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【完全解説】2026年版「両用品目および技術輸出入許可証管理目録」|輸出1,122項目・新規約70-85項目追加

2026-05-20濱本 隆太

2025年12月31日にMOFCOM・海関総署が公布した公告第91号で、2026年版「両用品目および技術輸出入許可証管理目録」が2026年1月1日に施行されました。輸出許可1,122項目・輸入許可151項目、新規追加約70〜85項目の全体像を、米CCL・EU Annex I・日本別表第一と並列に整理して中立的に解説します。

【完全解説】2026年版「両用品目および技術輸出入許可証管理目録」|輸出1,122項目・新規約70-85項目追加
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株式会社TIMEWELLの濱本です。今回は、輸出管理を始めたばかりの方からよく質問をいただく「中国の両用品目目録って結局なに?」というテーマを正面から扱います。

2025年12月31日、中華人民共和国商務部(MOFCOM)と海関総署は、公告2025年第91号として「2026年度 両用品目および技術輸出入許可証管理目録」を公布しました。施行日は2026年1月1日。前年の2024年第67号公告(2025年度版目録)はこれをもって廃止です。

この目録は、米国のCommerce Control List(CCL)、EUのDual-Use Regulation 2021/821 Annex I、日本の輸出貿易管理令別表第一と機能的に対称な「輸出管理品目のリスト」です。本記事では、新規追加項目、半導体・AI関連の取り扱い、米CCL・EU Annex I・別表第一との並列比較を、事実ベースで整理します。

この記事でわかること

  • 公告2025年第91号の全体像(輸出1,122項目・輸入151項目、施行日、廃止対象)
  • 新規追加された主な品目(タングステン、モリブデン、希土類7元素、UF6耐食ポリマー等)
  • 半導体(14nm以下/256層以上メモリ/軍事AI用途)の取り扱い
  • 米CCL・EU Annex I・日本別表第一との並列比較
  • ワッセナー・NSG・MTCR・AGという多国間レジームを共通の物差しとして読む方法
  • 日本企業が実務でやるべき5つのステップ

まず用語を3つだけ理解する

輸出管理の議論は専門用語が多く、最初の3つだけ押さえれば話が一気に通ります。

両用品目(dual-use item)

民生用途と軍事用途の両方に使うことができる貨物・ソフトウェア・技術のことです。中国語では「両用物項」と書きます。たとえば高性能の旋盤、ナイトビジョンに転用できる赤外線センサー、暗号モジュールなどが該当します。「軍需品そのもの」ではない点がポイントで、世界各国の輸出管理リストはこの両用品目を中心に組み立てられています。

HSコード/海関商品番号

HSコード(Harmonized System)は世界税関機構(WCO)が定める品目分類コードで、世界共通の6桁。各国はその下に細目を足して使います。中国の「海関商品番号」は10桁で運用されています。中国の両用品目目録は「品目記述」と「海関商品番号」の二段構成で書かれており、海関での通関判断と紐付けやすい構造になっています。

目録(カタログ)

中国における「目録」は、輸出(または輸入)許可証が必要となる品目を列挙したリストです。米CCLや日本別表第一が「輸出のみ」を扱うのと違い、中国版は同じ冊子の中に輸出許可対象(1,122項目)と輸入許可対象(151項目)の両方を収録しています。

公告2025年第91号の全体像

まず、公告そのもののプロフィールを整理します。

項目 内容
公告名 2026年度 両用物項和技術進出口許可証管理目録
発出機関 中華人民共和国商務部 / 海関総署
公告番号 商務部 海関総署 公告 2025年第91号
公布日 2025年12月31日
施行日 2026年1月1日
廃止対象 2024年第67号公告(2025年度版目録)
輸出許可対象 1,122項目
輸入許可対象 151項目
ページ数 168ページ(2025年版161ページ、約7ページ増)
新規追加 約70〜85項目(資料により幅がある)

法的根拠としては、中華人民共和国出口管制法(2020年12月施行)、両用品目出口管制条例(2024年12月1日施行)、商務部・海関総署令2005年第29号、両用品目出口管制管理目録(2024年11月)、そして「中華人民共和国海関進出口税則(2026年版)」が並びます。年に一度の許可証ベースの再編で、立てつけ自体が変わったわけではなく、税則改訂と整合させながら品目の追加・調整を反映した形です。

カテゴリの並び

2026年版の目録は、以下のカテゴリで構成されています。

  1. 核両用品目(NSG対応)
  2. ミサイル関連品目・技術(MTCR対応)
  3. 生物両用品目(AG生物関連対応)
  4. 化学品(監控化学品+関連化学品、CWC+AG対応)
  5. 商用暗号製品(ワッセナー対応)
  6. 航空関連技術
  7. 重要鉱物資源(タングステン、モリブデン、希土類、ガリウム、ゲルマニウム、グラファイト、アンチモン等)
  8. 半導体関連物項・技術

カテゴリ名や順序は米CCL・EU Annex I・日本別表第一と完全には一致しませんが、ワッセナー・NSG・MTCR・AGという多国間レジームに紐付けると、ほぼ同じ機能領域を扱っていることが見えてきます。

Replace siloed classification work with AI.

METI's FY2024 data shows 52% of foreign exchange law violations stem from classification errors. TRAFEED cuts determination time by ~70% and stores structured rationale for every decision.

新規追加項目の整理

公開資料から確認できる主な追加項目を整理します。多くは2025年中に個別公告で先行して規制された品目を、年次目録に体系的に取り込んだものです。

金属・材料系

  • 重タングステン・ニッケル合金(heavy tungsten-nickel alloys):ミサイル関連の運動エネルギー貫通体(penetrator)への用途を意識した規制。
  • モリブデン粉末(missile-related molybdenum powder):ミサイル熱遮蔽材として使われる用途を念頭に置く。
  • 固体タングステン(solid tungsten):粉末・合金とは別形態として独立に列挙。
  • サマリウム系を含む中重希土類7元素:サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウムの金属、酸化物、合金、化合物、混合物、磁石材料(2025年4月の公告第18号で先行追加された内容を反映)。

核関連

  • UF6耐食のフッ化炭化水素ポリマー:ガス遠心分離装置でUF6(六フッ化ウラン)に耐える素材として、2025年版で既に対象だったステンレス鋼・アルミニウム・ニッケル基合金(Ni含有量60%以上)に加えて、ポリマーが追加されました。NSGがフォローする領域です。

化学品

  • 追加の麻薬前駆体化学品(drug precursor chemicals):化学品の章で、麻薬製造に転用可能な前駆体物質の対象範囲が拡張。CWC(化学兵器禁止条約)監控化学品とは別レイヤーでの追加です。

調整・明確化

  • 既存品目のHS税則番号(海関商品番号)の改訂:「中華人民共和国海関進出口税則(2026年版)」の改訂に合わせ、商品番号の更新が行われています。
  • 品目記述の明確化:軽微な文言修正と用語統一。
  • 法的根拠の参照更新:出口管制法・両用品目出口管制条例に統一。

2025年中の関連公告との関係

2026年版目録は、2025年に発出された以下の個別公告を体系的に取り込んだ性格を持ちます。

  • 公告第10号(2025年):タングステン、テルル、ビスマス、モリブデン、インジウム関連
  • 公告第18号(2025年):中・重希土類元素7種
  • 2025年4月以降の希土類関連公告:希土類精錬技術、関連設備、Chinese-origin含有率0.1%以上の製品への域外適用

つまり「年初〜年央に個別公告で投げ込まれた規制が、年末に目録に集約された」と読むのが実情に近い構造です。

半導体関連の重点規制

半導体担当の田中さんから見ていちばん気になるであろう領域です。中国の目録は、半導体に関して米CCLほど細密な数値スペック分類は行いません。「個別審査の対象」とすることで、用途審査ベースで運用する設計になっています。

MOFCOMがcase-by-caseの個別審査としている代表的な用途は次のとおりです。

領域 個別審査の対象例
ロジック半導体 14nm以下のプロセスノードに該当するチップ
メモリ半導体 256層以上の3D NAND等のメモリチップ
AI 軍事転用可能性のある人工知能用途(学習用GPU、データセット、モデル重みの一部)

申請者には、最終用途(End Use)と最終ユーザー(End User)の詳細開示が要求されます。米CCLでいえばECCN 3A090系・4A090系(AI半導体)に近い射程ですが、中国側は「14nm」「256層」を数値で書いた上で、判定を個別審査に寄せている点が特徴です。

なお、量子コンピューティング、量子通信、量子センシングに関する特定品目・技術もカテゴリに位置づけられており、暗号関連は商用暗号輸出管理リストと併存して運用されます。ワッセナーCat.5 Part 2に概ね対応する構造です。

米CCL・EU Annex I・日本別表第一との並列比較

ここがこの記事の核です。中国の目録だけを単独で読むより、4制度を並べた方が圧倒的に理解が早くなります。

制度の全体像

制度 主管 機能 構造
中国 両用品目目録(2026) MOFCOM/海関総署 輸出入両方の許可制対象を列挙 品目記述+海関商品番号10桁
米国 CCL(Commerce Control List) BIS(商務省) 輸出許可対象をECCNで分類 10カテゴリ×5プロダクトグループ
EU Annex I(Reg. 2021/821) 欧州委員会 加盟国共通の輸出管理品目 10カテゴリ
日本 輸出貿易管理令別表第一 経済産業省 リスト規制品目を15項に整理 1〜15項

カテゴリの並列対応

中国カテゴリ 米CCL EU Annex I 日本 別表第一
核両用 Cat. 0 Cat. 0 第2項
化学・生物 Cat. 1 Cat. 1 第3項・第3の2項
材料処理 Cat. 2 Cat. 2 第5項
エレクトロニクス Cat. 3 Cat. 3 第7項
コンピュータ Cat. 4 Cat. 4 第8項
通信・情報セキュリティ Cat. 5 Cat. 5 第9項
センサー・レーザー Cat. 6 Cat. 6 第10項
航空宇宙・推進 Cat. 9 Cat. 9 第14項

カテゴリ番号がここまで揃うのは、4制度がいずれも多国間輸出管理レジームに対応する形で設計されているからです。中国は2004年にMTCRガイドラインを参照する方針を表明しています。AGには未加盟ですが、化学・生物関連の管理水準は同等を志向しており、CWC(化学兵器禁止条約)の枠組みは履行しています。

運用面の3つの違い

機能は対称でも、運用には差があります。輸出管理担当者として押さえておきたいのは次の3点です。

  1. 輸出入を一冊に統合:中国版は輸出許可1,122項目と輸入許可151項目を同じ目録に収録。米CCL・EU Annex I・日本別表第一は輸出側のみ。
  2. 数値スペック分類より用途審査:中国版は半導体ECCNのような細密な数値分類が比較的少なく、「軍事転用可能性のあるAI」などの用途文言で個別審査に寄せる比重が高い。
  3. 管控名単・関注名単の運用:管控名単(コントロールリスト、供給禁止対象)・関注名単(ウォッチリスト、追加審査対象)の運用が直近で強化されています。詳細は中国の対日輸出規制 完全ガイドで整理しました。

多国間レジームの共通基盤

「米中で対立しているのに、なぜ品目リストが似ているのか」とよく聞かれます。答えはシンプルで、両用品目の管理は冷戦期から続く多国間輸出管理レジームを共通の物差しとして使っているからです。

レジーム 主な対象 中国の関与
WA(ワッセナー・アレンジメント) 通常兵器・両用品目(暗号含む) 未加盟、ただし対応するリストを参照
NSG(原子力供給国グループ) 核物質・関連設備 2004年加盟
MTCR(ミサイル技術管理レジーム) ミサイル・無人機関連 未加盟、2004年にガイドライン参照を表明
AG(オーストラリア・グループ) 化学・生物兵器関連 未加盟、ただし同等水準を志向
CWC(化学兵器禁止条約) 化学品(監控化学品) 加盟

中国は加盟・非加盟が混在しますが、品目リスト自体はこれらのレジームに対応する形で組み立てられています。逆にいえば、米CCL・EU Annex I・日本別表第一を読み慣れた人なら、中国の目録を読むときに「ここはMTCRの話」「ここはNSGの話」と分解しながら読めば、構造が一気に掴めます。

日本企業への影響

ここからは「自社にどう関係するか」を、業種・機能別に整理します。なお、2026年初には日本企業を対象とした管控名単・関注名単に関する公告(公告第1号、第11号、第12号)も発出されており、目録と合わせて読む必要があります(時系列は中国の対日輸出規制 完全ガイドを参照)。

半導体製造装置・素材

  • 14nm以下、256層以上、軍事AI用途は個別審査の対象となるため、装置・素材ともに最終用途/最終ユーザーの開示書類を従来以上に整える必要があります。
  • 中国国内顧客向け装置の保守・スペアパーツ供給においても、目録該当品が含まれる場合は許可証要否を再確認。

AI・データセンター

  • 学習用GPU、学習データセット、モデル重みの一部が個別審査対象になる可能性があります。
  • 中国法人で運用するモデルや学習データの扱いについて、自社のサプライチェーン側だけでなく、中国法人がエクスポート(輸出)側に立つケースもあるため、双方向で確認が必要です。

レアアース・タングステン・モリブデン

  • BOM(部品表)に中国原産のタングステン、モリブデン、希土類7元素、ガリウム、ゲルマニウム、グラファイト、アンチモンが含まれていないかを洗い出します。
  • 中国産規制品目の含有率0.1%以上の外国製造品にも中国輸出管理が及ぶ運用(de minimisルール)が2025年4月・10月の希土類関連公告で導入されており、目録本体ではなく付随規則として運用される点に注意が必要です。詳細は中国レアアース輸出規制マップで整理しました。

暗号・通信機器

  • 商用暗号製品は引き続き暗号管理局とMOFCOMの共同管轄。ワッセナーCat.5 Part 2との対応関係を踏まえ、輸出仕向先・最終用途を確認します。

実務でやるべき5ステップ

新人担当の方が今週からできるアクションに落とし込みます。

ステップ1:自社製品のBOM洗い出し

中国原産部品・材料が含まれていないかを、品目単位で確認します。タングステン、モリブデン、希土類7元素、UF6耐食材、麻薬前駆体に近い化学品が代表的なチェック対象です。

ステップ2:2026年版目録ベースでの該非判定

2025年版で判定していた品目について、HS税則番号更新・品目記述の明確化を反映して再判定します。HSコードが書いていなくても品目記述に該当すれば対象なので、記述ベースでの照合を忘れずに行います。

ステップ3:中国国内サプライヤーへのエンドユーザー証明書整備

民生用途を明示したEnd-User Certificateを、中国国内サプライヤーから取得・更新します。管控名単・関注名単対応も視野に入れて、書面確約のテンプレートを揃えておきます。

ステップ4:中国子会社・代理店経由の取引フロー見直し

中国国内に登記され統一社会信用代碼を保有する法人だけが申請主体になれるため、海外法人は中国国内の代理人・関連会社を通じた申請ルートを整理します。

ステップ5:自動化・AIスクリーニングの導入検討

40社規模のリスト追加が頻発する局面では、人手だけで該非判定・取引先スクリーニングを維持するのは現実的ではありません。AIエージェントによる自動照合の導入検討を、社内提案として準備しておくと話が早いです。

よくある誤解/FAQ

Q1. 2026年版は何項目増えましたか?

公開資料では「約70〜85項目」と幅があります。資料カウントの仕方によって差が出るためで、確定数は実物の目録カウントが必要です。ページ数は161→168ページで約7ページ増です。

Q2. HSコード(海関商品番号)が目録に書いていない品目は規制対象外ですか?

いいえ。品目記述に該当すれば、HSコードの明示有無に関わらず許可証が必要です。海関は記述ベースで照合します。

Q3. 含有率0.1%の域外適用は目録本体に書いてありますか?

書かれていません。目録本体はあくまで品目リストで、域外適用ルールは2025年4月・10月の希土類等の個別公告で規定されました。目録と付随規則を併せて読む必要があります。

Q4. 日本企業の中国法人は申請主体になれますか?

中国国内に登記され統一社会信用代碼(Social Unified Credit Number)を保有していれば申請可能です。海外法人は中国国内の代理人を立てる必要があります。

Q5. 米CCLと実質的にどこが違いますか?

(1)中国は輸入許可も統合した一冊の目録、(2)半導体ECCNほど細密な数値スペックは少なく、用途審査ベースの個別判断比率が高い、(3)管控名単・関注名単による域外適用の運用が直近で強化、の3点が運用上の違いです。品目リスト自体の機能は対称です。

Q6. 一般許可証は誰でも使えますか?

いいえ。一般許可証(複数取引を包括的に許可)は信頼性審査済み事業者向けで、管控名単掲載エンティティ向け輸出には使えません。管控名単向けは個別許可証申請+追加書面が必要です。

まとめ

  • 2026年版「両用品目および技術輸出入許可証管理目録」は、MOFCOM・海関総署の公告2025年第91号として2025年12月31日に公布、2026年1月1日施行。
  • 輸出許可対象1,122項目、輸入許可対象151項目。新規追加は約70〜85項目、ページ数は161→168ページ。
  • 追加の中心は、タングステン・ニッケル合金、モリブデン粉末、固体タングステン、中重希土類7元素、UF6耐食フッ化炭化水素ポリマー、追加の麻薬前駆体化学品など。
  • 半導体は14nm以下/256層以上メモリ/軍事AI用途を個別審査。米CCLほどの細密な数値分類ではなく、用途審査ベースの設計。
  • 米CCL・EU Annex I・日本別表第一と機能的に対称で、ワッセナー・NSG・MTCR・AGなど多国間レジームを共通基盤とする。
  • 含有率0.1%の域外適用は目録本体ではなく付随規則(2025年4月・10月の希土類関連公告)で運用される。
  • 実務は、BOM洗い出し→該非判定→エンドユーザー証明書整備→申請フロー見直し→AIスクリーニング導入の5ステップ。

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