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【完全解説】米国EAR Affiliates + 中国域外適用 + EU 2025/2003 同時発動の世界|日本企業の3規制統合対応ガイド

2026-05-20濱本 隆太

米国Affiliates Rule、中国MOFCOM公告61/62、EU Delegated Regulation 2025/2003。同じ時期に整った3つの輸出管理規制を「機能的に対称な制度」として並べ、1取引で3規制すべてを判定する現実と統合スクリーニング体制の必要性を初心者向けに解説します。

【完全解説】米国EAR Affiliates + 中国域外適用 + EU 2025/2003 同時発動の世界|日本企業の3規制統合対応ガイド
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株式会社TIMEWELLの濱本 隆太です。輸出管理を担当する方から、最近もっとも多く相談を受けるテーマが「米国・中国・EUの規制が同じ時期に動き出した。うちは何から手をつければよいのか」というものです。本記事では、外為法は理解しているけれど米中EUの輸出管理は初めて、という担当者を想定し、3規制を機能的に対称な制度として並べた上で、1取引でこの3つすべてを判定する現実を整理しました。

この記事でわかること

  • 米国Affiliates Rule、中国MOFCOM公告61/62、EU Delegated Regulation 2025/2003の3つが、なぜ「同時発動」と呼ばれるのか
  • 「域外適用」「50%ルール」「米中ジレンマ」という3つの用語の意味
  • 1取引で3規制すべてを判定する現実シナリオと、その工数の正体
  • 中国の0.1%デミニミスが米国の25%よりはるかに厳しい理由
  • 統合スクリーニングと、TIMEWELLが提供する**TRAFEED(旧ZEROCK ExCHECK)** が解決する課題

まず用語を3つだけ理解する

3規制を整理する前に、共通する基本用語を確認します。輸出管理の文献では当たり前のように出てくる言葉ですが、初めて読むときは戸惑いやすいので、ここで一度押さえておきます。

域外適用とは

「ある国の法律が、自国の領土外で行われた取引にも及ぶ」という考え方です。日本の外為法は基本的に日本からの輸出を規制しますが、米国EARはこれを超えて「米国製の部品を一定量含む外国製品」や「米国製の装置で作られた外国製品」にも適用されます。輸出管理の文脈では、米国がもっとも積極的に域外適用を活用してきました。

2025年から2026年にかけては、中国も初めて公式に域外適用を明文化し、EUも品目リストの拡大によって結果的に多くの外国取引に影響を及ぼす制度を整えました。3つの主要経済圏が同時期に「自国の影響範囲を国境の外に広げる」方向へ動いた、というのが今の局面の大きな構図です。

50%ルールとは

リストに掲載された企業が直接または間接に50%以上を所有する子会社・関連会社も、自動的にリストと同じ規制対象に含める仕組みです。社名そのものでは引っかからない取引相手でも、株主構成を遡れば規制対象企業に行き着く、というケースを捕捉する設計になっています。

米国OFAC(財務省)の制裁分野では以前から使われていた発想ですが、2025年9月に米国BISがAffiliates Ruleとして輸出管理にも持ち込み、続いて中国MOFCOMも公告61/62で同じ構造を導入しました。OECDの調査でも、所有関係の追跡を伴うコンプライアンスは平均で従来の3〜5倍の工数になると言われており、実務インパクトは小さくありません。

米中ジレンマとは

「米国の規制に従って中国向け取引を止めると、中国側のブロッキング法令(反外国制裁法・外国の不当な域外管轄に対抗する規定)に違反する」という板挟みの状態を指します。逆もまた然りで、中国側の要請に応じると米国側でEnd-Use違反になる、という構造もあります。

2026年4月に中国が「外国の不当な域外管轄に対抗する規定」を公布したことで、この板挟みは制度化された問題になりました。**「どちらに従っても何かしらの違反が成立しうる」**という前提で、社内ガバナンスを設計する必要が出てきています。


3規制の構造比較表

主要な3規制を、初心者の視点で並べて比較します。表の各列を「同じ問いに対する3者の答え」と見なすと、構造的な対称性が見えてきます。

項目 米国 Affiliates Rule 中国 MOFCOM 61/62 EU 2025/2003
主管 BIS(商務省) MOFCOM(商務部) 欧州委員会
公表 2025/9/29 2025/10/9 2025/11/14
施行 2025/9/29 2025/11/8 2025/11/15
現状(2026/5時点) 2025/11/10〜2026/11/9 停止中(2026/11/10 再施行予定) 2025/11/10〜2026/11/9 停止中(2026/11/10 再施行予定) 施行中
域外適用の論理 50%所有 + FDPR + de minimis(25%) 50%所有 + 域外適用 + de minimis(0.1%) 品目リストの直接適用
対象範囲の中心 EL(Entity List:制裁対象企業リスト)/ MEU(Military End-User)/ SDN関連、半導体・AI等 レアアース・磁性材料・超硬材料・電池・関連技術 量子・半導体製造装置・先進バイオ・素材・宇宙
50%ルール あり(直接・間接、合算) あり(直接・間接) なし
Red Flag的概念 Red Flag 29(BISが示す29項目の警戒シグナル) リスク評価報告書の提出義務 包括的キャッチオール(軍事転用懸念があれば品目リスト非該当でもライセンス要求)
違反時の責任 厳格責任(Strict Liability:故意・過失を問わず違反成立) 行政罰+輸出資格停止+刑事罰の可能性 加盟国法に基づく刑事・行政罰

用語の補足

  • FDPR(Foreign Direct Product Rule):米国の技術・装置で製造された外国製品も米国法の対象とする規則
  • ECCN(Export Control Classification Number):米国輸出管理品目番号。EUも独自の500番台ECCNを設定
  • Red Flag 29:米国BISが取引のリスクサインとして示す29項目のチェックリスト
  • キャッチオール規制:品目リストに載っていなくても、軍事転用などの懸念があればライセンスが必要になる仕組み

3つの域外適用ロジックの違い

同じ「域外適用」と一言で呼ばれていても、実装は3者で異なります。

  • FDPR(米国):米国の技術・装置で作られた外国製品まで米国法を及ぼす考え方。完成品ベース。
  • de minimis(米国・中国):外国製品に一定比率以上の原産国コンテンツが含まれれば、その原産国の法に従う。米国は25%、中国は0.1%。
  • 50%ルール(米国・中国)所有関係で「実質的に同一企業」とみなす考え方。OFAC型の発想を輸出管理に拡張。
  • Annex I拡張(EU):上記いずれでもなく、品目リスト自体を拡大することでライセンス要件を広げる古典的な手法。

EUは「域外適用」というラベルこそ使わないものの、量子コンピュータ部品や半導体製造装置といった新興技術領域に厚みを持たせた品目リストで、結果的に多くの日本企業の取引が新規にライセンス要件下に入ります。3者は手段こそ違えど、「自国経済安全保障の確保」という政策目的では共通しています。


Replace siloed classification work with AI.

METI's FY2024 data shows 52% of foreign exchange law violations stem from classification errors. TRAFEED cuts determination time by ~70% and stores structured rationale for every decision.

「2026年11月10日に米中が同じ日に再施行」される設計

米国Affiliates Ruleと中国MOFCOM公告61/62は、米中通商合意により2025年11月から1年間の停止期間に入りました。停止期間の終了日が両方とも2026年11月10日に設定されている点は、偶然ではなく交渉の結果です。

これが意味するのは、特段の延長合意がなければ、米中の50%ルールが同じ日に再施行されるということです。さらに、EUの2025/2003は停止措置なく既に動いていますから、2026年11月10日以降は、3規制がすべて発動している状態が標準になります。

時期 米国 Affiliates Rule 中国 MOFCOM 61/62 EU 2025/2003
〜2025/9 未施行 未公表 未施行
2025/9/29〜11/9 施行中 検討中 検討中
2025/11/10〜2026/11/9 停止中 停止中 施行中
2026/11/10〜 再施行 再施行 施行中

停止中だからといって油断はできません。Affiliates Rule自体は2025年9月に条文として確定済みであり、停止が解除されれば即日適用が始まります。所有関係調査・社内システム改修・契約見直しは1年がかりの作業ですので、停止期間こそ準備の時間として使う、というのが現実的な構えです。


中国の0.1% de minimis(米国25%より格段に厳しい)

3規制のうち、初心者にとってもっとも見落としやすいのが中国の0.1%デミニミスルールです。米国の25%という閾値と比べて桁が違うため、感覚的には「事実上ほぼすべての製品が対象」と捉えるのが安全です。

0.1%が何を意味するか

中国MOFCOM公告61/62は、レアアース・磁性材料・超硬材料・電池等の中国産原材料を価額の0.1%超含む外国製品の再輸出に、MOFCOMの許可を求めます。

  • 1,000万円の製品なら、中国産レアアースが1万円分含まれていれば対象
  • EVモーター用磁石・風力発電向け磁石・スマートフォン振動モーターなどは、ほぼ確実に閾値を超える
  • 部品メーカーから「中国産レアアースは使っていない」と書面で確認できない限り、保守的には「含む可能性あり」と判定するのが現実的

米国の25%デミニミスは「米国コンテンツが多めの製品」を対象にする発想でしたが、中国の0.1%は**「微量でも含めば対象」**という発想です。0.1%という数字を見て「ハードルが低くて捕捉しやすそう」と感じた方は、感覚を逆転させる必要があります。

BOM(部品表)からの計算が必須に

実務では、製品の部品表(BOM: Bill of Materials)を遡って、原材料単位で中国産含有比率を計算する必要があります。レアアース17元素は、ネオジム磁石・サマリウムコバルト磁石・蛍光体・触媒・特殊鋼など幅広い製品に含まれており、サプライヤーから原料原産地証明を取得する仕組みを社内で整備しないと、計算が成り立ちません。

実態としては、完全な精度を目指すよりも**「保守的に含む可能性あり」と判定して都度ライセンス審査を回す**運用を取る企業が多いのが現状です。判定ロジックの精度を上げるか、ライセンス審査の処理能力を上げるか、どちらかを選ぶ局面に入っています。


EU 2025/2003 の「Annex I 拡大」アプローチ

EUの位置づけは、米中とは構造が違います。50%ルールも0.1%ルールもなく、域外適用そのものを明文化しているわけでもありません。EUが取ったのは品目リスト(Annex I)を拡大するという古典的な手法です。

何が追加されたか

Delegated Regulation (EU) 2025/2003は、Regulation (EU) 2021/821(デュアルユース規則)の付属書 I(Annex I:規制品目を列挙したリスト)を全面改訂したものです。多国間レジーム(先進国が協調して輸出管理品目を決める国際枠組み。通常兵器を対象とするワッセナー・アレンジメント、核関連の原子力供給国グループ、生物・化学関連のオーストラリア・グループ等)の更新を反映しつつ、EU独自で新興技術を多数追加しました。

主な追加領域は次のとおりです(半導体製造の前工程・検査工程で使われる装置群や、量子・バイオなど新興技術領域が中心)。

  • 半導体製造装置:ALD装置(原子層堆積装置:薄膜を1原子層ずつ積む装置)、リソグラフィ装置(回路パターンをウエハに転写する露光装置)、EUVペリクル(最先端露光で使う薄膜カバー)、レチクル(露光用の原版マスク)、走査型電子顕微鏡(SEM:ナノレベルで表面を観察する装置)、エッチング装置(不要な膜を削り取る装置)
  • 量子コンピュータ関連:極低温電子回路、パラメトリック信号増幅器、極低温冷却装置
  • 先進バイオ:高度ペプチド合成装置
  • 先進素材・宇宙関連:特定の合金、宇宙関連製造装置

EU独自管理品目には新たに500番台のECCN(前掲のとおりEU版の輸出管理品目番号)が設定され、EU加盟国は2026年中に国内施行措置の整備を進めます。

なぜ域外適用がなくても日本企業に効くのか

「域外適用がないのなら日本本社には関係ないのでは」と感じる方が多いのですが、実際の影響は小さくありません。

  • 日本本社がEU向けに直接輸出する場合、Annex Iに新規収載された量子・半導体製造装置の取引はEU側で個別ライセンスが必要になる
  • EU子会社や代理店経由で第三国へ再輸出する場合も、同じくEUのライセンス審査を経由
  • 包括的キャッチオール(end-use control)により、品目リスト非該当でも軍事転用懸念があればライセンス要求が及ぶ

EUは「品目リストの直接適用」という、もっとも伝統的な輸出管理の枠組みで対応しています。手段が古典的なだけで、対象範囲は新興技術の中心領域ですから、結果として日本企業の主力製品が新規にライセンス対象になるケースが増えます。


日本企業の「3規制同時対応」現実シナリオ

ここまでの3規制を、1つの実際の取引に当てはめてみます。読者の田中さんが担当する想定の典型例として、日本企業A → 米国子会社B → EU子会社C → 中国顧客Dという4段の流通を考えます。

前提:A社が製造する半導体検査装置。米国製の制御ボードを15%含み、EUの2025/2003でAnnex Iの対象(EUVペリクル検査ユニット)。最終ユーザーは中国の独立系ファウンドリD社。

ステップ 関係する規制 担当者が確認すべきこと
① A社→B社(日本→米国子会社) 日本外為法 / 米国EAR de minimis 25%未満なのでEAR直接対象外。ただし日本側でリスト規制+キャッチオール審査が必要。
② B社→C社(米国→EU子会社) 米国EAR / EU 2025/2003 米国からの再輸出はEAR対象。EU受領後、域内移動・第三国再輸出時に2025/2003が効く。
③ C社→D社(EU→中国顧客D) EU / 米国Affiliates / 中国 EUは2025/2003で個別ライセンス申請。D社がELに記載された企業の50%子会社なら米国側でも要許可(2026/11以降)。D社が中国管理対象企業リストに該当する企業の50%子会社なら、製品再輸出時に中国側50%ルールも発動。
④ D社で利用 中国EUC(End-User Certificate:最終需要者証明書)/ Catch-all(キャッチオール規制) 用途が軍事転用される懸念があれば、EU・米国・日本各国でキャッチオール規制が適用される。

ここから見えてくること:単純な「日→米→欧→中」という4段の流通でも、関係する規制レイヤーは最低6つ(日本外為法、EAR、EU 2025/2003、Affiliates Rule、中国MOFCOM、中国側のリスト規制)になります。1つの取引を承認するには、6つの規制で「該当しない」または「ライセンス取得済み」を確認する必要があります。

これを社名照合だけでこなすのは現実的ではありません。所有関係の追跡、コンテンツ比率の計算、Annex I該否の技術判定を、同一の取引データに対して並列に走らせる仕組みが必要になります。


米中ジレンマ:板挟みのリスクを制度化された問題として理解する

3規制の同時発動が議論される際、避けて通れないのが米中ジレンマの問題です。日本企業が直面しているのは、単に「規制が増えた」というだけでなく、規制同士が矛盾するという新しい局面です。

中国側のブロッキング法令

中国は2026年4月に「外国の不当な域外管轄に対抗する規定」を公布しました。これは、外国の輸出管理規制を理由に中国企業との取引を停止した外国企業に対し、中国側で対抗措置を発動する根拠を整えるものです。

具体的には次のような流れが想定されます。

  • 日本企業が、米国EL掲載企業の50%子会社にあたる中国法人との取引を、Affiliates Ruleに基づき停止
  • 中国側は「不当な域外管轄に従った行為」と認定する余地
  • 「悪意ある実体リスト」掲載や、中国国内資産への対抗措置の対象となるリスク

逆に、中国側のブロッキング法令を理由に取引を続ければ、米国側でEnd-Use違反となる可能性があります。

「どちらにも対応する」社内ガバナンスの設計

事業領域ごとに、どちらの規制を優先するかの優先順位を社内ポリシーで明文化しておくのが現実解です。個別案件ごとに現場が判断していては、判断速度が落ちるだけでなく、判断のばらつきがコンプライアンス・リスクを増幅させます。

  • 半導体・AI領域:米国規制を優先(ライセンス取得・取引縮小を選択肢に)
  • レアアース・素材領域:中国規制を優先(中国側の手続きを丁寧に踏む)
  • 量子・先進素材:EU規制を起点に組み立てる

これは政治的判断ではなく、事業継続上のリスク分散の判断として整理する必要があります。


統合スクリーニング体制の必要性

ここまで読まれた田中さんは、おそらく「これを社名照合だけで回すのは無理だ」と感じているはずです。米国BIS自身も、FAQで「Consolidated Screening List(CSL)の確認だけでは不十分」と明言しています。

3規制同時対応の時代に、社内システムに求められる要件を整理します。

統合スクリーニングの要件

機能 旧来の体制 3規制同時対応で必要な体制
リスト照合 米国EL/MEU/SDN中心 米中EUの全リストを横断して照合
所有関係追跡 直接の取引相手のみ 直接・間接の50%所有関係を遡及で確認
コンテンツ比率算定 米国25%のみ 米国25%+**中国0.1%**を並列計算
品目該否判定 国内リストのみ EU Annex I+米国CCL(Commerce Control List:米国規制品目リスト)+中国管理品目を並列判定
判定履歴の記録 エクセル管理 監査対応可能な改ざん耐性のあるログ

AIツールはどこまで任せられるか

3規制同時対応の工数を、AIで大幅に削減できる領域とできない領域があります。

得意領域

  • 大量のエンドユーザー候補に対する所有関係の探索
  • 多言語(中国語・ロシア語・アラビア語等)のニュースから出てくるリスク情報の要約
  • Annex Iや中国のリストとの照合候補生成
  • 判定履歴の自動記録

苦手領域

  • ECCN該否の最終判断
  • Red Flagが上がった後の「解消すべき疑い」の判断
  • 仕様書から技術要件を抽出して規制値(パフォーマンス指数等)と比較する作業

これらは人間の最終確認が必要です。AIで候補絞り込み・初期判定・記録自動化を行い、最終承認は人間という分業がベストプラクティスになります。


実務でやるべき5ステップ

最後に、停止期間中(〜2026年11月9日)に進めるべき準備を5つのステップに整理します。

Step 1:取引データの棚卸し

過去2〜3年分の輸出取引データを集約し、(a) 仕向地、(b) 取引相手、(c) 製品カテゴリ、(d) 米国コンテンツ比率、(e) 中国産レアアース含有有無 を一覧化します。3規制のどれが効くかは、この5項目の組み合わせで判定されます。

Step 2:所有関係の可視化

取引相手の親会社・実質支配者を、最低でも直接出資者のレベルまで遡って整理します。資本構成は四半期で変わりうるため、定期的な再スクリーニングを契約条件にも盛り込むのが現実的です。

Step 3:BOM情報の整備

製品ごとの部品表を整備し、サプライヤーから原料原産地証明を取得する仕組みを作ります。中国産レアアースの0.1%判定には、BOMが整備されていないと話が始まりません。

Step 4:判定フローの再設計

社名照合→所有関係追跡→コンテンツ比率算定→品目該否判定→ライセンス要否判定、という流れをシステム化された判定フローとして再設計します。エクセル管理は2026年11月以降は限界に達します。

Step 5:米中ジレンマ・ポリシーの策定

事業領域別に「どちらの規制を優先するか」を明文化し、経営層の承認を取り付けます。現場の個別判断に任せないことが、ガバナンス上もっとも重要です。


よくある誤解/FAQ

Q1. 「停止中」なのに、なぜ今から準備するのか? A. 2026年11月10日に再施行されることが既に告示で予告されています。直前で対応するには、所有関係調査・社内システム改修・契約見直しの準備時間が足りません。準備は1年がかりが現実的です。

Q2. EUの2025/2003は域外適用がないなら、日本本社にはあまり関係ないのでは? A. 日本本社が直接EUに輸出する場合でも、Annex Iに新規収載された量子・半導体製造装置の取引はEU側で個別ライセンスが必要になります。EU側の子会社・代理店経由で再輸出する場合も同様です。

Q3. 米中合意で「またすぐ停止が延長される」可能性はないのか? A. 政治的にあり得ますが、企業として「延長前提」で準備を遅らせるのは合理的ではありません。Affiliates Rule自体は2025年9月に一度施行されており、規則条文は既に確定しています。

Q4. 中国の0.1%ルールは現実に計算可能なのか? A. レアアース17元素や磁性材料の含有量を、BOMベースで価額換算する必要があります。サプライヤーから原料原産地証明を取得し、計算式を社内で整備するのが現実的です。完全な精度は難しく、保守的に「含む可能性がある」と判定する運用も多いのが実態です。

Q5. 小規模な日本企業も対応が必要か? A. 取引先が大手商社・海外子会社・EMS(電子製造受託)であれば、上流から「規制適合の証明」を求められます。直接の輸出者でなくても、サプライチェーンの一員として対応が必要です。

Q6. 米中ジレンマで「どちらにも従えない」場合、どう判断するのか? A. 個別案件ごとに現場が判断するのではなく、事業領域別に社内ガバナンスとして優先順位を明文化しておくことが推奨されます。経営層の承認を伴うポリシー化がポイントです。


まとめ

  • 米国Affiliates Rule、中国MOFCOM公告61/62、EU 2025/2003の3規制は、機能的に対称な制度として同時期に整った
  • 米中は2026年11月10日に同じ日に再施行される設計。EUは停止なしで既に動いている
  • 「域外適用」「50%ルール」「米中ジレンマ」の3用語を押さえれば、構造の8割は理解できる
  • 1取引で6つの規制レイヤーを並列判定するのが現実。社名照合だけでは足りない
  • 統合スクリーニング・所有関係追跡・コンテンツ比率算定の3点をシステム化された判定フローに組み込むのが急務
  • AIで初期判定を回し、人間が最終承認するのがベストプラクティス

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参考文献

米国 BIS Affiliates Rule

中国 MOFCOM公告 61号・62号

EU Delegated Regulation 2025/2003

日本側の補完情報

法律事務所の解説

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