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図面の保管期間は何年か|PL法10年と取適法2年を条文で確かめる

公開2026-09-20濱本 隆太

「図面は10年」と言われますが、図面そのものに法定の保存年限はありません。10年という数字は製造物責任法の期間制限から逆算されたもので、取引の記録は取適法で2年、帳簿書類は法人税法で7年と、根拠がそれぞれ違います。条文に当たって整理し、そのまま監査に出せる保存年限台帳を用意しました。

図面の保管期間は何年か|PL法10年と取適法2年を条文で確かめる
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こんにちは、株式会社TIMEWELLの濱本です。

「図面って何年保存すればいいんですか」。この質問に、社内で答えが割れる会社は多いと思います。

調べると、5年と書いてあるページと10年と書いてあるページが出てきます。どちらも根拠が書かれていません。そして検索結果の半分は建築の話で、設計図書は15年と出てきます。製造業の図面の話を探しているのに、建築士法の話が混ざる。

この記事では、条文に当たって整理します。結論から言うと、図面そのものを何年保存せよと定めた法律はありません。 では10年という数字はどこから来たのか。そこから書きます。

先に要点です。

  • 図面に法定の保存年限はない。 10年は製造物責任法からの逆算
  • 製造物責任法は「引渡しから10年」で請求権が消滅する。人身被害なら別に「知った時から5年」
  • 取引の記録は取適法で2年。帳簿書類は法人税法で原則7年
  • 根拠も起算日もバラバラなので、種別ごとに台帳にするしかない
  • 建築の15年は設計図書の話。製造業には関係ない

図面そのものに、法定年限はない

まず、ここをはっきりさせます。

会社法、法人税法、製造物責任法、取適法。どれを見ても、「製造図面を◯年保存すること」という条文はありません。 保存義務があるのは帳簿書類であり、取引に関する記録であり、それらの定義に図面が必ず含まれるわけではありません。

では、なぜ実務で「10年」と言われるのか。製造物責任法の期間制限から逆算されているからです。

製造物責任法の10年は、条文にこう書いてある

製造物責任法第5条を、そのまま引きます1

第五条 第三条に規定する損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。 一 被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知った時から三年間行使しないとき。 二 その製造業者等が当該製造物を引き渡した時から十年を経過したとき。 2 前項第一号の期間は、人の生命又は身体を侵害した場合における損害賠償の請求権については、「三年間」とあるのは、「五年間」とする。

読み取れることは2つです。

1つ目。引渡しから10年。 自社が作った製品について責任を問われる可能性は、引き渡してから10年で消えます。だからその間、設計がどうだったかを説明できる状態にしておく必要があります。図面を10年残す実務は、ここに対応しています。

2つ目。人身被害なら、知った時から5年。 引渡しから10年以内に事故が起き、その後に被害者が損害と賠償義務者を知った場合、そこから5年です。つまり、実際に説明を求められるタイミングは10年より後になりうるということです。

ここから言えるのは、「引渡しから10年」は下限の目安であって、製品によってはもっと長く持つべきだということです。補修部品の供給を続けている製品なら、その期間中は図面が要ります。設備として長く使われる製品なら、さらに長い。

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取引の記録は2年、帳簿書類は7年

図面とは別に、取引に関する書類の保存義務があります。ここは年限が明確です。

取適法(製造委託等に係る取引の適正化に関する法律)。 発注側が作成・保存すべき書類の保存期間は2年です。記載事項には、検査を完了した日、不合格品の取扱い、変更またはやり直しをさせた場合の内容および理由などが含まれます2

なお2026年1月1日施行の改正で、製造委託の対象に「金型以外の型等」が追加されました。木型、工作物保持具(治具)、成形用の型、専用特殊工具です3。治具の製作を外注している会社は、自社の取引が対象に入ったかを確認しておいてください。

法人税法。 帳簿書類は、原則として7年の保存が必要です4。見積書、注文書、契約書、納品書といった取引書類がここに入ります。起算日は事業年度の確定申告書の提出期限の翌日からです。

会社法。 会計帳簿とその事業に関する重要な資料は10年です。

ここで注意すべきなのは、同じ「図面」でも、どの箱に入るかで年限が変わることです。見積に添付して客先に出した図面は取引書類の一部になりえます。社内の設計図面はそうではありません。書類の種類ごとに、根拠と年限と起算日を決めるしかありません。

検索結果に混ざる「15年」は、建築の話

「図面 保管期間」で検索すると、15年という数字が目に入ります。これは建築士法に基づく設計図書の保存期間で、製造業の図面とは関係ありません。

混ざる理由は単純で、「図面」という言葉が建築と製造の両方で使われているからです。調べるときは「機械図面」「製造図面」と限定するか、根拠法令から逆に探してください。

同じく、公共工事の設計変更ガイドラインも検索に出てきますが、これも土木・建築の発注者向けの文書です。

年限より、起算日と探せることのほうが問題になる

ここからは実務の話です。

保存年限を決めても、運用でつまずくところが2つあります。

1つ目は起算日です。 「引渡しから10年」の引渡しはいつか。同じ図面で何年も作り続けている部品なら、最後に納めた日から10年です。つまり、その部品の生産が続いているかぎり、年限は延び続けます。図面の作成日から数えると足りません。

2つ目は、探せるかどうかです。 これが本当の問題だと思っています。

年限どおりに保存していても、必要なときに出てこなければ意味がありません。 10年前の図面を求められて、どのサーバーの、どのフォルダの、どの版かが分からない。紙で残っているが、どの箱かが分からない。保管していることと、証拠として使えることは別です。

しかも、探すのが難しい図面ほど、探す必要が生じたときは深刻な場面です。客先からの不具合の指摘、リコールの調査、訴訟。そのときに「あるはずなんですが」と言う事態を避けるために、年限より先に検索性を整えるべきだと考えています。

台帳にして、承認を通す

実務的な答えは、保存年限台帳を作ることです。

図面の種別ごとに、根拠法令、年限、起算日、廃棄予定日、承認者を並べます。種別は、たとえばこう分けます。

  • 製品図(客先に納めた製品の図面)
  • 部品図・加工図
  • 治具・型の図面
  • 検査図・検査要領
  • 見積に添付した図面
  • 支給図面(客先から預かったもの)

このうち支給図面は特に注意が要ります。 所有権が客先にあるので、保存年限だけでなく返却または廃棄の義務がある場合があります。秘密保持契約に「契約終了後は返却または廃棄し、その旨を証明する」といった条項が入っていることも多い。預かっているものを勝手に持ち続けないという整理が要ります。

台帳を作ったら、廃棄のときは承認を通す運用にしてください。担当者の判断で捨てられる状態だと、根拠のある廃棄なのか整理整頓なのかが区別できません。台帳に承認欄を作っておけば、それがそのまま証跡になります。

この台帳は、取引先の品質監査やISO9001の審査で「文書の保存管理はどうなっていますか」と聞かれたときに、そのまま出せます。

保存年限台帳

この記事の分類をそのまま使える図面保存年限台帳を用意しました。図面種別、根拠法令、年限、起算日、廃棄予定日、承認欄の構成です。支給図面の返却・廃棄の欄も分けてあります。

自社の製品構成に合わせて種別を足せる形にしています。資料のダウンロードは、この記事の下の案内からどうぞ。

探せる状態をどう作るか

最後に、当社の製品に関わる部分を正直に書きます。

保存そのものは、当社の領域ではありません。 図面管理システムやPDM/PLMの仕事です。ファイルサーバーでも、ルールが守られていれば機能します。

当社が関われるのは、探せるようにするところです。10年前の図面を「図番で」ではなく「形状で」「使われた製品で」「そのとき出た指摘で」探せる状態にする。エンタープライズAI「ZEROCK」は、社内に散っている図面とその周辺情報を横断して引けるようにする使い方ができます。

ただし繰り返しになりますが、まず年限と台帳を決めてください。 何を残すかが決まっていない状態で検索を整えても、探す対象が定まりません。

図面管理の仕組みそのものについては図面管理とPLM・PDMに、紙図面の電子化については紙図面のPDF・CAD化に書いています。

まとめ

  • 図面そのものに法定の保存年限はない。 10年は製造物責任法からの逆算
  • 製造物責任法第5条は「引渡しから10年」。人身被害は「知った時から5年」なので、説明を求められるのは10年より後になりうる
  • 取適法の書類は2年、帳簿書類は法人税法で原則7年、会計帳簿は会社法で10年
  • 建築の15年は設計図書の話で、製造業には関係ない
  • 起算日は「最後に納めた日」。生産が続いていれば年限も延びる
  • 年限より、探せるかどうかのほうが実務では問題になる
  • 種別ごとに台帳を作り、廃棄は承認を通す。支給図面は返却・廃棄の義務に注意

なお、この記事は法的助言ではありません。個別の判断は顧問弁護士にご確認ください。図面を探せる状態にする話であれば、お問い合わせからご相談ください。

参考文献

Footnotes

  1. 製造物責任法(平成六年法律第八十五号)第5条(e-Gov法令検索)。条文は同法による

  2. 製造委託等に係る取引の適正化に関する法律(取適法)リーフレット(公正取引委員会、令和7年8月)。書類の作成・保存義務と保存期間2年、記載事項は同資料による

  3. 取適法改正のポイント(中小企業庁、2025年10月14日 説明会資料)。2026年1月1日施行の改正で製造委託の対象に「金型以外の型等」(木型・工作物保持具・成形用の型・専用特殊工具)が追加された旨は同資料による

  4. 法人税法施行規則第59条(帳簿書類の整理保存)。帳簿書類の保存期間は原則7年。起算日は事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から。会社法第432条第2項は会計帳簿とその事業に関する重要な資料について10年の保存を定めている

本記事は一部にAIを用いて作成し、公開前に人間が一次情報の確認と編集を行っています。

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図面の種別ごとに、根拠法令・年限・起算日・廃棄予定日・承認者を記録する台帳です。製造物責任法(引渡しから10年)、取適法(取引の記録2年)、法人税法施行規則(帳簿書類7年)、会社法(10年)と根拠が分かれることを前提に、種別ごとに分けて持てる構成にしました。廃棄の実施記録を残す欄も別に用意しています。支給図面の返却・廃棄の扱いも1行で管理できます。

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