株式会社TIMEWELLの濱本です。
2026年の輸出管理は、「日本の政省令改正に合わせた該非判定の様式更新」と「米国EARのアフィリエイト・ルールへの備え」が同時に走ります。「うちは米国と直接取引していないから関係ない」と思いがちですが、米国原産品や米国技術を含む再輸出・みなし再輸出では、日本企業にもEARが及ぶことがあります。
本記事では、**施行日を錨(アンカー)**に、何がいつ変わるのか、何をいつまでに整えるのかを整理します。
この記事の要点
- 日本:項目別対比表は2026年2月版(2026年2月14日施行の政省令改正対応)が最新の軸
- 米国:アフィリエイト・ルールは停止中。2026年11月10日に効力復活予定(90 FR 47201/停止 FR Doc 2025-19846)
- 事前の該非判定だけでなく、根拠記録と輸出実績との照合が監査で問われる
- 取引先の資本関係(UBO)可視化は、復活日を待たずに着手するのが安全
- 書式テンプレと診断で、まず穴の位置を特定する
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2026年に押さえる変更点(早見表)
| テーマ | 日付(アンカー) | 何が変わるか | 日本企業の実務 |
|---|---|---|---|
| 項目別対比表(CISTEC) | 2026年2月14日施行改正対応の「2026年2月版」 | 新設・改正項番を様式に反映 | 旧版のまま判定すると行欠落で漏れやすい |
| EARアフィリエイト・ルール | 2026年11月10日効力復活予定 | リスト掲載企業の50%以上関連会社も規制対象に | 取引先の持分・間接保有の調査と証跡 |
| 該非判定の記録 | 通年(改正のたびに再判定) | 根拠・判定日・承認の見える化 | 判定書・パラメータ・台帳の整備 |
| 取引先スクリーニング | 通年(リスト更新に追随) | 名称照合だけでは足りない局面が増加 | 資本関係・用途・レッドフラグの一体管理 |
そのまま使える書式: 該非判定書・パラメータシート・項目別対比明細などをまとめたセット → 該非判定書・パラメータシート記入ガイド+テンプレート(2026年版)
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第1部:項目別対比表と該非判定の実務更新
項目別対比表とは何か
項目別対比表は、安全保障貿易情報センター(CISTEC)が発行する、輸出令別表第1・外為令別表の項目を網羅したチェックシートです。該非判定の「根拠資料」として広く使われています。
| 部 | 内容 |
|---|---|
| 第1部 | 輸出貿易管理令 別表第1(貨物) |
| 第2部 | 外国為替令 別表(技術) |
| 第3部 | キャッチオール規制の参考 |
| 第4部 | その他参考 |
書き方の記号ルールや入手方法は、項目別対比表の書き方ガイドで一次情報ベースに整理しています。
「義務化」ではなく、なぜ更新が必要か
項目別対比表そのものが法令で唯一の指定様式として義務付けられているわけではありません。一方で、輸出者等遵守基準やCPの運用、立入検査では、該非判定の根拠を示せるかが問われます。旧版のままでは、2026年2月14日施行改正で新設された項番の行が様式に存在せず、構造的に判定漏れが起きます。ここが更新の実務理由です。
事前チェックと実績照合のサイクル
事前確認 → 輸出実行 → 実績記録 → 対比・照合 → 改善
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 社内CP・自主管理 | 申請内容と実績の整合を確認する運用が求められる |
| 監査対応 | 経産省の法令遵守立入検査で判定根拠・記録の提示を求められ得る |
| 継続改善 | 事前判定と実績のズレから、判定精度と教育ポイントが見える |
実務フロー
- 輸出前:対比表またはパラメータシートで該非判定
- 輸出時:判定結果に基づき許可要否・手続き
- 輸出後:実際の輸出内容を記録
- 定期的:事前判定と実績を照合
- 法令改正時:影響品目の再判定
該非判定の属人化を、AIで解消する。
経産省2024年度データによれば、外為法違反の52%は該非判定起因。TRAFEEDの機能・導入フローをまとめたサービスカタログを無料でダウンロードできます。
第2部:EARアフィリエイト・ルール(BIS 50%ルール)
制度の骨格(連邦官報ベース)
2025年9月、米国商務省産業安全保障局(BIS)は、エンドユーザー規制をリスト掲載企業の関連事業体に拡大する暫定最終規則を公表しました。連邦官報では 90 FR 47201(2025年9月30日掲載、同年9月29日発効)として確認できます[^1]。
その後、FR Doc 2025-19846 により、2025年11月10日から2026年11月9日まで規則の拡張部分が停止されています[^2]。追加の措置がなければ、2026年11月10日に効力が復活するスケジュールです。
| 時期 | 状況 |
|---|---|
| 2025年9月29日 | IFR発効(90 FR 47201) |
| 2025年9月30日 | 連邦官報掲載 |
| 2025年11月10日〜2026年11月9日 | 停止期間 |
| 2026年11月10日 | 効力復活予定(追加措置がない場合) |
停止中でも、Entity List等の本体規制は従来どおり有効です。「止まっているから何もしなくてよい」ではありません。
何が対象になるか
| 対象 | 条件のイメージ |
|---|---|
| Entity List掲載企業 | 従来どおり |
| 掲載企業の関連会社 | 直接・間接、単独・合算で持分50%以上 |
| MEU List関連 | 同様の所有基準が問題になり得る |
| 特定のSDN関連 | 規則が指定する範囲 |
詳細な計算例とRed Flag 29は、BIS 50%ルール完全ガイドを参照してください。
なぜ日本企業に影響するか
EARは域外適用があります。典型例は次のとおりです。
- 米国原産品目の輸出・再輸出
- 米国技術・ソフトウェアを用いた製品
- 米国部品の組込比率が一定の基準を満たす製品(デミニミス等)
「米国企業ではない」だけでは免責になりません。
違反時のリスク(制度上の厳しさ)
EAR違反には刑事・民事の重い制裁があり得ます。金額や禁固年数は事案・条項によりますが、実務上はライセンス拒否や取引制限が事業継続に直結する点を重視すべきです。罰則の最新の上限は、連邦規則・BISの公表資料で都度確認してください。
第3部:関係性の可視化が必要な理由
Red Flag 29の含意
アフィリエイト・ルールとセットで重要なのが、リスト掲載企業の出資を認識した場合に所有比率を可能な限り特定する、というデューデリジェンスの発想です。「知らなかった」が通用しにくい設計です。
調査が難しい理由
- 公開情報が限られる
- 言語・法域の壁
- 間接保有の連鎖
- 資本構成の頻繁な変更
手作業だけで全取引先を深掘りするのは、中堅企業でも負荷が大きいのが現実です。
可視化の3つの価値
- リスクの早期発見:潜在的な関連会社取引に気づける
- 監査への備え:調査した証跡を残せる
- 意思決定の速度:新規取引の可否判断が速くなる
第4部:今から始める対応ロードマップ
| 期限の目安 | やること |
|---|---|
| すぐ〜2026年8月 | 輸出品目の棚卸し、米国原産・技術含有の有無、主要取引先リスト |
| 〜2026年9月 | CP手順の更新、アフィリエイト確認フロー、教育 |
| 〜2026年10月 | 既存取引先の一括スクリーニング、UBO調査の優先順位付け |
| 2026年11月10日 | 新規則に基づく運用開始(予定)、モニタリング体制 |
該非側と並行して、様式は2026年2月版へ、記録はテンプレで標準化します。
TRAFEEDは、該非判定と取引先スクリーニングをAIで支援する輸出管理エージェントです。資本関係の可視化や判定履歴の残し方について、サービスカタログ(PDF)で機能概要を確認できます。導入相談はお問い合わせからどうぞ。
まとめ
- 2026年2月14日施行改正対応の項目別対比表更新が、該非実務の当面の軸
- 2026年11月10日にEARアフィリエイト・ルールの効力復活予定(停止は11月9日まで)
- 事前判定だけでなく、根拠記録と実績照合が監査で問われる
- 取引先の持分調査は復活日を待たずに進める
- テンプレ・診断・ツールで、人の最終判断に集中できる状態を作る
輸出管理は「面倒な手続き」ではなく、事業を続けるための前提条件です。日付が決まっているルールほど、前倒しで準備した企業が有利になります。
参考文献(一次情報)
- Federal Register: Expansion of End-User Controls To Cover Affiliates of Certain Listed Entities(90 FR 47201)[^1]
- Federal Register: One Year Suspension of Expansion of End-User Controls for Affiliates(FR Doc 2025-19846)[^2]
- 経済産業省 安全保障貿易管理
- CISTEC 項目別対比表






