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【完全解説】台湾SHTCエンティティリスト|Huawei・SMIC追加601エンティティと累計10,800超

2026-05-20濱本 隆太

台湾SHTCエンティティリストにHuawei・SMICを含む601エンティティが追加され、累計10,800超に達した経緯と日本企業への影響を解説。Huaweiの日本・ロシア・ドイツ等の海外現地法人も対象で、TSMCサプライヤーに直接波及する。法的根拠・罰則・実務5ステップを整理。

【完全解説】台湾SHTCエンティティリスト|Huawei・SMIC追加601エンティティと累計10,800超
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株式会社TIMEWELLの濱本 隆太です。最近、半導体・電子部品メーカーの輸出管理担当者から「台湾のリストにHuaweiの日本法人まで載っているらしいが、本当か」という問い合わせをよく受けます。事実です。台湾の経済部 国際貿易署(ITA)が運用するSHTCエンティティリストは、2025年6月にHuawei・SMICを含む601エンティティを一括で追加し、9月にもさらに279エンティティを上乗せしました。累計は10,800を超え、米国BISエンティティリストよりも規模が大きいリストへと膨らんでいます。

本記事では、外為法は知っているけれど台湾の輸出管理制度には馴染みがないという担当者を想定し、SHTCリストの構造、Huawei・SMIC追加の経緯、そして日本企業として実務上やるべきことを5,500字超で整理しました。中立的な事実ベースで、台湾政府の制度設計と運用思想を読み解いていきます。

この記事でわかること

  • 台湾SHTCエンティティリストとは何か、米国BISエンティティリストとどう違うのかが3分でわかる
  • 2025年6月にHuawei・SMICを含む601エンティティが追加された経緯と、引き金になったSophgo / TSMC事案の全体像
  • Huaweiの日本・ロシア・ドイツなどの海外現地法人もリスト対象になっており、日本企業との取引に何が起きるか
  • 違反した場合の刑事罰(最大5年・NTD300万)と、制限地域向けの加重区分の意味
  • 自社が今すぐ実施すべき5つの実務ステップと、よくある誤解への回答

まず用語を3つだけ理解する

本題に入る前に、最低限おさえておきたい用語を3つだけ整理します。これだけ知っていれば、後の本文はスムーズに読めます。

用語 平易な説明
SHTC(エス・エイチ・ティー・シー) Strategic High-Tech Commodities。日本語では「戦略性高科技貨品」。台湾の輸出管理対象品目の総称で、半導体・通信機器・暗号関連・デュアルユース化学品など、軍民両用に転用可能な品目が含まれる。
ITA(アイ・ティー・エー) International Trade Administration。台湾経済部の国際貿易署。日本でいう経済産業省の安全保障貿易管理課に相当する所管官庁。2023年9月に旧BOFT(Bureau of Foreign Trade、国際貿易局)から組織改編された。
制限地域(Restricted Regions) 台湾SHTC制度上、特に厳格な扱いを受ける地域。イラン、イラク、北朝鮮、中国(中国大陸)、スーダン、シリアなどが指定されており、これらの地域向け違反は刑事罰として処理されやすい。

これら3つは本記事のあちこちで登場します。とくに「制限地域」という概念は、中国(中国大陸)所在のHuawei本体・SMICとの取引を考えるうえで決定的に重要なので、いったん頭に入れておいてください。

ここまでのポイント:SHTCは台湾版の戦略物資、ITAはそれを所管する役所、制限地域は罰則が重くなる相手国の区分。


SHTCエンティティリストの構造

法的根拠と所管

SHTCエンティティリストは、台湾の貿易法(Foreign Trade Act)第13条および第27条を根拠とし、下位規則として「戦略性高科技貨品輸出入管理弁法(Regulations Governing the Export and Import of Strategic High-tech Commodities)」が運用ルールを定めています。所管は経済部のITAで、制度自体は1994年から運用されており、ワッセナー・アレンジメントなど多国間レジームの方向性と整合する形で設計されています。

項目 内容
根拠法 貿易法 第13条・第27条
下位規則 戦略性高科技貨品輸出入管理弁法
所管 経済部 国際貿易署(ITA)
制度発足 1994年
累計リスト規模 10,800エンティティ超(2025年9月時点)

SHTC規制の3類型

台湾のSHTC制度は、以下の3つのレイヤーで成り立っています。これを混同すると、エンティティリストの位置づけを見誤ります。

  1. Export Control List(ECL):デュアルユース品目リスト、共通軍事品目リスト、北朝鮮向け感応品リスト、イラン向け感応品リストの4つを束ねた品目ベースの規制
  2. キャッチオール規制:リスト非掲載品でも、最終用途・最終需要者が大量破壊兵器(WMD)開発に関与する疑いがあれば許可制とする規制
  3. 輸入証明(IIC / WAC)対象品目:輸入側の管理対象

エンティティリストは、このうちキャッチオール規制の運用を補強する形で、「この相手に輸出するときは事前にライセンスを取りなさい」と指定された個別企業・個人・団体の名簿です。

米国BISエンティティリストとの対比

ここがいちばん混乱しやすいので、表で整理します。

観点 米国 BIS Entity List 台湾 SHTC Entity List
所管 商務省産業安全保障局(BIS) 経済部 国際貿易署(ITA)
法的根拠 Export Control Reform Act(ECRA)/EAR Part 744 Supp.4 貿易法 第13・27条+SHTC管理弁法
規模(2025年9月時点) 数千エンティティ規模 10,800超
効果 EAR対象品の輸出にライセンス審査(推定原則否認等) 掲載先への輸出は事前ライセンス必須
キャッチオール 軍事最終用途・最終需要者規制あり デュアルユース該当性判定あり
罰則 民事・刑事罰(IEEPAベース) 行政罰+刑事罰(最大5年・NTD300万)

注意したいのは、台湾SHTCリストの規模が桁違いに大きい点です。これは台湾独自の指定に加え、国連制裁・米国制裁等を反映した個人・船舶・偽装会社まで網羅的に取り込んでいるためで、米BIS Entity Listとの完全な一対一対応ではありません。Huawei・SMICのように両リストに掲載されている共通項目はあるものの、その他の部分は別の名簿として扱う必要があります。

なお、米国の動向と整合する範囲が拡大していることは事実ですが、台湾政府の公式な制度設計上の位置づけは「主権政府としての輸出管理整備」であり、「米国の制度に従属する」というものではない点には留意してください。

ここまでのポイント:SHTCリストは台湾独自の輸出管理制度で、米国BISリストとは別の名簿。規模は10,800超と米国より大きい。


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METI's FY2024 data shows 52% of foreign exchange law violations stem from classification errors. TRAFEED cuts determination time by ~70% and stores structured rationale for every decision.

2025年6月10日 Huawei・SMIC含む601エンティティ追加

公式発表の概要

2025年6月15日、台湾経済部 国際貿易署は、6月10日付でSHTCエンティティリストに601エンティティを一括追加したと発表しました。指定理由は「兵器拡散の防止その他の国家安全保障上の懸念」と説明されています。

項目 内容
リスト更新日 2025年6月10日
公表日 2025年6月15日
発表主体 経済部 国際貿易署(ITA)
追加エンティティ数 601
主な所在 ロシア、パキスタン、イラン、ミャンマー、中国(中国大陸)
指定理由 兵器拡散防止・国家安全保障

追加された主な対象

601エンティティのうち、日本企業の実務に直結する代表例は以下の通りです。

  • Huawei Technologies Co., Ltd.(中国(中国大陸)本体)
  • Huaweiの海外現地法人(日本、ロシア、ドイツなど複数国)
  • SMIC(中芯国際集成電路製造、Semiconductor Manufacturing International Corp.)
  • ロシア、パキスタン、イラン、ミャンマー、中国(中国大陸)所在の各種企業・個人

ここで特筆すべきは、Huaweiの中国(中国大陸)本体だけでなく、日本・ロシア・ドイツなど海外現地法人もリストに名前を連ねている点です。これは後述する「日本企業への影響」のセクションで詳しく見ます。

引き金となったSophgo / TSMC事案

2025年6月の一括追加は、突然行われたわけではありません。直接の引き金となったのが、いわゆる「Sophgo経由TSMC製造」事案です。

2024年末から2025年前半にかけて、中国(中国大陸)のチップ設計会社Sophgoがフロント企業として動き、Huaweiが設計したとされるAIチップをSophgo名義でTSMCに製造委託していた疑いが顕在化しました。この件で、TSMCは米国当局に自発的に通報し、米商務省BISからは最大10億ドル規模の制裁金リスクが指摘される事態となりました(2025年4月の各種報道)。

台湾政府の立場から見れば、TSMCをはじめとする自国の半導体企業が、第三国経由でリスト掲載企業のチップを製造してしまうリスクが顕在化したことになります。これを踏まえ、ITAは「自国輸出管理の抜け穴を塞ぐ動き」として、Huawei・SMICをSHTCエンティティリストに直接追加し、台湾サプライヤーがライセンス審査の段階でフロント企業との取引を止められる仕組みを整えました。

ここまでのポイント:601エンティティの一括追加は、Sophgo事案を契機にTSMCを含む台湾サプライヤーを保護する目的で行われた制度的応答。


Huaweiの海外現地法人もリスト対象という事実

ここからが、日本企業に直接関わる本記事の核心です。

Huawei日本法人もリスト掲載

2025年6月の追加分には、Huaweiの中国(中国大陸)本体だけでなく、Huawei Japan、Huawei Russia、Huawei Germanyなどの海外現地法人もエンティティとして個別に列挙されています。これは、Huaweiが世界中に展開している販売・R&D拠点を通じて、フロント企業化やバイパス取引を試みるリスクを想定したものと整理できます。

実務上の含意を整理すると、以下のようになります。

ケース 台湾SHTCの適用
台湾企業がHuawei中国本体に輸出 事前ライセンス必須・制限地域加重あり
台湾企業がHuawei日本法人に輸出 事前ライセンス必須(リスト掲載先のため)
日本企業がHuawei日本法人と取引(台湾製品なし) 台湾SHTCの直接対象外(ただし米EAR・日本外為法等は別途確認)
日本企業がHuawei日本法人と取引(台湾製コンポーネント含む) 流通過程で台湾規制が及ぶ可能性あり

つまり、純粋に日本企業同士のHuawei日本法人との取引であれば、台湾SHTC自体の直接対象にはなりません。ただし、製品に台湾製コンポーネント(半導体、ガラス基板、特定の化学材料など)が含まれている場合、その台湾製コンポーネントを台湾サプライヤーから調達する段階で、サプライヤー側がライセンス審査を行うため、エンドユーザー情報の開示・証明を求められる可能性が高くなります。

制限地域指定で罰則が加重

Huaweiの中国(中国大陸)本体およびSMICは、台湾SHTC制度上の「制限地域」(イラン、イラク、北朝鮮、中国(中国大陸)、スーダン、シリア等)所在のエンティティに該当します。制限地域向けの違反は刑事罰として処理されやすく、後述する最大5年・NTD300万の罰則が現実的なリスクとなります。

ここまでのポイント:Huaweiの日本・ロシア・ドイツ法人もリスト対象。日本企業同士の取引は直接対象外だが、台湾製コンポーネントの調達経路で間接的に影響を受ける。


2025年9月18日 さらに279エンティティ追加、累計10,800超

601エンティティ追加から3か月後、ITAはさらにリストを拡張しました。

項目 内容
発表日 2025年9月18日
追加 279エンティティ
削除 7エンティティ
主な所在 パキスタン、イラン、中国(中国大陸)
指定理由 国家安全保障、兵器拡散防止
反映元 国連安保理制裁、米国制裁の最新動向との整合
累計規模 10,800超

279エンティティの国別内訳の細目はITAから公表されておらず、二次情報でも「主にパキスタン・イラン・中国(中国大陸)」というレベルにとどまります。実務でスクリーニングを行う場合は、ITAのSHTCエンティティリスト公式PDFを直接参照する必要があります。

ここで重要なのは、台湾のリストが「一度に大量追加→数か月後にさらに追加」というペースで拡張されている点です。米国BISエンティティリストが個別ケースベースで指定を積み上げていくのに対し、台湾は国連・米国制裁の最新動向を取り込みつつ、独自の判断を加えてバッチ更新するスタイルを取っています。日本企業の輸出管理プログラム上、台湾SHTCリストを「半年に一度の見直し」ではなく、リアルタイムでフォローする運用設計が求められる理由です。


申請プロセスと罰則

申請プロセス(5段階)

台湾SHTCに該当する輸出を行う場合、台湾の輸出者は以下のプロセスを踏みます。

  1. 輸出者登録:経済部ITAに輸出入業者として登録(オンラインで数時間程度で完了)
  2. 品目判定:自社製品がSHTCに該当するか判定。2024年1月以降、ITAへの正式判定申請は1件あたりNTD2,000(有料化)
  3. エンドユーザー確認:取引先がSHTCエンティティリストに掲載されていないか、最終用途は何かを確認
  4. ライセンス申請:該当する場合は事前にライセンス申請を行い、ITAの審査を受ける
  5. 輸出実施:ライセンス発給後にのみ輸出を実施する

日本企業が直接ITAに申請する立場になることは多くありませんが、台湾サプライヤーからエンドユーザー情報・最終用途証明を求められた場合、上記のプロセスを進めるために必要な情報提供であると理解しておくと、コミュニケーションがスムーズになります。

罰則(行政罰と刑事罰の二段構え)

区分 内容
行政罰 NTD6万〜300万の罰金、1か月〜1年の輸出入特権停止、または輸出入業者登録の取消
刑事罰 最大5年以下の懲役および/またはNTD300万以下の罰金(貿易法 第27条)
加重区分 制限地域(イラン、イラク、北朝鮮、中国(中国大陸)、スーダン、シリア等)向けの違反は刑事罰として処理されやすい

NTD300万は日本円でおおよそ1,400万円程度(為替変動による)。Huawei中国本体・SMIC本体への無許可輸出は制限地域向けに該当するため、刑事罰のリスクが現実的に存在します。Huawei日本法人など制限地域以外の現地法人向け違反であっても、リスト掲載先である以上はライセンスが必須であり、行政罰の対象となります。

ここまでのポイント:刑事罰の上限は懲役5年・罰金約1,400万円。制限地域向け違反は刑事罰として処理されやすく、Huawei本体・SMICはその典型例。


日本企業への4つの影響

影響1:TSMCサプライヤーへの実務負荷

TSMCに対し、半導体製造装置、化学材料、シリコンウェハ等を供給する日本企業(東京エレクトロン、SCREEN、信越化学、SUMCOなどを含む半導体製造装置・材料メーカー)は、TSMCの最終需要先がSHTCエンティティリスト掲載企業に該当しないかの確認を、自社のサプライチェーン管理に組み込む必要があります。TSMC側が独自にリスト掲載先との取引を遮断するため、結果として日本サプライヤーから見ても、TSMC向け案件の最終的な納入先がリスト外であることを担保しやすくなりますが、その情報共有のための実務工数は増加します。

影響2:Huawei日本法人との取引判断

Huaweiの日本現地法人は台湾SHTCリスト掲載対象ですが、日本企業がHuawei日本法人と取引する行為自体は、台湾SHTC規制の直接対象ではありません(適用地は台湾域内輸出)。ただし以下の場合は影響が及びます。

  • 製品に台湾製コンポーネントを使用している場合、台湾サプライヤーから「Huawei日本法人向けに使われないこと」の証明を求められる可能性
  • 日本親会社のグローバル輸出管理ポリシーで、台湾SHTCリストへの該当をスクリーニング項目に含める必要

影響3:米EAR規制との重畳

Huawei・SMICは米国BISエンティティリストにも掲載されています。日本企業の製品に米国原産品・米国技術が組み込まれている場合、米EARの再輸出規制と台湾SHTC規制の両方を同時に満たす必要があり、コンプライアンスコストは確実に増加します。Foreign Direct Product Rule(FDPR)の適用範囲も含めて、社内輸出管理プログラムの再点検が必要です。

影響4:グローバル輸出管理プログラムへの組込み

日本企業の輸出管理プログラムは、これまで米BISエンティティリスト、EU制裁、日本の外為法・該非判定を中心に組まれているケースが大半です。ここに台湾SHTCリスト(10,800超)を加える運用設計が求められます。スクリーニング対象のリスト数が増えるだけでなく、台湾独自指定/国連制裁反映/米国制裁反映といった指定根拠の差異まで把握しないと、エンドユーザーへの説明が破綻します。


実務対応5ステップ

ここまで読んでいただいた方が、明日から取り組める実務手順を5つのステップに整理します。

ステップ1:自社製品のSHTC該否を確認する

まず、自社が台湾に輸出している製品、または台湾サプライヤー経由で第三国に流れる製品が、SHTC(戦略性高科技貨品)に該当する可能性があるかを社内輸出管理規程と照らし合わせます。半導体製造装置・素材、暗号関連、通信機器、特定の化学品などは該当する可能性が高い領域です。判断がつかない場合は、台湾サプライヤー経由でITAに正式判定(NTD2,000)を依頼することも検討します。

ステップ2:取引先データベースにSHTCリストを統合する

既存の輸出管理スクリーニングツール(または手作業のExcel管理)に、台湾SHTCエンティティリストを取り込みます。10,800超という規模なので、CSVまたはAPI取得のいずれかで自動更新できる体制を整えるのが現実的です。OpenSanctionsなど第三者データセットも公開されており、選択肢の一つになります。

ステップ3:米BIS・EU・外為法と統合した名簿管理を整備する

台湾SHTCリストだけを単独で見ても意味は限定的です。米BISエンティティリスト、SDNリスト、EU制裁、英国HMT、日本の外為法該非判定対象などを束ねたグローバル統合スクリーニングを設計します。指定根拠の違い(国連反映/米国反映/台湾独自)も付帯情報として保持します。

ステップ4:台湾サプライヤーとの情報共有プロトコルを決める

台湾サプライヤーから「最終需要者は誰か」「用途は何か」を問われるケースが増えます。誰がどの権限で回答するか、社内の窓口・承認フローを明文化します。とくにTSMC向け案件は、TSMC側のコンプライアンス要求が厳格になっているため、契約書レベルでの取り決めも視野に入ります。

ステップ5:年次研修と監査をルーチン化する

台湾SHTCリストは2025年6月・9月の追加で示された通り、バッチ更新型で運用されています。社内では年次研修と内部監査のサイクルに、台湾規制のアップデート確認を組み込み、規制改正の都度ポリシーを見直す体制を整えます。


よくある誤解(FAQ)

Q1. 日本企業が台湾SHTCエンティティリストをスクリーニングする必要はあるのか?

A. 直接の輸出元が台湾でなければ、台湾貿易法上の義務はありません。ただし、台湾サプライヤーから材料・装置を購入したり、TSMCに製造委託したりする場合、サプライヤー側がライセンス審査を行うため、エンドユーザー情報の開示・証明を求められます。事実上、グローバル輸出管理プログラムに台湾SHTCリストを組み込むのが実務的な対応です。

Q2. Huaweiの日本子会社との取引はどうなるのか?

A. 台湾サプライヤーから見れば、Huaweiの日本子会社もSHTCエンティティリスト掲載先のため、台湾サプライヤーには事前ライセンスが必要です。日本企業同士の取引であれば台湾SHTCの直接対象外ですが、製品に台湾製コンポーネントが含まれる場合は流通過程で台湾規制が及ぶ可能性があります。米EARや日本の外為法上の取扱いは、別途確認が必要です。

Q3. 米国BISエンティティリストと完全に一致するのか?

A. 一致しません。台湾は独自指定に加え、国連・米国制裁を反映する形で10,800超に膨らんでおり、米BISのEntity Listとは規模も粒度も異なります。Huawei・SMICのように両リストに掲載される共通項目はありますが、その他は別の名簿として扱う必要があります。

Q4. SHTC違反の刑事罰はどの程度か?

A. 貿易法第27条により、最大5年の懲役および/またはNTD300万(約1,400万円)の罰金です。さらに行政罰として、輸出入特権の停止・登録取消の可能性があります。制限地域(中国(中国大陸)、イラン、北朝鮮等)向けの違反は刑事罰として処理されやすい運用です。

Q5. 台湾の輸出管理は今後どこへ向かうのか?

A. 主権政府として、独自の判断で国家安全保障・兵器拡散防止を理由とした輸出管理の強化が続く見込みです。米国の方向性と整合する場面が多くなっていますが、台湾政府の公式な位置づけは「米国に追随する」ではなく「主権政府としての輸出管理整備」であり、結果として米国を含む多国間の動向と整合する範囲が拡大している、と表現するのが正確です。


まとめ

最後に、本記事の要点を整理します。

  • 台湾SHTCエンティティリストは、台湾経済部ITAが運用する輸出管理制度で、累計10,800超の規模に達している(米BIS Entity Listとは別の名簿)
  • 2025年6月10日、Huawei・SMICを含む601エンティティが一括追加された。引き金は2025年前半に顕在化したSophgo / TSMC事案
  • 追加対象にはHuaweiの日本・ロシア・ドイツなど海外現地法人も含まれており、日本企業のサプライチェーン判断に直結する
  • 2025年9月18日、さらに279エンティティが追加され、累計は10,800超に拡大
  • 罰則は最大5年の懲役+NTD300万の罰金。Huawei中国本体・SMICが所在する制限地域向けの違反は刑事罰として処理されやすい
  • 日本企業の実務対応は、SHTC該否確認→リスト統合→グローバル名簿管理→台湾サプライヤーとの情報共有→年次研修の5ステップ

台湾の制度設計は、米国の動向と整合する範囲が拡大しているのは事実ですが、あくまで主権政府としての輸出管理整備として位置づけられています。日本企業が「米国規制の延長線」とだけ理解して対応すると、台湾独自指定や国連制裁反映の部分を取りこぼすリスクがあります。

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自社で対応できるか不安な方へ

台湾SHTCエンティティリストのような10,800超の規模を持つ名簿を、社内の輸出管理担当だけで漏れなくスクリーニングするのは現実的ではありません。米BISエンティティリスト、EU制裁、英国HMT、日本の外為法、そして台湾SHTCと、束ねるべき名簿は年々増えています。

TRAFEED(旧ZEROCK ExCHECK) は、論文・特許・研究者・法人・規制リストを横断する 2億件超のナレッジグラフ で、米国・EU・台湾・日本のリストを統合スクリーニングできるAIエージェントです。Huaweiの海外現地法人やSophgoのようなフロント企業の資本関係チェーンも5秒で可視化します。AWS東京リージョンの国内サーバー運用で、取引先情報も安全に取り扱えます。

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参考文献

台湾政府公式

米国政府

報道・解説(2025年6月 Huawei/SMIC追加)

報道・解説(2025年9月 279エンティティ追加)

学術・分析

Sophgo / TSMC事案関連

サプライチェーン・データセット

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