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SusHi Tech Tokyo 2026 完全総括レポート|4年目で60,000人・770社・55都市が集ったアジア最大級スタートアップカンファレンスの全貌

2026-04-29濱本 隆太

2026年4月27日〜29日に東京ビッグサイトで開催されたSusHi Tech Tokyo 2026の全貌を、TIMEWELL代表 濱本隆太が現場視点でまとめます。City-Tech.Tokyoから数えて4年目、出展スタートアップ770社・55都市首長級・151セッション・60,000人来場のアジア最大級カンファレンス。高市総理×小池都知事の基調講演から、4階・未来体験パビリオンの恐竜ロボ・ヒューマノイド・月着陸船、29日のパブリックデイの子ども向け体験まで、現地で起きた全てを13本のセッションレポートと合わせて解説します。

SusHi Tech Tokyo 2026 完全総括レポート|4年目で60,000人・770社・55都市が集ったアジア最大級スタートアップカンファレンスの全貌
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こんにちは、株式会社TIMEWELLの濱本隆太です。普段は「世界No.1の挑戦インフラを創る」というビジョンのもと、スタートアップや社内起業家の伴走をしています。

実は今回、TIMEWELLは単なる取材者・観察者としてではなく、 SusHi Tech Tokyo 2026にTIMEWELL単独ブースを出展しつつ、共同で取り組んでいるEMC GLOBALのブースにも共同出展者として参加 し、さらに 当社は公式の企業アンバサダー(法人アンバサダー)の一社として、開催前のSNS発信や関係者ネットワーク経由の告知活動に協力 させていただきました。3日間ブースで来場者と話し続け、空き時間にセッションを駆け回り、運営や他社からお招きいただいた数々の交流会で首長・投資家・海外スタートアップとの会話を重ねた——いわば「中の人」の視点で見た景色でもあります。だからこそ、本記事では運営側の意図、出展者として感じた現場感、ハシゴしたセッションで掴んだ熱量、その3つを織り交ぜながら全体を総括します。

正直に書きます。SusHi Tech Tokyo 2026の3日間、現場で過ごしてみて、4年前との違いをしみじみ感じました。City-Tech.Tokyo 2023を東京国際フォーラムで見たのは、まだ寒さが残る2023年2月のことです[^1]。そこから数えて4年。今年、東京ビッグサイトの西展示棟がスタートアップで埋め尽くされ、世界55都市の首長が同じ会場に並び、4階の未来体験パビリオンでは恐竜が動き、ヒューマノイドが歩き、月着陸船が実物大で展示されている。気がつけば、東京は「アジア最大級のスタートアップカンファレンス」を本気で開催する都市になっていました[^2]。

本記事は、3日間の現場で取材し、登壇者と話し、ブースで実機を触ってきた私の総まとめです。基調講演から国別パビリオン、4階の体験コンテンツ、29日のパブリックデイ、そしてTIMEWELL公式コラムで公開している13本のセッションレポートまで、SusHi Tech Tokyo 2026の全体像が一読で掴めるよう書きました。10分で読める分量ではないかもしれませんが、3日間の凝縮された熱量を1本にまとめると、これくらいの厚みが必要だと感じます。

4年で起きた進化——City-Tech.TokyoからSusHi Tech Tokyo 2026へ

このイベントの歴史を簡単に振り返らせてください。経緯を知っているのと知らないのとで、今年見えた景色の意味は大きく変わるからです。

最初の開催は 2023年2月の「City-Tech.Tokyo 2023」。東京国際フォーラムを会場に、30カ国・100都市から10,000人を集めました[^3]。出展スタートアップは300社。当時は東京都の小池知事が「2027年までにユニコーン10社、起業家10倍、協働実践10倍」というスタートアップ戦略「Global Innovation with STARTUPS」を打ち出した直後で、その旗艦イベントとして産声を上げました。当時、現場で感じた率直な印象は「規模はこれからだが、東京都が真剣にやろうとしている」というものでした。

2024年4月〜5月にかけて、東京ベイエリアを舞台に「SusHi Tech Tokyo 2024」が開催[^4]。「Sustainable High City Tech Tokyo」を略して「SusHi Tech」と呼ぶ、東京独自のブランドが始動しました。「持続可能な都市をハイテクで実現する」という意思を、寿司(SUSHI)という日本文化のアイコンに重ねたネーミングです。2024年は来場者数 500,000人 という驚異的な数字を出し、Global Startup / City Leaders / Showcase の3プログラム構成で運営されました。

そして2026年。今年の数字を並べると、進化の度合いが鮮明になります[^5][^6]。

指標 City-Tech.Tokyo 2023 SusHi Tech Tokyo 2024 SusHi Tech Tokyo 2026
開催場所 東京国際フォーラム 東京ベイエリア(複数会場) 東京ビッグサイト 西1〜4ホール
出展スタートアップ 300社 約500社 約770社(うち海外400社)
来場者 10,000人 500,000人 約60,000人(カンファレンス+パブリックデイ)
参加国・都市 30カ国・100都市 100都市超 55都市首長級+49カ国出展
セッション数 約60 約120 151
パートナー企業 約30 約50 62(Sony / Google / Microsoft / Mizuho 等)

来場者数だけ見ると2024年の方が多いですが、これは会場分散とパブリック性の違いで、2026年は「ビジネス商談」と「市民体験」の密度を意図的に高めた設計になっています。実際、TechCrunchは「これはカンファレンスではない、60,000人が集まるディールルームだ」と表現しました[^7]。私もこの言葉に強く頷きました。3日間で生まれる商談数は、昨年実績の6,000件超を確実に上回るはずです。

City-Tech.Tokyoが「立ち上げの年」だったとすれば、2024年は「アジア最大級を名乗れるかの挑戦の年」、2026年は 「アジア最大級を実体で証明した年」 だと感じています。これは小池知事のリーダーシップと、東京都産業労働局・(公財)東京都中小企業振興公社など実行部隊の3年間の積み上げの結果です。一過性のイベントではなく、東京の都市戦略のOSとして根付き始めた手応えがあります。

数字で見る2026年——アジア最大級になった証拠

開幕直前のBusiness Insider Japanは、SusHi Tech Tokyo 2026を「過去最大規模、スタートアップ出展750社」と紹介しました[^6]。実際の開催では更に増えて約770社に達しています[^7][^8]。

特筆すべきは 海外スタートアップ400社 という数字です。出展スタートアップの半数以上が海外勢という構成は、アジアの主要カンファレンス(CES Asia、Tech in Asia、SLUSH Asia等)の中でも突出しています。私が会場を回りながらブースの言語を観察すると、英語で接客しているブースが想像以上に多く、日本語表示しかないブースを探す方が難しいほどでした。

セッション数 151本 も注目です。3日間で151本ということは、複数会場で同時並行的に進行しているということで、私のような取材者は「どのセッションを諦めるか」の判断に追われ続けました。本記事末尾で紹介する13本のセッションは、TIMEWELLとして「経営者・事業責任者・新規事業担当者にとって価値が高い」と判断したものを優先的に取材したものです。

パートナー企業62社の顔ぶれも豪華です。Sony、Google、Microsoft、Mizuho に加えて、富士通、NEC、東京海上日動、ロッテ、マネーフォワード、ペガサステックベンチャーズ、500 Global、TechCrunch などが独自のブース・セッションを持って参加しました[^5][^7]。「大企業が単に協賛する」段階を超えて、「自社の戦略発表の場としてSusHi Techを選ぶ」段階に入っています。

参加国数 49カ国 という数字も、前年の45カ国から大きく伸びています[^2]。今年特に存在感が大きかったのは、イタリア、フランス、韓国、シンガポール、UAE、インド、ドイツ、フィンランド、エストニア、台湾、サウジアラビア。それぞれ国別パビリオンを構え、自国スタートアップを集中ピッチさせる形を取っていました。

そして象徴的な発表が、 Tokyo Launches $1 Billion Investment Framework(10億ドル規模の投資枠組み)[^9]。東京都が官民連携で組成する大規模ファンドの構想が、SusHi Techの場で公表されました。これはシンガポールがTemasekやEDBを通じて長年やってきた政府系ファンド戦略と肩を並べるレベルの規模感で、日本のスタートアップ・エコシステムが「資金規模の壁」を本気で越えに行っていることを示しています。

数字の話を最後にもう一つ。SusHi Tech Global Startupsという、グロースステージの日本企業45社を東京都が選抜してグローバルデビューさせる新パビリオンが今年から始まりました[^5]。これは「日本のスタートアップを世界に送り出す」という意思の具体化で、シンガポールのSGInnovate、フランスのLa French Tech、英国のTech Nation Global Talent Visaに相当する、東京独自のデビュープラットフォームです。

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4階の未来体験パビリオン——「見る」から「触れる」へ

今年のSusHi Tech Tokyoで、もう一つ明らかにレベルが上がったのが、 「体験コンテンツ」の充実度 です[^10][^11]。

東京ビッグサイト西展示棟の 1階と4階 が会場として使われ、特に4階の 「未来体験パビリオン」 は、SusHi Tech Tokyo 2026の象徴とも言える空間でした[^12]。会場に着いてエスカレーターで上がると、最初に目に入ったのは 動く恐竜 です。ON-ART社が手がけるリアルな恐竜ロボット——ティラノサウルスやパキケファロサウルスが、子どもの背丈の倍以上の大きさで、息遣いまで再現するレベルで動いていました[^11]。これだけでも開幕前から行列ができていました。

恐竜の隣には 変形ヒューマノイドロボット が展示されていました[^11]。直立二足歩行のロボットモードから、車両モードへ変形して実際に乗れるという驚きの仕様で、変形シーンは何度見ても飽きませんでした。子どもたちが「これ、本当に動くの!?」と歓声を上げているのを見ながら、私は「20年前にトランスフォーマーをテレビで見ていた世代が、本物を体験できる時代になったのだ」と妙な感慨を覚えました。

さらに 世界初のジェスチャー操作ヒューマノイド も初公開されていました[^11]。手の動きや指の角度をリアルタイムで読み取り、ロボットが反応する仕組みで、コントローラーやキーボードを介さない操作体系の可能性を体感できました。これは介護ロボット、災害救助ロボット、製造業のヒューマノイド導入においても重要な技術アプローチで、今後5年で実用化が進む領域だと見ています。

宇宙関連では、 ispaceのRESILIENCE月着陸船の実物大レプリカ が展示されていました[^11]。日本発の月面輸送企業ispaceが、低コスト月面輸送サービスを提供すべく開発を進めているマシンで、今年の月面着陸ミッションを控えた直前のタイミングでの展示でした。実物大で見ると、想像以上にコンパクトで、これが本当に月へ行くのかと驚かされます。

その他にも、XR展示、ドローン操作シミュレーター、AIアバターと対話できるブース、生成AIを使った絵画体験、3Dフードプリンティングの試食コーナーなど、 「見るだけで終わらせない」コンテンツ設計 が徹底されていました。これは2024年までのSusHi Tech Tokyoとの最大の違いです。2024年も体験コンテンツはありましたが、規模と質が今年は別次元でした。

私の見解では、この「体験への振り切り」は意図的な戦略です。スタートアップカンファレンスというのは、放っておくとピッチイベントとブースの羅列で終わってしまう。それでは「来てよかった」と感じる強度が出ない。SusHi Techが取った打ち手は、 「ビジネスデイは商談、パブリックデイは体験、4階は両日とも体験」 という3層構造でした。これにより、来場者の記憶に残る「絵」が圧倒的に増えました。

国別パビリオンの充実——イタリアから始まった「人間中心ディープテック」の波

国別パビリオンも、今年は明らかに密度が違いました。前年の45カ国から49カ国に増え、特にヨーロッパ勢の存在感が大きくなりました。

イタリアパビリオン は、私個人として最も印象に残ったエリアです。イタリア政府が後押しする「Italy Innovation Platform」のもと、9社のディープテック・スタートアップが集中ピッチを行いました[^13]。詳しくは別記事「イタリアのディープテックに宿る『人間的な強さ』」に書きましたが、Ferrari、Brembo、Lavazzaなど世界的ブランドを抱える国らしく、「技術×デザイン×職人精神」の三位一体で勝負する企業が並んでいました。

フランスパビリオン はLa French Techが主導する形で、AI、ヘルステック、ディープテック領域から数十社が出展。韓国パビリオン はKOTRAが組成し、AIロボティクス、バッテリー、エンタメテック分野で攻めの姿勢が際立ちました。シンガポールパビリオン はEnterprise SGとEDBが組み、サステナビリティ・フィンテック領域に特化。UAEパビリオン はAbu Dhabi Investment OfficeとDIFCが連携し、グローバルファミリーオフィス系資金との接続を打ち出していました。

そして今年、特に話題を集めたのが インドパビリオンの規模拡大 と、 サウジアラビアパビリオンの初登場。インドはAI・SaaS・ヘルステック領域で30社超が出展し、日本市場参入のためのビジネスマッチングを精力的に行っていました。サウジアラビアはNEOM構想とVision 2030の文脈で、スマートシティ・エネルギー転換・観光テック領域での日本企業との連携を狙っていました。

国別パビリオンが意味するのは、 SusHi Tech Tokyoが「日本のスタートアップを集めるイベント」から「世界のスタートアップが日本市場と接続するハブ」に変わった ということです。これは長年、シンガポールのSlush Singapore、香港のRISE、リスボンのWeb Summit、バルセロナの4YFNが担ってきた役割を、東京が引き受け始めたことを意味します。

高市総理×小池都知事の基調講演——スタートアップ立国の「本気度」

3日間で最も会場が沸騰した瞬間は、間違いなく 初日4月27日朝の基調講演 でした。

ステージに立ったのは、 小池百合子 東京都知事高市早苗 内閣総理大臣[^14]。日本のリーダー2人が、スタートアップエコシステムという「民が主役の領域」に揃って登壇すること自体が、4年前には想像できなかった光景です。

小池知事のスピーチは、安定の語り口で開幕しました。「Sustainableの"SUS"とHigh-Techの"HI"を合わせて、寿司(SUSHI)という言葉が生まれた」というあの説明も今年で4回目。耳慣れたはずなのに、60,000人規模の会場を見渡しながら語る姿には、4回目特有の「実体を伴った自信」が滲んでいました。Tokyo Innovation Base(TIB)の稼働実績、G-NETSの進化、$1 Billion投資フレームワークの発表など、4年間の積み上げが凝縮されたスピーチでした。

そこに登壇した高市総理。「小池知事ほどパワフルではないのですが」と謙遜から入った瞬間に会場が温まり、続く発言で空気が変わりました。 「日本の名目GDPは過去2年間で32%増加した」 という数字を起点に、スタートアップ支援の「三本柱」を打ち出したのです。

第一にスケールアップ支援、第二にディープテック支援、第三に地方自治体による調達支援。特に「政府調達のハードルを下げる」「日本版SBIR制度を強化する」という踏み込んだ発言は、現場でディープテック支援を見てきた私にとって「ようやくここまで来たか」という感慨深い瞬間でした。詳しくは「SusHi Tech 基調講演レポート 小池×高市が語る『スタートアップ立国・日本』の本気度」でまとめています。

このセッションが象徴したのは、 スタートアップ支援が「応援」のフェーズを超えて「国家戦略のOS」になり始めている という事実です。10年前、私がパナソニック時代に社内起業家プログラムを運営していた頃は、「日本でスタートアップ」と言うと学生にすら怪訝な顔をされたものでした。今は総理大臣がスタートアップを「国家の成長エンジン」と公言する時代です。空気そのものが変わった、と現場で実感しました。

G-NETS Leaders Summit——都市外交の新しい主戦場

もう一つ、今年のSusHi Techで重要な意味を持ったのが、 第3回 G-NETS Leaders Summit の併催です[^15]。

G-NETS(Global City Network for Sustainability)は、東京都が2022年から運営する都市首長級のサステナビリティ・ネットワークで、今年は 5大陸55都市 から首長級が集結しました[^15]。テーマは「気候・災害レジリエンスに基づく新たな都市の未来(A New Urban Future built on Climate and Disaster Resilience)」。

ヘルシンキ、バルセロナ、ソウル、モントリオール、シンガポール、リスボン、エスポー(フィンランド)、釜山、ジャカルタ、ホーチミン、ドバイ、メキシコシティ……世界のスタートアップハブ都市の首長が、3日間にわたって都市政策と技術実装を議論しました。これは単なる首長級会議ではなく、 「都市同士のスタートアップ流通プラットフォーム」 の構築です。私が見た限り、複数の都市間で具体的なスタートアップ進出MoU(覚書)が締結された場面もありました。

G-NETS Leaders Summitと「SusHi Tech Tokyo」が併催されることで起きたのは、「民の市場(スタートアップ)」と「公の市場(都市行政)」が同じ会場で出会う構造です。これにより、スマートシティ・防災・エネルギー転換・モビリティ・教育などの公共領域で、スタートアップが都市行政の調達対象になる道筋が一気に拓けます。詳しくはセッションレポート「市民のためのスマートシティとは何か」と「社会課題を解決することは最大の事業機会である」で具体例とともに紹介しています。

私の見立てでは、G-NETSの併催は、SusHi Tech Tokyoを 単なるスタートアップカンファレンスから「アジア発の都市外交プラットフォーム」へ昇格させる仕掛けです。世界のスマートシティ予算は2030年までに2兆ドル規模に膨張すると予測されています。その商流の結節点に東京が立てるかどうかが、向こう10年の日本のスタートアップエコシステムの成長率を左右します。

4月29日 パブリックデイ——次世代に「未来」を手渡す日

そして、SusHi Tech Tokyo 2026の最後を飾るのが、 4月29日(水・祝)のパブリックデイ です[^16][^17][^18]。

ビジネスデイは事前登録が必要で、ある程度ビジネス目的の来場者に絞られていますが、29日のパブリックデイは 入場・体験すべて無料高校生以下無料(小学生以下は保護者同伴)。GW初日にあたるこの日は、東京ビッグサイトが家族連れと小中高生で埋め尽くされる光景になります。

公表されているコンテンツの中から、私が特に印象的だと感じるものを挙げると[^17][^18]:

  • サイエンスアーティスト 市岡元気氏のサイエンスライブ — 子どもの目の前で実際に化学反応や物理実験を見せ、「なぜそうなるか」を一緒に考えるステージ
  • リアル恐竜型メカニカルスーツ — 4階の未来体験パビリオンに加え、パブリックデイ専用のショーが開催
  • ロボットを操って戦うゲーム — 子どもがコントローラーで実機ロボットを動かして競い合う体験
  • ドローン操作体験 — 安全な囲いの中で、子どもが自分でドローンを飛ばす
  • 都立産業技術高専の電子工作ワークショップ — 学生が先生役を務める形で、参加者がはんだごてを握って小さな電子回路を組み立てる
  • 全国中高生のステージ発表 — 社会課題解決のアイデアを中高生がプレゼン
  • ikigAI社のAIビジョンボード体験 — 子どもが描いた未来像をAIで可視化し、チェキで持ち帰れる[^19]
  • ものづくりワークショップ群 — 紙工作からプロトタイピング、3Dプリンタまで多様

ここで起きていることは、 「未来を、次世代に体験として手渡す日」 だと私は捉えています。ビジネスデイの基調講演で高市総理が「日本を再興する」と語っても、それを担うのは2026年に小学生だった子どもたちです。彼らが恐竜と握手し、ヒューマノイドの目を見て、ドローンを自分の手で飛ばす経験こそが、10年後・20年後の日本のスタートアップエコシステムの起点になります。

私は中学生の娘を連れて29日に再訪する予定です。私自身、初めてロボットを触ったのは小学校3年生のロボコン教室で、あの記憶が結局、30年後にこうやってスタートアップ支援の仕事をしている根っこになっていると感じています。子ども時代の「未来体験」の重みは、大人が思っている以上に大きいのです。

13本のセッションレポート ダイジェスト——SusHi Tech 2026を多角的に読む

ここから先は、3日間でTIMEWELLが取材した13本のセッションを、ダイジェストでご紹介します。それぞれ独立した記事として公開しているので、興味のあるテーマから深掘りしてみてください。

01 基調講演:小池都知事×高市総理が語った『スタートアップ立国・日本』の本気度

GDP32%増、スケールアップ・ディープテック・地方自治体調達の三本柱、Tokyo Innovation Base、G-NETS首長級会議の意味——3日間の幕開けを飾った2人の女性リーダーのスピーチを、現場で受け取ったメッセージとして整理しました。

基調講演レポートを読む

02 ソウル・バルセロナ・東京が描く『人間中心AI都市』の最前線

ソウル21万台のAIカメラと「デジタルインクルーシブプラザ」、バルセロナのSuperblock、東京のSociety 5.0——3都市のスマートシティ実装哲学が交わるセッションでした。「スマートシティはもはや技術ショーケースではなく、市民のウェルビーイング実装プラットフォームになっている」というシフトを読み解きます。

スマートシティ最前線を読む

03 欧州アグリ・フードイノベーションの最前線

ワーヘニンゲン大学発のStartLife、49拠点・3,000社・900社をつなぐLeviage、農林中金欧州——気候変動・地政学リスク・食料安全保障の三重苦に直面する欧州が、ディープテック連携と規制改革で食料システムをどう再構築しているか。日本の食料自給率38%という現実と直結するテーマです。

欧州アグリ・フードを読む

04 自動運転の主戦場はソフトウェアへ

Applied Intuitionのウニス氏、日産NSOP、いすゞの商用車戦略——自動車業界が「ハードウェア中心」から「ソフトウェア定義モビリティ(SDV)」へ移行する2026年の構造変化を、Transformerが変えた全てという視点で解読します。Physical AI主権論はこのセッションのハイライトでした。

自動運転SDVを読む

05 非連続成長を起こすのは誰か——日本企業のリスクテイク4つの転換点

ロッテ玉塚氏、マネーフォワード辻氏、ペガサステックベンチャーズ石黒氏が議論した、日本企業が次の成長ステージに進むための4つの転換点。CEOのリスクテイク責任、サイドドア戦略、失敗の履歴書をポジティブに扱う文化など、経営者必読の論点が並びました。

非連続成長を読む

06 富士通CTO高木氏が語る『AI駆動社会』

レガシー企業がAIネイティブに変革するための具体的手順、Fujitsu Kozuchiの実装事例、人間中心AIの哲学、社会デジタルツインによる政策シミュレーション——日本最大級のITベンダーCTOが語る「AIで社会を設計する」というメッセージを整理しました。

富士通AI戦略を読む

07 イタリア発ディープテックが見せた『人間の優位性』

イタリアパビリオンが提示した「ディープテック×デザイン×職人精神」の三位一体アプローチ。AIに置き換わらない「人間の優位性」をいかに事業化するか。日本の老舗企業や地方発スタートアップへの示唆として読み解きます。

イタリア・ディープテックを読む

08 東京がグローバルスタートアップハブになるための条件

500 Globalチャン氏、木村氏、みずほ土井氏、Aki氏——シンガポール・サンフランシスコ・ロンドンと比較した東京の強みと弱み、Tokyo Innovation Baseの役割、海外起業家を呼び込むための制度・税制・住居の課題を、現場視点で整理しました。

東京ハブ論を読む

09 グリーンインテリジェンスとサーキュラーエコノミー

台湾の「政府AIオールイン」戦略、東大クボ准教授のウェルビーイング中心スマートシティ、富士通ナガノ博士のサプライチェーン・カーボンニュートラル——AIと気候テックが交差する2030年への現実解を、3つの視点で整理します。

グリーン知能を読む

10 AIエージェントが切り拓く未来

東京都の「1ヶ月で1,000個のエージェント」、ServiceNow Agent 365、Telexistence富岡氏のフィジカルAI、カケハシ中川氏の薬局基盤、キャシー松井氏の投資家視点——2026年のAIエージェント主要プレイヤーとエンタープライズ実装の障壁を、技術選択の意思決定軸として整理しました。

AIエージェント先駆者を読む

11 歌舞伎は最高のエンターテインメント体験になりうるか

松竹×先端テック企業が描く伝統芸能のグローバル戦略——AR・字幕翻訳・VRライブ・NFT・SNSマーケティングを掛け合わせた挑戦の最前線。歌舞伎を「日本最古のスタートアップ」として読み解きます。

歌舞伎×エンタメテックを読む

12 社会課題を解決することは最大の事業機会である

ヘルシンキ市長サジノフ氏、エスポ(フィンランドの量子技術都市)、東京の「T 10x10x10 Innovation Vision」、NEC松田氏のプラスチック廃棄物・国際協業事例——GNETs併催で進化した「都市が主役のイノベーション外交」時代を読み解きます。

社会課題×事業機会を読む

13 AI×教育でウェルビーイングを実現せよ——東大藤井総長×AI Academia

22億人がインターネット未接続、7億5千万人に電気もない世界で、AIは不平等を助長するエナブラーになるか、解決するか。東京大学総長 藤井輝夫氏とモンゴル発AI Academia AsiaのCEO バタンゲル氏の対話を「挑戦の民主化」視点で読み解きます。

AI×教育×ウェルビーイングを読む

13本を一気に読み通すと、2026年のスタートアップ・エコシステムが向き合っているテーマの全体像が見えてきます。 AI×政策、AI×教育、AI×都市、AI×伝統文化、AI×サプライチェーン——AIが「ある特定の分野で使われる技術」から「社会のOSになる前提技術」に変わったことを、SusHi Tech Tokyo 2026は宣言した3日間でした。

TIMEWELLの出展・告知協力・交流会——「中の人」として過ごした3日間

ここまでイベント全体を俯瞰してきましたが、最後に少しだけ、 TIMEWELL自身の関わり方 についてご紹介させてください。冒頭でも触れた通り、私たちは今回、SusHi Tech Tokyo 2026に TIMEWELL単独ブースを出展 し、加えて 共同で取り組んでいるEMC GLOBALのブースにも共同出展者として参加 しました。さらに、 当社は公式の企業アンバサダー(法人アンバサダー)の一社として、開催前のSNS発信や関係者ネットワーク経由の告知活動に協力 させていただきました。

TIMEWELL単独ブースでお見せしていたのは、当社が提供する3つのサービス——エンタープライズAIの ZEROCK(AWS国内サーバー × GraphRAG)、AIネイティブのコミュニティプラットフォーム BASE(60秒でコミュニティ立ち上げ)、AIコンサルティング WARP(経営戦略×AI実装)です。3日間で来場いただいた方の数は、当社想定を大きく上回る規模になりました。海外からの来場者比率も高く、英語での商談や名刺交換が想像以上に増えたのが印象的です。「日本のスタートアップが、日本のイベントで、海外勢と英語で対話する」という構図が当たり前になっている事実を、自社ブースの来場ログで初めて実感しました。

EMC GLOBALブースでの共同出展では、グローバル展開を視野に入れた事業づくりを志向する仲間と肩を並べて、海外の投資家・大企業・行政担当者とのマッチングを進めました。共同出展の良いところは、ひとつのブースに複数のサービス・思想が並ぶことで、来場者にとって「総合的な相談窓口」になれることです。「ZEROCKに興味があるが、EMC GLOBALの○○の話も聞きたい」というような、横断的な議論が自然に生まれる場面が何度もありました。

そして3日間でとくに収穫が大きかったのが、 運営や出展者の方々からお声がけいただいた数々の交流会 です。海外スタートアップとのクローズドな夕食会、都市行政担当者との円卓ディスカッション、投資家ナイト、特定領域の専門家による少人数の意見交換——どれもセッション中には深まらない議論を、リラックスした場で交わせる貴重な時間でした。私の感覚値ですが、SusHi Tech Tokyoのカンファレンス本体と同じくらい、こうしたオフサイトの交流会が「3日間の本当の中身」を作っているようにも感じます。企業アンバサダーや出展者という立場でTIMEWELLに届いたお誘いも多く、そこで生まれた人の縁は、確実に今後の事業協業へとつながっていく手応えがあります。

TIMEWELLとして3日間で得た一番大きな学びは、 「日本のスタートアップエコシステムは、もう国内向けに語る段階を抜けつつある」 という肌感覚でした。私たちのブースに英語で訪れる海外スタートアップ・投資家の数、海外都市の行政担当者から「お国にも同様の課題がある、共同事業ができないか」という相談が複数件持ち込まれた事実、それから交流会で他のCEOや投資家と立ち話する場での会話の温度。すべてが「内向き」ではなく「外向き」だったのです。

出展者として、EMC GLOBAL共同出展者として、告知協力に携わった企業アンバサダーとして、そして取材者として——複数の立場を兼ねた3日間は、TIMEWELLにとってかけがえのない経験になりました。SusHi Tech Tokyo運営チームの皆さん、EMC GLOBALの皆さん、登壇者・出展者・交流会で出会った皆さん、そしてブースに足を運んでくださった全ての方々に、この場を借りて改めて御礼申し上げます。

まとめ——SusHi Tech Tokyo 2026が日本に問いかけているもの

3日間の現場を駆け抜けて、私が最終的に持ち帰った問いは、シンプルなものでした。

「ここで火がついた熱量を、私たちはどこまで実装に落とし込めるか」

スタートアップカンファレンスは、参加すること自体に意味があるのは事実です。基調講演で胸が熱くなり、ブースで未来の技術に触れて興奮し、海外の都市首長と名刺交換をして可能性を感じる。その瞬間瞬間に価値はあります。

ただ、本当の評価は3日後・3ヶ月後・3年後の実装で決まる、というのが私の持論です。

総理大臣がGDP32%成長を語っても、それが企業の現場で起業家・大企業内起業家・行政担当者の行動変化に繋がらなければ意味がない。10億ドルの投資フレームワークが組成されても、その資金が実際に有望なディープテック・スタートアップに届かなければ机上の数字です。55都市の首長が集まっても、各都市のスタートアップ調達制度が動かなければただの社交です。

だからこそ、TIMEWELLとして3日間で取材した13本のセッションを、実装可能なフォーマットに整理して公開しています。「経営者が次の月曜日から動ける具体性」を意識したつもりです。あなたが大企業のCXOであれ、スタートアップのCEOであれ、地方自治体の事業担当者であれ、スタートアップ志望の学生であれ、 3年後に振り返って「あの3日間が転機だった」と言える行動を、4月30日から始めましょう

私自身、TIMEWELLとして以下の3点を持ち帰りました。

ひとつ目は TIMEWELL BASE(コミュニティプラットフォーム)の海外展開を本格化する こと。Studio STELLARの設立に象徴される「独立クリエイター時代」のコミュニティ運営は、日本国内に閉じず、東南アジア・北米・欧州にも広がります。SusHi Techで会ったシンガポール・台湾・タイのプレイヤーとは、すでに連携協議に入ります。

ふたつ目は WARP(AIコンサルティング)の対象領域を「政策×AI」に拡張する こと。EU AI Act、米国MATCH法、日本の輸出管理改正、AI事業者ガイドライン——政策動向を踏まえた経営戦略の伴走支援は、TIMEWELLが得意としてきた「経営×AI」の自然な延長です。SusHi Techの場で複数の大企業から具体的な相談をいただきました。

みっつ目は TIMEWELL ZEROCK(エンタープライズAI)のグローバル展開 です。AWS国内サーバーでGraphRAGを動かす設計は、データ主権要件が厳しい欧州・中東の企業にも刺さります。SusHi Techで国別パビリオンを回って気づいたのは、「データを自国に置きたい」というニーズはどの国にも共通だということでした。

最後に、4年前のCity-Tech.Tokyo 2023の終了直後、登壇者の一人がぽつりと言った言葉をシェアして、本記事を締めたいと思います。

「東京は、世界に対して『おもてなし』ではなく『一緒に未来を作ろう』と言える都市になれる。それが本当の意味のスタートアップ立国だ」

2026年の3日間、東京は確かにその段階に到達しました。ここからは、私たち一人ひとりがどう動くか、です。

TIMEWELLとして、SusHi Techの熱量を実装に落とし込むお手伝いは WARP(AIコンサルティング) でも承っています。経営戦略にスタートアップエコシステムの動きを織り込みたい、社内で新規事業を立ち上げたい、海外スタートアップとの連携の最初の一歩を踏み出したい、というご相談は、 30分のオンライン相談 からお気軽にどうぞ。

3日間お疲れさまでした。そして、明日からまた、走りましょう。SusHi Tech Tokyo 2027でお会いできるのを、楽しみにしています。

参考文献

[^1]: City-Tech.Tokyo 2023 公式 — https://city-tech.tokyo/en/

[^2]: WIRED.jp「アジア最大のイノベーションハブへと進化、『SusHi Tech Tokyo 2026』の見どころ」(2026-04-17) — https://wired.jp/branded/2026/04/17/sushitechtokyo/

[^3]: 三菱地所 xTECH「City-Tech.Tokyo 2023」 — https://xtech.mec.co.jp/event/8300

[^4]: SusHi Tech Tokyo 2024 公式アーカイブ — https://www.sushi-tech-tokyo2024.metro.tokyo.lg.jp/

[^5]: 東京都「SusHi Tech Tokyo 2026 の詳細をお知らせします!」(2026-03-27) — https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/03/2026032717

[^6]: Business Insider Japan「アジア最大級のイノベーション・カンファ『SusHi Tech Tokyo 2026』、4月27日に開幕…過去最大規模、スタートアップ出展750社」(2026-04) — https://www.businessinsider.jp/article/2604-sushi-tech-tokyo-2026/

[^7]: TechCrunch「SusHi Tech Tokyo isn't a conference — it's a deal room with 60,000 people」(2026-04-21) — https://techcrunch.com/2026/04/21/sushi-tech-tokyo-isnt-a-conference-its-a-deal-room-with-60000-people/

[^8]: The Japan Times「SusHi Tech Tokyo underway, bringing startups, big companies and investors together」(2026-04-27) — https://www.japantimes.co.jp/business/2026/04/27/tech/sushi-tech-tokyo-2026/

[^9]: BigGo Finance「SusHi Tech Tokyo 2026 Kicks Off: Tokyo Launches $1 Billion Investment Framework, Startup Database, 770 Exhibitors Gather」 — https://finance.biggo.com/news/qojqzZ0BoQmpnl36lhw4

[^10]: 月刊イベントマーケティング「SusHi Tech Tokyo 2026 レポート⑵ マッチングしやすい会場構成設計と体験提供」 — https://www.event-marketing.co.jp/stt2026_report2

[^11]: SusHi Tech Tokyo 2026 公式 未来体験パビリオン — https://sushitech-startup.metro.tokyo.lg.jp/future-experience-pavilion/

[^12]: 東京お台場.net「SusHi Tech Tokyo 2026 <東京ビッグサイト>」 — https://www.tokyo-odaiba.net/event_lerning/sushitech_2026/

[^13]: ロボスタ「日本発フィジカルAIは世界を獲れるか『SusHi Tech Tokyo 2026』でDG Daiwa Venturesが登壇」(2026-04-27) — https://robotstart.info/article/2026/04/27/381831.html

[^14]: AsiaBizToday「Governor Yuriko Koike Opens SusHi Tech Tokyo 2026, Positions Tokyo as a Global Hub for Innovation and Sustainable Cities」(2026-04-27) — https://www.asiabiztoday.com/2026/04/27/governor-yuriko-koike-opens-sushi-tech-tokyo-2026-positions-tokyo-as-a-global-hub-for-innovation-and-sustainable-cities/

[^15]: G-NETS 公式「SusHi Tech Tokyo 2026 The 3rd G-NETS Leaders Summit Announced」 — https://www.g-nets.metro.tokyo.lg.jp/en/events/2508-3rd-leaders-summit.html

[^16]: SusHi Tech Tokyo 2026 公式 Public Day — https://sushitech-startup.metro.tokyo.lg.jp/publicday/

[^17]: 東京都広報「楽しい未来を体験しよう!! SusHi Tech TOKYO 2026 パブリックデイ開催!」 — https://www.koho.metro.tokyo.lg.jp/2026/04/02.html

[^18]: 東京すくすく「『SusHi Tech Tokyo(スシテック東京)2026』4月29日は子ども向けイベント 恐竜型メカニカルスーツやサイエンスライブ」 — https://sukusuku.tokyo-np.co.jp/education/110259/

[^19]: ikigAI「東京都『SusHi Tech Tokyo 2026』Public Dayに公式出展。こども向け新コンテンツ初公開&AIビジョンボードをチェキで持ち帰れる体験を提供。」 — https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000151279.html

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