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ホームコラムTRAFEED輸出管理のレッドテープ論とは?許可手続きの負担と減らし方を日米で整理
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輸出管理のレッドテープ論とは?許可手続きの負担と減らし方を日米で整理

公開2026-11-06濱本 隆太
レッドテープ輸出管理包括許可規制の簡素化外為法BISTRAFEED

輸出管理で語られるレッドテープ論を、初心者向けに整理します。許可の待ち時間や書類の負担が、日本ではどこにたまり、米国ではどう議論されているのか。日米の一次資料をもとに、包括許可や令和7年11月の改正、企業が今日から使える負担軽減の実務まで、中立の立場で解説します。

輸出管理のレッドテープ論とは?許可手続きの負担と減らし方を日米で整理
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こんにちは、株式会社TIMEWELLの濱本です。

輸出管理の担当者や、大学・研究機関の事務の方から、こんな声を聞く機会が増えました。「安全保障のために必要なことは分かっている。でも、手続きが重くて事業や研究のスピードが落ちる」。英語圏では、こうした不満を「レッドテープ(red tape)」という言葉でひとまとめにします。直訳すれば赤いひもで、お役所仕事の煩雑さを指す言い方です。

この記事では、次の3つの疑問に答えます。レッドテープ論とは、規制をやめろという主張なのか。日本と米国の一次資料を読むと、負担はどこにたまっていると言えるのか。そして、企業は制度の範囲内で何をすれば負担を減らせるのか。

先に結論を書きます。レッドテープ論の中身は、規制の是非よりも運用の使い勝手にあることが多いようです。日米の資料で確認できた論点は、書類の量より、待ち時間の長さと見通しの悪さに集まっていました。日本は包括許可の整備や令和7年11月の改正で簡素化を進めており、企業の側でも、判定の標準化や包括許可の活用で負担を減らせます。

なお、今回読んだ政府文書や調査報告には、「レッドテープ」という語そのものは出てきませんでした。使われているのは「遵守費用」「管理負担」「合理化」「処理期間」「透明性」といった言葉です。この記事ではレッドテープを、それらの議論をまとめて眺めるための見方として使います。規制する側の政府も、規制を受ける企業も、断罪はしません。事実と一次資料で確かめられた範囲で書きます。

先に押さえる言葉と、レッドテープの意味

レッドテープという言葉は、行政学でも研究されてきました。一般には、守るのに時間や費用がかかるのに、その規則が本来めざす目的の役に立っていない手続きを指す言葉として使われます。米国の行政学者バリー・ボーズマンは1993年の論文で、レッドテープを組織の病理として捉え、最初から出来の悪い規則と、当初は役に立っていたのに時間がたって変質した規則を分けて考えました1。一方で、目的がきちんとあって、それでも利用者に負担がかかる手続きは、別に「行政上の負担」と呼んで区別するのが通例です。

この区別が大事です。輸出管理の手続きは、そもそも目的がはっきりしています。国際的な平和と安全を守るために、危険な貨物や技術が渡るのを防ぐことです。だから、確認の手続きが「ある」こと自体を無駄と言う人は、今回の資料にはほとんどいませんでした。争点になるのは、その運び方が目的に見合っているかどうかです。

たとえば空港の保安検査を思い浮かべてください。検査があること自体に反対する人は少ないでしょう。不満が出るのは、列がやたらと長いとき、なぜ靴を脱ぐのか説明がないとき、いつ終わるのか分からないとき、同じ書類を窓口ごとに何度も見せさせられるときです。輸出管理の議論も、構図はよく似ています。

議論に入る前に、この記事で使う言葉を表にまとめます。

言葉 意味 日常の例え
レッドテープ 守る負担があるのに、規則の目的の役に立たない手続き 説明も待ち時間の見通しもない保安検査の列
行政上の負担 目的はあるが、利用者に時間や費用がかかる手続き 保安検査そのもの
該非判定 自社の貨物や技術が規制リストに当たるかを調べること 荷物が持ち込み禁止品に当たるかを自分で確かめること
個別許可 取引ごとに国の許可を受けること 旅行のたびにビザを取ること
包括許可 一定の範囲の輸出や取引を、まとめて許可してもらうこと 回数券や定期券
輸出者等遵守基準 すべての輸出者に課される、最低限の社内ルール 運転免許を持つ人が守る交通ルール
遵守費用 規則を守るために企業が払う時間とお金 保安検査に備えて荷物を整える手間

日本の手続きのどこに負担がたまるのか

日本の輸出管理は、段階を踏んで進みます。どの段階で負担が生まれやすいのかを、先に全体像で見ておきましょう。

段階 何をするか 負担がたまりやすい点
該非判定 製品の仕様を法令の基準と突き合わせる 専門知識が要る。経済産業省は判定の確認をしていない
取引審査 取引のたびに用途と取引相手を確認する 取引の件数に比例して増える
許可申請 必要な場合に、電子申請で許可を求める 書類の作成、補正、審査の待ち時間
出荷と記録 出荷時に貨物を確認し、書類を保存する 保存期間と所在管理の手間

最初の該非判定について、行政の側の立場を確認しておきます。JETRO(日本貿易振興機構)が作った中小企業向けのガイドには、「経済産業省では該非判定の確認は行っておりません」と明記されています。申請手続きの質問は審査課の窓口で受け付けていますが、判定そのものは輸出者が自分の責任で行う仕組みです。同じガイドは、多くの中小企業で関連知識や経営資源の限界から社内体制の整備が進んでいない、とも書いています2。負担が小さな会社ほど重くなりうることは、国の側も認識していると読めます。

では、負担はどれほどなのか。経済産業省は、規制を導入したあとに「事後評価書」を作り、企業にかかる遵守費用を見積もっています。令和7年3月の事後評価書では、国際的な合意にもとづく新たな輸出規制について、許可を得るための作業を1件あたり10時間(5時間を2人)と置いています。人件費に換算した事前の見積りは1件あたり約29,500円、事後の見積りは約26,600円でした3。

この数字の読み方には注意が要ります。許可申請の作業に絞った試算であり、該非判定や社内体制の維持にかかる時間は項目に入っていません。評価書自体も、事務負担は事業者の規模などによって異なり、個社の機密情報でもあるため、定量的な分析が困難だと断っています。さらに、許可の申請件数は安全保障上の観点から公表されていません。つまり、外から負担の総量を測る公的な統計は、今回の調査では見つかりませんでした。レッドテープ論が、実感や要望書、調査報告に頼りがちな理由の一つはここにあります。

遵守基準の全体像が気になる方は、輸出者等遵守基準の解説で、全輸出者に共通する2つの基準と、リスト規制品を扱う企業に上乗せされる項目を整理しています。

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産業界は何を求めているのか

企業の側の声を、一次資料で見てみます。商社などでつくる一般社団法人日本貿易会の安全保障貿易管理委員会は、毎年度、経済産業省に要望を出しています。2025年7月7日付の要望から、手続きの負担に関わる項目を拾います4。

一つめは、電子申請の一本化に伴う負担です。輸出許可の申請は2022年7月以降、電子申請のみになりました。通関を業者に任せていて、数年に一度だけリスト規制品を輸出する会社は、普段NACCS(輸出入通関の電子システム)を使わないためIDを持っていません。スポットの申請のためだけに申請者の登録を行い、完了後も変更届を維持し続けるのは、紙の時代より大きな業務負荷になる、という指摘です。二つめは、対面相談の再開です。事前相談はメール中心で、法令の参照が主な回答になるため、詳しいやり取りは申請して初めて始まり、書類の差し替えで時間がかかると述べています。

三つめは、審査状況の見える化です。申請後に、審査が順調なのか、止まっているのか、こちらの返答待ちなのかが分かりにくいため、申請の状況を一覧できるダッシュボードを求めています。四つめは、入力画面の必須項目の表示と、補正指示の食い違いです。必須の印がない項目まで記入を求められることがある、という実務上の指摘です。そのほか、過年度からの継続要望として、リスト規制該当貨物の永年の所在管理や、輸出許可申請の誓約書での電子署名の容認も挙がっています。

もう一つ、CISTEC(安全保障貿易情報センター)が2025年3月1日に経済産業省へ出した意見を見ます。規制品目の改正案に対し、条文の語句が曖昧で解釈が分かれる箇所の修正や、用語の定義を求めています。注目したのは、日本の判定基準が米国のEARの尺度とそろっていないと、日本のメーカーが米国メーカーから判定に必要な情報を得るのに多大な工数と時間がかかるおそれがある、という指摘です5。負担の一部は、規制の文面の分かりやすさや、国際的な整合から生まれていることが分かります。

これらの要望をまとめると、「規制を弱めてほしい」という内容はほとんど見当たりません。求められているのは、待ちの見通し、手続きの入口の柔軟さ、画面と条文の明確さです。私はここに、日本のレッドテープ論の実体があると考えています。ただし、これは団体の要望書を読んだ限りの整理で、すべての企業の声ではありません。また、各要望が経済産業省の側でどう扱われたかは、今回確認できていません。

国は何を簡素にしてきたのか

規制する側も、手をこまねいてきたわけではありません。確認できた範囲で、負担を減らす仕組みを見ていきます。

中心にあるのが包括許可です。経済産業省の包括許可取扱要領(令和7年11月14日公布の改正を含む最新版)には、6つの種類が定められています。たとえば一般包括許可は、輸出令別表第3に掲げる地域、いわゆるグループAの国々を仕向地とする特定の貨物の輸出などを、まとめて許可する仕組みです。有効期限は3年を超えない範囲です。申請できるのは、該非確認責任者と統括責任者を登録した者、または輸出管理内部規程とチェックリストの受理票を得ている者です。審査の目安も書かれています。責任者が登録されていて問題がなければ、許可証の発行は1週間程度以内が目安です。ただし、問い合わせへの回答期間も含まれるため、この期間での発行を保証するものではない、と注記されています6。

個別許可の審査期間はどうか。経済産業省の入門ガイダンスに、申請受理から原則90日以内という趣旨の記載がある、という情報を得ました。ただし、経済産業省のサイトが自動アクセスを制限しており、原文は読めていません。ここは未確認としておきます。

令和7年11月の改正も、負担軽減の流れにあります。経済産業省の資料によれば、令和7年11月14日に公布され、令和8年2月14日に施行されました(一部は先行して施行)。輸出許可規制の合理化として、特別一般包括許可について、輸出管理に係る負担軽減を図るために適用範囲を拡充しました。特定包括許可でも、防衛装備移転協定を結んだ国への装備品の維持補修に使う附属品や部分品を対象にし、一部貨物の個別許可の実績要件を緩和しています。また、政府安全保障能力強化支援(OSA)にもとづく役務取引や、破損した記録媒体のプログラムを同一内容で再提供する場合は、許可を不要にしました7。

ここで一つ、私の見方を添えます。包括許可は、使えば確かに個別の申請を減らせます。ただ、取るためには責任者の登録か、内部規程とチェックリストの受理票が要ります。負担を減らす制度を使うために、先に一定の体制づくりという負担を払う設計です。これを妥当な見返りと見るか、小さな会社には高い入口と見るかは、立場によって分かれるところでしょう。包括許可の種類ごとの違いと、使えない場面は、個別許可と包括許可の違いの解説で詳しく整理しています。キャッチオール規制には包括許可が使えないことも、そこに書きました。

制度の見直しは、いまも続いています。2026年10月19日から11月18日まで、外国為替令と輸出貿易管理令の改正案への意見募集が行われています。品目の追加や削除に加え、承認等前決済の禁止の対象から除外する項目の追加などが含まれます8。内容の詳細は、2026年10月の意見募集の変更点の解説をご覧ください。意見募集は、企業が実務の困りごとを制度側に届けられる、数少ない公式の窓口です。

米国の議論は、待ち時間に集まっている

米国の輸出許可は、商務省産業安全保障局(BIS)が審査します。連邦規則集のEAR第750.4条には、審査の時計が定められています。審査期限は、BISが申請を電子システムに登録した日から90日です。登録から9日以内に初期処理を行い、他省庁へ回付した案件は30日以内に各省庁が意見を出します。ただし、申請者の回答待ちや、事前の現地確認、議会への通知などの期間は、90日の計算から除かれます9。規則上の90日と、企業の体感する待ち時間がずれうる理由の一つです。

実績を見ましょう。ロイターの2025年8月の報道は、2023会計年度のBISの平均処理期間を38日、不許可を2%(申請37,943件)としています10。同じ報道は、匿名の米政府関係者の話として、2025年の滞留が30年以上で最長だという見方を伝えました。米中ビジネス評議会の会長は、許可が出るのか、いつ出るのかの兆しすら見えない分野が丸ごとある、と述べています。

一方、規制する側の言い分も記録されています。商務省の報道官は同じ報道の中で、BISは国家安全保障上の重大な疑問がある申請を「ゴム印」で通すことはもうしない、という趣旨を述べています。審査が長引くのは精査の結果だ、という立場です。

2026年には、より体系的な調査が出ました。米国の研究機関CSISが2026年4月21日に公表した報告です。半導体関連の業界団体を通じて、2026年1月から3月に調査を行い、有効な回答は31社でした。回答者の約3分の2が半導体関連で、94%が従業員500人以上の大企業です。それでも、読み取れることがあります。平均の審査期間が180日を超えると答えた企業は56%、法定の期間内と答えた企業は22%でした。78%が直近12か月で期間が延びたと答え、54%が遅れで商談や契約を失ったと答えています。85%の企業は、許可の遅れを営業計画にあらかじめ織り込んでいます11。

ただし、慎重に読む必要があります。調査はサンプルが小さく、自己申告で、報告書自身が選択バイアスの可能性を認めています。中国向けの案件は審査が複雑になりやすい可能性があると、著者らは注意を促しています。回答者の体感が、規則上の90日の時計と同じ測り方とも限りません。そして、中小企業はほとんど含まれていません。米国でも、中小企業の実態を測った新しい数字は、今回の調査では見つかりませんでした。

議会も動きました。2026年4月17日、ミークス下院議員(民主党)とイッサ下院議員(共和党)が、BISに90日以内の判断を求め、報告義務の強化と会計検査院による審査プロセスの監査を盛り込んだ法案を提出しました12。同じ日に、エイモ議員(民主党)とシュレーブ議員(共和党)が、BISの年次会議の法定化と、新規則の周知活動の議会報告を求める法案を出しています。BISが業界向けの年次会議や研修を取りやめ、大きなコンプライアンス部門を持たない中小企業が不利になっている、という問題意識です13。どちらも超党派の提案で、党派を超えて関心が共有されていることがうかがえます。

書類の負担も見ておきます。BISの申請様式の記入にかかる時間は、連邦官報の見積りで1件あたり29.4分です(2023年6月、年間の回答者72,744)14。日本の10時間とは測っているものが違うので、並べて優劣はつけられません。ただ、米国の議論が書類の書き方より待ち時間に集まっていることは、この数字からも見えてきます。

あわせて読む該非判定を効率化する5つのステップ|手動作業から脱却する実務ガイド判定の作業を、手順で減らす方法です

安全保障と迅速さは、本当に引き換えなのか

ここまでの内容を、日米で並べてみます。

論点 日本 米国
負担が語られる場所 電子申請の入口、相談窓口、条文の分かりやすさ 審査の待ち時間、見通しのなさ、業界向け支援の縮小
公的な数字 申請作業の見積り。申請件数は非公表 処理期間の規則と実績の平均値
業界の主な要望 状況の見える化、相談の柔軟化、定義の明確化 期限の順守、情報の透明化、人員と専門性の確保
国側の動き 包括許可の拡充、特例の追加、意見募集 議会での法案、BIS側は精査を重視する立場

「安全保障のための厳格な審査」と「事業の迅速さ」は、確かに難しい案件では引き換えになります。CSISの報告も、中国向けの審査が複雑になりうることを認めています。私も、疑義のある案件を急いで通せとは考えません。

それでも、双方の資料に共通する要望があることに注目しています。日本貿易会は審査状況のダッシュボードを求め、CSISは状況の自動通知や、遅れの理由の説明、処理期間の定期的な公表を勧告しています。待ちの見通しを示すことは、審査の中身を緩めることではありません。私は、安全保障を損なわずにできる改善の筆頭だと考えます。もちろん、個別の判断理由には公表できない部分があるはずなので、どこまで見える化できるかは、各国の当局が決めることです。

ここで、よくある誤解を3つ整理します。まず、「レッドテープ論は規制をなくせという主張だ」という誤解です。資料を読む限り、中心は運用の改善で、規制の撤廃を求めるものは見当たりませんでした。次に、「許可は必ず時間がかかる」という誤解です。日本の一般包括許可には、問題がなければ1週間程度という目安があり、米国でも2023会計年度の平均は38日でした。最後に、「包括許可を取れば、あとは確認しなくてよい」という誤解です。取得後も、毎年のチェックリスト提出や、軍事用途に関わる届出といった義務が続きます。

企業が今日から使える、負担を減らす8つの手順

ここからは実務です。どれも、現行の制度の範囲でできることに絞ります。

  1. 自社の負担を数字にします。直近1年の、判定の件数と所要時間、取引審査の件数、申請から許可までの日数を記録します。公的な統計がない以上、自社の数字が改善の唯一の根拠です。CSISの調査では85%が、遅れを営業計画に織り込んでいました。
  2. 該非判定を標準化します。手順書を作り、仕様書のどの数値を、法令のどの条項と照合したかを残す様式を決めます。同じ型式の判定は台帳から再利用します。メーカーの判定書は参考にしつつ、自社で確認します。詳しい進め方は該非判定を効率化する5つの手順にまとめました。
  3. 取引審査の型を決めます。用途と取引相手の確認項目をチェックシートに固定し、継続取引先は情報の更新日を管理します。確認の中身は省かず、記録の書き方だけを揃えるのがコツです。
  4. 包括許可の適否を試算します。年間の個別許可の件数、対象の貨物と仕向地が包括許可の範囲に入るか、取得要件を満たせるかを確かめます。キャッチオール規制は対象外です。
  5. 申請書類の部品を使い回せる形にします。技術資料、取引の概要、誓約書などをひな形にします。誓約書は、電子署名が受理されなかった事例が日本貿易会の要望にあるため、事前に窓口で形式を確かめます。
  6. 相談先を使い分けます。申請手続きの質問は経済産業省の審査課の窓口へ、判定そのものはCISTECの有償支援サービスなどへ、と役割が分かれています。
  7. 待ち時間を計画に入れます。個別許可の期間は未確認ですが、補正で止まる時間が最も避けやすいロスです。提出前に社内の別の担当者がチェックするだけで、差し替えは減らせます。
  8. 意見を届けます。意見募集や業界団体の要望は、負担を制度側に伝える公式の経路です。CISTECの意見のように、どの条文のどの語が曖昧かまで具体的に書くと、検討されやすくなります。

こうして並べると、負担軽減の多くは、判定と取引審査の記録を整える地味な作業に行き着きます。弊社の輸出管理AIエージェントTRAFEEDは、該非判定の候補と根拠の整理を支援する製品です。最終的な該非判定は、貴社の輸出管理責任者が行います。自社の状況を手早く確かめたい方は、輸出管理の無料セルフ診断をお試しください。

確かめられなかったことと、次の一歩

この記事で確かめられなかった点を、先に書いておきます。個別許可の標準処理期間の具体的な日数は、経済産業省のサイトを読めなかったため未確認です。日本貿易会の要望に対する経済産業省の回答も確認できていません。米国の2025年の平均処理期間については、一次資料で裏付けられる数字を見つけられなかったため、書いていません。また、日本の中小企業の負担を規模別に測った公的な数字は、見つかりませんでした。

最後に、私の一言です。レッドテープ論は、うっかりすると「規制する側が悪い」「企業が不満を言うだけ」という対立の物語になります。資料を読んで感じたのは、実際には両者が同じ方向を向いているということでした。安全は守りたい、そのうえで待ちの見通しは欲しい、という点です。

まずは今週中に、自社の負担の棚卸し表を1枚作ってみてください。判定、取引審査、申請の件数と所要日数を並べるだけで、どこにレッドテープの気配があるのかが見えてきます。制度の見直しに声を届けたい場合は、2026年11月18日までの意見募集が使えます。個別のご相談は、個別相談のページから承ります。

Footnotes

  1. Bozeman, B. (1993). A Theory of Government "Red Tape". Journal of Public Administration Research and Theory, 3(3), 273-304 — 出版社ページの要旨で確認。要旨から確認できたのは、レッドテープを組織の病理として捉える位置づけと、最初から機能不全の規則・当初は有用だったが変質した規則の2類型。全文は有料で未読 — 2026年11月7日確認 ↩

  2. 「安全保障貿易管理」早わかりガイド(中小企業向け、該非判定の確認を行わない旨と相談窓口の記載) — JETRO(日本貿易振興機構) — 2024年1月、2026年11月6日確認 ↩

  3. 規制の事後評価書(国際的な枠組みにおける合意の国内履行に係る新たな輸出規制等) — 経済産業省貿易経済安全保障局、総務省掲載 — 令和7年3月、2026年11月6日確認 ↩

  4. 2025年度安全保障貿易管理に関する要望 — 一般社団法人日本貿易会 安全保障貿易管理委員会 — 2025年7月7日、2026年11月6日確認 ↩

  5. 「外国為替令及び輸出貿易管理令の一部を改正する政令案等(重要・新興品目等)」に対する意見 — 一般財団法人安全保障貿易情報センター(CISTEC) — 2025年3月1日、2026年11月6日確認 ↩

  6. 包括許可取扱要領(最終改正 輸出注意事項2025第27号、令和7年11月14日公布、令和8年2月14日施行)一般包括許可の要件・有効期限・処理期間 — 経済産業省貿易経済安全保障局 — 2026年11月6日確認 ↩

  7. 輸出貿易管理令等の改正の概要について(公布 令和7年11月14日、施行 令和8年2月14日) — 経済産業省貿易経済安全保障局(CISTEC掲載の写し) — 令和7年11月、2026年11月6日確認 ↩

  8. 外国為替令及び輸出貿易管理令の一部を改正する政令案等に対する意見募集について — 経済産業省貿易経済安全保障局安全保障貿易管理課(e-Gov) — 令和8年10月19日、意見募集期間は11月18日まで、2026年11月6日確認 ↩

  9. 15 CFR 750.4 Procedures for processing license applications — eCFR(米国連邦規則集) — 現行規定、2026年11月6日確認 ↩

  10. US government turmoil stalls thousands of export approvals — Reuters(The Daily Star 転載) — 2025年8月3日、2026年11月6日確認 ↩

  11. Delays and Uncertainty in the Export Licensing Process: Findings from a CSIS Survey of U.S. Technology Exporters — CSIS(戦略国際問題研究所)、Kate Koren・Philip Luck — 2026年4月21日、2026年11月6日確認。同報告に "red tape" の語は出てこない ↩

  12. House Foreign Affairs Ranking Member Meeks, Issa Introduce Bipartisan Bill — Meeks下院議員事務所 — 2026年4月17日、2026年11月6日確認。発表文はCSIS調査を引いて「58%」と記すが、CSIS本文の数字は56%である ↩

  13. Bipartisan Amo-Shreve Bill Restores Support for US Businesses Navigating Complex Export Rules — Amo下院議員事務所 — 2026年4月17日、2026年11月6日確認 ↩

  14. Agency Information Collection Activities(Simple Network Application Process and Multipurpose Application Form、OMB 0694-0088) — 米国商務省産業安全保障局、連邦官報 88 FR(Vol.88, No.112) — 2023年6月12日、2026年11月6日確認 ↩

本記事は一部にAIを用いて作成し、公開前に人間が一次情報の確認と編集を行っています。

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日本製部品がロシア兵器に?迂回輸出とレッドフラグ、なぜ外為法だけでは止められなかったのか【2026年7月】

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ニューヨーク・タイムズが報じた「日本がロシアの調達拠点になっている」問題を、輸出管理の構造から解説します。名指しされたアエロフロート東京支店長が報道直後に出国したとの続報(2026年7月)も追記し、CHPI・レッドフラグ・第三国経由の実務対応と、外為法コンプラだけでは足りない理由を整理します。

2026-07-15
11月10日の米中同時期限、延長発表後に残る確認点

11月10日の米中同時期限、延長発表後に残る確認点

米国BISの50%ルールの停止は官報上2026年11月9日まで、中国の公告2025年第70号による暫停は11月10日まで。米中は2026年9月、この合意を2027年1月10日まで延ばすと発表しましたが、10月3日時点で両国とも個別の法的手当ては確認できていません。中国の第72号は11月27日と別の期限です。

2026-08-02
BIS 先端コンピューティング新ガイダンス(2026年5月31日)— D:5本社判定でAIチップ・データセンター取引はどう変わるか

BIS 先端コンピューティング新ガイダンス(2026年5月31日)— D:5本社判定でAIチップ・データセンター取引はどう変わるか

2026年5月31日のBISガイダンスで、D:5本社・最終親会社を基準とする先端コンピューティング品目のライセンス要件が再確認された。所在地ベース判定と50%ルールの違い、データセンター運用への影響を一次情報で整理する。

2026-06-01
BISとOFACの50%ルール。50%ちょうど、合算、孫会社の数え方

BISとOFACの50%ルール。50%ちょうど、合算、孫会社の数え方

BISの50%ルールとOFACの50%ルールで、50%ちょうどは対象か、複数の持分は合算されるのか、孫会社・ひ孫会社はどう数えるのか。規則の原文とOFACのFAQの数字つきの例をもとに整理します。BISの規則の停止期限(2026年11月9日)の現状と、取引先の持分を確認する手順もまとめます。

2026-10-20
【完全解説】韓国の戦略物資輸出管理|Applied Materials 2.5億ドル罰金事案とyesTrade運用

【完全解説】韓国の戦略物資輸出管理|Applied Materials 2.5億ドル罰金事案とyesTrade運用

韓国の戦略物資輸出管理(対外貿易法・yesTrade・KOSTI)の全体像と、2026年2月11日にBISが発表したApplied Materialsへの2.5億ドル罰金事案を、初心者向けに整理しました。

2026-05-20