス提供に対する規制の在り方を検討し、開発・提供・利用の拡大を推進するとされています。何が許されて何が許されないのかの線引きを、技術の実態に合わせて整理していく方向です。

事業者にとっての意味です。 規制改革実施計画の説明資料には、導入効果の推計例が示されています。法務業務を担う組織を持つ企業は全国で6,000社、法務従事者は1社平均8.5人で、掛け合わせると約5万人。ここに労働時間の1割にあたる業務削減や振替の効果が期待できる、という試算です。さらに、法務の専門部署を持たない企業は約399万社にのぼり、こうした会社でも契約の適法性を容易に確認できるようになれば、規模による法務格差の是正につながります。リーガルテックを提供する側にとっては事業の見通しが立ち、使う側の中小企業にとっては法務の底上げになる、という両面の意味があります。

今後の見通しです。 この事項は2026年(令和8年)に検討を開始し、2026年度上期に結論、結論を得次第速やかに措置するとされています。AI・デジタル分野のなかでは比較的早い時間軸で、線引きが示される見込みです。具体的な検討内容は規制改革実施計画本文を参照してください。

規制改革実施計画2026 実施事項 説明スライド(事項21)

出典:内閣府「規制改革実施計画」(令和8年7月21日 閣議決定)実施事項 説明資料

ここまでで、AIが医療や法律といった専門領域に入り込むところで、ルールの整理が進もうとしていることが見えてきたと思います。こうした制度変更を自社の追い風に変えるには、まず「自社のどの業務にAIが効くのか」を掴んでおくことが出発点になります。私たちが提供しているWARPは、まさにその見極めから経営者と一緒に設計していくAIコンサルティングです。制度が整うのを待つだけでなく、整ったときに動ける準備を先にしておく、という発想が効いてきます。

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22. 研究開発法人のイノベーション力向上のためのAI等の利活用促進

国立研究開発法人などが、最新のクラウドAIを安心して使えるようにする事項です。これはすでに措置済みとされています。

背景と現状の課題です。 研究開発法人は、政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準群に沿って情報を守る必要があります。ところが、AI等の最先端クラウドサービスを使ってよいのかどうかの要件が明確でないために、利活用をためらう例がありました。研究の各工程では、論文検索や自動翻訳、仮説づくりのブレインストーミング、プログラムコードの生成、実験結果の集計・分析など、AIを使いたい場面が数多くあります。にもかかわらずAIを導入できないと、民間の研究機関のように研究作業を効率化できず、競争力の低下や、他機関から共同研究を敬遠されるおそれが指摘されていました。

今回の見直しです。 研究開発法人が適切な情報セキュリティ対策を講じつつ最先端のクラウドAIを選び使うための、具体的な要件・方法・事例をガイドライン等として整理・明確化しました。あわせて、法令等の根拠規定がないのに許可申請を求めるといった過剰な対応を、各府省庁が所管の研究開発法人に要求しないよう周知する、とされています。

研究機関や関連事業者にとっての意味です。 AIを使ってよいかの不透明さが解消されれば、研究の効率化・高度化が進み、共同研究も組みやすくなります。研究機関にクラウドAIを提供する事業者にとっても、導入のハードルが下がる方向の変化です。

今後の見通しです。 この事項は措置済みとされています。今後は、示された要件やガイドラインが現場でどう運用されるか、過剰な対応の抑制が実際に浸透するかが焦点になります。詳細は規制改革実施計画本文を参照してください。

規制改革実施計画2026 実施事項 説明スライド(事項22)

出典:内閣府「規制改革実施計画」(令和8年7月21日 閣議決定)実施事項 説明資料

23. AIを活用した採用代行の職業安定法上の許可要否及び許可要件の明確化

AIで採用を代行するサービスが、どこから「職業紹介」になるのかを整理する事項です。

背景と現状の課題です。 他人の求人と求職の間に立って就職をあっせんする行為は、職業安定法上、有料職業紹介事業の許可が必要です。一方、求人情報を届けるだけの募集情報等提供には許可は要りません。この線引きの鍵が「あっせん」、つまり求人者と求職者の意思疎通を仲介・加工する行為に当たるかどうかです。AIが応募者の選別や候補者への働きかけを担う採用代行が広がるなかで、AIによる処理がどこまでいくと「あっせん」に該当し許可が必要になるのかが不明確でした。

今回の見直しです。 AI採用代行サービスについて、AIによる行為が職業紹介に該当するかの是非や、有料職業紹介事業の許可の要否を明確化します。あわせて実態を調査し、職業紹介事業の許可要件や義務の運用の見直しも行うとされています。AIを使うと許可が要るのかどうか、要るならどんな要件かをはっきりさせる方向です。

事業者にとっての意味です。 HRテックやAI採用支援を手がける事業者にとっては、サービス設計の前提になる線引きが定まることになります。許可が要る領域と要らない領域が見えれば、無許可のリスクを避けつつサービスを組み立てられます。採用する企業側にとっても、労働力の需給調整機能の向上につながることが期待されています。

今後の見通しです。 この事項は2026年度上期(令和8年度上期)に措置する等とされています。比較的早い対応が予定されており、AIを使った採用サービスを提供・利用する側は、示される考え方を早めに確認しておくとよさそうです。具体的な区分の考え方は規制改革実施計画本文を参照してください。

規制改革実施計画2026 実施事項 説明スライド(事項23)

出典:内閣府「規制改革実施計画」(令和8年7月21日 閣議決定)実施事項 説明資料

24. 政府情報システムの調達・開発等におけるAI駆動開発の導入促進

行政のシステム開発そのものに、AIを本格的に入れていく事項です。

背景と現状の課題です。 システム開発の現場ではAIの活用が急速に進んでいますが、政府情報システムの調達や開発では、その活用を後押しするルールが十分に整っていませんでした。規制改革実施計画の説明資料は、各工程の課題を挙げています。調達では、府省庁職員のIT専門知識の不足から要件が曖昧・不明確になりがちなこと。設計では、その曖昧な要件から矛盾や抜け漏れが顕在化しがちなこと。開発では、ベンダーの暗黙知でコードの可読性が下がり、テストが不十分で品質に疑義が生じがちなこと。運用・保守では、ノウハウが特定ベンダーに蓄積しがちなこと。いわゆるベンダーロックインにつながりやすい構造です。

今回の見直しです。 政府情報システムの調達・開発等において、AIの活用を促すためのルールの明確化などの環境整備を行います。デジタル社会推進標準ガイドライン群が根拠に挙げられています。要件定義をAIが支援して府省庁職員でも進めやすくする、設計やレビューを自動化して要件との整合性を高める、コードやテストケースの生成・レビューを自動化して品質を上げる、といった各工程でのAIエージェント活用が想定されています。あわせて、AIが読み取りやすい形式で情報をやり取りする流れも描かれています。

事業者にとっての意味です。 これは行政のためだけの話ではありません。AIを使った開発が前提になれば、これまで大手ベンダーの暗黙知に頼りがちだった領域に、中小企業やスタートアップが参入しやすくなることが狙いに掲げられています。作業の効率化・高度化と、参入機会の拡大の両方を目指す事項です。政府調達の作法が変われば、民間のシステム開発にも波及していくと見られます。

今後の見通しです。 この事項は2026年度(令和8年度)に措置する等とされています。標準ガイドライン群の整備という形で、比較的早く動く見込みです。詳細は規制改革実施計画本文を参照してください。

規制改革実施計画2026 実施事項 説明スライド(事項24)

出典:内閣府「規制改革実施計画」(令和8年7月21日 閣議決定)実施事項 説明資料

25. フィジカルAIを活用した歩行型ロボットの社会実装に向けた公道実証実験の推進

AIが体を持って現実世界で動く「フィジカルAI」を、公道で試せるようにする事項です。

背景と現状の課題です。 脚で歩いて移動する歩行型ロボットは、フィジカルAIの代表例のひとつです。ところが公道で実証実験をしようとすると、二つの法律で位置づけが不明確でした。ひとつは警察庁が所管する道路交通法で、歩道での実証実験に必要な道路使用許可の基準において、歩行者として扱われる遠隔操作型小型車などの既存区分とは異なり、「歩行型ロボット」の取扱いがはっきりしません。もうひとつは国土交通省が所管する道路運送車両法で、歩道を含む公道を通行するには道路運送車両に該当しないか、保安基準の緩和認定を受ける必要がありますが、ここでも歩行型ロボットの取扱いが不明確です。このため、現状の実証では縄で囲ったり専用エリアを設けたりして、ロボットと一般の歩行者を分け隔てることが条件とされ、本格的な実証に限界がありました。歩行者と歩道を共有する形の許可が得られず、実験計画の中止や変更が起き、安全性データの収集や自律稼働に必要なAI学習が進まないという問題が指摘されています。

今回の見直しです。 歩行型ロボットについて、道路交通法における道路使用許可の基準や、道路運送車両法における取扱いを明確化することで、歩道での実証実験を実現し、フィジカルAIの社会実装を促します。

事業者にとっての意味です。 ロボットが現実の歩道を歩けるようになれば、配送や見回りといった用途に向けた実データの蓄積が進みます。フィジカルAIは、集めた走行データで学習を回すことが性能向上の要になるため、公道での実証ができること自体が開発の前提になります。国内でロボットを開発・活用する事業者にとって、道が開ける方向の変化です。

今後の見通しです。 この事項は2026年(令和8年)に結論・措置とされています。二つの法律の取扱いが整理されることで、実証のハードルが下がっていくと見られます。具体的な基準は規制改革実施計画本文を参照してください。

規制改革実施計画2026 実施事項 説明スライド(事項25)

出典:内閣府「規制改革実施計画」(令和8年7月21日 閣議決定)実施事項 説明資料

26. 次世代AIデータセンターの国内立地の加速

AIを動かす計算基盤そのものを、国内に建てやすくする事項です。

背景と現状の課題です。 AIの開発に必要な計算量は、新しいAIが登場するたびに加速度的に増えています。それに伴って消費電力も膨らみ、次世代のAIデータセンターを国内に整備する必要が高まっています。ところが、データセンターに蓄える大容量のリチウムイオン蓄電池をめぐって、制度上の引っかかりが三つ指摘されています。ひとつは消防法の試験基準で、日本独自の試験基準が次世代AIデータセンターには適用しづらいこと。ひとつは建築基準法の数量制限で、消防法上の安全性が確認された場合でも制限がかかること。もうひとつは消火設備で、リチウムイオン蓄電池には水消火設備が有効な一方、サーバーには不活性ガス消火設備が義務づけられていること。安全は守りつつも、いまのままでは大容量の蓄電池を備えた大規模データセンターが建てにくい状態でした。

今回の見直しです。 国際基準等を踏まえ、安全性の確認を前提として、消防法令や建築基準法令における扱いを見直します。試験基準は国際的な基準と同等の試験手順・合格基準を策定する方向、数量制限は消防法上の安全性が確認された場合に適用除外となるよう建築基準法上の制限を見直す方向、消火設備は近年の技術動向を踏まえて水消火設備を導入し、その際の排煙設備の要否を検討する方向とされています。

事業者にとっての意味です。 AIデータセンターの国内立地が進めば、AIの計算基盤を国内に持てることになり、データを国内で扱いたい企業にとっての選択肢が広がります。建設や電源、蓄電池、冷却といった関連産業にとっても、投資が動きやすくなる方向の変化です。国内でAIを開発・運用する事業者全体の土台に関わります。

今後の見通しです。 この事項は2026年度(令和8年度)に措置する等とされています。安全性の確認を前提にしつつ、国際基準に合わせた見直しが進む見込みです。詳細は規制改革実施計画本文を参照してください。

規制改革実施計画2026 実施事項 説明スライド(事項26)

出典:内閣府「規制改革実施計画」(令和8年7月21日 閣議決定)実施事項 説明資料

27. デジタル・AIを有効活用するための重要事項説明時における宅建士の立会いの見直し等

不動産取引の重要事項説明で、宅建士がその場に立ち会わなくてよい場合を整理する事項です。

背景と現状の課題です。 不動産の売買や賃貸では、契約の前に宅地建物取引士(宅建士)が重要事項を説明することが宅地建物取引業法で義務づけられています。この説明の手段は広がってきており、対面のほか、オンライン会議形式でリアルタイムに受ける方法、宅建士による読上げ動画を立会いのもとで視聴する方法などがあります。ここにAI技術を使う動きも出てきていますが、書類の作成や読上げにAIを使う場合でも、読上げには宅建士の立会いが必要とされ、そのルールは未整備でした。オンライン会議形式や録画ビデオ動画についてはマニュアルの整備状況がまちまちで、AIについては考え方を示したマニュアルがまだない状態です。

今回の見直しです。 重要事項説明について、AI技術やデジタル技術の進展も踏まえ、宅建士の立会いが不要である場合を明確化します。あわせて、これらの技術の活用に関するマニュアル等を整備・公表するとされています。どういう場合なら立会いなしでよいのかをはっきりさせ、使い方の手引きも示す方向です。

事業者にとっての意味です。 立会いが不要な場合が明確になれば、消費者にとっては都合のよい時間に説明を受けられる利便性の向上につながり、宅建士にとっては業務の効率化につながります。不動産事業者やこの分野のデジタルサービスを手がける企業にとっては、AIやデジタル技術をどこまで使ってよいかの前提が定まることになります。あわせて消費者保護も目的に掲げられています。

今後の見通しです。 この事項は2026年(令和8年)に検討を開始し、2026年度上期に結論を得る等とされています。マニュアルの整備が伴うため、実際の運用に落ちるまでの手順もあわせて示されていく見込みです。詳細は規制改革実施計画本文を参照してください。

規制改革実施計画2026 実施事項 説明スライド(事項27)

出典:内閣府「規制改革実施計画」(令和8年7月21日 閣議決定)実施事項 説明資料

33. 指定自動車教習所の教習におけるデジタル技術の活用等

運転免許の教習に、オンラインや遠隔のデジタル技術を取り入れやすくする事項です。

背景と現状の課題です。 指定自動車教習所は、地方で暮らしの足となる自動車の免許取得を支える大切な場所ですが、担い手が減っています。規制改革実施計画の説明資料によれば、2000年と比べて、指定教習所数や卒業者数の減少に対して教習指導員数の減少が大きく、指導員の負担軽減が課題になっています。デジタル技術の活用も始まっていますが、二つの引っかかりが挙げられています。ひとつはオンライン学科教習で、警察庁通達に基づき、教習生の受講状況を記録した画像のすべてを教習指導員等が確認することなどが求められ、指導員に過大な負担がかかること。もうひとつは遠隔教習システムで、自動補助ブレーキ機能や双方向の音声通話機能、走行データから改善点を診断する機能などを複合的に備えたシステムが開発され、一部の教習所の技能教習の無線教習で使われていますが、活用の幅を広げる余地が残っていることです。

今回の見直しです。 オンライン学科教習や遠隔教習システムなど、教習生の利便性にも資するデジタル技術を活用した教習について、運用の明確化などによって導入を促進します。道路交通法関係や、指定自動車教習所におけるオンライン学科教習の留意事項に関する警察庁通達が根拠に挙げられています。過大な確認負担のあり方を含め、デジタル活用の運用を整理する方向です。

事業者にとっての意味です。 教習所にとっては、オンラインや遠隔の教習を取り入れやすくなることで、業務の効率化と指導員の負担軽減につながります。教習生にとっては受講の機会が広がり、地方で免許を取りやすくなることが期待されます。教習向けのデジタルサービスを開発する事業者にとっても、導入の後押しになる方向の変化です。

今後の見通しです。 この事項は2026年度(令和8年度)に結論を得て、結論を得次第速やかに措置する等とされています。運用の明確化という形で進む見込みです。詳細は規制改革実施計画本文を参照してください。

規制改革実施計画2026 実施事項 説明スライド(事項33)

出典:内閣府「規制改革実施計画」(令和8年7月21日 閣議決定)実施事項 説明資料

この計画を、自分の会社の話として読む

10の事項を並べてみると、共通するテーマが見えてきます。どれも「AIを使いたいが、いまのルールでどこまで許されるか分からない」という不透明さを、明確化やルール整備で減らそうとしています。医療も法律も採用も、行政システムもロボットもデータセンターも、AIが実務に入り込む手前で生じている引っかかりを外していく、という方向で揃っています。

ここで大事なのは、制度が整うこと自体が成果を生むわけではない、という点です。規制が明確になっても、自社のどの業務にAIを入れれば実際に楽になるのかが分かっていなければ、追い風は素通りしてしまいます。号令と現場のあいだには、いつも翻訳が必要です。何から手をつければいいか分からないまま待っていると、制度があっても動けません。

自社でAIをどこからどう取り入れればいいか、生産性のどこにボトルネックがあるのか。その出発点の整理に迷っておられるなら、WARPの担当までご相談ください。元大手企業でDXやデータ戦略を担ってきた専門家が、月次で伴走しながら、AIを経営に落とし込むお手伝いをしています。制度の大きな流れを、目の前の一歩に翻訳するところから始めましょう。もっとも、AIを入れれば何でも解決するわけではありません。効くところと効かないところを見極める判断こそが、最初の分かれ道になります。

まとめ

長くなったので、AI・デジタル分野の要点を整理します。

  • 規制改革実施計画は2026年7月21日に閣議決定された全57事項の計画で、そのうちAI・デジタルに関わる事項が並んでいます
  • 医療では、がん検診の画像読影を精度を担保しつつ医師1名でも可能とする方向の検討が進みます(事項7)
  • 制度改革のスピードを上げるAI時代の規制改革の在り方が、全体の土台になっています(事項12)
  • 弁護士法のAI活用の明確化や、AI採用代行の許可要否の明確化など、AIをサービスにする側の線引きが整理されます(事項21・23)
  • 研究開発法人のAI利活用や、政府システムのAI駆動開発など、AIを使う組織の側の環境整備も進みます(事項22・24)
  • 歩行型ロボットの公道実証や、次世代AIデータセンターの立地加速など、AIが現実世界で動く土台にも手が入ります(事項25・26)
  • 宅建士の立会いや自動車教習所のデジタル活用など、身近な現場のデジタル化も対象です(事項27・33)

政策文書は、読むだけだと他人事に見えます。ですが、そこに書かれた「AIの活用」や「業務の効率化」は、まさに一つひとつの会社が明日から考えていいテーマです。国が方向を指し示している今は、動き出すには悪くないタイミングだと思います。まずは自社のどこにAIが効くのかを見極めるところから、始めてみてください。

参考文献・一次情報

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